2014年7月30日水曜日

北朝鮮の「特別調査委員会」は日本人妻に大嘘を強要する―「近所に住んでいた被拉致日本人○○さんは亡くなった」-

金正恩と朝鮮労働党は日本人に被拉致日本人救出を断念させようとしている


北朝鮮の「特別調査委員会」とやらがどんな嘘をつくか、皆で考えましょう。

金正恩とその周囲にいる朝鮮労働党組織指導部の連中は、日本人が被拉致日本人救出を諦めるように何とかして工作せねばならない。

何人かの日本人妻を返し、彼女らに次のような「証言」をさせるのではないでしょうか。

日本人妻は北朝鮮に子供や孫を残していますから、全て言いなりになるしかありません。

「○○さんは近所に住んでいましたが、病で若くして亡くなりました」「90年代後半に配給が途切れた時、たくさんの方々が亡くなりました。○○さん御一家もそうでした」

「日本に帰りたいといつもお話しされていました。本当に残念です」

「特別調査委員会」とやらの裏には朝鮮労働党組織指導部がいる


「特別調査委員会」とやらを指導するのは、金正恩と朝鮮労働党組織指導部です。

どういう経緯かよくわかりませんが、張成澤の死後北朝鮮では労働党組織指導部にいた連中の「活躍」が目立っています。察するに、この連中が張成澤処刑を主導したのでしょう。

彼らは、数十年ぶりに故郷に戻った日本人妻たちが、拉致された日本人と近所付き合いをしており亡くなったというのだから信じるしかないだろう、という世論醸成を策しているに違いない。

年老いた日本人妻の「証言」を正面から批判、否定するのは情緒的に難しい。対南工作機関の皆さんなら、これくらいのことは想像しているでしょう。

金正恩と朝鮮労働党はこんな世論醸成を策していることでしょう。

「北東アジアの平和構築のため、日朝新時代を築こう」「死んだ人は戻らない。哀しみを乗り越えて、新しい時代を築こうではないか」

テロを国策とする北朝鮮との「日朝新時代」など、ありえません。金正恩に核軍拡資金を与えてはならない。暴力団に大金を与えれば、地域住民の命と暮らしは徹底的に蹂躙されてしまいます。

日本と国交を樹立できれば、数兆円単位で金が入り更なる核軍拡が可能になると金正恩、朝鮮労働党組織指導部は胸算用しているはずです。

北朝鮮の体制運営・維持のためには巨額の外貨が必要である―幹部への「贈り物政治」-


北朝鮮という国の経済・政治運営は、外貨獲得に強く依存しているという点でナチス・ドイツ、スターリンや毛沢東の体制と大きく異なっているのです。

北朝鮮では、人民軍、対南工作機関、国家安全保衛部、外務省などあらゆる部署が外貨稼ぎに必死です。

北朝鮮の高位層の生活は、輸入品に大きく依存していますから毎年相当な外貨を稼がないと高位層にふさわしい消費生活を維持できません。

年間十億ドルくらい稼げないと、本当に苦しくなってしまうはずです。

高位層に金正恩からの「贈り物」と称して様々な奢侈品が下賜されますが、これは輸入品です。下賜品はスイス製の時計や家電製品、装飾品などです。この「贈り物政治」は金正日の手法でした。

日本の親族に富裕な方がいて仕送りをしてくれる元在日朝鮮人(帰国者)の場合、その仕送りで外貨が通用する店に行けば品質の良い物資を購入できます。

彼らは朝鮮労働党幹部に常に様々な名目で金をよこせとたかられていることでしょう。在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、このあたりの事情をよく御存知のはずです。

国家安全保衛部がなぜか表に出てきた―「強力な機関だ。今度は北朝鮮は真剣だ」という世論醸成を北朝鮮は策している―


新聞報道や外務省のHPに出ている資料によれば、このたびの「特別調査委員会」には国家安全保衛部の人間が入っています。

国家安全保衛部とは、旧ソ連のNKVDに相当する秘密警察で、昨年の張成澤処刑まで表に出てくることは殆どありませんでした。

日本の新聞・テレビでは国家安全保衛部が強力な組織であると知られていることを、朝鮮労働党組織指導部が「理解」したのではないでしょうか。

「それほど強い組織が特別調査委員会に入っているのだから、北朝鮮は真剣に被拉致日本人を探し出そうとしている」という世論形成を策しているのです。

国家安全保衛部も必死に外貨稼ぎをしています。

国家安全保衛部の人間が、スポーツ選手団の随行者や、貿易関係者として日本に来たことはいくらでもあります。中国朝鮮族やドミニカの旅券で入国してきたこともあるかもしれません。

