2013年10月7日月曜日

弱小民族の解放者であり、人民の自由と世界平和と安全のまもり手である偉大なソ連軍が進駐した北朝鮮-「金日成二巻選集 第一巻、p93」(日本共産党中央委員会金日成選集翻訳委員会訳、1966年)より思う-

朝鮮を解放したソ同盟の、偉大な指導者スターリン大元帥に最大の敬意を表する(「金日成選集 第一巻p43)




昭和30年代、40年代は左翼の皆さんにとって、本当に良い時代だったのですね。その頃の「赤旗」や日本共産党の理論誌「前衛」を読むと、つくづくそう思います。

「赤旗」や「前衛」に掲載されている記事や論考で共産主義国に関するものはほとんど全部が「美しく素晴らしき社会主義国」といった論調です。

共産主義理論、マルクス主義経済学に依拠すれば、ソ連や東欧、中国や北朝鮮では資本主義的搾取が廃止され、人民が国の主人公になっているのですから、素晴らしい現実が具現するしかないのです。

実際には、当時の「赤旗」や「前衛」のソ連や東欧、中国、北朝鮮に関する「現状分析」とやらは共産主義国の宣伝をそっくりそのまま借用しただけです。

昭和30年代や40年代では、共産党員は外国の共産党の文献をただひたすら信じて大宣伝していればそれで万事良し、という時代だったのでしょうね。

そんな調子だったから、殆どの日本人は共産党員を信頼せず、日本共産党に投票しなかったのでしょうけれど。

上述部分は、「金日成選集第一巻」のp93からの抜粋です。

凶暴な事この上なかった極東ソ連軍を「人民の自由と世界平和と安全のまもり手」と金日成は礼賛せねばならなかった、とも言えます。

やや逆説的ですが、金日成によるソ連礼賛、スターリン礼賛の史実こそ、弱小民族だった朝鮮民族の哀しみを表しているのかもしれません。

スターリンを礼賛しなければ、金日成はソ連軍に消されてしまったかもしれないのですから。

「金日成選集」が発行された頃、日本共産党と朝鮮労働党は大変良い関係を築いていました。

金日成の著作の翻訳を日本共産党がやっていたのですからね。当時の日本共産党員で、金日成を心から尊敬していた人は少なくなかったでしょう。

現実の北朝鮮では、この頃既に少なくない元在日朝鮮人、帰国者が行方不明になっていました。体制を少しでも批判するような発言をすれば、「山送り」にされてしまうのです。

政治犯収容所に連行されてしまった方もいたことでしょう。

今日の在日本朝鮮人総連合会の皆さんも、金日成や金正日の文献をただひたすら信じていらっしゃるようですが、金日成の昔の文献をきちんと読んでみたらいかがでしょうか。




金日成は「ソヴェト軍隊といっしょになって、朝鮮人民の不倶戴天の敵-日本帝国主義者どもを撃滅する戦闘にくわわった」






在日本朝鮮人連合会の皆さんは、金日成の昔の文献、例えば三一書房発行の「金日成選集」や、日本共産党中央委員会出版部発行の「金日成二巻選集」について言及されるのが嫌なようです。

「金日成選集」で金日成は「わが民族を解放したソヴェト軍隊万歳!世界人民の偉大な指導者であり、恩人であるスターリン万歳!」(第一巻p10)などと述べていますから。

これは、現在の朝鮮学校の教育内容と大きく異なるものです。「金日成選集」第一巻p287には、「関東軍はまたたくまに偉大なソヴェト軍隊によって撃滅されてしまった」とあります。

これも大嘘ですが、「金日成選集」によれば日本を破ったのはソ連であり、金日成は「ソヴェト軍隊といっしょになって、朝鮮人民の不倶戴天の敵-日本帝国主義者どもを撃滅する戦闘にくわわった」だけです(第一巻、p287)。

「金日成選集」によれば金日成は「戦闘にくわわった」だけなのです。これでさえも限りなく怪しいものですが。

「金日成選集」第一巻p303によれば、金日成は「全世界の勤労人民の偉大な指導者スターリン大元帥の忠実な、剛毅な、賢明な弟子の一人」だそうです。

金日成によれば、「英雄的なソヴェト軍隊の力によって、朝鮮民族が解放され、同時に青年もまた解放された」(第一巻p45)そうです。



われわれの解放者であるソ連軍と、ソ連人民の偉大な指導者スターリン大元帥に心からの感謝をささげる




日本共産党中央委員会出版部発行の「金日成選集 第一巻」(1966年、p40)に次の記述があります。

「労働法令草案について-北朝鮮臨時人民委員会拡大会議でおこなった演説-1946年6月20日」からの抜粋です。



「ソ連軍が朝鮮を解放し、北朝鮮に進駐したことによって、わが国の人民は、自己の意思にもとづいて民主的な、あたらしい生活を建設することができるようになり、

職業同盟、農民同盟、民主青年同盟、民主女性同盟などの民主的な団体を自由に組織し、すべての愛国勢力をひろく結集させることができるようになった。

(中略)

わたしは、きょう、民主的な労働法令草案を発表するにあたり、全朝鮮人民の名において、われわれの解放者であるソ連軍と、ソ連人民の偉大な指導者スターリン大元帥に心からの感謝をささげるものである」 



「朝鮮を解放した」のは「偉大なる首領」ではなく、ソ連軍だったと金日成元帥様が宣伝しているのです。

「自己の意思に基づいて民主的なあたらしい生活」とやらの実態は大いに疑わしいですね。

ソ連軍による「解放」とやらの直後に「地主」「親日派」とレッテルを貼られた人たちが、財産没収や追放処分にあっているようです。「政治犯」にされてしまった方もいたでしょう。


こんな話は、在日本朝鮮人総連合会の皆さんだけでなく現在の韓国左翼も聞きたくないでしょうが、史実を直視していただきたい。

朝鮮民族が「金日成民族」であるなら、朝鮮民族はスターリンの下僕ですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