2016年6月4日土曜日

宮崎市定「雍正帝 中国の独裁君主」(中公文庫)より思う

雍正帝の即位は西紀1722年、ロシアのピーター大帝に少しく遅れ、プロシアのフレデリック大王に少しく先んじ、わが国では徳川八代将軍吉宗の中期に相当する(同書p9-10より)。


故宮崎市定京大教授(1901-95)は、東洋史の知る人ぞ知る大家です。

独裁制を論ずるためには、その代表的な実例を一つ一つ取上げて真相を究明してゆくのが我々に与えられた課題であろう、と宮崎教授はこの本のはしがきで語っています。

僭越ながら、私は独裁制の理論化を課題としています。大家には及びもつきませんが、日々の努力を怠らないようにせねばなりませんね。

宮崎教授が描き出した雍正帝は、夜は十時、十二時に寝て朝は四時以前に起床し政務に没頭する努力家です。中国を完全に統治するためには、自身が中国流の独裁者にならねばならない。

独裁者は細心な努力家でないと務まらない。官僚の動きを把握せねばならないからです。宮崎教授はそれをいくつもの例をあげて説明しています。

はしがきの最後で宮崎教授は、歴史学の任務は過去の世界から意想外の事実を取出して紹介することにより、今まで何となしに形作られてきた歴史のイメージを訂正させることであると述べています。

この本は1950年に岩波新書として執筆されたそうですから、学術論文というより教養書です。雍正帝は数千年の伝統を有する中国の独裁政治の完成者であると宮崎教授は評価しています。

君主独裁制の下では皇太子も単なる一個の臣下に過ぎない


雍正帝は先代康熙帝の四番目の息子です。雍正帝の即位を、先代の康熙帝とその皇子たちとの葛藤から宮崎教授は語ります。

皇太子は皇帝候補者でしかないのですから、政治には関与できない。康熙帝は政治ボス化した皇太子を廃嫡し、臨終のときに四男を次の皇帝に指名しました。

宮崎教授によれば、読者がこの書によりいかにも中国に起こりそうなことばかり書いてあるという感じたのならそれは著者の意図ではないそうです。

しかし、中国に起こりそうなこと、すなわち中国史で繰り返されてきたことをこの書で確認し、現代中国に対する理解を深めていくという読み方もあるのではないでしょうか。

これは雍正帝の統治手法により独裁制を語るという宮崎教授の狙いに反してしまい、いささか恐縮です。

本書p91-92で宮崎教授は中国の官吏について次のように説明しています。

官僚と緊密に結びつく企業が独占利潤を得る


官吏の地位は財産家であって始めて得られるが、財産はまた官吏たる地位によって得られる。何となれば官吏と結託するのでなければ、如何なる企業も成立しないからである。

商業も工業も鉱業も、官吏との連繋のために、多額の資金が消費される。そして官権との緊密な連繋によって成立する企業、たとえば塩業のような独占事業ほど利潤が多い。

これでは正当な産業を起こすための資本が蓄積されるはずがない。利潤は大部分、政治ボスの懐に入って、無益な消費を促進するだけである。

そこで企業家は政治ボスに対する献金を埋め合わせるために、国家に対する納税を怠るか、或いは下に向かって労働を搾取するか、二つに一つの方法を選ばざるを得なくなる。

資本家が脱税御免ということになれば、国家財政は破綻せざるを得ないし、労働の搾取が極端までゆけば再生産が不可能に陥る。

王朝の末期にはたいていの場合、この二つの現象が並行して現れる。

宮崎教授のこの観察は、中国は官僚資本主義という命題にまとめられるでしょう。

雍正帝は官僚と資本の結合を断ち切ろうとした


p178で宮崎教授は、雍正帝は官僚と資本家の結合を断ち切ろうとしたと語っています。独裁制を維持するためには、皇帝に仕えて徴税や政務を実行する官僚が必要不可欠です。

しかし官僚が賄賂から巨額の蓄財をすれば、王朝への反感が強まり農民の反乱が生じかねない。

官僚は政権をもって資本を擁護し、資本はその利益の一部をさいて官僚の後ろ盾となっていました。18世紀の雍正帝の時代にも政官癒着による市場経済化という現象はあったのでしょう。

今日の中国では、中国共産党幹部が中央政府、地方政府で権限を用いて親族企業のために便宜をはかり巨額の資産を蓄積しています。これは中国史の特徴なのです。

大規模な農民反乱が直ちに起きるとは思えませんが、少し変わった宗教結社が徐々に支持を集め、王朝や政権に反抗していくのも中国史の特徴です。

「毛沢東思想」を信じる集団だった中国共産党は、そういう宗教結社の流れから理解すべきです。

J.F. Stiglitzの米国社会論と宮崎教授の中国官僚資本主義論


奇妙ですが、宮崎教授の中国官僚資本主義論は、米国経済学者Joseph. E. Stiglitzの米国社会論と共通する点が少なくないと感じました。

Stiglitzは「世界の99%を貧困にする経済」(The Price of Inequality、徳間書店刊。p76)で次のように語っています。

政治家と結びついた人間が所得の再分配の範囲を限定し、「ゲームのルール」を自分たちに都合よく作り上げ、公共部門から大きな「贈り物」をむしり取っている。

経済学者はこのような活動を、レントシーキングとよぶ。上層の人々は、残りの人々にほとんど気づかれることなく、残りの人々から金を吸い上げる方法を学んできた。

大統領を選挙で決める米国は独裁制ではありません。しかし、金儲けにいそしむ人間の姿は、いつの時代でも、どこでも同じなのでしょう。





2016年5月29日日曜日

聴濤弘「カール・マルクスの弁明 社会主義の新しい可能性のために」(2009年大月書店刊行)への疑問

聴濤弘(1935年生まれ。日本共産党元参議院議員)によれば、ソ連では医療が無料で女性と子供に手厚い保護がある。保育所が完備している(「資本主義か社会主義か」1987年新日本出版社刊行,p94-98より)。


左翼政治家、左翼知識人として生きていくためには、仲間が羽振りの良いときには接近して礼賛し、落ちぶれていったら手のひらを返して罵詈雑言を浴びせる必要があるのでしょうか。

本ブログでは何度も、宮本顕治氏(元日本共産党議長)がかつて旧ソ連や中国、北朝鮮を礼賛してきたことを指摘してきました。

宮本顕治氏より一世代後の日本共産党幹部として、宮本顕治氏に従ってきた不破哲三氏、聴濤弘氏らもソ連が崩壊するまでは上述のようにソ連を礼賛してきました。

聴濤弘氏のソ連崩壊前の著作「資本主義か社会主義か」によれば、社会主義には「復元力」がある


聴濤弘氏の著作「資本主義か社会主義か」はソ連が崩壊する4年ほど前に出版されていますが、ソ連礼賛がしつこいほどなされています。

ソ連崩壊前の聴濤弘氏によれば、社会主義には「復元力」とやらがあるそうです。

聴濤弘氏は昭和59年12月10日から17日までモスクワで開かれた日本共産党宮本顕治議長とソ連共産党チェルネンコ書記長の会談に参加しました。

聴濤弘氏によれば、この首脳会談は歴史的、画期的意義を持っており、社会主義の復元力を示しました。

日本共産党第16大会決定によれば、社会主義国があれこれの重大な誤りをおかすからといって、社会主義は「完全変質した」とか、もう発展していく可能性はないなどといった主張は誤りです(「資本主義か社会主義か」p38より)。

