2025年4月27日日曜日

続々続々続・朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(ありえす書房・昭和55年刊行)より思う―在日本朝鮮人総連合会は金日成の還暦祝いと称して人間も献上した

 今も昔も、在日本人総連合会の皆さんは金日成、金正日、金正恩と朝鮮労働党に忠誠を誓っています。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、朝鮮労働党による日本人や韓国人の拉致、政治犯の処刑や収容所連行、日本漁船銃撃と日本人船員射殺、大韓航空機爆破、金正男さん毒殺などの蛮行の歴史について、完全に沈黙しています。

あるいは、在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、これらを全てデマだと否定します。

朴尚得さんは、行方不明になっている元在日朝鮮人(北朝鮮帰国者)について完全に沈黙した

この本が出た昭和55年頃でも、少なくない元在日朝鮮人(北朝鮮帰国者)が行方不明になっている事は、在日朝鮮人の中では知られていました。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんは、行方不明になっている元在日朝鮮人について「山へ行った」と言う隠語で表現します。

「鳥も鼠も知らないうちにいなくなる」という表現もあります。

これは国家安全保衛部が、政治犯と目される方の家族を収容所に連行する場合、夜中から早朝に来ることを表しています。

朴尚得さんが、行方不明になっている元在日朝鮮人の存在について知らなかったとは考えられませんが、この本にはそんな話は出ていません。

韓ハクスさんという、大阪の在日朝鮮人内ではよく知られた方がいました。朝鮮学校の教員だった方と伺います。

韓ハクスさんの御家族は、ヨドックという地域にある政治犯収容所に連行され、囚人労働を強制されていました。

これは、その政治犯収容所から釈放され、韓国に逃げた方により判明しました。

北朝鮮に帰国した元在日朝鮮人がある日突然、家族と共に行方不明になり、日本の親族と一切連絡が取れなくなっている事を著作に記して朝鮮学校の子供達や親に知らせたら大変です。

在日本朝鮮人総連合会により、民族反逆者、宗派分子、とレッテルを貼られ、在日本朝鮮人総連合会の皆さんが作っている小社会から追放されてしまいますから。

反共和国策動に加担したとかいう話にされてしまうのです。

これが嫌なので朴尚得さんは、朝鮮労働党による数々の野蛮行為を、見て見ぬふりをしたと考えられます。

これは、在日本朝鮮人総連合会の幹部としては当然の事ですが、教育者としては大問題ではないでしょうか。

朝鮮労働党に忠誠を誓う在日本朝鮮人総連合会内での蛮行も、朴尚得さんの本には一切記載されていません。

在日本朝鮮人総連合会内での蛮行について以下、例を示します。いわゆる、金炳植事件です。金炳植事件については、日本共産党の古参幹部の方なら御存知です。

金炳植(在日本朝鮮人総連合会の最高幹部)一派による蛮行の歴史

「『金炳植事件』その真相と背景」(統一朝鮮新聞特集班著。昭和48年刊行)によれば、在日本朝鮮人総連合会の韓徳銖中央常任委員会議長(当時)は、総連の全組織を自分の支配下に置こうと策しました(以下、敬称略)。

韓徳銖中央常任委員会議長(当時)は、義弟金炳植を自分に次ぐ第二人者に仕立てようとしました。

昭和42年の八全大会を境にして、在日本朝鮮人総連合会は韓徳銖・金炳植の二人に牛耳られていました。

金炳植は在日本朝鮮人総連合会の第二人者になった後、第一人者になろうと策しましたが失敗し、北朝鮮訪問から日本に戻れなくなりました。

「『金炳植事件』その真相と背景」には、金炳植とその一派が行ったという野蛮行為がいくつも記されています。そのごく一部を紹介します。

(その1)言論界の接待、工作

この本のpp. 47-51によれば、金炳植は日本の言論界に成金顔負けの接待外交を行いました。接待外交とは、例えば銀座の一流キャバレーで記者にナポレオンやジョニ黒を飲ませることでした。

また雑誌を大量に買い込む事を餌にして、その雑誌に企画を持ち込み、編集権に干渉して宣伝記事を掲載させました。

(その2)各地の在日本朝鮮人総連合会幹部に対する虐待

この本のp.58によれば、大阪の在日本朝鮮人総連合会は金炳植の影響力が強かったので、彼の策動により多くの働き手が組織から叩き出されました。

前大阪府本部委員長の李達信と組織部長金性卓は金炳植に虐められました。李達信はこれにより、極度のノイローゼ状態で廃人同様になりました。

金性卓は自殺してしまいました。これが事実なら、とんでもないことです。一体どんな虐待がなされたのでしょうか。

(その3)巨額の献金

この本のpp. 59-60によれば、兵庫県の某商工人は金炳植に数千万円の資金を貢ぎました。昭和47年8月、金炳植が南北赤十字会談に参席する前、兵庫県の有力商工人3名がそれぞれ一千万円もの献金を強要されました。

(その4)金日成の還暦祝いと称して巨額の物資、人間提供

この本のpp. 100-101によれば、昭和47年に金日成の還暦祝いと称して、在日本朝鮮人総連合会は以下を朝鮮労働党に送りました。

・総連中央はフィルム製造やオフセット印刷等、3つの工場設備に技術者を付けて送った。その費用は約20億円(p. 100)。

・大阪の総連は、金日成の邸宅の家具調度・装飾一式でその負担金は1億5千万円。

・兵庫の総連は、内閣の首相執務室の調度・装飾一式で1億3千万円。

・東京の総連は、労働党総秘書事務室の調度・装飾一式で1億3千万円。

・金日成の還暦祝いと称して、在日本朝鮮人総連合会全体としては総額50億円になる金品を献上。

朝鮮商工人が巨額の献金要求に応じる理由は、在日本朝鮮人総連合会の役員から献金に応じないと、北朝鮮に帰国した子弟や家族の処遇に影響があると脅かされるから(同書p. 101)。

