2021年12月31日金曜日

G. ボッファが語る新経済政策(NEP)の時代の飢饉とロシア正教会弾圧ー「ソ連邦史1」(坂井信義・大久保昭夫訳 大月書店昭和54年刊行)より

 この本を、私は四十年ぐらい前に購入しました。

この本のカバーにある紹介によれば、Giuseppe Boffaはイタリア共産党の機関紙「ウニタ」の記者でした。

この本のp191-199に、新経済政策(New Economic Policy)の時代のソ連史が記されています。

不破哲三さんら日本共産党員は、この時期のソ連で社会主義への真剣な探求がなされたと高く評価しています。

新経済政策が始まった1921年、ウラルなどで大飢饉

ボッファによれば、新政策は1921年の春から夏にかけて行われました。

ロシア平原の定期的旱魃により、ヴォルガ河沿岸とウラルの広大な地域、北カフカース、ウクライナ、クリミアの一部が破滅的な飢えにあえぐことになりました。

2300万の人口を擁する22の県が絶望的な飢えに苦しめられました。

難民の群れが飢饉地帯を脱出しようとしました。

内戦の影響もあり、浮浪児がいたるところにあふれました。1922年には浮浪児の数は550万人に及びました。

絶望的な状況は1922年夏まで続きました。小泉信三教授は、どこかでこの大飢饉について情報を得たのでしょう。

この夏の収穫が良好だったので、農村は徐々に平穏になり、政権は一息つけました。

ネップのもう一つの顔は弾圧でした。ソヴェト・ロシアにおける単一政党の存在が承認されたのはこの時期です。

ほかの政治勢力の残存者は、他国への移住や、追放の強制がなされました。国内に居残って宣伝、扇動を続けるものは逮捕されました。

左翼人士はボリシェヴィキによるロシア正教会弾圧をどう評価するのか

1922年には、ボリシェヴィキとロシア正教会の対立が激化しました。

宗教関係施設から金銀財宝を没収し、外国から入手する穀物とそれを交換するというボリシェヴィキの決定が原因でした。

これに抵抗する聖職者は弾圧され、信徒の農民との衝突も引き起こしたとボッファは述べています。

ボリシェヴィキによるロシア正教会弾圧については、森安達也「神々の力と非力」(平凡社平成6年刊行)が詳しいので、簡単に紹介します。

この本によれば、1921年にヴォルガ川流域で起きた旱魃により、深刻な飢饉が生じました。穀物の徴用をめぐって農民との間で流血の惨事が繰り返されました。

政府は布告を出して、教会の聖器物の徴用を始めました。ロシア正教会のチーホン総主教はこれを激しく非難。

徴発隊と市民の間で1400件以上の流血の惨事が起きました。聖器物徴用を妨害した聖職者や信者は逮捕され、裁判にかけられました。

ペトログラード府主教のベニヤミンは1922年秋に銃殺されました。総主教チーホンは逮捕され、1922年5月にモスクワ郊外の修道院に禁固されました(後に釈放)。

まさかと思いますが不破哲三さんら日本共産党員は、ロシア正教会弾圧も社会主義への真剣な探求と評価しているのでしょうか。

教会の聖器物を徴用したら、聖職者と信徒が激しく反発するのは当たり前です。

日本共産党員の皆さんは、革命運動のためには宗教弾圧も必要とお考えなのでしょうか。

この件について文献を調べていくと厄介だから黙っておこう、という判断をしている左翼人士が多そうです。

新経済政策の時期に共産党と国家が一体化

ボッファによれば1922年2月、チェカーはゲ・ペ・ウすなわち内務人民委員会の一部局に改組されました。

共産党と国家の一体化が進展し、共産党政治局が国の真の指導機関になりました。

1922年3月22日から4月2日に行われた共産党第十一回大会の後、スターリンが書記長になりました。

新経済政策の時代に起きたことはこれだけではありませんが、飢饉の後に限られた範囲ですが市場経済化がなされ、経済が安定化したことは間違いない。

市場経済化と宗教弾圧、共産党と国家の一体化が社会主義への真剣な探求、とは変な話ですが、日本共産党員と左翼人士には素晴らしい時代に思えるようです。

不破哲三さんはレーニンとボリシェヴィキによる赤色テロルをどう擁護したかー「レーニンと『資本論』干渉戦争の時代6」(新日本出版社)より

 レーニンとボリシェヴィキによる赤色テロルすなわち皇帝一家処刑、ロシア正教会高位聖職者の処刑、貴族と地主、富農の財産没収と処刑をどう見るか。

ソビエト権力を守るためには、反革命分子、および反革命分子に協力する可能性が高い人々の処刑は正当化されるのか。

この問いに対し不破さんは、レーニンとボリシェヴィキによる赤色テロルを帝国主義諸国による干渉戦争という非常事態の下で、それに対抗する軍事的手段として余儀なく採用されたものだと擁護しています(同書p191)。

不破さんによれば帝国主義が大規模な干渉戦争に乗り出したので、その戦争や反革命に対抗するため、ソビエト政権が軍事的な対抗手段をとることを余儀なくされた時期がありました。

この時期の、レーニンの文献の断片的な引用はレーニンが大量弾圧を統治の手段にしたことの証拠にはならないと不破さんは力説しています(同書p193)。

私見では、この類のテロ正当化はレーニン以来、ソ連共産党の伝統的な宣伝です。

これで赤色テロルが正当化されるなら、現代の中国共産党や朝鮮労働党による政治犯弾圧も反革命に対抗するためにこれを余儀なくされているのだ、と正当化できます。

中国共産党による香港の民主派弾圧も、反革命や帝国主義に対抗するために余儀なくされた手段という水準の話です。

中国共産党によれば、香港では一国二制度が完全に維持され、香港市民は十分に民主主義を享受しています。中国を批判する人は祖国分離主義者、帝国主義の手先です。

不破さんもソビエト政権による非戦闘員処断は正当化できないと認めた

さすがの不破さんにも、レーニン以来のソ連共産党宣伝と同じではまずいな、という気持ちがあったのかもしれません。

同書p192でソビエト政権の行動の中に非戦闘員に対する処断など、非常事態だからと言って正当化することのできない問題点が含まれていたと不破さんは述べています。

非戦闘員に対する処断、としてロシア皇帝一家やロシア正教会高位聖職者、富農の処刑を不破さんが想定しているかどうかは不明です。

不破さんは厄介なことをあまり説明したくなかったのでしょう。

ロシア皇帝一家やロシア正教会高位聖職者は戦闘員ではありえない。武装していませんから。

貴族や地主、富農、も通常は戦闘員ではない。

ボリシェヴィキにより財産を没収され、家屋敷から追い出されてしまったので反革命軍とやらに入っていった方はいたでしょうけれど。

レーニンが出した弾圧指令はレーニンのプロレタリア民主主義論と表裏一体

不破さんが想定する断片的な引用、とは一体何でしょうね。1918年頃のレーニンの著作を読めば、過酷な弾圧指令が次から次へと出てきます。

過酷な弾圧指令は、レーニンが「プロレタリア革命と背教者カウツキー」などで提起したプロレタリア民主主義論と表裏一体です。

レーニンは出版の自由、集会の自由などをブルジョア民主主義だから偽善と断じました。不破さんもこの本でレーニンのプロレタリア民主主義論を極論と批判しています(p317)。

出版の自由や集会の自由を偽善とみなしたレーニンが、反革命分子の自由を抑圧するのは必然です。

不破さんが歴史を語るとき、参考文献があまり出てきません。E. H. カーの「ボリシェヴィキ革命」程度です。

ロシア革命当時の史料を不破さんが読んでいないのは仕方ないですが、今は数えきれないほど研究成果が出ているのですから、もう少し読んでロシア革命史を語るべきです。

私には、不破さんのロシア革命論の基本はソ連共産党の昔の教科書と同じに思えます。岡本博之さんの「科学的社会主義」も同様です。




2021年12月28日火曜日

日本共産党は自衛隊解散、日米安保廃棄、皇室廃止を宿願とするーレーニン主義の継承者ー

 日本共産党は自衛隊解散、日米安保廃棄、皇室廃止を宿願とする政党です。

近年の日本共産党は自衛隊解散、日米安保廃棄を憲法九条完全実施、という語で表現しています。

皇室を天皇の制度、と表現し、国民の合意が得られたら廃止すべきと主張しています。

これらは日本共産党がレーニンの思想を継承していることを示しています。

レーニンは、反革命分子、富農を徹底弾圧する指令を出しました。これは、レーニン全集や近年のソ連研究から明らかです。

ボリシェヴィキはロシア皇帝一家を殺害した

ボリシェヴィキはロシア皇帝一家を殺害しました(1918年7月17日、大正七年)。

これは、レーニンの指令ないしは承認なしにはありえません。

この件、左翼人士は一体どう評価しているのでしょうね。聴濤さん、松竹伸幸さんのレーニンとロシア革命に関する著作には、私が見た限り言及がありません。

不破哲三さんの著作にもありません。左翼人士は、ロシア革命の凄惨な現実を内緒にしたいのでしょうね。

日本共産党はレーニンが指導者だった時期のソ連を高く評価している

日本共産党はレーニンが指導者だった時代のソ連では社会主義への真剣な探求がなされたと高く評価しています。

この時期はロシア皇帝一家殺害、ロシア正教会高位聖職者処刑、貴族と地主、富農の追放、財産没収などの野蛮行為が断行された時期でした。

レーニンの時代に餓死者が二百万人程度出たという説もあります。

一体何人の貴族と地主、富農が追放、財産没収となったのかは私にはわかりません。

財産とは、居住している家屋敷も含まれます。別の住居を配分された方がどれだけいたのかもわかりません。

ボリシェヴィキの幹部の中には、貴族出身者もいました。そんな方なら、ロシア革命後も良い住居に住めたかと思いますが。

追放、財産没収となった方々の中にはレーニンとボリシェヴィキに強い反感を持ち、反乱軍に加わった方が少なくなかっただろうと考えられます。

ロシア革命後の飢餓と内戦、テロの時代に社会主義への探求がなされたというのなら、1990年代の北朝鮮でも金正日により社会主義への探求がなされたと評価すべきです。

日本共産党はレーニンとボリシェヴィキを模範とする

日本共産党の皇室廃止論は、レーニンとボリシェヴィキを革命運動の手本とする見地に由来しています。

勿論、今の日本共産党員が他人を処刑せよ、と考えているわけではないでしょうが、昔の日本共産党員は必ずしもそうではなかった。

内乱を訴えて武装していた昔の日本共産党員なら、とんでもないことをやりかねなかった。

オットー・クーシネンが作成し、当時の日本共産党員やマルクス主義者が心酔した32年テーゼは帝国主義戦争の内乱への転化を主張しています。

皇室制度の廃止など、当時の日本共産党員には当然のことです。

帝国主義戦争の内乱への転化、という見解は第一次大戦の頃のレーニンの主張そのもので、革命的祖国敗北主義に由来しています。

レーニンによれば、共産主義者は帝国主義戦争で自国が敗北することを願います。

自国政府が弱体化し、革命の可能性が高まるからです。

レーニンは貴族や地主の財産を没収によって、社会主義が建設できると考えたのでしょう。

1918年頃にレーニンが出した指令を、近年のソ連史研究の成果と併せて読めば、ロシア革命の凄惨な現実が徐々に把握できます。

日本共産党、左翼人士はレーニンによる蛮行指令を直視すべきだ

レーニンの指導により断行された赤色テロルと、この時代の飢饉については、梶川伸一教授の次の論考が大変参考になります。

「レーニン支配と『赤色テロル』」(「史学」Vol. 82, No4.(2014.1)pp445-487, 三田史学会発行)。

この論文によれば、1918年8月、ベンザ県ベンザ郡クチキ村で農民の蜂起が起こりました。

8月9日に県執行委員会の書記ボーシからクチキ村の農民蜂起を知らされたレーニンはその日のうちに県執行委員会宛てで次を命じました。

「クラーク、坊主、白軍兵士に容赦のない大量テロルを行使し、疑わしい者をラーゲリに収監する」

クラークとは、富農のことです。どんな農民が富農とされるのかは不明です。1918年に、ラーゲリ、収容所が存在したようです。

レーニンはクラーク、富農を縛り首にせよという指令を出した

蜂起が拡大したとの県執行委員会からの知らせを受け、レーニンは8月10日に次の指示を出しました。

「最大限のエネルギー、迅速さ、無慈悲さによってクラーク反乱を鎮圧し、決起したクラークの全ての財産と全ての穀物を没収する」

8月11日付で、現地のソヴェト執行委員会議長にレーニンは次の書簡を出しました。

「同志諸君!クラークの五郷の蜂起を容赦なく鎮圧しなければならない。革命全体の利害がこれを求めている。というのは、今やいたるところでクラークとの『最終決戦』が行われているので、手本を示さねばならない。

一 100人以上の名うてのクラーク、富農、吸血鬼を縛り首にせよ。必ず民衆が見えるように縛り首にせよ。

二 彼らの名前を公表せよ。

三 彼らから全ての穀物を没収せよ。

四 昨日の電報に従って人質を指名せよ。周囲数百キロの民衆がそれを見て、身震いし、悟り、悲鳴をあげるようにせよ。」

左翼人士は、梶川伸一教授のソ連研究論文を読みたくないでしょうね。富農を抹殺せよという類の指令は、大月書店から出ているレーニン全集にいくつも掲載されています。

不破哲三さんはレーニンによる蛮行指令についてどうお考えなのでしょうね。レーニンは、スターリンの良き師匠でした。

大量殺人を断行したスターリンはレーニンから沢山学んだことでしょう。







2021年12月26日日曜日

日本共産党は日米が台湾有事を起こすとみなすー中国共産党は覇権主義だが、大局的には平和勢力だからー

日本共産党はレーニン主義の党

本ブログでは何度も論じてきましたが、日本共産党はレーニンの帝国主義論の視点から国際情勢を把握します。

レーニンによれば、帝国主義、金融資本が戦争を起こします。

国際共産党書記長だったディミトロフのファシズムの定義も、レーニンの帝国主義論の見地を継承しています。

左翼人士はこの定義も好きです。これは実際にはクーシネンが作ったものだった可能性が高いですが。

日本共産党もこの見地を継承し、世界の帝国主義たる米国が世界各地で戦争を起こすとみます。

米国に従属している日本政府は、アジアで最大の戦争国家です。

日米安保の強化や憲法改正を批判する中国共産党、朝鮮労働党は覇権主義ですが、大局的には平和勢力です。

不破さんはこの視点から、中国共産党、在日本朝鮮人総連合会と交流を再開し、戦争国家の日本を包囲する反ファシズム国際統一戦線結成を目指したと考えられます。

レーニンの帝国主義論の見地なら、米帝国主義と戦争国家の日本が台湾有事を起こすという話になります。

志位さんは台湾有事が日本の有事であることを断固否定

志位さんによれば、自公政権が米国の対中国軍事戦略に追随して空前の大軍拡を進め、敵基地攻撃能力を保有して安保法制を発動しようとしていることが最大の問題です。

台湾有事は日本の有事、などと叫び、自衛隊を派兵して軍事介入を図ろうという動きは地域の平和を脅かす最も危険な道だそうです。

12月20日の赤旗記事に志位さんのこの話が出ています。「Cゼミ」で志位委員長が講義 千葉・船橋/21世紀の世界――構造変化が生きた力を発揮 (jcp.or.jp) 

保身術に長けている左翼人士

日本共産党と左翼人士には、中国共産党が台湾や尖閣、南西諸島に侵攻する事を想像すらできません。

想像したら、厄介な話になってしまいますから。左翼人士は厄介な件についての思考と議論をしない。

左翼人士としての立場を危うくすることには首を突っ込まないという保身術に長けている方は多い。

中国共産党の理屈では、尖閣は中国領ですから、尖閣に人民解放軍の基地を作ることは主権の行使です。

日本がこれを妨害するなら、那覇空港や南西諸島の自衛隊基地を攻撃することも中国の主権行使です。

中国共産党は国際法に基づいて、香港に中国の法を適用し、一国二制度を香港住民に保証しているという理屈ですから、何でもやると考えるべきです。

日本共産党、左翼人士は中国共産党による台湾先制攻撃について思考と議論をできない

日本共産党、左翼人士は中国共産党が台湾や尖閣、那覇空港に先制攻撃を断行しうることを認められません。

これを認めたら、沖縄を守るために自衛隊を増強せねばならないという世論が高まってしまいます。自公政権による大軍拡を支持せねばならなくなる。

そこで、日本が軍拡をやるから台湾有事になるというような宣伝をすることになる。日本共産党は今後もこの類の宣伝を続けていくでしょう。

憲法九条教徒に未来はありません。



2021年12月24日金曜日

ディミトロフの反ファシズム統一戦線論をアイノ・クーシネン著「革命の堕天使たち」(平成四年、平凡社刊行)より思う

 ゲオルギー・ディミトロフ(1882-1949。ブルガリア人)とは、コミンテルン(国際共産党)の書記長を務めた人物です。

国際共産党書記長だったのですから、世界中の共産党を指導していた人物と思われがちですが、実態は大きく異なっていました。

当たり前のことですがディミトロフを指導したのは、スターリンとソ連共産党です。

ヒトラーとナチスに勝るとも劣らぬ全体主義者、スターリンにディミトロフら国際共産党は隷属していました。

これは、当時国際共産党で活動していた人の手記などからすぐにわかります。

アイノ・クーシネン著「革命の堕天使たち」(平成四年平凡社刊行)によれば、コミンテルンの資金は全てソ連政府から来ていました(同書p93)。

ソ連共産党が国際共産党(コミンテルン)に資金と活動拠点、住居を提供していたのです。ソ連共産党に逆らえば強制収容所行です。

著者のアイノ・クーシネンの夫、オットー・クーシネンは1921年7月の第三回コミンテルン大会で承認されるべき組織方針の草案を作った人物です。

今の日本共産党も高く評価する、32年テーゼを作ったのはオットー・クーシネンです。

オットー・クーシネンはコミンテルンの影の指導者だった

この本によれば、書類上ではコミンテルンのメンバーたる各国共産党が正式代表を送り続けたモスクワでの大会が、コミンテルンの最高権威ということになっていました。

しかしコミンテルンが存続した24年間(1919-1943)に大会は七回しか開かれていません。

その間の指導は執行委員会に委ねられていましたが、これの本会議も十七回しか開かれていません。

執行委員会は参加しているすべての党の代表の中から大会で選ばれた約三十人の委員から構成されていました。

野坂参三さんは日本の代表でした。

コミンテルンの日常活動は執行委員会の政治書記局によって指導されていました。

その政治書記局の中に、内務委員会として知られる三名から成る組織がありました。

オットー・クーシネンはその一人で、組織の指導方針と、資本主義国の政治的・経済的発展の観察を担当していました。

組織の指導方針を担当していたのですから、オットー・クーシネンはコミンテルンの影の指導者と言えます。

ディミトロフの演説や論文の多くは、クーシネン作だった

ディミトロフはコミンテルンの執行委員会議長でしたが、名目上の指導者でした。

ディミトロフの演説や論文の多くは、オットー・クーシネンが書いたものだそうです。

ディミトロフは1935年にコミンテルン書記長になりましたが、重要な決定は皆、ソ連共産党の指導者たちによりなされていました。

ディミトロフのファシズムの定義、「金融資本の最も反動的、最も排外主義的、最も帝国主義的な分子の公然たるテロ独裁」は、左翼人士の間で良く知られています。

ディミトロフの著作The United Front, The Struggle Against Fascism and Warにはファシズムについて次の記述があります。

The open terrorist dictatorship of the most reactionary, most chauvinistic and most imperialist elements of finance capital

この部分が上記のように日本語になっているのでしょうね。

日本共産党員や左翼人士は、ディミトロフの反ファシズム統一戦線を作ろう、との呼びかけに共鳴した各国の共産主義者が社会民主主義者と協力してファシズムと戦ったと信じています。