国家安全保衛部の「外貨稼ぎ」手段の一つは在日韓国・朝鮮人への脅迫


国家安全保衛部の訪日目的の一つは、北朝鮮に帰国した親族(帰国者)を持つ在日韓国・朝鮮人と面会し、様々な名目で大金を巻き上げることです。

富裕な朝鮮商工人に、北朝鮮への投資をさせ、設備や資材を巻き上げることも北朝鮮の常套手段です。大損をした朝鮮商工人は大阪にもいます。

国家安全保衛部は帰国者を人質にして、「金をよこせ」と要求してきました。「お前の親族の~が罪を犯した。収容所に入れられたくなかったら、~千万円よこせ」という類の話です。

同様のことを、国家安全保衛部あるいは対南工作機関が、日本政府を相手にやろうとしているのです。「被拉致日本人を何とかして見つけるように尽力するから金をよこせ」という話です。

しかし策に長けた国家安全保衛部や工作機関が直ちに「お探しの方々がいました。お返しします」などと言い出すとは到底考えられない。

彼らはまず、日本人妻や残留日本人を出してきて、いくらぐらいの金と物資が入るのかを確かめるでしょう。あらゆる脅かしで、金額を吊り上げようとするでしょう。

国家安全保衛部ないしは対南工作機関は現在、日本人妻をどこかに集めて日本に一時帰国した際、被拉致日本人の死亡情報を全力で流すよう教育をしているのでしょう。

「強力な機関」に年老いた日本人妻は直面し、震え上がっていることでしょう。彼らに逆らえば、子供や孫は「山送り」です。

対北朝鮮ラジオ放送、海外衛星放送で金日成、金正日を批判し国家安全保衛部の業務を麻痺させよう!


北朝鮮の策動を打ち破るためには、日本政府が対北朝鮮ラジオ放送や海外衛星放送で金日成、金正日を批判することです。

労働党組織指導部、国家安全保衛部ないしは対南工作機関の皆様は、日本の世論への工作に日夜励んでおられます。日本政府はこそこそ隠れず、正面から北朝鮮の住民に訴えましょう。

放送開始時の音楽を韓国の歌謡曲にすれば住民の中で人気番組となります。「愛の迷路」がなぜか北朝鮮の住民は好きらしい。

これをやれば、朝鮮労働党組織指導部や国家安全保衛部が大慌てになります。金日成、金正日の奢侈生活の真実を噂で広めてしまえば良いのです。

「首領冒涜罪」が北朝鮮社会で蔓延してしまえば、国家安全保衛部の業務が麻痺してしまいます。

国家安全保衛部の大幹部が、他の幹部から責任を問われ、銃殺されてしまう可能性が出てきます。大幹部が生き延びるためにぎりぎりの選択を迫られるようにしましょう!

国家安全保衛部が「政治犯」とすべき人間を捕まえることができないような事態を、日本政府はあらゆる手段で形成せねばならない。

普段から武装している国家安全保衛部大幹部を窮地に追い込むことが、被拉致日本人救出のために極めて大事なことです。

中国で「外貨稼ぎ」に励む国家安全保衛部や朝鮮人民軍の皆さんも、対北朝鮮ラジオ放送や海外衛星放送を視聴して下さるかもしれません。

次のような論調で放送をやったらどうですか?

国家安全保衛部と朝鮮人民軍の皆さん、こんばんは!金日成や金正日はとんでもない贅沢生活をしてきたのですよ。「招待所」という豪華な別荘を数十件も持っています。御存知ですか?