注意すべきなのは、在日本朝鮮人総連合会が金日成の還暦祝いと称して、フィルム製造やオフセット印刷等の工場に技術者をつけて送った、という記述です。

在日本朝鮮人総連合会は、技術者を金日成の還暦祝いとして朝鮮労働党に献上したのです。

朝鮮労働党による偽札づくりは、フィルム製造やオフセット印刷工場の献上と関連があったのかな、と想像してしまいませんか。

朴庸ゴン「ある在日朝鮮社会科学者の散策」(現代企画室平成29年刊行。p. 138)によれば、金日成の還暦祝いとして、200人の若者が朝鮮労働党に献上されました。

朴さんが所属していた朝鮮大学校に、在日朝鮮青年同盟が送る60名のオートバイ部隊と合わせて200名の大学生を送れと言う指示が来たそうです。

朴庸ゴンさんは、金炳植一派による暴力行為についても記しています。この件については、改めて書きます。

朝鮮学校で学んだ子供たちがその後、金日成の還暦祝いとして献上された

朴尚得さんの本には、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による蛮行の歴史については一切記載されていません。

朝鮮学校で学んだ子供たちの中には、金日成の還暦祝いにされてしまった方が200人程度いたことになります。

朝鮮学校の歴史についての学術論文を出している方々や、朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を叫んでいる方々は、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による蛮行の歴史について完全に沈黙しています。

在日本朝鮮人総連合会の活動に熱心に参加している働き手の方が、金正恩の誕生祝いと称して、朝鮮労働党に献上されてしまう可能性がありませんか。

赤旗編集局編「北朝鮮覇権主義への反撃」(平成四年刊行。pp. 45-46)には、在日本朝鮮人総連合会による金日成の還暦祝い騒ぎについて、当時の日本共産党が批判的だったことが記されています。

今の日本共産党は、チュチェ思想を大局的には進歩的な思想と把握していますから、昔の日本共産党のような在日本朝鮮人総連合会批判はできません。

不破さんによる路線転換の影響ですね。共産主義運動は、最高指導者への盲信を普及する運動です。












2025年4月19日土曜日

続続続続・朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(昭和55年ありえす書房刊行)より考えるー志位さん、チュチェ思想を批判する人はレイシストですか

 前に書きましたが、この本の編著者紹介によれば、朴尚得さんは昭和55年当時、朝鮮大学校の民族教育研究所所長という、在日本朝鮮人総連合会の要職にありました。

朴尚得さんは在日朝鮮人の社会運動史、朝鮮学校の教育内容について、熟知している方です。

従ってこの本は、在日本朝鮮人総連合会が朝鮮学校でどんな教育を行い、どんな人材を育成してきたかという問題を考える際、貴重な文献です。

朝鮮学校の歴史や在日朝鮮人の社会運動史を語る際にも、貴重な文献です。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが内緒にしている史実と歴史の修正

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会の歴史のうち、どんなことを内緒にしてきたのか、という問題を考える際にも、貴重な文献です。

日本共産党、左翼人士も、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会の皆さんが内緒にしている件については、阿吽の呼吸で内緒にするように留意していると考えられます。

以下、この本の記述から在日本朝鮮人総連合会の皆さんが内緒にしている史実、日本共産党と左翼人士が阿吽の呼吸で内緒にしている史実をみていきましょう。

朝鮮学校はチュチェ思想に依拠し、朝鮮労働党による大韓民国滅亡策に貢献する人材を育成

(その1)この本のp. 275によれば、民主主義的民族教育の基本は、在日朝鮮人子弟を立派な朝鮮人にすることです。祖国ー朝鮮民主主義人民共和国の海外公民であるという自覚と誇りを持ち、朝鮮民族の最大の課題である祖国の統一促進に寄与できる人材を育成する事です。

(その2)この本のp. 305によれば、現代の指導思想である偉大なチュチェ思想の創始者である金日成主席の教えにしたがって、在日朝鮮人は時代の本質にそむく日本当局の同化政策をしりぞけ、民族的主体をしっかりうちたてねばなりません。

朴尚得さんが明記しているように、朝鮮学校は金日成と朝鮮労働党による統一促進、すなわち大韓民国滅亡策に貢献する人材を育成してきました。

この件、朴尚得さんと在日本朝鮮人総連合会は内緒になどしていません。内緒にしているのは朝鮮学校への無償化適用、補助金支出を主張する日本共産党と左翼人士です。

志位さんと左翼人士は、チュチェ思想を進歩的思想とみなし、金日成、金正日を平和のために貢献した人物とみなす

朴尚得さんの本を、朝鮮学校に関する学術論文で引用している研究者は当然、上記を読んでいます。

それでも朝鮮学校無償化、補助金支出を主張している研究者の方々は、チュチェ思想を大局的には進歩的思想と把握し、朝鮮労働党による大韓民国滅亡を社会進歩とみているのでしょう。

志位さんら日本共産党幹部は、朝鮮学校でチュチェ思想教育が実施されていることを百も承知です。

朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会が、チュチェ革命偉業と称して大韓民国滅亡を策している事も熟知しています。

それでも日本共産党は、朝鮮学校無償化、補助金支出を主張しているのですから、チュチェ思想を大局的には進歩的思想と把握し、朝鮮労働党による大韓民国滅亡を歴史の法則的発展と見ているのです。

私は大韓民国滅亡を支持します、などと露骨に言うと、嫌韓論者と完全に一致してしまいます。

志位さんや左翼人士は阿吽の呼吸で、朝鮮学校が金日成と朝鮮労働党による統一促進、すなわち大韓民国滅亡策に貢献する人材を育成してきたことを内緒にしています。

志位さんはこれを、一般党員には内緒にしています。志位さんと左翼人士は、金日成、金正日が朝鮮半島の非核化実現を一貫して訴えてきたので、平和に貢献したと見ているのです。