上記の定義は、クーシネンの作った定義をディミトロフの名前で出しただけです。

銀行や証券会社が戦争を起こすというのかー左翼人士に問う

金融資本が戦争やテロ独裁を起こす根源であるという、レーニンの帝国主義論以来の見地がこの定義に貫かれています。

クーシネンの作文、定義を、今の日本共産党員や左翼人士は偉大な共産主義者ディミトロフによるファシズム定義と信じている。

日本共産党員や左翼人士には、安倍前総理が金融資本の委託を受けた帝国主義的な分子、のように見えているのです。

自民党幹部は皆、金融資本の反動的、排外主義的、帝国主義的分子という調子です。

この定義だと、日本政府は集団的自衛権を行使できる法を銀行や証券会社あるいはトヨタの要求で成立させたことになってしまいます。

銀行や証券会社、あるいはトヨタなどの大企業が金融資本、でしょうから。

ディミトロフが野坂参三さんを赤軍情報部門の工作者に推薦した

なお、不破哲三「北京の五日間」(新日本出版社、p102-103)によれば、ディミトロフはコミンテルン解散後国際情報部長としてソ連共産党の組織に組み込まれ、ソ連のために秘密工作者を選定する仕事をしました。

不破さんによれば野坂参三さんがソ連の赤軍情報部門につながる工作者となったのはディミトロフが人選してスターリンに推薦した結果です。

当時の共産党員がコミンテルン書記長の要請を受け入れるのは当然です。

野坂参三さんが赤軍情報部門の秘密工作者となることは、この時期のコミンテルンの規約とその精神に反していない。

スターリンの指導に従った野坂参三さんは、立派な共産主義者でした。

2021年12月19日日曜日

志位さんは選挙によって日本共産党の委員長になっているのかー志位さんの呟きと萩原遼「朝鮮と私 旅のノート」(文春文庫第五章)より思う

 志位さんが12月17日のtwitterで大略次のように主張しました。

自分は選挙で日本共産党委員長になっている。日本共産党大会の代議員により中央委員会が選出され、最初の中央委員会で委員長が選出されている。

誰でも委員長に立候補できるし、他の人を推薦できる。

この呟きの後段の文章は、最初の中央委員会に選出された中央委員なら委員長に立候補できるという意味でしょうね。

松竹伸幸さんは日本共産党委員長選挙が行われるなら立候補したいとのことですが、中央委員ではないので立候補できません。

それでは、志位さんは選挙で日本共産党中央委員会の委員長になっているのでしょうか。昔は中央委員会議長、幹部会委員長、という職位がありました。

今は中央委員会委員長なのかもしれません。

中央委員会委員長に選挙が存在するなら、選挙人の母体は中央委員会です。

中央委員が日本共産党大会代議員により選出されるなら、代議員はどうやって選出されているのでしょうか。

日本共産党大会の代議員はどのように選ばれるのかー萩原遼さんの説明

志位さんは全国の党組織から代議員が選ばれると呟いています。党組織、とは何でしょうか。

二十年前の著作で萩原遼さんが、次のように説明しています。

日本共産党では、大会議案を支持する代議員しか事実上党大会には出られない。

党大会の代議員は末端組織の党支部を振り出しに、その上の地区党大会、さらにその上の都道府県大会へと積み上げていって、そこから代議員が選ばれる。

一般党員が大会議案に反対だと言って代議員に立候補しても、支部会議の段階ではねられてその上の地区党会議の代議員にすらなれない。

仮に地区党会議の代議員に選出されても、その上の都道府県会議の代議員にはまずなれない。

都道府県会議で大会議案に全面的に反対の立場から討論したいので、党大会の代議員に選んでくださいと言っても選ばれることはない。

党大会の代議員になりたいと思う一般党員は稀

萩原遼さんが説明する日本共産党大会代議員選出方法は、志位さんの呟きにある代議員は党組織から選ばれる、と矛盾していません。

日本共産党の活動に多少熱心に参加している一般党員なら、地区党会議や都道府県党会議の代議員にはなれそうです。

これらなら、自分の居住地域からさほど遠くない場所で開催されるのでしょうから、日々の仕事にさほど支障を出さないで参加できます。

党大会となると、数日間続きますから面倒です。仕事を休まねばなりません。

現実には日本共産党の大会代議員に選ばれて党大会で発言したい、と考える一般党員は稀でしょう。

三十五年ぐらい前、東京大学院生の伊里一智さんが日本共産党大会の代議員になろうとしてビラ配布などをした事件がありました。

伊里一智さんは規約に違反したとの理由で除名されました。これは稀な場合です。

少なくない一般党員が日本共産党の政策、方針に何かの疑問を持っている

各党員は日本共産党の綱領や政策に賛成したから、日本共産党に入ったのでしょうが、日本革命が実現できると本気で思っている方は稀有なのが実情ではないでしょうか。

大会議案に賛成か、と聞かれれば賛成だが、何かの点で志位さんの話、日本共産党の政策、方針に疑問を持っているから、殆ど何もやらない方が多いと考えられます。

そんな一般党員が多数ですから、萩原遼さんが説明するように地区委員会や都道府県委員会職員が党大会代議員を事実上選出していても、日本共産党内では大した問題になっていないと考えられます。

結局、日本共産党大会には大会議案に賛成の方しか出てきません。現指導部、志位さんや小池さんが選んだ中央委員がすんなりと党大会で承認され、新しい中央委員になる。

中央委員は志位さんや小池さんの見解、方針に賛成の方ばかりだから、志位さんや小池さんが選んだ方が次期の幹部として中央委員会で承認される。

志位さんは幹部の中で、最高幹部に選ばれ、その中で委員長を継続することが認められて委員長になっている。

志位さんが選挙で委員長になっているなら、習近平も同様

私見では、志位さんはこんな手法で日本共産党中央委員会委員長になっています。一般党員の直接投票による選挙で委員長になっているのではありません。

現指導部の見解、方針を支持する方が投票権を持つようになっている制度下で、志位さんや小池さんは選ばれているのです。

代議員により選ばれている、というより代議員により承認されていると言うべきでしょうね。

対立候補が出るはずがない制度で委員長になっている方が、選挙で選ばれているとは言えないでしょう。

中国にも全人代(全国人民代表大会)という国会はありますが、中国共産党が容認した場合しか対立候補は出ません。

中国共産党のどこかの部署から住民に、この人に投票してくださいという指令が出るそうです。私は某中国人からそのように伺っています。

志位さんが選挙で委員長になっているというなら、習近平ら中国共産党幹部も同様です。

松竹伸幸さんは一般党員の直接投票で委員長を選ぶべき旨主張していますが、志位さんが現行のやり方を変えるなど考えにくい。

今後の国政選挙で、国会議員が多少増えることは考えられますが、日本共産党は長期的に衰退していくと考えられます。

憲法九条教徒に未来はありません。




小泉信三教授「エルフルト綱領の教訓」、梶川伸一教授の論考にみるロシア革命後の大飢饉(「共産主義批判の常識」昭和24年新潮社刊行、「ソヴェト=ロシアにおける赤色テロル」社会評論社刊行の解説)より思う

 左翼人士が礼賛するロシア革命とは何だったのでしょうか。

ソ連共産党流の史観、宣伝は大略次のようになっています。

ロシア革命後に帝国主義諸国の支援を受けた反革命軍が内乱を起こし、レーニンとボリシェヴィキは対応を余儀なくされました。

資本主義的搾取を廃止し、八時間労働制を確立した労働者の祖国ソ連邦を帝国主義者と反革命分子は破壊しようと戦争を起こしました。

従ってこの時期の社会的混乱は帝国主義諸国と反革命分子の責任です。

レーニンとボリシェヴィキは社会主義ソ連を守るために戦いました。

不破哲三さんのロシア革命論は概ね、こんな調子です。山口正之教授の「社会主義の崩壊と資本主義のゆくえ」(大月書店平成8年刊行)も同様です。

私は四十年ぐらい前、山口正之教授の一連の著作を一生懸命読みました。

山口正之教授はこの本で、1921年3月にソヴェト経済が極度の荒廃状態にあり、全体として19世紀後半の帝政ロシアの水準にまで後退していたと記しています(同書p188)。

ソ連共産党による上記のようなロシア革命宣伝を信じている左翼人士は今でも多いのです。

ボリシェヴィキによる穀物徴発と赤色テロル

近年のロシア革命研究では、ソ連共産党の宣伝は否定されています。

例えば、梶川伸一教授(金沢大)によるメリグリーノフ著「ソヴェト=ロシアにおける赤色テロル(1918~23)」(社会評論社刊行、平成22年)の解説をあげておきましょう。

ロシア革命後にボリシェヴィキにより行われた過酷な穀物徴発に反抗する農民や兵士の反乱が各地で起きています。

1921年3月(大正十年三月)のクロンシュタットの水兵反乱はよく知られています。

梶川伸一教授によれば穀物徴収は赤色テロルともいえる手法で行われました。

ボリシェヴィキにノルマとして課された穀物を出さない農民は富農と規定され、銃殺される場合もありました。

1920年8月下旬に発生したタムボフ県のアントーノフ蜂起は、ソヴェト=ロシア最大の農民蜂起でした。

その弾圧には赤色テロルが用いられました。1921年のソヴェト=ロシア全体が深刻な飢饉におおわれました。

近年のロシア革命研究を私なりに読みますと、レーニンによる社会主義の道とは、地主と貴族、富農の追放、処刑と飢饉による社会崩壊の道だったとしか言いようがありません。

社会崩壊については、長谷川穀「ロシア革命下 ペトログラードの市民生活」(中公新書平成元年刊行)が詳しい。

小泉信三教授は新経済政策の頃の大飢饉を指摘していたー不破哲三さんが内緒にしたい史実

ロシア革命後の大混乱と飢饉は、近年になってわかったことではありません。

小泉信三教授は上記論考で、1921年の大飢饉について餓死者の数は300~700万とも言われていると記しています。

飢えた親が幼児を生きながらヴォルガの河水に投ずるなどの地獄の光景を現出したことは、当時幾多の目撃者によって報告されたそうです。

察するに、新経済政策の時期に欧米の新聞が報道していたのでしょう。ロシア革命後の飢饉については、日本でも多少報道されていました。

小泉信三教授はどこかでこの報道に接していたのでしょう。

今の日本共産党には、レーニンがソ連を主導した時代に大飢饉があったという認識はありません。

日本共産党はスターリン以降、ソ連が変質したという史観を宣伝しています。

ソ連や中国、北朝鮮などの現実を把握するためには、公式報道、公式文献だけでは大きな限界があります。

レーニンの論考もよく読めば、凄まじい弾圧が行われたであろうことは察しがつくのですが。

共産主義者は歴史を隠蔽します。レーニンとボリシェヴィキによる、過酷な農民弾圧の史実を、不破哲三さんは何としても隠蔽したいのでしょうね。



2021年12月18日土曜日

日本共産党幹部は大日本帝国の戦争指導者と似ているかー毎日新聞コラムと小泉信三教授「共産主義批判の常識」(昭和24年新潮社刊行)より

 12月6日の毎日新聞コラム「風知草」で、山田孝男特別編集委員が大日本帝国の戦争指導者は日本共産党と共通点がある旨、指摘しました。

双方に無敵、無謬という過信、意思疎通の欠如、責任回避があるという話です。

これに対し志位さんはtwitterで、度を超した漫罵だと怒りました。

志位さんが御存知かどうかわかりませんが、日本共産党、職業革命家と大日本帝国軍人が似ているという指摘は昔からあります。

日本共産党、左翼人は小泉信三教授による革命家批判を傾聴すべきだ

小泉信三教授(慶応大)が昭和24年刊行の「共産主義批判の常識」でそう主張しています。

小泉信三教授によれば、革命家は往々にして革命家のみが民衆の真の利害を知っていると言います。

そこに革命家の偏見と誤算、私心が混ざってくる。

職業軍人は国民の利害を国民自身よりもよく知っていると信じていたので、革命家と似ている(同書掲載「エルフルト綱領の教訓」より)。

職業軍人にもいろいろな方がいたでしょうが、米国の政策決定に世論が大きな影響を与えることを認識していた方は少なかったのではないでしょうか。

小泉信三教授なら、戦争指導者と何かの場で接したことがあったのかもしれません。

小泉信三教授は共産主義者、革命家の独善ぶりを看破していました。レーニンの著作「何をなすべきか」を読んでいたのかもしれません。

「何をなすべきか」の中心的主張は、革命家が労働者に科学的理論を注入せねば、労働者は自発的には革命運動に参加しないということです。

小泉教授はソ連についてはトロツキー、ジノヴィエフをはじめとする革命の元勲とも称すべき人物で終わりをよく全うしたものがほとんどいないことを指摘しています。

小泉教授はロシア革命後も相当な惨事が起きているのではないかと推測していました。この文章はフルシチョフによるスターリン批判(昭和31年)より前に書かれています。

日本共産党や左翼人士の中に、小泉信三教授のこの本を読む人などいないでしょうね。憲法九条教徒に未来はありません。



2021年12月12日日曜日

野坂参三さんと昔の日本共産党(国際共産党日本支部)はソ連のスパイ、工作員だったのかー

 若い日本共産党員には、野坂参三さんがソ連のスパイだったから除名された、と考えている方が多いようです。

日本共産党品川区の香西かつ介さんが、twitterでそう主張していました。

これはスパイ、工作員という語をどう定義するかという問題です。

外国政府から資金を受け取ったり、活動方向を指導されている人物をスパイ、工作員と定義するなら、野坂参三さんだけでなく当時の日本共産党(国際共産党日本支部)はソ連のスパイ、工作員の集団です。

金日成、金正日と金正恩に絶対性、無条件性の忠誠を誓い、朝鮮労働党の対日担当部署の指導下にある在日本朝鮮人総連合会と関連団体の職員の皆さんもスパイ、工作員です。

勿論、この意味でのスパイ、工作員の方々が全員テロリストであるはずもない。

スターリンとソ連共産党、金正恩と朝鮮労働党に忠誠を誓い、日本のソビエト化やチュチェ思想化を目指して本などを読んでいるだけの方々は、テロリストではありません。

昔の日本共産党はソ連を盲信し、ソ連から資金と拳銃を受け取って内乱を起こそうとしていました。今の日本共産党も高く評価する32年テーゼは、内乱を訴えています。

ソ連のスパイだから除名だ、というなら、昔の日本共産党員は全員除名すべきでしょうね。昔の日本共産党の視点では、ソ連の指導で動くことは最大の栄誉でした。

野坂さんはソ連の秘密警察の協力者だった

小林峻一・加藤昭著「闇の男」(文藝春秋平成5年刊行)によれば、野坂さんはNKVDというソ連秘密警察の直轄下の協力者でした。

NKVDとは、北朝鮮で言えば国家安全保衛部(今は保衛省)のような組織です。

これはソ連崩壊後出てきた秘密文書より明らかになりました。

野坂さんはスターリンの指導下にある国際共産党(コミンテルン)の幹部でした。

野坂さんはソ連共産党からあらゆる支援を受け、ソ連の指導下で活動していたのですから上記の定義なら、ソ連のスパイ、工作員です。

野坂さんは仲間の山本堅蔵さんを怪しい、という手紙をソ連側に出していたことが秘密文書より明らかになり、日本共産党を除名されました。

当時、怪しげな人物の通報は共産主義者の任務だった

しかし怪しい奴を通報しろ、は当時の共産主義運動の最高指導者、スターリンとソ連共産党の方針でした。

国際共産党幹部なら、ソ連共産党の方針に従うのは当然です。通報が国際共産党の方針に反しているはずもない。

怪しく思える仲間を通報しなかったら、いずれは自分が通報されてしまいます。

野坂さんの通報は生き残るための選択だったのです。怪しい人物の通報は国際共産党幹部として当然のことでした。

同じようなことが、現代の北朝鮮でも繰り返されています。

小泉総理(当時)が訪朝したころ、北朝鮮側の中心だった人物はユギョン(柳京)という国家安全保衛部の幹部だったようです。

近年韓国に逃げてきた脱北者によれば、ユギョンは処刑されました。ソ連、中国、北朝鮮でどれだけの政治犯が処刑されてきたのでしょうね。




2021年12月9日木曜日

志位和夫委員長が毎日新聞山田孝男特別編集委員のコラム「風知草」(12月6日)に激怒ー戦争指導者と重ね合わせたのは不適切かー

 去る12月6日に志位さんがtwitterで、毎日新聞の上記コラムについて怒っていました。

志位さんはこのコラムが戦争指導者と重ね合わせて共産党を攻撃したのは度を超した漫罵ではないか、と主張しています。

山田孝男特別編集委員が太平洋戦争当時の指導者たちの慢心や過信を論じた後、安保や天皇をめぐる共産党の現実離れは、度を超していると記していると記しました。

志位さんはこのあたりが頭に来たのでしょうね。

12月8日の「赤旗」は、山田孝男特別編集委員が根拠のない断定で日本共産党を叩いていると批判しています。

根拠ない断定で、日本共産党を叩く異常/――「毎日」コラム「風知草」を批判する (jcp.or.jp) 

私も毎日新聞のこのコラムを読みました。

山田孝男特別編集委員が志位さんのインタビューを全て紙面に掲載する、という約束をしていたのなら志位さんが怒るのも当然と思いますがそんな約束はなさそうです。

新聞記者が政治家のインタビューと、その政党の公式文献を総合して解釈し、コラムを書くのは普通のことです。

山田孝男特別編集委員は志位さんの話と日本共産党綱領を論拠にしています。おかしなことは何もありません。

日本共産党は日本国家を無くしたいー日本革命は日本国家の廃止

日本共産党は皇室廃止、自衛隊解散、日米安保廃棄を宿願としていますが、これは日本国家を無くすことを宿願とするようなものです。

日本革命とは、日本国家の廃止に他なりません。

普通の日本人なら、日本国家の廃止、日本革命という日本共産党の宿願には大いに違和感を覚えるでしょう。

度を超している、という指摘は当然です。

「日本革命の展望」(下、新日本新書p170)によれば自衛隊は日本の国家機構、暴力装置の中枢であり、米軍事顧問団の指揮下におかれているそうです。

自衛隊が暴力装置であるというこの見地を、今の日本共産党は継承しています。

不破さん、志位さんが何かの理由で宮本顕治さんの日本革命理論は非現実的だと判断しているようですが、宮本さんの日本革命理論の抜本的に見直しなどしていません。

一般に、共産主義者は自らの歴史の見直しを恐れます。最高指導者にも誤りがあったという話になると厄介ですから。

日本人とは皇室を中心とした共同体です。日本共産党は昔から君主制廃止を唱えてきました。

日本共産党はソ連(ロシア)や中国、北朝鮮、韓国のように日本人が共同体を形成し日本国家が存在していること自体が嫌なのでしょうね。

不破さんは中朝を平和勢力とみなし、中国共産党、在日本朝鮮人総連合会と友好関係

日本共産党が宿願とする自衛隊解散、日米安保廃棄が実現したら金正恩は日本に核ミサイル攻撃を断行ます。民族の英雄になれますから。

本ブログでは何度も論じてきましたが、科学的社会主義の見地ではアジアで最大の戦争国家は日本です。

米軍と自衛隊は国民を支配する暴力装置ですから、自衛隊解散、日米安保廃棄は日本人民、労働者階級解放のために必須です。

日米安保を批判する中国共産党、朝鮮労働党は覇権主義ですが大局的には平和勢力です。

私見では、不破さんがこのようにみて中国共産党、在日本朝鮮人総連合会と友好関係を樹立しました。

不破さんにはアジア最大の戦争国家日本を包囲する国際統一戦線を樹立しよう、という発想があったと考えます。

志位さんには、山田孝男特別編集委員は科学的社会主義に裏付けられた大局観を持っていない、軽率な人物と見えているのでしょう。

習近平、金正恩を平和勢力と把握する科学的社会主義など、現実と無縁です。

中朝露の核軍事力の実情を一切分析しない日本共産党は、米国の戦力についての実証的思考と議論を拒否した昔の指導者と酷似しています。


2021年12月4日土曜日

田村智子日本共産党副委員長の呟きが削除された件より思うー田村智子さんは宮本顕治著「日本革命の展望」を再検討するべきだ

 田村智子日本共産党副委員長の総選挙に関する呟きが、なぜか削除されていました。

この件について、以下のサイトでいろいろ議論されています。日本共産党・民青同盟悪魔の辞典+ : 田村智子の総選挙反省ツイートが削除された件 (livedoor.biz) 

