この本の著者紹介によれば、朴庸ゴンさんは昭和2年に、全羅南道和順郡で生まれました。昭和23年に来日し、愛知大学、同大学院で経済学を学びました。
愛知大学では林要教授の指導を受けたと出ています(同書pp. 271-274)。
林要教授は、長く金日成と朝鮮労働党を支持していましたが、昭和49年に出された「党の唯一思想体系確立の十大原則」に驚愕し、金日成と朝鮮労働党を強く批判した方です(赤旗編集局編「北朝鮮 覇権主義への反撃」p. 56より)。
朴庸ゴンさんは朝鮮大学校副学長、在日本朝鮮人総連合会中央委員を務めた
朴庸ゴンさんは昭和35年より朝鮮大学校教員として民族教育に従事しました。
1970年代より朝鮮労働党の政治思想であるチュチェ思想の研究をしました。
朝鮮大学校政経学部長、同副学長、在日本朝鮮社会科学者協会会長、主体思想国際研究所理事、在日本朝鮮人総連合会中央委員などを務めました。
朴庸ゴンさんは朝鮮大学校、在日本朝鮮人総連合会を代表する学者のお一人と言えます。
この本の執筆前の平成19年10月、NHKスペシャルで在日朝鮮人の帰国事業50周年を記念した番組が放映されました。
朴庸ゴンさんはこの番組で、朝鮮大学校の学生200名を北朝鮮に送った秘話を語りました。
これは在日本朝鮮人総連合会、朝鮮大学校では厳重に封印されていたタブーだったので、北朝鮮と在日本朝鮮人総連合会、朝鮮大学校から猛烈な抗議が来たそうです。
在日本朝鮮人総連合会は下部組織の講演で、「民族反逆者 朴庸ゴンの正体について」と題した文書を流布しました(同書p. 140)。
朝鮮大学校の教職員たちから、TV出演をとがめる抗議はがきが連日届いたそうです。
インターネットで調べてみると、2007年10月20日の朝鮮中央通信に、朴庸ゴンさんを誹謗する文章が出ています。英文では、次です。
It is needless to say that such guys as Pak are just the same dirty human scum as Hwan bereft of elementary conscience and a sense of obligation.
この本に記載されている、朴庸ゴンさんが在日本朝鮮人総連合会、朝鮮大学校で経験した事は史実と考えて間違いないでしょう。
金炳植一派は朝鮮大学校のマルクス主義者を徹底攻撃した(同書p. 72)
朴庸ゴンさんによれば、金炳植は在日本朝鮮人総連合会に唯一思想体系を植えつける思想活動を請け負い、宗派狩りの手法を適用しました(同書p. 72)。
昭和47年頃の朝鮮大学校には、マルクス主義を信奉する知識人や、朝鮮史を研究する学者が集まっていました。
マルクス主義を信奉する方は、マルクス、エンゲルスやレーニンの著作を金日成のそれより重視するので、党の唯一思想体系確立とやらの邪魔になります。
そこで、金炳植一派は朴庸ゴンさんら、マルクス主義を信奉する学者たちを徹底攻撃しました。
この本のp. 75-76に、金炳植一派が朴庸ゴンさんにふるった数々の暴力行為が記されています。以下、要点を抜粋して紹介します(同書pp. 75-76)。
朴庸ゴンさんは、学部長の康某に思想点検をされ、自己批判を強要されました。
「朴庸ゴンは民族ニヒリストだ。学問至上主義者だ。資本主義かぶれの自由主義者だ」と批判され、抗弁は許されなかったそうです。
朴庸ゴンさんは夜を徹して、原稿用紙50枚ほどの自己批判書を書きました。すると長すぎる、もっと要領よく書け、と突き返されました。その繰り返しで、朝鮮大学校に泊まり込んで総括を書いたり破いたりしました。
ノイローゼ状態になった朴庸ゴンさんは、金日成の教示に背いたこと、金炳植の権威に挑んだ事を認め、これは宗派行動に通じると自己批判しました。
朝鮮大学校の教員、鄭淵沼さんは胸元、背中を蹴られ、口から血を吐いた
同僚の鄭淵沼さんは、東京大学出身で温厚な方でした。鄭淵沼さんには、凄まじい暴力行為がなされました。
机や椅子が片付けられた研究室に同僚が集められました。鄭淵沼さんは研究室の真ん中の椅子に座っていました。
康某の「いまから鄭淵沼の組織的総括をはじめる。はじめ!」という号令で、金炳植に忠誠を誓っていた青年たちが鄭淵沼さんに襲いかかりました。
一人が鄭淵沼さんの胸元を足で蹴ったので、鄭淵沼さんは後ろに吹っ飛びました。さらに別の一人が鄭淵沼さんを持ち上げ、背中を蹴り上げました。
鄭淵沼さんは前に倒れ、口から血を吐きました。倒れた鄭淵沼さんをさらに数名で交互に殴り、蹴りました。
八年ほど前に出版されたこの著書に対し、朝鮮大学校、在日本朝鮮人総連合会の皆さんは一切反論していません。上記は真実と考えられます。
朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張する左翼人士、政治家は金日成の教示に背く人への暴力が社会進歩に貢献すると見る
朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張する左翼人士、政治家、日本共産党の皆さんは、朝鮮大学校で起きた暴力事件を一切知らないのでしょうか。
金炳植事件については、赤旗編集局編「北朝鮮 覇権主義への反撃」にも掲載されているので、日本共産党幹部の皆さんは御存知のはずです。
朝鮮学校、在日本朝鮮人連合会の歴史について、学術論文を書いている方々も金炳植事件について十分御存知の筈です。
朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張する左翼人士、政治家、日本共産党の皆さんは、金日成の教示に背いた方、金炳植の権威に挑んだ方に対する暴力が歴史の法則的発展に貢献すると見ているのでしょうね。
チュチェ思想を大局的には進歩的思想と見ている方々は、今後も金正恩の教示に背く人への暴力を肯定すると考えられます。
志位さんは金正恩の教示に背く人への暴力に賛成しているのでしょうね。日本共産党は在日本朝鮮人総連合会との友好関係を維持しています。
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