日本共産党神奈川の皆さん、チュチェ思想を批判する人はレイシストですか

殆どの一般党員は、日本共産党第十七回大会決定や、赤旗編集局編「北朝鮮 覇権主義への反撃」(平成四年新日本出版社刊行)など読みませんから、30数年前の日本共産党によるチュチェ思想批判など知りません。

若い日本共産党員なら、チュチェ思想を批判する人をレイシストとみなしていそうです。それなら、30数年前の日本共産党もレイシストですね。

日本共産党神奈川の皆さんは、チュチェ思想を批判する人をレイシストと見なしていそうに思えてなりません。

朝鮮学校の無償化不適用、補助金削減は差別だ、と繰り返し強調していますから。以下です。

日本共産党神奈川の皆さんの、反論を期待しています。

 創立70周年記念、朝鮮学校補助打ち切りの不当性を改めてかみしめる |君嶋ちか子|神奈川県会議員 | 活動日誌 | 君嶋ちか子 | 日本共産党 神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員

【視察報告】朝鮮学校を視察 こどもの教育に差別があってはならない 直ちに補助金の復活を 市政ニュース • 視察報告|日本共産党 横浜市会議員団

 







2025年4月13日日曜日

続続続・朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(昭和55年ありえす書房刊行)より思うー日本共産党、左翼人士と朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会には共通の歴史観

日本共産党、左翼人士と朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会は共通の歴史観を持つ

朝鮮学校では子供たちに、朝鮮労働党によって都合が良いように修正した歴史を教えています。

朝鮮学校で教えられている歴史観は、大日本帝国は極悪国家だったという日本共産党の歴史観と概ね一致します。 

この本の歴史観は、日本統治期の朝鮮半島で朝鮮人は徹底的に搾取と抑圧をされたので大日本帝国は極悪だった論です。

日本共産党による昔の朝鮮半島論は、例えば下記です。

いま振りかえる 植民地支配 歴史と実態(2)/抑圧36年、日本は朝鮮で何をしたか

日本共産党、左翼人士の歴史観、平和理論から見れば、正しい歴史教育と平和観を普及している朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会は大局的には進歩勢力、平和勢力です。

従って朝鮮労働党が依拠しているチュチェ思想は、大局的には進歩的な思想であり、チュチェ革命偉業は歴史の法則的発展を促す思想という話になります。

不破さん、志位さんは金日成、金正日を平和と社会進歩に貢献した政治家と見ている

金日成、金正日は世界の帝国主義である米国と一貫して対決したのだから、平和と社会進歩のために貢献した立派な政治家だったという結論になるのです。

日本共産党が朝鮮学校への無償化適用、補助金支出を主張する理由は、チュチェ思想教育を進歩と革新の事業に貢献する教育であり、平和教育であると見ているからです。

チュチェ革命偉業とは、朝鮮労働党が断行してきた数々のテロ、蛮行も意味しています。これらは首領の指令により断行されています。

朝鮮労働党が日本人や韓国人の拉致、政治犯の処刑、大韓航空機爆破、韓国大統領暗殺未遂事件、金正男さんの毒ガスによる殺害を行っても、米国を批判してきたのだから大局的には社会進歩の事業に貢献するとはあまりにも異様です。

不破さん、志位さんの心中ではそう整理されていると考えられます。不破さん、志位さんは金日成、金正日を社会進歩に貢献した政治家だったと評価しているのです。

不破さんが、在日本朝鮮人総連合会との交流を再開した背景には、金日成、金正日に対する積極的評価があると考えられます。近年の日本共産党は、第十七回大会の頃のようなチュチェ思想批判をやりません。

以下、この本から、朝鮮学校で普及されている歴史観について論じます。

日本統治期の朝鮮半島で、朝鮮人が朝鮮語を使えないなどありえない

(その1)この本のp. 265によれば、日本帝国主義は朝鮮人民から莫大な財貨を奪い、祖先伝来の姓名を奪いました。さらに、朝鮮人が朝鮮語を使い、朝鮮文学を書くことさえも刑罰の対象にしました。

(その2)この本のp. 265によれば、在日朝鮮公民は日本帝国主義によって強制的に連行されてきた人か、あるいは過酷な植民地略奪政策によって故郷を捨てて日本に渡ってくることを余儀なくされた人々とその子弟です。

(その3)この本のp. 275によれば、朝鮮人は教育を受けられなかったばかりか、母国語である朝鮮語を学んだり使ったりするだけで刑罰を課されました。

(その4)この本のp. 291によれば、日本は1938年4月には朝鮮語の使用すら厳しく禁止しました。

(その5)この本のp. 305によれば、現代は民族的主体の確立がなによりも要求されるチュチェの時代です。現代の指導思想である偉大なチュチェ思想の創始者である金日成主席の教えに従い、在日朝鮮人は時代の本質にそむく日本当局の同化政策を退けて民族的主体をしっかりうちたてねばなりません。

