2020年12月30日水曜日

不破哲三氏は中国共産党を平和勢力とみたーレーニンの帝国主義論を盲信する人々

 最近の日本共産党員には、日本共産党の文献を熱心に読む方は稀有のようです。

不破哲三氏は約二十年間、中国共産党と科学的社会主義の理論交流を行いました。

最近の日本共産党は、中国共産党は共産党の名に値しない、覇権主義だと強く批判しています。

文献を熱心に読んできた日本共産党員なら、不破氏の中国礼賛と、今の志位さんの中国批判の乖離に気づくはずです。

不破氏が中心になって行ってきた科学的社会主義の理論交流について、どなたも話しません。

不破氏が中心になって締結した日中両党合意は今でも生きていることに注目すべきです。

不破氏は、中国共産党が科学的社会主義の党であるとみなし、両党合意を締結したのです。

科学的社会主義の党だというのですから、「覇権主義的誤り」が存在しても、日本共産党にとって中国共産党は大局的には平和勢力です。

山添拓議員ら若い共産党員は昭和57年7月の日本共産党第十六回大会を御存知ないでしょう。

この大会は、覇権主義の誤りがどんなに深刻でも、そのことを理由にしてソ連や中国が社会主義ではなくなったというのは社会主義完全変質論であり極端な誤りだ、と規定しました。


日本共産党の平和理論は、レーニンの帝国主義論を基礎にしています。

レーニンは、帝国主義、金融資本が戦争を起こすと規定しました。

この見地なら、アジアで最大の戦争国家は日本です。

マルクス主義経済学では、メガバンクは金融資本ですから、メガバンクのある日本は戦争国家です。

中国にもアリババやテンセントなど、大企業、金融資本があるではないか、というマルクス主義経済学者がいてもおかしくないのですが、いないようですね。

中国共産党、朝鮮労働党は日米軍事同盟強化、自衛隊の兵器充実を軍国主義復活と強く批判しますから、日本共産党と完全に一致しています。

不破氏は中朝と連帯して日本政府を国際的に包囲しようと考えた

中国共産党、在日本朝鮮人総連合会と交流関係を再開した不破氏は、中朝と連帯して戦争勢力の日本政府を国際的に包囲し、平和の声をあげていこう、という狙いだったのではないでしょうか。

中朝と連帯して反ファシズム国際統一戦線をつくろう、という気分だったのではないでしょうか。

自国民を徹底抑圧し、核軍拡を進める中国共産党と朝鮮労働党が平和勢力に見えている日本共産党。

盲信すると、何も見えなくなる。不破氏ら日本共産党員、マルクス主義経済学者は、いまだにレーニンを盲信している。

不破氏は習近平、金正恩が平和のために貢献していると考えているのでしょう。

「親愛なる指導者」金正日が大韓航空機爆破指令を出した

在日本朝鮮人総連合会は平和勢力だ、と信じている日本共産党員は数知れません。

日本共産党の大山奈々子神奈川県議は、在日本朝鮮人総連合会は平和のために尽力している見ているから、朝鮮学校への無償化適用、補助金増額を主張するのでしょうね。

チュチェ思想を盲信する人間は、首領から指令が出れば民間航空機でも爆破する。テロリストは平和勢力なのでしょうか。

大山奈々子議員にお尋ねしたいものです。





2020年11月30日月曜日

日本共産党職員は規約で事実上、労組結成を禁止されている―レーニンとボリシェヴィキの伝統を受け継ぐ組織原則よりー

 松田史男さんより、twitterで三つの質問を頂きました。

第一点ですが、私のtwitterでの呟きやBlogでの発言は、勤務先とは無関係です。

twitterではこれをprofileに明記しています。

第二点は日本共産党の規約についての私の解釈です。

私はtwitterで繰り返し、日本共産党職員は規約で事実上、労組結成を禁止されていると日本共産党議員や職員、幹部の方々に宛ててつぶやいてきました。

日本共産党職員は残業、休日出勤手当が支給されないと呟いてきました。

本ブログでも何度か論じています。

それでも現在まで、日本共産党議員や職員、幹部の方々から反論は皆無です。

私のこの点での主張は、日本共産党議員や職員、幹部の方々に受け入れられているからだと考えています。

日本共産党は規約の第三条で明記されているように、民主集中制を組織原則としています。

民主集中制の規約は、何が正しく、何が間違っているかを最高指導者と指導部が決定できるという話になっています。

四十数年前、不破氏と田口富久治教授の間で論争がありました。不破氏の主張は、このように要約できるでしょう。

この組織原則を取っているのは、日本では日本共産党と在日本朝鮮人総連合会だけです。

レーニンとボリシェヴィキの伝統を受け継ぐ政党の組織原則です。

この組織原則により、職員が労組を結成して最高指導者と職場の諸問題や、職場の諸問題の原因と考えられうる日本共産党の路線や政策について交渉したら、どうなるでしょうか。

規約の以下を破る行為と解釈されうるのです。

民主主義的中央集権制度では規約を破っているか、いないかは最高指導者と指導部の解釈により決定されます。

以下、上記のように私が考えた規約上の根拠を列挙しておきます。

日本共産党の規約よりー職員が労組を結成するとこれらに違反といわれうる

第三条

(二)行動の統一は、国民にたいする公党としての責任である。

(四)党内に派閥、分派は作らない。

第五条(二)党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為は行わない。

(五)党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。

(八)党の内部問題は党内で解決する。

第十七条 全島の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない。

第四十八条 党員が規約とその精神に反し、党と国民の利益をいちじるしくそこなうときは規律違反として処分される。

第五十六条 中央委員会は、この規約に決められていない問題については、規約の精神にもとづいて、処理することができる。

職員労組の結成が、職員の意見はどうあれ、これらの条項に反しているか否かを決定できるのは最高指導者と指導部です。

第五十六条には、「規約の精神にもとづいて処理」とあります。中央委員会が規約の精神にもとづいて処理しているか否かを、決定するのは中央委員会の指導者と指導部です。

不破さんか志位さん、という事です。小池晃書記局長が決定し、志位さんが追認する場合もありそうですが。

日本共産党、民青同盟職員に対する過酷な査問の史実を見つめよう

要は最高指導者と指導部が、職員や議員のある行為は規約に反しているか否かを決定できます。

日本共産党では、民主集中制の原則に基づき、職員や議員に対して長年そのように対応してきました。

これについては、職員に対する過酷な査問の現場を記した沢山の文献があります。

民青同盟職員だった油井喜夫さんによれば査問では、査問される側が規約を破っていないと証明せねばならないそうです。

昭和47年、新日和見主義者とされた民青同盟職員だった方々は査問をされた際、そのように日本共産党の指導部から要求されたそうです。

油井喜夫「汚名」(毎日新聞社)に査問の現場が詳述されています。

第三点ですが、日本共産党が宮地健一さん相手の裁判で主張したように自分たちは労働基準法の適用を受けない、という論理は暴論の極みと考えます。

これを許容したら、政党や宗教団体、非営利団体は労働基準法を適用されないという話になってしまいます。

暴論を流布する政党、政治家は徹底的に批判されるべきです。

この呟きを松田史男さんは御自分なりに解釈されたのでしょう。簡単ですが、回答します。

松田史男さんには、日本共産党職員、議員の方々から私見に反論が一切ないという事実の重みを、受け止めていただきたいものです。

議員や職員のある行為が日本共産党の規約とその精神に反しているか否かについて、以下の文献は日本共産党指導部が規約をどう適用するかを詳述しており、貴重な文献です。

「原水協で何がおこったか 吉田嘉生が語る」(日中出版)

柳瀬宣久編「鮮烈なる体験 出版の自由と日本共産党」(日中出版)

