2023年2月26日日曜日

鈴木元さんは日本共産党の五十年問題をどう見たかー「志位和夫委員長への手紙」(かもがわ出版、pp. 193-194より)

昭和25年から30年までの日本共産党は暴力革命論を採用しました。この時期、武装闘争に参加する日本共産党員は少なくなかった。

この時期の日本共産党が起こした諸問題を、日本共産党は五十年問題と呼びます。 

鈴木元さんは著書の第七章「日本共産党の歴史とかかわって」で、五十年問題について、大意次のように語っています。

宮本顕治さんはコミンフォルム(共産党・労働者党情報局)による占領下平和革命論批判に同調

現在の党史では、50年問題は徳田・野坂分派によって行われた問題であり、党の方針ではなかったとされている。

しかし宮本顕治さんらの国際派はずっと正しく、何の責任もない問題なのだろうか。

コミンフォルムが日本共産党の「占領下平和革命論」を批判したとき、それに同調したのは宮本顕治さんら国際派だ。

50年問題を収拾するために開催された第六回全国協議会(昭和30年7月)における決議案文は、ソ連共産党、中国共産党により用意されたものである。

51年綱領は全て正しかったと規定した。

51年綱領(昭和26年8月)はスターリンが作成した。

宮本顕治さんは51年綱領は全て正しかった、という第六回全国協議会の案文に同意したから、第六回全国協議会は成り立った。

また徳田球一さんと並んで、北京機関において中心的役割を果たした野坂参三さんの責任を問うことなく、第一書記(後に議長)に置くことにも宮本顕治さんは同意した。

これらの問題を検証しないで、宮本顕治さんは正しく、徳田・野坂分派が50年問題を起こした、というだけでは歴史の検証に耐えられない。

鈴木元さんは宮本顕治さんが、暴力革命論の51年綱領を正しいと認めた事に着目している

宮本顕治さん、志田重男さんらが中心になって運営した第六回全国協議会の決定の冒頭に「新しい綱領に示されている全ての規定は完全に正しい」と明記されています。

第六回全国協議会決定は、「日本共産党の五十年問題について」(新日本出版社昭和56年刊行)に掲載されています。

宮本顕治さんは、昭和25年5月の「前衛」に掲載された論文で、野坂参三さんの平和革命理論を徹底批判しています。

宮本顕治さんによれば、議会を通じた政権獲得の理論は誤りです。


この時期の宮本顕治さんには、32年テーゼに記されているように内乱を起こして権力を奪取する事が革命だ、という発想が強かったと考えられます。

鈴木元さんの五十年問題論は、本ブログの認識と大差ありません。以下です。

令和2年2月23日黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 日本共産党の暴力革命論について―宮本顕治氏は51年綱領(暴力革命論)の積極面を第七回大会報告で認めていた(昭和33年7月)― (blueribbonasiya.blogspot.com)

令和2年8月17日 黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 日本共産党と歴史修正主義ー「51年綱領」と第七回大会中央委員会の政治報告より思う(「日本共産党の50年問題について」新日本出版社刊行に掲載) (blueribbonasiya.blogspot.com)

令和3年10月1日 黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 不破哲三さんも、昭和26年秋には臨時中央指導部の指導下で日本共産党が分裂を解消したことを認めているー不破哲三「日本共産党史を語る」(新日本出版社刊行, p203)より (blueribbonasiya.blogspot.com)

令和4年2月10日 黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 唱和25年頃、宮本顕治さんは極左冒険主義者だったー野坂参三さんの平和革命論を徹底批判ー (blueribbonasiya.blogspot.com)

令和4年9月3日  黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 宮本顕治さんも昭和26年秋以降、臨時中央指導部(徳田・野坂分派)に従ったー宮本顕治さんは元来、暴力革命論者だったー (blueribbonasiya.blogspot.com)