朴尚得さんは自分の主張の根拠を示す史料を提示しなかった

上記のように朴尚得さんはこの本で繰り返し、朝鮮人が朝鮮語を使うと処罰されたかのような宣伝をしていますが、そんなことはありえません。

今も昔も、朝鮮半島の住民の母語は朝鮮語です。日本統治期の35年間、朝鮮半島の住民が母語を使わないで生活していたなどありえません。

朝鮮人が教育を受けられない、という主張も捏造です。朝鮮総督府は初等教育を重視しました。学校では、子供たちにハングルも教えました。

京城帝国大学は大正13年(1924年)に創立されました。

日本帝国主義は朝鮮人民から膨大な財貨を奪った、などありえません。財貨とは一体何なのでしょうか。朴尚得さんの主張には、根拠となる史料が提示されていません。

日本帝国主義が祖先伝来の姓名を奪った、という主張ですが、そんなことはありえません。

昭和14年の創始改名では、戸籍に「姓」と「本貫」を残したまま、新たに世帯の「氏」を好きな名称で創設させることを認めました。

創始改名以後、朝鮮人は先祖伝来の姓名に加え、新しく作った氏名も持つ事ができるようになったのです。

朝鮮の舞姫と言われた、崔承喜のように先祖伝来の姓名を名乗り続けた方もいました。朴尚得さんが崔承喜を知らないはずがないのですが。

この時期の朝鮮学校では、崔承喜の存在は内緒にされていたのでしょうね。

在日朝鮮人は過酷な植民地略奪政策によって故郷を捨てて日本に渡ってきた論の矛盾

(その2)ですが、在日朝鮮人が朝鮮総督府による過酷な植民地略奪政策によって日本に渡って来たという話はおかしい。

過酷な植民地略奪政策とやらを実施している朝鮮総督府を指導、管轄する日本政府が存在する地域に移住したら、さらに過酷な弾圧、抑圧をされると予想するのが普通でしょう。

日本に行けば何かの仕事がある、と判断して日本に移住してきた方が殆どだったと考えられます。

強制連行云々ですが、徴用により日本に来てそのまま日本定住を決意した方は稀です。

偉大なチュチェ思想の創始者である金日成主席の教えに従うことが、民族的主体をうちたてるー教育にチュチェをうちたてる

(その5)で、朴尚得さんは金日成の教えに従う事が、民族的主体をうちたてる事であると定式化しています。

在日本朝鮮人総連合会ではこれを、教育にチュチェをうちたてる、と表現します。金日成の教えについては、東京朝鮮中高級学校のHPにいくつか掲載されています。


朴尚得さんは勿論、金日成の教示を御存知です。金日成は平壌を訪問した学生たちにチュチェ思想を体得した立派な革命家になれ、と指導しました。

金日成の教示の具体的な意味は、朝鮮労働党の在日担当者の指導に従い、南朝鮮革命、大韓民国を滅亡させる策動に献身しなさいと言う意味です。

金日成の教示の具体的な内容は在日本朝鮮人総連合会の各部署に伝えられます。公開されるのはごく一部です。

日本共産党、左翼人士は朝鮮学校への補助金支出、無償化適用を主張しています。

これは、日本共産党と左翼人士が、チュチェ思想を進歩的思想と把握し、朝鮮労働党による大韓民国滅亡を社会進歩、歴史の法則的発展と見ているからです。

大韓民国滅亡を支持するという点で、日本共産党と左翼人士は、嫌韓扇動言論宣伝を街頭で行う方々と一致しています。

日本共産党は嫌韓扇動言論宣伝を実施している方々と対話をすべきですね。



2025年4月6日日曜日

続々朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(昭和55年ありえす書房刊行)より思うー朝鮮学校は、祖国統一(大韓民国滅亡)に寄与する人材を育成するー

 朝鮮学校は、在日本朝鮮人総連合会の指導下にあります。朴尚得さんのこの本にも、これが明記されています。

在日本朝鮮人総連合会は金正恩と朝鮮労働党に絶対性、無条件性の忠誠を誓っています。

朝鮮労働党は祖国統一、南朝鮮革命、または全社会の金日成・金正日主義化などとと称して、大韓民国を滅亡させ、朝鮮半島全体を支配する事を目論んでいます。

朝鮮労働党は日本人や韓国人の拉致、大韓航空機爆破、ミャンマーでの爆弾テロ、日本漁船銃撃と漁船員射殺等、数々のテロを断行してきました。

朴尚得さんの本でも、朝鮮学校では朝鮮労働党の南朝鮮革命路線を実行する人材を育成してきたことがわかります。例をあげましょう。

朝鮮学校は在日本朝鮮人総連合会により指導されている

(その1)pp. 275-276によれば、民族教育の基本は、在日朝鮮人指定を立派な朝鮮人にすることです。祖国ー朝鮮民主主義人民共和国の海外公民であるという自覚と誇りをもち、朝鮮民族の最大の課題である祖国の統一促進に寄与できる人材を育成することです。

(その2)p. 258によれば、朝鮮学校では在日本朝鮮人総連合会の指導の下に、祖国ー朝鮮民主主義人民共和国の教育政策に従って在日朝鮮青少年に民主主義的民族教育を行っています。

(その3)p. 262によれば、民主主義的民族教育は、60万全在日朝鮮人の利益を代表している在日本朝鮮人総連合会により指導されています。朝鮮学校の新設、拡張および管理、運営は、在日本朝鮮人総連合会の指導の下に在日朝鮮公民と父母で構成されている在日本朝鮮教育界が担当しています。

(その4)pp. 262-263によれば、民族教育における民主主義の原則は教育内容にあらわれています。民主主義的教育の基本内容は、社会主義的愛国教育です。社会主義的愛国主義とは、社会主義的制度をうちたてた祖国、朝鮮民主主義人民共和国に対する愛情です。

この本が出版された頃、朝鮮大学校民族教育研究所の所長だった朴尚得さんが繰り返し力説しているのですから、朝鮮学校は朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会に指導され、祖国統一すなわち大韓民国滅亡に貢献する人材を育成してきたのです。

朝鮮学校の無償化適用、補助金支出を強調する日本共産党と左翼人士、運動家の皆さんは、朝鮮労働党による大韓民国滅亡を大局的には歴史の法則的発展に貢献すると見ているのでしょう。

大山奈々子神奈川県議は日本共産党第十七回大会決定を読みましょう

近年の日本共産党は第十七回大会の頃(昭和60年11月19~24日)と異なり、チュチェ思想を大局的には進歩的思想とみなしていると考えられます。

大山奈々子神奈川県議(日本共産党)は第十七回大会決定を読んでいなさそうです。

大山奈々子県議は、在日本朝鮮人総連合会が朝鮮労働党に忠誠を誓い、朝鮮労働党の指導下で朝鮮学校を運営している事を十分御存知と考えられますが、これをいっさい批判しません。

