2017年9月12日火曜日

レーニン「プロレタリア革命の軍事綱領」より思う。内乱を否認することは日和見主義、社会主義革命の断念である。(全集第23巻。1916年9月にドイツで執筆)

「我々はつぎのように言う。ブルジョアジーにうち勝ち、彼らを収奪し、武装解除するためのプロレタリアートの武装、と。これこそ、革命的階級のただ一つ取りうる戦術であり、資本主義的軍国主義の客観的発展全体が準備し、基礎づけ、おしえている戦術である。」(全集23巻、p84より抜粋)


この論文は、ロシア革命より前に執筆されました。レーニンの戦争と平和、内戦と革命に関する考え方が良く出ています。上記はどう読んでも、暴力革命路線です。

レーニンによれば、オランダ、スカンディナヴイアやスイスの社会民主主義者から「民兵、または人民の武装」という社会民主主義者の旧来の条項を、「軍備撤廃」に置きかえるべきだという声があがりました。

軍備撤廃要求こそ、あらゆる軍国主義者とあらゆる戦争に反対する闘争をもっとも徹底的に表現したものだという議論に、レーニンは大略次のように反論しています。

労働者階級の武装こそ、革命的階級のとりうるただ一つの戦術である


第一に、社会主義者は革命戦争、民族戦争には反対しない。

第二に、内乱もまた戦争である。内乱は、あらゆる階級社会で、階級闘争の自然な、不可避的な継続、発展、進化である。

内乱を否認することは、極端な日和見主義であり、社会主義革命を断念することである。

レーニンによれば、プロレタリアートに対抗するブルジョアジーの武装は、今日の資本主義社会における最大の、根本的で重要な事実の一つです。

この事実を目の当たりにしながら、軍備撤廃の要求を掲げるべきだと主張する人は、階級闘争の立場を完全に放棄し、革命の思想を一切放棄しています。

プロレタリア婦人は息子たちに軍事知識の習得をすすめるべきである


そこでレーニンは、労働者階級が武装することこと、革命的階級のただ一つとりうる戦術であると断言しました。

レーニンは、軍事化が公共生活全体に浸透しつつあるこの時期、プロレタリア婦人は息子たちに次のように言うべきであると述べています。

「おまえはまもなく大人になって、銃を与えられるでしょう。銃をとって軍事知識をすっかり、しっかりとまなびとりなさい。この知識はプロレタリアにとって必要なものです」。

ブルジョアジーに勝つために「人民の武装」が必要であるとレーニンは考えていたのです。

革命とは武装蜂起なのですから、革命家には豊富な軍事知識が必要でしょう。

レーニンはこの論文でも、帝国主義的ブルジョアジーに対する内乱は、ただ一つの革命的戦争であると明言しています(全集第23巻、p85)。

レーニンは「革命的祖国敗北主義」を唱えた


さらにレーニンは、帝国主義大国にいる労働者階級がとるべき戦術について次のように述べています。

英仏独オーストリア、ロシア、イタリア、日本など帝国主義大国のブルジョアジーは完全に反動化しており、世界支配の渇望に取りつかれているので、彼らの行う戦争はすべて反動である。

プロレタリアートは、ブルジョアジーが行う戦争に反対するだけでなく、戦争を阻止するための革命的蜂起に成功しない場合、自国政府の敗北を望み、その敗北を革命的蜂起のために利用せねばならない。

革命的祖国敗北主義です。自国が戦争で敗北すれば、自国の政府は弱体化する。

そのとき、革命的武装蜂起で権力を掌握すべきという事です。帝国主義戦争を内乱に転化せよ、はレーニンの革命理論を端的に表しています。

レーニン主義と左翼の「平和運動」―帝国主義大国こそ戦争勢力


現在の日本共産党も高く評価している「32年テーゼ」(日本における情勢と日本共産党の任務に関するテーゼ)には、行動スローガンの第一に「帝国主義戦争反対。帝国主義戦争の内乱への転化」を掲げています。

当時の世界共産党(コミンテルン)は、日本共産党員に内乱を起こさせて労働者農民ソビエト政府を樹立させようと策していました。

労働者農民ソビエト政府とやらが実際に樹立できなくても、日本がソ連と戦争をするようになったときに内乱をおこさせれば、後方かく乱になります。

宮本顕治氏は論考「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」(「前衛」1950年5月掲載)で日本革命の平和的発展の可能性と、議会を通じての政権獲得の理論を完全な誤りと断じました。

宮本顕治氏は、レーニンの革命理論に依拠して、武装闘争を理論的に正当化しました。

この論文を、吉良よし子議員、池内さおり議員ら若い日本共産党員の皆さんは御存知ないようです。

私見では、日本の左翼の「平和運動」はレーニン主義の影響を強く受けています。

現在、朝鮮労働党が「朝鮮中央通信」で、日本に対して繰り返し核攻撃を示唆しています。

これを日本の左翼は、全くと言っていいほど批判できない。せいぜい、米国と北朝鮮どっちもどっち論です。米国が行う戦争に日本が巻き込まれる、という話です。

米国が日本への核攻撃を策しているはずがないことはあまりにも明白です。

レーニンの「帝国主義論」や、「革命的祖国敗北主義」に影響されている左翼人士、志位和夫氏ら日本共産党員は、北朝鮮が日本の平和と民主主義を脅かしていることを認められない。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんも、金正恩の核攻撃により日本人と一緒に灰になってしまいうることが理解できていないようです。

日本には三菱東京や三井住友など、メガバンク、金融資本がありますから日本は戦争国家です。この図式が、頭の中に焼き付けられて離れない左翼人士があまりにも多い。

マルクス主義経済学、「帝国主義論」では北朝鮮は戦争を起こさない―途上国は帝国主義に侵略される―


左翼人士や志位和夫氏にとって、金正恩と朝鮮労働党より、「帝国主義大国のブルジョアジー」の代理人である安倍政権こそ、真の戦争勢力です。

北朝鮮は途上国ですから、金融資本がありません。左翼人士にとって、金融資本、帝国主義がが戦争を起こすのです。

マルクス主義経済学では、北朝鮮は米国と安倍政権により侵略される側なのです。

北朝鮮は数万人の労働者をいろいろな企業に所属させ、ロシアや中国、中東の建設事業や林業などで現地企業と契約して働かせています。

労働者たちは、1日16時間程度働かされ、一か月に一日くらいしか休めないそうです。本来受け取るべき賃金の70%くらいを現地の管理者、労働党幹部に取られてしまいます。

残りの30%を自分の食費と家族への送金、さらに現地の労働党幹部への賄賂に使うそうです。

北朝鮮の労働者が朝鮮労働党により搾取されていないのなら、日本のいかなる労働者も搾取されていないとしか私には思えません。

北朝鮮の海外派遣労働者は、北朝鮮の企業に所属しつつロシアや中国、中東の建設現場で重労働をしています。北朝鮮の企業は、外国に進出しているのですから「多国籍企業」のはずです。

マルクス主義経済学では「多国籍企業」の分析が盛んですが、北朝鮮企業の多国籍企業化はなぜ分析されないのでしょうか。

左翼人士は、米日、米韓と北朝鮮が対決することになった場合、北朝鮮が勝利することを望んでいるのかもしれません。革命的祖国敗北主義者ですから。