宮本顕治さんは、第七回大会(昭和33年7月)の「綱領問題についての中央委員会の報告」でも51年綱領の積極面を認めています。


宮本顕治さんは徳田球一さん、野坂参三さんより早く暴力革命論を訴えていたのですから、暴力革命論の51年綱領を完全に正しいと認識したのです。

昭和26年秋には、当時の中央幹部全員がソ連、中国の指令で徳田球一さん、野坂参三さんらの指導下にある臨時中央指導部を党中央と認め、51年綱領を綱領と認めたのですから、臨時中央指導部は分派ではありえません。

日本共産党は「分派」という語を非常に広い範囲で用いてきたのです。ある時点で、殆どの日本共産党員が党中央と認識していた方々を、後から分派とみなすことは歴史の修正です。

若い日本共産党員は、五十年問題の時期の日本共産党の議会、選挙活動や社会運動について何も知らない

若い日本共産党員は、五十年問題の頃に徳田球一さん、野坂参三さんに従った党員は皆、分派で北京に行くか、国内で武装闘争をしていたと認識している可能性が有ります。

昭和27、28年の総選挙に立候補した議員、候補者や選挙活動を行った方々は、宮本顕治さんの指導下にあったと思い込んでいる日本共産党員が相当数いそうです。

当たり前ですが、臨時中央指導部は武装闘争だけでなく、議会や選挙活動、平和運動、労働運動も指導していました。

殆どの日本共産党員は臨時中央指導部の指導下で、これらの活動に従事しました。

今の日本共産党の歴史観では、殆どの日本共産党員は五十年問題の時期、分派活動を行ったことになります。

変なレッテル貼りをすると、奇妙な歴史観が形成されてしまうのです。皆が分派、なら本当の日本共産党員、本当の党中央はどこにいたのでしょうね。








2023年2月23日木曜日

志位さん(日本共産党)、鈴木元さん、松竹伸幸さんの安全保障政策を表にしましたー三人とも、政権に参加できたら日米安保と自衛隊を活用するー

 志位さん(日本共産党)、鈴木元さん、松竹伸幸さんの安全保障政策を勝手ですが、表にしました。

三人とも日本共産党が政権に参加できたとき、どうするべきかという見地から安全保障政策を論じていると考えられます。

志位さんについては、「新・綱領教室」や赤旗記事に依拠しています。志位委員長の外国特派員協会講演/出席者との一問一答 (jcp.or.jp)

鈴木元さんについては「志位委員長への手紙」(かもがわ出版)に依拠しています。

 松竹伸幸さんについては「シン・日本共産党宣言」(文春新書)に依拠しています。 

 

有事に日米安保を使うか

有事に自衛隊を使うか

台湾有事に周辺事態法で自衛隊による米軍の後方支援を認めるか

日本にとって平和の第一の危機とは

志位さん

〇(日米安保第五条により出動要請)

〇(自衛隊法により出動)

不明だが、恐らく認めない。

米軍の先制攻撃により日本が巻き込まれる

鈴木元さん

〇(安保容認。p.50)

〇(自衛隊合憲。p.50)

不明。

中国が台湾の武力統一に動くとき、沖縄、尖閣を攻撃し米軍とも交戦(p.49)

松竹伸幸さん

〇(核抑止力抜きで堅持。通常兵器で抑止。p,118)。

〇(専守防衛。長射程のミサイルを本土に配備。p.131)

〇(周辺事態法による後方支援が限度。p.165)

台湾有事は、中国による台湾侵攻により生じる(p.160)

 

