2025年5月18日日曜日

志位さんは中国共産党に敵基地攻撃能力廃棄を要求できないー日本共産党は中国共産党を平和勢力とみているから

志位さんは中国共産党が協力のパートナーであり、日本の脅威ではないと見ている 

志位さんによれば、日中は互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないという原則で合意しています。

そこで志位さんはこれにのっとって双方がふさわしい行動をとることが両国関係を前に進める最大のポイントであると強調しています。

シンポジウム「東アジアでの平和の準備を」/訪中の報告「互いに脅威とならない」の原則の意義について/日本共産党 志位議長の発言 1回目 

互いに脅威とならない、ために日本は、安保三文書に基づいて行っている大軍拡と敵基地攻撃能力保有をやめるべきと志位さんはいろいろな機会に主張しています。

しかし志位さんは中国共産党に敵基地攻撃能力廃棄を要求できません。先日の北京行きでも、志位さんは中国共産党にそんな要求はしていません。

中国共産党が保有している核ミサイルの廃棄要求など、志位さんは考えにもつかないのでしょう。

志位さんは、中国共産党の核軍事力が日本にとって脅威であると見ていないのです。

日本共産党はレーニンの見地に依拠し、中朝露が平和勢力と宣伝してきた

日本共産党は昭和36年7月の第八回党大会で、ソ連、中国、北朝鮮、東欧など社会主義国は平和地域であると規定しました。これはこの時期の日本共産党綱領に明記されています。

本ブログで何度も指摘してきたように、これはレーニンの帝国主義論の見地に依拠しています。レーニンは帝国主義、金融資本が戦争の根源であると繰り返し主張しました。

レーニンの見地なら、米帝国主義こそ世界中の戦争の根源です。米帝国主義を批判してきた社会主義国、現在の中朝露は平和勢力です。

米帝国主義を批判している中国共産党の核は平和を守る、という視点から日本共産党は第九回大会で、中国の核実験を正当化しました。


「日本共産党の百年」はこれを誤りだったと認めましたが、中国共産党の核軍事力はアジアと世界の平和を脅かしているなどとは認めていません。

レーニンの見地を全否定するなら、日本共産党の平和運動の全否定になってしまいます。志位さんがそんな厄介な事をするはずがありません。

志位さんと日本共産党、同党支援者、左翼人士は昭和36年綱領の視点から形成される、日米安保、NATOを批判する中朝露は平和勢力であるという見地に固執しています。

志位さんは中国共産党に台湾政府と話し合えと要求できない

志位さんは中国共産党との会談で、台湾に対する武力行使に反対だと主張していますが、それだけです。

志位さんが会談で何をどう主張しようと、中国共産党の台湾統一方針が変わるはずがありません。

志位さんは中国共産党に台湾政府と話し合え、台湾政府の東アジアサミット参加、ASEAN加入を認めよという要求はできません。

不破さんは台湾政府を、中国共産党の反党分子のような存在と主張しました。台湾政府は中国共産党に入った事などありませんから、不破さんの主張は荒唐無稽です。



志位さんも、不破さんのこの見地に固執しています。志位さんは不破さんを批判できませんから。志位さんは台湾政府が台湾の住民を代表している事を認められないのです。

台湾政府は中国共産党の反党分子なのですから、台湾政府は中国共産党により解散、解体させられることは当然と見ている日本共産党員は少なくないでしょう。

左翼人士は中朝露の核軍事力、蛮行の歴史についての思考と議論を拒否する

一般に、左翼の皆さんは中朝露の核軍事力が日本の平和と民主主義を脅かすとはみなしません。

左翼の皆さんは中朝露の核軍事力、蛮行の歴史についての思考と議論を拒否します。

現在、金正恩と朝鮮労働党はロシアの要請によりウクライナに朝鮮人民軍を派遣、侵略をしていますが、左翼はこの点で金正恩と朝鮮労働党を批判できません。

現時点では、朝鮮学校の教員の皆さんは朝鮮人民軍によるウクライナ侵攻について沈黙しているでしょう。しかし、いずれはこれを正当化すると考えられます。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、金正恩と朝鮮労働党を批判するのは極めて困難です。左翼人士が、朝鮮労働党による核軍拡、ウクライナ侵略を批判するのは極めて困難です。