これはソ連崩壊の7年ほど前の、日本共産党による宣伝文句です。

「復元力」を備えているはずの素晴らしきソ連は、崩壊しました。

崩壊後に出した著作「カール・マルクスの弁明」で聴濤弘氏は、1929年からソ連は社会主義の軌道から転落し、党と国家による「専制政治社会」に変質したと弾劾しています。

従って、ソ連崩壊後に聴濤弘氏は「社会主義完全変質論」が正しかったことを認めたのです。

旧ソ連は「社会主義の軌道」とやらから転落したそうですから。「転落」などという表現は、自分たちが落ちぶれた仲間より高い位置にいるという発想があるからできるのでしょう。

そもそも、「社会主義の復元力」「社会主義の軌道」とは一体何なのでしょうか?聴濤弘氏の著作にはこれらの説明と思しき記述がありません。

労働者がどんな基準で企業を管理・運営するのか


共産主義者は「生産手段の社会化」という特殊な用語をよく用いますが、これも具体的な中身が全くない空言です。

聴濤弘氏によれば、「生産手段の社会化」が搾取をなくす根本です(「カール・マルクスの弁明」p93)。

トヨタ自動車で労働者が生産手段の所有者になり、搾取を廃絶したらどうなるか。この本で聴濤弘氏はそれを少し論じています。

聴濤弘氏によれば、経常利益から税金と株主への配当を控除した部分の約7000億円(2008年の数字)を労働者自身が決定でき、労働者の生活を大きく向上できるそうです。

聴濤弘氏は企業経営を全く理解していない。

トヨタには労働者は一体何人いるのでしょうか?非正規労働者や海外拠点の労働者を含めれば数十万人になるでしょう。

数十万人の意見を誰がどうやって集約し決定するのでしょうか。

数十万人の労働者の中には、7000億円を全額賃金に配分すべきだという人、競争相手に勝利するため全額新車開発に回すべきだという人、景気が悪化した時の備えとして全額を金融資産として保有すべきという人など、いろいろな意見がありうる。

市場経済は消費者が主役


トヨタには日産、本田、三菱自動車やGM、現代自動車など競争相手がいるのですから、電気自動車など次世代の新車開発に相当資金を注いでいかないと競争に敗北してしまいます。

市場経済で企業は競合相手と対峙しています。

市場経済では「生産者が主人公」などと威張っている企業は顧客からそっぽを向かれ潰れてしまいます。市場経済は消費者が主人公なのです。

労働者が企業を管理・運営しても、消費者に受け入れられる製品を生産できなければその企業は倒産してしまう。

十数万人の労働者がじっくり議論して企業の管理・運営をやっているような呑気な企業は、決定を迅速にできませんから消費者の気分感情を反映した製品を生産できないでしょう。

十数万の労働者が企業を管理・運営する企業は製品開発で遅れてしまうのです。消費者は甘くない。

数人規模の企業なら、労働者全体で企業の管理・運営ができそうです。

親子や兄弟で作られている中小零細企業なら、労働者全体で企業を管理・運営し、顧客や元請けの意に沿った製品の供給が可能でしょう。

社会主義とは血縁者間による企業経営である、という話なのでしょうか。中世の中国やイスラムの商人は、商売で得た儲けを一族のために使っていました。

儒教の教えより、中国では自分が属する氏族に対する忠誠心が社会規範になっていましたから。

労働者が企業を管理・運営するとカローラやプリウスはどうなるのか


聴濤弘氏によれば、「生産手段を社会化」すると、労働者が企業を管理、運営するようです。

労働者が管理・運営するトヨタではカローラやプリウスはどう変わるのでしょうか。下請けから少しでも高く部品を買えば競争に負けてしまうかもしれません。

株主は、儲けをもっと配当に回せと労働者に要求するでしょう。

配当性向が低ければ株価が下がり、資金調達が困難化するかもしれません。

労働者が管理・運営する企業が競争に負けて倒産したら、「社会主義から逸脱した」と罵詈雑言を浴びせるのが共産主義者の生き方なのでしょうか。

「社会主義の道を歩んでいる」と称する企業の製品を消費者が気に入る保証はどこにもないのです。

企業経営について真面目に考えないから、共産党員は嫌われるのです。

聴濤弘氏は日本の安全保障政策について具体案を示すべきだ


安全保障についても同様です。「憲法九条を守れ」と叫べば北朝鮮のテロ、生物・化学兵器攻撃を未然に防げるでしょうか。民間航空機を爆破して喜んでいるテロ国家を甘く見てはいけません。

北朝鮮を直接攻撃する能力を自衛隊が持ちそれを金正恩に誇示すれば、金正恩は日本攻撃を恐れるでしょう。

聴濤弘氏は日本共産党独自の安全保障政策を持つべきだと講演で主張しているようですが、それならば自衛隊の抜本的強化を主張すべきなのです。日米安保を破棄するならそれしかない。

まずは巡航ミサイルの大量保有、爆撃機保有です。巡航ミサイルなら、北朝鮮を正確に攻撃できますから。

共産主義者は、企業経営や日本の安全保障について真面目に考えないから嫌がられるのです。


2016年5月16日月曜日

山本七平・加瀬英明「イスラムの読み方」(祥伝社新書、原著は徳間書店より昭和54年刊行)より思う。

「これまでの中東の仕組みを、大きく揺さぶっているのは、キリスト教国に対する敵意よりも、イスラムの二大宗派である主流のスンニー派と、傍系のシーア派による、血で血を洗う抗争である」(同書p3より抜粋)-


これが現実なら、中東、そして欧州は大変なことになってしまいます。加瀬英明氏はサウジアラビアとイランの対立激化の可能性を示唆しているのでしょうか。

スンニー派、シーア派と言っても普通の日本人には何のことなのか不明です。イスラム社会は実にわかりにくい。

しかし、最近各地で生じているISによるテロは重大です。勿論テロをイスラム教徒全体が支持していることなどありえない。テロはイスラムの教えとは無関係と考えている方が多数派でしょう。

それではISの主張すべてがイスラム教と無関係なのでしょうか?イスラム原理主義という言葉があります。仏の右派政治家Marine Le Pen(国民戦線)はイスラム原理主義を強く批判しています。

IS(イスラム国)はイスラム原理主義者の集団なのでしょうか?イランの故ホメイニ師はイスラム原理主義者だったのでしょうか?そもそも、イスラム原理主義の定義は何でしょうか?

