「朝鮮民主主義人民共和国は、アメリカ帝国主義の侵略戦争によって国土に大きな破壊と犠牲をうけたにかかわらず、朝鮮労働党の指導のもとに団結をつよめ、『千里の駒』運動の標語が示すように、すばらしい速度で復興から新しい社会主義建設の発展にむかってまい進しつつある」(同論考より抜粋)
一昔前の日本共産党は、テロ国家北朝鮮を礼賛していました。日本共産党の最高幹部だった宮本顕治氏(当時は書記長)は、北朝鮮礼賛の中心でした。
昭和30年まで在日朝鮮人の共産主義者は日本共産党員でしたから、日本共産党の宣伝は在日朝鮮人の間に大きな影響力がありました。
寺尾五郎氏の「38度線の北」(新日本出版社刊行)は北朝鮮がいかに素晴らしく発展しているかを詳述しています。これは当時の日本共産党の宣伝方針に沿った文献です。
日本共産党と在日本朝鮮人総連合会の宣伝を信じて北朝鮮への帰国を決意した在日朝鮮人一家はいくらでもいました。
日本共産党は朝鮮労働党の共同コミュニケで、在日朝鮮人の帰国後の生活安定と子女の教育保障があると宣伝した
日本共産党と朝鮮労働党の共同コミュニケ(昭和34年2月27日)には次があります。
「日本共産党代表団は、祖国に帰ることを望む在日朝鮮公民の切実な念願を実現させるために朝鮮民主主義人民共和国がとった一連の措置を全面的に支持し、かれらの帰国後の生活安定と子女の教育を保障すべき一切の準備がととのっていることを満足感をもって指摘した。」
宮本顕治氏は、いったい何を根拠として在日朝鮮人が帰国した後の生活安定と子女の教育の保障があるなどと指摘したのでしょうか。
日活の映画「キューポラのある街」では、北朝鮮へ帰国していく在日朝鮮人一家の様子が描かれています。
この映画を観て、帰国できてよかった、在日朝鮮人は祖国北朝鮮に帰ってこそ幸せになれるのだとほとんどの観客は思ったことでしょう。
北朝鮮へ帰国した元在日朝鮮人について、川越敬三氏との共著「朝鮮問題と日本」(昭和43年新日本出版社)などで北朝鮮を礼賛してきた畑田重夫氏はどう考えているのでしょうか。
畑田重夫は上記の著作で、「朝鮮の統一という課題を追及する努力とたたかいが民主主義のためのたたかいとして承認されるなら、戦争は政治の継続ですから、民主主義の為の戦争(内戦)もまた承認されなければなりません。」と述べています(同書p107) .
朝鮮人民軍は昭和25年6月25日に38度線を越えて韓国に侵攻し、韓国軍兵士だけでなく、女性や子供、老人も沢山殺しました。
畑田重夫氏に問いたい。朝鮮人民軍による韓国人殺害は民主主義ですか。内戦では、普通の韓国人は朝鮮人民軍に殺害されてしかるべきなのでしょうか。
国際政治学者畑田重夫氏は、「憲法人生」を生きてきたそうです。
「憲法人生」と、朝鮮人民軍による韓国市民殺害の関係を国際政治学の眼で冷静に分析していただきたい。
吉良よし子議員、池内さおり議員、朝岡晶子氏(「とことん共産党」という共産党のインターネット放送の司会)ら若い共産党員は宮本顕治氏の上記論文や畑田重夫氏の昔の著作を全くご存じないらしい。
「とことん共産党」という表現は、誇大広告ではないでしょうか。宮本顕治氏の論考は日本共産党の路線を理解するためには基本的な文献です。
基本文献をまともに読んでいない共産党員は、「とことん共産党」ではなく、「何となく共産党」です。
金日成、金正日の論考をしっかり読んでいない在日本朝鮮人総連合会の方は、金日成民族の一員ではありえない。それと同じです。
優れた共産主義者は最高指導者の論考を日々の行動の指針とする
宮本顕治氏は、日本共産党の党首を長年務めた方です。現在の日本共産党の基本路線は、宮本氏の主導により昭和36年夏に作成された綱領です。
宮本顕治氏が書記長として活躍していた頃の日本共産党はソ連、東欧、中国や北朝鮮を礼賛していました。
これは、当時の「赤旗」「前衛」や、新日本出版社の「経済」などを図書館で少し調べれば明らかです。宮本顕治氏のこの論文を読めば、当時の左翼、日本共産党の宣伝をよく実感できます。
その後の日本共産党は宮本顕治氏の路線を部分的に修正していますが、基本は同じです。