川上浩一先生、中朝露の核軍拡と蛮行の歴史について御検討下さい

川上浩一先生はXで、日本学術会議の特殊法人化について強く反対なさっています。

XユーザーのKoichi Kawakami, 川上浩一さん: 「学術会議は設立時から一貫して軍事目的の研究を禁止してきた。研究は回り回って軍事につながることがあるかもしれないが、学術会議の方針は歯止めになってきた。 学術会議法が改悪され戦争までの時計の針が進んでしまった。軍靴の足音がより大きく聞こえるようになった...」 / X

私はXで、川上浩一先生に中朝露の核軍拡と蛮行の歴史について検討してくださいと繰り返し訴えました。

想像ですが、川上浩一先生は中朝露が平和勢力であるとお考えのように思えてなりません。平和勢力がウクライナに侵攻するでしょうか。

朝鮮労働党はクアラルンプールの空港で、金正男さんを化学兵器により暗殺しました。VXガスが使用されたようです。

朝鮮労働党は化学兵器を使用する意思と能力を持っている事が、この事件で完全に証明されたと考えます。

日本学術会議の皆さんが中朝露の核軍事力、朝鮮労働党の生物化学兵器、サイバー攻撃能力などについて研究成果を発表したら、世論の流れが随分変わると思えてなりません。

川上浩一先生、是非御検討下さい。






2025年5月16日金曜日

日本共産党員は宮本顕治さんによる日本共産党第八回大会報告を読みましょうー春日庄次郎さんの理論と今の日本共産党は同じ

 最近の日本共産党員は、昔の日本共産党の文献や宮本顕治さんの論考を全く読まないようですね。

昔の日本共産党では、宮本顕治さんの著作「日本革命の展望」がマルクスの資本論、レーニンの唯物論と経験批判論に並ぶような文献だとされていました。

志位さんは資本論を読みましょう、と訴えていますが、昔の大会決定や宮本顕治さんの文献を読みましょう、とは決して言いません。不破さんも同様でした。

今の日本共産党にとって、それらには都合の悪いところが多々あるからでしょう。

今の日本共産党の主張は、第七回大会から第八回大会頃での春日庄次郎さんの主張と酷似しています。

春日庄次郎さんは、第八回大会で反党分子として宮本顕治さんに強く批判された方です。

春日庄次郎さんは、人民の政府ができれば、適法的に基地、駐留軍、沖縄の返還を要求できるし、米政府はこれを拒み得ないと主張

以下、日本共産党第八回大会での宮本顕治さんの報告に出てくる、春日庄次郎さんの主張を紹介します(「前衛」臨時増刊 日本共産党第八回大会特集p. 138より)。

・春日庄次郎さんは「前衛」1957年12月号に掲載された論文で、民主的な政府が実現すれば、米帝国主義は安保条約の廃棄、サンフランシスコ条約の改廃を拒み得ないと主張しました。