2014年7月25日金曜日

訪中しない金正恩は習近平の面子をつぶしている―さらに「労働新聞」7月24日掲載論考が中国を暗に批判―

「唇と歯の関係」と言われた中朝関係は過去の遺物となった


暴力団間ではある時期には蜜月関係でも、大幹部が亡くなったことや様々な利害関係の衝突により、抗争が始まることがあります。

中朝関係とは、大きな「~組」と規模は小さいが「武闘派」と世間で言われる「~組」の関係に似ています。

中朝関係は、毛沢東、周恩来、鄧小平、金日成が生きている頃は「唇と歯の関係」と言われたそうです。これは恐らく、中国共産党大幹部がそう認識していたことを表す表現なのでしょう。

毛沢東がそういったのかもしれません。毛沢東はたとえ話が得意でした。

彼らが亡き今、中朝関係は徐々にほころび、今では対立関係、公然と批判しあう一歩手前としか思えません。金正恩はいまだに訪中していない。金正恩は習近平の面子をつぶしています。

中朝関係改善は当面不可能でしょう。中国人は面子をつぶされることを最も嫌がります。

7月24日「労働新聞」が中国を批判


「朝鮮中央通信」によれば、7月24日の「労働新聞」掲載の個人論説で国連安全保障理事会の決議を批判しています。その中に次の記述があるそうです。

「世界に公正な秩序を打ち立てるべく先頭に立たねばならない国が、その誤りをはっきり認識しているにもかかわらず自国の利益を優先させ米国に盲従しているのは悲劇である。
これにより、米国はますます横暴になっている。」

この記述は、どう読んでも中国批判としか私には思えません。まさかロシア批判ではないでしょう。

現時点では、中国が北朝鮮に一切原油を売らなくなっているとは考えにくい。そこまでやっていれば、もう北朝鮮の原油備蓄が無くなっていてもおかしくないからです。

しかし北朝鮮による中国での「外貨稼ぎ」が何かの理由で、相当困難になっているのではないでしょうか。この間の中国による韓国接近に怒っているだけとは考えにくい。


北朝鮮が「労働新聞」で中国を批判していることはすでに、習近平ら中国共産党最高指導部に伝わっているはずです。

習近平の面子をつぶすような言論を、中国共産党が許すとは到底考えられない。中国は北朝鮮の石炭や鉄鉱石を二束三文でしか買わなくなるかもしれません。

中国で「外貨稼ぎ」をしている朝鮮人民軍傘下企業の労働者や国家安全保衛部が運営する企業の労働者にたいする工作を中国の国家安全部はさらに強化するでしょう。

暴力団は金が入らなくなると内部抗争を始める


暴力団は、金が入らなくなると必ず内部で抗争を始め、弱体化していきます。

暴力団を解散に追い込むためには、彼らへの資金流入を止めることとともに、組員の組長や若頭に対する忠誠心を弱めねばなりません。

日本政府は、対北朝鮮ラジオ放送で金日成、金正日を批判するべきです。「全社会の金日成・金正日主義化」「チュチェ思想による全社会の一色化」を困難にすればよい。


対北朝鮮ラジオ放送開始時の音楽を韓国の歌謡曲にして、そのあと金日成や金正日を批判すれば良いのです。

韓国社会の情報がさらに入っていけば、金日成や金正日への敬愛心など吹き飛びます。自由な社会の素晴らしさは、音楽を聴いてもわかるものです。

「金正日将軍の歌」とFrance GallのElla, Elle l'a(Ella, She has it)では比較にならない。毛沢東讃歌「東方虹」のほうがまだ金日成、金正日讃歌よりはましなように私は感じます。

北朝鮮の住民が、仏の若手女性歌手Alizeeの「J'en ai marre」(私はうんざり)を映像で観たら驚愕するでしょうね。you tubeでこれは簡単に視聴できます。

画面に朝鮮語の翻訳をつけて、録画したものを朝鮮族を通じて北朝鮮に普及するべきです。金正恩はフランス語を流ちょうに使うようですから、案外金正恩がAlizeeを気に入るかもしれません。

ふざけているように思われるかもしれませんが、「全社会の金日成・金正日主義化」「チュチェ思想による全社会の一色化」を妨げるあらゆる言論を北朝鮮に流入させることが、被拉致日本人救出につながるのです。

金正日が「苦難の行軍」の時期、各地にある別荘で贅沢なことこの上ない生活をしていたことを、藤本健二さんの著作「金正日の料理人」などにより暴くべきです。

下記に、7月24日「朝鮮中央通信」の該当部分を抜粋しておきます。


It is tragic that the countries which should take the lead in establishing a fair world order prioritize their interests and turn blind eyes to the UN moves even though they were clearly aware that those acts were wrong.