大山奈々子県議は、朝鮮労働党が日米軍事同盟を批判しているので、大局的には平和勢力と見ているのでしょう。

大山奈々子県議は、チュチェ思想を進歩的思想と見ているから、朝鮮学校が行っているチュチェ思想に依拠した教育を日本社会の法則的発展に貢献していると見ているのでしょう。

日本共産党第十七回大会決議は、朝鮮労働党の態度を覇権主義の一つの野蛮な典型と規定しました。

第十七回大会決議によれば日本共産党は、自国指導者の名を冠する「主義」や「思想」を世界的な指導思想として礼賛し、あれこれの追従組織を育成して、それをわが国におしつける覇権主義的行為に対しても断固拒否します(「日本共産党第十七回大会特集」p. 84より)。

この時期の日本共産党は上記のように、朝鮮労働党による全社会の金日成主義化路線を批判していました。

朝鮮労働党は今でも、チュチェ革命偉業などと称して、日本社会の金日成主義化を策しています。

大山奈々子県議は、第十七回大会決定を御存知ないから、チュチェ思想を批判できないのでしょう。

25年ぐらい前、不破さんは在日本朝鮮人総連合会と交流を再開することに合意しました。これ以降、日本共産党は朝鮮労働党批判を殆どやりません。

不破さんは第十七回大会決定を事実上、廃棄しました。

金正恩が核兵器の小型化、軽量化を成功させ、小型の核兵器を大量保有できれば、朝鮮労働党は日本人と日本政府に首領のあらゆる指令に従えと脅迫してくるでしょう。

これがチュチェ革命偉業なのです。

地方自治体は、大韓民国を滅亡させる人材を育てる事に公金を支出するべきではありません。

朝鮮学校への無償化適用、補助金支出を訴える左翼人士、運動家は大韓民国を滅亡させたいのでしょうね。チュチェ思想を進歩的思想とみなしているのですから。

朴尚得さんのこの本を、御自身の研究論文の中で参考文献にしている左翼人士は、本心では大韓民国滅亡論者と考えられます。本心を内緒にしているのでしょう。

左翼人士、運動家の皆さんは韓国への憎悪、扇動言論をする方々と大韓民国の滅亡を願うという点で、一致していそうです。


2025年3月26日水曜日

続・朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(昭和55年ありえす書房刊行)より思うー朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会は歴史を修正している

 この本の裏付けによれば朴尚得さんは朝鮮大学校民族教育研究所所長という、在日本朝鮮人総連合会の要職をお勤めだった方です。

昭和55年当時の朝鮮学校ではこの本に記されている歴史観、社会観に依拠し、金日成民族教育が実施されていたものと考えられます。

これは、朝鮮労働党が日本や韓国に普及しようと努力している歴史観、社会観と概ね一致すします。朝鮮労働党は、都合の良いように歴史を修正します。

いくつか例をあげましょう。

(その1)この本のp. 34によれば、初代朝鮮総督寺内正毅は「朝鮮人は日本の法に服するかさもなくば死ね」と言ったと伝えられているが、朝鮮を占領した日本帝国主義は朝鮮全土を憲兵と警察、軍隊と監獄でおおい、暴虐非道な虐殺と搾取と略奪をしました。

(その2)この本のp. 54によれば、南朝鮮を占領したアメリカ帝国主義は、植民地隷属化政策を強行して軍政を実施し、日本帝国主義の植民地統治機構を温存し、民族反逆者どもをそのまま登用しました。アメリカ占領軍は英語を公用語にし、朝鮮人の自主的な活動をいっさい禁止しました。

(その3)この本のp. 63によれば、1945年9月、南朝鮮を占領したアメリカ帝国主義者の侵略的な策動の露骨化によって、祖国への帰国をしばらく断念せざるを得なくされた在日同胞は、長期にわたる日本在留を想定して、三つの教育方針をうちだしました。

(その4)この本のp. 89によれば、1950年6月25日、アメリカ帝国主義者の挑発により朝鮮戦争が勃発しました。米国は共和国北半部に対する侵略戦争を強行する一方、日本の軍国主義を復活させ、在日同胞を迫害しながら日本の民主勢力を弾圧しました。

暴虐非道の日本帝国主義に、生きる途を探してわたった南朝鮮農民とは矛盾

(その1)は荒唐無稽です。寺内正毅が、いつそんな事を云ったというのでしょうか。寺内正毅がそんな変な事を誰かに呟いても、それだけです。朝鮮総督府はそんな行政指令を出していません。

朝鮮全土を憲兵と警察、軍隊と監獄で覆う事はできません。日本統治期の朝鮮半島に、朝鮮半島に住んでいた日本人は数十万人程度です。その程度の人数では、朝鮮全土を憲兵と警察、軍隊で覆う事はできません。

日本統治期の朝鮮半島に、今の北朝鮮のような政治犯収容所はありません。この本のp. 38によれば、南朝鮮のおちぶれた農民たちは、日本帝国主義と地主に土地をうばわれた怨念をいだいて、生きる途をさがして日本の労働市場にと玄界灘をわたったそうです。

暴虐非道な虐殺を行っているはずの日本に、生きる途をさがして渡るとは随分変な話です。

朝鮮総督府の統治は暴虐非道ではなかったから、日本に生きる途を探してわたった方が沢山いたと考えられます。暴虐非道なら、本土に来たらもっととんでもない目に合うと予想できたはずです。