吉良よし子議員ら若い共産党員の主張の基本パターンを理解するためにも、宮本顕治氏の諸論文は大事です。
一般に、優秀な共産主義者は最高指導者の論考を必死で読み、日々の行動の指針とします。
旧ソ連ではレーニンとスターリン、かつての中国なら毛沢東や劉少奇、鄧小平、北朝鮮では金日成や金正日の論考を読み解くことが、共産主義研究の基本です。
北朝鮮研究では、朝鮮中央通信や労働新聞掲載の諸論考も大事です。
日本共産党の研究をするならば宮本顕治氏、不破哲三氏、上田耕一郎氏や志位和夫氏の文献を読みこみ、基本は同じでも部分的にどのように修正されているかを看破せねばなりません。
畑田重夫氏の昔の著作も、日本共産党が主導してきた「平和運動」がどんな役割を果たしてきたかを検討するために重要な文献です。
「何となく共産党」の若い共産党員は革命家としては水準が低い。
そういう方々は日本革命を実現しようなどとは全く思っていない。共産党員との人脈を維持するために共産党の活動に参加しているだけです。
宮本顕治氏は、朝鮮戦争は米国が始めたと大嘘宣伝をした―ソ連や中国、北朝鮮は「平和のとりで」
宮本顕治氏は上記論文で、朝鮮戦争を始めたのは米国であるという大嘘宣伝をしました。これは、当時の左翼としては常識でした。
宮本顕治氏が定式化した日本共産党の「平和理論」の基本は次です。
米国が日本と朝鮮の主権と平和を侵害している。米国はアジアの平和の敵でもある。米国と対立してきたソ連や中国、北朝鮮は「平和のとりで」である。
吉良よし子議員、池内さおり議員や朝岡晶子氏は、あるいは「平和運動」を担当している川田忠明氏は、ソ連や中国、北朝鮮が「平和のとりでである」など日本共産党は主張していない、と怒るかもしれません。
怒る方々は、宮本顕治氏の論文を読んでいない。宮本顕治氏の上記論文には次があります。
「ソ連邦およびソ連邦を先頭とする社会主義世界体制が、世界平和のたしかなとりでである意義は一そう巨大かつ決定的となる。」
「社会主義諸国の対外政策は、平和と諸民族の主権の尊重の政策であり、社会主義世界体制の成功は、帝国主義陣営の戦争と侵略の政策へのより一そう大きな制動力の出現を意味する。」
「しかし、考えてもみよ。七か年計画の目標数字は、その実現のためのソ連邦人民と共産党のあのすばらしい熱情は、ソ連邦が戦争政策でなく、平和共存の政策を堅持することを前提としている。」
宮本顕治氏はこの論文で、ソ連が世界の平和をのぞんでいることをうたがうことができるものは、一にぎりの戦争きちがいだけである、と断言しています。
宮本顕治氏によれば、ソ連邦における核兵器保有、ICBMの量産は、帝国主義陣営が侵略と戦争の政策をとりつづけていることへの必要にしてやむを得ない措置です。
宮本顕治氏のこの考え方を、「理論化」したのが上田耕一郎氏の「マルクス主義と平和運動」(昭和40年大月書店刊行)です。
日本共産党の「平和運動」の基本路線―社会主義の手にある核兵器は平和の武器である―上田耕一郎「マルクス主義と平和運動」(昭和40年大月書店刊行)
ソ連や中国、北朝鮮など共産主義国は本質的に平和勢力であり、核軍事力を平和のために保有している。
これは、上田耕一郎氏が「理論化」し日本共産党が主導してきた「平和運動」の基本路線です。上田氏の前掲著は次のように述べています。
「ソ連が最初に原爆実験に成功したとき、すべての平和活動家が世界戦争防止の事業の成功に新しい確信をいだきえたように、社会主義の手にある核兵器はただ侵略戦争の防止、社会主義と民主主義の防衛のための平和の武器である」(同書p56より抜粋)。
ソ連や中国の核兵器は平和の武器だという主張です。
国際政治学者畑田重夫氏は、日本共産党の「平和運動」に長年参加してきた方です。
国際政治学者畑田重夫氏は若い頃から新聞や雑誌を丹念に読んでこられたはずですから、宮本顕治氏の前掲論文や上田耕一郎のこの本を読んでいることでしょう。
畑田重夫氏の著作には、宮本顕治氏や上田耕一郎氏への批判は一切ありません。従って現在でも畑田氏は共産主義国である中国や北朝鮮が平和勢力であると信じているのでしょう。
