2019年2月24日日曜日

金正日と在日本朝鮮人総連合会の教育活動-朝鮮学校無償化適用、補助金増額を主張する左翼の皆さんのために―

「総連と在日同胞は、いかなる逆境にあっても変わることなくひたすら金日成同志を信頼し、金日成同志の教えにそって進まなければなりません。金日成同志に忠誠をつくすこと、まさにこれこそが総連の基本的な活動方向であり、在日朝鮮人運動のチュチェといえるのです」(朝鮮・金正日伝編纂委員会著「金正日伝第一巻」、編集者はチュチェ思想国際研究所。平成16年白峰社発行、p387より抜粋)。


大山奈々子日本共産党神奈川県議だけでなく、朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を訴える左翼人士をあげたらつきません。

元文科省事務次官前川喜平氏は、朝鮮学校の無償化適用除外を官製ヘイト、と言い切りました。

新聞記者にも、同様の見解を持つ方は少なくないようです。

朝鮮学校支援論者の皆さんは、朝鮮労働党と在日本朝鮮人総連合会、そして朝鮮学校の関係を考えているのでしょうか。

朝鮮学校を運営しているのは在日本朝鮮人総連合会です。在日本朝鮮人総連合会は、金日成、金正日、金正恩に絶対性、無条件性の忠誠を誓っています。

北朝鮮国内と在日本朝鮮人総連合会では金日成の指令は「教示」、金正日の指令は「お言葉」とよばれ、絶対的な命令とされています。

勿論、命令の中には実現不可能できないものもありますし、労働党幹部がこっそりと命令の実行をさぼる場合もあります。

それでも、北朝鮮の現状あるいは在日本朝鮮人総連合会関係者が構成する小社会の現状を分析する際、金日成や金正日、金正恩の命令は貴重な資料です。

それでは、実際に金正日は在日本朝鮮人総連合会の教育活動、朝鮮学校をどのように指導したのでしょうか。

金日成、金正日から直接在日本朝鮮人総連合会に指令が出されることは少ない。

多くは、「教示」「お言葉」を朝鮮労働党の担当者が在日本朝鮮人総連合会に伝えます。

以前は、万景峰号の船内で担当者から指令が伝えられていたようです。康周日という方が、長年担当者だったそうですが、亡くなったそうです。

現時点では朝鮮労働党でどなたが在日本朝鮮人総連合会への指導を担当しているのか不明です。

在日朝鮮人運動のチュチェとは、金日成への絶対的な忠誠


金正日の指導内容については、公開された文献から推し量っていくしかありません。

チュチェ思想国際研究所が編集しているこの本は貴重な資料です。

金正日が在日本朝鮮人総連合会の基本方向として強調しているのは、金日成への絶対的な忠誠です。これが在日朝鮮人運動のチュチェだそうです。

各地で朝鮮学校無償化適用、補助金増額のために努力している左翼人士は、金正日が強調している在日朝鮮人運動のチュチェを支持しているのでしょうか。

前川喜平氏は、金日成の社会主義教育テーゼや金正日の論文を読んでいるのでしょうか。基本的な文献を読みもしないで、政策を語るのは知識人がやることではありません。

上記の後は次です。

共和国公民としての誇りと民族的自尊心を高める教育活動で、金日成に変わる事のなく忠誠を尽くす人を養成


「総書記は、在日朝鮮人運動は朝鮮革命の一部であり、金日成同志の思想と指導を実現していく民族的愛国運動であると指摘し、

総連は在日同胞が金日成同志に忠実であるよう教育活動を強化し、いかに不利な状況のなかでも金日成同志に変わることなく忠誠を尽くす人たちで指導中核の陣容を固めなけばならないと強調した。

