2022年6月3日金曜日

志位さんと田村智子議員は、大企業が内部留保を今の水準より増やすことを絶対悪と見ているー日本共産党の内部留保課税論よりー

 日本共産党は、大企業には巨額の内部留保があるからこれを国民のために使えという主張をいつごろから始めたのでしょうか。

四十年ほど前は、大企業本位の政治から国民本位の政治へ、という主張はありましたが、内部留保については言及していなかったような気がします。

工藤晃さんの「経済危機への挑戦」(昭和57年新日本出版社)には、内部留保云々の記述はありません。

四十年ほど前の私は、工藤晃さんによる資本の有機的構成の試算に驚きました。

工藤晃さんの後任にあたる佐々木憲昭さんの時期に、大企業の内部留保云々という経済政策論が出てきたようですね。

大企業の巨額内部留保論の問題点については、本ブログでも何度か指摘してきました。

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 日本共産党の経済観、経済政策について思う―日本共産党員と左翼経済学者は投資と労働者の雇用維持の関係を検討できない― (blueribbonasiya.blogspot.com)

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 続・日本共産党の経済観、経済政策論について思う―大企業の内部留保四百数十兆円は巨額なのか― (blueribbonasiya.blogspot.com)

最近の日本共産党は、大企業の内部留保への課税を主張

日本共産党によれば、大企業は安倍政権により不当な減税の恩恵を受け、巨額の内部留保を貯めこみました。

そこでそれを国民に返すべく、日本共産党は大企業の内部留保に課税せよと主張しています。

資本金10億円以上の大企業に、2012年以降増えた内部留保額に毎年2%、5年間で10%の時限的課税を行い、毎年2兆円程度、総額で10兆円程度の財源が生まれると日本共産党は見込んでいます。

アベノミクスで増えた大企業の内部留保に適正な課税を――大企業優遇の減税をただし、内部留保を賃上げと「グリーン投資」など国内投資に│経済改革│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp)


日本共産党による大企業の巨額の内部留保論の問題点については、既に相当数の方がtwitterやブログで指摘しています。例えば以下です。

共産党による「大企業課税強化」は日本経済に深刻な打撃 | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)

共産党委員長「内部留保は脂肪」 – 新宿会計士の政治経済評論 (shinjukuacc.com)

「いったい貴方達共産党は「内部留保」とは企業が貯めている預貯金のことではないと何万回言われたら理解する…」akoustamのスレッド (twinotes.com)

大企業は本当に内部留保をため込んでいるのか?内部留保=現金という誤解! | CPA会計ブログ (cpa-net.jp)

現在の日本共産党では、田村智子副委員長が政策委員会責任者ですから、政策の立案の中心にいるのでしょう。

田村智子副委員長は、インターネットでの無数の批判を「反共攻撃だ」という具合に受け止めて、大企業と戦う自分たちは正しいと思い込み、批判については一切思考と議論をしないのでしょうね。

くるみわりさんがtwitterで、田村智子副委員長と山添拓議員の対談動画を引用しています。

これを見ると、田村智子副委員長は大企業の内部留保の殆どは現金・預金であり、大企業は無駄に大金をため込んでいると確信している事がわかります。

(3) くるみわりさんはTwitterを使っています: 「59 #一日一回田村智子動画あげる 今日の参院予算委員会で小池晃議員が鋭く迫った #内部留保課税。3月の配信企画で山添さんと田村さんがすっきり説明してくれていたことを思い出しました 増える一方の内部留保、このままで良いのか、です 2022.3.21 国会と日本共産党を語る https://t.co/DzhlLC6UsH https://t.co/mItpsxTjE9」 / Twitter

この対談で田村智子副委員長は、これ以上内部留保を増やさずに賃金に回せ、がこれまでの日本共産党の政策だった事、大企業は賃金をまともに払わず、人を雇わない事と法人税減税により内部留保を増やしたと主張しています。

お金は天下の回りもの、なのに大企業がお金を回さないから経済が腐るそうです。田村智子副委員長も、大企業が今の水準より内部留保を増やすことを絶対悪と見ているのでしょう。