これらの疑問への答えは容易ではありません。ともあれ、私たちなりにイスラム社会を理解するために多少の知的努力を心がけたいものです。

この本の序章から5章までは37年くらい前に行われた対談ですが、古さを感じさせません。

この本には極端化、単純化のし過ぎではないかと思えてくる部分もありますが、興味深く感じた点を列挙しておきます。以下は山本七平氏の発言の要約です。

イスラム教では、砂漠を動いて略奪する人間のほうが土地を耕す人間より立派である(山本七平)


第一に、イスラム教では、いちばん下層のだらしない人間、とされているのは労働する人間である。砂漠を動いて略奪するほうが、土地を耕す人間よりも立派である。

これがイスラム社会ではいちばん大きな問題である(p74)。

第二に、アラブの歴史家ヒッティの言によればアラブの不幸は農耕時代を経ないでいきなり都市に入ってしまったことだ。これがあとあとまでイスラムと中東に決定的な影響を与えた(p80)。

第三に、アラブ社会の問題点は支配者が無限に富を支配したがることである。物を生産していくという農民的意識が希薄なので、どんどん搾取、収奪して使ってしまう傾向がある。

第四に、イスラム社会では神とは契約の対象であり、契約とは基本的に神との契約しかなく人と人の間に契約はない。神との契約の内容が各人同じだから、お前とおれとの間に約束が成り立つ(p147)。

第五に、中東の人には日本の転びキリシタンが書いた南蛮誓詞、「デウスに誓って神を信じません」は理解できない。

日本人は「和を以て貴しとなす」(以和為貴)


第一の人間観が現代イスラム教徒全体の共通認識とは思えません。イスラム教徒と言っても、インドネシア、中国回族、中東では大きく異なっているはずです。

しかし、第二の点、アラブには農耕時代がなく欧州とアジアを結ぶ隊商交易で栄えてきた民族であることが、決定的な影響を与えたという指摘はわかります。

隊商を襲って財を得る人が相当数いたのかもしれません。オアシスの周囲には多少の農地があったはずですが、オアシス農業で養える人口は少ない。

先祖代々、農業に従事してきた民族と先祖代々、隊商交易に従事してきた民族、あるいはモンゴル人のように放牧で暮らしてきた民族では基本的な人間観が異なります。

各民族の人間観は、それぞれが交わしてきた言葉により形成されます。農耕民族の日本人は、「和を以て貴しとなす」「一所懸命」という人間観を保持してきました。

日本人は地道に田畑を耕し、品種改良により農業生産を拡大してきました。子々孫々の繁栄を八百万の神々に祈ってきました。

日本人には他地域を攻撃して財と富を得るという発想はできにくい。

戦国時代には生き延びるため他国(他地域)の略奪を行った大名が少なからずいましたが、この時代は例外的です。その後の江戸時代は約260年続きました。

アラブにも、理想とする人間観を表現する言葉があるはずです。それは、略奪を正当化しているのでしょうか?ジハード(聖戦)という語はそんな意味ではないはずです。

第四の、「神との契約」という考え方の理解は難しい。日本人にとって、神様はどこにでもいる存在ですから、近くにいるであろう神様に今後の自分の生き方を誓うのは当然です。

イスラム教は今日に至るまで、聖俗を区別することなく、政治から、衣服、娯楽、食生活をはじめとして、生活の隅々の些事にいたるまで、人々の生活のすべてを支配している(加瀬英明、同書p251より)

外国に住んでいるイスラム教徒が上述のように生きていこうとすると、当地で相当な反発を生んでしまいそうです。仏、独では人口の5~6%がイスラム教徒です。

「郷に入っては郷に従え」という発想は、先祖代々隊商交易で暮らしてきたアラブの人々の価値観には合わないのかもしれません。

「郷」すなわち各地域には独自の歴史と法律があるからよそ者はそれを尊重すべきだ、という発想は所領を重視する農耕民族の発想に近い。

相当数のイスラム教徒がすでに定住している欧州諸国では、基督教徒とイスラム教徒の融和を模索せねばならないでしょう。

加瀬英明氏は中東の今後について、次のように語ります。現在の米国が中東に本格的に軍事介入するなど、極めて考えにくい。ISに対しても米国は空爆以外に何もやれそうにない。

その隙を狙ってロシアやイランが勢力圏と影響力を拡大していくのでしょうか。

これから、第一次世界大戦後にヨーロッパ列強によって一方的に引かれた、国境線が消滅していって、新しい中東が出現することとなろう(同書p283)。


イラクはシーア派、スンニ派、クルド族の三つの国に別れよう。シリアもアサド政権のアラウィ派(シーア派の分派)、スンニー派による三つに分裂しよう。

リビアが3つか4つ、サウジアラビアは90%のスンニ派と、油田地帯に住む10%のシーア派の二つの国に分かれるだろうか(同書p283)。

加瀬氏は大胆に予想しています。中東各地で内戦ないしは局地戦が勃発してしまいかねないということでしょう。そのとき、原油市場にはどんな影響があるのでしょうか。

予測は困難ですが、経済の持続的成長のための必要条件は平和と治安の維持です。

当たり前のことですが、戦争で人命が失われ、機械や工場が破壊されてしまえば経済活動ができなくなってしまいます。

戦争が勃発していなくても、治安が乱れて契約の着実な施行が保障されていない社会では経済活動が停滞してしまいます。

略奪する人間のほうが生産する人間より立派だ、という人間観が支配的になってしまえば、治安が極度に悪化してしまいます。暴力団が国家と社会に侵食していくとそうなります。

中東の混乱が深まれば、大量の難民が発生して欧州社会の安定を脅かしかねません。ではどうするべきなのか?かなりの難問です。














2016年5月7日土曜日

中国は北朝鮮に「集団的自衛権」を適用してきたー朝鮮戦争参戦は大韓民国への侵略ー

「朝鮮戦争の三年間、戦場での実際の主役はアメリカ軍と中国軍だった。国連軍が仁川上陸に成功し、北上を開始した後の1950年10月中旬、半島北部における残留人民軍のまとまった部隊はわずか四個師団未満にすぎなかった。

十三万の国連軍精鋭部隊の北上を阻んだのは、十月下旬に参戦した三十万近くの中国人民義勇軍だった」(朱建栄「毛沢東の朝鮮戦争」岩波書店1991年、p2より抜粋)。


何かに触発され、心中で描いてきた「現実」と実際の史実、現実が異なっているらしいと気づくことがあります。

そのとき、様々な文献や資料を調べて「現実」が虚偽であったことを認めるのは難しい。それまでの自分の主張を変えなければならないからです。

「あの人は今までこう言ってきたのに、今は違うことを言っている。変な人だ」という類の悪評判がたつことを覚悟せねばならない。現実を認識するためには、時には勇気と覚悟が必要なのです。

毛沢東の「新中国」とやらによる侵略戦争について、左翼人士が文献や資料を調べて検討するのは極めて困難です。

日本共産党の参議院議員だった聴濤弘氏は、中国を社会主義国とみなすことに疑問を持っているようですが、「新中国」が侵略戦争を行ったことまでは認識できないようです。

中国の参戦兵力は西側の推定によれば三年間でのべ500万(前掲書p2)