This made the U.S. get more violent day after day.


비극은 세계의 공정한 질서를 세우는데 앞장서야 나라들까지 잘못되였다는것을 뻔히 알면서도 자국의 리해관계만을 우선시하며 묵인하는 태도를 취함으로써 미국이 갈수록 횡포해지고있는것이다.


2014年7月22日火曜日

満州での金日成一味の武器、食糧調達方法と中国共産党の「抗日」―徐大粛「金日成」講談社学術文庫(林茂訳)より―

若き金日成は中国共産党の指揮下にある東北抗日連軍の一員だった


誰でも時が過ぎれば死にますから、嘘の「史実」を広めてもそれが嘘であることは後世の人にはわかりにくくなります。

同時代人にとっては笑止千万の大嘘が、その後独裁者により「史実」にされてしまう例は少なくありません。レーニン、スターリン、毛沢東、金日成、金正日それぞれの「史実」がそうです。

共産党、労働党は嘘の「史実」を普及し人々に自らを偉人と思い込ませることにより権力の維持を策します。以下の記述は、徐大粛「金日成」(講談社学術文庫)に依拠しています。

1932年から41年にかけて朝鮮人パルチザンが満州地域で行った「抗日武装闘争」は、中国共産党の指揮下にある東北抗日連軍によるものでした。

この本のp55にある抗日連軍の簡単な一覧表によれば、金日成は第一路軍の、第2軍に属しています。

金日成は中国人の学校で教育を受け、流ちょうな中国語を話せたから、中国人幹部から信頼されたのでしょう。

なお、金日成が中国共産党員だったことは現在の北朝鮮の歴史書には出てきません。これを住民が他人に話せば、政治犯収容所送りになってしまうでしょう。

金日成一味は馬賊のような連中だった


「抗日連軍」などという語を用いると、圧政に抑圧された人民を解放するために戦った勇敢な人々と思ってしまいますが、現実の金日成一味は当時の満州に沢山いた馬賊のような連中でした。

前掲著p82によれば、金日成は中国人苦力および朝鮮人農民を徴用し、村や町を襲撃するたびに人質にとった若者に訓練を施して兵士に仕立てました。

金日成一味は昔から罪もない朝鮮農民拉致を繰り返していたのです。当時の中国には、苦力という低賃金で重労働に従事する人々がいました。

金日成は人質をとってから、富裕な朝鮮人に金の供出を強要しました。小さな村落あるいは列車を襲って食糧を調達することも多かったそうです。

金日成は農民や日本に通じているものに「銃あらば銃を、人あらば人を、金銭あらば金銭を、物品あらば物品を出すべきなり」と強要しました。

求めに応じない場合には、人質の耳を切り落とすと脅かし、それでも応じない場合には首を刎ねると言ったそうです(前掲書p83)。

朝鮮人農民への野蛮行為、農産物と金品略奪は「抗日武装闘争」ではない


農民への野蛮行為は、「抗日武装闘争」などではありえません。中国共産党の「革命理論」では、多少の畑を持ちほとりでも小作人を使っている農民は「地主」です。

「地主」から食糧や金品を奪うことは素晴らしい革命運動、抗日武装闘争なのです。「地主」は日本の警察に山賊の出没情報を教えたでしょうから、「親日派」というレッテルを貼れます。

