2015年6月7日日曜日

Romain Duris, Audrey Tautou主演2013年仏映画「ニューヨークの巴里夫」(原題Casse tête chinois, The Chinese Puzzle, Cédric Klapisch監督作)を観ました。

愛する妻Wendyに逃げられた駄目男Xavier, 子供達と一緒に40代を走り抜け!「複雑な人生」を 子供達と生き抜こう。


この映画は、前作「ロシアン・ドールズ」(Les Poupées Russes)より10年後、40歳になったXavier(Romain Duris)を描いています。

映画の冒頭で、Xavierが子供達とNew Yorkのバス停留所付近を走ります。何かの用件で、急いでいるのでしょう。

Xavierは映画の最後のあたりで、全力疾走します。Xavierが走るシーンに、Cédric Klapisch監督のメッセージと思いが込められているのではないでしょうか。

リズム感あふれる冒頭の音楽も良い。

愛する妻に逃げられても、愛の結晶の子供たちとの関係は何ら変わらないはずです。Cédric Klapisch監督は、離婚後の子育てのあり方に強い関心を持っているのでしょう。

前作のMartine(Audrey Tautou)の人物像もそれを思わせます。

映画の冒頭で40歳になったXavierらの姿が、15年前の「スパニッシュ・アパートメント」(L'Auberge Espagnole)や「ロシアン・ドールズ」のときの映像とともに出てきます。皆、年を取りました。

前々作、前作を観た観客も年を取っているのです。登場人物と一体感を持てます。

Xavierはレズビアンの親友Isabelleに精子を提供した―レズビアン(Lesbian)も子供を持ちたい


映画のあらすじを簡単に説明します。母親Wendy(Kelly Reilly)とともにNew Yorkへ去った二人の子供たちを追って、Xavierは故郷Parisを離れます。

英国女性Wendyとの夫婦仲が悪化した一つの要因は、バルセロナ以来の親友でレズビアンのIsabelleに精子を提供する「父親」となったことでした。

Isabelleから「従来にない父親像を求めているの」と懇願されたXavierは断れなかったのです。Wendyに米国人の恋人ができてしまい、Xavierは離婚します。

New Yorkには親友Isabelleが恋人の中国女性と暮らしています。IsabelleがXavierに吐く台詞は、人生の一面を言い当てています。Xavierは離婚後、恋人がいません。

New Yorkに定住するため、まずは住居と職を得ねばならないから恋人など簡単に持てないよ、とXavierはIsabelleに言います。

Isabelleには同居している恋人がいますが、子守に雇った若い女子学生と「深い仲」になってしまいます。Isabelleは彼女の若い体が良いとXavierに打ち明けます。

いさめるXavierに「何を言っているの!」「お前も早く誰かとやれよ」と言う調子でIsabelleは開き直ります。

性関係は日々の暮らしに潤いをもたらす営みだとIsabelleは言いたいのです。

Isabelleは「不倫」をしているのですから、今後の人生には問題を引き起こすかもしれませんが。この映画は、レズビアンの人生、彼らにも子供をという問題も提起しているのです。

Xavierは青春時代の恋人Martineとやり直す決意をするが―Martineは継母になれるか?


Xavierは青春時代の恋人Martine(Audrey Tautou)と、New Yorkで人生をやり直す決意をします。Martineも子供を二人抱えている。

上の男の子は前作に出ていましたが、下の女の子はいませんでしたから、父親が異なっているのでしょう。Martineの人生も複雑になっています。

映画では、MartineはXavierの二人の子供ととても仲良くしていますが、実際に一緒に暮らすとなるといろいろ問題が生じるのではないでしょうか。

子供たちにとっては、お母さんはWendy以外ありえないのではないでしょうか?Martineは継母になれるのでしょうか?

前作でグローバリゼーションに反対する運動家だったMartineは、環境問題に関連して、安全な食品を提供する会社に勤めているようです。

Audrey Tautouも前作「ロシアン・ドールズ」に比べれば年を取っていますが、彫りの深い顔で悩む表情がとても可愛らしい。

ただ、この映画ではIsabelleの役柄が強烈ですから、Cécile de Franceの方が映画を観た人の印象に残るでしょう。

いろいろあっても、Xavierはかなりの人気作家のようですから、相当な収入がありそうです。New Yorkでもやっていけるという見通しがあるのでしょう。駄目男ではない。

MartineとNew Yorkで暮らすのなら、Martineの子供たちの生活費と学費もXavierが負担するのでしょうね。人気作家としての地位を維持できれば大丈夫そうです。

次回作ができるなら、このあたりが焦点になるのかもしれません。

追記
冒頭でXavierが子供達と走っているのは、偽装結婚のための写真を撮影する場所に行くためです。Xavierの子供達と週末に会うだけなら、Martineは継母にはならないその必要もない。

しかしXavierは継父になるのでしょう。その決意がXavierにできていたのかな。

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