・春日庄次郎さんは、人民の政府ができれば、適法的に基地、駐留軍、沖縄の返還を要求できるし、米政府はこれを拒み得ないと主張しました。

宮本顕治さんによれば春日庄次郎さんの上記の主張は、米帝国主義の侵略性への日和見主義的評価です。

春日庄次郎さんは権力獲得以前の民主政府の提案を、拒む事はできないときめてかかっていますから。

宮本顕治さんによれば春日庄次郎さんの主張は、帝国主義の圧迫に対する屈服に根源を持つ日和見主義です。

これは帝国主義者の圧迫のためその敵の本質を正視することができず、それとの闘争を回避しようとするところからきています。

・春日庄次郎さんは「前衛」掲載論文で革命の平和的移行唯一論を唱えました。

宮本顕治さんによれば、これは社会民主主義的見地への完全な転落です。

春日庄次郎さんの日和見主義理論は、国内的にはブルジョアジーの影響を受け、対外的には帝国主義の圧力に降伏するものです。

現在の日本共産党は、人民の政府とやらができれば、適法的に基地、駐留軍、沖縄の返還を要求できるし、米政府はこれを拒み得ないと主張しているとしか思えません。

志位さんは、米帝国主義が権力獲得以前の民主政府の提案を拒む事は出来ないと見ている

それどころか、日本共産党は与党になれたら、日本有事の際には政府が日米安保第五条により、米軍に出動要請する事を認めます。


志位さんは権力獲得以前の民主政府の提案を、米帝国主義が拒む事はできないと考えているから、日米安保活用論を提起しているのです。

志位さんは勿論、宮本顕治さんの著書「日本革命の展望」を熟知しています。

厄介な文献だから、若い日本共産党員、民青同盟員には内緒にしておこうと志位さんは判断していると考えます。

志位さんは日本共産党の歴史を修正したいのです。

昔と異なり、今はインターネットがありますから、歴史の修正は困難です。









2025年5月10日土曜日

朝鮮・金正日伝編纂委員会著、チュチェ思想国際研究所編「金正日伝 第1巻」(白峰社2004年刊行)より思う

日本共産党と左翼人士の皆さんは朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会の文献を読んでいますか 

朝鮮学校への無償化適用、補助金支出を主張する日本共産党と運動家の皆さん。

朝鮮学校の歴史を研究し、朝鮮学校への無償化適用、補助金支出を主張する左翼人士の皆さん。

皆さんは朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会の文献を何か読んでいるのでしょうか。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、朝鮮労働党のどのような方針に基づき、様々な主張や社会運動、あるいは朝鮮学校での教育を行ってきたのかという問題を検討するためには、朝鮮労働党の文献をしっかり読むべきです。

この本の第十三章の2 主体的な在日朝鮮人運動を明示する、から重要部分を以下、抜粋します。

総書記、とは金正日の事です。在日本朝鮮人総連合会は、朝鮮学校での教育について語る時、教育にチュチェをうちたてる、と表現します。

これはどんな意味なのでしょうか。「金正日伝 第1巻」pp. 386-387を見ましょう。

在日朝鮮人のチュチェとは、金日成と朝鮮労働党への絶対的服従

・総書記は、金日成動詞をぬきにしては総連の存在についても、在日同胞の民族的権利と幸福についても、また祖国の統一独立と朝鮮革命の完遂についても語ることはできないと言いました。

総連と在日同胞は、いかなる逆境にあっても変わることなくひたすら金日成同志を信頼し、金日成同志の教えに沿って進まなければなりません。

金日成同志に忠誠をつくすこと、まさにこれこそが総連の基本的な活動方向であり、在日朝鮮人のチュチェといえるのです。

pp. 387-390には次の記述があります。

・総書記は、在日朝鮮人運動は朝鮮革命の一部分であり、金日成同志の思想と指導を実現していく民族的愛国運動であると指摘し、総連は在日同胞が金日成同志に忠実であるよう教育活動を強化し、いかに不利な状況のなかでも金日成同志に変わることなく忠誠をつくす人たちで指導中核の陣容を固めなければならないと強調した。

・総書記は、朝鮮人民の民族的自尊心の根源は主席に対する忠誠の心にあるとして、在日同胞の民族的自尊心を高めるための教育活動を主席への忠実性教育と結び付けて行うように指導した。

・総書記は、総連が民主主義的民族教育の権利、祖国への自由往来と帰国の権利を守るたたかいも全同胞の運動として展開していくよう指導した。

金正日はくり返し、金日成と朝鮮労働党に忠誠を尽くせと説いています。これは自分への忠誠の強制でもあります。

民主主義的民族教育、とやらの核心は、金日成と金正日、朝鮮労働党への絶対的忠誠心の育成です。これが在日朝鮮人のチュチェ、なのです。

最近は金正恩と朝鮮労働党への絶対的忠誠心の育成になっているのでしょう。

「金正日伝」を読んで、それでも日本政府と自治体は朝鮮学校への無償化、補助金支出を実現せよと訴える方は、チュチェ思想を大局的には進歩的思想と把握しているのでしょう。

