社会主義は国際体制を形づくった。このことによって、マルクス・レーニン主義の真理性は既に最終的に実践によって証明された
心の秘密と言うべきものは誰にもあるものでしょう。それは、若いころの失敗や躓きでしかなく、他人からすればどうでも良いようなことかもしれません。
好きな人に心の秘密らしきものがあることを感じ取ったとしましょう。そのとき、愛情があるならば、何も言わずにそっとしておくべきなのかもしれません。
配偶者や恋人の過去について、仔細に問いただすことは適切でないかもしれませんね。これは難しい問題でしょうけれど。
不破哲三や志位和夫にとって、かつて日本共産党がスターリンを高く評価していたこと、ソ連や中国、東欧、北朝鮮やベトナム、キューバなども社会主義国とみなしていたことなどは「心の秘密」なのかもしれません。
しかしこの程度のことは日本共産党の少し前の文献を図書館などで多少調べれば、すぐに明らかになってしまうのですから、個人のプライバシーなどではありえません。
そんなことを「心の秘密」にしても何にもなりません。
不破哲三や志位和夫の最近の文献では、あたかも日本共産党が一貫してソ連を覇権主義で人間抑圧社会などと批判し対決してきたかのような記述になっています。
中国覇権主義という語は、最近の日本共産党の文献では死語になりましたね。
かつて「赤旗」記者が中国人民軍により射殺されているのですが、そんなことをいつまでも持ち出しても、世界の共産主義運動の前進には無益だと不破哲三や志位和夫は判断しているのでしょう。
過ぎたことは水に流そう、ということなのでしょう。共産主義運動の前進のためには、「赤旗」記者の生命と人権など羽毛より軽いという毛沢東流の判断なのかもしれません。
今回は宮本顕治の昔の論文などではなく、上田耕一郎の著作「先進国革命の理論」(大月書店1972年刊行)を紹介します。
1980年代に、日本共産党や民主青年同盟の活動に一生懸命参加した方なら、この著作を覚えているはずです。現在40代半ば以上の方々でしょうか。
この著作には、「マルクス・レーニン・スターリン主義」などという宮本顕治流の用語はありません。もう少し、回りくどい表現で上田耕一郎はスターリンを礼賛しています。
この文献から、以下抜粋して引用します。
マルクス・レーニン主義の真理性は、すでに最終的に実践によって証明された
「第一次世界大戦中における偉大な十月革命の勝利、そして第二次世界大戦後、東ヨーロッパとアジア、さらにキューバでの社会主義革命の勝利によって、社会主義は国際体制を形づくった。
このことによって、マルクス・レーニン主義の真理性は、すでに最終的に実践によって証明された。
どんな反共理論もこの事実をうちけすことはできない」(同書p6)
上田耕一郎の論法によれば、ソ連と東欧社会主義の崩壊により、マルクス・レーニン主義の欺瞞性は、すでに最終的に実践によって証明されたことになりそうですね。
どんな反共産主義理論もこの事実をうちけすことができないのではないですか。
若い日本共産党員の皆さんはどうお考えでしょうか。
中国、ベトナム、キューバそして北朝鮮が社会主義国際体制として存続しているから、科学的社会主義の真理性は、最終的に実践によって証明されたとでも考えているのでしょうかね。
スターリンの定式化にある若干の問題点を解明することが、今日必要となっている(p13)
「社会主義の完全な、かつ最終的な勝利のためには、一国における社会主義の勝利だけでなく、他のいくつかの国における社会主義革命の勝利が必要である。
スターリンのこれらの主張が、基本的に正しく適切な展望をもっており、ソ連における社会主義建設の前進にとって大きな指導的役割をはたしたことは、今日きわめて明瞭である。
