2022年4月10日日曜日

鈴木元「ポスト資本主義のために マルクスを乗り越える」(かもがわ出版)をざっと読みました。

社会主義の理論と現状について、共産主義運動に長年身を投じてきた方が多角的に論じている本です。

著者の 鈴木元さんは、京都の日本共産党職員、かもがわ出版編集長代理、立命館大学など様々な職場で活躍された方です。

松竹伸幸さんによれば、鈴木元さんは現在も日本共産党の支援者です。

長年の日本共産党員なのでしょうが、どういうわけか「赤旗」はこの本の広告掲載を拒否したそうです。

「赤旗」はこの広告まで掲載拒否ですか | 松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

松竹伸幸さんはこの本の第五部第四章「変革主体について、大衆運動・政党のあり方についての探求」のところが問題だ、と日本共産党本部が判断したのではと推測しています。

日本共産党の幹部会委員長は宮本顕治さん、不破さんの推薦で就任してきた

この本のp307では、志位さんが総選挙総括に関するマスコミの質問に対し「わが党は、方針が間違っていなければ辞任するという方針はない」と答えたという報道について、そんな方針はどこで決められたのか、決めているなら不遜で無責任な態度だと批判しています。

鈴木元さんは、日本共産党の幹部会委員長はさかのぼれば不破さん、さらに宮本顕治さんの推薦で就任していると断言しています。

p304では、党首を含めた指導部の任期制、定年制、党員による直接選挙の必要性を訴えています。

この点では、萩原遼さんの訴え(「朝鮮と私 旅のノート」文春文庫の第五章)と同じです。

萩原遼さんはこの訴えをした5、6年後に除籍されました。

同様の訴えをしている鈴木元さんや松竹伸幸さんは萩原さんについて言及しにくいのかもしれません。

鈴木元さん、松竹伸幸さんは、萩原遼さんの訴えについて言及をしていません。

日本共産党員、在日本朝鮮人総連合会関係者は「反党分子」「民族反逆者」というレッテルを恐れる

日本共産党、共産主義運動には共産党とその指導者を批判する人を「反党分子」「人民の敵」「民族反逆者」「走資派」「祖国分離主義者」「富農」などという憎しみを込めた語で把握し、社会から隔離するよう仕向ける習慣があります。

私見では、共産主義運動に長く参加した方はこのレッテルを貼られることをひどく恐れてしまい、指導部への強い批判ができなくなる傾向があります。

日本共産党の職員がインターネットなどで志位さんを批判したら除名、解雇されてしまいます。

日本共産党職員を辞めた方なら、解雇されませんから多少の批判はできるようです。松竹伸幸さんや鈴木元さんの批判はそれを示しています。

旧ソ連や今の中国、北朝鮮と異なり、今の日本には政治犯収容所はありません。

日本共産党を批判しても、日本共産党員が形成している小社会から脱退させられるだけです。

在日本朝鮮人総連合会から、民族反逆者と言われてもどうということはありません。

資本主義的搾取制度の廃止、日本革命も世界革命などありえない。チュチェ革命偉業などとんでもない迷惑です。

鈴木元さん、松竹伸幸さんには、朝鮮労働党の革命路線について論じて頂きたいですね。昔の日朝両党は、兄弟のような関係にありました。

鈴木元さんならこれを御存知と思えるのですが。日朝両党の共同声明は、昔の日朝両党の関係を示す貴重な文献です。

日本革命、世界革命などありえないという点については、改めて論じます。



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