ここに再掲されている田村智子副委員長の呟きのどの部分が、日本共産党にとって都合が悪いのかは不明です。

田村智子副委員長御自身が、何かの理由で都合が悪いと判断したから削除されたのでしょう。

上記のサイトで太宰ファンさんが指摘しているように、田村智子副委員長は日本共産党に安全保障政策がないことにより支持を失ってきたことに気づいたのかもしれませんね。

しかし別の方も指摘しているように、自衛隊解散と日米安保廃棄は日本共産党のイデオロギー、科学的社会主義の世界観によるものです。

科学的社会主義の見地では米軍と自衛隊は支配階級による人民支配のための暴力装置ですから。

暴力装置をなくすことを日本共産党が訴えないなら、日本革命を放棄することになる。

日本革命のためには自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることは必須です。

日本革命を放棄するなら、宮本顕治さんの「日本革命の展望」など出鱈目の書だったという話になります。

日本共産党の平和理論では、自衛隊解散、日米安保廃棄を支持する中国共産党、朝鮮労働党は覇権主義ですが大局的には平和勢力です。

私見ではこの平和理論は、レーニンの帝国主義論に依拠しています。この件、本ブログでは繰り返し論じてきました。

これらまで田村智子副委員長が掘り下げて志位さんに路線転換を主張することなど考えられない。

憲法九条教徒は「日本革命の展望」、第八回大会決定について思考と議論をできない

日本共産党員、支援者の皆さんが宮本顕治さんの「日本革命の展望」、第八回大会決定など昔の大会決定、日本共産党の「平和理論」、レーニンの帝国主義論について再検討することはタブーなのでしょう。

憲法九条教徒は自らの理論と現実の不一致についての思考と議論を恐れる。金正恩の核ミサイル攻撃に、憲法九条は反撃しません。

自衛隊解散、日米安保廃棄なら金正恩は日本に核ミサイル攻撃を断行し、民族の英雄になります。

核ミサイル攻撃をしたら米軍に核ミサイルで反撃されるから、金正恩はそんなことをしない、と言う日本共産党員は、日米安保の抑止力を認めている。

米軍の核ミサイルによる反撃に期待している日本共産党員は、日米軍事同盟の抜本的強化を支持すべきです。集団的自衛権の行使を認めるべきです。

こんな議論を提起する人を、憲法九条教徒はネトウヨ、反共勢力などと把握して一切の思考と議論をしない。

憲法九条教徒に未来はありません。


2021年11月27日土曜日

松竹伸幸さんの新著「異論の共存戦略」(昌文社刊行、p231-232)より思うー松竹伸幸さんは自衛隊による敵基地攻撃能力保有を支持するらしいー

松竹伸幸さんの上記新著をざっと読みました。驚きました。

松竹伸幸さんは、自衛隊が敵基地攻撃力を持つことを主張しているとしか私には思えません。

松竹さんが産経新聞のiRONNAに投稿した「北朝鮮の核・ミサイル問題を解決する『最適解』は何か」という文章がこの本に掲載されています。

松竹さんは、北朝鮮が核・ミサイルで先制攻撃してくるなら、それ相応の反撃をすることを北朝鮮に伝えるべきと主張しています。

ミサイルが落ちてくるなら、ミサイル防衛システムを発動し迎撃すべき事、ミサイルが撃ち込まれるなら、自衛措置の範囲としてミサイル発射基地を叩くべきとの事です。

しかし北朝鮮のミサイル基地を「叩く」とは一体どういう軍事力行使を意味しているのでしょうか。

弾道ミサイル、巡航ミサイルによりミサイル基地を攻撃する事しか、私には思いつきません。

松竹さんはミサイル防衛網や陸上イージスの大量配備だけでなく、自衛隊の弾道ミサイル、巡航ミサイル大量保有を支持しているとしか、私には思えません。

松竹さんは、朝鮮労働党が日本に核ミサイル攻撃を断行することもありえるという認識なのですから、当然の結論です。

松竹伸幸さんの専守防衛論は敵基地攻撃能力保有論

専守防衛なのに自衛隊が敵基地攻撃能力を持つとはずいぶん矛盾した話ではないでしょうか。

しかし憲法九条や憲法の前文を変えないで、弾道ミサイル、巡航ミサイル大量保有はおかしい。

弾道ミサイル、巡航ミサイル保有は安保法制よりずっと、憲法九条と矛盾していませんか。

自衛隊の敵基地攻撃力保有を支持するなら、改憲の必要性を認めるべきではないでしょうか。

松竹伸幸さんには九条の会や日本共産党員に北朝鮮のミサイル基地を叩く軍事力保有の必要性をもっと訴えていただきたいものです。

2021年11月25日木曜日

志位さん、日本政府は金正恩の核ミサイル攻撃に反撃すべきでないとお考えですかー11月13日赤旗主張より思う

 当然ながら、日本共産党は自衛隊が人民解放軍や朝鮮人民軍の核ミサイル基地を攻撃できる能力を持つことに強く反対しています。

日本共産党は自衛隊解散・日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることを宿願とする政党ですから。

日本共産党は敵基地攻撃能力だけでなく、戦闘機、護衛艦、潜水艦、オスプレイ、イージス艦など、自衛隊が保有する兵器の殆ど全部に反対です。

この点では、11月13日の「赤旗」主張には目新しいところはありません。

主張/敵基地攻撃力保有/国民の命と暮らしは守れない (jcp.or.jp) 

赤旗は日本政府と日本人に、中朝への屈服を提案している

赤旗主張は最後のあたりで、日本攻撃をする国のミサイルの位置を全て把握できないこと、ミサイルの一部を破壊できたとしても残ったミサイルによる一層の攻撃を覚悟せねばならない、と述べています。

これは、日本が金正恩による核ミサイル攻撃ないしは人民解放軍の核ミサイル攻撃を一発でも受けてしまったら反撃を断念しよう、という訴えとしか私には思えません。

核ミサイル攻撃に反撃すると残ったミサイルによる攻撃を覚悟せねばならないから、日本政府は反撃をやめようという話ですから。

いろいろな推測がありえます。機会があれば、志位さんに真意をお尋ねしたいです。

日本共産党は、中国人民解放軍、朝鮮人民軍に日本政府は屈服せよと言いたいのか。

これを露骨に言うと厄介だから、反撃したらいっそうの攻撃を覚悟せねばならないなどという変な宣伝をしているのか。

日本共産党員は、日本が植民地支配の謝罪と償いをしていないから、金正恩の核ミサイルで溶かされてしまっても仕方ないと考えているのかもしれません。

日本共産党の平和理論では、社会主義国は平和勢力である

日本共産党の平和理論では、自衛隊解散、日米安保廃棄を支持する中国共産党、朝鮮労働党は平和勢力そのものです。

若い日本共産党員は昭和36年7月に開かれた日本共産党第八回大会決定など読まないから、日本共産党が社会主義国は平和地域だと主張していた史実を知らない。

そもそも中朝の日本侵攻などありえない、反動勢力の作り話だと信じている日本共産党員、左翼人は多い。

中朝は覇権主義だが、平和の課題では日本共産党の路線を支持してくれる。中朝は覇権主義だが、大局的には平和勢力だと不破さんは判断したのでしょう。

覇権主義だが平和勢力、など言葉の遊びとしか私には思えませんが、不破さんはそう判断したと考えられます。

日本共産党員は本音では、日米安保が中朝に対する抑止力と認めている

多くの日本共産党員は本音では、日米安保があるから金正恩は日本に核ミサイル攻撃などできるわけがない、と考えているのではないでしょうか。

日本に核攻撃をしたら、米国に核ミサイルで報復される。金正恩はそれを知っているから、日本に核ミサイル攻撃などしない論です。

これは、日米安保による核攻撃抑止論です。松竹伸幸さんはブログで、日米安保と自衛隊を専守防衛で運用するべき旨、主張していました。

松竹伸幸さんの本音は、日米安保は中朝に対する抑止力になっている論と私には思えます。

本音は日米安保が平和を守っている論ですが、人前では日米安保は諸悪の根源という。

日本共産党員には、表と裏の顔を持つ方が多いのでしょうね。左翼知識人、運動家にもそんな方が多いように思えます。




2021年11月20日土曜日

松竹伸幸さんの日米安保・自衛隊運用論は昭和55年の社公合意と類似ー専守防衛なら金正恩の核ミサイル攻撃に反撃をしないのかー

 松竹伸幸さんがブログで、野党共闘を進めるためには日本共産党で全党的な討論と、党員が直接党首を選ぶ選挙を実施すべきと主張しています。

松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp)

志位さんが松竹さんのこの提起を受け入れる可能性はほぼゼロです。松竹さんはブログで、規約解釈の大幅変更が必要と語っています。

私見では党員が直接投票する党首選挙を実施するなら、候補者は各地の党員に現在の党首、執行部と異なる自らの政策を訴えることになる。

その政策を実行していない現在の党首、執行部は辞任せよと選挙戦で訴える事を認めよという話になります。これは日本共産党が誇る組織原理、民主主義的中央集権制度廃止論です。

党員が直接選ぶ党首選挙実施は規約解釈変更ではなく、規約大幅改正としか思えません。

核抑止力抜きの専守防衛で日米安保、自衛隊運用論は昔の社公合意と似ている

松竹さんはブログで、核抑止力抜きの専守防衛で日米安保、自衛隊を運用するという政策を訴えています。

松竹さんのこの提案は、日米安保と自衛隊を容認すると明記した昭和55年の社公合意と似ています。

もう41年前になりますが、宮本顕治さんは第十五回大会の冒頭発言で社会党を右転落したと批判しました。

このしばらく後に総選挙がありました。昭和58年だったでしょうか。

場所を忘れましたが、日本共産党の街頭演説会に元総評議長の太田薫さんが登場し、独特のお声で「裏切者、飛鳥田を落とさねばならない」と演説しました。

飛鳥田さんは東京一区選出でした。日本共産党の候補者は平山知子さんでした。

立憲民主党議員の中には日本共産党の日米安保廃棄、自衛隊解散論に心情的に賛成する方が少なくないと思えますが、立憲民主党のHPでは日米安保維持です。

現在行われている立憲民主党の党首選挙に立候補されている方々は皆、安保法制も容認するようですから、日米安保廃棄、自衛隊解散論の日本共産党とは大きく異なっています。

日本共産党の視点では、立憲民主党の基本政策は飛鳥田さんよりはるかに右です。

安全保障政策の違いを曖昧にして国政選挙で共闘し、仮に勝利しても、できた政権は暫定政権でしかないという松竹さんの批判は適切です。

そこで松竹さんは野党政権を長く維持するために、核抑止力抜きの専守防衛での日米安保、自衛隊運用論を提起したと考えられます。

この提案を志位さんが採用する可能性も殆どありませんが。

日米軍事同盟弱体化、安保法制廃止は中朝露の戦意を誘発する

松竹さんが提案している核抑止力抜きの専守防衛で日米安保、自衛隊を運用する政権は、金正恩による日本への核ミサイル攻撃や中国共産党の台湾侵攻にどう反撃、対処するのでしょうか。

核ミサイル攻撃に専守防衛、ならイージス艦大量購入、陸上イージス全国配備という提案なのでしょうか。

専守防衛なら、中国共産党による台湾侵攻を座視するのでしょうね。

万が一、そんな政権ができたら米国が日米安保を廃棄してもおかしくない。海兵隊がグアムに去ることもありえる。

米国政府は海兵隊員とその家族が中国人民解放軍に攻撃されることを座視しないでしょう。

基地のない沖縄、が実現し、中国共産党にとって絶好の機会到来です。

松竹伸幸さんは中朝を平和勢力と見ているのか

中国共産党は尖閣に侵攻、領有しうる。自衛隊機の出撃を防ぐため、那覇空港をミサイルで先制攻撃しうる。

専守防衛ですから、野党政権は人民解放軍のミサイル攻撃には反撃しないのでしょうね。

日米軍事同盟の弱体化は、習近平、金正恩の戦意を誘発するのです。

まさかと思いますが、松竹伸幸さんも中国共産党、朝鮮労働党は憲法改正に反対だから平和勢力だとお考えなのでしょうか。

日本共産党の平和理論なら、憲法改正反対、アジアから米軍は撤退せよと主張する中朝は平和勢力そのものです。

朝鮮労働党は一貫して、朝鮮半島の非核化を主張しています。

平和勢力による核ミサイル攻撃の可能性を論じる人物こそ戦争勢力そのものだ、と左翼人士、憲法九条教徒なら考えるでしょうね。


2021年11月8日月曜日

毛沢東と中国共産党は平和勢力だったのかー松竹伸幸さんのブログより、左翼人士の生き方について思うー

 松竹伸幸さんはブログで、日本共産党と平和勢力は中国共産党が台湾武力統一を策していることを強く批判すべきと繰り返し主張しています。松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

11月3日のこのブログによれば、日本共産党と同党の支援者の皆さんは、米帝国主義が悪であることを公理のように考えています。

中国が尖閣、南シナ海でも武力による現状変更を目指しているのに、日本共産党と同党支援者は中国を米国のように批判しない。

松竹さんはこの理由は以下の二点から説明しています。

第一は、中国は日本の侵略の犠牲者だから、侵略した側が中国を批判することは控えねばならないという感情論です。

第二には、中国は社会主義国だから帝国主義である米国と同列においてはならないという考え方です。

松竹伸幸さんは日本共産党の綱領、大会決定について言及できない

本ブログでは何度も、松竹さんが指摘している第二の点の理論的背景、日本共産党の「平和理論」とその基礎になっているレーニンの帝国主義論について説明してきました。

松竹さんが日本共産党の綱領や大会決定について殆ど言及できないのは、これらを間違っていたとブログなどで断言すると厄介なことになるからでしょうか。

昭和36年7月の第八回大会で採択された綱領には、社会主義国は平和地域であると明記されていました。

宮本顕治さんはこの大会で、ソ連は世界平和の砦であると報告し採択されています。

第八回大会決定の視点なら、ソ連や中国の核兵器は世界平和を守ります。

毛沢東と中国共産党も平和勢力ですから、中国共産党の核兵器は世界平和を守ることになります。

松竹さんが日本共産党第八回大会決定、第九回大会決定について言及しないのは真に変です。

松竹さんはブログで、中国共産党は四年前の党大会以後、社会主義の反対物に転化したことを証明したと記しています。

これは党大会前の中国共産党は社会主義を目指しており、平和勢力だったという見解なのでしょうか。不破さんは中国共産党をそのように見ていました。

松竹さんは不破さんとは違うと思えるのですが。

侵略とは何かー日清、日露戦争は当時の国際法では合法

松竹さんが指摘した第一の点、日本人は中国を侵略したから中国を批判してはならない論の視点なら、日本人は中国の政治経済、社会の分析はできません。

日本人は中国共産党の宣伝を信じて普及せよ、という話になるだけです。そもそも、侵略云々をいうなら、昭和25年に起きた朝鮮戦争への人民解放軍参戦は大韓民国への侵略です。

日清、日露戦争の頃は、強国がある地域の支配権を争ったとき、戦勝国がその地域を支配することは国際法上、合法でした。この点は二次大戦後とは大きく異なります。

まさかと思いますが、松竹伸幸さんは社会主義国は平和地域だ、ソ連は世界平和の砦だという第八回大会決定は正しかったと考えているのでしょうか。

松竹さんは朝鮮戦争への人民解放軍参戦は、朝鮮半島の平和を守ったと考えているのでしょうか。

左翼は毛沢東と中国共産党を平和勢力とみなす

毛沢東と中国共産党には覇権主義という問題点はあったが、日本帝国主義と戦い、その後も日米安保や日本の軍国主義化を批判したから平和勢力だったとみている左翼人士は多い。

歴史にもしも、ですが1960年代や70年代前半に日米安保が廃棄されていたら、毛沢東は人民解放軍に日本攻撃指令を出したでしょう。

核攻撃指令を出したかもしれません。日中両党会談で毛沢東は、一億死んでも大したことはない、などと語っています。

民主連合政府ができていたら、日米安保廃棄で自衛隊は解散ですから。人民解放軍や紅衛兵の侵攻を妨げる力は民主連合政府にはない。

松竹伸幸さんのブログを読んでいると、毛沢東と中国共産党は平和勢力だったとお考えなのかな、と思えてしまいます。

中国共産党、朝鮮労働党は建国以来、覇権主義で戦争勢力だったという認識になると、米軍と日米安保により日本の平和と安全が守られたことになります。

中朝露は一貫して、日本侵攻を策してきました。

私見では左翼人士はこの結論が嫌だから、中国共産党、朝鮮労働党の戦争政策について思考と議論をしないように心がけています。

左翼人士は、処世術に長けた方々なのです。

2021年11月1日月曜日

日本共産党は自衛隊解散・日米安保廃棄を野党共闘の一致点にしたいー日本国家の国防力を皆無にすることが社会進歩ー

総選挙が終わりました。事前のマスコミ予想と異なり、自民党がさほど減らさず、立憲民主党と日本共産党が大きく後退しました。

立憲民主党議員と支援者の方々の中で、日本共産党との共闘の是非について議論がなされていることでしょう。

立憲民主党の皆さんは、日本共産党が本音では自衛隊解散・日米安保廃棄を野党共闘の一致点にしたいことを理解しているのでしょうか。

科学的社会主義、共産主義の国家理論では自衛隊と米軍は支配階級による暴力装置です。

暴力装置を無くしたくない日本共産党員、など言葉の矛盾ですから。

立憲民主党幹部には極左翼のような方がいる

立憲民主党の中には、極左翼のような発想をする方もいます。極左翼なら、この点で日本共産党と完全に一致できる。

立憲民主党は基本政策で安保法制の違憲部分を無くすと明記していますが、安保法制だけでなく日米安保廃棄、自衛隊解散を志向している方も同党には少なくないと考えられます。

野党共闘に共通安全保障政策はありません。日本共産党、立憲民主党の極左翼の方々にとって、自衛隊解散、日米安保廃棄こそ最大の安全保障政策ですから。

日本攻撃を策している中国共産党、朝鮮労働党としては野党と市民の共闘、の政権ができることを願っていたでしょうね。

当面は野党と市民の共闘、の政権はできませんが、立憲民主党と日本共産党の国政選挙での連携は今後も続くと考えられます。

自衛隊解散、日米安保廃棄が野党共闘の一致点、公約となったらわかりやすくて良いですね。

日本共産党は本音では、金融資産市場を廃止したい

日本共産党は搾取制度の廃止を目指している政党です。

この見地から、日本共産党は富裕税の創設を訴えていました。日本共産党は本音では、富裕層の株式配当所得の税率を100%にしたいのです。配当所得は搾取ですから。

マルクス主義経済学の見地では金融資産保有により得られる利子収入や配当収入は搾取です。

株主や社債保有者は企業経営の危険を負担して、企業の維持に貢献していますが危険負担に対する報酬は搾取の一つだ、という話です。

株主や社債保有者は労働を提供していない。労働を提供していないのに、利潤の一部を受け取るのは不当だという理屈です。

従って日本共産党は本音では、金融資産の利子や配当への税率を100%にしたい。そもそも日本共産党は、金融資産市場を廃止したいのです。

マルクス主義経済学では、金融資産市場などマネーゲームの場ですから一刻も早く廃止すべきです。

株式の配当や利子所得への100%課税、金融資産市場の廃止も野党と市民の共闘、で一致点になればわかりやすくて良いですね。

野党共闘を深化させたい日本共産党員の皆さんは、自衛隊解散と日米安保廃棄、金融資産市場廃止を野党共闘の一致点にするよう、訴えたらいかがでしょうか。

日本革命を目指す方々が、金融資産市場廃止を日頃から訴える度胸と気概がなくてどうしますか。



2021年10月24日日曜日

不破哲三さんも、昭和26年秋には臨時中央指導部の指導下で日本共産党が分裂を解消したことを認めているー不破哲三「日本共産党史を語る」(新日本出版社刊行, p203)より

不破さんは昭和5年(1930年)生まれです。この本によれば不破さんは日本共産党の五十年問題の頃、東京大学学生で日本共産党員でした。

五十年問題とは簡単に言えば、日本共産党が昭和25年1月にコミンフォルム(当時の世界共産党とも言うべき組織)から批判され、大混乱に陥って一時的に分裂した事態のことです。

若き不破さんは、日本共産党中央幹部の混乱と対立の実情を殆ど何も知らなかったことでしょう。

スターリンの指令により日本共産党は昭和26年秋には再び団結した

昭和25年に日本共産党は一時的に分裂します。

日本共産党の文献では、分裂状態が概ね終わったのは昭和30年7月の第六回全国協議会以降ということになっています。

しかし当時を知る元日本共産党員の本などによれば、日本共産党中央は昭和26年秋頃には臨時中央指導部(徳田、野坂分派と今の日本共産党は規定)の下で団結を回復しています。