総書記は、在日同胞の間で共和国公民としての誇りと民族的自尊心を高める教育活動に力を入れるよう指導した。」

共和国公民としての誇りと民族的自尊心。これは在日本朝鮮人総連合会の皆さんが良く用いる表現です。

この本によれば、朝鮮人民の民族的自尊心の根源は主席に対する忠誠の心です。

そこで金正日は在日同胞の民族的自尊心を高めるための教育活動を主席への忠実性教育と結びつけておこなうように指導しました。

このような指導に基づき、朝鮮学校は子供たちに、金日成民族の一員であるという誇りと自覚を持つよう教育をしています。

要は自分が朝鮮人であることに誇りを持つのなら、金日成に限りなく忠実な家臣になれ、という話です。

朝鮮学校無償化適用を主張する政治家や左翼知識人は、チュチェ思想を信奉はしていないでしょうが、大局的には進歩的な思想だくらいの受け止めなのでしょう。

チュチェ型の革命家を育成する朝鮮学校の教育は進歩的か


北朝鮮では、チュチェ思想に反対したとみなされる人間は処刑ないしは政治犯収容所送りです。

政治犯の処刑や収容所連行は進歩的行為なのでしょうか。金日成に限りなく忠実な方は、進歩的ですか。

大韓航空機爆破は、親愛なる指導者同志と呼ばれていた金正日の指令で断行されました。

爆弾をしかけた犯人の一人、金賢姫は大韓航空機爆破のニュースを聞いた時、自分たちは本当に偉大なことをやった、と心中で喜んだそうです。

金正日のお言葉を全面実行する人間は、社会的政治生命体の一員にふさわしい生き方をしていると、金正日の社会的政治生命体論は説きます。

チュチェ型の革命家、とみなされるのです。チュチェ型の革命家が亡くなった場合には、革命烈士という称号が授与される場合もあります。

大山奈々子日本共産党神奈川県議は、チュチェ型の革命家を育成する教育は進歩的だとお考えなのでしょうか。





2019年2月20日水曜日

大山奈々子日本共産党神奈川県議の朝鮮学校無償化論より思う―左翼は朝鮮学校の教育内容を直視できない―

「戦後、日本に残った方たちは、民族の言葉と誇りを取り戻すため、自らの力で各地に朝鮮学校をつくりました。こういう経過を持つ朝鮮学校に対して、今なお差別的な対応を行っている本県のあり方は、二重、三重に隣国の方々を傷つけています」


「朝鮮学校側の努力ではいかんともしがたい事情で、その前提が果たせないからと言って、朝鮮学校に通う子供たちだけを私学助成制度から排除することは不当であり、学費補助制度の理念にも反しています」(平成30年12月5日、神奈川県議会第三回定例会での大山奈々子県議の発言より抜粋)。


