昭和19年生まれの鈴木元さんは党歴60年の古参党員です。京都の日本共産党職員として長く勤務されたそうです。
そんな方が志位さんに、直ちに辞任し、党首公選を行い、改革を新しい指導部に委ねてほしいと訴えています。
この本は八章から成ります。
鈴木元さんは日本共産党に長く貢献された方ですから、日本共産党員と支援者の方は鈴木さんの訴えを傾聴すべきではないでしょうか。
鈴木元さんは政権に就くなら、日本の領土・主権と国民の命を守ることが第一義的任務と訴える
第二章「安全保障政策に関する覚悟を決めた議論を」で鈴木元さんは日本共産党が政権につくなら、日本の領土・主権と国民の命を守ることが第一義的任務であると訴えています。
日本共産党員で、国防を第一義と語る方は稀ですね。驚きました。以下、第二章での鈴木元さんの安全保障論を要約します。
日本にとって最も現実的な危険は、中国共産党による台湾(沖縄)攻撃である
中国が台湾の武力統一に動くときは尖閣を含む沖縄と、沖縄にいる米軍との戦争になる。
現状では、米国が行う戦争に日本が巻き込まれる危険より、中国が台湾(沖縄)を攻める危険のほうがはるかに現実的な危険です。
中国共産党が台湾の武力統一に動くときには、自衛隊を活用する、という程度では済まないので日米安保第5条による米軍の出動を要請せねばならない。
200万人の人民解放軍に対し、26万人の自衛隊では対応できない。軍事力の格差が大きすぎるのです。
しかし、「それを言ったらおしまいよ」の言葉通り、志位さんがそう言ったらかつての社会党と同じになります。
そこで志位さんは村山富市さんのように「安保容認・自衛隊容認」を国民と党員の印象に残るようには明言していません。
日本共産党が政権に就こうとする限り、安保容認・米軍の出動要請・自衛隊合憲・活用の立場にならざるを得ない。
これは綱領で規定している安保廃棄・自衛隊解散の主張と根本的に異なるが、現実を見つめればそうなる。
鈴木元さんの安全保障論は一昔前の自民党宏池会に近い
鈴木元さんの安全保障論は、昔の社会党というより、一昔前の自民党宏池会と同じように思えます。
鈴木元さんは集団的自衛権を行使すべきとは言っていませんが、日米安保活用論そのものを訴えているのですから。
親中的な方が多かった宏池会より、中国共産党の危険性を訴えている鈴木元さんは右よりだ、と言えるかもしれません。
一昔前の日本共産党は、中国共産党を社会植民地主義と批判
鈴木元さんは百も承知かと思いますが、一昔前の日本共産党は中国共産党が社会植民地主義を取っていると批判したことがあります。
「大国主義的干渉者の新たな破たん 『社会主義』を看板にした植民地主義」(昭和47年4月5日赤旗掲載)という論文は、毛沢東と中国共産党は社会植民地主義だと批判しました。
毛沢東と中国共産党が社会主義を看板にして他党支配、他国人民支配をねらっているからです。
この指摘は、極めて適切です。中国共産党は一貫して、他国の支配を策しているのです。
毛沢東と中国共産党が朝鮮半島を自らが支配するべき領域であると認識していました。そこで人民解放軍が朝鮮戦争に参戦したのです。
朝鮮戦争とほぼ同時期に、人民解放軍はチベットに侵攻しています。社会植民地主義そのものです。
日本共産党が参加する民主連合政府とやらができ、日米安保廃棄、自衛隊の大幅縮小が実現していたら、人民解放軍が日本を攻撃していたと考えられます。
金日成と朝鮮労働党も日本を攻撃したでしょう。毛沢東、金日成が国防力皆無の日本を攻撃しない、など考えられない。
日本共産党が目指す基地のない沖縄、など沖縄を捨て石にすることに他なりません。人民解放軍に沖縄侵攻を懇願するようなものです。
鈴木元さんの著作については、以前にも論じています。御参考まで。
0 件のコメント:
コメントを投稿