松竹伸幸さんは、長射程のミサイルを沖縄ではなく、本土に配備すべきと述べていますから、敵基地攻撃能力保有に賛成しているともいえそうです。

松竹伸幸さんは、台湾有事に周辺事態法により自衛隊が米軍の後方支援をすることを認めています。

これらから松竹伸幸さんは左翼人士の中では、安全保障について真面目に考えている方と私は考えます。

鈴木元さんは日米安保容認、自衛隊活用だと昔の社会党と同じになると明記しています(p49)。潔いというか、事実を事実として認める方ですね。

周辺事態法の活用については、鈴木元さんの著書では言及されていなかったと思います。

志位さんも言及していませんが、政権に参加したら台湾有事の際に周辺事態法により自衛隊が米軍の後方支援をすることを認めるのなら、新ガイドライン反対の平和運動は何だったのだという話になってしまいますから、恐らく認めないのでしょう。

宮本顕治さんの見地なら、志位さんも右転落している

四十年くらい前、日本共産党は日米安保と自衛隊を容認する合意を締結した社会党を右転落したと徹底批判しました。

宮本顕治さんの見地なら、志位さんも右転落した事になります。

志位さんは松竹さんを日米安保問題で変節したと主張していますが、御自身も著書で有事に日米安保と自衛隊を活用する旨、断言しているではありませんか。志位委員長の記者会見/松竹氏をめぐる問題についての一問一答 (jcp.or.jp)

それなら、鈴木元さんが言うように昔の社会党と同じですよ。


 

 


2023年2月19日日曜日

松竹伸幸さんは日本共産党内に支援者を募っているから、破壊者・かく乱者で結社の自由への介入を策す人物なのかー2月19日赤旗記事より思うー

 今日の赤旗記事によれば、2月5日に日本共産党を除名された松竹伸幸さんは日本共産党の破壊者・かく乱者であり、憲法が保障している結社の自由への介入者です。松竹氏 党かく乱者であることを告白 (jcp.or.jp) 

赤旗記事によれば、松竹伸幸さんは善意の改革者ではありえません。

松竹伸幸さんは自分の除名処分に不服なので、来年開催予定の日本共産党の大会で再審査、撤回してもらいたいとブログなどで訴えています。

松竹伸幸さんとしては自分を支援してくれる方に日本共産党の大会代議員になり、大会で然るべき発言と行動をしてもらいたい。

これは日本共産党の指導部から見れば、日本共産党大会のかく乱を企図し、自らを支持するグループ、分派をつくる行動です。

松竹伸幸さんは日本共産党の破壊者・かく乱者という結論になります。

日本共産党指導部から見れば、除名された松竹伸幸さんが党外からマスメディアを利用して日本共産党員に自らへの同調と日本共産党大会での処分撤回に賛同をよびかける事は、結社の自由への介入です。

松竹伸幸さんがyoutubeの番組や新聞に出てくることを、日本共産党はマスメディアの利用、と把握するのです。悪意があるように感じるのは私だけでしょうか。

日本共産党が政権に参加したら、同党を批判する新聞は結社の自由に介入している

この間、松竹伸幸さんの除名処分をめぐって日本共産党を批判しているのは御本人だけではありません。

朝日、毎日、産経の社説も日本共産党を批判していますから、社説を書いた方々も日本共産党の破壊者・かく乱者であり、憲法が保障する結社の自由への介入を策していることになります。

私見では日本共産党の支援者が大幅に増加し、同党が政権に参加できたら、同党を批判する新聞は結社の自由をを破壊する新聞とみなされうる。

憲法が保障する結社の自由を破壊する新聞の社説を書いた方々の逮捕、投獄は自由と民主主義を守るという話にもなり得る。

中国共産党は香港の相当数の運動家を国家安全維持法に依拠して逮捕、投獄しました。

日本共産党が政権に参加し、同党支援者が大きく増えたら、結社の自由を守ると称して同様の事が起きかねません。

分派活動をやった人間を立派な市民として扱わない事は社会発展に貢献するー宮本顕治さんの講演より

ところで、赤旗記事は松竹伸幸さんに「氏」という敬称をつけています。松竹伸幸さんを破壊者・かく乱者と規定しても、反党分子という語は用いていません。

日本共産党は反党分子、という語を使わない事にしたのでしょうか。

宮本顕治さんは、講演「戦後史における日本共産党」(昭和55年9月22日。千代田区の九段会館にて)で日本共産党が除名した方々に「氏」という敬称をつけないことは、共産党の伝統的な民主的マナーだと述べました。