日本共産党の大山奈々子県議は、朝鮮学校への無償化適用と補助金増額のために県議会で上記のように熱弁しています。

インターネットから、神奈川県議会の会議録を読みました。

大山奈々子県議は、朝鮮学校と朝鮮労働党、在日本朝鮮人総連合会の関係について一切言及していません。

私見では在日本朝鮮人総連合会が朝鮮学校の教育内容と人事について強い影響を持っています。

朝鮮学校について語るのなら、その運営の実態を数々の文献や卒業生からの聞き取りなどで探求すべきです。

朝鮮学校では、設立後徐々に朝鮮労働党の影響力が強くなっていきました。

在日朝鮮人運動の「路線転換」がなされた昭和30年頃には、朝鮮学校を朝鮮労働党が指導するようになっていたと考えられます。

昭和30年は、日本共産党も武装闘争に一応の区切りをつける「路線転換」がなされた年です。

推測ですが、クーシネンと劉少奇の意向が何らかの経路で日本共産党と在日朝鮮人運動の「路線転換」に反映されていたように思えてなりません。

昭和30年頃の日本共産党と朝鮮労働党は、中国共産党に従属していました。

日本共産党について、日本共産党の文献を一切読まないで語ったら浅薄な人間だ、のそしりは免れないでしょう。

同じことが、朝鮮労働党とその影響下にある在日本朝鮮人総連合会と朝鮮学校についても言えるのです。

共産主義運動とその現状について語るのなら、共産主義運動の指導者の文献を読み込むことが大事です。

宮本顕治氏、不破哲三氏そして志位和夫氏の著作や論考を一切読まない方は、日本共産党について殆ど何も知らないと言える。

大山奈々子県議は、日本共産党や朝鮮労働党の文献を何か読んでいるのでしょうか。

神奈川朝鮮中高級学校では教員給与が三か月欠配、大幅カットで一時金が停止


神奈川県議会の会議録によれば大山奈々子県議は平成27年と昨年11月に神奈川朝鮮中高級学校を視察しました。

日本共産党神奈川県議の皆さんは、朝鮮学校の実態を見ようと思ったのでしょう。

大山奈々子議員その際、次のように聞きました。

教員の給与は三か月の欠配が続き、大幅カットされ、一時金も停止せざるを得ない。

退職教員の補充ができず、24名いた先生が2年間で17名になり、必死になっている。

大山奈々子議員は人を信じやすい方なのでしょうか。朝鮮学校の経営難が、日本人の差別のせいだ、と思ってしまったのではないでしょうか。

朝鮮学校の経営難の主原因は、生徒が集まらなくなったからです。

生徒が十分いれば、親が授業料や設備費を支払いますから教員の給与の大幅カット、一時金停止などありえない。

横浜、川崎周辺の在日韓国・朝鮮人の子供たちが朝鮮中高級学校に争うようにして入学すれば、経営難など起こりえない。

生徒数が昔に比べて激減した理由は、朝鮮学校の奇々怪々な教育内容が在日韓国・朝鮮人に知られたからです。

日本人が差別をしたので、在日韓国・朝鮮人の子供たちが朝鮮学校に通えなくなったのではない。

朝鮮学校の基本的教育指針は金日成の社会主義教育テーゼです。必然的に奇々怪々な教育内容になります。

社会主義教育テーゼに基づいた朝鮮学校は子供たちを朝鮮労働党に限りなく忠実な大人に育てる場です。

子供が金日成、金正日に限りなく忠実な大人になってしまったらとんでもない、と普通の在日韓国・朝鮮人は判断するでしょう。

大山奈々子議員は在日朝鮮人と日本共産党、朝鮮労働党の関係を直視すべきだ


大山奈々子県議の朝鮮学校無償化適用・補助金増額論の中心点は、朝鮮学校への差別反対!です。

大山奈々子県議は日本人の差別感情から、朝鮮学校に無償化が適用されていないと思い込んでいる。

朝鮮学校の教育内容、運営主体の実体について、大山奈々子県議ら日本共産党員は思考と議論をできない。

昔の日本共産党は金日成と朝鮮労働党の宣伝をうのみにし、北朝鮮を千里馬のいきおいで社会主義を建設しているなどと礼賛していました。

「38度線の北」(寺尾五郎著、新日本出版社刊行)は北朝鮮への帰国を考えている在日朝鮮人の間で隠れたベストセラーでした。

大山奈々子県議はこのあたりの歴史を御存知ないでしょう。

昭和30年まで在日の共産主義者は日本共産党員だった


昭和30年まで在日の共産主義者は日本共産党員でしたから、昭和34年からの帰国事業の頃、日本共産党の宣伝は在日朝鮮人の中でかなりの影響力があったのです。

当時の雰囲気をよく伝える論考としては、宮本顕治著「ソ連邦共産党第21回臨時大会の意義と兄弟諸党との連帯の強化について」(「前衛」1959年5月掲載)があります。

この論文で宮本氏は、ソ連や中国、北朝鮮を礼賛しています。社会主義はソ連邦で完全な最後の勝利を収めた、と宮本氏は断言しています。

日本共産党の宣伝を信じて北朝鮮に渡った在日朝鮮人や日本人妻を、言論と表現の自由及び居住地域と職場決定の自由がない、物言えぬ社会が待っていました。

これらに不満を漏らせば、警察により真夜中に一家全員が山間僻地に連行されてしまいかねない。

在日朝鮮人は突然連絡がとれなくなった帰国者(元在日朝鮮人)を「山へ行った」と隠語で表現します。

北朝鮮の凄惨な人権抑圧については、朝鮮学校では全く教えられていません。

金日成の還暦祝いと称して、200人もの朝大生(当時)が北朝鮮に送られてしまったことも、朝鮮学校では一切教えられていません。

朝大生が贈り物にされてしまった史実を、朝鮮学校教職員は直視できないのです。

「山へ行った」という語を知っている朝鮮学校教職員は少なくないでしょうが、これも子供たちには伏されています。

朝鮮学校の子供たちは、北朝鮮の政治犯収容所の存在など一切教えられていない。北朝鮮の住民を出身で区別する「成分」制度についても生徒、学生には教えられない。

朝鮮労働党の恐るべき真実について、教育の場では殆ど何も教えられていない。

日本共産党と左翼知識人は、領袖に限りなく忠実な革命家養成教育に協力するのか


朝鮮学校は子供たちを、栄えある金日成民族の一員であるという誇りと自覚を持った大人に育てる学校です。

繰り返しますが、朝鮮学校の最も基本的な教育指針は、金日成の社会主義教育テーゼです。

金正日の「教育事業をさらに発展させるために」(1984年7月22日)も重要な文献です。

金正日によれば、教職員、学生・生徒のあいだで党の唯一思想体系を確立し、革命化、労働者階級化する活動を力強く展開せねばなりません。

これにより、朝鮮学校教職員、学生、生徒を領袖に限りなく忠実な真の共産主義革命家にかえることができるそうです。

朝鮮労働党の主体革命偉業、全社会の金日成主義化を実行する人物を育てる教育に、日本の自治体が無償化適用、補助金を出すべきと大山奈々子県議は本気で考えているのでしょうか。

首領金正恩が武装工作員に、日本の要人に対するテロ指令を出したとします。

このとき、潜水艦などで日本に密入国する武装工作員に全面協力するのが領袖に限りなく忠実な真の共産主義者です。

大山奈々子県議はこれに反発するかもしれませんが、金正日の論考は共産主義者をそのように規定しています。

絶対性、無条件性で領袖にお仕えするのが真の共産主義者、チュチェ思想で武装された革命家だそうですから。

朝鮮学校は子供たちにそう教えます。

その学校に無償化適用、補助金増額を主張するのですから、絶対性、無条件性で領袖にお仕えするのが真の共産主義者である、という金正日の見解に日本共産党、左翼知識人はさほど違和感がないのでしょう。

藤井克彦神奈川県議(日本共産党)なら「党の唯一思想体系確立の十大原則」を御存知でしょう。

藤井克彦県議、大山奈々子県議はチュチェ思想は科学的社会主義とは無縁だが、進歩的思想だとお考えなのでしょうね。

日本共産党や左翼知識人は、日本が朝鮮労働武装工作員の標的になりうることを真剣に考えるべきです。




2019年2月1日金曜日

金正日「在日朝鮮青年を愛国偉業の頼もしい継承者に育てるためにー朝鮮労働党中央委員会の責任幹部との談話―1990年4月5日」より思う

「在日朝鮮青年にたいする思想教育で基本となるのは、チュチェの革命的世界観を確立することです。」

「在日朝鮮青年が身につけるべき世界観はチュチェの世界観です。チュチェの世界観は、自主時代の人間が身につけるべきもっとも科学的で革命的な世界観です。」


「チュチェの世界観を確立するためには、チュチェ思想教育を強化せねばなりません。

総連は各階層の広範な同胞青年のあいだでチュチェ思想の原理教育を強化し、彼らがチュチェ思想の原理を深く体得してそれを自分の確固たる信念とするようにしなければなりません。」(金正日の上掲論文より抜粋)。