朴尚得さんは金日成がソ連軍に連れてこられた事を内緒にしている

朴尚得さんは、ソ連が朝鮮半島の北部を占領し、ハバロフスク近郊にいた金日成を連れてきて首相にしたことを内緒にしています。この本には、この記述はありません。

朝鮮人連盟の時期の朝鮮学校では、ソ連が朝鮮半島北部を解放した、と正直に教えていたのではないかと考えられます。

今の朝鮮学校では、金日成将軍が日本帝国主義を破り、朝鮮半島北部を解放したことになっていそうです。

(その2)は、韓国左翼も保持している歴史観です。韓国政府は親日派を一掃できなかったから、金日成と朝鮮労働党のような正当性を欠いているという大韓民国滅亡論です。

文在寅大統領は親日派一掃とやらを積弊清算、という語で表現していました。

民族反逆者、とは李承晩大統領ら当時の韓国政府の要人を指すと考えられます。朝鮮学校では、大韓民国には正当性がないと教えられてきたと考えられます。

米軍が韓国で英語を公用語にした、と朴尚得さんは記していますが、これは疑わしいですね。この時期の韓国で英語を使える人は稀ですから、公用語などにできるはずもありません。

昭和20年頃でしたら、朝鮮半島の若者の殆どは、日本語を使いこなせたと考えられます。国民学校に通っていたでしょうから。

(その3)は随分奇妙な話です。一体、米国の統治政策のどれにより、在日朝鮮人が韓国に帰りにくくなったというのでしょうか。

昭和26年9月8日のサンフランシスコ講和条約締結まで、日本は連合国、実際には米国の統治下にありました。この点では、韓国と大差ありません。

何らかの点で、朝鮮半島に戻るより、日本に長く居住した方が有利だと判断したから、何十万にもの朝鮮半島出身者が日本に引き続き居住したと考えられます。

(その4)も奇妙な話です。朝鮮戦争は、朝鮮人民軍の南侵により始まりました。韓国政府と米軍は油断していたのです。米軍の参戦は、大韓民国を守るために実行されました。

金日成、朝鮮労働党の見地では、米軍が参戦しなければ、朝鮮半島を統一できたはずでした。しかし、米軍が参戦しないはずがありません。

金日成と朝鮮労働党がなぜこれを予測できなかったのかは不明です。また米国政府が、人民解放軍の参戦を予測できなかった理由も不明です。

これは後になって、わかることなのかもしれませんが。

この本には、米軍と韓国軍により追い詰められた金日成と朝鮮労働党を救うため、彭徳懐率いる人民解放軍が参戦したからこそ、戦況が変わった事が記されていません。

朝鮮学校の子供たちは、朝鮮戦争における人民解放軍の参戦を授業で習っていない可能性が高い。それなら、歴史の修正です。

今の朝鮮学校では勿論、朝鮮人民軍によるウクライナ侵略など教えられていないでしょう。

自国がたった今、侵略戦争を行っている事実を北朝鮮の住民は教えられていません。在日本朝鮮人総連合会の皆さんもこれを内緒にしています。

内緒にしても、これを知らない在日韓国・朝鮮人は稀有の存在でしょう。朝鮮学校の教員の皆さんは朝鮮人民軍によるウクライナ侵略を大喜びで隠ぺいしているのでしょうか。

朝鮮学校の教員の皆さんは、ウクライナへの侵略戦争で亡くなった人民軍兵士をどう考えているのでしょうか。

朝鮮学校の教員の皆さんの率直な御意見を伺いたいですね。

在日本朝鮮人総連合会は朝鮮学校の上位にあるー朴尚得さんの説明

この本のp. 106によれば、朝鮮人学校には、学生、生徒たちの組織体として在日本朝鮮青年同盟や少年団があり、教職員のそれには在日本朝鮮人教職員同盟があり、父母には在日本朝鮮人教育会があります。

このような在日朝鮮人の各界各層の組織体を網羅する、より上位のものとして在日本朝鮮人総連合会があります。

在日本朝鮮人総連合会は、日本にいる朝鮮人の意思を代表し、その権利と利益を守る団体として在日朝鮮公民の子弟に対する民族教育を実施するなど諸般の事業を行っています。

その際、朝鮮民主主義人民共和国の対外政策にもとづくことを一番だいじな原則にしています。チュチェ思想の団体ですから。

在日本朝鮮人総連合会の常任委員会が、下部組織の人事配置を決定している

朝鮮人学校における集団の自覚の教育と民族の自覚の教育は、相互に分かちがたい有機的な統一をなしています。

朴尚得さんが明記しているように、朝鮮学校は在日本朝鮮人総連合会の下部組織として、朝鮮民主主義人民共和国、すなわち朝鮮労働党の対外政策に基づいた教育を実施しています。

要は、金日成民族教育です。

私見では、在日本朝鮮人総連合会の常任委員会が、朝鮮学校も含む下部組織の人事配置を決定しています。

朝鮮労働党の在日本朝鮮人総連合会担当幹部が、在日本朝鮮人総連合会最高幹部の人事配置を決定しています。

朴尚得さんが記述している、学生、生徒たちの組織体である在日本朝鮮青年同盟や少年団で、徹底的なチュチェ思想教育が実施されています。

この中で、思想的に優れていると判断された生徒は、朝鮮労働党の在日本非公然組織、学習班に加入するよう指導されます。

在日本朝鮮人総連合会の優秀な活動家の方々は皆、朝鮮労働党の在日本非公然組織、学習組に加入しています。朴尚得さんは、これはよく御存知と思います。

この本のp. 92によれば、在日本朝鮮人総連合会はチュチェ思想をその唯一の指導理念としています。

この本のp. 94によれば、日本に住む全ての青少年を、共和国の忠実な息子と娘に教育する事は、共和国公民としての在日同胞の神聖な義務の一つです。

これこそチュチェ思想教育です。

日本共産党、左翼人士の皆さんは朝鮮学校に補助金を支出すべきだ、と主張しています。

日本共産党、左翼人士の皆さんはチュチェ思想を大局的には社会進歩、歴史の法則的発展に貢献する思想と把握しているのでしょうね。

朝日本共産党、左翼人士の皆さんは鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会による歴史の修正が大局的には社会進歩、歴史の法則的発展に貢献すると信じているのです。異様です。