在日本朝鮮人総連合会の皆さん、朝鮮労働党の担当幹部から北朝鮮永住指令が出されたらどうしますか

ところで、北朝鮮への帰国の権利、とやらは昔から完全に保証されています。これの獲得のために全同胞の運動を展開する必要はありません。

在日本朝鮮人総連合会の職員、運動家の皆さんは、北朝鮮を訪問した際、朝鮮労働党幹部から「これからはわが国で社会主義建設に貢献しなさい」という指示が出たら、そのまま北朝鮮に居住なさるのでしょうね。

それは在日朝鮮人のチュチェ、なのでしょう。チュチェ革命偉業は困難ですね。






日本学術会議を完全民営化しましょう!-完全民営化すれば、政府は次期会員人事、どんな声明を出すかについて一切介入できません。

 日本学術会議を特殊法人化するという法案が、衆議院を通過しました。日本共産党と支援者の皆さん、左翼人士と運動家はこの法案に強く反対しています。

学術会議法案 採決強行/政府の意向沿う組織に変質/衆院内閣委 塩川議員が廃案要求

42、43年くらい前にも、これでは政府により日本学術会議が大きく変質させられてしまう、これを許したら再び戦争になる、とかいう話がありました。

某国立大学の哲学の教授か、早大の教育学の教授がこんな訴えを何かの集会か勉強会でなさったように思うのですが、はっきりしません。

この時に政府が出した日本学術会議に関する改正案が、どのような内容だったのか忘れてしまいました。

再び戦争になるとか訴えていた教授は、中露の核軍事力についてどうお考えだったのでしょうね。

日本学術会議を完全民営化すれば、政府は日本学術会議に一切介入できない

日本学術会議を完全民営化すれば、次期会員人事やどんな声明を出すかについて政府は一切介入できません。

学術会議の運営に必要な費用は、会費と寄付で賄えば良い。完全民営化したら、ナショナルアカデミーではなくなってしまうという意見がありますが、日本学術会議がナショナルアカデミーでなければいけない理由はありません。

日本学術会議会員が、特別職国家公務員でなければいけない理由もありません。

おきさやか先生の御懸念は、日本学術会議の完全民営化により払拭されると考えます。いかがでしょうか。

 (1) Xユーザーのおきさやか(Sayaka OKI)さん: 「(1/5) 「日本学術会議」を解体するための法案が、ゴールデンウィーク明けには衆議院を通過してしまうかもしれません。日本の未来を揺るがす100年に1度の危機的状況だと思い、緊急で動画を作りました。ぜひ #日本学術会議への介入に反対します をつけて拡散して頂けたら幸いです。 https://t.co/nNi6iLL0dS」 / X

おきさやか先生は、ロシアによるウクライナ侵攻を強く批判なさっています。

それなら、ロシアの要請によりウクライナに朝鮮人民軍を派遣、侵攻させている金正恩と朝鮮労働党も強く批判すべきではないでしょうか。

金正恩と朝鮮労働党に絶対の忠誠を誓い、盲従している在日本朝鮮人総連合会を徹底批判すべきではないでしょうか。

日本学術会議会員の皆さんが、中朝露の核軍事力と蛮行の歴史を徹底批判する言論活動を行っていれば、世論の動向が随分変わっていただろうと思えてなりません。




2025年5月3日土曜日

続・朴庸ゴン著「ある在日朝鮮社会科学者の散策『博愛の世界観』を求めて」(現代企画室 平成29年刊行)より思うー朝鮮大学校には、200名の男女大学生を北朝鮮に送れという指示が来た

