2019年8月2日金曜日

続・日本共産党の経済観、経済政策論について思う―大企業の内部留保四百数十兆円は巨額なのか―

「大企業は400兆円を超える巨額の内部留保を持っている。そこで応分の負担を大企業と富裕層に求め、中小企業への賃上げ支援と最低賃金の引き上げで家計を潤す。国内総生産の約6割を占める消費を増やさねばならない。」


日本共産党の経済観、経済政策論は大略こんなところでしょう。

本ブログでは4月に「日本共産党の経済観、経済政策について思う」と題して少し論じています。

今回はこれの続編として、大企業の内部留保が巨額だ、論について考えてみます。

企業の内部留保が、その企業が保有する現金・預金総額とは必ずしも一致しないのはあまりにも明らかです。

大企業の内部留保四百数十兆円は何と比較して巨大だ、と日本共産党は言うのでしょうか。

中小企業の内部留保総計よりは大きいでしょうが、会社の規模が違うのですから当たり前です。

大企業の「最適内部留保」はいくらですか。日本共産党員はこの発想をどうしても理解できないらしい。

家庭の最適内部留保はいくらか―日本共産党の小池晃書記局長に問う


少し前に小池晃書記局長がトヨタの内部留保は巨額で、毎日1千万円使うのなら5千年かかっても使いきれないくらいだ、とかいう説明をツイッターでしていました。

小池晃書記局長にお尋ねしたい。トヨタの最適内部留保はいくらですか。これがわからないというなら、御自身は最適な内部留保をどれくらいとお考えですか。

わかりやすくするために単純な説明をしましょう。

企業だけでなく家庭でも貸借対照表を作成することはできます。荒っぽく言えば総資産から総負債を引いた残りが純資産、内部留保です。

保有する預金・現金と株価総額だけでなく自宅の不動産価額や奥さんが大事にしている宝石、装飾品の価額、車を持っているならその価額も資産に計上されます。

それらから不動産購入のために借りた額や、カード支払い予定額を差し引いたら純資産額を算出できます。

当たり前ですが純資産額は通常、家族保有の現金・預金総額と一致しない。たまたま一致したら例外中の例外ではないでしょうか。

こうして算出された純資産、内部留保が平均水準より多い家庭はそれなりに裕福と思えるでしょう。

しかしそもそも、家庭の平均内部留保額はいったいいくらでしょうか。

家庭保有の純資産の平均水準はこれぐらいだろう、という漠然とした思い込みがあるから、何となく裕福だ、貧しいと思えるだけです。

純資産が3千万円もあれば裕福な家庭と私には思えますが、大都会に親から相続した持ち家のある勤労者の家族なら、年収500万円でも純資産は1億円の方もいるでしょう。

それでも家族に育ち盛りの子供が三人いて、今後大学進学を予定しているなら家計は大変です。

お父さんが重病になったらどうするか、という問題もあります。

普通の暮らしをしたい、と願っても思わぬ事故や病気に見舞われることは珍しくない。

家庭ですら、「最適内部留保」の算出は困難です。各家庭の年収や人生計画により、これは異なりますから。

大都会在住家庭の「内部留保」総額が地方在住家庭のそれより多いと応分の負担を求めるべきなのか


ある地域の家庭全体の「内部留保」を総計できれば、今この地域の家庭の内部留保総額はいくらだとわかりますが、それが巨額か少額か、何とも言えない。

恐らくは、大都会在住の家庭の内部留保総計は地方在住の家庭のそれより多いでしょう。

だから大都会の家庭に応分の負担を、などという経済政策論は暴論そのものです。

日本共産党の「大企業に応分の負担を」論は、この水準の「経済政策論」でしかない。

ましてや従業員が数千、数万で売上高が数百億、数千億以上にもなる大企業の「最適内部留保」など算出できるはずもない。

各企業がどんな市場に直面し、今後どういう方向で企業を経営していこうという計画を持っているかによって、現在保持すべき内部留保、あるいは資産と負債の在り方は異なる。

これを判断するのが経営者の重要な職務であり、企業の存続のために適切な判断をする社会的責任を経営者は果たさねばならない。

日本共産党員は大企業の経営について、真剣に考えない―立憲民主党を支援する労組はなぜ日本共産党を嫌うのか―


殆どの日本共産党員はそれぞれの大企業の経営について何も知らないし、真剣に考えたこともない。

そこで巨額の内部留保が...などと喧伝しているのです。

大都会在住の家庭の内部留保総額が地方在住の家庭のそれより多いから応分の負担を、という暴論を吐く方はさすがにいないでしょう。

そもそも、各家庭の内部留保を総計してどれだけの意味があるでしょうか。

大企業という企業がひとつの経済主体として存在しているわけではない。各家庭が別会計になっているのは当たり前です。大企業も同じです。

大企業に応分の負担、とやらを求めれば大企業を構成する人々、経営者、株主、労働者に何らかの形で負担増になります。

家庭に何かの税をかけて負担を求めれば、稼ぎ手のお父さんだけでなく奥さんと子供にも何らかの形で負担になる。

同じことが、大企業の内部留保総計400兆円論についても言えるのです。

立憲民主党を支援する労働組合の皆さんは、大企業の労組が多いらしい。

大企業の労組幹部は、大企業への「応分の負担」とやらが自分たちにも負担になりえると認識しているから、日本共産党の無責任さにあきれて嫌うのではないでしょうか。

日本共産党の皆さんが立憲民主党との共闘を真剣に考えるのなら、「大企業への応分の負担」論をやめねばならないでしょう。

しかしこれは、大企業が日本経済を支配している、日本は国家独占資本主義だという科学的社会主義の経済学と日本共産党綱領路線を否定することになる。

結局、理屈はどうあれ次回総選挙では全ての選挙区で日本共産党は立憲民主党の候補者を支援する可能性がありますね。

小池晃書記局長への質問


小池晃書記局長にお尋ねしたい。

御自身の最適内部留保だけでなく、日本共産党の最適内部留保はいくらと考えていますか。

随分失礼な質問だと思うでしょうけれど、日本共産党の大企業は巨大な内部留保宣伝は、こういった問いかけを大企業経営者にしているのですよ。

日本共産党が企業経営者に嫌がられる理由はこのあたりにあるのです。

企業経営を真剣に考えない日本共産党員に経営を任せたら、会社は破滅しうる。









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