在日本朝鮮人総連合会関係者の皆さんは、朝鮮学校への補助金支出、朝鮮学校の無償化適用を強く主張しています。

私はこれらに断固反対です。

朝鮮学校は子供たちに金日成民族の一員としての自覚と誇りを体得させる教育を行っていますから。

金日成民族を育てる教育は、金日成民族の自己資金で行われるべきです。

私見では、朝鮮学校の最も基本的な教育方針は金日成の社会主義教育テーゼ(1977年9月5日)です。

金正日も、教育についていくつか論文があります。この論文はその一つです。

在日本朝鮮人総連合会は、これを朝鮮学校教職員の基本的な心構えを解明した文献と考えています。

在日本朝鮮人総連合会の主張を理解するためには、金日成、金正日の諸文献を読みこむことは不可欠です。

私見では、朝鮮学校で熱心に活動をなさっている皆さんは金日成の社会主義教育テーゼ()や金正日のこの文献を、繰り返し読み、暗唱するような学習をしています。

金正日から、朝鮮労働党の対日工作担当者を通して在日本朝鮮人総連合会に朝鮮学校では~のような教育活動をせよ、という指令が出されてきたはずです。

朝鮮労働党の対日工作担当者は、以前は康柱日という方だったそうですが、今は別の方のようです。

朝鮮学校への補助金増加、無償化適用を主張する日本共産党議員、左翼運動家は金正日の教育に関する文献を読むべきだ


日本共産党の大山奈々子神奈川県議は、ツイッターやブログで朝鮮学校への支援の必要性を強調しています。

藤井克彦神奈川県議(日本共産党)も朝鮮学校無償化除外に反対なさっています。藤井県議のHPを拝見しました。

日本共産党員、左翼運動家の中には、朝鮮学校への無償化適用の運動に参加している方がかなりいます。

日本共産党員、左翼運動家は、朝鮮学校がどういうところであるかを知るためにも、金日成の社会主義教育テーゼや、金正日の教育活動に関する文献を読むべきです。

金日成、金正日の文献を一切読まないで、ただ朝鮮学校を支援しよう、無償化しないのは差別だと騒ぐ方は少なくない。

そういう方々は内心では在日本朝鮮人総連合会の皆さんを蔑んでいるのではないでしょうか。

在日本朝鮮人総連合会はチュチェ思想の信奉者だが、日本軍国主義の被害者であり、安倍内閣を批判する点では一致できるから共闘しよう、という気分でしょうね。

藤井克彦県議は、日本共産党の運動に長く参加なさっている方です。

藤井克彦県議なら「党の唯一思想体系確立の十大原則」が三十年くらい前に日本共産党が「世界政治」とかいう雑誌に掲載されていたことを御存知のはずです。

藤井克彦県議なら、昔の日本共産党が朝鮮労働党の南朝鮮革命路線を支持していたことを御存知でしょう。

朝鮮学校教職員の皆さんは勿論、党の唯一思想体系確立の十大原則に定められているように、金日成、金正日を絶世の偉人と考えています。

上記のように、チュチェの革命的世界観を子供たちに普及することを御自身の使命と考えています。

金正日の上掲論文から、もう少し抜粋しておきます。大山奈々子県議、藤井克彦県議ら朝鮮学校無償化を主張する方々の御参考になれば幸いです。

初・中級学校では少年団組織を強化せよ、と金正日は指令を出した


「総連は初級学校から朝鮮大学校にいたるまで。整然とした民主主義的民族教育体系をうちたて、育ちゆく新しい世代を在日朝鮮人運動の頼もしい継承者に育成しています。

総連の各級学校は、学生・生徒に知識のみを与える単なる学びの場ではなく、かれらを民族幹部に育てる学院であると言えます。」

「初・中級学校の少年団組織を強化し、生徒が幼い時から組織生活に習慣づけられるようにし、朝鮮大学校と朝鮮高級学校の朝青組織を強化し、学生を朝青組織生活を通じてたえず鍛えなければなりません。」

金正日は、初・中級学校(小中)の少年団組織で組織生活に習慣づけられるようにせよ、と述べています。

朝鮮学校では少年団組織で、徹底的な主体思想教育を行い、金日成、金正日への絶対性、無条件性での忠誠心を子供たちの心に育むようにしているのです。

朝鮮学校の授業だけで、朝鮮学校の教育を語るべきではありません。子供たちは少年団組織に加入するのですから。

大山奈々子神奈川県議、藤井克彦県議には是非、金日成、金正日の文献を読んで頂きたい。

教育活動で党の唯一思想体系をうちたてる


金日成は「社会主義教育テーゼ」で次のように述べています。

「教育活動で党の唯一思想体系をうちたてる目的は人々を党に限りなく忠実な革命家に育成することである。

社会主義教育のすべての手段は人々を党に忠実な革命戦士に育成することに奉仕すべきであり、教育事業の全過程は党にたいする忠実性の教育でつらぬかれなければいけない。」

「教育部門に反党的な思想要素と不健全な傾向が浸透しないようにし、そのささいな表現対しても妥協せずにたたかわなければならない。」

これは、「全社会の金日成・金正日主義化」という朝鮮労働党の路線です。

朝鮮労働党の路線から少しでも外れた事をいう教職員は、仲間から徹底的に批判されます。

あっさり解雇されてしまう場合もあるそうです。

教育活動で党の唯一思想体系をうちたてるために、神奈川県民は公金を支出すべきなのでしょうか。

大山奈々子神奈川県議、藤井克彦県議ら朝鮮学校無償化運動に励む方々の御参考になれば幸いです。





2019年1月19日土曜日

那覇軍港の浦添移転、浦添沖埋め立てによる米軍新基地建設問題と左翼の権謀術数―浦添市議会の会議録より

伊礼悠記議員(日本共産党浦添市議)

