宮本顕治の論考「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」(1950年5月)を知らない若い日本共産党員
昔のこと、過ぎたことは水に流そうという考え方はときには大事でしょう。
過去の過ちなどキレイさっぱり忘れさり、これからの自分たちのあり方を共に考えていこう、ということでしょう。夫婦や恋人間でこういう見方が大事なことは多々あるのでしょう。
しかし、自分が愛着をもって所属している組織の過去、歴史的経緯は知っておきたいものです。
自分が愛着をもって所属している組織、政治団体や宗教団体が過去にどんな主張と行動をし、それが当時の人々にどう評価されていたのか。
成功もあれば、大失敗と過ちもある。それらを知り、先人の歩みを自分なりに咀嚼できればさらに組織に愛着が持ち、自信を持って人々に組織について語れるものです。
今日、その組織の主張が過去のそれと異なっているなら、どこかの時点で何らかの理由により、路線転換を指導部の主導と判断により行ったはずです。
本ブログで何度か紹介してきましたが、宮本顕治という日本共産党の党首を長年務めた方はその若い頃、ソ同盟(ソ連)とソ連共産党を全面的に礼賛し、絶対的忠誠を誓ってきました。
宮本顕治の論考「共産党・労働者党情報局の『論評」の積極的意義」(「前衛」1950年5月)に明記されていた「マルクス・レーニン・スターリン主義」という言葉を思い出してください。
しかしソ連が崩壊すると、宮本顕治ら日本共産党員は手のひらをかえし、ソ連とソ連の最高指導者だったスターリンを弾劾するようになりました。
若い日本共産党員は、宮本顕治らがソ連とスターリンに絶対的忠誠を誓ってきた史実を全く知らないのです。それを熟知している不破哲三や志位和夫が巧妙に史実を隠蔽していますから。
こんなようでは、日本共産党員とは以前勤めていた会社の上司に罵詈雑言を浴びせるような人たちとしか私には思えません。
あるいは、別れた恋人や元配偶者の悪口を言い出したら止まらない、というような人たちなのかもしれません。愛情と憎しみは表裏一体なのかもしれませんね。
こういう方は少なくないです。友人であるなら、その人の別れや離婚の嘆きや苦しみを分かちあいたいものですが、政治路線の変遷は別れや離婚と全く違います。
あえて若い日本共産党員を擁護すれば、その人たちは自分が今勤めている会社と、元の親会社の関係について何も知らないのです。
若い日本共産党員には、自分が愛着を持って所属している組織、日本共産党の主張の歴史的変遷経緯を文献を調べて考えるという習慣はないのでしょう。
文献を調べる能力を持っているはずの知識人も、日本共産党にはいるはずです。その人たちは日本共産党の路線転換をどう思っているのでしょうか。
人脈を維持し、職場の内部情報をいち早く入手して保身をはかるために日本共産党員
日本共産党に所属している教員や文化人の方がいます。
その人たちには教員や文化人として、ある問題については文献を調べて物事を考えねばならないという誇り、気概が多少なりともあるのでしょうか。
知人に、「あの人は日本共産党員だ」という噂のある教員や文化人の方が多少います。
その方々の言動を私なりに観察しますと、日本共産党員としての誇りや気概を完全に喪失しているとしか思えません。
教員の方は、論文を書いています。「前衛」や「経済」(新日本出版社刊)に掲載されている論文は往々にしていろいろな理屈で政府を批判しています。
新自由主義と大企業本位の政治があるから、多くの若者が失業しているのだという調子です。
しかし論文の執筆者が日本共産党員であるなら、日本革命を実行すればその批判点は解消され、すべてが万事良しとなる、という結論が出るはずなのです。
日本革命とやらを実行すれば完全雇用になり、物価は一定になるはずです。
そんな話は私が知る限り、一切論文には出てきません。問題解決策の代案として、日本革命などという話は一切出てきません。
日本革命の有無と、社会経済上の問題点や失業の有無は一切無関係という、日本共産党員としては奇妙な事この上ない論文ばかりです。
従ってその方々が日本共産党に所属しているのは、単に昔からの人脈を維持するためとしか私には思えません。
所属している職場(大学や高校、中学、あるいは会社)での日本共産党員間の人脈を生かし、職場内の裏情報をいちはやく入手して自らの保身を図る。
そういう教員や文化人の皆さんは、本音では日本革命など実現不可能と悟っているのでしょう。私有財産制度の廃止など、ありえません。
社会経済問題解決の代替案は所詮、資本主義経済でしかない
企業を国有ないしは共同所有にしても、消費者に魅力のない商品しか生産できなければ倒産するだけです。
不況になれば国有企業も共同所有企業も経営が困難になるでしょう。