 昭和47年の金日成の還暦祝いの際、在日本朝鮮人総連合会が巨額の贈り物をした事、200名の青年を還暦祝いとして献上した事は、いろいろな文献に出ています。

朴庸ゴンさんはこの本のp. 138で、以下のように記しています。少し長くなりますが、以下、抜粋して引用します。

「朝鮮総連は、傘下組織まで挙げて、金日成へ捧げる高価な贈り物の準備に狂奔した。指揮棒は金炳植が振っていた。異なった意見を挟めば忠誠度が疑われた。

贈り物の強要は、学校などの機関にも及んだ。

朝鮮大学校には、在日朝鮮青年同盟が贈る60名の自動二輪オートバイ隊に合わせ、200名の男女大学生を北朝鮮に送れという指示が来た。

大学はパニックに陥った。北朝鮮の事情を薄々知る学生たちは反抗し、拒絶した。私は学生を説得する側にいた。

『主席誕生60年を祝賀する栄誉ある代表団に選ばれたのだ。帰国すれば総合大学に入り、卒業後には社会主義建設の指導者として貢献できる。日本にいても就職はできないし、活躍の場は狭い』と吹聴した。

学生の家庭にも戸別訪問し、顔をしかめる父兄を必死に説得した。当時、私の社会主義や北朝鮮に対する認識はその程度だった。」

朴庸ゴンさんは自分が朝鮮大学校の学生たちを北朝鮮に送ってしまった事を深く反省している旨、NHKの番組で明言しました。

これにより、前のブログで紹介したように朴庸ゴンさんは在日本朝鮮人総連合会から叩き出されました。

朴庸ゴンさんは「汚らしい人間の屑」なのか

2007年10月20日の朝鮮中央通信では、朴さんは次のレッテルを貼られました。朴さんは、初歩的な良心と義理までも捨てた汚らしい人間の屑だそうです。下記です。

초보적인 량심과 의리마저 저버린 너절한 인간쓰레기

英語では、dirty human scumです。朝鮮大学校、在日本朝鮮人総連合会の皆さんも、朴庸ゴンさんをこのように評価しているのでしょうね。

朝鮮学校の無償化、補助金増額を主張している左翼人士と日本共産党の皆さんも、同様と考えられます。チュチェ思想を進歩的思想と評価している方々ですから。


2025年5月2日金曜日

朴庸ゴン著「ある在日朝鮮社会科学者の散策『博愛の世界観』を求めて」(現代企画室 平成29年刊行)より思うー金炳植一派による朝鮮大学校での暴力行為

 この本の著者紹介によれば、朴庸ゴンさんは昭和2年に、全羅南道和順郡で生まれました。昭和23年に来日し、愛知大学、同大学院で経済学を学びました。

愛知大学では林要教授の指導を受けたと出ています(同書pp. 271-274)。

林要教授は、長く金日成と朝鮮労働党を支持していましたが、昭和49年に出された「党の唯一思想体系確立の十大原則」に驚愕し、金日成と朝鮮労働党を強く批判した方です(赤旗編集局編「北朝鮮 覇権主義への反撃」p. 56より)。

朴庸ゴンさんは朝鮮大学校副学長、在日本朝鮮人総連合会中央委員を務めた

朴庸ゴンさんは昭和35年より朝鮮大学校教員として民族教育に従事しました。

1970年代より朝鮮労働党の政治思想であるチュチェ思想の研究をしました。

朝鮮大学校政経学部長、同副学長、在日本朝鮮社会科学者協会会長、主体思想国際研究所理事、在日本朝鮮人総連合会中央委員などを務めました。

朴庸ゴンさんは朝鮮大学校、在日本朝鮮人総連合会を代表する学者のお一人と言えます。

この本の執筆前の平成19年10月、NHKスペシャルで在日朝鮮人の帰国事業50周年を記念した番組が放映されました。

朴庸ゴンさんはこの番組で、朝鮮大学校の学生200名を北朝鮮に送った秘話を語りました。

これは在日本朝鮮人総連合会、朝鮮大学校では厳重に封印されていたタブーだったので、北朝鮮と在日本朝鮮人総連合会、朝鮮大学校から猛烈な抗議が来たそうです。

在日本朝鮮人総連合会は下部組織の講演で、「民族反逆者 朴庸ゴンの正体について」と題した文書を流布しました(同書p. 140)。

朝鮮大学校の教職員たちから、TV出演をとがめる抗議はがきが連日届いたそうです。

インターネットで調べてみると、2007年10月20日の朝鮮中央通信に、朴庸ゴンさんを誹謗する文章が出ています。英文では、次です。

It is needless to say that such guys as Pak are just the same dirty human scum as Hwan bereft of elementary conscience and a sense of obligation.