「貴重なサンゴやイノーが残る西海岸の埋め立ては、自然破壊で税金無駄遣いであり軍港建設と一体のものとなっています。

埋め立てはやめて、海兵隊の出撃基地となる軍港の受け入れを撤回することを強く求めます」(浦添市議会平成29年3月7日会議録より)


報道によれば、玉城知事は松本哲治浦添市長と那覇軍港の浦添移転、浦添沖埋め立てによる米軍新基地建設についての合意を確認しました。

美ら海の埋め立ては自然破壊になるのではという懸念に対しては、返還される那覇軍港の跡地利用による経済波及効果を考えると、やむを得ない旨玉城知事は述べたそうです。

玉城知事のこの立場は、故翁長知事の後継者として当然です。

玉城知事は現在進行中の辺野古埋め立てに強く反対していますが、浦添沖埋め立てを推進するのは二重基準、ダブルスタンダードではないか。

インターネットではそんな批判がかなりなされています。

浦添の埋め立て面積は辺野古のそれの倍近くなる。美ら海の生態系にはかなりの影響があるでしょう。

浦添の海は、地元ではカーミージーの海と呼ばれて親しまれているそうです。

浦添市の埋め立て案のほうが、沖縄県と那覇市の提案より埋め立て面積は少ないそうです。

玉城知事はかなり大きな決断をなさったと思えてなりません。


日本共産党はなぜ浦添沖埋め立てによる米軍新基地建設についての県民投票を主張しないのか


日本共産党は上記の伊礼悠記浦添市議の発言からも明白なように、那覇軍港の浦添移転、浦添沖埋め立てによる米軍新基地建設に強く反対してきました。

しかし今の日本共産党は、玉城知事のこの判断について沈黙しています。

12月の沖縄県議会では日本共産党県議は多少の事を言ったかもしれませんが、「赤旗」記事には何も出ていないようです。

ツイッターやブログを散見しても、この問題に関し見解を述べている日本共産党議員を見出せません。

「赤旗」の論調は玉城知事と共に辺野古埋め立てに断固反対しよう、です。ここで玉城知事を批判するのは得策でない、という判断でしょうか。

日本共産党と左翼人士は、辺野古埋め立てについて県民投票に参加しない決定をした宜野湾市などを批判しています。

しかし日本共産党や左翼人士は浦添沖埋め立ての県民投票をしようという主張はしない。玉城知事を批判すると厄介だ、という判断でしょうか。

政治巧者ですね。

故瀬長亀次郎氏なら、浦添沖を埋め立てて米軍新基地を建設しようとする玉城知事と、それを事実上黙認する日本共産党を何と評したでしょうか。

沖縄の政治家や左翼平和運動には、権謀術数の世界にどっぷりはまっている方が多いのでしょうか。

浦添埋め立てに沈黙する日本共産党議員、左翼人士の世界を想像すると、常に自分が有利になるように身を処そうとする自民党議員と大差ないと思えてきます。

日本共産党員や左翼人士の人生行路ー長いものには巻かれろ


誰しも、社会の中で生きのびていくためには多少の妥協や筋を曲げるようなことをせざるを得ないのかもしれません。

伊礼悠記議員は、浦添沖埋め立てを進める玉城知事を今後批判するでしょうか。御一人では難しいでしょうね。

筋を曲げずに一人で異なる主張をすると、日本共産党から除名、除籍されかねませんから。

日本共産党員や左翼人士の人生行路は、長いものには巻かれろ、になるのでしょうか。

沖縄出身の作家、霜多正次氏ならどう判断したでしょうか。

伊礼悠記議員の上記の質問に対し、松本哲治浦添市長が興味深い答弁をなさっています。

答弁から、権謀術数の沖縄政治の中の日本共産党の奇怪な動きがわかります。

以下、浦添市議会の会議録より抜粋します。

松本哲治浦添市長の伊礼悠記議員の質問に対する答弁(抜粋)



「それではただいまの伊礼悠記議員の御質問の中から質問番号7番について先にお答えをいたします。

これまで那覇軍港の浦添移設を唱える翁長県知事と城間那覇市長を一貫して支持し、軍港説に明確に反対をする独自の市長候補者を擁立することもなく、

さらには現行計画のまま西海岸開発を推進すると、公約して明言する市長候補者を党として正々堂々と応援してきた事実に鑑み、

共産党を中心とするオール沖縄の皆様と我々とは事実上、

那覇軍港の浦添移設容認、西海岸開発の水深という点においては幸いにも全会一致を見出すことができたのではないかと考えております。

今回の選挙戦がこれまでの軍港建設反対、西海岸埋め立て反対の主張と矛盾するのではないか。

あるいは口で言っている事と行動が違うのではないかなどの市民の素朴な疑問については、再質問を通して議論を深めていきたいと考えております」

2019年1月7日月曜日

飯山陽「イスラム教の論理」(新潮新書)と井筒俊彦「『コーラン』を読む」(岩波現代文庫)より思う

「イスラム教はおそらく、『今』『この世界』が嫌だという人にとって最強のオルタナティヴです。信じることさえできれば、すべての人が救われるのです」(同書まえがき、p10より抜粋)。