これは昭和26年8月にコミンフォルムが臨時中央指導部の側を是としたからです。コミンフォルムを指導していたのはスターリンとソ連共産党です。

当時の日本共産党員はスターリンを心から尊敬していました。スターリンの指令は絶対的でした。

中国革命を成功させた毛沢東と中国共産党を尊敬の対象でした。勿論在日朝鮮人の日本共産党員は、金日成に心酔していました。

不破さんは上記の本(p203)でコミンフォルムのこの介入は間違った判断だったと述べていますが、これにより全国統一会議に参加していた党員、党組織は臨時中央指導部の側に合流する以外なくなったと告白しています。

不破さんが所属していた日本共産党の東京大学細胞も、この時期に臨時中央指導部の指導下に入ったそうです(同書p203)。

当時の日本共産党中央は全員、暴力革命論者になった

いろいろな対立はあっても、結局党中央幹部が全員、51年綱領、暴力革命論は正しいと認めたのですから、一般党員が武装闘争に身を投じて行ったのは当たり前です。

朝鮮の同志は米国の侵略と戦っている、自分たちは朝鮮の同志に連帯し、火炎瓶闘争で米日反動勢力と戦おう、という気持ちだったのではないでしょうか。

在日朝鮮人の日本共産党員は皆、そんな気持ちだったのでしょう。

本ブログやtwitterで私は繰り返し述べてきましたが、宮本顕治さんは昭和25年5月の「前衛」に出した論考で議会を通じての政権獲得の理論は誤りと断言しました。

宮本さんは野坂さんの平和革命論を徹底批判したのですから、暴力革命論の51年綱領を支持したのは当然です。

宮本さんは昭和30年8月に51年綱領を輝かしい新綱領、と称賛しました。不破さんはこれを百も承知のはずですが、上記の本では一切言及していません。

日本共産党は都合の悪い史実を隠ぺいします。若い日本共産党員は宮本顕治さんの昔の論文を入手しにくい。

昭和30年まで在日の共産主義者が日本共産党員だったことを知っている若い日本共産党員など、稀有でしょうね。


2021年10月23日土曜日

日本共産党に安全保障政策はないー不破さんは中朝を大局的には平和勢力とみた

 日本共産党の総選挙政策をざっと読みました。総選挙政策/なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく/2021年10月11日 日本共産党 (jcp.or.jp) 

何より、いのち。という訴えで、上記文書は軍縮への転換、中国の「脅威」を利用して軍事力増強をはかる動きに断固反対と明記しています。

本ブログでは繰り返し論じてきましたが、日本共産党は中朝露の軍事的脅威、中朝露による日本攻撃の可能性を認めません。

中国が日本を攻撃する可能性があるから、これを抑止するために自衛隊は強力な反撃力を保持せねばならないという人は右翼反動で安倍の手先などと日本共産党員は本気で考えています。

中国の「脅威」を利用して軍事力増強をはかる動きに断固反対、なのですから。この点では、殆どの立憲民主党議員も同様でしょう。

日本共産党は中国共産党を覇権主義と批判していますが、軍事的脅威であることは上記のように強く否定しています。

朝鮮労働党についても同様です。

レーニンの帝国主義論の見地では、日本がアジア最大の戦争国家

日本共産党はレーニンの帝国主義論の見地から、自分たちは戦争の起こる原因を解明したと信じています。科学的社会主義の経済学云々という話です。

レーニンによれば、帝国主義、金融資本が戦争を起こします。

現代では、多国籍企業の権益を守るために、多国籍企業の指令を受けて動く政府が侵略戦争を起こします。

この見地から、多くの多国籍企業の本拠地であり、世界の帝国主義アメリカがアジアでも侵略戦争を起こすという結論になります。

レーニンの帝国主義論の見地では、アメリカに従属している日本はアジアで最大の戦争国家です。

日本が直面する最大の脅威は、日本政府の軍拡です。日本政府が米国の世界戦略に追随する中で、海外で武力行使を実行し侵略戦争を行う。

ここに日本の平和を脅かす核心がある、と日本共産党は宣伝しています。

不破さんは中朝と連帯し、反ファシズム統一戦線結成をめざした

科学的社会主義の経済学では中朝露は帝国主義ではないので、侵略戦争を起こしません。

中国やロシアに多国籍企業がない、帝国主義ではないとは随分変な話ですが。科学的社会主義の経済学者は、中国共産党の対外政策を分析できない。

朝鮮労働党は世界各地に拠点を持ち、麻薬や武器、偽札などを輸出しています。日本共産党は朝鮮労働党の動向については見ざる、言わざる、聞かざるを貫いています。

中朝は日本の軍拡を批判しています。朝鮮労働党はアジアから米軍は出ていけ、と長年主張しています。この主張は日本共産党の憲法九条を生かした外交、論と一致しています。

従って二十年ほど前に不破さんは、中朝を大局的には平和勢力と見たのです。

不破さんは中朝と交流を深め、連帯して戦争国家日本を包囲する反ファシズム統一戦線結成を構想していたのでしょう。

不破さんは、中朝が行ってきた人権抑圧について一切の思考をしなかったのでしょう。

日本共産党は日本国家の国防力を皆無にしたいー憲法九条教徒は日本を滅ぼす

日本共産党員は、日本政府がアジア最大の戦争国家で中朝を大局的には平和勢力と信じていますから、中朝による日本攻撃など想像もできません。

金正恩と朝鮮労働党は、日本への核ミサイル攻撃を公の文献で示唆しているのですが、日本共産党と左翼人士は完全沈黙です。

日本共産党員にとって最も大事なことは、自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることです。

これの実現のためには、多数の国民が日本国家の国防力を皆無にしよう、と声をあげるようにせねばならない。

それが無理なら、可能な限り自衛隊保有の兵器を削減せねばならない。憲法九条完全実施に少しでも近づけねばならない。日本共産党員の心中はこんな調子です。

これでは、日本共産党が安全保障政策などつくるはずもない。最大の安全保障政策は憲法九条完全実施だ、と信じているのですから。

憲法九条教徒は日本を滅ぼします。憲法九条教徒は、中朝露の真の友人です。



2021年10月16日土曜日

日本共産党はなぜ自衛隊を解散させたいのかー小林栄三監修「科学的社会主義 下」(新日本出版社刊行)が語る科学的社会主義の国家論より

共産主義者は資本主義国家を階級的支配の道具と見る 

マルクスやエンゲルス、レーニンの文献を少しでも読んだことがある方なら、上記を御存知でしょう。

日本共産党は、科学的社会主義の国家論のこの見地から自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることを宿願としています。

自衛隊解散を野党と市民の政権の一致点にはしないが、日本共産党としては可能なら可及的速やかに自衛隊解散、日米安保廃棄を実現したいのです。

日本共産党の主張に概ね共鳴するが、自衛隊解散には違和感があるな、という方もいるでしょう。立憲民主党議員や支援者の方にはそんな方がいそうです。

日本共産党の自衛隊解散論は、科学的社会主義の国家論に依拠していることを知っていただきたい。これは、次の文献にも出てきます。

日本共産党によれば、自衛隊と警察は日本の支配層の武装力である

小林栄三監修「科学的社会主義 下」(p135)によれば、米帝国主義は自衛隊など日本の支配層の武装力の中枢部分を掌握、指揮下においています。

自衛隊や警察など日本の支配層の武装力は、日本独占資本の人民収奪と支配を維持する道具です。

同時に自衛隊は、米帝国主義の戦略と対日支配の中に組み入れられ、彼らの特権と対日支配を擁護し維持する道具になっているそうです。

今の日本共産党綱領にはここまで極端な記述はありませんが、上記の自衛隊論が完全に否定されたわけではありません。

5年ほど前、藤野保史議員が防衛予算は人を殺す予算である旨、テレビ番組で発言しました。

藤野保史議員の心中には、小林栄三さんの上記のような自衛隊論があったと考えられます。

自衛隊は日本の支配層の武装力なのですから、日本共産党にとって自衛隊解散は人民を解放するためにどうしても必要な政策なのです。

科学的社会主義の国家論によれば、社会主義国の軍隊は人民の軍隊で平和に貢献

科学的社会主義の国家論では、中朝のように民主主義革命、社会主義革命を実現した国家の軍隊は、人民の軍隊です。

中朝は覇権主義の誤りを犯していますが、米国と対決していますから大局的には平和勢力です。

中朝の軍事力は、大局的には世界平和の維持に貢献しているという話になるのです。

松竹伸幸さんのブログにも、日本共産党が長年ソ連や中国の核が平和を守ると主張してきたことが記されています。

松竹さんが小林栄三さんのこの本や、上田耕一郎さんの「マルクス主義と平和運動」(大月書店)を知らないはずがない。

昭和36年7月の第八回大会で採択された綱領には、ソ連など社会主義国は平和地域であると明記されていました。松竹さんがなぜ、上記の本や昔の綱領に言及しないのかは不明です。

日本共産党は自衛隊が持つすべての兵器、自衛隊が行う全ての演習に断固反対

今の綱領は自衛隊は米軍の掌握と指揮下にあり、アメリカの世界戦略の一翼を担わされていると規定しています。

自衛隊が日本国家を守るという発想は日本共産党にはありません。

日本共産党はオスプレイや戦闘機だけでなく自衛隊の全ての兵器保有、自衛隊が行うあらゆこれは、反対しています。

これは、自衛隊と警察は日本独占資本の人民収奪と支配を維持する道具だという科学的社会主義の国家論に依拠しているのです。

日本共産党は野党と市民の政権で自衛隊の徹底的弱体化を主張する―中朝は大喜び

万が一、野党と市民の政権とやらができたら、日本共産党は自衛隊解散は主張しないでしょうが全ての兵器保有、自衛隊が行うあらゆる演習に反対するでしょう。

自衛隊解散論を政権内に持ち込まなくても、自衛隊の兵器や演習の是非については政権与党内でよく話し合って決めよう、と日本共産党は主張するでしょう。

日本共産党の自衛隊解散論は、気まぐれではなく科学的社会主義の国家論に依拠しているのですから、立憲民主党幹部が志位さんと多少議論したら何とかなるものではありません。

自衛隊保有武器の大幅削減、全ての演習中止が実現したら習近平にとって尖閣侵攻、台湾攻撃の絶好の機会到来です。

日本攻撃を策す習近平、金正恩は大喜びする顔が浮かんできませんか。

中国共産党は、那覇空港を何らかの方法で攻撃しうる。有事の際、自衛隊機は那覇空港から発進しますから。サイバー攻撃の可能性がありますね。

2021年10月8日金曜日

日本共産党が政権を掌握したら、金融資産市場を「御用済みとしてお引き取り願う」ー不破哲三「党綱領の力点」(平成26年刊行。pp. 153-154 )より。

マルクス主義経済学者は株主を搾取者と見る

本ブログやtwitterで私は、マルクス主義経済学では株主は搾取者であると繰り返し主張してきました。

株主は企業に資金を提供して経営の危険を負担していますが、労働は提供していませんから。配当は搾取です。

故長洲一二教授(後に神奈川県知事)は、著書「構造改革論の形成」(現代の理論社、昭和48年刊行。p44)で少額株主でも所有に基づく受益者だから搾取者であると述べています。

日本共産党やマルクス主義経済学者が搾取制度の廃止を主張するなら、株式会社制度、金融資産市場の廃止を主張すべきです。

金融資産保有者は通常、利子所得を受け取ります。マルクス主義経済学では金融資産の保有者は搾取者です。

マルクス主義経済学者には、企業への資金提供者が危険を負担することにより企業に貢献しているから、報酬が与えられるのは当然だという見方ができない。

レーニンは余剰穀物を手元に置く農民を搾取者とみた

レーニンは「青年同盟の任務」で農民が穀物を余剰に保有し、投機をするなら搾取者だと明言しています。

農民が、穀物を一切保有していない労働者に保有している穀物をいくらか与え、自分の畑で農業労働をさせたら、マルクス主義経済学では搾取です。

一定期間後にできる穀物は農民(地主)のものになります。労働者が次期もその農場で働くなら、穀物の一部が与えられるでしょう。

労働者は凶作になる前に賃金を受け取っていますから、農業経営の危険を負担していない。

地主は労働者に農業労働を熱心にやらせる誘因をどうやって与えるか、という問題は残っていますが。

奴隷は、地主が監視していなければ農業労働を熱心にやらないでしょう。農業労働の誘因の与え方という問題は、奴隷でも同じです。

株式会社についても同じことが言えます。大不況になれば、赤字を出す会社はいくらでもあります。赤字経営なら、原則無配当です。

経営の危険を負担することの代価として、利子や配当所得を地主や株主に配分することを法で禁止したら、企業に資金を出す人がいなくなり、企業経営は存続できません。

企業経営者は才能を生かす場を、労働者は職場を失います。

日本共産党、マルクス主経済学者には企業経営の危険を株主や金融資産保有者が負担しているという発想ができない。

不破さんは株式会社、金融資産市場を社会発展の障害物とみている

不破さんは「党綱領の力点」で、実体経済の上にそびえたつ金融経済の巨大な機構の大きな部分が未来社会では御用済みとしてお引き取り願うと明言しています(同書p154)。

レーニンから多くを学んでいる不破さんには、株式会社、金融資産市場が社会発展の障害物と見えるのです。

「お引き取り願う」とは共産党の政府が株式会社、金融資産市場を法で禁止することなのでしょうね。

搾取制度の廃止のためには、株式会社、金融資産市場の廃止が不可欠です。不破さんは上記著書でそれを示唆したのです。

金融資産市場が政府により禁止されたら、保有している金融資産が無価値となり、倒産する企業が続出します。日本初の世界不況になりえる。大失業時代到来です。

日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)がゼロになるのですから。銀行や保険会社も軒並み倒産です。金融資産市場が無くなったら、金融機関は存続できません。

金融資産市場を廃止したい不破さん、志位さんは本音では、ソ連型計画経済を未来社会のモデルとして想定しているのでしょう。当面はこれを内緒にしていると考えられます。

旧ソ連では株式会社は存在しなかった。何らかの金融資産市場は、闇では存在していたでしょう。

ボリシェヴイキは収奪者を収奪するなどと称して、地主と資本家、ロシア正教会の財産を没収し、彼らを追放しました。

日本共産党は日経平均株価が暴落しても労働者には何の関係もないと本気で考えていそうです。搾取者が大損をしただけだ、という発想です。

自衛隊解散、日米安保廃棄と金融資産市場の全廃を宿願とする日本共産党こそ、お引き取り願いたいですね。

2021年10月7日木曜日

志位さんは日本共産党「真の平和綱領のために」(昭和56年7月6日「赤旗」評論版掲載)を内緒にしたい

 松竹伸幸さんがブログで、日本共産党の伝統的な戦争と平和観について説明しています。

本ブログでも日本共産党の平和理論について、繰り返し説明してきました。

松竹さんは嫌かもしれませんが、私と松竹さんは日本共産党の平和理論、平和観をどう考えるかという点ではほとんど同じです。

松竹さんは日本共産党がレーニンの帝国主義論に依拠している、とは指摘していませんが。

日本共産党の平和観は、アメリカと日本は平和の敵で戦争国家、ソ連や中国は平和勢力という見方です。松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

松竹さんによれば、日本共産党が伝統的な平和観を多少修正するきっかけになったのは、昭和48年6月27日に中国が行った核実験です。

この件で日本共産党は、公明党から強く批判されたそうです。

これを受けて、宮本顕治委員長(当時)が日本共産党の核兵器問題での政策を変更するように担当者に指示を出したそうです。

私はこの経緯は全く存じませんでした。

「真の平和綱領のために」はソ連や中国を社会帝国主義と主張

日本共産党の論考「真の平和綱領のために」に宮本顕治委員長が記者会見で核問題での見解を部分修正したことが出ています。

「真の平和綱領のために」は日本共産党のそれまでの平和理論、平和観を部分修正した重要論文です。

「真の平和綱領のために」など、今の日本共産党議員や職員がどれだけ読んでいるか疑問ですが。

この論考は、国際政治の基本構造は米国を中心とする帝国主義勢力の支配と搾取、侵略と抑圧の政治に対して、社会主義諸国と勤労人民、民族解放勢力が対抗している事だと述べています。

しかしソ連や中国が、覇権主義的政策をとっているので社会帝国主義の誤りを犯していると主張しています。

ソ連や中国が社会帝国主義的誤りを犯している、と主張した点が部分修正です。

志位さんは「真の平和綱領のために」を内緒にしたい

今の日本共産党は中国共産党を覇権主義と批判していますが、社会帝国主義と断定はしていない。

断定すると、厄介な話になりますから。

社会帝国主義なら、人民解放軍は日本攻撃を断行しうるではないか、人民解放軍と戦う自衛隊の武器を増強せねばならないな、という世論が広がってしまいます。

そこで志位さんは、「真の平和綱領のために」も内緒にしたいのです。

宮本顕治さんが党首だった時期の文献は、今の日本共産党にとって厄介なものが実に多い。

当時の大会決定は殆ど皆、都合が悪い。そこで日本共産党のHPには掲載されていません。

共産党は都合の悪い史実を隠ぺいする

洋の東西を問わず、共産主義者は都合の悪い史実を隠蔽します。

レーニンが残した富農や地主追放、財産没収指令、ロシア正教会弾圧指令について、不破さん、志位さんが語ることはないでしょう。

野坂参三さんが国際共産党の大幹部として行った革命運動は、日本共産党の世界観では素晴らしい業績のはずですが、これも不破さん、志位さんは内緒にせねばならない。

ソ連共産党の文献では、トロツキーがロシア革命で果たした役割が完全に削除されていました。

一般党員は、宮本顕治さんが書いた数々の文献を入手しにくくなっています。不破さんの「北京の五日間」もそうなるのでしょうか。


2021年10月5日火曜日

松竹伸幸さんの日本共産党に関する疑問に答えるー日本共産党はレーニン主義の党

 日本共産党はなぜソ連や中国の核軍拡を批判できなかったのか

松竹伸幸さんがブログで、日本共産党がアメリカと日本を主な批判の対象にし、ソ連や中国を同列に批判しなかったのはなぜか、という疑問を提起しています。

松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

志位さんや小池晃書記局長が松竹伸幸さんの疑問に答えるとは思えないので、憚りながら私がお答えしてみます。

日本共産党の平和理論は、レーニンの帝国主義論を基礎にしています。

レーニンは金融資本が戦争を起こすと説きました。

金融資本を現代風に解釈すれば、多国籍企業がこれに相当します。

多国籍企業の世界各地での利潤を確保するために、米国とその目下の同盟者、日本が世界中で戦争を起こすのです。

従って米国は世界最大の戦争国家、日本はアジア最大の戦争国家です。

現代日本は、米国が世界各地で行う侵略戦争に自衛隊が協力することにより、戦争に巻き込まれうる。

ここに、平和の問題の核心がある。志位さんはこんな話を繰り返しています。

中朝は覇権主義だが、大局的には平和勢力ー日米安保を批判するから

中国共産党、朝鮮労働党は覇権主義という点では大いに問題がありますが、日米軍事同盟を批判しているので大局的には平和勢力です。

朝鮮労働党は一貫して、朝鮮半島から米軍は出て行けと主張していますから、日本人や韓国人の拉致、政治犯の処刑などの問題点はあっても大局的には平和勢力です。

この見地から不破さんは、中国共産党、在日本朝鮮人総連合会と交流を再開し、日本政府を包囲する反ファシズム国際統一戦線結成を展望していたと考えられます。

中国共産党、朝鮮労働党こそ全体主義そのものではないか、という方もいるでしょうが、日本共産党の平和理論では中朝は平和勢力なのですよ。

日本共産党の平和理論から考えれば、松竹伸幸さんは戦争を起こす起動力となっている米帝国主義及び日本の独占資本と、米日の戦争策動に反対する中朝を同一視しています。

松竹伸幸さんは階級的視点を失っている、という話になりそうですね。

レーニン主義者はステレオタイプ思考に陥る

本ブログでは繰り返し、日本共産党の平和理論を説明してきました。

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 松竹伸幸さんは日本共産党のアメリカ帝国主義論に反対なのかー日本共産党のステレオタイプ思考の根源は、レーニンの帝国主義論ー (blueribbonasiya.blogspot.com)