政権をどんなに変えても、不況になれば多くの会社が倒産し、失業者が増えてしまいます。日本共産党の国会での議席数の多寡に関わらず、日本は資本主義経済でやっていくしかないのです。
左翼知識人が必死に追求している代替案、オールターナティブ(Alternative)とやらは、所詮資本主義経済でしかありません。
財閥民主化を叫ぶ韓国左翼も、韓国は資本主義でやっていくしかないということを直視できないのでしょう。
資本主義経済はどうしても不安定ですから、財政金融政策の発動により景気変動の波を小さくしていくしかないのです。
革命運動とやらの虚構性を、日本共産党に党員として所属している教員や文化人の方は御本人たちなりに気づいているのでしょう。
同じようなことが、在日本朝鮮人総連合会に所属している教員や文化人の方にも言えるでしょう。
「地上の楽園」の北朝鮮は、政治に些細な不満を漏らした人を片っ端から政治犯収容所に連行し、過酷な囚人労働を長年させる生き地獄だったのです。
日本人や韓国人の拉致、民間航空機爆破、韓国大統領の暗殺未遂、日本漁船銃撃と漁民殺害などの蛮行をを繰り返してきたのは、「地上の楽園」北朝鮮でした。
ソ同盟は世界で最初の、社会主義を建設しつつあるプロレタリア的、革命国家
気概のない日本共産党員の教員や文化人に、日本共産党の真実の歴史の話をすると激怒し出すことがあります。「宮本顕治の昔の論考など、自分には一切関係ない!」という調子です。
困ったものですね。本当に無関係なら、日本革命などありえないと言っているようなものです。日本革命について、日本共産党員が思考停止になっているのです。
気概のない人たちに何を言っても馬耳東風ですが、一応下記を指摘しておきます。
野坂参三、宮本顕治、蔵原惟人ら明治生まれの日本共産党員は、ソ連とその最高指導者スターリンに心酔していました。
スターリンの文献のなかに、ソ連への絶対的忠誠を全世界の共産党員に求めるものがあります。
野坂参三、宮本顕治、蔵原惟人ら明治生まれの日本共産党員は、何らかの形でこの類の文書をソ連共産党から入手し、ソ連とスターリンへの忠誠を誓っていたのでしょう。
以下少し長いですが、スターリン全集(大月書店刊行、第十巻、p64)から抜粋して引用します。
「ありとあらゆるグループ、潮流、党を区別する、そしてそれらの革命性や反革命性を点検する一つの問題がある。
この問題とは、今日では、ソ同盟の防衛の問題、つまり帝国主義からの攻撃にたいしてソ同盟を絶対的、無条件に擁護する問題である。
なんの留保もなしに、無条件に、公然と、そして誠実に、軍事上の機密なしに、ソ同盟を擁護し、防衛する用意のあるもの、それこそ革命家である。
なぜならソ同盟は世界で最初の、社会主義を建設しつつあるプロレタリア的、革命国家だからである。
留保なしに、動揺することなく、無条件にソ同盟を擁護する覚悟のあるもの、それこそ国際主義者である。
なぜならソ同盟は世界革命運動の根拠地であり、ソ同盟を擁護することなしに、この革命運動を前進させることはできないからである。」
ソ同盟、という言葉が時代を感じさせますね。労働者と農民の同盟により社会主義が建設されつつある国、というイメージでしょう。
その最高指導者であるスターリンに、野坂参三、宮本顕治、蔵原惟人ら明治生まれの日本共産党員は心酔していたのです。
駅前で「原発反対」のビラを配っているような若い日本共産党員は、ソ同盟などという言葉すら知らないことでしょう。
北朝鮮に拉致された子供たちと工作員教育
若き金日成もスターリンに心酔していました。
「ソ同盟は世界革命運動の根拠地」という表現ですが、在日本朝鮮人総連合会に所属し、熱心に金日成の著作を読んでいる方なら、同様の表現を思い出すはずです。
北朝鮮は南朝鮮革命のための民主基地である、という金日成の規定は、スターリンの革命路線に依拠したものなのです。
民主基地路線を心底信じて、日本と韓国内に少人数で組織されている革命家集団、朝鮮労働党の非公然組織が日本人や韓国人の拉致を断行してきたのです。
韓国内には、子供の頃北朝鮮で将来の工作員候補として育てられ、成長後韓国に送られて各種の反韓国政治宣伝をやっている人間もいるかもしれません。
恐ろしい話ですが、日本で行方不明になっている子供たちの中にも北朝鮮工作員にさらわれて、北朝鮮国内で工作員教育を受けている人がかなりいる可能性があるのです。
こんな恐ろしい話をすると、私がおかしな人物のように思われそうで嫌になる時があるのですが、私は日本共産党や朝鮮労働党の文献をいろいろ読んできました。
元北朝鮮工作員からも、いろいろ話を伺ったことがあります。
日本人拉致を水に流す、などということは断じてできません。
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