志位さんが、専制主義対民主主義という価値観ではなく、国連憲章を守れという一点で団結することが、侵略を止めるために決定的に重要だと主張しています。
人は、自らの世界観、社会観から他の人々や集団の行動、言動を解釈し、その中で自分がとるべき言動、果たすべき役割を見出します。
人は他の人々の行動、言動を主に言葉で把握し、自らの世界観、社会観でそれを再解釈します。各自の主観的世界把握により各自の言動が決定されるのです。
志位さんは共産主義者ですから、自らが信奉する科学的社会主義の理論が説く世界観、社会観に依拠して国際政治経済と日本の政治経済の現状を解釈し、自分がとるべき言動と役割を見出しています。
人は意味世界の中で生きている
人々の主観的世界把握を社会学では、意味世界といいます(盛山和夫「社会学とは何か」ミネルヴァ書房平成23年刊行、p23)。
盛山教授によれば、世界がどうなっているか、なぜ世界はこのようになっているのか、何に価値があるのか、どう生きるべきか、何が正しくて何が間違っているのか、人は誰でもこれらを問いかけ、部分的に答えを見出して生きています。
こうした問いと答えからなっているのが意味世界です(同書p23)。
志位さんら日本共産党員はどんな意味世界の中で生きているのでしょうか。
これは、志位さんの呟きや日本共産党の文献を読めば少しずつ見えてきます。
以下、日本共産党員の意味世界について考えてみましょう。
日本共産党員の意味世界では、欧州とアジアから米軍は出ていけと主張する中朝露は平和勢力
日本共産党が信奉する科学的社会主義の理論では、米帝国主義が世界平和を脅かしています。
米国を中心とする軍事同盟、欧州ではNATO、アジアでは日米安保が世界平和を脅かしています。
プーチン、中国共産党と朝鮮労働党は米軍は欧州、アジアから出ていけと主張していますから、平和のために貢献しています。
日本共産党員は、中朝露を大局的、本質的には平和勢力と見ています。中朝露は覇権主義だが、平和のために努力してきたと考えています。
プーチンは大局的、本質的には平和勢力なのですから、国際世論により国連憲章を守れと批判されたらプーチンはウクライナ侵略を断念し、ロシア軍に撤退指令をします。
中朝露は大局的には平和勢力なのですから、外交官が日本には憲法九条がありますよ、どんな争いでも話し合いで解決するように合意しましょうと繰り返し訴えれば、中朝露は合意します。
日本政府が核兵器禁止条約に加入すれば、平和勢力である中朝露は警戒心を解いて核兵器を廃絶すると見ているのです。
志位さんら日本共産党員には、アセアン諸国とプーチン、中国共産党と朝鮮労働党が同じような存在と見えているのです。
アセアン諸国に日本と台湾攻撃、侵略の意思などないように、中朝露にもそんな意思はないと志位さんは信じています。
科学的社会主義の経済学では帝国主義、金融資本が戦争を起こします。
米国は世界の帝国主義であり、アジアでは米国の同盟者、日本の独占資本、日本政府が最大の戦争勢力です。
中朝露の核軍事力がどうあれ、平和勢力なのですから分析する必要はない。
中朝露の核軍事力について思考と議論をしない事が平和を守るー日本共産党員の意味世界
中朝露の核軍事力や、中朝露による自国民弾圧、抑圧の歴史について研究し議論する事自体が、中朝露を敵視し緊張を劇化させる行為という話になります。
中朝露の核軍事力と自国民弾圧、抑圧の歴史について一切の思考と議論をしないことが、平和のために最も大事な生き方であると日本共産党員は信じているのです。
憲法九条と憲法前文を常に思い起こし、国連憲章を守れと叫び続ければプーチンはウクライナから撤退すると日本共産党員は信じています。
日本共産党員が生きる意味世界では、中朝露の核軍事力と自国民弾圧、抑圧の歴史について思考と議論をしない方々こそ、平和のために戦っています。
日本共産党員の中には、昔の日本共産党がソ連や中国、北朝鮮を礼賛していたことを少しは知っている方がいます。
その方々は、日本共産党のソ連、中国、北朝鮮礼賛史から目を背けることが、平和と人権を守ると信じていると考えられます。