朝鮮戦争は昭和25年6月25日に始まり、昭和28年7月までおよそ3年間続きました。朝鮮戦争は韓国軍が北進したことにより始まったという虚偽宣伝が長年常識になっていました。

いくら何でもこれは無理があるので、朝鮮戦争が北朝鮮の南進により始まったことを、今では日本共産党すら認めています。在日本朝鮮人総連合会の皆さんはこれを認めていませんが。

朝鮮戦争は金日成と朝鮮人民軍による大韓民国への侵略でした。従って、「抗米援朝」を掲げて行われた中国人民義勇軍の参戦は、中国による大韓民国への侵略戦争です。

歴史にもしも、という問いかけは禁物なのかもしれませんが、中国人民義勇軍が参戦しなければとっくの昔に北朝鮮は崩壊し、大韓民国による朝鮮半島の統一が実現していたことでしょう。

「戦争法反対」とやらを叫ぶ左翼人士や韓国左翼にとって、中国による大韓民国への侵略はどうしても認めたくない史実の一つです。

左翼にとって、アジアで侵略戦争を行ったのは日本だけのはずですから。韓国軍のベトナム戦争参戦(侵略)も日本の左翼は内緒にしておきたいのです。

「八路軍」の後継者人民解放軍が大韓民国を侵略した


正義の権化たるべき毛沢東の八路軍の流れにあるはずの中国人民解放軍が、大韓民国を侵略し韓国軍兵士や市民を殺害したのです。

山本薩夫の映画「戦争と人間」は金日成や八路軍を解放者として美化しました。左翼人士はいまだにこの映画のイメージで中国共産党や朝鮮労働党を把握しています。

金日成は満州で山賊行為をやったから、日本軍に討伐されソ連領に逃げました。

中国共産党の主力は延安に逃げました。国民党と共産党の「合作」により八路軍は国民党の軍の一つでした。

国民党が腐敗しきっていたから、軍が士気を失って弱体化し共産党の軍に敗北したのです。

「新中国」とやらは朝鮮半島やチベット、ウイグル、モンゴル人の居住地をも自分の勢力圏とみなす伝統的な覇権国家でした。

中国共産党は農民反乱を起こす奇怪な「宗教」団体だった


中国では王朝末期になると奇妙な「宗教」の影響を受けた農民反乱が頻発し王朝の崩壊を促進してきました。

毛沢東の中国共産党は共産主義という「科学」の装いをこらした奇怪な「宗教」運動団体だったのです。

共産主義者は農村の富裕層や僧侶に「反動地主」「反動勢力」とレッテルを貼り虐殺することを「封建制度からの解放」と正当化します。

寺院が田畑を保有し小作人を使っていれば僧侶は「地主」ですから、殺せという話になります。

共産主義思想から見れば韓国政府は米帝国主義の手先で傀儡ですから、韓国兵士を虐殺することが人民の解放なのです。これは今の北朝鮮の「革命理論」でもあります。

中国は鴨緑江の向かい側まで韓米が制圧することを許さない―韓国による朝鮮半島統一を中国は妨害してきた―


「新中国」による大韓民国への侵略は、「集団的自衛権」の適用ともいえます。

朱建栄前掲著(p207)によれば、西側帝国主義敵対勢力が鴨緑江の向かい側まで制圧することは容認するわけには行かない、という認識では毛沢東は一貫していました。

その後の中国共産党最高指導部もこの視点を継承しています。中朝友好協力相互援助条約(昭和36年7月11日締結)の第二条は次です。

「両締約国は、締約相互のどちらか一方に対するいかなる国家からの侵略に対しても、それを防止する全ての措置を共同でとる義務を負う。

一方の締約国に対し、一国もしくはいくつかの国から連合して武力侵攻を受けて戦争状態に陥ったとき、他方の締約国は全力を挙げて直ちに軍事的その他の援助を提供する」。

この条項は、左翼人士が戦争法と口やかましく叫ぶ「集団的自衛権」そのものです。

左翼人士は中朝間の「集団的自衛権」の存在について沈黙していますが、これは都合が悪い史実を隠ぺいして保身をはかっているだけです。

この条約は今日でも残っていますが、そうだからと言って北朝鮮と韓国・米国が再び戦争状態になったとき中国が北朝鮮を守るために自動参戦するとは考えにくい。

中国朝鮮族と朝鮮人民軍の「外貨稼ぎ」


西側帝国主義敵対勢力が鴨緑江の向かい側まで制圧することは許せない、という視点から、中国人民解放軍が朝鮮人民軍に攻撃を加え、核やミサイル基地を制圧する可能性を指摘しておきたい。

生物・化学兵器の所在まで突き止めるのは現状では困難ですが、誰かが朝鮮人民軍の高位幹部を抱き込めば不可能ではない。

中国朝鮮族の中にそういう芸当ができる人物がいてもおかしくない。朝鮮人民軍は「外貨稼ぎ」をやっています。

北朝鮮の鉱産物を買う朝鮮族が朝鮮人民軍内に人脈を作ることは不可能ではない。平壌の中国大使館に朝鮮族が外交官として来ているかもしれません。

金正日の長男金正男が中国国内を活動の拠点としていることも気になります。

中国は金正男をいつの日か使おうとしている―金正男なら「改革・開放」を実行できる


中国共産党指導部はいざというとき、金正男を使おうとしているのではないでしょうか。張成澤に近かった金正男なら、中国式の「改革・開放」を実施しうる。

金正男なら、母親が元在日朝鮮人の金正恩より「正統性」があると言える。金正男なら、幼少時に祖父金日成と会って写した写真が残っていてもおかしくない。

金正恩には祖父金日成と一緒に写した写真がないようです。母親の高英姫が元在日朝鮮人ですから、金正日は高英姫と子供たちの存在を父の金日成に言えなかったらしい。

「正統性」とやらと母親の出身地が関係するという話は、私たち日本人には理解できにくいのですが、脱北者にそう主張する方が少なくない。

金正恩が「21世紀の偉大な太陽」などと本気で信じている人が北朝鮮内部にどれだけいるでしょうか。

朝鮮労働党組織指導部や国家安全保衛部所属の大幹部が大真面目にそう信じているはずがない。金正恩に対する彼らの大げさな挙動は専ら保身のためです。

張成澤のようになりたくない、その一心でしょう。真黒な内心を抱いていてもおかしくない。

金正恩や妹金予正、朝鮮労働党組織指導部や国家安全保衛部最高幹部の動向、内心に関する情報を、中国共産党は可能な限り得ようとしているでしょう。

張成澤が中国共産党にそれらを何らかの経路で提供していた可能性があります。

中国をいつまでたっても訪問できない金正恩は中国共産党最高幹部の面子をつぶしています。

核実験を繰り替えす金正恩が中国を訪問したら「急病」など出鱈目な理由で抑留されてしまうかもしれない。そのとき北朝鮮は何もできない。

聴濤弘氏(元日本共産党参議院議員)はなぜ北朝鮮の人権問題について発言できないのか


中国と北朝鮮の関係はかつて「唇歯の関係」と呼ばれましたが、国際政治に永遠の味方はないのです。

現時点では、中国が北朝鮮を勢力下におくために金正恩排除の手立てを考えていてもおかしくない。左翼人士には、中国共産党最高指導部のしたたかさが理解できないのでしょう。