志位さん、田村智子副委員長は内部留保と貸借対照表の関係を一切理解していません。

私見ではフローの内部留保は、税引き後の利益から配当と役員報酬を差し引いた残りですから、毎期多少の利益が出ればストックとして蓄積されていきます。

蓄積された内部留保は現金・預金、有価証券だけでなく設備や土地、建物などの実物資産にも配分されます。

ストックとしての内部留保は通常、貸借対照表の利益剰余金の額として把握されます。

この額は人体の余分な脂肪、などではありえません。設備や土地、建物などの実物資産は勿論、現金、預金や有価証券も企業活動のために運用されているのですから。

企業が保有している現金・預金総額が大幅に増えていても、それだけでその企業が利益を貯めこんでいるとは断言できません。

社債の発行や銀行借り入れでも、企業が保有する現金・預金額は当面増加しますから。

志位さん、田村智子副委員長は企業の貸借対照表を見たことがないのでしょう。

志位さんは新日本出版社の方に貸借対照表を見せてもらい、同社の内部留保は同社が保有する現金・預金総額とどういう関係にあるかを説明してもらったらいかがですか。

企業の税引き後利益が負、すなわち赤字経営になっていれば、利益剰余金(利益準備金)が減りますから内部留保は減少します。

田村智子副委員長は社債発行や銀行借り入れにより増加した預金、現金は腐っているのか、新日本出版社の方に質問したらいかがでしょうか。

466.8兆円の内部留保、という数字はどこから出たのか

ところで、日本共産党は大企業が466.8兆円もの莫大な内部留保をため込んでいる、というとき、466.8兆円という数字はどこから出ているのでしょうか。

大企業の内部留保/コロナ下 兆円増/役員報酬・配当も増 労働者賃金は減/20年度法人企業統計 (jcp.or.jp)

赤旗記事によれば、財務省が発表する法人企業統計からだそうです。財務省の法人企業統計には、全産業(金融業・保険業を除く)の貸借対照表が出ていました。

これの昨年4-6月で利益剰余金(457兆8836億円)、一昨年10-12月で467兆2781億円と出ていますから、これに貸借対照表のどこかほかの欄の数字を考慮していそうです。

しかしこの貸借対照表は全産業、ですから中小企業も含まれているのではないですか。日本共産党が法人企業統計調査のどの欄を見ているのか不明です。


日本共産党大阪は、内部留保を滞留資金とは見ていない

志位さん、田村智子副委員長は大企業の内部留保を余分な脂肪、滞留資金と理解していますが、日本共産党大阪はそう見ていません。

大阪本社大企業101社で内部留保34兆円前年比1兆4366億円増活用して賃金引上げを大阪労連がビクトリーマップ/日本共産党大阪府委員会 (jcp-osaka.jp)

日本共産党大阪によれば、内部留保は企業の収益から原材料費や人件費などの費用をもとに税金を払い、株主配当などを除いて企業が蓄積したものです(大阪民主新報、2017年2月5日)。

日本共産党大阪が内部留保=企業が保有する現金・預金総額、滞留資金で余分な脂肪などという奇々怪々な主張をしていないことに注目しましょう。

どなたかわかりませんが、日本共産党大阪の担当者は大阪の大企業の貸借対照表を見て判断していると考えられます。

上記の34兆円がなぜ多すぎると言えるのか、日本共産党大阪は一切説明していませんが。

日本共産党大阪の中村正男さんに、大阪の大企業が保有すべき内部留保額は一体いくらなのかを御説明頂きたいですね。

志位さんはレーニンによる富農の財産没収・追放論の視点で大企業の内部留保を把握している

志位さんは東京大学の学生時代、超伝導という分野を勉強したそうです。同時に、レーニン全集も熱心に読んだのではないでしょうか。

レーニンは余剰穀物を保有する富農の穀物と財産没収、富農追放指令を出しました。志位さんは大企業を富農のような存在と把握していると考えられます。

志位さんが訴える大企業の内部留保は人体の余分な脂肪論は、レーニンによる富農は余剰穀物を持っているから財産を没収、追放せよ論と似ています。

スターリンはレーニンの富農論からしっかり学び、階級としての富農の絶滅を断行しました。スターリンと志位さんはレーニンからよく学んでいますね。

日本共産党新宿の中野顕さんは、レーニンによる富農追放指令や、ロシア正教会弾圧、ニコライ二世一家処刑を支持しているのでしょうか。機会があれば、お尋ねしたいものです。








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