この本に記載されている、朴庸ゴンさんが在日本朝鮮人総連合会、朝鮮大学校で経験した事は史実と考えて間違いないでしょう。

金炳植一派は朝鮮大学校のマルクス主義者を徹底攻撃した(同書p. 72)

朴庸ゴンさんによれば、金炳植は在日本朝鮮人総連合会に唯一思想体系を植えつける思想活動を請け負い、宗派狩りの手法を適用しました(同書p. 72)。

昭和47年頃の朝鮮大学校には、マルクス主義を信奉する知識人や、朝鮮史を研究する学者が集まっていました。

マルクス主義を信奉する方は、マルクス、エンゲルスやレーニンの著作を金日成のそれより重視するので、党の唯一思想体系確立とやらの邪魔になります。

そこで、金炳植一派は朴庸ゴンさんら、マルクス主義を信奉する学者たちを徹底攻撃しました。

この本のp. 75-76に、金炳植一派が朴庸ゴンさんにふるった数々の暴力行為が記されています。以下、要点を抜粋して紹介します(同書pp. 75-76)。

朴庸ゴンさんは、学部長の康某に思想点検をされ、自己批判を強要されました。

「朴庸ゴンは民族ニヒリストだ。学問至上主義者だ。資本主義かぶれの自由主義者だ」と批判され、抗弁は許されなかったそうです。

朴庸ゴンさんは夜を徹して、原稿用紙50枚ほどの自己批判書を書きました。すると長すぎる、もっと要領よく書け、と突き返されました。その繰り返しで、朝鮮大学校に泊まり込んで総括を書いたり破いたりしました。

ノイローゼ状態になった朴庸ゴンさんは、金日成の教示に背いたこと、金炳植の権威に挑んだ事を認め、これは宗派行動に通じると自己批判しました。

朝鮮大学校の教員、鄭淵沼さんは胸元、背中を蹴られ、口から血を吐いた

同僚の鄭淵沼さんは、東京大学出身で温厚な方でした。鄭淵沼さんには、凄まじい暴力行為がなされました。

机や椅子が片付けられた研究室に同僚が集められました。鄭淵沼さんは研究室の真ん中の椅子に座っていました。

康某の「いまから鄭淵沼の組織的総括をはじめる。はじめ!」という号令で、金炳植に忠誠を誓っていた青年たちが鄭淵沼さんに襲いかかりました。

一人が鄭淵沼さんの胸元を足で蹴ったので、鄭淵沼さんは後ろに吹っ飛びました。さらに別の一人が鄭淵沼さんを持ち上げ、背中を蹴り上げました。

鄭淵沼さんは前に倒れ、口から血を吐きました。倒れた鄭淵沼さんをさらに数名で交互に殴り、蹴りました。

八年ほど前に出版されたこの著書に対し、朝鮮大学校、在日本朝鮮人総連合会の皆さんは一切反論していません。上記は真実と考えられます。

朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張する左翼人士、政治家は金日成の教示に背く人への暴力が社会進歩に貢献すると見る

朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張する左翼人士、政治家、日本共産党の皆さんは、朝鮮大学校で起きた暴力事件を一切知らないのでしょうか。

金炳植事件については、赤旗編集局編「北朝鮮 覇権主義への反撃」にも掲載されているので、日本共産党幹部の皆さんは御存知のはずです。

朝鮮学校、在日本朝鮮人連合会の歴史について、学術論文を書いている方々も金炳植事件について十分御存知の筈です。

朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張する左翼人士、政治家、日本共産党の皆さんは、金日成の教示に背いた方、金炳植の権威に挑んだ方に対する暴力が歴史の法則的発展に貢献すると見ているのでしょうね。