金日成一味とは、山賊ないしは馬賊が「抗日連軍」を名乗った集団だったのです。

武器弾薬は、中国共産党の経路から補給されるか、それぞれの地方で購入することが多かったとあります(前掲書p85)。中国共産党はソ連から支援を受けていました。

金日成一味は日本軍の討伐から逃れるために、1941年にはソ連領へ逃げました。満州の農民の生命と人権を脅かす山賊を日本軍が討伐するのは当然です。

日本軍が、満州の朝鮮人農民の生命と人権を守ったのです。満州の中国・朝鮮農民は蛮行を繰り返す中国共産党が日本軍に討伐され、安堵したでしょう。

金日成が「抗日武装闘争を長年続け、日本帝国主義を破って朝鮮を解放した」などと昔の満州の朝鮮人農民が聞いたら、激怒するでしょう。

日本政府は金日成一味の蛮行を対北朝鮮ラジオ放送で暴くべきだ


金日成が中国共産党の指揮下で朝鮮人農民の拉致や食糧と金品強奪を繰り返していたことを、日本政府は対北朝鮮ラジオ放送や海外衛星放送で暴くべきです。

これをやれば、中国共産党の正統性を掘り崩すことにもなりますから、中国政府も猛烈に抗議してくる可能性が高い。

被拉致日本人救出のためには、テロ国家北朝鮮を擁護する中国とも対決せねばならないのです。

2014年7月19日土曜日

金正日の妹、金慶喜(金日成の娘)は金正恩に激怒して昨年12月9日に脳出血で亡くなった―康明道教授、朝鮮日報の「時事タンク」(司会は장성민氏)で語る―

最後の白頭血統、金慶喜(金敬姫?)がなぜ金日成逝去20周年の記念式典にも出なかったのか


金慶喜はもう亡くなっているのかもしれません。それを金正恩は表に出せないのです。

韓国・朝鮮人は、血統を重視します。韓国・朝鮮人はそれぞれ~金氏、~李氏というように出身地の名称で区別しています。

金日成もどこかの~金氏のはずなのですが、これはわかりません。同じ姓で、出身が同じだと、同じ祖先をもつ親戚ということになりますから結婚はできないという慣習があります。

北朝鮮では金日成と奥さんの金正淑、長男金正日を白頭山三代将軍と呼びます。

金日成と金正淑らパルチザンが中朝国境の白頭山を根拠地にして日本帝国主義と長年戦い、ついに朝鮮を解放したと北朝鮮では幼児の頃から住民を洗脳しています。

金正日は白頭山の密林にある小屋で生まれ、パルチザンの部下たちは金正日の誕生を「光明星将軍が生まれた」と祝ったそうです。

現実には、金日成と一味は山賊行為をやっていたので日本軍に討伐され、ソ連領に逃げてしまいました。金正日はハバロフスク近郊で生まれました。

白頭山三代将軍などではありえないのですが、ともかく北朝鮮の人々はこの作り話を信じています。北朝鮮当局は、自分たちが金日成民族であるという主張を時折しています。


金正日は妹金慶喜を深く愛していた―若くして母金正淑は亡くなった―



北朝鮮ではそんな宣伝が日常的に長年されてきましたから、金日成と金正日に長年仕えてきた労働党幹部の中では金慶喜の権威は相当なものがあったはずです。

特に金正日は、妹金慶喜を深く愛していたはずです。金慶喜は1946年生まれで、金正日より5歳下です。

母の金正淑は、1949年9月22日、子宮外妊娠で子供を死産し、自分も亡くなったようです(孫光柱「金正日レポート」、ランダムハウス講談社、p36)。

金正日は8歳、金慶喜は僅か3歳でした。想像ですが、金正日は母親が苦しみながら亡くなっていく姿を妹金慶喜とともに見ていたのではないでしょうか。

金正淑は31歳の若さでした。幼い金正日に、金慶喜のことを託して亡くなっていったかもしれません。金正日の脳裏には、苦しみながら娘を自分に託して亡くなった母親の姿が生涯残っていたのではないでしょうか。

金正日は、母親なしで育たねばならなかった妹金慶喜が何かにつけて不憫でどうしようもなかったのではないでしょうか。幼いころの金慶喜は、母が恋しくて兄の前で泣いたかもしれません。

高齢になってからの金正日と金慶喜がともに映っている写真を見ると、よく似ています。とても仲が良さそうです。

独裁者となってから金正日は部下たちに、「金慶喜の言葉は自分の言葉だ」と言っていたそうです。そんな金慶喜ですから、北朝鮮の人々と朝鮮労働党幹部内では相当な権威を持っていたはずです。「白頭血統」信仰は根強いものがあるのです。


金慶喜は張成澤の職位剥奪は認めたが、会議の場での公開逮捕は知らされていなかった―激怒して金正恩に電話をしている最中、脳出血で倒れた―



康明道教授は張成澤の処刑は金慶喜の承認がなければ考えられない、このままで張成澤の権力が強くなりすぎてしまうので金慶喜は張成澤処刑を認めたのだろうとTV朝鮮(「朝鮮日報」のサイトで見ることができる)などで語っていました。