中里喜昭「昭和末期」みずち書房





2020年9月26日土曜日

レーニン「青年同盟の任務」(レーニン全集第31巻所収、大月書店)より思うースターリンはレーニンの愛弟子ー

志位和夫日本共産党委員長は「青年同盟の任務」を読んだのか  

30数年前の民青同盟は、レーニンの「青年同盟の任務」や「帝国主義論」を読むべき本として推奨していました。  

今の民青同盟はレーニンの本など、無視していそうですね。

この論考には、レーニンの搾取についての考え方がよく出ています。 30数年前の私は全く気づきませんでしたが。

 レーニンによれば、他の人が穀物を持っていないのに農民が自分と自分の家畜に必要である以外の穀物を所有しているなら、その農民は搾取者です。  

余剰穀物を他人に販売して大儲けできるからです。  

搾取の廃止のためには、全ての人が共同の土地、共同の工場で、一つの共同の計算に基づいて、共同の決まりによって働くようにせねばならないそうです。  

これを実現するためには、他人の困窮を種に金儲けをしている農民の反抗を絶滅せねばならないとレーニンは断言しています。 

スターリンとソ連共産党はレーニンの教えを忠実に実行した 

レーニンのこの教えに基づき、スターリンとソ連共産党は農村集団化を断行しました。  

全ての人が共同の土地と工場で、一つの共同の計算に基づいて働くというレーニンの教えに基づき、スターリンとソ連共産党は中央計画経済体制を作りました。  

日本共産党は、スターリンがレーニンの道に背いたと宣伝していますが、志位和夫委員長、小池晃書記局長は「青年同盟の任務」を読まなかったのでしょうか。

レーニンなら、株式会社を禁止するー株式を購入する株主は投機をしているから搾取者

 レーニンの「青年同盟の任務」は、投機を完全に否定しています。

 投機を完全に否定するレーニンの搾取論から考えれば、株式会社が禁止されるのは当たり前です。 

 株主は経営者に利益を可能な限り上げることを要求します。

勿論、経営者がこの要求に応えられる保証はない。 

 経営が行き詰まり、赤字を重ねれば会社は倒産し、株式は無価値となる。 

 株主は株式購入により、企業経営にはつきもののリスクを負担しています。 

 レーニンなら、株主は投機者で搾取をしているという結論づけるでしょう。 

 搾取の廃止のためには、株式会社を禁止せねばならないはずです。 

不破氏が夢見る市場に強い社会主義、とやらで株式会社が広範囲に存在しているのなら、資本主義的搾取制度は存続しています。 

マルクス主義経済学者は「青年同盟の任務」が提起する搾取制度の廃止論について、思考と議論をしない

 マルクス主義経済学者なら誰でも、レーニンの「青年同盟の任務」を御存知でしょう。 

 マルクス主義経済学者なら、レーニンが提起した搾取制度の廃止された社会像について真剣に考えねばならないはずです。 

株式会社を禁止したら、会社はどうやって資金調達をするのでしょうか。協同組合しか存在を許されないのでしょうか。

日本共産党と同党を支援するマルクス主義経済学者は、自分たちが目指す社会での会社の資金調達方法についてすら、思考と議論をしない。

これでは、社会主義日本など夢のまた夢ですね。日本革命などありえない。




2020年9月12日土曜日

宮本顕治氏はスパイ査問事件(昭和8年12月23、24日)について論文でどう語ったかー「スパイ挑発との闘争ー1933年の一記録ー」より

 宮本顕治氏は、上記論文を昭和20年12月に執筆し、「月刊読売」1946年3月号に掲載されました。

「赤旗」昭和50年12月11日に、この論文が再掲載されています。

スパイとレッテルを貼られた小畑達夫さんが、拷問の末査問者に殺されたのか、査問者は拷問など一切していないのに、小畑さんが特異体質だったから急死したのか。

宮本顕治氏と日本共産党は勿論、後者を主張しています。

不破哲三「日本共産党の歴史と綱領を語る」(平成12年新日本出版社刊行、p18)は、二人のスパイのうち一人が調査の途中、急性の心臓死を起こしたと述べています。

この件では、小畑達夫さんがどのように亡くなっていったのかが鍵です。査問者らは、小畑さんがこの世を去っていく現場を目撃していました。

私見では小畑さんの亡くなり方、最期の数分について、査問現場にいた宮本顕治氏と袴田里見氏の間で見解の相違は殆どない。

まずは宮本氏の上記論文から、小畑さんの最期について記した部分を以下、抜粋します。

私と木島は、小畑の手をそれぞれ両腕でかかえ袴田は脚をかかえて、みな小畑の暴れるのをとめようとしていた

「査問が一段おちついたところで、前夜査問にあたっていたわれわれは、こたつにはいってうとうとしていた。

逸見と同志袴田が、両名に補足的な訊問をやっていたようであった。

時刻はひるすぎであっただろう。突如私は深い眠りから急な物音によって呼びさまされた。

見ると、小畑が拘束されていた手足の紐をたちきって、窓際によろうとしているのに、同志袴田と逸見が気がついて小畑にとりつこうとしている。

二人は、大泉の訊問をしていて小畑から少し目をはなしていたらしい。

事態の重大性を直感し、私もとびおきて木島とともに小畑の傍らへよった。

小畑は、大声をあげ、猛然たるいきおいでわれわれの手をふりきって、あばれようとする。

私たちはそれを阻止しようとして、小畑の手足を制約しようとする。

逸見は小畑の大声が外へもれることをふせごうとしてか、小畑が仰向けになっている頭上から、風呂敷のようなものを小畑の顔にかぶせてかけていた。

私と木島は、小畑の手をそれぞれ両腕でかかえ袴田は脚をかかえて、みな小畑の暴れるのをとめようとしていた。

すると、そのうち小畑が騒がなくなったので、逃亡と暴行を断念したのだと思って、私たちは小畑から離れ、事態が混乱におちいらなかったことをほっと一安心した状態であった。

そこへ、秋笹が階下からあがってきて、だまって小畑のおおいをとった。

すると、顔色が変わり、生気をうしなっている」。

宮本顕治氏と袴田里見氏の見解の主な相違点

宮本氏のこの描写と、袴田氏が予審でした話との主な違いは以下の二点です。

第一は、逃げようとした小畑氏の抑え方です。

小畑氏が査問現場から逃げようとしたとき、宮本氏は自分は小畑氏の手を抑えていただけと主張している。小畑氏は仰向けだったと宮本氏は述べている。

予審調書によれば袴田氏は、小畑氏が逃げようとしたので足をつかみ、小畑氏はうつぶせになっていた。

宮本氏が馬乗りになって膝を小畑氏の背に押し付け、右腕をねじ上げたそうです(下記)。

第二は、逸見重雄が倒れた小畑氏の喉を締めたか否かです。宮本氏は、逸見氏が頭上から風呂敷のようなものをかぶせていたと述べています。

袴田氏は小畑氏がオーバーを頭に被せられており、その上から逸見氏が両手で小畑氏の喉を押さえて大声を出せないようにしたと述べています。

小畑氏が最期に大声をあげたことについては、両者は概ね一致しています。

二人の話のうちどちらを信じるかという問題ですが、宮本氏の主張どおりなら査問者は大した圧力を小畑氏にかけていない。

しかし仰向けで脚と手を抑えられているなら、脚で袴田氏を蹴飛ばせそうです。

仰向けで手を抑えられていても振り払うのは難しくない。

宮本氏には柔道の心得がありました。

仰向けになっている人を抑えるなら、縦四方固め、横四方固め、上四方固めなどの技を使うはずです。

よほどの体力差がない限り、仰向けの人を抑え込むためには手と足を抑えているだけでは不十分です。

袴田氏のいうように小畑氏がうつ伏せにされて背中を足で圧され、片手を巻き上げられてさらにもう一つの手と足も抑えられているなら動けないでしょう。

逸見氏が小畑氏の喉を締めたなら窒息しそうです。

想像してみれば、かなり苦しい姿勢と思えます。

小池晃書記局長にyou tubeで、小畑達夫さんの死亡について死体解剖検査記録から説明して頂きたい

小畑氏が窒息死したのか、心臓発作をおこしたのか、私にはわかりません。これは司法解剖の結果の鑑定書から専門家が判断するべきでしょう。

両方かもしれません。

私は袴田氏が、真実を述べていると考えています。

医師の小池晃書記局長が、現代医学の観点から死体解剖検査記録をどう読むか、御自身のyou tubeで解説して頂きたいものです。



血液流動性暗赤色、粘膜、漿膜の溢血点が多い。諸臓器のうっ血とは(上は中田友也医師の「前衛」掲載論考より)

立花隆さんらによってこの事件が論じられていた頃、雑誌「前衛」に中田友也医師が「小畑達夫は外傷性ショック死ではないー死因についての医学的考察ー」という論考を発表しています。

中田医師は、小畑氏の死体解剖検査記録を分析し、特徴的所見として次を指摘しています。

(A)血液流動性暗赤色、粘膜、漿膜の溢血点が多い。諸臓器のうっ血が強い。

(B)肥満、胸腺実質残存、舌根、咽頭の琳巴臚胞の発育、脾臓臚胞、皮下脂肪の発育

(C)肥満、心肥大、脂肪組織の発育良

「(A)があるからといって、窒息死と即断してはならないことです。

この(A)の徴候は急死死体にみられる一般的所見であって決して窒息死だけにみられる特異的なものではないので、窒息死と判断するためにはその手段、方法が明らかになっていなければなりません」(中田論文より抜粋)

私には死体解剖検査記録のこれらの記載がどんなことなのか、よくわかりません。

窒息死の場合には、死体に(A)が見られるのでしょうね。

小畑氏が窒息死した手段、方法は袴田氏の話から明らかだと思えます。

小池晃医師がこの記載では窒息死ではありえない旨、you tubeで説明して下さったら良いのですが。

この記載の状態は、窒息死ではなく心臓発作を起こして亡くなった方の死体によくみられるのでしょうか。

喉を締められ、胸部を圧迫されて窒息状態になり、心臓発作を起こすことはありえないのでしょうか。

インターネットに「法病理学講義ノート」(青木康博先生。名古屋市立大学大学院医学研究科法医学分野)が出ていました。

青木先生作成のファイル(第10章 窒息)によれば、窒息死の所見(急性死の3徴)は、以下です。急性死一般にみられる所見だそうです。

(その1)諸臓器のうっ血(その2)溢血点(その3)暗赤色流動性血液

青木先生はこれらが急性窒息の際に、著明に出ると記されています。小畑達夫氏の死体解剖記録にも、同様の記述があるようです。

急性心臓死でもこれらが出るのかもしれません。

袴田里見氏の第十二回訊問調書より(平野謙「『リンチ共産党事件』の思い出」三一書房昭和51年刊行に、資料として掲載。現代語に書き換えました)

査問現場から小畑氏が逃亡しようとしていることにに気づいた袴田氏は次のように行動しました。

「そこで私は、これは大変だと思って抱きしめるようにして矢庭に組み付き、座敷の中へ引き戻そうとすると手足の自由になった小畑は、私に自分から組み付いてくると同時にウォーというような大声を張り上げました。

そこで私も、殆ど夢中で同人を引き戻し略図のDの所へ一緒に倒れたのであります。

そのとき私はあおむけに、小畑はうつぶせして倒れたのでありますが、倒れた小畑の頭の傍らに逸見が座っており、またこの騒ぎに寝ていた宮本、木島の両名が起き上がってきました。

その瞬間、小畑が起き上がろうとしたので木島はその両手で小畑の両足をつかんでうつぶせに倒し、宮本はその片手で小畑の右腕をつかんで後ろへねじ上げ、その片膝を小畑の背中にかけて組み敷きました。

逸見は前から座っていた位置に倒れた拍子に小畑の頭がいったので、その頭越しに、すなわち小畑の頭にかぶせてあったオーバーの上から両手で小畑の喉を押さえて小畑が絶えず大声を張り上げてわめくので、その声を出させないためにその喉をしめました」

なお、小畑氏、大泉兼蔵氏を査問したのは以下の五人です。

宮本顕治(当時、党中央委員)

逸見重雄(当時、党中央委員。戦後は法政大学教授。仏領インドシナ、ベトナムの研究者)

秋笹正之輔(当時、党中央委員候補。後に獄中で病死)

袴田里見(当時、党中央委員候補)

木島隆明(当時、党東京市委員長)