2025年3月10日月曜日

朴尚得「在日朝鮮人の民族教育」(昭和55年ありえす書房刊行)より思うー中国共産党が在日朝鮮人運動の路線転換指令の発信源ー

 この本の末尾にある編著者紹介欄によれば、朴尚得さんは1927年に朝鮮に生まれ、1945年に東京高等師範学校に入学しました。

]1952年に東京大学文学部心理学科卒業、現在は朝鮮大学校民族教育研究所の所長と出ています。朝鮮青年社から「朝鮮教育の発展」という本も、出されています。

推測するに、朴尚得さんは在日本朝鮮人総連合会の結成(昭和30年5月)の前から、教育分野で在日朝鮮人運動に参加してきた方なのでしょう。

在日朝鮮人の民族教育について研究論文を書いている方なら、朴尚得さんの論文や著書を御存知と思います。

この本について、私は数々の疑問を持っています。そのうちの一部を以下記します。

朴尚得さんはなぜ、昔の在日朝鮮人運動が日本共産党の指導下にあったことを記さなかったのか

(その1)第2章 在日朝鮮人教育のあゆみ より

p. 92-93に以下の記述があります。

1955年5月25日、在日60万同胞の意思と利益を代表する新しい組織ー在日本朝鮮人総連合会が結成された。

これは、金日成主席のチュチェ思想と海外同胞運動に関する独創的な方針にのっとったものであり、朝鮮民主主義人民共和国の海外公民団体が、この日本にはじめて生まれたことを意味していた。

朝鮮総連は、チュチェ思想をその運動の唯一の指導理念とし、在日60万同胞を共和国のまわりに固く団結させ、民主主義的民族権利を守り、祖国の自主的平和統一をなしとげ、世界の平和愛好人民との国際連帯を強めることを、その中心的な課題としてうちだした。

昭和30年5月には、金日成はまだチュチェ思想を提起していないと考えます。

この時期の在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、チュチェ思想をその運動の唯一の指導理念としているとは考えられません。

在日本朝鮮人総連合会が結成される前に、在日朝鮮人の運動を主に指導していたのは日本共産党の中央指導部、民族対策部の方々です。これを金尚得さんが知らないはずがない。

この時期の日本共産党中央では、金天海、朴恩哲が在日朝鮮人運動の指導を担当していました。

なぜ朴尚得さんが日本共産党と在日朝鮮人運動の関係を記さなかったのかは不明です。p.92に「新しい綱領」という表現がありますが、これは金日成の社会主義教育テーゼの事でしょう。

しかし、社会主義教育テーゼが出されたのは昭和52年です。変な話です。

在日朝鮮人運動の路線転換指令の発信源は中国共産党

朴慶植編「朝鮮問題資料叢書 第十五巻 日本共産党と朝鮮問題」(アジア問題研究所1991年刊行)の「6 路線転換に関する党の指示」の(1)に、「在日朝鮮人運動について」(1955年1月中央指示」が掲載されています。以下です。

祖国の統一と独立を目指す力の発展は、在日朝鮮人の民族的統一に大きな拍車をかけ、統一の気運は高まっている。この際、「民戦」の役割は重要である。

あくまでセクトを捨て、在日朝鮮人の全体が包合させる民族戦線組織結成の方向、例えば在日、華僑総会の如くに尽力すべきである。

基調は、生活圏と共和国公民の意義と権利にある。このことに対する党の態度についていえば、訪日十字会の廖副団長の「他国の内政不干渉」の立場を正しく理解すべきである。

日本と朝鮮の間にのみ他国と異なる歴史的、地理的関係があると言ったことは、この問題の解決には何ら影響しない。

在日朝鮮人に日本革命の片棒をかつがせようと意識的にひき廻すのは、明らかに誤りである。

昭和30年1月に、日本共産党中央はこの指示を出しました。この前の年に、在日中国人の日本共産党員が日本共産党から離脱しています。

訪日十字会の廖副団長の「他国の内政不干渉」の立場を正しく理解すべきである、という記述に注目しましょう。廖副団長とは、廖承志という方です。

廖承志という名前は、文革期に中国共産党が日本共産党に行った干渉との関係で日本共産党の文献にも出てきていたと記憶しています。中国共産党の対外連絡部所属かも知れません。

萩原遼さんの「北朝鮮に消えた友と私の物語」(文芸春秋社刊行。文庫版pp. 366-367)によれば、廖承志が華僑に出した指示は、在日朝鮮人にも向けられていました。

昭和29年10月当時、金日成は朝鮮戦争で滅亡する寸前の危機を人民解放軍により救われたのですから、朝鮮労働党は中国共産党に隷属していました。

日本共産党も主流派が北京に亡命し、北京機関を形成していました。この時期、金日成と朝鮮労働党、日本共産党共に、中国共産党に隷属していたのです。

チュチェ思想は、文化大革命期の中国共産党に対する金日成の反発から、金日成が朝鮮労働党の宣伝扇動部や、理論を担当する部署に指令して形成されたと考えられます。

1960年代後半に、チュチェ思想、党の唯一思想体系という表現が出てくると考えられます。

廖承志の指令を受け取った日本共産党臨時指導部は民族対策部に在日朝鮮人運動の路線転換指令を出した

(2)中央民対会議の結語、には次が記されています。

・(1)八・一五以後祖国が解放され、政策が明らかになった。

・(2)われわれの任務は、あくまで祖国の統一独立である。

・(3)またそれは、民主主義人民共和国による全朝鮮の統一である。

・(7)新綱領は、日本の革命のためのものであり、われわれは祖国を保持するためでその目的が違ってくるから、党籍を離脱する。

・(8)現在の日本における状態から、労働党がわれわれを指導する事は無理である。しかし、これらの援助なくしては発展はありえない。

新綱領、とは日本共産党の51年綱領です。朝鮮労働党との関係は、指導を仰ぐのではなく、援助を要請するという程度になっています。

この点で、在日朝鮮人運動の中で争いが起きたと考えられます。

朴尚得さんの本(p. 91)には、事大主義、民族虚無主義に陥った一部の人々の行為により、民族教育において民族的な主体が失われ、重大な危機が醸し出されたこともあったと記されています。