宮本顕治さんによれば、日本共産党は分派活動をやった人間を立派な市民であるという扱いはしません。

分派活動をやった人間を立派な市民であると扱わない事が、日本の社会発展に有益です。

志位さんは宮本顕治さんのこの講演を、現場で聴いていたのではないですか。志位さん、市田忠義さんがこの講演を知らないはずがない。

志位さんが松竹伸幸さんに「氏」という敬称をつけている事は、宮本顕治さんのいう伝統的な民主的マナーを放棄した事を意味しています。

それなら今後、野坂参三さん、袴田里見さん、春日庄次郎さんは勿論、若き志位さんが徹底批判した伊里一智さんにも日本共産党は「氏」をつけるべきです。

鈴木元さんは分派活動をやっても処分されないのか

松竹伸幸さんと一緒に分派活動をやったことになっている鈴木元さんは処分されないのでしょうか。

鈴木元さんは分派活動をやっても処分なし、なら実に奇妙です。

鈴木元さんは京都の日本共産党に所属していますから、京都の日本共産党が何かの理由で鈴木元さんの処分をためらっていると考えられます。

インターネットには、鈴木元さんは京都の日本共産党にとって表に出されるとまずいことを沢山知っているから処分できない、などという指摘が出ています。

そんなことはあり得ないと思えるのですが。

京都の日本共産党が、鈴木元さんを全く処分できないなら、憶測を真実と確信する方が増えていくでしょうね。




2023年2月11日土曜日

鈴木元さんは野坂参三さん、袴田里見さんがソ連から受け取った大金が日本共産党中央に流れたと見るー「志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って」(かもがわ出版より刊行。同書pp. 194-195より)

 「志位和夫委員長への手紙」の奥付によれば鈴木元さんは昭和19年生まれです。

日本共産党京都の職員を長く務め、立命館大学総長、理事長室の室長、初芝学園の副理事長などもされました。

現在は京都府の共産党後援会で最大規模の後援会の会長です。

松竹伸幸さんの除名に関する日本共産党の文書などで、鈴木元さんは松竹伸幸さんと分派活動をしているかのようにみなされています。松竹伸幸氏の除名処分について/2月6日 日本共産党京都南地区委員会常任委員会 京都府委員会常任委員会 (jcp.or.jp)

そこで鈴木元さんは御自身のFacebookで日本共産党を批判しています。これは以下にも掲載されました。日本共産党・民青同盟悪魔の辞典+ : 鈴木元たんの反論キターw (livedoor.biz)