袴田氏、秋笹氏は査問の二日目に宮本氏、逸見氏により中央委員に昇格されたそうです。

大泉兼蔵氏がスパイだったことは明らかですが、当時、中央委員を務めていました。

亀山幸三「代々木は歴史を偽造する」(昭和51年経済往来社刊行)より。




2020年9月8日火曜日

北朝鮮の美人女優、ウ・インヒの公開処刑より思う―有田芳生参議院議員はこの事件を御存知でしょうかー


 「夫と二人の娘の前で公開処刑された世紀の美女、ウ・インヒの事件」(チュ・ソンハ東亜日報記者のコラム)。

チュ・ソンハ記者によればウ・インヒが数千人の前で公開処刑されたのは、1980年2月です。

この事件について語る脱北者は少なくありません。

私は申相玉・崔銀姫著「闇からのこだま」(文春文庫)でこの事件を知りました。上の写真はこの本に出ています。

ウ・インヒは、1970年代の北朝鮮では最高の美人女優だったそうです。

この時期の日本で著名女優と言えば島田陽子、秋吉久美子、が思い浮かびますが、皆さんはどうでしょうか。

小柳ルミ子、故テレサ・テンはこの世代の著名歌手です。

著名女優が公開処刑されたのですから、北朝鮮の住民に与えた衝撃は大きかったでしょう。

なぜ処刑されたかです。概ね、次のように脱北者らは語ります。

ウ・インヒは朝鮮中央放送の技術者だった帰国者(元在日朝鮮人)と不倫関係になりました。

この男性の自家用車内で二人は性関係を楽しんでいたそうですが、ガス中毒になり男性は死亡しました。

生き残ったウ・インヒは不倫関係が知られてしまいました。

ウ・インヒは他の男性との不倫関係も話すよう、強要されました。

多くの脱北者が言うには、彼女と不倫関係になった男性の中に親愛なる指導者同志、金正日がいたらしいのです。

ウ・インヒはそれを漏らしそうになったので、処刑されたという噂が流れたようです。あり得る話ですが確認しようがありません。

公開処刑場で読み上げられた罪名は、「長年、多くの男性と不倫関係になり、沢山の家庭を破たんさせたので反党反革命罪で死刑に処す」というものでした。

ウ・インヒは群衆と夫、二人の娘の前で口にタオルをかまされたままでした。

7人の軍人がAK47銃で各自20発ずつ発射し、彼女は絶命しました。

この場にいた数千人のうち数名が韓国に来ています。

カン・チョルファンさんが以前書いたコラムによれば、舞踊家だった申英姫さんと、自然科学院の扇動部記者だった金ギルソンさんが処刑の場にいたそうです。

ところで、チュ・ソンハ記者は少し前にyou tubeでこの事件について説明し、ウ・インヒの写真が見つからない、と話していました。

彼女の写真は申相玉監督の前掲著に出ていますので、私はチュ・ソンハ記者にインターネットから送りました。

以下で、チュ・ソンハ記者がこの事件と写真入手の経緯について説明しています。https://www.youtube.com/watch?v=XTlxWimQuR4 

女優を公開処刑する北朝鮮との国交樹立を主張する政治家、言論人に問う

未だに北朝鮮との国交樹立を主張する政治家や言論人がいますが、その方々はこの事件を御存知なのでしょうか。

北朝鮮では何かの件で、「最高尊厳」の権威を傷つけると判断されたら著名女優でも処刑されてしまう。

従って日本人や在日韓国・朝鮮人が北朝鮮に入国し、何かの件で「最高尊厳」とやらの権威を傷つけたと判断されたら収容所連行または処刑されうるのです。

米国人も同様です。

北朝鮮との国交樹立を叫ぶ政治家、言論人は北朝鮮に入国し最高尊厳の権威を傷つけたら処刑か収容所行ですよ、と支援者、日本国民に説明すべきではないでしょうか。

北朝鮮側と国交樹立交渉をする外交官が、何かの理由で最高尊厳を冒涜したとレッテルを貼られたら生命が危ない。

金正恩は金正日の長男、金正男さんの殺害指令を出しています。

在日本朝鮮人総連合会の運動に長年参加している方なら、ウ・インヒと不倫関係になったと言われている男性のお父さんを御存知でしょう。

朱慶ソク、という商工人だそうです。

テレサ・テンの大ファンで知られる有田芳生議員は、ウ・インヒの公開処刑事件について御存知なのでしょうか。

御存知なら、どうお考えなのでしょうか。朝鮮労働党は女優、市民を処刑すべきでないと思いませんか。

私は有田芳生議員が昔編集した「日本共産党への手紙」に感銘しました。もう30年くらい前です。



2020年9月6日日曜日

日本共産党が職員に残業・休日出勤手当を支給しないのは労働法に反していないのか―左翼法学者、弁護士に問うー

 日本共産党職員は、日本共産党と有償委任契約の関係にあるので残業・休日出勤手当は支給されていません。

この件は、愛知県の宮地健一さんが日本共産党を相手にして行った裁判で明らかになりました。宮地さんのHPに詳しい説明があります。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/saiban8.htm

有償委任契約とは―インターネットで少し調べました

有償委任契約とは、ある業務を有償で委任する契約です。

例えば、ある会社が新入社員教育を専門の業者に依頼したら、有償委任契約になります。

当たり前ですが依頼した会社は、この業者に対し指揮命令権や人事決定権はありません。

委任した業務がうまくいかなかったとしても、経営陣交代を要求できない。

日本共産党指導部は職員の人事配置を決定し、指揮命令を連日出している

しかし日本共産党の場合、指導部は職員の人事配置を決定できます。

赤旗記者だった萩原遼さんによれば、人事異動について理由は教えてもらえないそうです。

萩原遼さんは赤旗とは別の部署への異動を命じられましたが、理由は不開示でした。

業務を委託する側が受任者に対して、人事配置や指揮命令を出しているなら、労働法を遵守する義務が生じるのではないでしょうか。

日本共産党は職員に、残業、休日出勤手当に相当する賃金の未払いがあると解釈できないのでしょうか。

私見では日本共産党は職員に残業、休日出勤手当を支払ったことはほとんどない。

松崎いたるさんによれば、日本共産党中央では宿直手当が出るそうです。

日本共産党を支援する左翼法学者、弁護士は日本共産党職員に残業、休日出勤手当が支給されていないことを熟知しています。

日本共産党職員は、規約で事実上、労組結成を禁止されています。

労組を結成して労働条件について志位さんと交渉しようとしたら、派閥の結成とみなされ、査問、解雇でしょう。

左翼法学者は日本共産党との良好な関係維持を重視する

左翼法学者、弁護士がこの件について沈黙するのは、日本共産党と良好な関係を維持するためでしょう。

福山和人さん、渡辺輝人さんは弁護士として、労働者に残業、休日出勤手当を支給しない企業や法人の経営者に憤りを持たれるかと存じます。

御二人は日本共産党職員は、日本共産党と有償委任契約の関係にあるから、残業・休日出勤手当は支給されなくて当然とお考えなのでしょうか。

インターネットで少し調べると、業務を委託する側が受任者に対して指揮命令を出しているなら、労働法を遵守する義務が生じると出ています。

日本共産党は職員に巨額の未払い賃金があるのでは―国会でも議論すべきだ

日本共産党は職員に、残業、休日出勤手当に相当する賃金の未払いがあるという解釈が成立するように思えます。

このあたりを、福山和人さん、渡辺輝人さんは弁護士としてどうお考えなのでしょうね。

民主主義を守る法律家、とは日本共産党に盲従する方々なのでしょうか。

民主主義を守る歴史学者、にはそんな方が多いように感じています。

勿論、福山和人さん、渡辺輝人さんはそんな方ではないと思っています。

国会で、日本共産党職員の法的地位と、残業・休日出勤手当支給の必要、不必要について議論すべきではないでしょうか。

松崎いたるさんなら、御自身の経験を国会で話して下さるでしょう。



2020年9月1日火曜日

白井聡氏(京都精華大学)の松任谷由実さんは「醜態をさらすより、早く死んだ方がいいと思いますよ」より思う

 「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」

(白井聡氏の8月29日Facebookより。9月1日にFacebook上で白井氏は謝罪)。

松任谷由実さんに対する上記の発言は、安倍総理の辞任表明に対し、松任谷さんがテレビで会見を見ていて泣いた旨、発言したことによると考えられます。

白井聡氏のこの発言について、橋下徹さんがtwitterで早くから問題視し、インターネットで沢山の方々が論じています。

赤の他人に対して早く死んだ方がいい、は批判とは言い難い。

批判と誹謗中傷をどんな基準で区別するのかは難しい問題ですが、私にはこれは誹謗中傷と思えます。

社会通念上、赤の他人に対して早く死んだ方がいい、と発言するのは誹謗中傷ではないでしょうか。

レーニン主義者は安倍内閣の支援者を「低能」「腐り果てている」「吸血鬼」とみなす

白井聡氏はレーニン主義の立場から科学的社会主義の政治学を研究する方として著名です。

レーニン主義の白井聡氏が、松任谷由実さんを「人民の敵」「富農」または「低能」「腐り果てている」と認識していると考えるとわかりやすい。

白井聡氏の言論活動について私は、twitterや本ブログで疑問を提起してきました。

本ブログでは6月に、白井聡氏のある芸能人に対するクソ野郎論について論じています。

去る8月29日にも白井聡氏はtwitterで、「何で森友が大事なの?もっと大事なことがあるだろう!」という方の問いかけに対し次のように答えています。

「もっと大事なこと?たくさんあるよ。例えば、あんたのような低能がこの国にウジャウジャいること、とか」。

これらから考えると、白井聡氏は安倍内閣を支持する方々を「低能」「腐り果てている」とみなすと考えられます。

ロシア革命の頃レーニンは、農民を富農、中農、貧農と区分し、富農は労働者階級の権力、ボリシェヴィキの敵と規定しました。

レーニンによれば富農は血を吸う者、吸血鬼、人民の略奪者、飢えでもうける投機者だそうです(「労働者の同志諸君!最後の決戦に進もう!」レーニン全集第28巻所収、大月書店)。