人生、大過なく着実に生きていくのは本当に大変です。

順風満帆と自他ともに認めていた方が思わぬ失敗をすることがある。

自分の力ではどうしようもない事により、運命が大きく変わってしまうこともある。

自分の何気ない言動が、他人に大きな影響を与えてしまい、自分にも跳ね返ってくることもある。

遠藤周作はそれを、神がさいころを振ったといいました。

「コーラン」の存在感覚、世界像ではあらゆるものが神を讃美している


飯山さんの上記の言葉が、私は気になっていました。

なぜ「今」「この世界」が嫌だという人にとって、イスラム教が最強の対案なのでしょうか。

この問題を井筒俊彦「『コーラン』を読む」(岩波現代文庫、第三講「神の讃美」)により、考えてみます。

人間には神への讃美を拒否する自由があるが―天国へ行く者と地獄に行く者の区別は


井筒によれば、「コーラン」の世界像はあらゆるもの、天にあるもの、地にあるもの、全てがただそこにあるということで神を讃美している。

アッラーに対する人間の、最も優れたあり方は、いちばんよく神を讃美するような仕方で存在する事です。

人間以外の存在者は、天使と悪魔を別として、存在する事により神を讃美していながらそのことを知らない。

しかし人間には神への讃美を拒否する自由がある。

天国に行ったものだけが、心ゆくまで神を讃美する。

地獄に落ちた者は神を讃美できない。

では、天国に行く人と地獄に行く人の区別はどうやってなされるのでしょうか。

井筒俊彦訳の「コーラン」を私なりに読むと、この区別は次のようになされます。

天使が人々のなした行いの点数をつけている


アッラーが預言者ムハンマドに伝えた言葉は、「コーラン」に示されている。

「コーラン」に示されている生き方、存在の仕方で神を生前に讃美したものは、天使がそれを良い点数としてつけている。

アッラーを讃美せず、多神教を信じた者には天使が悪い点数をつけている。

世界の終りの日に、全ての死者は蘇り、神の前でその点数を天使により示され、天国へ行くか、地獄へ行くかが決まる。

従って大切なのは現世ではなく、永遠に続く来世である。

この視点なら、現世でうまく身を処すことができず、社会的に成功できなかった人でも「コーラン」が教えるように神を讃えて生きれば天国に行ける。

「この世界」が嫌でも、「コーラン」に従って神を讃美していれば天使が良い点数をつけて下さり、世界の終りの日に蘇って天国へ行ける。

天国では清浄な妻が何人もあてがわれる


井筒俊彦訳「コーラン 上の四、女」(p142)は天国について次のように記しています。

「だが信仰を抱き、義しい道を踏み行う者、そういう人たちはせんせんと河川流れる楽園に入れて、そこに永久に住みつかせてやろう。

そこでは清浄な妻(前出、天女フーリーの事)を何人もあてがおう。そして影濃き木影に入らせよう」。

聖戦に出征すると良い点数-汝らの身近にいる無信仰者たちに戦いを挑みかけよ


良い点数は、「聖戦」に出征してもつけてもらえるようです。「コーラン 九 改悛」(井筒訳、p328)は聖戦参加者への点数についての部分を抜き書きします。

「そういう人たち(聖戦に出征した人々)は、何か大なり小なりの費をしたといっては記録され、ちょっと谷を越したと記録され、それで(後日)アッラーから自分たちが(現世で)してきた最善の行いを御嘉賞して戴ける」

「これ、信徒の者よ、汝らの身近にいる無信仰者たちに戦いを挑みかけよ。彼らにおそろしく手ごわい相手だと思い知らせてやるがよい。

アッラーは常に敬神の念敦き者とともにいますことを忘れるでないぞ。」

飯山陽「イスラム教の論理」(p44)によれば、コーランで命じられているのだから喜捨もジハード(聖戦)もヒジュラも全部やるという「イスラム国」のありかたの方が、イスラム教の理ではより強力で正統です。

飯山氏によれば世界には「多様性」を否定的にとらえ、世界はひとつの価値観に収れんされなければならないと考える人もいる(同書p5)。

イスラム教はこれに属する。

私はインドネシアやイラン、トルコと日本は交流関係を深めるべきと考えていますが、距離の取り方が難しいと思えてなりません。





2019年1月1日火曜日

内田樹・石川康宏「若者よ マルクスを読もう」(かもがわ出版平成22年刊行)より思う。

「社会の悪(障害や罪や抑圧)は、ある特殊な社会的領域・特殊な社会的立場に集約されているので、それさえ取り除けば、社会はよくなるというのは、悪いけれど、耳に快い『お話』にすぎません」(同書p100より抜粋)。


