2012年11月9日金曜日

黄金指の大悪党,Goldfinger


大悪党の強い意志と才覚


悪党とは、何らかの意味で力のある人間なのでしょうね。奸智に長けた人間であるなら、頭の回転が速いのでしょう。腕っ節の強い人間でなければそもそも暴力を振るうことはできませんね。悪党のボスは、部下を心服させ統率するような操縦力がなければ、ボスの地位を保てないでしょうね。

悪党とは、道徳的には勿論悪人ですけれど、悪いことを実行し続ける強い意志と才覚をもっている人間なのでしょうね。

Goldfinger, Dame Shirley Bassey


私は007の映画はさほど好きではありません。アクションが極端すぎるような気がしますし、おとぎ話というほどでもないからです。各国は諜報機関を持っていますからね。物語として中途半端なように感じます。

でも、007のテーマ曲は素晴らしいものが沢山ありますね。Goldfingerは、歌詞をそのまま読めば悪党を礼賛するものですが、大事なのは読み方ですよ。私には、大悪党の強力な意思と強靭な体力、奸智に長けた悪党の才覚を高らかに歌いあげることにより、凡人の我々を励ましてくれているような気がします。

Goldfingerは48年くらいまえの007映画で、テーマ曲を歌っているのは英国の美空ひばりともいうべきDame Shirley Basseyです。

気迫に満ちた歌い方をしています。声量もさることながら、指と腕の使い方が素晴らしいですね。指の絡ませ方で、歌詞の次の部分、悪党の奸智を表現しているのでしょうね。

黄金指を持つ大悪党は、the midas touchの能力を持っているとあります。

the midas touchのmidasとは、ギリシャ神話に出てくる、触るとすべての物を金に変えてしまう王様のことだそうです。次の一節があります。


黄金指を持つ奴は、すべてのものを黄金に変えることができるのさ。


A spider's touchとは、蜘蛛が触ることですが、飛んできた蜘蛛が手に触れてしまうとぞっとしますよね。軽い感触で、冷たそうですね。



黄金指を持つ奴は、その冷たい指でお前を罪悪の蜘蛛の巣に引き入れようとしている。


黄金の言葉を奴はお前の耳でささやくだろう。



私が翻訳すると原曲の味が出ませんね。Dame Shirley Basseyの格調高き振り付けは、you tubeでも見ることができますよ。

黄金指を持つ奴の黄金の言葉とささやき


すべてのものを黄金に変える、黄金指を持つ奴がささやく黄金の言葉、ささやきって、どんなものなのでしょうね。黄金指を持つ奴の作った奸智の計略とはどんなものなのでしょうか。

若い女性なら、思わずそんな奸智に騙されてしまいそうですね。大悪党ならば、部下や若い女性を
心服、魅了するような夢を描けなければならないはずです。

大悪党ならば、敵の策略を見破ることができる知恵と、大事な場で冷静に物事を判断できる力を兼ね備えているものなのでしょうね。

大悪党への徹底的な讃歌を聴くと、凡人の私たちもなぜか励まされてきませんか。

勿論これは、大悪党は皆素晴らしい、ということではありえません。この歌は黄金指を持つ男という架空の存在を描くことにより、人間のひとときの、ある一面を極端化して描いているだけですからね。

架空の存在の凄みを、言葉から心中に描き想像することにより、現実の我々の心の世界は広がっていくのでしょうね。















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