富農を容赦なく抑圧しすることこそ、労働者階級の綱領だそうです。

白井聡氏の松任谷由実さんは「早く死んだ方がいい」論は、レーニン主義の見地から科学的社会主義の政治学を探求する方なら当然、導かれる結論といえそうです。

レーニン主義者には松任谷由実さんが「富農」「吸血鬼」のように把握されるのでしょうから。

労働者階級により容赦なく抑圧されるべき存在、という話です。

白井聡氏は上田耕一郎氏の「先進国革命の理論」を読むべきだ

勿論、科学的社会主義の政治学者なら必ず松任谷由実さんは「早く死んだ方がいい」と発言するわけではない。

レーニン主義者でなく、アントニオ・グラムシの研究をしている方ならこんな発言はしないでしょう。

イタリアの共産主義者、アントニオ・グラムシは発達した資本主義国の革命は陣地戦である、と論じました。

グラムシによれば、ロシアのように字を読めない農民が人口の圧倒的多数を占める国では、レーニンが実行した機動戦、少数者による武力革命は有効でした。

しかし人口の多数が知識と教養を備えている西欧では、支配階級はイデオロギー宣伝により労働者の同意を得て支配している。

選挙で、資本家階級の利益を代表する政治家が労働者に支持されて当選し、権力の座についている。

労働者が資本家に支配されることに同意しているのだから、これを地道な宣伝と思想闘争により打開せねば、革命などできない。

故上田耕一郎氏は「先進国革命の理論」(大月書店刊行)、「現代日本の社会主義への道」(新日本出版社)などでグラムシを引用しつつ概ねこのように論じました。

白井聡氏が先進国革命を志しているなら、安倍自民党を支持している庶民を罵倒したら庶民から嫌がられ、革命運動を後退させることに気づきそうなものです。

白井聡氏は、昔の日本共産党幹部による革命理論の本など全く読まないのかもしれませんね。

日本共産党を支援する知識人なら、昔の日本共産党幹部の著作を読むぐらいの知的営みをすべきではないでしょうか。




2020年8月23日日曜日

林直道教授の「経済学下 帝国主義の理論」(新日本新書、昭和45年初版)のソ連礼賛より思う。

 「社会主義ソ連では、資本主義諸国とは反対に、政治、経済の安定はいっそう強化されました。

1921年から実施された新経済政策(ネップ)の成果を基礎として、1925-29年の社会主義工業化がすすめられました。

また、1928年からはじまる最初の国民経済発展五か年計画は、四年間で期限前に遂行されました。

社会主義の工業基盤が創出され、ソ連は農・工業国から、すすんだ工・農業国に転化しました」(同書p227より抜粋)。

林直道教授(大阪市立大名誉教授)は、マルクス主義経済学者として著名な方です。

上記は、階級としての富農の粛清、大量の政治犯による囚人労働が断行されたスターリンの時期のソ連の現実とかけはなれています。

ソ連礼賛です。1932年頃、ウクライナで人工的な大量餓死が起きました。

私はまだ観ていないのですが、これを扱った映画が今、上映されているそうです。

日本共産党新宿地区の中野顕さんはこの映画を観たそうですが、この時期のソ連を礼賛した林直道教授のこの本についてどうお考えなのでしょうか。

勿論、昔のソ連を礼賛したのは林直道教授だけではありません。

私は早大の学生だった頃に、林直道教授のこの本を一生懸命読みました。

この本を読んで私は、ソ連は相当な経済発展を遂げたのだな、と思い込んでしまいました。実に浅薄でした。

故野村タチアーナ先生はソ連には他の発展の道があった、と断言

私が社会主義経済にかなりの問題がある事を認識したのは、四年生ぐらいになってからです。

私はソ連社会の実態を暴露するルポルタージュや、ハンガリーの経済学者コルナイ・ヤーノッシュの「不足の経済学」を読みました。

少しだけ、思い出話をします。

ロシア語の野村タチアーナ先生から「ロシア革命は必要なかった。当時、他の発展の道はあったのです。私はそれを確信している」というお話を講義中に伺ってびっくりしました。

野村タチアーナ先生はモルダビア出身で、ロシア語の他にルーマニア語も使う方でした。フランス語もまあまあわかる、と伺いました。ルーマニア語とフランス語は近いですから。

当時、早大の語学研究所にはロシア人の先生は三人いらっしゃいました。野村先生の他に、石井ナターシャ先生、今井イリーナ先生です。

石井ナターシャ先生のお姿は、早大を卒業して十数年後、悲しいニュースでお見かけしました。

聴濤宏氏の「21世紀と社会主義」(新日本出版社、昭和59年刊行)にも社会主義経済の問題点が指摘されていました。

鶴田俊正先生(専修大)の講義で、韓国は素晴らしい経済発展を遂げていると伺い、驚きました。「経済学研究」という講義だったかと思います。

マルクス主義経済学者、日本共産党員と在日本朝鮮人総連合会に共通する思考方式

マルクス主義経済学の見地からは、レーニンの継承者であるスターリンによりソ連は素晴らしい経済発展を遂げていったという結論になります。

フルシチョフによるスターリン批判は1956年(昭和31年)です。

林直道教授が「経済学下」を執筆なさっている頃には、多少文献を調べればスターリンによる凄惨な人権抑圧、大量殺戮はすぐにわかったはずです。

ボリシェヴィキの大幹部が、スターリンにより次から次へと処刑されていったことはわかっていました。公開裁判でしたから。

メドヴェージェフの「共産主義とは何か」という本も出ていました。

まさかと思いますが、林直道教授はソ連の実態を全く調べないでこの本を書いたのではないでしょうか。

何も調べなければ何もわからないはずですが。

林直道教授は、ボリシェヴィキ屈指の理論家だったブハーリンの処刑をどうお考えだったのでしょうか。

マルクス主義経済学者の著作には、時折共産党の宣伝文句が含まれています。

マルクス主義経済学者は共産党を深く信頼しているので、宣伝文句まで信じてしまうのでしょうね。

マルクス主義経済学者、日本共産党員には今でも金日成、金正日を信奉している在日本朝鮮人総連合会の皆さんと思考方式が似ています。

最高指導者に対する盲信です。

マルクス主義経済学は習近平、金正恩が平和のために貢献する政治家とみなす

「経済学下」(p162 )によれば、独占利潤の獲得こそ独占資本主義の基本的経済法則です。

帝国主義の対外侵略はこの基本的経済法則に基づく必然的な現象だそうです。

この見地だと、社会主義ソ連や中国には「独占資本」が存在しませんから、対外侵略をする経済的基盤がないという結論が出ます。

従って社会主義ソ連や中国、北朝鮮は本質的に平和勢力です。

独占資本が存在する米国と日本、安倍内閣こそアジアにおける最大の戦争勢力です。

レーニンの帝国主義論の見地で世界を見れば、安倍内閣は戦争勢力、安倍内閣の軍拡を批判する習近平、金正恩は大局的には平和勢力、平和のために戦う政治家です。

最近の日本共産党は中国共産党による香港での人権抑圧を厳しく批判しますが、中国共産党が戦争国家だという主張は一切しません。

日本共産党と日本共産党を支援する知識人、運動家、マルクス主義経済学者はレーニンの帝国主義論を深く信奉しているのでしょう。

独占資本が侵略戦争を起こす、というレーニンの主張には実証性がない。

日露戦争は日本とロシアの企業、「独占資本」や財閥が起こしたのでしょうか。1904年の日本に「独占資本」があったでしょうか。

レーニンはロシア企業の動向と、帝政ロシアの開戦決定の関係など全く分析していません。

林直道教授の上記著作にも、大日本帝国の開戦決定と当時の企業、財閥の動向の関係の分析はありません。

マルクス主義歴史学者の著作にも、大日本帝国の開戦決定に財閥が及ぼした影響を調べたものを私は見たことがありません。

財閥は大日本帝国の開戦決定に何の関係もなかったとしか、私には思えません。

山本薩夫監督の映画「戦争の人間」では、満州国で大金儲けをする財閥の経営者が描かれていました。芦田伸介が演じていたかと思います。

マルクス主義経済学者は、映画「戦争の人間」などの影響で財閥が満州事変を起こした、と信じているのかもしれませんね。

自衛隊解散、日米安保廃棄なら金正恩は日本に核ミサイル攻撃をする

独裁者は、戦争によって得られるだろう予想利益(予想効用)と、失うであろう予想費用を比較し前者が後者より大きければ開戦する。

米国の経済学者Herschel I. Grossmanは、概ねこのように説いています。

Ronald Findlayという経済学者にもそんな論文があります。

Findlayは資源を獲得する手段として、財の生産の他に収奪という方法があることを理論モデル化すべきと主張しました。

単純ですが、こちらの方が一般性があります。

日本が自衛隊を解散、日米安保を廃棄して国防力を皆無にしたら、金正恩は、迷わず日本に核ミサイル攻撃をするでしょう。

「民族の英雄」になれますから。金正恩が日本への核ミサイル攻撃によって得られるだろう効用(満足度)は限りなく大きい。

核ミサイル攻撃により予想される費用はさほどない。他国に少し批判される程度です。

不破氏の言葉を借りれば、マルクス主義経済学は「歴史の試験」に失格しましたね。

石川康宏教授(神戸女学院大)は、林直道教授の「経済学 下」をどうお考えなのでしょうか。機会があれば、見解をお尋ねしたいものです。

自分の若い時代を思い起こすと、教員の著作や講義が学生に与える影響は決して小さくない、と思うこの頃です。

2020年8月19日水曜日

日本共産党第十六回大会決定が誤りと規定した「社会主義完全変質論」より思う(不破哲三「社会主義入門」新日本出版社刊行が詳述)

 「大国主義の誤りとその結果がどんなに深刻で重大なものであっても、そのことを理由に、その国家や社会が社会主義でなくなったとするのは、『無謬論』を裏返しにした、もう一つの極端な誤りです」

(不破哲三「社会主義入門『空想から科学へ』百年」(昭和58年新日本出版社刊行、p333より抜粋)。

第十六回大会は昭和57年7月に開催されました。この頃を覚えている日本共産党員は、50代半ば以上でしょう。

早稲田大学の学生だった私は概ねこの頃、不破哲三氏のこの本や、聴濤弘氏の「21世紀と社会主義」(昭和59年新日本出版社刊行)を熱心に読みました。

聴濤弘氏の「21世紀と社会主義」第六章でも、第十六回大会決定の上記の記述が紹介されています。

社会主義完全変質論、は誤りだそうです。

半年くらい前に行われた日本共産党の第二十八回大会決定によれば、中国は覇権主義だから、社会主義を目指していないそうです。

志位和夫委員長はこの間、香港での人権抑圧により中国共産党は共産党の名に値しないと批判しています。

私見ではこれらは、日本共産党第十六回大会決定が厳しく批判した「社会主義完全変質論」です。

志位氏と第二十八回大会決定は、大国主義、覇権主義が深刻だから中国は社会主義ではなくなった、と結論づけているのですから。

不破哲三氏が堅持した第十六回大会決定の見地-大国主義、覇権主義でも社会主義-

不破哲三氏は22年ほど前に、中国共産党と関係を再開し、科学的社会主義の理論交流を活発に行ってきました。

中国共産党は天安門事件での大弾圧を一貫して正当化しています。

人民解放軍による赤旗記者射殺について、不破氏は中国共産党に謝罪と償いを求めませんでした。

中国共産党の覇権主義、大国主義と人権抑圧は建国以来継続しています。朝鮮戦争とほぼ同時期に、人民解放軍はチベットに侵攻し僧侶を虐殺しています。

これが封建制に苦しむ奴隷解放、民主的改革であると中国共産党は宣伝しています。

私見では中国共産党の蛮行史を百も承知の不破氏が、中国共産党との関係を再開したのは、第十六回大会決定の見地からです。

大国主義、覇権主義でも社会主義だという話です。

不破氏の「社会主義入門」(p334)によれば、社会主義には復元力が作用するそうです。

中国社会主義が復元力を発揮し、覇権主義、大国主義を是正しつつあるという判断で、不破氏は科学的社会主義の理論交流を主導したのです。

志位氏が中国共産党との合意を破棄しないのは、社会主義には復元力が作用する、という第十六回大会の見地でしょう。

それなら今のロシアや北朝鮮にも、社会主義の復元力とやらが作用しそうに思えてしまいますが。

第十六回大会決定と日本共産党職員、同党を支援する知識人、運動家の処世術

聴濤弘氏、松竹伸幸氏は日本共産党第十六回大会決定をどうお考えなのでしょうね。聴濤弘氏は昔の著作にあるように社会主義完全変質論は極端な誤りだ、とお考えなのでしょうか。