鈴木元さんは「志位和夫委員長への手紙」で志位さんと小池晃書記局長の辞任を求め、直ちに党首公選を行うべきと訴えています。

上記は、この本の第七章「日本共産党の歴史とかかわって」から抜粋しました。

野坂参三さん、袴田里見さんが第六回全国協議会後の日本共産党に大金を寄付していた可能性

昭和30年の第六回全国協議会後も、ソ連は野坂参三さん、袴田里見さんに資金提供をしていた事がマスコミによるソ連公文書の調査で明らかになりました。

鈴木元さんは野坂、袴田両氏がこの資金を日本共産党中央に入れたとしか考えられないと記しています。

これは当時の日本共産党の状況からの推測ですから、確証などありませんが、ありえます。

野坂参三さん、袴田里見さん共に、質素な生活をしていたと伺います。

昭和30年代前半の日本共産党なら、ソ連から受け取った資金を本部の財政担当者に渡しても問題視されなかった可能性があります。

普通の寄付とみなされた可能性があるのです。

当時の日本共産党なら、ソ連共産党、中国共産党から受け取った資金を本部に寄付してはいけないという結論にはなりにくいと考えます。

鈴木元さんは過渡期の弱点として、謙虚にふるまうべきだと述べています。

昭和30年7月の第六回全国協議会前に宮本顕治さんは51年綱領は全て正しかったと同意した

また鈴木元さんは、宮本顕治さんが51年綱領は全て正しかった、という決議案の文案に同意したから第六回全国協議会が成り立ったと記しています(同書p194)。

私見では、鈴木元さんも日本共産党に厳しい処分をされる可能性が高い。

処分がどうあれ、鈴木元さんの前著「マルクスを乗り越える」とこの本が提起している様々な問題について、日本共産党員と同党支援者の皆さんは真剣に検討すべきです。

志位さん、いかがですか。

志位さん、記者会見で朝日新聞に怒る-大手新聞が日本共産党の党首選出方法を批判すると「結社の自由」が危うくなるという志位さんの思考の筋道を考えるー

 9日夕方の記者会見で、志位さんが上記のように怒りました。

以下で、開始後19分33秒ぐらいから2月8日の朝日新聞の社説について志位さんが見解を表明しています。「朝日新聞」社説は「結社の自由」に対し不見識 志位和夫委員長会見 2023.2.9 - YouTube 

以下に、志位さんの記者会見が詳細に出ています。志位委員長の記者会見/松竹氏をめぐる問題についての一問一答 (jcp.or.jp)

志位さんによれば、朝日の社説は松竹伸幸さんを善意の改革者であるかのようにとらえ、日本共産党が異論を持つ人を排除する政党であるかのように描いています。

志位さんによれば、大手メディアがどこどこの党の運営は「非民主的」だと勝手に決めて、外からバンバン叩くようなことをやったら「結社の自由」が侵害されてしまいます。

党首公選制をわが党におしつけるのは道理がない、朝日に指図をされるいわれはない、朝日に指図をする権利もない!と記者会見で志位さんは力説していました。

朝日新聞は、日本共産党の自主的自立的な運営に対する干渉を行っているそうです。志位さんの怒りについて、私なりに筋道を考えてみました。

大手新聞社が社説で党首の選出方法を批判すると、「結社の自由」の侵害、自主的自立的な運営に対する外部からの攻撃ー志位さんの思考の筋道を考える

2月8日の朝日新聞社説に対する、日本共産党の批判は以下です。「結社の自由」に対する乱暴な攻撃――「朝日」社説に答える/政治部長 中祖寅一 (jcp.or.jp)