康明道教授が、ごく最近「朝鮮日報」のサイトにある「時事タンク」で最近逃げてきた労働党中央幹部から得た情報として次のように語っています。

金慶喜は夫張成澤の全ての職位をはく奪することは認めたが、張成澤を公開の場で逮捕し連行することまでは知らなかった。

これを知った金慶喜は激怒し、金正恩に電話をかけたがその場で脳出血により倒れた。これは12月8日である。翌日金慶喜は死去した。

張成澤は12月12日に処刑された。そのあと、金国泰という朝鮮労働党大幹部の葬儀委員に金慶喜の名前が出ていたが、これは張成澤の処刑を金慶喜が承認していると偽装するためである。

金慶喜の死亡経緯が北朝鮮の住民に漏れれば、衝撃はあまりにも大きい。金正恩は未だに金慶喜の葬儀もやれない。タイミングを見ているのだろう。

死体を冷凍し、最近亡くなったようにみせかけるだろう。金慶喜が植物人間のような状態で生きているなら、最高人民会議や金日成逝去二十周年の記念式典に名前だけでも出すはずだ。

現在、朝鮮労働党幹部内ではなぜ金慶喜が出てこないのか、相当不安になっている人は少なくないはずだ。

金正恩の周囲には張成澤処刑を主導した労働党組織指導部の「8人組」という連中が侍っているが、彼らと呉克烈、金基南、朴奉柱、崔龍海ら古参幹部の間には溝がある。

金日成、金正日に仕えた古参幹部は金慶喜と近い関係にあった。彼らは金慶喜の件でかなり金正恩に不満を持っているはずだ。

金正恩はいまだに金慶喜の葬儀もやっていない。これが決定的だ。


「8人組」が何かの件で失敗すれば、古参幹部はそれを理由に排除に動く



康明道教授は「時事タンク」でこのように予想しています。

確かに、金慶喜が名前すら出てこないのは異常です。少しだけでも動けるのなら金日成逝去二十周年の式典にちらりとでも参列すればよい。植物人間状態だとしても、名前を出すことはできる。

姿どころか名前も出ないようでは、労働党幹部だけでなく平壌市民も異常だと思うでしょう。
康明道教授が金慶喜の死亡について「時事タンク」で語ったところ、仲間の脱北者や、中国東北部の朝鮮族らから沢山の電話があったそうです。多くの人々は次のように語っていたそうです。

「これで、張成澤の処刑後北朝鮮当局がなぜ多くの一般国民に朝鮮中央放送で張成澤を糾弾させたかがわかった。金慶喜が生きていたら、夫を一般国民に糾弾させるわけがない」

北朝鮮の人々にとって、金正恩が叔母の葬儀も出せない人間であるということは決定的に重大なようです。金慶喜には実の子供がいませんから、金正恩が葬儀を出さねばならない。

東南アジアにいるらしい長男の金正男はもうこの知らせを聞いているでしょう。金正男も怒っているでしょうね。金正男は普通の感覚を持っているようです。流暢に英語を話します。


日本政府は対北朝鮮ラジオ放送で、金慶喜死亡説を紹介するべきだ



金正恩には後見人がいません。金正日が60年代中ごろ労働党中央に勤務するようになってから、「党中央」としての指導的立場を確立するまで十年近くかかりました。

金日成という強力な後ろ盾がいてもそれだけかかったのです。労働党組織指導部出身の8人組とやらが金正恩を心から尊敬しているはずがない。

妹金予正、異母姉金雪松くらいしか心底信頼できる幹部がいない金正恩には、相当な精神的重圧が常時あるはずです。最近、なぜかびっこをひいて歩いている映像が出ていました。

日本政府は、対北朝鮮ラジオ放送で康明道教授のこの話を一つの情報として流せば良いのです。海外衛星放送で特別番組を作って放映しても良いでしょう。

政府がそのような番組をやるならば、法改正が必要かもしれません。国会議員の皆様に、しかるべき対応を重ねてお願いします。



2014年7月18日金曜日

北朝鮮に米国人が抑留されている(6月30日朝鮮中央通信より。American Tourtists Miller Mattew Todd and Jeffrey Edward Fowle who were detained while perpetrating hostile acts)