志位委員長をはじめとする今の日本共産党は、第十六回大会が強く批判した社会主義完全変質論を採用しています。

第十六回大会決定を覚えている日本共産党職員、議員など殆どいないのでしょうね。

覚えていても、日本共産党職員、議員は不破氏、志位氏への批判につながるような話は一切しない。

これが日本共産党職員、同党を支援する知識人、運動家として生きていくために必要な処世術なのでしょう。以下は不破氏の「社会主義入門」p331です。


2020年8月17日月曜日

日本共産党と歴史修正主義ー「51年綱領」と第七回大会中央委員会の政治報告より思う(「日本共産党の50年問題について」新日本出版社刊行に掲載)

 「五全協で『日本共産党の当面の要求―新綱領』が採択され発表された。

これは、日本がアメリカ帝国主義の支配のもとに従属していること、その支柱としての日本独占資本の売国的役割を明らかにした。...(途中略)

この綱領には若干の重要な問題についてあやまりをふくんでいたが、しかし、多くの人々に感銘をあたえ、かれらのたたかいを鼓舞し、激励した」(同書p26より抜粋)。

日本共産党の51年綱領(新綱領)とは、昭和26年10月に開かれた第五回全国協議会で採択され発表された綱領です。

この綱領は、日本の解放と民主的変革を、平和の手段によって達成しうると考えるのは間違いである、と明記していました(同書p320より)。

この綱領に基づき、当時の日本共産党員は武装闘争を断行しました。

第七回大会の中央委員会政治報告にあるように、当時の日本共産党員に感銘をあたえ、かれらのたたかいを鼓舞し、激励したのです。

今の日本共産党は、51年綱領は分裂した一方の側の文書であり、日本共産党の正式の文書ではないと宣伝していますが、これは第七回大会決定と異なっています。

昭和33年7月23日の第七回大会中央委員会政治報告は、51年綱領の問題点を指摘しつつも、綱領として高く評価しています。

51年綱領をその時代の日本共産党員は綱領と認識し、感銘していたのですから正式の綱領です。

51年綱領に示されている全ての規定は完全に正しい―第六回全国協議会決定より

第七回大会の前、昭和30年7月28日付の第六回全国協議会決定は、冒頭で次のように述べています。

新しい綱領が採用されてからのちに起こったいろいろのできごとと党の経験は、綱領に示されているすべての規定が、完全に正しい事を実際に証明している。

第六回全国協議会、第七回大会共に主導したのは宮本顕治氏です。第六回全国協議会決定は51年綱領の暴力革命論が正しい、と明言しています。

51年綱領が日本共産党の正式の綱領だった事を認めると、武装闘争も日本共産党の綱領と決定により断行されたことになり、今の日本共産党には都合が悪い。

だから51年綱領は正式の綱領ではない事にしよう、という話ですね。歴史修正主義者とは日本共産党にふさわしい言葉です。

第七回大会の中央委員会報告や第六回全国協議会決定を「日本共産党の50年問題について」という本に掲載されています。

殆どの若い日本共産党員はこんな本を知らないでしょう。50年問題、と言う言葉すら知らないかもしれませんね。

日本共産党の昔の文献を読んで日本共産党の歴史を考える、と言う当たり前の事ができない方が多い。

池内さおりさんら若い日本共産党員のツイッターを見ているとそう感じます。


2020年8月15日土曜日

中国共産党は社会植民地主義(「大国主義的干渉者の新たな破たん 『社会主義』を看板にした植民地主義』昭和47年4月5日「赤旗」)より思う

 「社会主義を看板にして他党支配、他国人民支配をねらう毛沢東一派の大国主義的野望は、新植民地主義の一種であり、さしずめ『社会植民地主義』とでもよばなければならないものである」(同論文より抜粋。日本共産党重要論文集8 日本共産党中央委員会出版局発行、p150より)。

この間、雑務に追われてブログを更新できませんでした。twitterではいろいろ書いていましたが、長い文章を書く時間がなかなか取れませんでした。

かもがわ出版より「中国は社会主義か」という本が出ています。

この本には、日本共産党元参議院議員の聴濤弘氏が「資本主義・社会主義・大国主義―今日の中国の諸問題によせて」と題して寄稿なさっています。

かもがわ出版にお勤めの松竹伸幸氏(日本共産党中央委員会で政策委員会に勤務していた方)は御自身のブログで、中国共産党と日本共産党の関係について何度か論じられています。

聴濤弘氏、松竹伸幸氏に一つ、お尋ねしたい。

上記の文献で日本共産党が中国共産党を「新植民地主義」「社会植民地主義」と規定していたことを、なぜ聴濤弘氏、松竹伸幸氏は指摘しなかったのでしょうか。

勝手な推測ですが、中国共産党が他国の人民支配を狙う集団であるという認識が広まると、中国共産党が軍事的脅威であるという話になってしまう。

そこでこの文献については内緒にしておこう論でしょうか。

聴濤弘氏、松竹伸幸氏がこの文献を知らないとは到底考えられない。

自衛隊解散、日米安保廃棄を目指す日本共産党としては、中国脅威論そのものの主張をかつてしたことが党員や支援者に広まるとまずいでしょうね。

近年の日本共産党は、宮本顕治氏が主導した時期の論考や大会決定を内緒にする傾向があります。

第八回大会決定での「敵の出方論」はその一例です。

歴史修正主義という語は日本共産党にこそふさわしい、と私は考えています。


2020年6月8日月曜日

真の共産主義者とは何か〜不破哲三氏による路線転換によせて(平成14年5月執筆より)

左翼の狙いは北朝鮮に大金を渡すことだ


以下は平成25年3月頃ブログに掲載した文章の再掲載です。下の方に、長い不破哲三氏批判があります。これは18年ほど前に書いたものです。

基本的な主張は今と同じです。不破哲三氏が北朝鮮問題だけでなく、様々な路線転換を進めていることは、「さざなみ通信」というHPなどでも指摘されていました。

最近、松竹伸幸さんも御自身のブログで日本人拉致問題での不破氏による路線転換について言及しています。

下記で18年前の私は、共産主義者とはそもそもどんな人物のことなのかを論じています。

共産主義者とは、共産主義国とその首領への礼賛、服従運動を進める方々であるとしか、私には思えません。不破氏の生きざまはそうでした。

左翼知識人、左翼運動家の方々には、左翼であるなら共産主義国の核軍拡を支援すべきなのか、真剣に考えて頂きたいものです。

横田滋さんに訪朝を勧めた左翼知識人、運動家は日朝国交樹立により、金正日に何としても核軍拡資金を献上したかったのでしょうね。

韓国左翼にも、そんな方々が多いようです。金正恩、金輿正の言いなりですから。

今の日本共産党は、韓国左翼との連帯、共闘を追求していますから、北朝鮮の人権問題を取り上げて論じる事などできるはずがありません、

平成25年3月の本ブログより


以下、旧HPに平成14年5月に掲載したものを抜粋して再掲します。この文章を書いたおよそ四ヶ月後に、金正日が小泉首相(当時)との会談で日本人拉致を認めました。

この文章を書いた頃、左翼勢力は「日本人拉致など、証拠がないから曖昧なものでしかない。日本が北朝鮮に対してまずやるべきことは国交の樹立と真の謝罪だ」と必死で宣伝していました。

左翼勢力の真の狙いは、「真の謝罪」と称して日本政府が北朝鮮に大金を支払い、北朝鮮の核軍拡を支援し、大韓民国を核で脅迫して滅亡させることです。

これは昔も今も一切変化していません。

左翼は北朝鮮に軍拡資金をわたすために国交樹立を主張するのであり、北朝鮮が日本に拉致を謝罪して大金を払え、とは口が裂けても言いません。

左翼の中には、指導部の真の狙いを理解せずに駅前でのビラ配布などの宣伝をしているだけの人もいます。

日本共産党の職員は、薄給で指導部に都合良く酷使されているだけです。

日本共産党で働く労働者、共産党職員には、労働法で保証されている団結権や交渉権は一切認められていません。ですから共産党の職員が、雇用者たる指導部に労働条件の改善を要求することは極めて困難です。

何も知らずに駅前でビラを配布している共産党職員も客観的には、朝鮮労働党の南朝鮮革命(大韓民国の滅亡)、あるいは中国に日本を隷属させることに協力しているのです。

中国の最高指導部は本気で、日本を隷属させようとしています。「沖縄は本来、中国の領土だ」と大真面目に考えています。中国にとっては、朝鮮半島も本来は中国の領土であり、中国に隷属して当然の地域です。

漢の武帝は紀元前108年、衛氏朝鮮を滅ぼして、現在の平壌付近に楽浪郡を設置しました。中国人の価値観ではこれだけで、朝鮮半島の領有、隷属を主張しうるものなのです。

左翼は日本が共産主義国である中国に隷属することを「社会進歩」「歴史の法則的発展」とみなします。

「社会進歩」のためには、米軍と自衛隊が最大の邪魔者ですから「米軍基地をなくせ」「自衛隊反対」「日米合同演習を中止せよ」などと左翼は宣伝するのです。

左翼とは何か、という問題について、もっと多くの方々が真剣に考えて下さることを願っています。
 

真の共産主義者とは何か~不破哲三氏による路線転換によせて

国際政治の冷徹な現実から見た日本共産党


不破哲三氏が、様々な点で日本共産党の「路線転換」を進めている。この「路線転換」は、様々な揺れはあるが、基本的には共産主義国である中国と北朝鮮を支援するための策動だ。