私も朝日新聞の社説「共産党員の除名 国民遠ざける異論封じ」を読みました。

朝日新聞社説は、松竹伸幸さんが日本共産党の改革を著書などで訴えた事を、党のありかたを真剣に考えての問題提起だったと見ています。

日本共産党が松竹さんを除名したことを、一方的に断罪するやり方であり、異論を許さぬ強権的体質と映ると論じています。

この辺りが、志位さんの琴線に触れたのでしょうね。志位さんとしては、松竹伸幸さんは日本共産党の規約に違反する言動をとったから除名しただけです。

志位さんから見れば、日本共産党への批判は原則として悪意に満ちた反共攻撃です。

反共攻撃が普及されてしまえば、日本共産党の支援者が減り、日本共産党の存続が危うくなります。

そこで反共攻撃は結社の自由への侵害だ、朝日新聞は結社の自由を侵害していると志位さんは結論づけたと考えられます。

日本共産党が政権に参加したら、政府により大手メディアの報道姿勢が点検されるのか

朝日新聞や毎日新聞の社説で批判されたら支援者が減ってしまうのなら、日本革命など夢のまた夢ですね。

大手新聞が政党の党首選出方法を批判すると、「結社の自由」が侵害されるなら、朝日や毎日、読売、産経は自民党の総裁選で何がどう行われても、批判を控えねばなりません。

日本共産党が参加する政権では、大手新聞社やテレビ局の報道が「結社の自由」を侵害していないかどうか、点検する部署を政府内に作るのでしょうか。

それなら日本版の国家安全維持法が必要になりますね。

志位さんの奇妙な思考の筋道に納得する日本国民が多数派になってしまえば、こんなことになりかねません。





2023年2月8日水曜日

松竹伸幸さんは日本共産党に対する攻撃・かくらん者である論についてー土井洋彦書記局次長の論考と河邑重光さんの「反共市民主義批判」より思う

 土井洋彦さん(日本共産党書記局次長)が、松竹伸幸さんを上記のように評しています。

党攻撃とかく乱の宣言/――松竹伸幸氏の言動について/書記局次長 土井 洋彦 (jcp.or.jp)

松竹伸幸さんは御自身の除名処分について不服なので、来年の日本共産党大会で代議員の方々に除名には反対だと主張してほしい旨、2月6日の日本記者クラブの講演で主張しました。

これを、土井洋彦さんは日本共産党内に松竹伸幸さんに同調する分派をつくるという攻撃とかく乱の宣言とみなしたのです。

土井洋彦さんによれば、松竹伸幸さんは善意の改革者を装っていますが、その正体は日本共産党に対する攻撃・かく乱者だそうです。

攻撃・かく乱とは大げさな表現のように思えますが、一昔前の日本共産党の文献と比較したら、控えめです。

日本共産党は同党を除名された方を、反党分子という語で把握してきました。攻撃・かく乱者、なら大同小異かもしれませんが。

反党分子とは何かー河邑重光「反共市民主義批判」(新日本出版社より昭和60年刊行)より

河邑重光さん(出版当時、「赤旗」編集局次長)によれば、反党分子とはみずから日本共産党の綱領、規約を認めて党員となりながら、個人的な主張や利害にしがみついて党に反対し、規約を踏みにじって党に対する破壊活動を行うにいたったものです(同書pp. 25-26)。

反党分子は規約に照らして党から除名、追放されたが、その後も党破壊を最大の目的として策動をつづけ、大衆運動や民主運動の場でも、運動の分裂・かく乱を画策するそうです。

反党分子は自らを正当化するためには、日本共産党を否定し、破壊する以外に道がないので、本来的に日本共産党と両立しないそうです。

河邑重光さんのこの本が出版されたのは昭和60年ですから、38年ぐらい前です。

伊里一智さんや、民主主義文学運動の内紛から日本共産党を辞めた方々にも、反党分子という語が適用されていたように思いますが、私の記憶違いかもしれません。

その後、日本共産党を除名された方には反党分子、という語そのものは用いられていないように思います。兵本達吉さんに、この語は用いられていなかったと記憶しています。

松竹伸幸さんを反党分子と把握している日本共産党員は多い

こう考えると、日本共産党は少しずつ普通の政党になっているような気もしますが、時々先祖返りしてしまうようですね。

日本共産党を除名になった方が日本共産党を批判すると攻撃・かく乱者では五十歩百歩です。

各国の共産党(労働党)は、共産党を批判する方を「人民の敵」「反党反革命分子」「民族反逆者」「祖国分離主義者」等と把握し、庶民がその方に激しい憎悪心を抱くように操縦してきました。

