今も昔も、在日本人総連合会の皆さんは金日成、金正日、金正恩と朝鮮労働党に忠誠を誓っています。
在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、朝鮮労働党による日本人や韓国人の拉致、政治犯の処刑や収容所連行、日本漁船銃撃と日本人船員射殺、大韓航空機爆破、金正男さん毒殺などの蛮行の歴史について、完全に沈黙しています。
あるいは、在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、これらを全てデマだと否定します。
朴尚得さんは、行方不明になっている元在日朝鮮人(北朝鮮帰国者)について完全に沈黙した
この本が出た昭和55年頃でも、少なくない元在日朝鮮人(北朝鮮帰国者)が行方不明になっている事は、在日朝鮮人の中では知られていました。
在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、行方不明になっている元在日朝鮮人について「山へ行った」と言う隠語で表現します。
「鳥も鼠も知らないうちにいなくなる」という表現もあります。
これは国家安全保衛部が、政治犯と目される方の家族を収容所に連行する場合、夜中から早朝に来ることを表しています。
朴尚得さんが、行方不明になっている元在日朝鮮人の存在について知らなかったとは考えられませんが、この本にはそんな話は出ていません。
韓ハクスさんという、大阪の在日朝鮮人内ではよく知られた方がいました。朝鮮学校の教員だった方と伺います。
韓ハクスさんの御家族は、ヨドックという地域にある政治犯収容所に連行され、囚人労働を強制されていました。
これは、その政治犯収容所から釈放され、韓国に逃げた方により判明しました。
北朝鮮に帰国した元在日朝鮮人がある日突然、家族と共に行方不明になり、日本の親族と一切連絡が取れなくなっている事を著作に記して朝鮮学校の子供達や親に知らせたら大変です。
在日本朝鮮人総連合会により、民族反逆者、宗派分子、とレッテルを貼られ、在日本朝鮮人総連合会の皆さんが作っている小社会から追放されてしまいますから。
反共和国策動に加担したとかいう話にされてしまうのです。
これが嫌なので朴尚得さんは、朝鮮労働党による数々の野蛮行為を、見て見ぬふりをしたと考えられます。
これは、在日本朝鮮人総連合会の幹部としては当然の事ですが、教育者としては大問題ではないでしょうか。
朝鮮労働党に忠誠を誓う在日本朝鮮人総連合会内での蛮行も、朴尚得さんの本には一切記載されていません。
在日本朝鮮人総連合会内での蛮行について以下、例を示します。いわゆる、金炳植事件です。金炳植事件については、日本共産党の古参幹部の方なら御存知です。
金炳植(在日本朝鮮人総連合会の最高幹部)一派による蛮行の歴史
「『金炳植事件』その真相と背景」(統一朝鮮新聞特集班著。昭和48年刊行)によれば、在日本朝鮮人総連合会の韓徳銖中央常任委員会議長(当時)は、総連の全組織を自分の支配下に置こうと策しました(以下、敬称略)。
韓徳銖中央常任委員会議長(当時)は、義弟金炳植を自分に次ぐ第二人者に仕立てようとしました。
昭和42年の八全大会を境にして、在日本朝鮮人総連合会は韓徳銖・金炳植の二人に牛耳られていました。
金炳植は在日本朝鮮人総連合会の第二人者になった後、第一人者になろうと策しましたが失敗し、北朝鮮訪問から日本に戻れなくなりました。
「『金炳植事件』その真相と背景」には、金炳植とその一派が行ったという野蛮行為がいくつも記されています。そのごく一部を紹介します。
(その1)言論界の接待、工作
この本のpp. 47-51によれば、金炳植は日本の言論界に成金顔負けの接待外交を行いました。接待外交とは、例えば銀座の一流キャバレーで記者にナポレオンやジョニ黒を飲ませることでした。
また雑誌を大量に買い込む事を餌にして、その雑誌に企画を持ち込み、編集権に干渉して宣伝記事を掲載させました。
(その2)各地の在日本朝鮮人総連合会幹部に対する虐待