中国と北朝鮮に対し、「戦争犯罪について謝罪と償い」「植民地支配の清算」などと称して巨額の資金を渡せば、さらな大軍拡に使われるだけだ。


中国と北朝鮮がアジアにおいて圧倒的な軍事的優位を確保し、中国については台湾併合、北朝鮮については「朝鮮革命」すなわち大韓民国を滅ぼすことを側面から支えることが、現代の共産主義者の歴史的使命で あると不破氏は認識しているのだろう。


そもそも日本共産党は、ソ連を「労働者の祖国」と宣伝し、日本に「革命的情勢」をつくってソ連軍を「プロレタリア国際主義」などと称して迎え入れ、日本に共産主義政権、別言すれば強制労働収容所と共産党幹部による特権享受制度を確立するために「戦前から不屈のたたかい」を行ってきた政党である。

ソ連邦が崩壊した今日、日本共産党にとって迎え入れるべきはソ連軍ではなく中国人民軍や朝鮮人民軍なのだ。

「日本共産党は戦前から国民主権の世の中をつくるためにたたかってきた」などという宣伝は、全くの捏造でしかない。

日本共産党はレーニン、スターリンとソ連共産党を盲信してきたのだから、スターリン型の体制、すなわち典型的な共産主義体制を建設するために「不屈のたたかい」を行ってきただけだ。

旧ソ連では一般国民には参政権などまったくなかったのに、そんな体制をめざしてきた集団が「国民主権のためにたたかった」とは捏造の極みだ。

日本共産党は日米安保廃棄、自衛隊解散すなわち日本国家が一切の軍事力を保持しないようになれば「日本の平和と民主主義が守られる」と大宣伝しているが、そうなれば凶暴なことこのうえない朝鮮人民軍が直ちに来襲し、銀行やスーパーマーケットを手当たり次第に襲うだろう。


中国人民軍は直ちに尖閣諸島を占領し中国人民軍の基地を建設するだろう。


朝鮮労働党は「朝鮮革命」「主体革命偉業」などと称して、大韓民国を滅ぼし朝鮮半島全体に人々が金父子を礼賛せざるをえない体制を広 げようとしている。


日本共産党は共産主義者の団体であるから、共産主義国が広がっていくことを「社会の合法則的発展」「歴史の本流を促進する」とみなす。


従って日本共産党と中国共産党、朝鮮労働党の間では、ある程度の対立点はあるが、利害関係が基本的に一致しているのだ。


不破哲三氏の「反省」と路線転換



日本共産党はかつて、北朝鮮による日本人拉致を国会で取り上げた。また北朝鮮による漁船銃撃と漁民の殺害を厳しく批判した。これらは共産主義者の本来の立場から考えれば逸脱でしかなかった。

「赤旗」記者がベトナムで取材中に中国人民軍により銃撃され殺害された史実があるが、これについて改めて中国共産党に謝罪と補償を要求するようなことは、共産主義者の「プロレタリア国際主義に反する」ということで、不破氏は控えているのだろう。

「赤旗」記者の生命より、「日中友好」「プロレタリア国際主義」が優先すると今日の日本共産党員はみなしているのだろう。

中国共産党による89年の天安門事件の際、日本共産党は中国共産党による弾圧を批判したが、これも共産主義者の本来の立場から逸脱したものであったことを、今日の不破氏は心から反省しているのであろう。

このように言うと、下部党員は、「わが党は科学的社会主義の党として、北朝鮮によるテロや中国による弾圧を厳しく批判している。わが党を誹謗するな」などと怒り出すであろう。

日ごろ「赤旗」の販売活動を必死で行っている下部党員は、「赤旗」の最近の記事を過去の記事と対照、比較する余裕も気力もないから、どのように「路線転換」が行われつつあるか全く理解できない。

「さざ波通信」に投稿し、不破氏らを「右傾化だ」と批判している下部党員はそれなりに不破氏による路線転換を理解しているようだが、殆どの下部党員は全く気づいていないようだ。

以下、不破氏が共産主義者の大道に向かって、どのように「路線転換」を進めているかを示そう。
 

北朝鮮による日本人拉致を擁護する不破哲三氏 



北朝鮮による拉致問題を国会でもっとも早く取り上げたのは日本共産党の橋本敦参議院議員(当時)である。昭和63年3月26日、橋本議員は国会で北朝鮮による拉致問題を取り上げた。


橋本議員はまた、平成9年6月5日にも拉致問題を国で取り上げて、省庁の横の連携を深め、政府の対応として必要な情報連絡会議あるいは関係閣僚会議、必要な対策室を設けることを提起した。


さらに平成9年11月13日の質問では、久米裕さんの拉致事件で連行しようとした在日朝鮮人が逮捕され、拉致について明白な自白をしたこと、大阪の原敕晁さんの事件では韓国の裁判所が判決文に拉致の詳細を記録して事実と認定していることをあげ、でっち上げ事件などということは、日本の主権を守る上からいって許されない言い方だと橋本氏は断定した。


また日本共産党の木島日出夫衆議院議員は平成10年3月11日に国会で拉致問題をとり上げ、この問題で外務省の対応が不十分であること、日本政府はもっと毅然たる態度で臨むべきだと主張している。
 

ところが最近の不破哲三氏は、橋本氏や木島氏の質問を根源的に否定している。


下部党員の中には不破氏によるこうした「路線転換」を知らない人がいるようだが、不破氏は緒方 靖夫氏との対談で次のように述べている。
 

「拉致問題の宣伝だけ聞いていると、100%証明ずみの明白な事実があるのに、相手側はそれを認めようとしない、日本政府も弱腰で主張しきれない、そこが問題だ、といった議論になりやすいのですが、実態はそうじゃないんですね」


不破哲三「世紀の転換点に立って」新日本出版社刊p148~149より)。


さらに不破氏は「国際的に通用できる道理ある交渉をするべきだ」などと称して、あたかも日本政府が北朝鮮側に「拉致した日本人を返せ。被拉致日本人の原状回復が実現しない限り、国交を樹立することはできない」と主張することが「国際的に道理がない」ことであるかのように主張している。


緒方靖夫氏に至っては、「不破さんの勇気ある提起によって、拉致問題を冷静な議論にひきもどした、という歓迎の声はかなり広く聞かれます」(p150)と不破氏の暴言を全面的に礼賛している。


不破氏と緒方氏は何の罪もない日本人が外国に拉致され、その後二十数年間奴隷のごとき屈辱の日々を余儀なくされていても、拉致した張本人に対して暖かい眼差しと友好の姿勢を貫くことが「勇気ある提起」「冷静な議論」「国際的に通用できる」と宣伝しているのだ。

これこそまさに北朝鮮による日本人拉致の擁護論であり、共産主義者の本領発揮といえよう。


不破氏の発言を読むと、「拉致問題の宣伝」とやらを事実を無視して行っている、よからぬ集団があるように聞こえるが、「100%証明ずみの明白な事実があるのに、相手側はそれを認めようとしない、日本政府も弱腰で主張しきれない、そこが問題だ」という旨、国会で質問をしていたのは、橋本敦氏と木島日出夫氏だったのだ。


従って不破氏のこの発言は、橋本氏と木島氏に対し、「日本人拉致をこれ以上国会で取り上げると規約に基づいて処分するぞ」という恫喝なのである。


共産主義者は、共産主義国による蛮行をあらゆる詭弁により正当化する。


橋本敦氏や木島日出夫氏は、共産主義者の大道を理解しない、未熟な革命家だったのだ。


「日本革命」のために必要ならば、共産主義国による日本人拉致を全面的に擁護するのが共産主義者なのだ。


勿論、今日では橋本氏、木島氏らは自分達がいかに未熟な革命家であったかを認識しているから、不破氏に追随し北朝鮮による日本人拉致について沈黙している。
 

不破哲三氏は朝鮮労働党を「きちんとした話し合いができる相手」と宣伝した



下部党員の中には、10年ほど前の「赤旗」記事などに依拠し、「北朝鮮は社会主義と無縁の独裁政権だ。北朝鮮は野蛮な覇権主義であり、我が党は彼らと生死をかけて闘っているなどと思いこんでいる人がいるようだ。


確かに、10年ほど前の「赤旗」は「知りたい 聞きたい」(平成4年2月29日)で、北朝鮮では主体思想が国民に強制されていること、主体思想とは金日成を神格化し息子金正日への権力世襲を正当化しようとするものだと明確に指摘していた。


そして金正日による「社会主義社会では国家が独裁をやるべきだ」という主張を「首領様には青春も命も喜んで捧げねばならないという、封建的一党支配を合理化するための方便にすぎない」と厳しく批判していた。
 

しかし、今日の不破哲三氏の北朝鮮評価はこれとは完全に異なっている。


不破氏は「CS放送朝日ニュースター 不破委員長大いに語る 朝鮮半島の最近の動きなどについて」(「赤旗」平成12年8月24日掲載)で「6月の南北首脳会談以来、南北朝鮮が平和共存する方向にレールを敷くことが共通の確認になっている」


「金正日氏の代になってからは、テロ事件はない」などと述べ、北朝鮮がテロ国家でなくなったことを下部党員に徹底しようと必死になっている。


そして平成11年の「村山国会訪朝団に参加した際の経験から」と称し、金正日をはじめとする北朝鮮の指導部が「外交の状況を見ても、きちんとした話し合いのできる相手だと感じている」と宣伝している。


不破哲三氏にとって朝鮮労働党は「社会主義社会では国家が独裁をやるべきだ」「首領様には青春も命も喜んで捧げねばならない」と主張しそれを国民に強制している集団であるが、それでも「平和共存のレールを敷く」「きちんとした話し合いのできる」相手だということだ。


また不破氏は金日成から金正日への世襲を「金正日氏の代になった」などと当然のごとく表現し、礼賛している。10年前の「赤旗」とは大違いだが、こうした態度豹変を一夜にして断行するのが共産党の最高指導者なのだ。


不破氏は共産党による一党独裁や共産党の独裁者による世襲を「社会進歩」「歴史の発展」と把握する共産主義者であるから、朝鮮労働党と「きちんとした話し合い」が出来るのだ。