在日本朝鮮人総連合会幹部の方々は、金正恩が中国を訪問できない理由をどう考えているのでしょうか。この件について一切思考と議論ができない方が多いのかもしれません。

日本共産党参議院議員でソ連問題の専門家聴濤弘氏は、ソ連と北朝鮮の間にも同様の条約があったことを知っているはずです。こちらにも、「集団的自衛権」条項がありました。

聴濤弘氏の最近の著作は、北朝鮮について「赤旗」紙面程度のことしか述べていません。聴濤弘氏はソ連問題の専門家だったのですから、北朝鮮について調べる能力はあるはずです。

旧ソ連と同様に、北朝鮮にも「政治犯収容所」が存在し政治犯やその家族が囚人労働を強制されています。聴濤弘氏なら、文献で調べればそれが真実であることはすぐにわかるはずです。

北朝鮮問題に深入りすると、兵本達吉氏(元日本共産党国会議員秘書)や萩原遼氏(元「赤旗」記者)のように「反党分子」のような扱いにされてしまうことを恐れているのでしょうか。

現実を認識するためには、時には勇気と覚悟が必要です。

聴濤弘氏は中国、北朝鮮という共産主義国による人権抑圧について今後も沈黙を続けるのでしょうか。聴濤弘氏の今後の選択に注目しましょう。







2016年4月15日金曜日

宮本顕治「プロレタリア独裁は人民大衆の民主主義を保障する反面、反革命分子を抑圧するという明白な論理を持っている」(「中央公論」臨時増刊、昭和32年3月刊行p268より)

「ハンガリーでは、民主主義一般は問題にならないが、社会主義を支持する人民大衆への民主主義的保障と、それに反対する分子への警戒が足りなかったのではないか」(「中央公論」掲載「日本共産党は何を考えているか」久野収、鶴見俊輔との対談)。


どんな善人にも、多少の裏はあるはずです。悪戯心をも裏と考えれば、裏のない人間など考えられない。

少しばかりの想像力を駆使して、こんなことをしたらどうなるかなという思考実験をするのは悪いことではない。

しかし何かの拍子で、脳裏に浮かんでいたことを他人に口走ってしまい赤恥をかくこともあります。思考実験を本音と受け止められたら、厄介なことになりかねない。

実際に本音かもしれませんが。本音を知ることは、その人の真実の姿を知ることです。政治家の真の姿、本音を知るためには、その政治家の若い頃からの言行や論考を調べるべきです。

宮本顕治氏の本音「反革命分子を抑圧せよ!」


日本共産党の党首を長年務めた宮本顕治氏の場合、冒頭に引用した発言は思考実験ではなく、本音でした。

これは「日本共産党は何を考えているか」というテーマで著名な二人の哲学者と「中央公論」で対談した時の発言です。1908年生まれの宮本顕治氏は、当時は49歳くらいです。

政治家としては脂がのっている年代です。有名な雑誌での対談ですから、文芸評論家でもある宮本顕治氏は考えに考え抜いて発言しているはずです。口が滑ったのではない。

「反革命分子」とはいったいどういう人なのか、共産党の文献を読みなれていない方にはわかりにくいでしょう。要は、共産党、労働党を批判する人間ということです。

同義語として、「人民の敵」「反党分子」「新日和見主義者」「反党反革命宗派分子」「民族反逆者」があります。「富農」「走資派」も同様の意味で、旧ソ連や中国では使われてきました。

共産主義理論では、この類の人々は「反動勢力」そのものです。この人たちは処刑するか山間僻地の政治犯収容所に追放し囚人として労働させ、「人間改造」させるべき存在です。

宮本顕治氏はソ連による「人民の敵」の処刑や囚人労働の強制を「反革命分子の抑圧」と正当化しました。

人間に対して「分子」という言葉を用いるのはいささか奇妙ですが、英語ではelementsといいます。「人民の敵」(People's enemy)は主に旧ソ連で用いられた語です。

「宗派分子」「民族反逆者」という語は主に北朝鮮で用いられてきました。在日本朝鮮人総連合会の皆さんならこの語をよくご存じです。

かつて日本共産党は、ソ連軍によるハンガリーの労働者・知識人殺害を支持した


宮本顕治氏が言及しているハンガリーの件とは、ソ連共産党を批判するハンガリーの労働者や知識人をソ連軍が侵攻して虐殺した「ハンガリー事件」(昭和31年10,11月)のことです。

ハンガリー事件の犠牲者は、数え方によりますが数千人です。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しいブダペストの街がソ連軍により蹂躙されました。

ソ連共産党を批判する人は反革命分子ですから、宮本顕治氏が信じている科学的社会主義の理論によればその方々を殺害、処刑するのが人民大衆の民主主義を保障することになります。

今日の日本共産党の「理論」から考えれば、一昔前の日本共産党はソ連覇権主義に忠誠を誓い、隷属していました。宮本顕治氏は、「ソ連盲従」だったとも言える。

宮本顕治氏は「前衛」掲載論文「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」(「日本共産党五〇年問題資料集1」所収)でスターリンとソ連共産党への忠誠を誓っています。

「われわれは特に、同志スターリンに指導され、マルクス・レーニン・スターリン主義で完全に武装されているソ同盟共産党が、共産党情報局の加盟者であることを、銘記しておく必要がある」(宮本前掲論文より抜粋)

マルクス・レーニン・スターリン主義とやらを、宮本顕治氏ら昔の日本共産党員は信奉していたのす。「ソ連盲従」の方なら、ソ連軍によるハンガリー人虐殺を支持するのは当たり前です。

吉良よし子議員、池内さおり議員ら若い共産党員の皆さんは、昭和32年3月発行の「中央公論」や「日本共産党五〇年問題資料集1」掲載の宮本論文に関心はないのでしょうか。

吉良よし子議員は聴濤弘氏に「反革命分子」抑圧論の真偽を問い合わせるべきだ


宮本顕治氏がこんな暴論を公然にしていたことなど、吉良よし子議員は信じられないでしょう。

前掲論文で宮本顕治氏は、「日本革命の『平和的発展の可能性』を提起することは、根本的な誤りとなる」と断じています。

宮本顕治氏によれば、議会を通じての政権獲得の理論も、同じ誤りだそうです(「日本共産党五〇年問題資料集1」p30より)。

吉良よし子議員がこれは嘘だ、そんな対談や論文などないと思うなら、昭和10年生まれの聴濤弘氏(日本共産党の元参議院議員で、ソ連問題の専門家)に問い合わせたらいかがでしょうか?