日本共産党がステレオタイプ思考に陥り、アメリカと日本を主な批判の対象にしてソ連や中国を同列に批判しなかった理論的基礎は、レーニンの帝国主義論です。

松竹伸幸さんは、岡本博之さんの「科学的社会主義 上」や、林直道教授の「経済学」(新日本新書)を御存知でしょう。

正統派マルクス主義経済学なら、上記のような結論が出ると考えます。

正統派マルクス主義経済学者は、中朝の軍事力の分析など一切やりません。ステレオタイプ思考そのものですから。上記の本にソ連の軍拡分析などありません。

松竹伸幸さんの何かの御参考になれば幸いです。


2021年10月4日月曜日

民主連合政府ができていたら日韓関係が破綻したー上田耕一郎・工藤晃編著「民主連合政府で日本はこうなる」(新日本新書。昭和49年刊行)は日韓条約破棄を主張

 五十年ほど前の日本共産党は「70年代の遅くない時期に民主連合政府をつくろう」と訴えていました。

この本から、その頃の日本共産党の理論と政策がよくわかります。p226に次の記述があります。

アジアでただ一つのこった国交未回復の社会主義国である朝鮮民主主義人民共和国と国交を樹立し、平等・互恵の経済・文化交流、日朝両国民の友好関係の発展をはかる。

朴政権を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」とした「日韓条約」を廃棄する。

南朝鮮からの全米軍撤退を要求し、朝鮮人民自身による自主的・平和的統一を支持する。

朝鮮に関する不当な国連決議の廃棄を要求し、朝鮮問題討議のための国連総会への朝鮮民主主義人民共和国代表の無条件招請を支持する。

在日朝鮮人の生活、教育、権利を保障し、自由な帰国を援助する。

この頃の日本共産党は、北朝鮮を社会主義国と認識し、朝鮮労働党と友好関係を維持していました。

日本共産党は朝鮮労働党が朝鮮半島を統一することを支持し、日韓条約廃棄を叫んでいたのです。

昭和41年に日朝両党は共同声明を出しています。

萩原遼さんは朝鮮労働党による凄惨な人権抑圧を日本共産党中央に報告

赤旗の平壌特派員だった故萩原遼さんが平壌から事実上追放されたのは、昭和48年4月17日です。萩原さんは昭和47年5月23日に平壌に到着しています。

赤旗の平壌特派員としては、三人目でした。

萩原さんは平壌滞在中に、朝鮮労働党による凄惨な人権抑圧の実態を垣間見することができました。萩原さんはそれを帰国後、日本共産党中央に詳細に報告したと伺います。

著書「ソウルと平壌」(文春文庫)に出ているような報告を、日本共産党中央の担当者になさったのでしょう。

「ソウルと平壌」の「北から」の章で萩原さんは、監視人に「崔承喜はいまどうしてますか」と聞いた時のことを書いています(文庫版p189)。

崔承喜は、半島の舞姫として著名な方でした。戦後、夫と共に北朝鮮に渡り活躍していたのですが、萩原さんが平壌に滞在したころには動向が伝えられなくなっていました。

監視人は萩原さんの質問に、「それを何のために聞くのか」と反問してきたそうです。誰に彼女の消息を確かめろと指示されたのか、と問い詰めてきたそうです。

後に萩原さんは、崔承喜が昭和42年頃、金日成に弾圧され行方不明になったことを突き止めました。これはおそらく、日本に戻ってからでしょう。

萩原さんが平壌で住んでいた宿舎で、昭和42年9月にベネズエラ共産党員で詩人のアリ・ラメダが公安に連行されたそうです。

萩原さんはこれを、当時の赤旗平壌特派員から聞いたのでしょう。萩原さんは後に、アリ・ラメダが7年間、収容所に連行、抑留されたことを知ります。

フランス共産党員の仲間との会話で、北朝鮮の政治に疑問を投げかけたことが当局の知るところになったのです。仲間との会話が盗聴されていた。

萩原さんがアリ・ラメダの件を詳しく知ることになったのは平壌を離れて、アムネスティの報告書を知ってからでしょう。

収容所の件まで、日本への帰国直後に報告はしていないでしょう。

しかし日本人妻が全く里帰りなどできていないこと、相当数の帰国者(元在日朝鮮人)が行方不明になっていることを日本共産党中央はこの頃には熟知しています。

少なくない在日朝鮮人が、北朝鮮に帰国した親族が消息不明になっていることを仲間の日本共産党員に知らせていたのですから。それは当時の日本共産党中央にも届いていました。

昭和30年まで、在日の共産主義者は日本共産党員でした。日本共産党と在日本朝鮮人総連合会は、親しい関係を維持していました。

朝鮮労働党による凄惨な実態を承知していても日本共産党は、在日朝鮮人の自由な帰国を援助すると明言していたのです。

「自由な帰国」という表現ですが、昭和47年4月に在日本朝鮮人総連合会は約200人の朝大生を金日成の贈り物として献上しています。

在日本朝鮮人総連合会と友好関係を長年維持してきた日本共産党がこれを知らないはずがない。

人間の贈り物、にはいくらなんでも協力できないが自由意思で北朝鮮に行くなら援助しますよと言う話なのでしょうね。

日本共産党中央には、北朝鮮の凄惨な実態を在日朝鮮人に知らせようという発想はできなかった。

朝鮮労働党と日本共産党が友好関係を維持していたからです。

民主連合政府ができていたら日韓関係は破滅、日米安保廃棄なら人民解放軍が日本に侵攻

民主連合政府ができたら、日韓条約は破棄され、日韓関係は破滅していたでしょう。

奇妙な話ですが、五十年ほど前の日本共産党の日韓関係、日朝関係に関する主張は、今の嫌韓論者の方々の主張と酷似しています。

日韓条約廃棄なら日韓断交です。

在日朝鮮人の自由な帰国、に嫌韓論者の方々は全面協力するでしょう。

日本共産党は元祖嫌韓論者です。日韓が断交していたら、韓国の流行歌手が日本に来るのは困難だったでしょうね。

在韓米軍撤退が実現していたら、朝鮮労働党が朝鮮半島を統一し、大韓民国は消滅していた可能性があります。

日本共産党の平和理論なら、社会主義朝鮮による朝鮮半島統一は社会進歩、歴史の法則的発展です。

万が一、昭和42年頃に民主連合政府が実現し、日米安保廃棄、日韓条約廃棄が実現していたら在韓米軍も撤退していたかもしれません。

その時には、朝鮮人民軍は韓国に、中国の人民解放軍が日本に侵攻していた可能性が高い。

毛沢東と四人組なら、人民解放軍に日本侵攻指令を出したでしょうね。

昔も今も、日本共産党と左翼は中国共産党、朝鮮労働党を大局的には平和勢力と把握する。平和勢力の日本侵攻、など想像もできないのでしょう。

崔承喜はなぜか「復権」ー金正日が許可したのか

ところで、崔承喜はなぜか、十一年くらい前に北朝鮮で「復権」しています。平壌にお墓があるようです。

朝鮮中央放送でそれが放映され、私はインターネットで見ました。金正日が崔承喜の再評価を許可したのでしょう。

なぜ復権されたのかはわからない。崔承喜がなぜ行方不明になってしまったのかも、はっきりしません。

友人に不平不満を漏らせば盗聴され、収容所送りになるのが北朝鮮ですから。

不破さんの提言は朝鮮労働党に無視された

不破哲三さんは北朝鮮、朝鮮労働党の実態を承知しつつ、首領に絶対性、無条件性の忠誠を誓う在日本朝鮮人総連合会と交流を再開しました。

不破さんが16年前に在日本朝鮮人総連合会に出した六項目の提言とやらは、朝鮮労働党に無視されました。これは、萩原遼さんが予見した通りです。

そもそも、不破さんの提言が朝鮮労働党に伝えられたかどうかも不明です。

日朝関係の打開めざして提言│朝鮮半島・不審船問題│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp)

大金を寄付できない人の話など、朝鮮労働党がきくはずがないのです。朝鮮労働党は数億円出しても、平壌に行って記念写真撮影を許可する程度の扱いしかしません。

朝鮮商工人はそのように扱われてきました。

在日本朝鮮人総連合会関係者や脱北者から沢山のインタビュー調査を行ってきた萩原さんは、不破さんの提言など相手にされないと簡単に予見できたのです。

不破さんの提言がどう扱われようと、大山奈々子神奈川県議は、朝鮮学校への無償化適用を断固主張しています。

大山奈々子神奈川県議は、朝鮮労働党による蛮行の歴史に一切関心がないようです。朝鮮労働党を平和勢力と信じて疑わないのでしょうね。

2021年10月2日土曜日

民青同盟員、若い日本共産党員は小林栄三監修「科学的社会主義 下」(新日本出版社より昭和52年刊行)を読もう!

田村智子議員も早大在学時、この本を一生懸命読んだのでは 

四十年ほど前の民青同盟ではこの本を一生懸命読みましょうと推奨していました。この本の上巻は、マルクス主義経済学や哲学の説明です。

岡本博之さんが監修しています。

民青同盟でいつ頃この本が推奨されなくなったのかはわかりません。私は四十年ほど前にこの本を一生懸命読みました。

田村智子議員が早大で民青同盟の活動に参加なさったのは37年くらい前かと思います。その頃ならまだ、この本が民青同盟で推奨されていたかと思います。

大山奈々子神奈川県議は、早大の学生だった頃、民青同盟には参加なさっていないようですね。この本を御存知ないかもしれません。

日本共産党新宿地区委員会にお勤めの中野顕さんはこの本をよくご存じです。お若い頃、一生懸命読んだのでしょう。

松竹伸幸さんは一橋大の学生だった頃、この本を一生懸命勉強なさったのではないでしょうか。

平和革命必然論者は右翼日和見主義

小林栄三さんによれば、日本革命の平和的移行の可能性を必然性にすりかえ、わが国で革命の平和的発展の道がすでに保証されているように考える「平和革命必然論」は右翼日和見主義です(同書p253)。

平和革命必然論は、米日支配層の反動的な攻撃のまえで、革命運動を政治的、思想的に武装解除するきわめて危険な路線だそうです。

田村智子議員は今では平和革命必然論を採用しているのでしょうが、それなら小林栄三さんに右翼日和見主義と言われてしまいそうです。

また小林栄三さんによれば、統一戦線政府によりアメリカ帝国主義は撤退して独立が達成されうると主張する、春日庄次郎さんらの構造改革論は典型的な日和見主義理論です。

「民主的改革」という改良の積み重ねで社会主義になる、という見解も日和見主義

春日庄次郎さんらは「構造改革」または「民主的改革」という改良の積み重ねによって独占資本主義の構造を改革し、社会主義革命に行くことができると主張しています(同書p159)。

春日庄次郎さんらは敵権力の善意または譲歩に希望をつないでいるから、日和見主義だそうです。

私には、小林栄三さんが上記のように要約している構造改革論は、今の日本共産党の綱領路線と殆ど同じと思えます。

志位さんが日本共産党の現綱領と、春日庄次郎さん、江田三郎さんの「構造改革論」の違いを説明してくださると一番良いのですが。

長洲一二教授(後に神奈川県知事)も、構造改革論者だったはずです。大山奈々子神奈川県議はこのあたりを御存知なのでしょうか。

日和見主義、とは革命的マルクス主義、レーニン主義の反対語なのでしょうか。

ソ連、東欧、中国、北朝鮮では男女同権が実

小林栄三さんによれば、社会主義国では物価の安定、失業の解消、社会保障の充実、男女同権など多くの国で資本主義に対する優位性を示しています(同書p308)。

ソ連、東欧、中国、北朝鮮では男女同権が実現していたそうです。小林栄三さんは何を根拠としてそう思ったのでしょうか。

池内さおりさんがこの本を読んだらどう思うでしょうか。

昔の日本共産党は、社会主義国では女性も政治犯収容所に連行されうるから、男女同権だという発想だったのでしょうか。

それほど素晴らしい事業を成し遂げたはずのソ連や東欧の社会主義国が崩壊したとき、小林栄三さんは宮本顕治さんと一緒に万歳を叫んだのでしょうか。

民青同盟員、若い日本共産党員がこの本を読んで下さったら良いですね。

大山奈々子神奈川県議は長洲神奈川県知事を尊敬なさっているようです。今からでもこの本を読み、春日庄次郎さんの構造改革論を学んだらいかがでしょうか。

2021年10月1日金曜日

昭和25~30年頃の日本共産党員は、臨時中央指導部(今の日本共産党は徳田・野坂分派と規定)こそ党中央とみていたー「日本共産党の八十年」(p107。日本共産党中央委員会発行)より

昔の野坂参三さんは平和革命論者で、宮本顕治さんは暴力革命論者だった 

今の日本共産党は、野坂参三さんは極悪人、宮本顕治さんは英雄という史観を普及しています。

野坂さんが帰国直後「愛される共産党」を訴える平和革命論者だったことなど、若い共産党員は知らないでしょうね。

宮本顕治さんが暴力革命論者だったことも、全く知らないでしょう。

昔から共産党は、最高指導者の無謬性宣伝を重視します。

わが党は一貫して正しい政策と見解を訴えてきた。それができたのは、科学的社会主義の理論と思想を体得した最高指導者がいたからだ、という理屈です。

日本共産党の場合、昔からの幹部は殆ど皆、除名されてしまいました。

今の日本共産党の立場なら、徳田球一さんも野坂さんと同様に除名されるべき人物です。

今の日本共産党は、昭和25年に起きた日本共産党の「五十年問題」とその後の武装闘争を、徳田球一さんと野坂参三さんらがソ連、中国の指示に従って分派を結成し行ったものと宣伝します。

徳田さん、野坂さんらに排除された宮本顕治さんは一貫して正しい主張をしてきたという史観を、志位さんは何としても普及するしかない。

宮本さんが暴力革命論者だったことを、志位さんは内緒にしたいでしょうね。

「日本共産党の八十年」と宮本さんの昔の論文を読みましょう

近年の日本共産党の文献と宮本顕治さんが昭和25年頃から出した論考を真面目に読めば、「武装闘争は徳田・野坂分派によるものだからわが党とは無縁だ」宣伝が成り立たないことがわかってきます。

本ブログではこれを繰り返し指摘してきました。

まず第一に、昭和25年から30年頃の日本共産党中央幹部で、ソ連、中国から提起された暴力革命論に反対した方はいません。

宮本顕治さんは昭和25年5月の「前衛」掲載論考「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」で野坂さんの平和革命理論を徹底批判しています。

宮本さんによれば、日本革命の「平和的発展の可能性」を提起する事や、議会を通じての政権獲得の理論は根本的な誤りです。

宮本さんのこの論考は、「日本共産党五〇年問題資料集1」(新日本出版社刊行)に掲載されています。この資料集も、入手しにくいでしょうけれど。


国際派だった志賀義雄さんは、昭和25年9月に臨時中央指導部の下に結集したそうです(「日本共産党の八十年」p109)。

第二に、宮本さんらは昭和26年10月頃には臨時中央指導部の下に団結していたという史実を指摘したい。

「50年問題」で日本共産党は大別して「所感派」「臨時中央指導部」(徳田・野坂分派と今の日本共産党は規定)と宮本顕治さんらの「国際派」に分かれて分裂します。

昭和26年8月にスターリンとソ連共産党が臨時中央指導部を正統派と認めたので、宮本さんらの組織「全国統一会議」は解散しました。

これは、「日本共産党の八十年」(p112)にも明記されています。

この時期の日本共産党員は、スターリンとソ連共産党、毛沢東と中国共産党を盲信していました。

シベリア抑留から帰ってきた元日本兵士の話を聞こう、という日本共産党員など殆どいなかったと考えられます。宮本百合子は例外でした。

宮本顕治さんらは臨時中央指導部を昭和26年秋には党中央と認め、51年綱領も正規の綱領と認めていたのです。

第三に、この時期の日本共産党の一般党員は殆ど皆、臨時中央指導部を党中央とみていました。

これも、「日本共産党の八十年」(p107)に明記されています。同書によれば、全国の党組織と党員の多くが臨時中央指導部に引き込まれました。

第四に、宮本さんが暴力革命論を明記した51年綱領を「かがやかしい新綱領」「新綱領が示した道が正しかった」と高く評価していた史実です(昭和30年8月の「アカハタ」掲載論考)。



内乱を訴えた32年テーゼを信奉していた宮本顕治さんが、暴力革命を主張する51年綱領を高く評価するのは当然です。

日本共産党職員や一般党員のtwitterを見ると、殆どの方は臨時中央指導部を分派と考え、日本共産党は武装闘争、暴力革命論と無関係と信じています。

山添拓議員、宮本徹議員、田村智子議員は恐らくそう信じているでしょう。殆どの日本共産党国会議員は、昔の宮本顕治さんの論考を読まない。

臨時中央指導部こそ党中央と信じ、武装闘争に身を投じた昭和27~28年頃の一般党員は分派活動に参加した乱暴者という話を信奉しています。

金日成神話を信奉する朝鮮労働党員、在日本朝鮮人総連合会の皆さんと日本共産党員は、似た思考方式を持っています。

宮本顕治さんは、武装闘争の熱がまだ冷めやらぬ昭和30年8月に、新綱領が示した道が正しかったと断言していました。

この件、志位さんは何としても内緒にしたいでしょうね。そのうち、不破さんの中国共産党礼賛も個人の所業という話になりそうです。




2021年9月26日日曜日

若き不破さんは、ソ連を世界革命の展開の基地と見ていた(「現代トロツキズム批判」。マルクス主義と現代イデオロギー上より)。

日本共産党員、左翼運動家は若き不破さんの論考、著書を読みましょう!

最近の日本共産党員は、日本共産党が一貫してソ連覇権主義と戦ってきたと思い込んでいます。

本ブログでは繰り返し、日本共産党によるソ連礼賛の歴史について述べてきました。

宮本顕治さんの昔の論文や、日本共産党第八回大会決定にはソ連礼賛がいくらでもあります。

若き不破さん、上田耕一郎さんも、ソ連を礼賛していました。

「マルクス主義と現代イデオロギー」(大月書店より昭和38年刊行)は、お二人が「前衛」などに掲載した論考集です。

この本の上巻に、不破さんの論考「現代トロツキズム批判」(「前衛」1959年6月号)が掲載されています。

若き不破さんはスターリンの理論で世界情勢を語っていた

若き不破さんは次のように語ります。

帝国主義の時代には社会主義は世界的な規模で同時に勝利することはできず、はじめに一か国ないし数か国で勝利します。

二つの体制の闘争のなかで、一連の新しい国々が帝国主義から離脱するという過程をとおって、世界的な規模で社会主義に到達します。

その中で、はじめに勝利した社会主義国家の存立を守り抜き、社会主義を建設し、そのあらゆる力量を強化することは、「世界革命の展開の基地」(スターリン)を守ることです。

それ自身、世界革命を推進するためのもっとも重大な課題です。

近年の不破さんには中国共産党が「世界革命の展開の基地」に思えた

不破さんがこの論考を書いたのは62年前ですが、近年不破さんが中国共産党を礼賛していた史実を思い起こしましょう。

不破さんには中国共産党が、「世界革命の展開の基地」に近い存在と見えていたのではないでしょうか。

そう考えると、なぜ不破さんが熱心に中国共産党を礼賛したのか、理解できます。

ソ連は崩壊したが、社会主義の中国は経済成長を達成して頑張っている、という調子です。

中国共産党幹部と北京で討論できて、不破さんは本当に嬉しかったのでしょう。

不破さんには中国が「世界革命展開の基地」に見えてきたのではないでしょうか。

マルクス主義経済学者はなぜ中国を国家独占資本主義と規定しないのか

ソ連、東欧社会主義が全滅した今日、中国が社会主義ではなく資本主義なら、革命理論など夢幻となってしまいます。

マルクス主義経済学者なら現代中国こそ、国家独占資本主義と見るべきです。帝国主義の段階に達した、という結論も出そうです。

それなら中国共産党が周辺諸国を侵略しうる、という結論が出てきます。こうなると、自衛隊の抜本的強化が必要だという話になります。

日本共産党、左翼にとって都合の悪い結論になる。厄介な事に首を突っ込むのはやめよう、という方が左翼人士には多いのでしょうね。保身第一、という話です。

不破さんの昔の論文も、今の不破さんや志位さんは内緒にするしかないですね。

日本共産党は内緒だらけの政党です。田村智子議員なら、これに気づいているでしょうね。

2021年9月20日月曜日

志位さんが宮本顕治さんの主著「日本革命の展望」や第八回大会決定を内緒にしたい理由を考える

 四十年ほど前、早大生だった私は宮本顕治さんの「日本革命の展望」をしっかり読むよう、民青同盟の先輩や日本共産党職員の方に言われました。

四十年などあっという間ですが、長い歳月です。松田聖子がデビューして間もなかった頃ですから。

早大の近くに、左翼の本を扱っている古本屋がありました。

私はそこで宮本さんの本や、不破哲三さんや上田耕一郎さんが若い頃書いた本を買って熱心に読みました。

不破さんの「マルクス主義と現代修正主義」、上田さんの「マルクス主義と平和運動」などです。百円で買えたように思います。

当時の民青同盟では、宮本顕治さんの「日本革命の展望」は、マルクスの「資本論」、レーニンの「唯物論と経験批判論」と同程度の名著だという事になっていました。

日本共産党が「日本革命の展望」は名著だという宣伝をやめたのはいつだったのでしょうか。

推測ですが、宮本さんが引退した平成九年頃かと思います。

敵の出方論、は宮本さんの日本革命理論の重要部分

志位さんは、「敵の出方論」が宮本顕治さんの日本革命理論の重要部分であることを内緒にしたいと考えられます。

最近の日本共産党の、「敵の出方論」に関する見解は次です。

「議会の多数を得ての革命」の路線は明瞭/政府の「暴力革命」答弁書は悪質なデマ (jcp.or.jp) 