金正日は60年代後半から70年代初頭の「党の唯一思想体系の確立」の頃、北朝鮮で金日成に次ぐ権力者としての地位を確立し、日本人拉致やラングーン事件、大韓航空機爆破事件などを何らかの形で「指令」している。


勿論不破氏はこれを熟知しているが、共産主義者として、外国の共産主義者の「革命運動」を支援するために、「金正日氏の代になってからは、テロ事件はない」などと必死で擁護しているのである。


何も知らない下部党員が宣伝する「野蛮な覇権主義である朝鮮労働党との生死をかけた闘い」など、不破氏はとっくの昔に放棄してしまったのだ。

 

北朝鮮難民の支援者を恫喝する「赤旗」 



元「赤旗」平壌特派員で現在も日本共産党員である萩原遼氏によれば、日本共産党では「上の意向は目くばせ一つで下に伝わる」(萩原遼「朝鮮と私 旅のノート」文春文庫p216)。


日本人拉致問題に関する不破氏の前述の見解は、この「目くばせ」に該当すると言えよう。

すなわち、不破氏は日本人拉致や北朝鮮による人権抑圧を取り上げると、規約に基づいて処分することを前述の「赤旗」記事や緒方靖夫氏との対談で示唆しているのだ。


共産党の職員は最高指導部によるこうした「目配せ」の真意を素早く把握する。「赤旗」編集局など不破氏や志位氏と日常的に接することができる立場にある。


人々は直ちに「目くばせ」を理解し、その立場で報道をする。


その一例がこの度の北朝鮮難民による日本領事館逃げ込み未遂事件に関する「赤旗」記事である。

「赤旗」はこの事件についての記事で、北朝鮮難民を支援した韓国や日本の団体・個人の存在について言及し、「こうした活動にかかわる人の中には、北朝鮮の体制崩壊を期待すると公言する人がいる」「韓国への亡命を望む北朝鮮人を政治的に利用するべきではない」と断言した「赤旗」5月10日付け記事「ウィーン条約の順守を」面川誠記者)。


これは、「赤旗」が下部党員に対し北朝鮮難民の支援活動に関わらないように「目くばせ」をしているものと理解できよう。


共産主義国である北朝鮮による人権抑圧を暴露し、北朝鮮の凶暴性を世の中に広めていくことは、共産主義者としてあるまじき行為ということだ。


そうした最高指導部の真意を「赤旗」編集局は察知し、このような記事を掲載したのである。

真の共産主義者とはこのように、最高指導者の心中を必死に洞察し、真意を把握してそれを宣伝、普及するべく尽力するものなのだ。


不破氏の「目くばせ」を理解できない下部の共産党員が橋本氏や木島氏が国会で表明した見解を取り上げて「日本共産党は北朝鮮による日本人拉致が我が国の主権の侵害であり、許してはならない人権抑圧と考えている」などと宣伝しているかもしれない。


あるいは共産党員の中には、北朝鮮への帰国事業が盛んに行われていた頃、北朝鮮を全面的に礼賛したことを心から反省し、中国東北部に逃げてきた北朝鮮難民の支援活動に参加している人がいるかもしれない。


こうした方々は人間として誠実な人たちなのだろうが、真の共産主義者の境地には達していない、未熟な革命家なのだ。
 

日本共産党員は日本共産党の罪深き歴史に学ぶべきだ



このように主張すると、日本共産党の罪深き歴史を何も知らない下部党員は、「わが党は大韓航空機爆破事件、ラングーン事件で北朝鮮のテロを厳しく批判している。

わが党を誹謗するな」などと激怒する。


下部党員は本気で不破氏ら最高指導部を「歴史の本流を促進する偉人」と把握しているから、不破氏や志位氏を批判する人を「歴史を逆行させる反動勢力」「社会発展と進歩を妨げる反動勢力」と思い込み、批判者をあらゆる方法で排除する。


特に批判者が日本共産党から除名、除籍された人である場合、度を越した人格攻撃を行う。


朝鮮総聯関係者の場合も同様で、朝鮮総聯に属していた人が北朝鮮の蛮行を批判すると「民族反逆者」「宗派分子」「南朝鮮情報部のスパイ」などと人格攻撃を始める。


共産主義者の団体はどこの国でも同じような行動をするものなのだが、これは彼らが共産主義理論、特に階級闘争理論を信奉していることから来る帰結でもあるのだ
 

共産党の職員はなぜ最高指導者による路線転換に追随するのか



下部党員や共産党の職員の中には、最高指導者が突然断行する態度豹変に憤る人もいるようだが、よほどのことがない限り沈黙する。

そもそも多くの下部党員は「赤旗」記事など読んでいないし、不破氏ら指導部の「理論」「政策」「方針」について一切思考、議論せずに宣伝するだけという習慣が定着しているから、不破氏が突然「路線転換」を断行しても気づかない。


「十年一昔」というが、十年前と180度異なる「理論」「政策」「方針」を「科学的社会主義の実践により裏付けられた真理」などと必死で宣伝しているのが、日本共産党の下部党員なのである。


それでは、毎日「赤旗」の販売活動に従事しつつ必死で「赤旗」を読んでいる共産党職員や、地方議員、国会議員は不破氏ら最高指導部による突然の「路線転換」に気づかないのだろうか。


勿論、全く気づかないでただ「赤旗」を販売しているだけの人もいるだろうが、多少なりとも筋道をたてて思考することが出来る人なら、不破氏ら最高指導部による数々の「路線転換」を認識できるであろう。


橋本敦氏や木島日出夫氏が、不破氏による日本人拉致問題での「路線転換」を認識できないわけがない。共産党職員や議員はなぜ不破氏らを一切批判せず、盲目的に追随するのだろうか。

同様のことが、朝鮮総聯の職員についても言える。


朝鮮総聯の職員は、北朝鮮を何度でも訪問できるから、いくら北朝鮮当局が実態を隠蔽すべく努力しても、様々な形で北朝鮮経済の惨状を認識できる。


最近の「労働新聞」は、北朝鮮が90年代後半に「苦難の行軍」という厳しい経済困難に直面していたことを認めているから、「地上の楽園」ではありえないことが朝鮮総聯の職員といえども、わかるはずなのだ。


この問題は単純な「マインドコントロール」だけではない。最高指導者を礼賛することが仕事だからという程度のことではない。共産党職員による最高指導者礼賛の背景には、以下のような、最高指導部による職員に対する徹底的な抑圧と搾取の仕組みがあるのだ。
 

共産党の職員が最高指導者を批判すると「査問」される



仮に共産党の職員が公の場で、不破氏ら最高幹部を批判したと仮定しよう。


日本共産党は一昨年の大会で規約を改正し、第三章第十七条で党員が国際的・全国的な性質の問題について、意見を自由に発表することを完全に禁止したから、このような行為は完全な「規約違反」であり、その職員は直ちに「査問」される。


共産党の職員に対する「査問」とは真に過酷なもので、ある日突然代々木の本部などに呼び出され、家族や友人との一切の連絡を絶たれて、密室で何日間も質問攻め、専ら「自白しろ」と強制される。


密室での監禁の結果、「疑わしきは罰する」という原則により処分される。「査問」については、民主青年同盟の幹部として「査問」を体験した油井喜夫氏の手記「汚名」(毎日新聞社刊)が詳しい。


共産党の 職員や議員は過酷な「査問」の実態、様々な名目で降格された仲間の悲惨さを熟知しているから、よほどのことがない限り最高指導者を批判しない。


共産党の職員や議員の場合、共産党という政党から「除名」「除籍」などの形で叩き出されると、新たな職業に就く事は極めて困難である。


共産党員は共産党の影響力が強い企業を「民主経営」と呼ぶが、「民主経営」といえども共産党から除名、除籍された人を再雇用する可能性は極めて低い。

下手をすると、「民主経営」の経営者が除名された元職員との関係を問われ、「派閥を結成していた」などといった調子で「除名」「除籍」されてしまうかもしれないからだ。

2020年6月6日土曜日

不破哲三氏の日本人拉致問題棚上げ論を批判する(本ブログ平成27年6月掲載。不破哲三「世紀の転換点に立って」新日本出版社2001年刊、pp148-149より抜粋)

不破哲三「いわゆる拉致問題の宣伝だけ聞いていると、100%証明ずみの明白な事実があるのに、相手側はそれを認めようとしない、日本政府も弱腰で主張しきれない、そこが問題だ、といった議論になりやすいのですが、実態はそうじゃないんですね」


最近の日本共産党の宣伝物を見ると、日本共産党が北朝鮮に拉致された日本人救出のために全力で北朝鮮と対決してきたような話になっています。

虚偽宣伝です。

不破哲三氏は、「赤旗」日曜版2000年12月31日、2001年1月7日合併号に掲載された緒方靖夫氏との対談で上記のように発言しました。

緒方靖夫氏は不破氏のこの発言を受けて、次のように述べました。

「そうなんです。外務当局に聞いても警察当局に聞いても、全体として疑惑の段階であって、「七件十人」のうち物証のあるものは一つもない、と言っています。」

不破氏はさらに次のように述べ、北朝鮮に対し拉致した日本人を返せと日本政府が要求することに反対しました。

「日本の捜査の到達点自体がそういう段階なのに、これを証明ずみの事実のように扱い、そういうものとして外交交渉のテーマにしたら、やがてゆきづまって日本側が身動きできなくなることは、目に見えています。

ですから、私は日本の捜査で到達した段階にふさわしい外交交渉をしなさい、と提案したのです」


兵本達吉氏による詳細な調査報告により、不破哲三氏は相当数の日本人が北朝鮮に拉致されていることを熟知していた


この時点で不破哲三氏は勿論、横田めぐみさん、有本恵子さん、田口八重子さん、市川修一さん、増元るみ子さんら相当数の日本人が北朝鮮に拉致されていることを熟知しています。

潜水艦や武装工作船で潜入してきた北朝鮮工作員が物証を残さなかっただけの話です。悔しいことですが「完全犯罪」に近かったのです。

警察は様々な状況証拠から、北朝鮮の犯行であることはつかんでいましたが、犯人名まで完全に突き止めるのは難しい。

犯人は武装工作船や潜水艦で日本人を拉致したらすぐに北朝鮮へ去ってしまうのですから。「完全犯罪」だから黙っていよう、などと政治家に言い出されてしまったようなものです。