聴濤弘氏なら、昭和32年頃若き共産党員として活動をされていたでしょう。「日本共産党五〇年問題資料集1」掲載の宮本顕治論文を読んでいるはずです。

聴濤弘氏なら、かつての日本共産党がソ連軍によるハンガリー侵攻や、ソ連による「人民の敵」の処刑を支持していたことを御存じのはずです。

聴濤弘氏の最近の著作には、そんな話は一切出てきません。若い共産党員に教えると厄介なことになるから、古参党員は内緒にしているのです。

勇気を出して、聴濤弘氏に真偽を問い合わせるか、国会図書館から「中央公論」臨時増刊第72巻第四号や日本共産党五〇年問題資料集1」を借りたらいかがでしょうか。

「反党反革命宗派分子」の処刑を在日本朝鮮人総連合関係者は支持している


同様の主張を、「反党反革命宗派分子」張成澤処刑を支持する在日本朝鮮人総連合会関係者がしています。

朝鮮学校の教員の皆さんは、子供たちを、「反党反革命宗派分子」張成澤処刑を支持するような人間に育てたいのでしょうか?

「教育にチュチェをうちたてる」ことが朝鮮学校の基本目的なのですから、子供たちに「金日成民族」としての自覚をもたせるべく、朝鮮学校の教員の皆さんは日夜努力されているはずです。

北朝鮮は、北朝鮮の刑法が外国でも適用されると大真面目に規定しています。

金日成、金正日、金正恩を批判している私は「朝鮮民族敵対罪」を犯していることになりそうです。

金日成や金正日を批判する日本人はいくらでもいます。物騒ですが北朝鮮の刑法を適用して北朝鮮工作員が日本に生物・化学兵器攻撃をする可能性を指摘しておきたい。

吉良よし子議員、池内さおり議員には是非とも国会図書館に問い合わせて、北朝鮮の刑法を入手し読んでいただきたい。

共産主義運動の歴史の真実を知るために―吉良よし子議員は聴濤弘氏や在日本朝鮮人総連合関係者から聞き取りをするべきだ―


若い共産党員の皆さんに、北朝鮮による凄惨な人権抑圧の真実を知っていただきたいのです。

吉良よし子議員は在日本朝鮮人総連合会関係者に「教育にチュチェをうちたてる」「全社会の金日成・金正日主義化」「朝鮮民族敵対罪」とは何ですか?と気軽に質問なさったらいかがでしょうか?

日本共産党は、日本政府が北朝鮮と対話、交渉するべきだと主張しています。

それなら、吉良よし子議員や池内さおり議員は在日本朝鮮人総連合関係者と、北朝鮮による凄惨な人権抑圧の歴史について対話するべきです。

一昔前の日本共産党員と、在日本朝鮮人総連合会関係者の思考方式は酷似しています。

聴濤弘氏なら、北朝鮮の独特の用語について多少は見当がつくかもしれません。この世代の日本共産党中央幹部は、北朝鮮がとんでもない策動を日本に仕掛けてくることを予想していました。

昭和47年の「新日和見主義事件」で日本共産党中央により過酷な査問をされた民青同盟幹部の著作を調べればこれは明らかです。例えば、油井喜夫「汚名」(毎日新聞社刊行)があります。

共産主義運動の歴史の真実を知るためには、共産党が出版した文献を調べることも大事ですが、運動の参加者による体験談の聞き取りは欠かせません。

体験談には、その人たちの本音が現れてきますから。共産主義運動に参加してきた人の本音を知ることこそ、歴史を素直な目で見ることではないでしょうか。

数々の著書でソ連を礼賛してきた聴濤弘氏には、共産主義運動の真実を吉良よし子議員、池内さおり議員ら若者に伝える道義的責務があります。

聴濤弘氏は、ソ連では保育所が完備されていると宣伝した


聴濤弘氏は著作「資本主義か社会主義か」(新日本出版社昭和62年刊行、p99)でソ連では保育所が完備されていると宣伝しました。

聴濤弘氏はこの著作のⅢ「社会主義と国民生活」でソ連には無料医療制度と優れた老齢年金制度、社会保障制度があると宣伝しました。

「人民の敵」のお子さんたちは、政治犯収容所や山間僻地に追放されたはずです。政治犯収容所や山間僻地にも、「保育所」はあったのでしょうか?

吉良よし子議員は「保育所に落ちた」そうですが、旧ソ連では「人民の敵」のお子さんたちの保育所の有無について、聴濤弘氏に問い合わせて頂きたい。

「人民の敵」の子供には「無料医療」も保育所もなく、追放ないしは強制労働をさせられたのが、ソ連史の真実ではないでしょうか。

北朝鮮では、政治犯の家族は子供も収容所で囚人労働をさせられます。家族と子供を収容所に連行するのは国家安全保衛部です。

国家安全保衛部は真夜中、政治犯の家族を収容所に強制連行します。家族をトラックに載せて問答無用で連行するそうです。

「鳥も鼠も知らないうちにいなくなる」「山へ行った」という隠語を、在日本朝鮮人総連合会の運動に長年参加してきた方なら御存知です。

聴濤弘氏と在日本朝鮮人総連合会老幹部が選択している生き方に思う


朝鮮学校で校長を務めた方の家族が、政治犯収容所に連行されていた史実をヘイトスピーチ反対運動に参加している政治家や運動家に知っていただきたい。

当然、聴濤弘氏も北朝鮮による凄惨な人権抑圧の歴史を熟知しています。史実を若い共産党員に伝えると、厄介なことになるから黙っているのでしょう。

共産主義運動に長年参加すると、本音を若者に言えない人間になってしまうようですね。

朝鮮学校の教員の皆さんも、北朝鮮に社会主義の夢を求めて帰国した朝鮮学校元教員や卒業生が少なからず行方不明になっていることを、生徒たちには教えられないでしょう。

日本共産党の大幹部だった聴濤弘氏と、在日本朝鮮人総連合会の古参幹部の生き方はよく似ていませんか?保身のため、若者に本音を言わない。










2016年4月8日金曜日

故堀江忠男早大教授によるマルクス主義批判に思う。

「人間性の回復をはかろうとする人びと自身の間にしばしばみられる人間性喪失―これを克服するためには、弁証法という名前の図式主義からの解放が必要だと思われる」(堀江忠男「マルクス経済学と現実 否定的役割を果たした弁証法」昭和40年学文社刊、p44より)。


故堀江忠男早稲田大学政治経済学部教授は、マルクス主義を批判する数々の著作と論考を執筆された方です。早大では、社会主義経済学を担当されていました。

私が早大政治経済学部に在籍していた80年代前半頃、堀江先生は60代後半だったはずですが、キャンパスを早足で歩く御姿を何度か見掛けました。

生意気な左翼学生だった私は、堀江先生の著作や論文を読んでもいないのに、心中で堀江先生を「反動学者だ」などとレッテルを貼っていたような記憶があります。真に浅薄でした。