北朝鮮に入国した米国人が、「敵対行為」(Hostile acts)の疑いで「調査」中


6月30日朝鮮中央通信に、「敵対行為を犯した」という二人の米国人の名前が掲載されています。北朝鮮の宣伝する「敵対行為」と、刑法について説明します。

北朝鮮の「敵対行為」とは、「全社会の金日成、金正日主義化」と異なる言動の全てを意味しています。要は、金日成、金正日を礼賛しない言動は全て敵対行為なのです。

「絶対性、無条件性」という表現を北朝鮮当局は好みます。従って普通の人間が北朝鮮に入国すれば、とんでもない言いがかりで逮捕されうる。

日本人や韓国人の拉致、民間航空機爆破などテロを国策としている北朝鮮は、刑法で「間諜罪」あるいは「朝鮮民族敵対罪」を明記しています。

北朝鮮の刑法は全世界に適用される!「共和国に反対するか、共和国公民を侵害する外国人に適用される」と刑法8条に明記されている。


北朝鮮の刑法は北朝鮮の領域外に住む北朝鮮国民は勿論、外国人にも適用されると刑法8条に明記されています。

「共和国に反対するか、共和国公民を侵害する外国人」に適用されるそうです。下記に引用しておきました。

日本や韓国は勿論、全世界に北朝鮮の刑法が適用されるということです。北朝鮮と国交を樹立したら、国家安全保衛部員が大量入国し日本人を「首領冒涜罪」で次から次へと逮捕しかねません。

何も知らずに入国してきた外国人が朝鮮人民軍や国家安全保衛部、あるいは金正恩について話題にすれば「間諜罪」「朝鮮民族敵対罪」を適用するのは,彼らとしては当然です。

「朝鮮民族敵対罪」の場合、外国人が朝鮮人を批判すれば、この罪を適用されてしかるべきだという記述になっています。下記です。

北朝鮮の刑法には「間諜罪」と「朝鮮民族敵対罪」がある


64条(間諜罪)
共和国公民でないものが我が国に対する探偵を目的として秘密を探知、収集、提供した場合、5年以上10年以下の労働教化罪に処す。

第70条(朝鮮民族敵対罪)

外国人が朝鮮民族を敵対視する目的で海外に常駐するか滞在する朝鮮人の心身、財産を侵害するか民族的不和を引き起こした場合には5年以上10年以下の労働教化刑に処す。

情状が重い場合には10年以上の労働教化刑に処す。

6月30日の「朝鮮中央通信」が伝えている「敵対行為」とは具体的に何をさすのか不明ですが、理屈はどうあれ米国人を抑留しろという金正恩の「教示」があったのではないでしょうか。

金正恩はなぜ叔父を処刑したのですかなどと「案内員」(ガイド)に質問すれば、国家安全保衛部に通報されてしまうかもしれないのです。


案内員は国家安全保衛部と連携していると考えるべきです。ホテルの部屋にも、盗聴器が設置されている可能性は高い。

そんな質問は「我が国にたいする探偵を目的として秘密を探知、収集、提供」しようとしたと解釈できます。「朝鮮民族敵対罪」とも言えそうです。


「労働教化所」は「政治犯収容所」(管理所)ではない


北朝鮮では「政治犯」には裁判などありませんが、外国人ですからそれらしき見世物をやるでしょう。

「労働教化所」に連行される方々は、北朝鮮当局としては「政治犯」ではないのです。

酷い話ですが、調査中の米国の方々は北朝鮮の刑法に依拠すれば5年以上10年以下の「労働教化刑」となる可能性が十分あります。

政治犯収容所は「管理所」と呼ばれ、北朝鮮の刑法ではなく金日成の「教示」、金正日の「お言葉」により運営されています。

米国の方々は今後どこかの農場に連行され、朝鮮中央放送などで時折働いている姿を放映されてしまうかもしれません。テロ国家北朝鮮と「対話」などありえない。


日本政府は「圧力と対話」から、直ちに「圧力と思想攻撃」に路線転換するべきです。北朝鮮の現状について、米国政府関係者には何も知らない人は少なくないはずです。

日本政府は北の政治犯収容所での凄惨な人権抑圧について、米国政府と議会に訴えるべきです下記に原文を引用しておきます。

北朝鮮の刑法より抜粋 (朝鮮民主主義人民共和国法典、法律出版社2012年刊行より)


8(공민,령역,현실원직) 第8条(公民、領域、現実原則)

법은 범죄를 저지른 공화국공민에게 적용한다.