土井洋彦さんは内心では、松竹伸幸さんを「反党反革命分子」「反党分子」などと把握していると考えられます。



鈴木元さんは前著「ポスト資本主義のために マルクスを乗り越える」(かもがわ出版より昨年4月刊行)で日本共産党の党首公選制を訴えていた

 上念司さんのyoutubeで、松竹伸幸さんの除名問題、昭和47年に民青同盟で起きた新日和見主義事件などについて、拙い話をする機会を頂きました。有難うございます。

古より怖くて恐ろしい日本共産党??黒坂真教授に訊く、除名問題の本質はコレ!|上念司チャンネル ニュースの虎側 - YouTube

松竹伸幸さんの除名には驚きました。

1月21日の「赤旗」に藤田健赤旗編集局次長による、松竹伸幸さんの一連の言動は規約と綱領から逸脱しているという論文が出ました。

それでも、除籍ぐらいかな、と思っていました。萩原遼さんの例がありますから(「朝鮮と私 旅のノート」文春文庫)。

萩原遼さんはこの著書で、日本共産党委員長、副委員長と書記局長の公選制導入を訴えていますが、それで規約違反として処分などされていません。

志位さん、鈴木元さんの二つの著作を読みましょう

日本共産党の党首公選制導入については、鈴木元さんが前の著作「ポスト資本主義のために マルクスを乗り越える」(かもがわ出版より昨年4月刊行)で提案しています。

鈴木元さんによれば、さかのぼれば不破さん、さらに宮本顕治さんの推薦で歴代の幹部会委員長は就任しています。

志位さんは日本共産党の幹部会委員長ですが、鈴木元さんは志位さんは最高決議機関である党大会でも選ばれていないと断言しています(同書p308)。

松竹伸幸さんの除名に関する日本共産党の文書から敷衍すれば、鈴木元さんはとっくの昔に規約違反とみなされ除名されていてもおかしくないように感じます。

日本共産党の党首公演制導入を訴えていたのですから。

共産「松竹伸幸氏の除名処分について」全文 (msn.com)

日本共産党では同じようなことを言っても、その時の指導部の判断で規約違反になる場合もあれば、ならない場合もあるということなのでしょうね。

繰り返しですが、萩原遼さんは日本共産党委員長、副委員長、書記局長の公選制導入を訴えたのです。それでも、上記の著作では規約違反とみなされなかった。

日本共産党の処分方式は、罪刑法定主義の考え方を採用していないと考えられます。志位さん、いかがですか。

2023年2月4日土曜日

日本共産党では、異なる基礎単位に所属する日本共産党員間では政策や方針について議論をできないー日本共産党第十七大会特集より

理論派閥容認・日本共産党員間の横の交流拡大・党外出版物での批判容認を訴えると分派主義者とみなされる

日本共産党第十七大会は昭和60年11月に開催されました。もう37年ぐらい前です。

「前衛臨時増刊 第十七大会特集」に掲載されている行方克也さんの発言によれば、この大会の少し前に東京大学の院生で日本共産党員の方々が連名で日本共産党の改革を訴える文書を日本共産党東京の会議で配布しました。

行方克也さんは日本共産党東京都委員会にお勤めの方です。

行方克也さんによれば、東京大学の院生の日本共産党員の中に重大な反党活動を行っている人がいます。

行方克也さんの発言には出ていませんが、この院生は伊里一智(ペンネーム)という方でした。

伊里一智さんは東京大学で哲学を研究していたのでしょうね。その後、東京の私立大の教授になったと伺います。インターネットで検索すると、本名が出てきます。

昭和60年頃志位さんは、日本共産党の本部職員でした。伊里一智さんを強く批判する論考を書き、宮本顕治さんに認められたようです。

「投降主義者の観念論史観」(日本共産党中央委員会昭和61年刊行)に、この時の志位さんの論文が出ています。

日本共産党の規約を厳密に適用したら、支部が異なる党員間で政策や方針の議論はできない

伊里一智さんらは、民主集中制の緩和と称して、理論派閥の容認・日本共産党員の横の交流拡大・党外出版物での批判の容認を求めました。

行方克也さんによれば、伊里一智さんらの主張は情勢の見方について右翼日和見主義、降伏主義、組織論では分派の公認を求める最悪の解党主義です。

行方克也さんはこうした分派主義、解党主義に対し、今後とも原則的で非妥協的な対応をするという決意を表明しています。

この後、伊里一智さんらに対し行方克也さんが実際にどんな批判をしたのかはわかりません。

理論派閥とはどんな集団なのか不明ですが、日本共産党員数名が集まって日本共産党の綱領や規約、政策や方針を批判する文書を作成したら分派とみなされるのでしょうね。

日本共産党員間での横の交流拡大も分派主義とみなされる。異なる基礎単位に所属する日本共産党員が日本共産党の政策や方針について議論をしたら、分派の結成とみなされうる。