この赤旗記事は、宮本さんが第七回大会、第八回大会で繰り返し語った日本革命理論、敵の出方論を内緒にしています。「日本革命の展望」について一切言及していません。

本ブログでは何度もふれてきましたが、宮本さんは第八回大会で春日庄次郎さんが提起した日本革命の平和的移行唯一論を社会民主主義への転落と断じました。

志位さんはこれはまずい、と思っているのでしょう。

今の日本共産党は、革命は漸次的に改革を積み重ねていくことにより実現できるのだ、という表現をよくしています。

これは第八回大会当時、春日庄次郎さん、山田六左衛門さんや社会党の江田三郎さんらが唱えた「構造改革論」と同じです。

志位さんは第八回大会当時の「反党分子」と、結局同じになったのです。

実は反党分子が正しかった、と志位さんが認めたら、厄介な事この上ない話に発展しかねません。

宮本顕治さんが指導した時期の大会決定や文献が日本共産党のHPに掲載されない理由

民青同盟員が宮本さんの「日本革命の展望」や第八回大会決定をどこかの古本屋で仕入れて読んだら、民青同盟を指導する日本共産党職員には厄介なことになります。

民青同盟員は、志位さんは春日庄次郎さんと同じだな、と気づいてしまう。

日本革命は平和的移行しかないですよ、と言われたら、日本共産党職員はどうすれば良いのでしょう。

「それは最終的には敵の出方により決まる。君は社会民主主義に転落しているよ。モスクワ声明を読みなさい」と言うのでしょうか。

宮本さんは第八回大会でそう言っています。モスクワ声明、とはソ連共産党が作成した共産主義運動の文書です。

第八回大会の頃、宮本さんはソ連共産党を盲信していました。

こんな話になったら困るから、志位さんは宮本顕治さんが主導した時期の大会決定や文献を、日本共産党のHPに掲載しないのです。

指導部が日本共産党の文献をあまり読まないよう、一般党員や職員に誘因付けをしている。

共産主義運動は崇高な理想を掲げていますが、指導者への盲信を普及する運動でしかない。

志位さんに度胸と気概があるなら、先日の中央委員会総会で第八回大会決定を破棄するべきでしたね。

第八回大会決定を破棄しない限り、日本共産党は日本革命の平和的移行唯一論を社会民主主義への転落、と断じていることになります。

憲法九条教徒は中朝を平和勢力とみなす

宮本顕治さんの文献すらまともに読めない民青同盟員は、日本革命について思考と議論ができないでしょう。

革命について思考するより、憲法九条完全実施と叫ぶだけの九条教徒になれば自分は立派な人間だと陶酔できます。

九条教徒は安全保障、中朝の核軍事力について一切の思考と議論をしない。

九条教徒は日米安保を批判する中国共産党、朝鮮労働党を大局的には平和勢力とみなす。レーニンの帝国主義論の見地なら、そういう結論になります。

今の日本共産党議員、職員の皆さんの殆どが、宮本さんの文献など全く読んでいないように私には思えます。

日本革命の展望はありません。









2021年9月18日土曜日

昔の日本共産党は暴力革命集団だったー暴力革命論の時代、日本共産党は中国共産党から学んで武装闘争

 昔の日本共産党は、暴力革命論を採用していました。

戦前の日本共産党の最高の理論的到達と言われる32年テーゼは、内乱を起こせと主張していますから、暴力革命論です。

51年綱領も、日本の変革を平和的な手段で行えると考えるのは間違いと明記していますから、暴力革命論です。

この件は、本ブログでも何度か説明してきました。

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 日本共産党の暴力革命論について―宮本顕治氏は51年綱領(暴力革命論)の積極面を第七回大会報告で認めていた(昭和33年7月)― (blueribbonasiya.blogspot.com)

twitterを拝見しますと、日本共産党支援者は勿論、同党の議員、職員の方々は殆ど皆、宮本顕治さんが一貫して平和革命論者だったと信じているようです。

田村智子議員、宮本徹議員、山添拓議員はそのような呟きをしています。

小原隆治早大教授(政治学者)のtwitterもそんな印象です。

小原教授は政治学者なのですから、日本共産党の歴史について見解を表明するなら宮本顕治さんの論文を図書館などで読むべきではないでしょうか。

早大の図書館なら、古い「前衛」や昔の赤旗の縮刷版があるでしょう。

昭和25年の日本共産党の50年問題の際にも、宮本顕治さんが平和的変革を主張したから暴力革命論者だった徳田球一、野坂参三両氏から排除されたと思い込んでいる方が実に多い。

宮本顕治論文「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」を読みましょう

本ブログで何度も紹介してきましたが、宮本さんは昭和25年5月に「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」(「前衛」1950年5月号掲載)という論文を発表しています。

この論文で宮本さんは日本革命の平和的発展の可能性を提起することや、議会を通じての政権獲得の理論は根本的な誤りと断じています。

この論文は、共産党・労働者党情報局ことコミンフォルムによる野坂参三批判(昭和25年1月)に同調して出されたものです。

宮本さんは徳田、野坂両氏から排除されましたが、暴力革命が必要だという点では完全に一致していたのです。

昭和25年6月頃日本共産党は一時的に分裂ー昭和26年10月頃に臨時中央指導部の下に団結

小山弘健「戦後日本共産党史」(三月書房昭和33年刊行)等によれば、日本共産党中央はコミンフォルムによる野坂批判後、混乱して分裂します。

昭和25年6月に、徳田派の中央委員が非公然活動に入りました。少し前に徳田派は、8人の臨時中央指導部を任命しました。

日本共産党は、臨時中央指導部側(所感派。徳田・野坂派と最近の日本共産党は言う。河田賢治さん、谷口善太郎さんも加入)と国際派(宮本顕治さん、春日庄次郎さん、山田六左衛門さんら)に大別して分裂しました。

国際派、の中にもいろいろな集団がありましたが。

昭和25年6月25日、朝鮮人民軍が南進しました。朝鮮戦争開始です。

国際派は「全国統一委員会」「全国統一会議」という組織を作って臨時中央指導部に対抗しました。

昭和26年8月にコミンフォルムから「臨時中央指導部に元に団結せよ」という指令が出されます。

これにより、全国統一委員会の側は昭和26年8月から10月にかけて解散し、臨時中央指導部の下に日本共産党は再結集していきます。

この時代の日本共産党幹部にソ連、中国の権威に逆らえる方はいません。

日本共産党は中国共産党の「鉄砲から政権が生まれる」革命理論から学んで武装闘争

昭和26年10月の第五回全国協議会で「新綱領」(51年綱領)が採択されました。

小山弘健氏によれば、臨時中央指導部に反対してきた党員たちは、復帰条件として新綱領と第四回全国協議会規約の承認及び、分派としておかした誤りの告白と謝罪、その克服を強要されました。

宮本顕治さんもこの時期に、臨時中央指導部から自己批判を強要されたと考えられます。

小山弘健氏によれば、「国際派」の方々は、臨時中央指導部に自己批判書を提出したそうです。この自己批判書は、日本共産党の「五十年問題資料集」には掲載されていません。

昭和26年10月頃に分裂状態をなくした日本共産党は、昭和27年頃に武装闘争を活発に行いました。

小山弘健さんの本によれば、昭和27年2月の「内外評論」(球根栽培法)という冊子に「中核自衛隊の組織と戦術」という小論があります。

日本共産党は武力革命を次の三つの段階に分けました。

第一段階では軍事委員会の指導で中核自衛隊を組織する。

第二段階では中核自衛隊の指導下で、大衆を抵抗自衛組織に組織する。

第三段階では抵抗組織を人民軍にし、武力革命に突入する。

実に物騒な話ですが、中国共産党の「鉄砲から政権が生まれる」論を日本に適用するとこうなるのです。

この時期の日本共産党は、中国共産党からの革命理論を良く学んだと考えられます。徳田氏らは臨時中央指導部を北京から指導したのですから。

昭和27年5、6月頃に日本共産党は各地で火炎瓶闘争を実施しました。吹田事件、枚方事件などです。

宮本流日本共産党史観では、日本共産党が団結を回復したのは昭和30年7月の第六回全国協議会ですが、これは武装闘争は自分たちとは一切関係ないことにするためです。

昭和30年8月、宮本顕治さんは51年綱領(新綱領)をアカハタ紙面で称賛

宮本顕治さんと志田重男さんが主導して行われた第六回全国協議会決定は、新綱領の規定が全て正しいと主張しています。


宮本さんは昭和30年8月の「アカハタ」で、新綱領(51年綱領)を称賛しています。かがやかしい新綱領が示した道が正しかったそうです。


宮本顕治さんがかがやかしい新綱領、とやらに導かれて行った武装闘争が正しかったと断言していたことを、日本共産党議員や支援者の方々は重く受け止めていただきたいですね。

昔の日本共産党は物心両面で中国共産党の世話になった

武装闘争の時代の日本共産党は、中国共産党に物心両面で世話になりました。

国谷哲資さんの論考「北京追憶 若者が体験した戦後日中関係秘史」によれば北京機関には、日本共産党員が2000人程度所属していました。



北京での滞在費用はソ連共産党、中国共産党の負担ですから。

5、6年もしくはそれ以上、中国に滞在した日本共産党員の生活費用を、中国共産党が負担したのです。

今の価格で考えれば、数億円になりそうですね。もっとかもしれません。

日本共産党はこの時期中国共産党に干渉された、などと怒るのは適切ではない。物心両面で世話になったと礼を言うべきです。




2021年9月10日金曜日

志位さんは「敵の出方論」を定式化した第八回大会宮本顕治報告を破棄できない

 志位さんが先日の日本共産党中央委員会総会で、「敵の出方論」は日本共産党が相手の出方によっては非平和的な方針を取るかのような、捻じ曲げた宣伝をされるのでこの表現を使わないと述べました。

「敵の出方論」とは、宮本顕治さんの主著「日本革命の展望」に繰り返し出てくる表現です。

「日本革命の展望」は宮本さんが日本共産党第七回大会から第八回大会(昭和36年7月)にかけて、中央委員会などで行った報告集です。

志位さんは「敵の出方論」という表現を使わないでほしいのでしょうが、日本革命の展望や第八回大会決定を破棄しよう、とは言えない。

志位さんが宮本さん批判をやったら、面倒なことがいろいろ生じるでしょう。

志位さんは昔の日本共産党の文献を内緒にするしかない。

春日庄次郎さんは日本革命の平和的移行唯一論を唱えたー宮本顕治さんは春日さんを徹底批判

第八回大会の頃、春日庄次郎さんという日本共産党の幹部が日本革命の平和的移行唯一論を唱えました。

春日庄次郎さん一派が唱えた革命理論はその後、「構造改革」と呼ばれました。後に神奈川県知知事になった長洲一二教授も、このグループに所属していました。

宮本さんによれば、日本革命の平和的移行唯一論者は社会民主主義的見地への完全な転落です。

宮本さんによれば日本共産党は、国際共産主義運動の一致した命題、モスクワ声明にもとづき、人民の側の意向だけでこの問題を決定することはできないという階級闘争の弁証法を知っています。

まわりくどい表現ですが、宮本さんはこういう空虚な言い回しが好きな方でした。要は、偉大なソ連共産党の理論を信じようという話です。

宮本顕治さんの「日本革命の展望」はソ連信仰を前提にしている

志位さんは本音では、国際共産主義運動の一致した命題、モスクワ声明などくだらないと思っているのかもしれません。

階級闘争の弁証法、などを知ったら敵の出方論者になるのでしょうね。

宮本顕治さんの主著「日本革命の展望」の大前提は、ソ連信仰でした。

日本革命、などないのです。株式市場、金融資産市場が存在する市場経済は、資本主義経済とみなすべきです。

金融資産市場を廃止したら、企業は資金調達ができません。日本共産党と同党を支援するマルクス主義経済学者は企業経営についての思考と議論をしない。

志位さんは「敵の出方論」はつまらない話だな、と本音では思っているのかもしれません。

日本共産党員は第八回大会決定や宮本さんの「日本革命の展望」を改めて読むべきではないでしょうか。

現状では、日本共産党員は宮本さんが主導した時期の大会決定を入手しにくくなっています。

宮本さんによれば、ソ連は共産主義社会の全面的建設を成功裏に進め、世界平和の強力な砦になっています。

ソ連万歳、という話です。昔の日本共産党員はこんな宣伝が好きでした。根拠など何もない。

北朝鮮が地上の楽園だ、という宣伝と同じような話です。




今の日本共産党員が憲法九条を深く信仰しているように、昔の日本共産党員はソ連を信仰していたのです。ソ連教徒が、九条教徒。



2021年9月8日水曜日

松竹伸幸さんの日本共産党の党首公選論より、伊里一智さんの訴えを思い起こして

 日本共産党中央の政策委員会という部署に長くお勤めだった松竹伸幸さんがブログで、日本共産党の党首を党員の公開直接選挙で選ぶべきと訴えています。 

松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp)

松竹伸幸さんによれば、党首になりたい日本共産党員が地域の会議から代議員となり、次から次へと代議員に選出され、さらに全体の大会で中央委員、党首と選出されたら党首になれます。

しかし現在の規約では、他の党員に党中央の政策と異なる政策を表明、普及できません。

伊里一智さんの訴え「気分はコミュニスト」(日中出版)

35年ぐらい前ですが、東京大学の院生で日本共産党大会の代議員になって当時の党首、宮本顕治さんの退陣を訴えようとした方がいました。

この方が伊里一智というペンネームで「気分はコミュニスト」(日中出版昭和61年刊行)という本を出しています。

伊里一智さんはビラを配布するなどして日本共産党を批判したので、除名されました。

分派の結成を策した、というような話で、院生の中で同じ行動をしていた方も除籍になったようです。

伊里一智さんの本には、Yという名前の方が同調者として出ています。

この方が、その後ロシア語通訳として大成された方(故人)なのかどうか、私にはわかりません。

行方克也さんによる原則的で非妥協的な対応

伊里一智さんの件について、行方克也さんの日本共産党大会での発言が第十七回大会特集に掲載されています。

行方克也さんは、日本共産党東京の職員の方と考えられます。

行方克也さんによれば、伊里一智さんらは民主集中制の緩和と称して、理論派閥の容認、横の交流の拡大、党外出版物での批判の容認などを求めました。

行方さんは、これは分派容認であり、分派主義、解答主義の主張であるから、今後も原則的で非妥協的な対応をすると述べています。

松竹さんは理論派閥容認や横の交流拡大、党外出版物での批判の容認など主張していませんが、党首を党員の直接選挙で決めるなら、同じことになりそうです。

30数年前なら松竹伸幸さんも原則的で非妥協的な対応、とやらを日本共産党職員にされたのかもしれません。

その後一般党員がインターネットで日本共産党を批判してもそれはおかしいよ、と言われる程度になったようです。twiitterなどにそんな話が時折出ています。

伊里一智さんはその後、東京の大学教員になったようです。以前、インターネットに出ていました。

推測ですが、日本共産党から除名されて本当に良かった、という御気持ちではないでしょうか。Yさんも多分、同じだったでしょう。

理論派閥、とやらも容認できない政党では、党員は思考力が麻痺してしまいます。朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会と同様です。

伊里一智さんの提案の一つ、社会党の一方的応援はその後、立憲民主党を政策協定なしで応援するという形で実現しました。

志位さんが、伊里一智さんの昔の提案を思い出したのかもしれませんね。

日本共産党と昔の社会党の共通点ー非武装中立論の採用

松竹伸幸さんは日本共産党が自衛隊活用論を言いながら実際は自衛隊解散、日米安保廃棄を目指しているので非武装中立論になっているとブログで主張しています。

この点、私もそう思います。非武装中立論ですから、日本共産党の防衛政策は昔の社会党と同じです。

憲法九条完全実施なら、自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることになります。

日本共産党は繰り返し、憲法九条完全実施を訴えています。さいとう和子さんは憲法には一ミリも触れさせない、と訴えています。

日本共産党の安全保障論は自衛隊の違憲・合法論になっているともいえる。違憲の自衛隊が、自衛隊法により防衛出動せよという話ですから。

これでは駄目だ、という発想で松竹さんは党首公選論を訴えているのでしょうが、志位さんがこれを受け入れる可能性はゼロに近い。

志位さんが党首を党員の選挙で選ぼう、選挙戦では公開で論戦をしよう、と決断すればできそうですが。

党首公選実施のためには規約改正が必要

日本共産党規約第十三条は、全ての指導機関は党大会、それぞれの党会議、支部総会で選挙によって選出されると明記されています。

指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦します。この条項により、大会で誰が次期の中央委員になるかを、現在の指導機関が推薦できます。

現在の指導機関により選ばれた中央委員が、党首の意思と異なる方を指導機関に推薦するはずもない。

規約第十七条は、国際的・全国的な問題については党員は党の全国方針に反する意見を勝手に発表しない、とあります。

党首選挙で候補者が論戦をするなら、第十三条と第十七条を改正せねばならないでしょう。

候補者は国際的・全国的な問題について全国方針に反する意見を勝手に発表するでしょうから。

規約に何がどう記載されていようと、志位さんが良い、と言えば日本共産党では良いのかもしれませんが。朝鮮労働党と日本共産党は似ています。

日本共産党の党首公選が実現しても、自衛隊解散・日米安保廃棄なら金正恩が日本に核攻撃

ところで、自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にするという日本共産党の宿願が実現したら、金正恩は日本に核攻撃を断行して民族の英雄になるでしょう。

自衛隊解散、日米安保を廃棄した頃に日本共産党の党首が党員の選挙で選ばれても、金正恩により水葬されてしまう可能性があります。

水葬、とは物騒な表現ですが、平成26年11月23日の朝鮮中央通信に掲載されている国防委員会声明は日本を水葬する、と述べています。

松竹伸幸さんのブログには、金正恩と朝鮮労働党による核ミサイル攻撃に日本がどう反撃すべきか、という話が出ていません。

日本共産党員は朝鮮労働党の核軍事力についての思考と議論を嫌がります。厄介だからでしょうね。







2021年9月4日土曜日

日本共産党はなぜ中国共産党との合意を破棄できないのかー不破哲三「党綱領の力点」(平成26年刊行)と松竹伸幸さんの提案より思う

宮本徹議員は志位さんに日中両党合意破棄を提案すべきだ

最近の日本共産党は、自分たちは中国共産党とは全く異なると宣伝しています。

宮本徹議員はtwitterの冒頭で中国共産党は共産党という名に値しない、と主張しています。

それなら、平成十年(1998年)に不破さんが主導して締結した中国共産党との合意を破棄しよう、と宮本徹議員は志位さんに提案すれば良いではないですか。

この合意が存在する限り、日本共産党は中国共産党を中国社会の変革の担い手、科学的社会主義の党とみなしている事になります。

両党関係を正常化する、とはそういう意味ですから。

日中両党合意の四より、日本共産党は人民解放軍による赤旗記者射殺について完全沈黙

合意の四には、双方は両党間に存在した歴史問題が基本的に解決したことを確認し、という記述があります。

私見ではこの合意により、日本共産党は人民解放軍による高野赤旗記者射殺について、中国共産党に謝罪や補償を求めることができなくなりました。

赤旗記者射殺について何も言えなくなったのですから、不破さんは中国覇権主義に屈服した、という批判が日本共産党内部から出てきても良さそうなものですが。

近年の志位さんは人民解放軍による赤旗記者射殺について、完全に沈黙しています。

なぜ日本共産党は中国共産党との合意を破棄できないのか

日本共産党が中国共産党との合意をいまだに破棄できない理由は以下にあると考えます。

不破さんは著書「党綱領の力点」(p126)で次のように述べています。

同じく社会主義を目指し、科学的社会主義(マルクス主義)という理論の原点は共通であっても、歴史の中で形成されてきたお互いの理論体系には二つの文明ともいうべき違いがある。

