中北浩爾教授は、一昨年出た中公新書「日本共産党」の著者です。
日本共産党の歴史と理論、政策についてわかりやすく解説されています。日本共産党に関するいろいろな件について、多くの新聞、雑誌が中北教授にコメントを求めるのは当然です。
この本のp. 401で中北教授は、日本共産党が安定した連合政権の担い手になるためには、日米同盟や自衛隊の役割承認が不可欠であること、米国や大企業・財界との一定の協力関係構築が必要である旨、主張しています。
中北教授はこの本の出版後も、様々な機会でこの主張をしていると考えられます。
日本共産党は中北浩爾教授を「赤旗」で批判したが、反論の掲載を拒否した
中北教授に対し、日本共産党の谷本諭理論委員会事務局長は「日本共産党を論ずるなら事実にもとづく議論を」という論考で反論しました。日本共産党を論ずるなら事実にもとづく議論を/――中北浩爾氏の批判にこたえる/理論委員会事務局長 谷本諭 (jcp.or.jp)
この論文に対し、中北教授は反論を「赤旗」紙面に掲載するよう、日本共産党に要求しましたが、日本共産党はこれを拒否しました。下記です。
日本共産党のこの回答に対し、インターネットで少なくない同党支援者が失望感を表明しています。
私見では、日本共産党が中北教授の反論掲載を拒否した理由の一つは、志位さんが著書などで提起している安全保障政策(日米安保活用論)を内緒にしたいからです。
前述の谷本諭さんの論考には、志位さんの日米安保活用論についての言及はありません。
志位さんによれば、日本共産党は政権に参加できたら、日本有事の際、日米安保第五条により米軍に出動要請をします。違憲の自衛隊を合憲と認め、防衛出動を認めます。
与党になった日本共産党は、政府のこれらの政策を容認するのですから、与党になった日本共産党は日米安保活用論者です。
与党になった日本共産党は、安全保障政策で今とほぼ百八十度異なる主張をすることになります。
日本共産党の皆さんは、今は日米安保は危険だと街頭で繰り返し訴えているでしょうが、与党になれたら日本有事の際は日米安保により平和と民主主義を守ります、と訴えるのでしょう。変な話ですが。
中北教授は志位さんの著作にも出てくる、志位さんの日米安保活用論を百も承知でしょう。
中北教授から、日米安保活用論を指摘されたら志位さんは困る
中北教授から、「日本共産党は既に日米安保活用論者の政党ではないですか。野党の今と与党になってからで安全保障政策が百八十度異なるのはおかしい。野党の今でも、日米安保容認を訴えるべきです」と言われたら、志位さんは困ってしまいます。
志位さんは、自分の安全保障政策に確信が持てなくなっていると考えられます。
わが党は与党になったら日米安保を活用して日本の平和と民主主義を守ります、などと志位さんが正直に言ったら、日本共産党は大混乱に陥ってしまいかねません。
厄介な事、面倒な事は避けるに限る。志位さんはこう判断したと考えられます。
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