この本は内田樹・石川康宏両教授による「若者よ マルクスを読もう」の最初の巻です。

フランスの現代思想を専門とする内田樹教授と、マルクス主義経済学者として知られている石川康宏教授の往復書簡という形式になっています。

内田教授が「まえがき」で明記されているように主な読者として高校生を想定されていたようですが、かなり広い年齢層の読者を得たようです。

私としては、内田樹教授による、上述のマルクス批判が興味深かった。

「ヘーゲル法哲学批判序説」が共産主義勢力による蛮行の遠因と内田樹教授は解釈

内田樹教授のこの指摘は、マルクスの「ヘーゲル法哲学批判序説」にある、次の記述によるものです。

「一国民の革命と市民社会の一特殊階級の解放とが一致し、一つの立場が社会全体の立場として通用するためには、

逆に社会の一切の欠陥が或る他の階級の中に集中していなければならず、また或る特定の立場が一般的障害の立場、一般的障壁(拘束)の化身でなければならず、

またさらに、或る特殊な社会的領域が、社会全体の周知の罪とみなされ、そのためこの領域からの解放が全般的な自己解放と思われるようになっていなければならない。

或る一つの立場が優れた意味で解放する立場であるためには、逆に他の一つの立場が公然たる抑圧の立場でなければならない」(「若者よ マルクスを読もう」p98-99より抜粋)。

マルクスの文章は難解ですが、上記の最後の文章だけでも意味はほぼわかります。

要は次です。

労働者は革命的で抑圧されたものを解放する階級、資本家は抑圧する階級です。

労働者が資本家と闘争して国家権力を奪い、企業を社会全体のものにする革命を行えば万事良くなります。

私見では、エンゲルスの「空想から科学へ」の中心的主張はこれです。

内田樹教授は、この例としてスターリンのソ連、毛沢東の中国、ポル・ポトのカンボジアを指摘しています(同書p100)。

富農を人民の敵、と主張し彼らを除去、追放すれば万事良し、と最初に主張したのはレーニンでした。

ヘーゲル法哲学批判序説が若い、未成熟なマルクスの議論


内田樹教授のこの指摘に対し、石川康宏教授は次のように返答しています。

生産関係の転換を基本にすえて、それによって人間関係の転換を目指そうとするものであり、「あいつさえやっつければ世の中は変わる」といった単純な社会理解ではない同書p141)。

内田樹教授が引用しているマルクスの論考の当該箇所を石川康宏教授がどのように解釈したかという件はよくわかりません。

「ヘーゲル法哲学批判序説」がマルクス経済学の確立の前に書かれた文献なので、若い、未成熟な議論だったと考えているようです(同書p140)。

資本家は「利札を切る」だけで社会的に無用な存在ーエンゲルスは金融資産市場の資源配分機能(貯蓄から投資への資金の潤滑な配分)を役割を理解できなかった


私見では、マルクス、エンゲルスの革命理論は資本主義的搾取の理論により、さらに単純化されてしまった。「空想から科学へ」に次の記述があります。

「資本家のあらゆる社会的機能は今や俸給者によって司られている。

資本家は所得を懐に入れ、利札を切り、様々な資本家がお互いに自分たちの資本を奪い合う取引所で投機する以外は、何の社会的活動ももはや行わない」

エンゲルスは資本家による金融資産購入と売却が単なる投機であり、社会的に無用だと主張しています。

資本家に雇われた経営者が日々の企業経営を行っているので、資本家は無用という話です。過剰人口だとエンゲルスは述べています。

金融資産市場、または金融仲介機関の存在により、貯蓄主体から投資主体に資金が配分され、投資がなされて経済が活性化するのです。

消費者の動向を敏感に把握した人が会社を興すとき、自己資金だけで足りない場合がある。その人は銀行から資金を借りれば良い。

あるいは、裕福な方から借りれば良い。

北朝鮮では、銭主から資金を借りて自分なりの会社を興す、あるいは国有企業を買収して実質的に私有にする人が現れていると考えられます。

金融資産市場に関する法制度が整っていれば、株式を発行して資金を調達することもできる。

マルクス、エンゲルスは金融資産市場、または金融仲介機関が貯蓄主体から投資主体に資金を配分するという役割を果たしている事が理解できなかった。

起業家がどのような投資計画を持っているかを審査する能力を持つ金融仲介機関が存在すれば、起業家は金融仲介機関から起業のための資金を借りれば良い。

政府が金融仲介機関の存続を保障すれば、庶民は安心して金融仲介機関に資金を預ける事ができる。これにより、金融仲介機関は貸出しの原資を自己資金プラス預金にできる。

預金を発行して貸出しをすることができれば、社会全体にかなりの資金が流通していく。信用創造です。

19世紀の欧州で、実際にどのような債券や株式が売買されていたのか私は存じませんが、優良な金融資産は存在したはずです。

利子収入や配当は、不確実な将来に対して危険を取った事に対する報酬と言える。これを搾取とみなして禁止したら、経済はむしろ非効率的になる。

優秀な起業家が企業を起こせず、雇用が創出されなくなってしまうからです。

レーニンは穀物を自分と家畜の必要以上に生産して販売し、儲けようとする農民を搾取者とみなした


金融資産市場、金融仲介機関の存在意義を理解していない点では、レーニンも同様でした。ヒルファーディングはこれを理解していたように思えますが。

「青年同盟の任務」(レーニン全集第31巻、p290-291)でレーニンは、穀物を自分と家畜の必要以上に生産し他人に売って投機をしようとする農民は搾取者に変わっていると批判しています。