二つの文明は、異なる価値観を持った二つの文明ではない。

科学的社会主義(マルクス主義)という共通の源流に立った二つの文明である以上、大きな接近は可能だし、そこに歴史の発展的な方向がある。

それには大河の流れるような歴史的時間が必要である。

不破さんは中国共産党が建国以来、覇権主義で人権抑圧集団であることを熟知しています。

中国共産党は建国直後に、朝鮮戦争に参戦しています。これは大韓民国への侵略です。

この少し後に、人民解放軍はチベットに侵攻。奴隷制からの解放と称して僧侶を虐殺。

新疆や内モンゴルでも、中国共産党は虐殺を繰り返してきました。大躍進では、3000万人ぐらいの餓死者を出したと言われています。

中国共産党による蛮行の歴史を熟知して、日中両党は科学的社会主義という共通の源流に立った二つの文明であると不破さんは評価しました。

日本共産党幹部、職員は不破さんを公の場で批判できない

中国共産党が中国社会の変革の担い手、科学的社会主義の党である以上、大河の流れるような歴史的時間が経過すれば、国民に思想信条の自由、言論の自由、結社の自由を認め、覇権主義を放棄するだろうという話です。

大河の流れるような歴史的時間、ですから不破さんは数千年を想定しているのでしょう。

黄河文明は三千年くらい前でしょう。

三千年くらい、中国共産党は覇権主義で人権抑圧を継続するだろうと不破さんは見ているのかもしれません。

日本共産党幹部、職員は不破さんのこの歴史観を、インターネットなど公の場で批判できません。

一般党員なら、不破さんや志位さんを公の場で批判しても規約で処分されない場合もあるでしょう。

日中両党合意は、不破さんの歴史観、大局観により今日でも生きた力を発揮しているのです。

不破さんは中国覇権主義に屈服したのです。それだけの話なのですが。

松竹伸幸さんは日本共産党の党首選挙実施を主張しているがー故萩原遼さんは三役公選制を提案

松竹伸幸さんはブログで、日本共産党の党首選挙実施を主張しています。

松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp)

松竹さんによれば、日本共産党幹部内でも綱領にある自衛隊の規定について解釈の相違があるそうです。

そこで松竹さんは、日本共産党は党首選挙を実施し、議論を公開すべきと主張しています。

故萩原遼さんは著書「朝鮮と私 旅のノート」(文春文庫)で日本共産党の三役を全党員による公選制にせよと主張しました。

萩原さんはその後、不破さんを批判したことなどの理由で除籍となりました。

志位さんが松竹さんの提案を受け入れることなどありえない。松竹さんは実情を良く御存知でしょうけれど。

中国共産党が主席を党員の公選制で選出することなどありえないことと同じです。

日中両党は、科学的社会主義の党、レーニン、スターリンの思想と伝統を継承する党ですから。





2021年8月29日日曜日

昭和48年頃、民主連合政府ができていたら人民解放軍が日本に侵攻ー上田耕一郎・工藤晃編「民主連合政府で日本はこうなる」(新日本新書)より思う

日本共産党が躍進した時代 -背景にベトナム反戦運動

日本共産党は第十二回大会(昭和48年11月)で「民主連合政府綱領提案」を提起しました。

この翌年、「文藝春秋」6月号に「グループ1984年」の共同執筆としてこの提案を批判する論考が発表されました。

この論考に対する反論として、上田耕一郎、工藤晃、新原昭治、宇野三郎の四氏がこの本を書いています。

昭和40年代、日本共産党は国政選挙、地方選挙で伸びていました。

1970年代の遅くない時期に民主連合政府を、と訴えていました。

東京、大阪、京都と革新自治体も増えていましたから、ありえない話ではなかった。

日本共産党躍進の背景の一つは、ベトナム戦争でした。

ベトナム反戦運動が高揚し、米国を批判する社会党や日本共産党が平和を守っていると考えた若者は少なくなかった。

団塊の世代の方々です。戦争を知らない子供たち、という歌が大流行しました。

朝鮮戦争も、米国と韓国が始めた戦争だと思い込んでいる方が多かった。金日成は朝鮮民族の英雄でした。

左翼、社会主義に対する幻想が幅広く普及していた時代だったのです。

山本薩夫監督の「戦争と人間」は、中国共産党と毛沢東、金日成への幻想を広めました。

日本共産党の戦争と平和理論ー金融資本が戦争を起こす

上田、工藤両氏によれば、日本の安全に対する脅威は、アジアのどこかの国から侵略される危険にあるのではなく、日米軍事同盟の下で日本がアメリカの侵略に巻き込まれる危険、あるいはアメリカにくっついて、再び他国を侵略する危険にあります(同書31)。

自衛隊はアメリカ帝国主義が直接指図してつくりあげ、育て上げてきた対米従属の侵略軍隊だそうです。

日米安保廃棄、自衛隊解散は日本が米国の指揮下で強盗の共犯者にされる危険を断ち切る段取りだそうです(同書p31)。

この見解は、日本共産党の平和理論の中核ともいうべき点で、今でも継承されています。志位さんや小池さんは時折、こんな話を喜んでしています。

対米従属の侵略軍隊である自衛隊がアフガニスタンに行くのは、米国の機嫌取りでしかないと志位さんは考えているのでしょうね。

この見解の背景となっている経済理論は、金融資本が戦争を起こすというレーニンの帝国主義論です。

ソ連や中国、北朝鮮には金融資本がないので、戦争を起こす経済的基盤がないという話です。

民主連合政府が実現したらどうなったか

歴史にもしも、ですが社会党が共産党と政権協定を締結し日米安保廃棄、自衛隊解散を総選挙で公約として掲げて勝ったら、民主連合政府が実現していた可能性はあります。

この本は民主連合政府で国民生活は抜本的に改善されるとか述べていますが、ありえません。

昭和48年頃に日米安保廃棄、自衛隊解散が実現したら毛沢東は人民解放軍に日本侵攻指令を出したでしょう。

毛主席は世界人民の領袖、なのです。日本人民を解放するため、人民解放軍が日本侵攻。これは毛沢東思想から導かれる当然の結論です。

人民解放軍に抵抗する日本人は、日本反動、日本鬼子、です。

日本国家には一切、反撃力はありませんから人民解放軍や紅衛兵の日本侵攻、攻撃を阻止することなど不可能です。

反撃が皆無なら、東京や大阪だけでなく沖縄にも人民解放軍を進駐させ、軍事基地を作れば「台湾解放」は容易です。

中国共産党は新疆ウイグル自治区などで核実験を繰り返し、着実に核兵器を増強していました。

上田耕一郎さんらは第九回大会決定のように中国共産党の核は世界平和を守る、と信じて疑わなかったのでしょうね。

蒋介石、蒋経国と国民党は人民解放軍との開戦を決意しうる

しかし蒋介石、蒋経国が人民解放軍の日本侵攻を黙視するはずがない。

沖縄に侵攻してくる人民解放軍に戦争を挑むか、日本侵攻で手薄になった中国本土を攻撃、侵攻した可能性もあります。

上田耕一郎さんらは中国は社会帝国主義だ、というこの頃の日本共産党の論文を読んでいなかったのでしょうか。

現実には、この本が出た五年後に人民解放軍はベトナムに侵攻します。ベトナムを懲罰するという話でした。

金日成も戦意満々です。米軍が日本からいなくなったなら、南朝鮮革命の絶好の機会到来です。

朝鮮人民軍のソウル侵攻がありえた。朴正熙大統領なら、徹底抗戦したでしょう。実に物騒な話です。

当時の日本共産党は、中朝露が平和国家と大真面目に考えていました。社会主義国ですから、侵略をする経済的基盤はないという信仰の虜になっていたのです。

今の日本共産党は憲法九条教徒です。昔はレーニン教徒。今もそうかもしれませんが。

日米軍事同盟と自衛隊が日本国家を、人民解放軍、ソ連軍、そして朝鮮人民軍から守ってきたのです。




2021年8月27日金曜日

志位和夫委員長の声明「卑劣なテロを厳しく非難する」(8月27日)より思うー志位さんはアフガニスタンに行くべきだ

志位さんが、アフガニスタンでのテロについて声明を発表しました。 

卑劣なテロ犯罪を厳しく非難する――「法の裁き」による解決という原点にたった行動を│声明・談話・発言│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp) 

この声明に対しtwitterで沢山の方が、テロリストを逮捕し法廷に連れてきてくれる国際警察、司法組織などないと指摘しています。

国際法に基づく法の裁き、をIS関連組織に実行してくれる国際警察など存在しません。

日本共産党職員は志位さんに進言や提案をできない

現在、アフガニスタンを実効支配しているのはタリバンです。

アフガニスタンの現政権、タリバンがIS関連組織を捜査し、逮捕して犯人に国際法に基づく法の裁きとやらをするなど考えられない。

ナイジェリア北部にいるボコ・ハラムとかいうテロ組織を捜査、逮捕する国際警察も存在しません。

志位さんが物事を真面目に考えるなら、国際警察とやらがアフガニスタン内で捜査をせねばならないことに気づいたはずです。

捜査のためには、国際警察とやらはタリバンと交戦することになる。

これは結局、報復戦争です。

日本共産党には、志位さんに国際警察などありませんよ、と進言する職員がいないのでしょうね。

日本共産党職員が、志位さんに数人で提案や進言をしたら分派結成とみなされ、処分されます。

職員が志位さんの談話はおかしい、と周囲の仲間に食事の席で呟いても、処分されうる。

志位さんが吉岡正史さんとアフガニスタンに行き、テロリストと話し合うべきだ

志位さんの真意は米国は直ちに報復戦争を実行せよ、ではありえない。

志位さんは、米国がテロリストにいかなる報復もせず、大統領による非難声明を出す程度にしておくべきだ、と言いたいのでしょう。

志位さんがアフガニスタンに行き、テロリストと話し合って自首を勧めたら良いのです。

憲法九条を基礎にした野党外交という路線でテロリストとの対話を実行していただきたい。


2021年8月24日火曜日

日本共産党員はレーニンの蛮行指令と大量餓死の史実を直視すべきだー聴濤弘「カール・マルクスの弁明 社会主義の新しい可能性のために」(大月書店より平成21年刊行)より思う

聴濤弘さん(日本共産党元参議院議員)はソ連問題、社会主義論の専門家として知られた方です。

聴濤弘さんはソ連、社会主義について何冊も著作を出しています。私は若い頃、聴濤弘さんの著作を繰り返し読みました。

本ブログでは何度か、聴濤さんの著作について論じてきました。

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 8月 2016 (blueribbonasiya.blogspot.com)

最近の日本共産党員と同党を支援するマルクス主義経済学者は搾取制度の廃止、生産手段の社会化とは一体どんな企業運営、財とサービスの配分方法なのかという点についての思考と議論を拒否しています。

一昔前の共産党員はこの件について、ソ連や東欧を見よという話をしていました。

聴濤弘さんはその中心でした。「資本主義か社会主義か」(新日本出版社昭和62年刊行)という本もあります。

ソ連崩壊の3,4年前に出た本ですが、まさにソ連を見よ、という論調です。

「資本主義か社会主義か」はロシア革命により、世界で最初の八時間労働制が実施された、医療と教育が無料になり、老後の心配がなくなったという宣伝を実行しています。

マルクス、聴濤弘さんが説く「社会的理性」とは

「カール・マルクスの弁明」の第一章「マルクスの社会主義論」の十六、生産手段の社会化が新しくつくりだすもの、で聴濤弘さんはマルクスに依拠して次のように語っています。

社会主義では生産手段が社会化されているので、生産物はどれだけ社会が必要としているかを知る「社会的理性」が事前に発揮されます(同書p102)。

社会的理性の発揮により失業はいうまでもなく、不況と恐慌を防ぎ、生産を計画的に行い、効率よく生産活動を行えるそうです。

しかし「社会的理性」、とは一体何でしょうか。

「社会的理性」とやらの存在証明を聴濤弘さんはしていません。

これではマルクスかく語りき、されば信じなさい、という話でしかない。

私には社会的理性の発揮、とはマルクス教信仰の勧めとしか思えません。

近年の日本共産党は憲法九条教徒ですが、昔はマルクスやエンゲルス、レーニンを信仰していました。

人は、何かに心酔してしまうとそれ以外何も見えなくなることがあるようです。

心酔の対象を否定する事実や主張について、思考と議論をできなくなる。

聴濤弘さんはなぜレーニンによる地主、貴族、富農、ロシア正教会弾圧指令に目を背けるのか

本ブログでは繰り返し、レーニンによる残虐な弾圧指令を紹介してきました。

これらはレーニン全集に掲載されているのですから、聴濤弘さんなら随分昔から知っていたはずです。

レーニンとボリシェヴィキが当時のロシア国民に甚大な被害を与えたことについて、聴濤弘さんは思考するのが嫌なのでしょうか。

聴濤弘さんは「カール・マルクスの弁明」(p134-135)で、ソヴェト政権が農民の穀物を余剰部分だけでなく、必要部分の徴発も行ったことが指摘しています。

聴濤弘さんは餓死者が大量に出たことも指摘しています。この点では、不破さんよりましです。

自分たちが食べるための穀物まで徴発されたら、相当数の農民がソヴェト政権に徹底反抗するのは当然です。

ロシア革命後の内乱は、ボリシェヴィキによる貴族と地主の財産没収と追放、富農とレッテルを貼られた農民に対する過酷な穀物挑発、ロシア正教会弾圧策に対する抵抗運動でした。

これが反革命で弾圧されるべきなら、貴族と地主、ロシア正教会聖職者、富農とレッテルを貼られた農民は黙って餓死すべきだったのでしょうか。

ロシア皇帝一家虐殺はソヴェト権力を守るために必要だったのでしょうか。

八時間労働制と医療、教育の無償化実現のためには、農民の大量餓死が必要不可欠だったという話でしょうか。

ネップ(新経済政策)の前からソ連で大量餓死ー90年代後半の北朝鮮と同様

歴史にもしも、ですがロシア革命がなければ、失業者は出ても大量餓死は生じなかったと思えてなりません。

資本主義経済なら、穀物を加工して販売する企業は農民から穀物を購入するだけですから。

やや古い文献ですが、G. ボッファの「ソ連邦史1」(大月書店1979年、p191)は新経済政策が始まった頃のソ連の飢餓で、300万人が餓死した可能性を示唆しています。

浮浪児が至る所にあふれ、1922年にはその数が550万人に及んだとあります(同書p191)。新経済政策が始まった頃のソ連は、1990年代後半の北朝鮮と似ています。

近年の研究では、梶川伸一教授の「ボリシェヴィキ権力と21/22年飢饉」(史林(2013), 96 (1): pp.128-166)が詳しい。

この論考によれば、1920年夏にソ連の中央農業地帯は旱魃により凶作になりました。それでも穀物の徴発が継続されました。

降水量が少ない地域では凶作が続き、1921年春から夏に飢餓状態になっていきました。飢饉は伝染病を伴い、膨大な犠牲者を出しました。

近年の日本共産党は、レーニンの時代のソ連を理想郷のように描いています。大量餓死者が出ている社会がなぜ素晴らしいのでしょうか。

梶川教授によれば、この時の飢餓救済の主力はアメリカ救済局(American Relief Administration)です。

聴濤弘さんはこの時期のソ連での大量餓死は、レーニンとボリシェヴィキが始めた穀物の強制徴発は無関係と考えているのでしょうか。

聴濤弘さんらソ連を長年礼賛してきた日本共産党員、同党を支援するマルクス主義経済学者は、レーニンとボリシェヴィキによる蛮行の歴史、大量餓死の史実を直視すべきです。

ロシア革命がなければ資本主義経済として成長が実現

聴濤弘さんはレーニンのネップは1922年末にはその効果を発揮し、ロシア経済はレーニン亡き後の1926,1927年にはロシアの資本主義が一番発展した1913年の水準を凌駕したと述べています(「カール・マルクスの弁明」p151)。

これは、スターリンとソ連共産党はレーニンの遺志を継承してよくやったという話です。

歴史にもしも、ですがロシア革命などやらずに資本主義経済の成長政策を実行していた方が、ロシア国民にとってどれだけ良かったかわからない。

ロシアには石油など天然資源が豊富にあります。

天然資源の採掘、輸出を外国企業と協力して実行していけば、相当な外貨が得られる。これで社会資本を建設し、国民生活を向上できたでしょう。

内戦と大量餓死でどれだけ民衆が犠牲になったのか。当たり前ですが、大量餓死により人口が激減したら経済には大打撃です。

レーニンに心酔している日本共産党員には、想像力が全くないようですね。毛沢東語録を振りかざす紅衛兵と、憲法九条教徒は似ています。





2021年8月21日土曜日

レーニンは商業を投機、資本主義と見たー「食糧税について」(レーニン全集第32巻所収、大月書店刊行)より思う

搾取制度を廃止したら会社はどうなるのか

搾取制度の廃止とは一体どんな企業経営方式を意味しているのでしょうか。

日本共産党は搾取制度の廃止とは生産手段を社会化する事だと主張します。

生産手段を社会化すると、株式会社はどうなるのか。わが社はどうなるのか、という話です。

株主は働かずに配当所得を得るから、株式会社が存在すれば搾取制度は存続する。

本ブログやtwitterで私は繰り返しこのように主張してきました。

この件で、何らかの解答や反論をした日本共産党員は一人もいません。

わが社はどうなるのか、という程度の疑問に、日本共産党と同党を支援する知識人は解答できないのです。

日本共産党員とマルクス主義経済学者が搾取制度の廃止について考えなくなった

日本共産党員と同党を支持するマルクス主義経済学者は、搾取制度の廃止と企業経営方式の関係について思考と議論をすることを嫌がります。

日本共産党を支持するマルクス主義経済学者は、レーニンの著作を読んでこの問題を考えるのも嫌なのかもしれません。

日本革命など、ありえませんね。

一般に、誰かがある制度を導入したい、制度改革をしたいというなら、その制度を導入、改革をすると今とどう変わるのかを、簡単にでも説明せねばならない。

制度導入後の下絵を提示しなければ、賛同者を増やせません。

日本共産党員はそれができない。搾取制度廃止後の制度の簡単な下絵すら提示できないのですから。

レーニンは投機を資本主義と考えた

搾取制度を廃止する企業運営、財の生産と配分とは一体何なのか。

レーニンとボリシェヴィキはこの問題に直面し、戦時共産主義と称する穀物の徴発策を実行しました。

レーニンは農民が余剰穀物を保有しておくことを投機、資本主義と考えたのです(「青年同盟の任務」)。

自家消費以外の余剰穀物を隠す農民に富農というレッテルを貼り、弾圧しました。株式会社廃止は当然です。

相当数の地主、貴族が財産を没収され、追放されました。ロシア正教会も徹底弾圧されました。

処刑された高位聖職者は少なくありません。ロシア皇帝一家は虐殺されました。

レーニンとボリシェヴィキによる資本家の金融資産収奪、赤色テロルについては、森岡真史教授の「レーニンと『収奪者の収奪』」(上島武・村岡到編「レーニン 革命ロシアの光と影」第二章所収、社会評論社2005年刊行)が大変参考になります。

1918年頃から相当数の餓死者、流民が出たと思われます。1990年代後半の北朝鮮のような状況になったのです。

ソ連経済は破綻し、闇経済化が進行したー90年代後半の北朝鮮と同様

ボリシェヴィキがどれだけ富農弾圧を強めても、穀物の闇流通が無くなったとは思えません。

1990年代後半の北朝鮮と同様です。

ロシア革命の頃のペトログラード社会については、長谷川毅「ロシア革命下 ペトログラードの市民生活」(中公新書)がわかりやすい。

この本によれば、1917年の2月革命以降、ペトログラードの社会秩序は崩壊し、ペトログラードは犯罪都市になりました。

賭博が蔓延し、上流階級から下層階級まで麻薬の使用が流行しました。これも北朝鮮と同じです。

ネップ(新経済政策)は闇経済化の追認策

こんな状況だったのですから、レーニンによるネップへの転換は闇経済化の現状追認策と考えられます。

レーニンは「食糧税について」を1921年4月21日に書いています。

ネップの中心は、「戦時共産主義」という穀物の割当徴発をやめ、食糧税に変えて余った農産物を農民が自由に処分できるようにする事です。

これは農民による商売を認める事になります。

レーニンはこの論文で商業の自由は資本主義であり、資本主義は投機であると断言しています。

搾取制度の廃止など夢物語と、レーニンは最晩年に察知したのかもしれません。

レーニンは潜在的批判者を用心のために、監獄に入れるか国外追放せよと主張

レーニンはこの論文で商業を行う農民が国家的な統制、監督、記帳を回避したら罰せよと述べています。

またレーニンは、クロンシュタット反乱(1921年3月)に同調する人々はメンシュェヴィキやエス・エル(社会革命党)に他ならないから、用心のために監獄に入れるか国外追放にせよと述べています。