공화국공민이 공화국령역밖에서 범죄를 저지른 경우에도 법을 적용한다.공화국령역안에서 범죄를 저지른 다른 나라 사람에게도 법을 적용한다.

그러나 외교특권을 가진 다른 나라 사람에 대하여서는 그때마다 외교적절차에 따라 해결한다. 

공화국령역밖에서 공화국을 반대하였거나 화국공민을 침해한 다른 나라 사람에게도 법을 적용한다.

 64(간첩죄)(間諜罪)


공화국공민이 아닌자가 우리 나라에 대한 정탐을적으로 비밀을 탐지, 수집, 제공한 경우에는 5년이상 10년이하의 로동교화형에 처한다.

정상이 무거운 경우에는 10년이상의 로동교화혛에 처한다.

70(조선민족적대죄)(朝鮮民族敵対罪)

다른 나라 사람이 조선민족을 적대시할 목적으로 해외에 상주하거나 체류하는 조선사람의 인신, 재산을 침해하였거나 민족적불화를 일으킨 경우에는 5년이상 10년이하의 로동교화형에 처한다.

정상이 무거운 경우에는 10년이상의 로동교화혛에 처한다.










 

 

2014年7月13日日曜日

Gérard Bessière, 「イエスの生涯」(Jésus Le dieu inattendu,小河陽監修,創元社)より

福音書についてのメモ―福音書研究の現状はどうなっているのか―


吉本隆明の「マチウ書試論」は、近年の福音書研究の到達点からみるとあまり実証性がなさそうに思えます。

Gérard Bessière, 「イエスの生涯」(p134-140)から、福音書についての記述を抜粋して引用しておきます。著者のGérard Bessièreはカトリック司祭です。

福音書には4世紀の完全な写本が現存するほか、断片だけならさらに古いものが残っています。写本には、「パピルス」と「羊皮紙」のものがあります。

パピルスはエジプトに多くみられる葦で、これを薄切りにし、縦横に重ねて糊付けし、延ばして紙にしたものです。

羊皮紙は羊や山羊、牛の皮を裁断して紙にしたものです。新約聖書の全体ないしは一部を収めた写本は約5000あります。

マタイ福音書は紀元80年代に書かれた


マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネという4つの福音書の相違点と独創性に関する研究が活発になされています。

マタイ福音書は紀元80年代、パレスチナ北部でギリシア語で書かれました。著者はキリスト教に帰依したユダヤ人です。

マタイ福音書を通じて、キリスト教会に属するユダヤ人と、ユダヤ教を信奉し続けているユダヤ人との緊張関係がうかがわれます。

マルコ福音書は65-70年代、異邦人向きに多分ローマで書かれました。4福音書で最も古いものです。対象はユダヤ的教養がない人々です。

殆ど旧約聖書を引用していません。通俗ギリシア語を使っています。

ルカ福音書は紀元70-80年頃、福音書に暗示されているエルサレムの破壊の後,非ユダヤ人に向けて書かれました。

達者なギリシア語で,他の福音書より豊富な語彙を駆使して書かれています。

ヨハネ福音書は1世紀末頃、小アジア、恐らくエフェソで書かれました。ギリシア語を使い、「イエスが愛した弟子」が書いたものとの体裁をとっています。

各福音書はイエスを、行動した存在、ユダヤ社会をくつがえした存在、人と神の間、そして人間同士の間に新しい関係をつくりだそうとした存在として描く点では一致しています。

「イエスの生涯」(小河陽監修、創元社)の冒頭に掲載されている「受難の日のエルサレム眺望」はイエス・キリスト処刑当時のゴルゴダの丘を描いています。

荒涼たる岩場が続いていた地なのですね。イエス・キリストはエルサレム市郊外のゴルゴダで紀元30年4月7日に磔刑に処されたとあります。