穀物投機をする農民は、飢えた人が多ければ多いほど高い値段が支払われると胸算用するから、搾取者だとレーニンは主張しています。

穀物が不足しているなら、沢山の農民により多くの穀物を生産してもらい、それを市場で倍すれば穀物の価格は投機により多少変動しても、落ち着いていくでしょう。

相当数の餓死者が出なければ、レーニンはそれを理解できなかった。「青年同盟の任務」は、新経済政策の少し前の著作です。

穀物投機者は搾取者、富農は人民の敵だというレーニンの主張は、エンゲルスの資本家による金融資産購入は無意味であり、資本家は不要だという主張の延長です。

マルクスの「ヘーゲル法哲学批判序説」の継承でもあります。

社会の一切の欠陥が或る他の階級の中に集中している」という発想から、レーニンは富農やロシア正教会聖職者弾圧を指示しました。

石川康宏教授は、エンゲルスの「空想から科学へ」の資本家不要論や、レーニンの「青年同盟の任務」をどう読んでいるのでしょうか。









2018年12月31日月曜日

続々・北朝鮮経済の資本主義化について イム・ウルチョル教授「北韓私金融の発展、影響と展望」より思う

個人営業は2004年から流行し始めた。当初、金持ち個人が当局の許可を得て営業を始めた。徐々に私金融が活性化し、個人営業者と投資者が分離した。(同論文p47より抜粋)。


2002年7月1日の経済管理改善措置以後の北朝鮮では、相当な勢いで経済の資本主義化が進んだと考えられます。

イム教授は、研究者が脱北者からのインタビュー調査により得た情報を再編成し、北朝鮮経済の変化を描き出しています。

北朝鮮の内閣、計画機構傘下の経済は第一経済と呼ばれます。第二経済は、朝鮮人民軍が管轄する経済です。第二経済委員会という組織があります。

第一経済は1990年代中頃以後の資材不足、原材料不足により稼働率が著しく低下し、所属する住民への配給ができなくなっていました。

しかし、この部門所属の企業所や工場が「銭主」に賄賂で移譲され、生産された製品を総合市場で販売することにより息を吹き返している例があるようです。

勿論、それぞれの企業には朝鮮労働党の組織が「指導」と称して監視をしているでしょう。

朝鮮労働党の企業担当幹部としても、銭主が経営者となって市場で製品を販売し、稼いでその一部が自分の懐に入るのなら文句はないはずです。

以下、この論文の興味深い点を抜粋して紹介します。金正恩が銭主の外貨獲得能力に依存せざるを得ない可能性を指摘しています。

「金が金を生む」私債市場、「石炭基地」という石炭採掘・運搬の下請け会社を銭主が運営


北朝鮮の住民によれば、北朝鮮は表では完全な社会主義だが、内部では市場原理が定着し『金が金を生む』私債市場が形成されていると述べている。

最近の脱北者への質問調査では、『金商売』(金貸し)で月平均50万ウォン以上の収益を得たものがおよそ50%になる。

銭主たちが投資をする代表は住宅市場である。北朝鮮では個人の住宅所有権は認められておらず、利用権のみだけである。

それでも、高価なアパートに対する投機がなされている。一部の党幹部は、10万ドル(一億ウォンあまり)を越える高級アパートをいくつか保有している。

石炭基地という、小規模の坑道を運営する小企業が増えてきた。

これは、新興富裕層と権力階層周辺の人々が軍や党など権力機構傘下の会社の看板を借りて設立し、国営の石炭鉱山の採炭と運搬を下請けで運営する会社である。

北朝鮮ではウォンも使用されているが、外貨が銀行貯蓄に代わり貨幣価値を保存する金融資産と評価されている。

外貨は、交換手段としても使われている。

北朝鮮の庶民も、市場で外貨により物資を購入できる。北朝鮮では人民元が普遍的な通貨になってきている。

銭主と呼ばれる新興富裕層と、彼らを庇護する富裕な権力層が形成されてきている。彼らは、忠誠度と出身成分を基礎とする北朝鮮社会に微妙な影響を与えつつある。

銭主は政治的に上層部にいる階層より身分安定という点では劣っている。

銭主は各種の不法活動または非社会主義活動に従事してきたので、必然的に権力層に依存せねばならない。

金正恩は外部からの外貨獲得が制裁で困難になってきているので、内部の私金融市場に外貨調達機能を高めさせる可能性がある。


金正恩は中国共産党流の政治、経済運営を考えているのか


金正恩は銭主の商業活動をかなり認めたと言えるでしょう。

旧ソ連で、新経済政策によりネップマンと呼ばれる富裕な商人層が現れました。

スターリンとソ連共産党はネップマンを危険視し、新経済政策を中止し計画経済に移行しました。

金正恩が豊かになった銭主を危険視する可能性はあります。彼らの一部を強権手段で弾圧しても、他の銭主がその市場を取るだけです。

金正恩は中国共産党のように、治安維持機構と朝鮮労働党による住民監視、支配機構を残して経済を資本主義化させ体制の維持、安定を図っているのかもしれません。

しかしこれは、恐らく故張成澤が考えていた道です。張成澤は金正恩をそのままにしておいては、中国共産党のようにはできないと考えた。

党の唯一思想体系確立の十大原則による住民支配をいつまでも続けていたら、多くの住民の思考力が麻痺させられてしまいます。

しかしこれを放棄したら、金正恩を首領様と祭り上げる人はいなくなってしまう。

金正恩がソウルを訪問したら、豊かで自由な韓国の実情を多くの住民が実感として把握してしまう。

金正恩と金与正の悩みは尽きないことでしょう。