裁判所が広範囲に極刑を出せる刑法を作れ、とレーニンは述べた
デ・イ・クルスキーという幹部は、刑法典を作る業務を担当していたのでしょうか。
レーニン全集第33巻(大月書店刊行)には、1922年5月17日という日付が出ています。
レーニンはこの手紙で、裁判所はテロルを排除してはならない、できるだけ広範囲に定式化せねばならないと述べています。
裁判所が広範囲に極刑を出せるように刑法を作れ、という話です。
国際ブルジョアジー、の定義がない
レーニンは、スパイ行為や出版物等々への資金供与により、共産主義的所有制度を暴力的にくつがえそうと努めている国際ブルジョアジーという勢力が存在すると考えていました。
国際ブルジョアジー、という語の定義はないので、どうにでも解釈できます。
正体不明の国際ブルジョアジーを援助する宣伝や扇動、そういう組織へ参加または協力した人物は極刑にせよ、とレーニンは提案したのです。
罪を軽減するような情状がある場合には、自由のはく奪または国外追放で良いとレーニンは述べています。
こんな法の下では、国民には言論の自由、表現の自由など全くなくなってしまいます。
ボリシェヴィキを少しでも批判したら、国際ブルジョアジーとやらへの援助とみなされ、極刑にされてしまいかねないのですから。
レーニンの後継者スターリンはレーニンの遺志をしっかりと継承し、全体主義的体制を作りました。
日本共産党は、レーニンの時代には社会主義への探求がなされたが、スターリンはレーニンの道に背いた、などと宣伝しています。
不破哲三氏は、レーニンが富農やロシア正教会聖職者を弾圧せよという指令を繰り返し出している事は熟知しています。
これが多くの党員、支持者に知られると厄介だから、黙っているのでしょうね。
日本共産党を支持する知識人の方々は、レーニンの文献を真面目に読んでいるのでしょうか。
帝国主義論研究で有名な林直道教授(大阪市立大)はレーニンの残虐指令文書を、無視したのでしょうか。レーニン全集に沢山出てきます。
レーニンはスターリン、毛沢東、金日成と金正日の師ですね。
ロシア革命に関心があるなら、森岡真史教授の研究に学ぼう
レーニンによる数々の残虐指令については、森岡真史教授(立命館大)の優れた研究があります。
上島武・村岡到編「レーニン 革命ロシアの光と影」(社会評論社刊行)の第二章で森岡教授は、ロシア共産党はレーニンの指導の下に収奪者の収奪を実行したことを示しています。
ソビエト政府が実行した銀行の国有化は、銀行に預金をしていた富裕層の財産没収でした。利子、配当支払い停止、有価証券の売買全面禁止。
収奪者を収奪する、というのですから、必然的な措置と思います。
ロシア革命とは、一体何だったのでしょうね。左翼知識人、運動家がロシア革命に関心があるなら、森岡真史教授の業績から学ぶべきです。