元気のよい某親友が、堀江先生の演習に参加しマルクス主義と弁証法について堀江先生に議論を挑みました。堀江先生は暖かく受け止めて下さったそうです。

某親友によれば、70歳近い堀江先生は演習に参加していた学生間のサッカーの試合で審判をされ、グラウンド狭しとばかり走られたそうです。

信じられない体力の持ち主だと某親友は驚嘆していました。その頃から30数年の歳月が流れました。

北朝鮮の凄惨な現実を文献を通して知り、それを傍観する左翼勢力を批判するようになった私は、左翼が依拠してきたマルクス主義を批判する雑文を本ブログ等で生意気にも書いています。

中高年になれば時折、若い頃が懐かしく思い出されるものです。ななめ読みで恐縮ですが、最近堀江先生の著作と論文を少し読みました。

「彼は、肯定、否定、否定の否定という弁証法の法則は社会に内在しているのだという前提から出発して、資本主義の発生・発展・死滅を調べてみたら、やっぱり、歴史はそのとおりに進行している。だからこの弁証法の運動法則は、歴史的に証明された!もともと正しいと思っていたが、やはり正しかったのだ。こう結論したのである」(堀江忠男「経済体制を超えて」(潮新書昭和46年刊行、p90より)。


彼とは、マルクスのことです。天才マルクスにも、若気の至りはあったのでしょう。

堀江先生によるマルクス主義批判の論点は経済学だけでなく哲学、体制論と多岐にわたっています。生意気を許していただけるなら、堀江先生によるマルクス主義批判の核心はこれです。

マルクスは、人間の社会には自然と同じように内在する運動法則があると思い込んでいました。マルクスは弁証法の「否定の否定」を、次のように社会に適用します。

資本主義は労働者階級を作り出すことにより、没落せねばならない物質的条件を自ら生み出した。資本主義から共産主義社会に移行するのは必然だ、ということです。

堀江先生はこれを図式主義と喝破しました。

旧ソ連、東欧の社会主義体制が崩壊した今なら、この程度のことは常識です。

しかし昭和40年(1965年)にこれだけのことを言った勇気ある研究者といえば、堀江先生の他には小泉信三(慶応大)、猪木正道(京都大)くらいでしょうか。

当時の日本の大学や出版界、言論空間では、マルクス主義が大きな影響力を持っていたのです。

マルクス主義を正面から批判すると、「反動」と陰口をたたかれるか、「変わり者」として白眼視されるという風潮が大学のみならず、出版会、言論界にも少なからずありました。

反戦平和運動、左翼学生運動に同調、参加することが進歩的知識人の証とみなされる時代でしたから。60年代から70年代の日本では、左翼が知識世界、言論界の権威だったのです。

「反動」の堀江先生こそ、実は時代の風潮と権威に正面から逆らった「反逆児」だったのです。

「現代のマルクス主義者の人間性喪失、自覚症状のないマルクス・レーニン信仰は、まず一方では、心の底からの人間的反省を進めることによって治されなければならない」(「マルクスにも間違いはあった」(「中央公論」昭和32年3月臨時増刊p253より)


堀江先生はこの論考を朝日新聞社を退社し、早大講師に就任されたころ執筆されました。堀江先生は当時43歳くらいです。

昭和32年(1957年)ですから、フルシチョフによるスターリン批判から1年くらい後です。

堀江先生が主張された「人間性の回復をはかろうとする人びと自身の間にしばしばみられる人間性喪失」とは、ソ連や中国で断行された「富農」「人民の敵」「反革命」「右派分子」らの大量殺戮を正当化していた共産党員の冷酷さを指しているのでしょう。

狂信的にソ連を信奉し礼賛していた共産党員に「自覚症状」などあるはずもない。この少し前にソ連が断行したハンガリー侵攻を、宮本顕治氏ら日本共産党員は熱烈に支持しました。

ソ連軍による殺人を奇奇怪怪な理屈で支持するのですから、人間性喪失そのものです。

マルクスに由来する独特の思考方式である弁証法こそ、共産党員が人間性を喪失した原因であることを、共産主義国の現実を観察してきた若き堀江先生は見抜いていたのです。

共産党員の人としての在り方、生き方にまで学術論文で指摘した知識人は稀有です。

関貴星「楽園の夢破れて」(当初は昭和37年全貌社刊)を思い出しました。

関貴星氏は在日本朝鮮人総連合会の一員として昭和30年代に北朝鮮を訪れ、帰国した元在日朝鮮人や日本人妻がおかれた悲惨な現実を知りました。

「楽園の夢破れて」は北朝鮮の凄惨な現実を最も早く訴えた傑作です。

関貴星氏は在日本朝鮮人総連合会関係者から「民族反逆者」などと罵られたことでしょう。「反動学者」「民族反逆者」こそ、真の人間解放を訴えた方々だったのです。

今日でも在日本朝鮮人総連合会関係者は金日成、金正日そして金正恩を礼賛し、張成澤ら「反党反革命宗派分子」の処刑を支持しています。

「主体革命偉業」「唯一指導体系の確立」は人間性喪失そのものとしか私には思えません。

そんな在日本朝鮮人総連合会関係者の実態に目を背け、「ヘイトスピーチ反対」とやらで協力・共闘している左翼知識人、政治家は張成澤ら「反党反革命宗派分子」の処刑を支持しているのでしょうか。

追記


堀江先生が早大を定年される頃に演習に参加していた友人によれば、演習の合宿では必ずサッカーをやっていたそうです。あるとき、堀江先生のコーナーキックが見事にゴールに入ったそうです。

当時堀江先生は69歳くらいのはずです(堀江先生は1913年生)。60代にどういうトレーニングをされていたのでしょうか。

合宿でサッカーをやった翌日の朝、演習生は足が痛くて唸っていたいたそうですが堀江先生はかなりの速さで腿上げをなさっていたとのことです。鉄人ですね。

凡人の私も、ジョギングと縄跳び、腕立て伏せと腹筋で体を鍛えまねばなりませんね。

堀江先生は、御自身の学説に批判的な学生も演習に迎え、あたたかく接して下さったそうです。当時のマンモス私立大学には、こういう教員は少数でした。

以下は、中央公論昭和32年3月号掲載の堀江先生論考の末尾からの抜き書きです(同誌p253)。早大の教員になりたての、若き堀江先生の決意が良く出ています。

「私は、これから、身体をだいじに、長生きをして、経済学を新たに進める仕事を、できるだけたくさんやりたいものだと思っている」。













2016年4月4日月曜日

神里純平「沖縄 裏の歩き方」(平成25年彩図社刊)を読みました。

「地元の人間だけが知る"裏"の部分にこそ、沖縄の生の魅力が隠れているといってもいいかもしれない」)(本書p2より)