この本のp.58によれば、大阪の在日本朝鮮人総連合会は金炳植の影響力が強かったので、彼の策動により多くの働き手が組織から叩き出されました。
前大阪府本部委員長の李達信と組織部長金性卓は金炳植に虐められました。李達信はこれにより、極度のノイローゼ状態で廃人同様になりました。
金性卓は自殺してしまいました。これが事実なら、とんでもないことです。一体どんな虐待がなされたのでしょうか。
(その3)巨額の献金
この本のpp. 59-60によれば、兵庫県の某商工人は金炳植に数千万円の資金を貢ぎました。昭和47年8月、金炳植が南北赤十字会談に参席する前、兵庫県の有力商工人3名がそれぞれ一千万円もの献金を強要されました。
(その4)金日成の還暦祝いと称して巨額の物資、人間提供
この本のpp. 100-101によれば、昭和47年に金日成の還暦祝いと称して、在日本朝鮮人総連合会は以下を朝鮮労働党に送りました。
・総連中央はフィルム製造やオフセット印刷等、3つの工場設備に技術者を付けて送った。その費用は約20億円(p. 100)。
・大阪の総連は、金日成の邸宅の家具調度・装飾一式でその負担金は1億5千万円。
・兵庫の総連は、内閣の首相執務室の調度・装飾一式で1億3千万円。
・東京の総連は、労働党総秘書事務室の調度・装飾一式で1億3千万円。
・金日成の還暦祝いと称して、在日本朝鮮人総連合会全体としては総額50億円になる金品を献上。
朝鮮商工人が巨額の献金要求に応じる理由は、在日本朝鮮人総連合会の役員から献金に応じないと、北朝鮮に帰国した子弟や家族の処遇に影響があると脅かされるから(同書p. 101)。
注意すべきなのは、在日本朝鮮人総連合会が金日成の還暦祝いと称して、フィルム製造やオフセット印刷等の工場に技術者をつけて送った、という記述です。
在日本朝鮮人総連合会は、技術者を金日成の還暦祝いとして朝鮮労働党に献上したのです。
朝鮮労働党による偽札づくりは、フィルム製造やオフセット印刷工場の献上と関連があったのかな、と想像してしまいませんか。
朴庸ゴン「ある在日朝鮮社会科学者の散策」(現代企画室平成29年刊行。p. 138)によれば、金日成の還暦祝いとして、200人の若者が朝鮮労働党に献上されました。
朴さんが所属していた朝鮮大学校に、在日朝鮮青年同盟が送る60名のオートバイ部隊と合わせて200名の大学生を送れと言う指示が来たそうです。
朴庸ゴンさんは、金炳植一派による暴力行為についても記しています。この件については、改めて書きます。
朝鮮学校で学んだ子供たちがその後、金日成の還暦祝いとして献上された
朴尚得さんの本には、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による蛮行の歴史については一切記載されていません。
朝鮮学校で学んだ子供たちの中には、金日成の還暦祝いにされてしまった方が200人程度いたことになります。
朝鮮学校の歴史についての学術論文を出している方々や、朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を叫んでいる方々は、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による蛮行の歴史について完全に沈黙しています。
在日本朝鮮人総連合会の活動に熱心に参加している働き手の方が、金正恩の誕生祝いと称して、朝鮮労働党に献上されてしまう可能性がありませんか。
赤旗編集局編「北朝鮮覇権主義への反撃」(平成四年刊行。pp. 45-46)には、在日本朝鮮人総連合会による金日成の還暦祝い騒ぎについて、当時の日本共産党が批判的だったことが記されています。
今の日本共産党は、チュチェ思想を大局的には進歩的な思想と把握していますから、昔の日本共産党のような在日本朝鮮人総連合会批判はできません。
不破さんによる路線転換の影響ですね。共産主義運動は、最高指導者への盲信を普及する運動です。