チュチェ思想を大局的には進歩的思想と見ている方々は、今後も金正恩の教示に背く人への暴力を肯定すると考えられます。

志位さんは金正恩の教示に背く人への暴力に賛成しているのでしょうね。日本共産党は在日本朝鮮人総連合会との友好関係を維持しています。






2025年4月27日日曜日

続々続々続・朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(ありえす書房・昭和55年刊行)より思う―在日本朝鮮人総連合会は金日成の還暦祝いと称して人間も献上した

 今も昔も、在日本人総連合会の皆さんは金日成、金正日、金正恩と朝鮮労働党に忠誠を誓っています。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、朝鮮労働党による日本人や韓国人の拉致、政治犯の処刑や収容所連行、日本漁船銃撃と日本人船員射殺、大韓航空機爆破、金正男さん毒殺などの蛮行の歴史について、完全に沈黙しています。

あるいは、在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、これらを全てデマだと否定します。

朴尚得さんは、行方不明になっている元在日朝鮮人(北朝鮮帰国者)について完全に沈黙した

この本が出た昭和55年頃でも、少なくない元在日朝鮮人(北朝鮮帰国者)が行方不明になっている事は、在日朝鮮人の中では知られていました。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、行方不明になっている元在日朝鮮人について「山へ行った」と言う隠語で表現します。

「鳥も鼠も知らないうちにいなくなる」という表現もあります。

これは国家安全保衛部が、政治犯と目される方の家族を収容所に連行する場合、夜中から早朝に来ることを表しています。

朴尚得さんが、行方不明になっている元在日朝鮮人の存在について知らなかったとは考えられませんが、この本にはそんな話は出ていません。

韓ハクスさんという、大阪の在日朝鮮人内ではよく知られた方がいました。朝鮮学校の教員だった方と伺います。

韓ハクスさんの御家族は、ヨドックという地域にある政治犯収容所に連行され、囚人労働を強制されていました。

これは、その政治犯収容所から釈放され、韓国に逃げた方により判明しました。

北朝鮮に帰国した元在日朝鮮人がある日突然、家族と共に行方不明になり、日本の親族と一切連絡が取れなくなっている事を著作に記して朝鮮学校の子供達や親に知らせたら大変です。

在日本朝鮮人総連合会により、民族反逆者、宗派分子、とレッテルを貼られ、在日本朝鮮人総連合会の皆さんが作っている小社会から追放されてしまいますから。

反共和国策動に加担したとかいう話にされてしまうのです。

これが嫌なので朴尚得さんは、朝鮮労働党による数々の野蛮行為を、見て見ぬふりをしたと考えられます。

これは、在日本朝鮮人総連合会の幹部としては当然の事ですが、教育者としては大問題ではないでしょうか。

朝鮮労働党に忠誠を誓う在日本朝鮮人総連合会内での蛮行も、朴尚得さんの本には一切記載されていません。

在日本朝鮮人総連合会内での蛮行について以下、例を示します。いわゆる、金炳植事件です。金炳植事件については、日本共産党の古参幹部の方なら御存知です。

金炳植(在日本朝鮮人総連合会の最高幹部)一派による蛮行の歴史

「『金炳植事件』その真相と背景」(統一朝鮮新聞特集班著。昭和48年刊行)によれば、在日本朝鮮人総連合会の韓徳銖中央常任委員会議長(当時)は、総連の全組織を自分の支配下に置こうと策しました(以下、敬称略)。

韓徳銖中央常任委員会議長(当時)は、義弟金炳植を自分に次ぐ第二人者に仕立てようとしました。

昭和42年の八全大会を境にして、在日本朝鮮人総連合会は韓徳銖・金炳植の二人に牛耳られていました。

金炳植は在日本朝鮮人総連合会の第二人者になった後、第一人者になろうと策しましたが失敗し、北朝鮮訪問から日本に戻れなくなりました。

「『金炳植事件』その真相と背景」には、金炳植とその一派が行ったという野蛮行為がいくつも記されています。そのごく一部を紹介します。

(その1)言論界の接待、工作

この本のpp. 47-51によれば、金炳植は日本の言論界に成金顔負けの接待外交を行いました。接待外交とは、例えば銀座の一流キャバレーで記者にナポレオンやジョニ黒を飲ませることでした。