伊里一智さんらは日本共産党大会での代議員になろうとして周囲の仲間に支持を広げようとしたのでしょうけれど、これも分派結成の呼びかけと解釈されたのです。

詳しくは、伊里一智さんの著作「気分はコミュニスト」(日中出版昭和61年刊行)に出ています。

日本共産党の党大会に出席できる代議員なら、中央委員会を選出する事ができます。

代議員は各支部から選出されますが、実際は日本共産党の地方組織が推薦した方が代議員になります。

故萩原遼さんは日本共産党の委員長、副委員長、書記長の公選制を訴えたー党外の出版物で日本共産党を批判

松竹伸幸さんは日本共産党の党首公選制を著書等で訴えているので注目されています。

故萩原遼さんは著書「朝鮮と私 旅のノート」(文春文庫。平成12年刊行)で日本共産党の委員長、副委員長、書記局長の公選制を訴えました。23年も前です。

萩原遼さんは日本共産党大会の議案を支持する人しか代議員になれないこと、党員が公開の場で日本共産党の政策、方針について議論できないことは大問題である等の主張をしました。

伊里一智さんは宮本顕治さんの退陣を訴えました。萩原遼さんは、幹部に任期制を設けよという提案もしています。

萩原遼さんによれば、宮本顕治さんに引退を勧告できる幹部を一人も持たなかったことは、宮本さんにとっても不幸でした。

萩原遼さんの主張は伊里一智さんのそれと重なるところが少なくないように思えますが、萩原さんはこの著作を出した時点では注意された程度で、除籍や除名にはされませんでした。

萩原遼さんには、党外出版物での日本共産党批判が容認されたのです。

萩原遼さんが日本共産党の組織の在り方を批判する前に、兵本達吉さんが日本人拉致問題や宮本顕治さんらによるスパイ査問事件などの件で、「正論」などで日本共産党を強く批判していました。

不破さんは、萩原遼さんを除籍や除名などの処分にしたら、「正論」だけでなく「文藝春秋」でも徹底批判され、厄介な事になってしまうと判断したと推測されます。

日本共産党の規約にある「分派」「内部問題」という語は曖昧な概念

日本共産党の規約に出てくる「分派」「党の内部問題」「党員の資格」という語自体がどうにでも解釈できる曖昧な概念です。

厳格な定義をやりようがない。

同じような言動をとってもその時点での指導部の判断により、分派活動というほどでもない、これは党の外部に出しても良い、党員の資格を失っていないという判断がありえます。

日本共産党指導部が、日本共産党員のある言動が規約に反しているか否かを決定する際、裁判所の判決のような厳格さはありません。

一般党員なら、日本共産党から除籍や除名になってもどうということはないので、日本共産党から言論の自由を制限されているという実感はないでしょうが、日本共産党職員、議員の場合は異なります。

日本共産党職員、議員が指導部を批判すると、厄介な事になりえます。直ちに処分されるわけではありませんが、重要な部署から外されうる。

自分に不利益になるなら、発言を控えてしまう事になります。職場では本音を隠し、建前だけの発言を続ける日本共産党職員、議員が少なくないと考えられます。

松竹伸幸さんの諸提言を受け入れた方が、日本共産党には良いことになりそうですが、無理でしょうね。

松竹伸幸さんは厳しい処分をされそうに思えます。

志位さんの退陣を訴える鈴木元さんについては、批判する論文が「赤旗」に出ていません。

鈴木元さんが何の処分もされないなら、指導部は何をしているのだという日本共産党議員、職員が増えていくでしょうね。