2023年1月29日日曜日

松竹伸幸さんは、日本共産党が綱領でソ連を帝国主義と位置づけるべきだったと主張(「シン・日本共産党宣言」文春文庫、p227より)。

 松竹伸幸さんは、日本共産党の党首公選制導入を上記の著書やブログで訴えています。

松竹伸幸さんは上記の著書で、ソ連がチェコスロバキアやアフガニスタンを侵略するなど、米国と同様の行動をとっていたのだからソ連も帝国主義だったと主張しています。

これは昭和36年7月の日本共産党第八回大会で採択された綱領に関する話ですが、松竹伸幸さんはチェコスロバキア事件(昭和43年)のずっと前から、ソ連は帝国主義だったと考えているのでしょう。

ソ連がいつから帝国主義だったのかについては、松竹伸幸さんは言及していません。

宮本顕治さんら昔の日本共産党員はソ連信者だったーソ連は世界平和の砦

昭和36年7月の第八回大会で宮本顕治さんは、ソ連を世界平和の砦と礼賛しました。

松竹伸幸さんの視点なら、第八回大会当時の日本共産党は帝国主義を世界平和の砦と評価してしまったことになりますから、大失策だったことになりませんか。

宮本顕治さんら昔の日本共産党員は、ソ連信者でした。これは、第八回大会決定だけでなく、その頃の宮本顕治さんの論文や「赤旗」記事からも明白です。

松竹伸幸さんが第八回大会決定や、宮本顕治さんの昔の論文を読んでいないはずがないと思えます。

社会主義がソ連邦で完全な最後の勝利をおさめた、という論考は、ソ連信者でなければかけません。

松竹伸幸さんは中国、ロシアも帝国主義と主張

松竹伸幸さんは、米国だけでなく中国とロシアも帝国主義とするか、双方を「大国主義・覇権主義」とすることを提案しています(同書p230)。

松竹伸幸さんのお気持ちはわかりますが、それならレーニンの帝国主義論に依拠して世界情勢を把握する事をやめよう、と訴えるべきではないですか。

米国が帝国主義だ、戦争の根源だという日本共産党の主張は、言うまでもなくレーニンの帝国主義論に依拠しています。金融資本が戦争を起こす、という見方です。

近年では、多国籍企業が世界的な規模で利潤を求めて活動しているので、米国や日本は多国籍企業の利潤獲得のために戦争を起こす、という見方になっています。

旧ソ連には金融資本などなく、搾取制度が廃止されていることになっていましたから、レーニンの帝国主義論ではソ連は帝国主義ではありえません。

今の中国、ロシアにも多国籍企業は存在します。多国籍企業、と言っても、外国に工場や支店を持っている企業などいくらでも存在します。

韓国には、三星電子や現代、SKやLGなど世界的な規模で活躍する大企業が存在します。多国籍企業が戦争を起こすはずがない。

大日本帝国でも、財閥は日清・日露戦争やシベリア出兵、満州事変をやろうと軍首脳部に主張などしていません。

明治期、政府の支援で重化学工業化が実現されたからといって財閥が薩長の政治家や軍人を動かしたわけではない。

帝政ロシアでも、当時の大企業、金融資本とやらがツァーリを動かして黒海への進出や日露戦争を行ったとは考えられません。

ロシアの拡張は、エカテリーナ二世の頃(18世紀後半)、あるいはもっと前に始まっています。

レーニンの金融資本が戦争を起こす、という見方は実証に裏付けられていない。

指導者が損得を計算し、自分にとって全体としては利益となると判断したら戦争を起こす

それでは、戦争は何で起こるのか。

各国で指導的地位にある政治家や政党、独裁者が他国を攻撃し支配できれば、多少の損失はあっても全体としては自分たちの利益になる、と判断したら戦争を起こすと考えられます。

中国共産党はアリババやテンセントの利益を確保するために、台湾政府を破壊したいのではありません。中国共産党はアリババやテンセントも抑圧しています。

中国共産党は中華民族の偉大なる復興、とやらを達成して中国共産党の権威を維持したいのです。そのために、台湾だけでなく日本にも国家安全維持法を適用させたい。

中国共産党の拡張策は、伝統的な中華思想に依拠しています。

これに依拠して世界各国に国家安全維持法を適用できれば、中国共産党最高指導者、習近平の権威と権力を維持できます。

民主主義国家では、戦争を起こして沢山の戦死者を出したら、指導者が選挙民に責任を問われて次の選挙で失脚してしまいます。

民主主義国家の指導者にとって、戦争はあまり利益にならない。今の米国で、中朝露に先制攻撃を仕掛けて利益になる、と判断する政治家がいると思えません。

私見では今の米国は、戦争を起こすとしても空爆程度です。戦死者を沢山出してしまう地上戦を、米国大統領は極めて決断できにくい。次期選挙で負けるからです。

ソ連が帝国主義だったなら、昔の日本共産党(国際共産党日本支部)は帝国主義の手先だった

日本共産党の平和理論は、完全に破たんしているのです。

ソ連が帝国主義だったなら、ソ連から資金と拳銃を受け取っていた昔々の日本共産党、国際共産党日本支部を帝国主義の手先だったと評価すべきではないでしょうか。

今の中国とロシアが帝国主義なら、帝国主義の中枢である中国共産党と科学的社会主義の理論交流をおよそ二十年間行った不破さんの科学的社会主義とは何だったのか。

松竹伸幸さんにこれらを、御検討頂きたい。スターリンはヒトラーと協力して、ポーランドを分割しました。帝国主義ではないですか。

松竹伸幸さんは、米国と中国、ロシアは帝国主義もしく覇権主義で戦争国家だと言いたいのでしょうね。

繰り返しですが、今の米国は空爆程度しかやらないと考えられます。

北朝鮮、朝鮮労働党も戦争国家ですよ。お忘れなく。






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