また雑誌を大量に買い込む事を餌にして、その雑誌に企画を持ち込み、編集権に干渉して宣伝記事を掲載させました。

(その2)各地の在日本朝鮮人総連合会幹部に対する虐待

この本のp.58によれば、大阪の在日本朝鮮人総連合会は金炳植の影響力が強かったので、彼の策動により多くの働き手が組織から叩き出されました。

前大阪府本部委員長の李達信と組織部長金性卓は金炳植に虐められました。李達信はこれにより、極度のノイローゼ状態で廃人同様になりました。

金性卓は自殺してしまいました。これが事実なら、とんでもないことです。一体どんな虐待がなされたのでしょうか。

(その3)巨額の献金

この本のpp. 59-60によれば、兵庫県の某商工人は金炳植に数千万円の資金を貢ぎました。昭和47年8月、金炳植が南北赤十字会談に参席する前、兵庫県の有力商工人3名がそれぞれ一千万円もの献金を強要されました。

(その4)金日成の還暦祝いと称して巨額の物資、人間提供

この本のpp. 100-101によれば、昭和47年に金日成の還暦祝いと称して、在日本朝鮮人総連合会は以下を朝鮮労働党に送りました。

・総連中央はフィルム製造やオフセット印刷等、3つの工場設備に技術者を付けて送った。その費用は約20億円(p. 100)。

・大阪の総連は、金日成の邸宅の家具調度・装飾一式でその負担金は1億5千万円。

・兵庫の総連は、内閣の首相執務室の調度・装飾一式で1億3千万円。

・東京の総連は、労働党総秘書事務室の調度・装飾一式で1億3千万円。

・金日成の還暦祝いと称して、在日本朝鮮人総連合会全体としては総額50億円になる金品を献上。

朝鮮商工人が巨額の献金要求に応じる理由は、在日本朝鮮人総連合会の役員から献金に応じないと、北朝鮮に帰国した子弟や家族の処遇に影響があると脅かされるから(同書p. 101)。

注意すべきなのは、在日本朝鮮人総連合会が金日成の還暦祝いと称して、フィルム製造やオフセット印刷等の工場に技術者をつけて送った、という記述です。

在日本朝鮮人総連合会は、技術者を金日成の還暦祝いとして朝鮮労働党に献上したのです。

朝鮮労働党による偽札づくりは、フィルム製造やオフセット印刷工場の献上と関連があったのかな、と想像してしまいませんか。

朴庸ゴン「ある在日朝鮮社会科学者の散策」(現代企画室平成29年刊行。p. 138)によれば、金日成の還暦祝いとして、200人の若者が朝鮮労働党に献上されました。

朴さんが所属していた朝鮮大学校に、在日朝鮮青年同盟が送る60名のオートバイ部隊と合わせて200名の大学生を送れと言う指示が来たそうです。

朴庸ゴンさんは、金炳植一派による暴力行為についても記しています。この件については、改めて書きます。

朝鮮学校で学んだ子供たちがその後、金日成の還暦祝いとして献上された

朴尚得さんの本には、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による蛮行の歴史については一切記載されていません。

朝鮮学校で学んだ子供たちの中には、金日成の還暦祝いにされてしまった方が200人程度いたことになります。

朝鮮学校の歴史についての学術論文を出している方々や、朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を叫んでいる方々は、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による蛮行の歴史について完全に沈黙しています。

在日本朝鮮人総連合会の活動に熱心に参加している働き手の方が、金正恩の誕生祝いと称して、朝鮮労働党に献上されてしまう可能性がありませんか。

赤旗編集局編「北朝鮮覇権主義への反撃」(平成四年刊行。pp. 45-46)には、在日本朝鮮人総連合会による金日成の還暦祝い騒ぎについて、当時の日本共産党が批判的だったことが記されています。

今の日本共産党は、チュチェ思想を大局的には進歩的な思想と把握していますから、昔の日本共産党のような在日本朝鮮人総連合会批判はできません。

不破さんによる路線転換の影響ですね。共産主義運動は、最高指導者への盲信を普及する運動です。