人には、多かれ少なかれ表と裏があります。空想や妄想と、実際の言動は異なっていますから。

いろいろ思い浮かべていたら、とんでもない凶悪行為の妄想をしてしまった経験はありませんか。心中に浮かんで消える思いは、自らもよく知らない自分、裏の自分です。

裏の自分を他人に見せる必要はない。凶悪行為の妄想は秘めておけばよい。精神の制御が大事です。

現代日本では凶悪行為をする人は稀ですから治安が維持され、様々な経済活動が成立し人々の暮らしが成り立っている。

どんな業界でも、厳しい企業間競争があります。株式会社に資金を提供しているのは株主ですが、実際の企業活動を担っているのは経営者と労働者です。

自分が所属する企業が競争に敗れたら、何らかの形で経営者と労働者、そして株主が責任をとることになります。配置転換から給与引き下げ、中途退職等です。

労働者ならば、自社内での出世競争にも直面しています。

競争に負けたら自分もあのようになってしまう、そうならないために今日も頑張らないと。そんな気持ちを抱えて生きていくと、ストレスが蓄積されてしまいます。

そのストレスを解消する方法として、スポーツや娯楽があり、そこでも企業間競争が行われています。また、裏社会に連なる産業もストレス解消、発散のために栄えるのでしょう。

裏社会に連なる産業で働く人々の生きざまを推し量ることができるのは、本書の魅力の一つです。

裏社会には存在理由がある―人には裏の自分があるから


本書第一章「沖縄 夜の歩き方」で紹介されているような裏社会には、性産業や遊興業、賭け事等があります。暴力団関係者がそれらから資金を得ていることは珍しくない。

裏社会がある程度存在すれば、表の世界の人々に違法行為すれすれのサービスが提供される。

それにより表の世界の人々の精神の安定が保たれ、社会が維持されているという面もあるはずです。人には裏の自分がありますから。

勿論、裏社会が肥大化してしまったら、暴力の横行によりとんでもないことになる。しかし裏社会を廃絶するのは困難です。裏社会には存在理由がある。

経済の安定的成長のためには、表の経済、企業活動だけでなく裏社会の動向にも留意すべきです。性産業や遊興業の運転資金や物資調達、労働条件はどうなっているのでしょうか。

生意気ですが、裏社会について一切言及できない地域経済論など、極めて表面的で浅薄なものに思えてしまいます。

裏社会の産業がその地域の総生産(県内総生産等)に貢献する割合は小さいでしょう。

裏社会の産業が提供する財、サービスは、表社会で働く人々の精神の安定を保つことに貢献しているという面もあるのです。

表社会の産業の中には、裏社会と切っても切れない関係にある産業もあります。観光業が、裏社会の人々が提供する財とサービスなしで発展できるとは思えない。

沖縄の今後を考えるなら、沖縄の裏社会がどうなっているのかを政治家や自治体関係者、研究者、ジャーナリストが議論すべきではないでしょうか。

観光産業による地域経済の活性化を志向するなら、裏社会との関係の在り方を無視すべきではない。

裏社会を肥大化させないためにも、その存在をタブーにするべきではない。これは東京や大阪、名古屋などの大都市についても同じです。

神里純平氏の座右の銘「人生一生雑巾がけ」


本書の著者神里純平氏は、昭和54年8月に沖縄県生まれで、10代のはじめからぐれて20代半ばまでそれをひきずっていたそうです。

服役を機に一念発起し法人を立ち上げた、リサイクル業を営んでいると出ています。若い頃裏社会の住人だった方なのかもしれません。座右の銘は「人生一生雑巾がけ」だそうです。

最近逮捕された某元プロ野球選手に、神里氏の著作を読んで頂きたいものですね。

本書には沖縄の裏社会の様々な姿が、筆者の経験と共に語られています。少し紹介しておきましょう。

神里氏は数年前、裏社会の便利屋のような仕事をしていたそうです(p65)。

沖縄県出身の国会議員がヤクザから金を借りてもめているので、代理として先方に会って話をまとめてほしいと依頼されたそうです。

神里氏はその議員秘書から現金1000万円を受け取り、国会議事堂近くのホテルのラウンジでヤクザと会いました。

ヤクザの話によれば、議員の借金は1000万円ではなく1億円だったそうで、神里氏は1000万円をヤクザに渡し、交渉役をおりました。

この議員は現在でも政治活動を続けているそうです。

神里氏と兄貴分は平成17年終わりごろ、朝鮮半島某国に車の横流し―話を持ってきた在日朝鮮人は朝鮮労働党の在日本非公然組織と関係があったのでは?


本書p91-93によれば、平成17年終わりごろ神里氏と兄貴分は朝鮮半島にある某国への車の横流しビジネスを目論んでいました。

話を持ってきたのは、某国とルートのある在日朝鮮人の男性Gでした。この男性は、某国とのルートを通して中古車をロシアや中東に流せるので、1台5万円で買うと言ってきました。

Gは神里氏らに一度に車1000台を積める大型の貨物船を用意したと豪語しました。実際に沖縄にやってきたのは今にも沈みそうな小型船で、5台を積むのがやっとでした。

このビジネスに失敗し、最終的に中里氏と兄貴分は外為法違反で逮捕されました。勝手な憶測ですが、某国とは北朝鮮ではないでしょうか?

この在日朝鮮人は、朝鮮労働党の在日本非公然組織と何らかの関係のある人物で、朝鮮労働党の指示で外貨稼ぎに協力をしていたのかもしれません。

裏社会には、中国や北朝鮮が何らかの形で絡んでくることが多い。近年はロシアのマフィアも絡んでいるかもしれません。

裏社会と連帯する朝鮮労働党の在日本非公然組織に入ったら、更生は難しい


朝鮮労働党の在日本非公然組織とは、在日本朝鮮人総連合会の関係者により構成され、北朝鮮の工作組織の指導下にあります。

彼らの中に、暴力団と密接な関わりを持つ人物がいる場合もあります。

彼らは金日成、金正日そして金正恩に絶対的な忠誠を誓い、「南朝鮮革命」「主体革命偉業」のために合法、非合法のあらゆる活動を行っています。

彼らは「忠誠のための資金」と称して、朝鮮商工人から資金を獲得します。金日成、金正日、金正恩に巨額の資金を捧げた朝鮮商工人には勲章が授与され、愛国商工人と呼ばれます。

彼らは北朝鮮に核や、ミサイル開発のための物資を入手して運びます。覚せい剤や麻薬の密輸も行います。

日本の裏社会は、日本に核やミサイルで攻撃を加えることを策しているテロ国家に協力している組織、団体も存在しているのです。

朝鮮労働党の在日本非公然組織が日本人拉致を断行した例は少なくない。

在日本非公然組織の方々も日本に居住しているなら、北朝鮮による核やミサイル攻撃、あるいは工作員による生物・化学兵器テロで犠牲になってしまう可能性はあります。

朝鮮学校の先生方は、ご自身や教え子が北朝鮮による核やミサイル攻撃、あるいは北の工作員による生物・化学兵器テロで犠牲になってしまう可能性を朝鮮学校で教えているのでしょうか。

それを一切教えていない方々は、どういう「裏の自分」を持っているのでしょうか。不気味です。

そんな教員に主体思想を教えられた子供たちが朝鮮労働党の指示に従って裏社会に入ってしまえば、更生は難しいでしょう。