川田忠明氏の最近の論文「北朝鮮と中国にどう対応するか―平和運動の立場から「(「前衛」2016年2月号掲載)も同様です。
川田氏は、「北朝鮮の行動は深刻な脅威となっている。」から「平和運動はこの脅威を取り除くことを強く求める」と述べていますが(論文p14)、北朝鮮が日本に先制攻撃をする可能性については全くふれていません。
北朝鮮はこれまで数えきれないほど、日本に対して脅迫めいた声明を朝鮮中央通信で発表しています。去る1月6日にも、日本を水葬すると放言しています。
水葬とは、日本列島に連続核攻撃を加えて陸地を低くし、海の底に沈めるという意味なのでしょう。核攻撃により陸地が低くなることがありえるのでしょうか。
いずれにせよ、北朝鮮は核ミサイルや生物・化学兵器で先制攻撃を日本や韓国に断行しうる。北朝鮮はマレーシアで既に化学兵器、VXガスを使いました。
腹が立ちますが現状では、北朝鮮による先制攻撃を防ぐことは極めて困難です。北朝鮮工作員が生物・化学兵器を日本に持ち込むのは難しくない。
北朝鮮が核ミサイルや生物・化学兵器により先制攻撃をしてきたら、日本はどうすべきなのか
核ミサイルや生物・化学兵器攻撃をされてしまった場合、日本はどうすべきなのか。
私は日米安全保障条約の全面発動を米国に要請し、北朝鮮、特に金正恩の居住地域を徹底攻撃するべきと考えます。自衛隊は米軍と一緒に出撃するべきです。
川田忠明氏ら日本共産党員はこのとき当然、日米安全保障条約の発動に全力で反対するのでしょう。
近年の日本共産党は自衛隊による反撃を認めているようですが、自衛隊に敵基地攻撃能力はありません。
北朝鮮に核ミサイルや生物・化学兵器攻撃をされてしまっても、自衛隊だけでは報復できないのです。真に残念ですが、自衛隊は朝鮮半島まで届くミサイルや爆撃機を保有していません。
川田忠明氏ら日本共産党員は、日本が北朝鮮から核ミサイル攻撃や生物・化学兵器攻撃をされても、「六か国協議を緊急開催すべきだ」「外交的解決が唯一の道」などとつぶやくだけなのでしょう。
東京に核ミサイルが命中してしまったら、政府だけでなく与野党首脳とマスコミ各社も全滅する可能性があります。「赤旗」も暫く発行困難になる。
「赤旗」を編集、作成する方がいなくなってしまうかもしれないのです。「平和運動」の集会やデモは、東京ではもうできなくなる。参加者がいないからです。
こんなことを云うのは私も本当に悔しいのですが、核ミサイル攻撃で政府首脳がいなくなれば文民統制下にある自衛隊は出撃できませんし、米国に日米安全保障条約の発動要請を出す人もいない。
大阪や名古屋が北朝鮮の次の標的になっても、何の報復もできないかもしれません。
こんな破滅的な事態を防ぐために法的準備と自衛隊による敵基地攻撃能力を保持しよう、という知識人は稀有です。
左翼に「戦争勢力」とレッテルを貼られることを怖がる知識人があまりにも多すぎる。
日本の知識人であるなら、多少の知性と想像力を駆使して日本を守るための言論活動をするべきです。
日本共産党が主導してきた「平和運動」は共産主義国による戦争実現運動だった
日本共産党の「平和運動」とは、共産主義国の軍事力を平和の武器である、危険はないと宣伝し、共産主義国対する警戒心を緩めて、共産主義国が戦争を仕掛けたら勝利するように仕向ける策動なのです。
日本共産党が主導する「平和運動」は、共産主義国による戦争実現運動だったのです。日本共産党と在日本朝鮮人総連合会は戦争勢力です。
吉良よし子議員、池内さおり議員、朝岡晶子氏ら若い共産党員はこれを否定するでしょう。
そうであるなら、吉良よし子議員ら若い共産党員は中国、北朝鮮の核軍拡と北朝鮮の化学兵器量産に反対、批判するデモや集会を実行するべきです。
朝岡晶子氏は、「とことん共産党」で宮本顕治氏の上記論文や、上田耕一郎氏の「マルクス主義と平和運動」、畑田重夫・川越敬三「朝鮮問題と日本」(新日本新書)を取り上げ、出鱈目な宣伝と主張をした昔の日本共産党員を徹底批判するべきです。
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