朴尚得さんは、在日朝鮮人運動の主導権争いに敗れ、北朝鮮に渡った朴恩哲さんら日本共産党民族対策部の指導者達を、事大主義、民族虚無主義に陥った一部の人々と記していると考えます。

朝鮮労働党の在日非公開組織が結成されていった

朴慶植編「朝鮮問題資料叢書 第十五巻 日本共産党と朝鮮問題」(アジア問題研究所1991年刊行)のpp. 391-398に(4)在日朝鮮人運動の転換について、が掲載されています。これは日本共産党の民族対策部全国会議で確認、決定された方針草案の要旨です。

p. 398の五、(1)を抜粋します。

このたび、在日朝鮮人運動の転換に基づいて、新たに結成された「朝鮮総連」は祖国統一民主主義戦線の一翼として、在日六十万朝鮮人の民族的な総結集体であり、朝鮮民主主義人民共和国の日本における、居留民の組織である。

(2)は以下です。

在日朝鮮人運動の転換に従って、従来の在日朝鮮人運動の中における、前衛勢力の組織形態と任務も、また、変わらなければならない。従来、日本共産党に属していた朝鮮人党員は、日本共産党から、その籍を離脱し、在日朝鮮人運動の性格と内容に応じて、独自的な前衛勢力として組織されなければならない。

在日本朝鮮人総連合会が、統一戦線組織の一翼と位置付けられていることに注目しましょう。

指令の(2)に明記されているように、日本共産党に所属していた朝鮮人党員がこの後、独自的な前衛組織として、朝鮮労働党の在日非公開組織を形成したと考えます。

在日非公開組織の名称が、初めから「学習組」だったかどうかはわかりません。

朴尚得さんは、なぜ在日朝鮮人運動と日本共産党、朝鮮労働党と中国共産党の関係を記さなかったのでしょうか。

朴尚得さんが、朴慶植さんの著作を知らないなどありえません。

推測ですが、北朝鮮に渡った日本共産党の在日朝鮮人運動指導者たちが、1960年代後半頃に行方不明になったことから、この人たちについて言及すると厄介だと判断したのではないでしょうか。

在日朝鮮人運動、朝鮮学校の歴史について学術論文を出している方々は沢山いますが、私が見た限り、在日朝鮮人運動と日本共産党、朝鮮労働党と中国共産党の関係については皆、沈黙しています。

故萩原遼さんはこの辺りも良く御存知だったと考えます。皆、何で黙っているんだという萩原さんの叫びが聞こえてくるようです。

在日朝鮮人運動の研究者は、少なくない元在日朝鮮人が、政治犯収容所送りや、山奥送りになっていることを、素直な眼で見つめるべきです。歴史の修正をやめましょう。




2025年2月10日月曜日

志位さんは中朝露による日本攻撃を歴史の法則的発展と見ているー日本国家の国防力を皆無にしたい方々の本当の願いとはー

 簡単には実現できないが、できるものなら何とかこれを実現したいと思って日々、努力している方は沢山いるでしょう。

少年期に、プロ野球選手になりたいと願った方は少なくないでしょう。

そのために様々なトレーニングをやり続けていった人は、プロ野球選手にはなれなくても健康な身体を得たでしょう。

志位さんら日本共産党最高幹部の皆さんは、日本国家の滅亡、日本革命の実現を願っています。

私見では志位さんは、中朝露による日本攻撃、支配により日本国家が無くなる事を歴史の法則的発展、日本革命への弁証法的発展の道と見ています。

中朝露による日本攻撃で現政府機能停止、中朝露の指令に従う新政権発足で民主主義革命実現

中朝露による日本攻撃で政府が機能を停止したら、中朝露の指令に従う人々により新政権が発足して大企業の国有化等が実現し、民主主義革命に近い状態が実現すると志位さんは見ている。

日本共産党が与党になれたら、日米安保を活用しますが、今は野党だから、中朝露による日本攻撃で現政府を破壊する事は歴史の大きな流れでは社会進歩と見ているのです。

日本国家の滅亡のためには、日米安保廃棄・自衛隊大幅縮小で日本国家の国防力を皆無にし、中朝露による日本攻撃を実現できれば大いなる前進です。

これを露骨に言うと、とんでもない政党だと言われてしまいますから、日米同盟絶対視はおかしいと大宣伝し、徐々に日本国家の国防力を皆無にしていこうという調子です。

志位さんは、中朝露の日本攻撃を予想して日本国家の国防力を皆無にしようと訴えている

日本共産党の一般党員は、こんなことは考えてもいないでしょう。しかし志位さんなら、中朝露の核軍事力を熟知しています。

日米安保廃棄、自衛隊大幅縮小が実現できれば、中朝露は日本を攻撃、支配します。

志位さんなら、これを予想していると考えます。これは歴史の弁証法だ、という調子でしょう。

一般の日本共産党員が下記のような主張をする時は、憲法九条が一種の呪符のような働きをし、中朝露による日本攻撃を抑止すると信じています。

「軍事には軍事だと、戦争が起きる。憲法九条を生かした平和外交が大事だ」

「ASEANのようにあらゆる紛争を話し合いで解決しよう。そのために軍事反対」

一般の日本共産党員は、憲法九条教徒とも言うべき方々です。田村智子委員長の下記の訴えの末尾に、上記のような呼びかけが出ています。

卑屈で危険な「日米同盟絶対」の姿を露呈/日本共産党幹部会委員長 田村智子

本ブログの以下も御参考まで。

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 志位さんは、中国共産党が台湾を攻撃、支配する事を歴史の法則的発展と見るー日米が台湾防衛のために参戦する事を覇権主義的干渉と見る

 黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 志位さんは中朝露に安心を与えたい(志位さんの講演より)ー志位さんは中朝露を平和勢力と見る