2019年8月25日日曜日

日本共産党と左翼知識人はなぜ韓国政府による軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を大歓迎しないのか―マルクス主義経済学者なら日韓条約破棄を主張すべきだ

「日韓会談を朝鮮人民と連帯して粉砕する闘争はとくに重視しなければならない」(日本共産党第九回特集、p40より抜粋。昭和39年11月)。


本ブログではこの間何度も指摘してきましたが、昔の日本共産党や社会党、左翼人士は朴正熙政権を米国の傀儡とみなし、日韓会談粉砕、日韓条約破棄を叫んできました。

日本共産党の第九、十回大会決定にこれらは明記されています。

第九、十回大会決定は間違いだったという決定は存在しませんから、日韓条約破棄論は今でも日本共産党の方針です。

昭和41年3月の日朝両党声明には、佐藤内閣と朴正熙一味が結んだ日韓条約は不法で無効だ、という記述があります。

朝鮮半島は朝鮮労働党により統一されるべきであり、大韓民国は滅亡させられて当然だと昔の日本共産党、左翼は認識していたのです。

これは、科学的社会主義の政治学、経済学から導かれる当然の結論です。

朴正熙政権は、ベトナム戦争に参戦しました。

左翼にとって日韓会談粉砕、日韓条約破棄は、ベトナム戦争反対と同様にあまりにも当然だったのです。


林直道教授の「経済学下 帝国主義の理論」(新日本新書、p123)と日韓条約


林直道教授によれば、日韓条約による朴政権への10億ドル援助は米国と朴政権による朝鮮民主主義人民共和国にたいする侵略と朝鮮南部の革命運動の弾圧を助ける資金です。

もう三十数年前になりますが、早大に入学した頃の私は、林直道教授のこの本を一生懸命読みました。

当時は、朴正熙大統領が側近に射殺されて間もない頃でした。光州事件や、全斗ファン政権による金大中氏への死刑判決が出された頃です。

近年亡くなった旧友に誘われ、面倒だなと思いながらも金大中氏死刑反対、というデモに参加した思い出があります。

マルクス主義経済学者なら、日韓会談粉砕、日韓条約破棄を唱えるのは当然です。

昔の日本共産党大会決定や、マルクス主義経済学から見れば、韓国政府による日韓の軍事情報包括保護協定破棄は素晴らしい決断です。

これは文在寅大統領による朝鮮半島の平和の流れへの大きな貢献です。

そもそも日本共産党の平和理論から見れば、アジアで最大の戦争勢力は米帝国主義とそれに従属的に同盟する安倍政権です。

金正恩と朝鮮労働党に多少の問題はあっても、安倍政権の軍拡を批判しますから朝鮮労働党は本質的に平和勢力です。

韓国政府が安倍政権に北朝鮮に関する軍事情報を提供する事は、米と安倍政権による北朝鮮侵略の側面援助でしかない、と見るべきなのです。

途上国の北朝鮮が、独占資本主義の段階に達している韓国に侵攻することなどありえない、とマルクス主義経済学者は説くべきです。

「若者よマルクスを読もう」(かもがわ出版)などの著作で有名なマルクス主義経済学者の石川康宏教授は、林直道教授や畑田重夫の日韓条約論をどうお考えなのでしょうか。

志位和夫氏が日本共産党第九・十回大会決定を尊重するなら韓国政府によるGSOMIA破棄を支持する、という談話を出すべきです。

立憲民主党は日韓条約破棄論者の日本共産党と連立政権をつくるのか


実際に志位和夫氏が日韓条約破棄、GSOMIA破棄歓迎などと言い出したら、立憲民主党の幹部の皆さんはぞっとしてしまうでしょう。

日本共産党、左翼知識人には、安全保障という視点が一切ない。

科学的社会主義の政治学、経済学は北朝鮮を平和勢力と把握し、大韓民国が朝鮮労働党により滅亡させられることを社会進歩と見ます。

日韓条約破棄、自衛隊解散、日米安保破棄の日本共産党と連立政権を作るのは、かなり左傾化した立憲民主党幹部でも無理だと判断するでしょう。

志位氏はこれを先読みし、日韓条約破棄論を昔の日本共産党が叫んだことを内緒にしているのです。

志位氏は、市民連合の要望に野党の党首が署名したから、野党には共通政策があると主張していますが国民民主党幹部によればこれは要望を受けとめただけです。

立憲民主党のHPにも、市民連合からの要望書で野党の共通政策ができた、などという記述はありません。

立憲民主党幹部としては、次の選挙で日本共産党に全ての選挙区で候補者を下ろしてもらいたい。

そこで市民連合からの要望の件は、言及しないようにしているのでしょう。

狐とタヌキの化かしあい、のような話が永田町には多いようです。

韓国左翼は朴正熙政権下での日本企業との契約は無効と主張しうるー戦犯企業論


ところで、林直道教授の「経済学下」(同書p125)によれば、トヨタ自動車の子会社、新進自動車は朴政権から独占販売権を得て、一台六十万円のコロナを百二十万円で売りました。

これにより新進自動車は税引き利益二十億円をあげ、韓国第一位の企業となったそうです。

今の韓国政府は、朴正熙政権が行ったことは全て悪だ、という発想です。

韓国左翼が、朴正熙政権下で日本企業が韓国側と結んだ契約は全て暴利をむさぼっていたから独占禁止法違反だ、などと言い出し各企業に損害賠償を主張する可能性があります。

朴正熙政権下で韓国と取引をした日本企業は皆、韓国左翼の標的となりえます。

韓国の裁判所はこの類の訴えを是とし、日本企業に賠償金を支払えという判決を出す可能性を指摘しておきたい。

こんなことを言い出されたら、日本企業は韓国企業とは全く取引ができなくなってしまいますが。

慰安婦には、横浜正金銀行を通じて郷里に送金をした方が多かった。

韓国左翼なら、朝鮮半島の植民地支配に横浜正金銀行は協力した、と言い出しかねない。

これを根拠に、韓国左翼が三菱東京UFJ銀行は戦犯企業だから慰安婦に損害賠償をしろと言い出す可能性もあります。

横浜正金銀行は東京銀行が引き継ぎましたから。

日本の左翼から見れば、金融資本そのものである三菱東京UFJ銀行を攻撃する勢力は素晴らしい仲間です。

日朝両党声明(昭和41年3月)の生きた力が発揮されているな、と思えてなりません。

青瓦台に朝鮮労働党工作員がかなり入っているのでしょうね。










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