この本の第三章は、「リンチ事件の真相」です。松崎さんは、小畑達夫さんがエコノミークラス症候群、またはクラッシュ症候群で亡くなった可能性を指摘しています。
以下、松崎さんの本(p86-87)に依拠し、この事件について簡単に説明します。
宮本顕治さんらは、スパイと疑った仲間の手足を縛り、監禁した
事件は昭和8年12月23日に起きました。当時の日本共産党では、宮本顕治さん、逸見重雄さん、小畑達夫さん、大泉兼蔵さんが中央委員でした。
大泉さんは警察のスパイでした。
宮本顕治さんらは小畑達夫さんがスパイだと疑い、アジトにおびき寄せて針金などで手足を縛りました。
宮本顕治さんらは小畑達夫さんに目隠し、さるぐつわをして押し入れ内に監禁しました。さらに殴る、蹴るなどの暴行を加えました。
翌24日昼過ぎに小畑さんは監視役の隙をつき、拘束をほどいて逃げようとしたのですが、宮本さん、袴田里見さん、逸見重雄さん、木島隆明さんに抑えられてしまいました。
小畑さんは大声をあげた後、ぐったりして亡くなりました。
この事件については、本ブログでも何度か論じています。黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 日本共産党のスパイ査問事件(昭和8年12月23、24日)について―袴田里見判決文(亀山幸三「代々木は歴史を偽造する」経済往来社昭和51年刊行)より思う― (blueribbonasiya.blogspot.com)
小畑さんの死体は、秋笹さん、木島さんにより現場の床下に埋められました。宮本さんは12月26日に検挙されました。
小畑さんの死因について、判決は、古畑種基博士による再鑑定の結果に依拠して「外傷性ショック死」としました。
宮本顕治さんは、小畑さんの特異体質による内因的急死と主張しています。
小畑さんは一昼夜、手足を縛られて同じ姿勢にされていた
これらに対し、松崎さんは古畑博士の「外傷性ショック死」とは、現在ではクラッシュ症候群、またはエコノミークラス症候群に該当すると説明しています(同書p96-99)。
小畑さんは一昼夜、手足を縛られて同じ姿勢をとることを強制されました。便所にも行かせてもらえなかった可能性があります。
エコノミークラス症候群の場合、狭い座席に長時間座っていると血行不良となり、血の固まりが血管の中に流れ、肺がふさがってしまうようです。
小畑さんの死体鑑定には、肺がふさがったという記述はありません。しかし、この可能性は否定できないでしょう。
宮本さんがうつ伏せに倒れた小畑さんの背に片膝をのせ、小畑さんの腕をひねるように抑えて胸が圧迫された事も、死因に関係しているでしょう。
小池晃書記局長に、youtubeで小畑達夫さんの死因について御説明頂きたい
私は医学については素人なので、死因として何が適切なのか断定できません。
小畑さんの死因について、古畑博士の鑑定書などからどう考えるべきかを、医師の小池晃書記局長が御自身のyoutubeで論じて下されば良いと考えます。
小池晃書記局長なら、クラッシュ症候群、エコノミークラス症候群がどのような状況で起きるかを説明できるでしょう。
ところで、田村智子議員、山添拓議員、吉良よし子議員はある党員がスパイである可能性が誰かにより提起されたら、その党員の手足を縛り監禁すべきとお考えでしょうか。
日本共産党の皆さんがそんなことは決してすべきでない、とお考えなら、宮本顕治さんを徹底批判すべきではないでしょうか。
小畑達夫さんが手足を縛られていなかったのなら、査問の場から簡単に出られたはずです。
手足を縛ってあるはずなのに、小畑さんが監視者の隙をついてそれをほどき、逃げようとしたから皆で抑えたのです。
小畑さんは最期に、ウォーという大きな声をあげたそうです。宮本顕治さんはその叫びを、その後どう考えていたのでしょうね。
普通の方なら、小畑さんの叫びが心中から消えることはないと思います。宮本顕治さんは、ボリシェヴィキでした。