商業への国家的統制、監督、記帳を担当するのは中央計画機構と大差ありません。

ボリシェヴィキに反抗しうる人たちを用心のために監獄に入れておけという考え方を、スターリンとボリシェヴィキはしっかり継承しました。

中国共産党による香港民主派弾圧手法もレーニンのこの発想を継承しています。

レーニンとボリシェヴィキによる搾取制度の廃止、生産手段の社会化は結局、反対派弾圧策に帰着したのです。

スターリンはレーニンの愛弟子ですね。改めて思います。


2021年8月19日木曜日

志位さんが想定する国際的な警察力、司法の力とはー憲法九条教徒の心中を推し量る

 去る8月18日、志位さんは次のように呟きました。

テロに対して報復戦争で対応すれば、テロと報復の悪循環に陥り、罪のない人々が犠牲になる。テロ根絶にも役立たない。

国際的な警察力と司法の力で容疑者を捕らえ、「法の裁き」にかけるべきだ。

この呟きに対し、沢山の方々が国際的な警察力、司法の力とはどんな組織だ、そんな組織はどこにあるのだと疑問を提起しています。

いつもながら志位さんは疑問に全く答えません。

志位さんの心中を推し量ればー憲法九条完全実施により国際的な警察力が形成される

僭越ながら私が志位さんの心中はこうだろうと想像し、お答えします。

日本が自衛隊解散、日米安保廃棄で憲法九条を完全実施すれば、世界各国が共同でテロリストを捕らえようという機運が醸成され、瞬時に国際警察ができます。

国際的な警察力、司法の力を結成するために、日本は一刻も早く自衛隊解散、日米安保廃棄に踏み切るべきだ、という話です。

志位さんは頻繁に、現在の問題の核心は日本が米国の戦争に追随して世界中に戦争を起こす火種になっていることだ旨主張しています。

これは結局、米国が世界の帝国主義だから世界中で戦争を起こしているという、レーニンの帝国主義論に依拠した話です。

現在の世界情勢とは無関係です。

バイデン大統領は朝鮮半島からの米軍撤退を決意しうる

バイデン大統領は、米国と直接関係のない地域には米軍をできる限り送りたくない。

アフガニスタンから早く撤退せよ、という世論は強かった。

朝鮮半島や日本からも撤退してしまえ、という世論が今後強くなる可能性は十分にある。

バイデン大統領が世論を受け入れて、米軍撤退を各地で進めていく可能性はあります。

米国が帝国主義で軍産複合体が利益を得るために戦争を望んでいる、など昔話です。

民主主義社会の政治家は、落選を何より恐れます。

朝鮮半島の厄介時になぜ米国が介入せねばならないのか、という世論が強くなれば、落選を恐れてバイデン大統領が米軍撤退を決意する可能性はあります。

最近の日本共産党は憲法九条教徒そのものです。九条教徒は、米国の動向を分析しようという気にすらならない。

米国は世界最大の戦争国家だ、という結論が決まっていますから。

憲法九条教徒は、憲法九条が人民解放軍の尖閣侵攻や金正恩のテロ指令を抑止する、と本気で信じています。

報復戦争は必要だった

歴史にもしも、ですが20年前のアルカイダによるテロにも関わらず、米国が何の報復もしないで国連に何とかしてください、とお願いをするだけだったら世界はどうなったでしょうか。

国際的な警察とやらが即座に結成され、ビン・ラーディンを逮捕してくれたでしょうか。

アルカイダだけでなく、様々なテロ組織が再度大規模テロを断行したのではないでしょうか。報復が全くないと判断したら、テロ組織は何でもやります。

何をやっても、治外法権になっている地域に逃げれば安全なら何でもやってしまえ、という話になりえる。

領土内に治外法権のようになっている地域がある国はいくらでも存在します。

ビン・ラーディンがアフガニスタンやパキスタン近辺に潜伏し続けるのは簡単だったでしょう。

米国が何もしなければ、ビン・ラーディンがインターネットでテロの呼びかけを発信し続けても、逮捕されたとは考えにくい。

米国による報復戦争は必要でした。

タリバンがアフガニスタンを掌握した今、世界のテロリストの動きが気になります。

アフガニスタンからの米軍撤収により、これほど簡単に政権が崩壊してしまうと予想している方がどれだけいたでしょうか。

米国の諜報組織の情報収集能力が、かなり低下しているのでしょう。

世界の警察、など存在しません。

国防をいつまでも米国に頼るわけにはいきませんが、自衛隊と日米軍事同盟の抜本的強化が必要不可欠です。


2021年8月18日水曜日

レーニンは祖国擁護が社会主義への裏切りと説いたー「プロレタリア革命と背教者カウツキー」(レーニン全集第28巻所収。大月書店刊行)より思う

不破さん、志位さんはレーニンと宮本顕治さんの文献を内緒にしたい

すこし前に松崎いたるさんがtwitterに出していた資料によれば、最近の日本共産党は一般党員にレーニンや宮本さんの著作を読もう、と勧めないようです。

不破さん、志位さんはレーニンと宮本顕治さんの革命理論には問題があるな、と思い始めているのでしょう。

今の日本共産党員は、宮本顕治さんの文献や当時の日本共産党の大会決定を入手しにくい。

田村智子副委員長は、32年テーゼやレーニンの「プロレタリア革命と背教者カウツキー」を読んでいないでしょう。

本ブログでは何度も論じてきましたが、レーニンの遺志と思想をスターリンとボリシェヴィキはしっかりと継承しました。

日本共産党はレーニン、スターリンの遺志と思想の継承者です。宮本百合子は宮本顕治さんを、ボリシェヴィキだと評しました。

昔の日本共産党が信奉していた32年テーゼは、スターリンを理論面で補佐していたオットー・クーシネンOtto Ville Kuusinenというフィンランド出身の国際共産党幹部により作成されました。

帝国主義戦争を内乱に転化せよ、プロレタリア赤衛軍創設、ブルジョア議会解散、労働者農民兵士ソビエト樹立論は、レーニンの思想に依拠しています。

クーシネンはレーニンの文献を熟読していたのでしょうね。上田耕一郎さんや榊利夫さんも、レーニンの文献を熟読していました。

聴濤弘さん、松竹伸幸さんはレーニンの文献に通暁しているでしょうけれど、レーニンによる富農殺戮指令、ロシア正教会弾圧指令については沈黙しています。

これに言及すると厄介なことになるからでしょうか。ロシア皇帝一家虐殺(大正七年七月)は、レーニンの承認なしにはできません。

労働者階級が権力を取っていない限り、祖国擁護を認める事は戦争の正当性を認める事だ

レーニンの思想は、レーニン全集に掲載されている数々の論考や指令から読み取ることができます。

1918年10月から11月に執筆されたという「プロレタリア革命と背教者カウツキー」にも、レーニンに思想を読み取れます。

第一次世界大戦時、レーニンは祖国擁護という方針に断固反対しました。

レーニンによれば、祖国擁護を認める事は現在の戦争を弁護し、この戦争の正当性を認めることです。

労働者階級が権力を取っていない限り、戦争は帝国主義戦争だそうです。

この著作でレーニンは、敵が自分の祖国に侵入したとき自分は社会主義者として祖国を守る権利と義務があるという主張は小ブルジョア民族主義者の議論であり、社会主義と国際主義を裏切るものだと強く批判しています。

祖国擁護は社会主義への裏切り、という話です。

レーニンによれば、軍隊は旧制度を支持する最も硬化した道具です。

革命的労働者は旧軍隊を破壊し解散して、新しい軍隊に置き換えねばなりません。

プロレタリア赤衛軍とやらで内乱を起こして、議会を解散させ、労働者農民兵士ソビエトとやらが権力を握ってプロレタリア赤衛軍と新しい軍隊にせよ、と主張した32年テーゼは、レーニンに思想を継承しています。

日本共産党員が安全保障について思考と議論をするなら、社会主義と国際主義への裏切り、小ブルジョア民族主義者

自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にするという日本共産党の宿願は、上記のようなレーニンの教えに依拠しています。

革命家は旧軍隊を破壊し解散してから、新しい軍隊を作れとレーニンは説いています。スターリンとソ連共産党はこれを実行しました。

金正恩と朝鮮労働党による日本への核ミサイル攻撃に対して、一般党員が自分には日本国家を守る義務と権利があると主張したら、社会主義と国際主義への裏切りと志位さんに怒られてしまいそうです。

日本共産党は中国共産党、朝鮮労働党を覇権主義と批判していますが、大局的には平和勢力とみなします。

中国共産党、朝鮮労働党は日本共産党の宿願である自衛隊解散、日米安保廃棄に大賛成ですから。

憲法九条を生かした平和外交で日本国家の国防力を皆無にしたい日本共産党

最近の日本共産党が主張する、中国も含めた包括的な枠組みでの外交、北東アジア平和協力構想とやらの大前提は自衛隊解散、日米安保廃棄です。

日本がまず、自衛隊解散と日米安保廃棄で憲法九条を完全実施することにより、北東アジアで争いを平和的に解決しようという風潮が広がる、という発想です。

自衛隊解散、日米安保廃棄なら金正恩は日本に核ミサイル攻撃を実行し、民族の英雄になります。

韓国では伊藤博文を殺害した安重根が民族の英雄です。

自衛隊を解散したら日本からの反撃が一切ないのは明らかですから、金正恩にとって民族の英雄になる絶好の機会到来です。

中朝露は日本にやりたい放題、となるのです。

中朝露の核軍事力はどういう水準か、日本を侵略、攻撃する意思はあるのか。

これについて思考と議論をする日本共産党員は、小ブルジョア民族主義者で社会主義と国際主義を裏切っているのでしょうね。

宮本顕治さんの「日本革命の展望」や昔の日本共産党の大会決定を読もう、という方は社会主義の裏切りとは言われないでしょうが、日本共産党内で奇人変人扱いされそうです。




2021年8月14日土曜日

松竹伸幸さんは日本共産党のアメリカ帝国主義論に反対なのかー日本共産党のステレオタイプ思考の根源は、レーニンの帝国主義論ー

松竹伸幸さんは左翼活動家のステレオタイプ思考を批判

日本共産党の政策委員会という部署に長くいた松竹伸幸さんが、ブログで米国に対する見方を変え、平和運動の路線転換が必要である旨力説しています。

戦後の軍事同盟はアメリカに責任があるのか・上 | 松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

松竹さんは、どんな問題でも一番悪いのはアメリカとそれに追随する日本だという左翼活動家が陥っているステレオタイプの思考を克服すべきと説いています。

松竹さんは台湾をめぐって戦争が起きるとしたら、その主要な責任は武力統一方針を捨てない中国にあること、中国に武力統一をやめさせる運動が必要と述べています。

察するに松竹さんは、日本共産党綱領にある、アメリカ帝国主義は世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威であるという記述に反対なのでしょう。

私見ではどんな問題でも一番悪いのはアメリカとそれに追随する日本だ、という日本共産党のステレオタイプ思考は、綱領のこの記述に依拠しています。

ステレオタイプ思考の理論的根拠は、レーニンの帝国主義論です。レーニンは金融資本が戦争を起こすと主張しました。

これを現代に生かせば、多国籍企業が利潤を得るために戦争を起こす、多国籍企業がたくさんある米国が世界の帝国主義、戦争国家だという話になります。

日本は米国に従属し協力しているので、日本がアジア最大の戦争国家だという話になります。

岡本博之さんの「科学的社会主義」や、林直道教授の「経済学 下」(新日本新書)はそんな話ばかりです。

松竹さんが日本共産党のアメリカ帝国主義論はおかしいとお考えなら、レーニンの帝国主義論とそれに依拠したマルクス主義経済学もおかしいと思うはずですが。

マルクス主義経済学者は、中国のアフリカ進出を知らないのでしょうか。

中国共産党は建国以来、覇権主義・人権抑圧集団である

松竹さんが中国共産党は台湾を統一すると称して武力攻撃しうる勢力と認識しているなら、中国共産党は建国以来、覇権主義と人権抑圧集団である史実を直視し、中国共産党は戦争国家だと主張すべきです。

朝鮮戦争への参戦は大韓民国への侵略です。

ほぼ同時期、中国共産党はチベット解放と称してチベットにも侵攻し僧侶の虐殺を断行しています。

中国共産党は1960年代から核実験を繰り返し、相当数の弾道ミサイルを保有しています。

中国共産党は国民に言論の自由、表現の自由、結社の自由など認めたことはありません。

日本共産党は中国が社会帝国主義だ、と批判した事もありますが、不破さんによる路線転換以来これを主張しなくなりました。

不破さんは中朝と連帯し、「反ファシズム国際統一戦線」結成を目指した

勿論、不破さんは中国共産党が覇権主義、人権抑圧集団であることを熟知しています。

昭和54年2月、中国共産党はベトナムに侵略しました。

3月に、人民解放軍はその現場を取材していた高野赤旗記者を射殺しました。

不破さんは高野赤旗記者射殺について、中国共産党に謝罪と補償を求めませんでした。

私見では不破さんは中国共産党、朝鮮労働党は覇権主義、人権抑圧集団でも米国と日本を批判しているから、大局的には平和勢力であると見たのです。

不破さんは日本がアジア最大の戦争国家であるという視点から、中朝と連帯する「反ファシズム国際統一戦線」結成を構想したと考えられます。

反ファシズム国際統一戦線という大義の前には、赤旗記者の生命と人権など軽いものだ、という判断だったのでしょう。

習近平、金正恩は日本共産党のアメリカ帝国主義論に大賛成

中国共産党、朝鮮労働党は日本共産党綱領にある、アメリカ帝国主義は世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威であるという記述に大賛成でしょう。

日本共産党綱領の見地からは、中国共産党と朝鮮労働党は大局的には平和勢力です。

覇権主義、人権抑圧集団でもアメリカ帝国主義と戦争国家日本を批判するから平和勢力、という話です。

日本共産党と同党を支援するマルクス主義経済学者、左翼知識人日本共産党綱領のアメリカ帝国主義論、その背景にあるレーニンの帝国主義論を信奉しています。

中朝の現実はどうあれ、日本共産党のアメリカ帝国主義論、レーニンの帝国主義論を信じているから、反ファシズム国際統一戦線という結論が出てくるのです。

日本共産党は自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にする事を宿願としています。

この宿願も、アメリカ帝国主義論とレーニンの帝国主義論に依拠しています。

中国共産党、朝鮮労働党はこの宿願に大賛成です。私見では韓国も、この宿願に大賛成です。

今の韓国は、日本が主敵と見ています。金正恩と朝鮮労働党を平和勢力そのものと見ています。

松竹伸幸さんが日本共産党、左翼活動家のステレオタイプ思考を批判するなら、その根源である日本共産党のアメリカ帝国主義論、レーニンの帝国主義論を批判すべきではないでしょうか。









2021年8月12日木曜日

朝鮮学校への無償化不適用、補助金ゼロは当然ーチュチェ型の革命家養成教育に公金を支出すべきでないー

「教育にチュチェをうちたてる」 ことへの補助金支出に反対します

私は二十年以上前から、朝鮮学校への補助金を支出すべきでないと主張してきました。

二十年ぐらい前、朝鮮学校の中にはホームページに「教育に主体(チュチェ)をうちたてる」と明記しているところもありました。

当時、いくつかの朝鮮学校の校舎の上には、「金日成元帥様有難うございます」「民族の代、愛国の代、受けつごう」などの標語(朝鮮語なので普通の日本人には読めない)が掲げられていました。

朝鮮学校は金日成の社会主義教育テーゼに基づき、チュチェ型の革命家養成教育を実行しています。

教育にチュチェをうちたてる、とはチュチェ型の革命家教育です。

朝鮮学校は「生活総和」の時間、少年団の活動と教科書、理事名と財務諸表を公開すべきだ

「生活総和」という時間が定期的に設けられ、子供たちは自分の言動が金日成、金正日の教示やお言葉(朝鮮語でマルスム、と言います)に照らしてどうだったか、自己批判、相互批判を強いられます。

少年団という組織への加入は事実上、義務と伺います。

昔は幼稚園のおやつの時間に、「金日成元帥様、ありがとうございます」と皆で唱和したと伺いましたが、今はどうなっているか存じません。

昔は作文で、金日成と書く時には改行せねばならないと教わったそうです。行の中に金日成、と書いてはいけないそうです。今はそこまで極端ではないでしょうけれど。

朝鮮学校は無償化適用を要求するなら、「生活総和」の時間や少年団の活動を見せ、理事の名前と財務諸表をインターネットに出すべきです。

朝鮮学校は朝鮮学校出身の脱北者や、金日成、金正日、金正恩と朝鮮労働党を批判する卒業生の訪問を受けいれるべきです。

左翼運動家は金日成、金正日の労作を読むべきだ

朝鮮学校への無償化不適用を差別だ、と主張する左翼運動家は、共産党、労働党という組織を全くわかっていない。

共産党、労働党は最高指導者の指令に従って全党員が動くようになっています。

勿論、一般党員の中には指令に従わない方や、やめてしまう方もいますが。

共産党、労働党の行動を分析するためには、最高指導者の文献、特に革命理論に関するものを熟読するべきです。

日本共産党なら宮本さんや不破さんの文献、朝鮮労働党なら金日成、金正日と金正恩の文献が重要です。

私見では、朝鮮学校教員の皆さんは、金日成の教示に基づきチュチェ型の革命家として日々、研鑽に励んでいます。

各朝鮮学園の経営は理事会が行っているはずですが、朝鮮学校というtwitterを運営している方によれば朝鮮学校の理事は毎年変わります。

法人、という理事とは無縁の方々が存在して各朝鮮学園の経営の実権を掌握しているようです。

私見では法人、という謎の組織に所属している方々が、朝鮮労働党の在日非公開組織の皆さんです。



在日本朝鮮人総連合会とその傘下の全ての組織は、朝鮮労働党在日非公開組織の皆さんが指導を担当し、唯一思想体系を確立すべく日夜励んでいます。

チュチェ型の革命家は日本人や韓国人の拉致、大韓航空機爆破、覚せい剤持ち込み、ラングーン事件、金正男さん殺害など数々の蛮行を行ってきました。

チュチェ型の革命家養成教育に公金を支出すべきではありません。

金正日のお言葉ー教職員、学生、生徒のあいだで党の唯一思想体系を確立

朝鮮学校への無償化適用を主張する日本共産党員、立憲民主党員と左翼運動家は金日成の社会主義教育テーゼ、金正日の論考「教育事業をさらに発展させるために」を読みましょう。

東京朝鮮中高級学校の、民族教育に関するHPをみましょう。金日成の教示が出ていますよ。

野間易通さんの朝鮮学校に関するyou tubeを拝見しましたが、金日成、金正日の教育問題に関する教示、お言葉について言及されていませんでした。

朝鮮学校の最も基本的な教育方針である、金日成の社会主義教育テーゼや金日成の教示に一切言及しないで、朝鮮学校を語るのは適切でしょうか。

宮本さん、不破さんの文献を一切読まないで日本共産党について語る評論家がいたら、無責任ではないですか。

金正日によれば、教職員、学生、生徒のあいだで党の唯一思想体系を確立し、革命化、労働者階級化する活動を力強く展開してこそ、かれらを党と領袖に限りなく忠実な真の共産主義的革命家に変え、党の教育政策を立派に貫けます。

唯一思想体系の確立、とはチュチェ思想化と同じような話です。全社会の金日成・金正日主義化という表現をするときもあります。

党と領袖に限りなく忠実な真の共産主義的革命家なら、民間航空機を爆破するのです。

近年の日本共産党員、立憲民主党員と左翼運動家は日本のチュチェ思想化を大局的には社会進歩とみているのかもしれませんね。

ところで日本共産党の昔の文献「国際友好・連帯運動と覇権主義 日朝関係をめぐって」(昭和62年刊行)は、日本のチュチェ思想化の危険性を暴いています。

朝鮮学校への無償化適用を主張する大山奈々子神奈川県議、吉岡ひろ子札幌市議は、この文献をご存知ないのでしょうか。