もしもトロツキーの主張が勝利していたら、二度にわたる五カ年計画の成功もなく、ドイツ・ファシズムにたいする「大祖国戦争」の歴史的勝利も危うかったかもしれない。
この意味では、あの資本主義的包囲のなかで、一国における社会主義革命と社会主義建設の勝利の可能性にさらに明確な展望をあたえ、世界の革命運動との連対と相互支持のもとで、
ソ連の社会主義建設の事業をおしすすめたスターリンの業績は、十分に評価される必要があることはいうまもない。
これらのことの確認を前提として、スターリンの定式化にある若干の問題点を解明することが、今日必要となっている」(p13)
聴濤弘は、ソ連の体制に不満をもつ人々は殺されて当然と考えていたのか
上田耕一郎のこの著作をどう読んでも「ソ連は人間抑圧社会だ。社会主義の反対物だ」などという認識はありません。
宮本顕治や不破哲三の昔の論考と同様に、スターリンのソ連こそ社会主義そのものだという主張です。
この著作が出版された昭和47年(1972年)には、ソ連史の本を多少読めばスターリンによる大量殺戮と政治犯収容所の存在は明らかでした。
上田耕一郎がソ連史の文献を読んでいたかどうかわかりませんが、この人は社会主義と殺人の関係について一体どう考えていたのでしょうか。
共産主義運動の前進のためには、「赤旗」記者の生命と人権など羽毛より軽くて当然という判断と同様に、ソ連の体制に不満をもつ人々は殺されて当然という程度の認識だったのかもしれません。
ブハーリン(Bukharin, N. I.)は公開裁判で死刑を宣告され、銃殺されたではないですか。聴濤弘ならよくご存知でしょう。
「先進国革命の理論」の最後にある著者紹介によれば、上田耕一郎は1951年東京大学経済学部卒業です。宮本顕治の後輩です。
共産主義運動の前進のためにはソ連の体制に不満をもつ人々は殺されて当然という認識だったのなら、学歴って一体何なんだという気すらしてきてしまいます。
ソ連問題の専門家という聴濤弘に、説明をお願いしたいものです。
北朝鮮では「政治犯」を公開で銃殺する―稀に火刑―
今の北朝鮮でも、幹部が時折銃殺されているようです。金正恩の愛人が銃殺されたと韓国紙「朝鮮日報」が少し前に報道しました。
愛人と目されている方の映像を、私は朝鮮日報のサイトで見ました。金正雲と若奥さんの少し後ろで、拍手をしている姿が出ていました。
私にはその方が金正恩の愛人かどうかわかりませんが、可愛らしい女性です。本当に銃殺されてしまったのでしょうか。
真実なら一体、何の罪でこんな方が銃殺されねばならないのでしょうか。「政治犯」の方々は銃殺される前、心底恐ろしい思いをしたことでしょうね。
在日本朝鮮人総連合会の皆さんなら、北朝鮮で「政治犯」が銃殺、公開処刑される場合があることをよくご存知のはずです。
脱北者によると、稀に政治犯が火炙りにされてしまうこともあるそうです。朝鮮語では火刑というそうです。裁判と言えるようなものはないそうです。
体制に逆らったらこうなるぞ、という調子で、住民に恐怖感を与えるために公開処刑をやるのです。
およそ400年前、江戸時代の日本では、切支丹や宣教師が火刑に処されたことがありました。この方々にも、裁判などありませんでした。
400年前ですからね。当時の世界にはどこにも、裁判といえるようなものなどなかったでしょう。欧州では「魔女狩り」が行われていました。
今の北朝鮮は、江戸時代の日本より酷い人権抑圧をやっているのではないですか。毛沢東の時代の中国も同様です。
野蛮なことこのうえないテロ国家北朝鮮を、未だに礼賛している在日本朝鮮人総連合会。日本共産党も、中国や北朝鮮の人権抑圧に目を背けているという点では同じです。
これは現在進行中のことなのですから、「心の秘密」云々などを言っている場合ではないように思えます(文中敬称略)。
0 件のコメント:
コメントを投稿