「完全犯罪だから黙っていよう」などと日本の国会で言われていることがわかったら、拉致された日本人はどんなに悔しいでしょう。

拉致された日本人は日本に連絡できませんから、日本の国会で何をどう言われても黙っているしかない。日本のことは何もわからない。不破哲三氏はここに着目したのでしょう。

不破哲三氏こそまさに、百戦錬磨の真の共産主義者です。

大阪の原ただ晃さんに成り変わった辛光スと彼を助けた金吉旭、神戸の田中実さんを拉致した人物くらいしか、犯人名は当時わかっていませんでした。

警察は「~の疑い」で犯人を証拠に基づき逮捕し、起訴する。


そもそも、日本の警察は様々な事件の犯人を逮捕しても、「~の疑い」で逮捕するのです。「疑い」「疑惑」が疑惑でなく事実と警察が断言できるのは裁判で判決が確定してからです。

これは当たり前です。不破哲三氏がこれを理解していなかったのなら、行政機構と司法機構それぞれの役割を理解していなかったことになります。無知蒙昧のそしりを免れません。

不破氏の矛先は橋本敦氏、和田正名氏、「赤旗」編集局と兵本達吉氏に向けられていた


不破氏の主張「100%証明ずみの明白な事実があるのに、相手側はそれを認めようとしない、日本政府も弱腰で主張しきれない、そこが問題だ」は、誰に向けられていたのでしょうか。

日本共産党の橋本敦参議院議員(元)は、これに近い主張を国会でしました。

昭和63年3月の橋本敦議員による国会質問や、和田正名氏(赤旗編集局編の「北朝鮮覇権主義への反撃」掲載論考、p118)は北朝鮮が日本の主権を侵害していると断言しています。

不破哲三氏は兵本達吉氏が全国各地の拉致日本人家族を訪問し、様々な証拠を積み重ねた結果北朝鮮が日本人を相当数拉致したという結論に達したことも報告を受けていたはずです。

不破氏の上述の発言は被拉致日本人救出運動の参加者だけでなく、橋本敦氏、兵本達吉氏、和田正名氏と「赤旗」編集局にも向けられたものと理解すべきでしょう。

北朝鮮による拉致問題をこれ以上深く追求するな、という意味が込められていたのです。

日本人拉致を実行、幇助したのは北朝鮮工作員の在日本組織-「南朝鮮革命」を実行する工作員が日本人に成り変わるために日本人を拉致した


相当数の日本人を日本国内から暴力的に拉致するためには、北朝鮮から潜水艦や武装工作船で潜入してくる工作員だけでなく、日本国内の協力者の組織が沢山なければできない。

「南朝鮮革命」とやらを断行するための北朝鮮工作員の在日本組織です。調査、研究の結果これに気づいた兵本達吉氏は、元工作員と接触し情報を入手していたはずです。

入手した情報を、日本国民の生命と人権、日本国家の主権を守るために警察に提供するのは、日本国民ならば当たり前です。

しかし日本共産党からみれば、「南朝鮮革命」すなわち大韓民国滅亡のために日夜尽力している工作員諸兄は革命運動の同志です。日本共産党員は外国の同志の戦いを妨害してはならない。

日本共産党は朝鮮労働党との共同声明で繰り返し、北朝鮮による南朝鮮革命への熱い支持を表明しています。

大韓民国は北朝鮮により滅亡させられてしかるべきだと宮本顕治氏は大真面目に信じていました。「南朝鮮革命」とは大韓民国の滅亡です。宮本顕冶氏は武装闘争の「理論家」でした。

同志を警察に売るような兵本達吉氏は、日本共産党員の立場からみればまさに「反党分子」「転落者」です。兵本達吉氏は警察に情報を提供した疑いで、共産党から除名されました。

「赤旗」には日本人拉致を断行した北朝鮮工作員の在日本組織についての記事は掲載されたことがありません。

在日本朝鮮人総連合会の活動を熱心にやってこられた方々なら、その類の組織がいくらでもあることをよくご存知です。

元在日朝鮮人(帰国者)の中には政治犯収容所に連行された方もいる-「赤旗」は無視


在日本朝鮮人総連合会関係者が北朝鮮工作員に協力するのは、協力を拒めば帰国事業で北朝鮮へ渡った親族の生命が危ないからです。

日本共産党と在日本朝鮮人総連合会の宣伝を信じて北朝鮮へ渡った約93000人(そのうち日本国籍所有者は約6000人)の中には、政治犯収容所に連行されてしまった方もいます。

北朝鮮へ渡った元在日朝鮮人の中には、日本共産党員だった方々もいます。昭和30年まで在日朝鮮人の共産主義者は日本共産党員だったのです。吉良よし子議員は御存知ないでしょう。

帰国事業が盛んに行われた時期、日本共産党と在日朝鮮人は極めて親しい関係でした。「金日成選集」を日本共産党中央委員会出版部が発行していました。

金日成は朝鮮戦争で米国を破った偉大な将軍だ、などと大真面目に信じていたからです。偉大な共産主義者の論文を日本社会に普及するのは共産党員として当然です。

宮本顕治氏は何度も朝鮮労働党と共同声明を作成、発表しています。当時の「赤旗」「前衛」には北朝鮮を礼賛する記事や論文はいくらでもありました。

吉良よし子議員は聴濤弘氏に、在日朝鮮人と日本共産党の関係を質問するべきだ


日活映画「キューポラのある街」には、北朝鮮に社会主義の夢を抱いて帰国していく日本人妻と息子が描かれていました。

「千里馬のいきおいで社会主義を建設する北朝鮮」という、日本共産党と在日本朝鮮人総連合会の宣伝を信じて北朝鮮に渡った在日朝鮮人は、その後どうなったのでしょうか。

その方々の中で、行方不明になった人もいます。思想、信条の自由、表現の自由が全くない社会ですから、心の病になってしまった方もいます。餓死した方もいます。

少数ですが、処刑された方もいます。「政治犯」なのか、罪名は日本の親族にもよくわからない。日本の親族が在日本朝鮮人総連合会にいくら問い合せても梨の礫です。

不破哲三氏としてはこの悲惨な史実をどうしても隠しておきたいのでしょう。吉良よしこ議員、池内さおり議員は、在日朝鮮人が日本共産党員だった史実など一切ご存知ないでしょう。

嘘だと思うなら、聴濤弘氏にお尋ね下さい。聴濤弘氏なら、元在日朝鮮人と日本共産党の関係を熟知しています。聴濤弘氏は、論考から判断する限り共産主義者としての水準は高くない。

不破哲三氏の「道理ある交渉」は政治犯収容所の凄惨な人権抑圧について沈黙を貫く「交渉」


「赤旗」に北朝鮮の政治犯収容所についての記事が掲載されたことはありません。

今日の日本共産党は、「金日成民族」の在日本朝鮮人総連合会と友好関係を維持しています。

不破哲三氏は、在日本朝鮮人総連合会が日本人拉致を隠蔽してきた件や、北朝鮮の人権問題を否定している件について、完全に沈黙しています。「道理ある交渉」のつもりなのでしょう。

世紀の転換点に立つと、「全社会の金日成・金正日主義化」に尽力なさっている方々と連帯し、北朝鮮に社会主義の夢を求めて渡った元在日朝鮮人の悲劇から目を背けるようになるのです。

「科学的社会主義」に裏付けられた「科学の目」を、吉良よし子議員、池内さおり議員もいずれは体得し、史実を隠蔽する真の共産主義者になっていくのでしょうか。

2020年6月5日金曜日

白井聡先生(京都精華大学)よりブロックされました。

残念ですが、白井聡先生(京都精華大学)より、twitterをブロックされました。


白井聡先生は、ひょっとしたら私を人民の敵ないしはクソ野郎、とお考えなのかもしれません。
レーニン以来、共産主義者は自分達を批判する人を「人民の敵」「反革命分子」「反党分子」「走資派」「右派分子」「民族反逆者」「人間の屑」などと把握します。

白井先生は科学的社会主義の政治学を研究されている方ですから、これらの語を百も承知と思います。

白井先生は最近、つるの剛士さんを「クソ野郎」とtwitterで評価していました。

私は「クソ野郎」より、共産主義運動の伝統に従って「人民の敵」という言葉で表現なさったらいかがだろうと白井聡先生に提案したのですが。

私は他にも、赤旗記者の方や、日本共産党職員の方、在日本朝鮮人総連合会の関係者数名からもブロックをされています。真に残念です。

朝鮮労働党はレーニン主義の継承者―「人民の敵」、政治犯を収容所に連行するー


ある在日本朝鮮人総連合会関係者から、私は「チョッパリ」と評された事があります。

日本人が下駄を履くので、日本人の足の指は二つに分かれているのだ、という見解らしい。

朝鮮学校では、かなりの反日教育を行っているのでしょうね。チョッパリ、と言う語を私は何度か耳にしたことがあります。

在日韓国・朝鮮人を韓国では半チョッパリ、と呼ぶことがあります。半日本人、というような意味なのでしょう。

金正恩、金輿正のお母さん高容姫は元在日朝鮮人です。この件、北朝鮮では最大のタブーです。

脱北者の方々は、風船に載せたビラでこれを暴露していたのかもしれませんね。

白井聡先生は、朝鮮労働党の全社会の金日成・金正日主義化路線についてどうお考えなのでしょうか。

朝鮮労働党は反党反革命分子を政治犯収容所に連行し、囚人労働を強制します。

金正恩と朝鮮労働党はレーニンの見解を継承しています。このあたり、白井聡先生の見解をお尋ねしたいものですね。



2020年6月3日水曜日

レーニンによる「人民の敵」投獄、追放論と白井聡氏(京都精華大学)の呟き「クソ野郎」論より思う。(「食糧独裁についての布告への捕筆」、レーニン全集第42巻、大月書店刊行p86)

「余剰穀物をもちながら、これを収納所に搬入しない者、および、手持ちの穀物を密造酒用に浪費する者はすべて、これを人民の敵と宣告し、


今後は十年以上の禁固刑、全財産の没収、自己の共同体から永久追放に処し、酒の密造者には、それにくわえて、強制的な公共労働を課する」(1918年5月9日に執筆)。

レーニンがこの指令をボリシェヴィキに出したのは、赤軍と「反革命」軍との内戦の時期でした。

ロシアは極端な食糧不足になっていました。

ボリシェヴィキがモスクワやペテルブルグでの支配を継続するためには、農民から強制的に穀物を徴収するしかなかったのです。

余剰穀物をボリシェヴィキに提供しない人、手持ちの穀物で密造酒を作った人は「人民の敵」というレッテルを貼り、革命法廷行きという指令です。

「人民の敵」は10年以上の禁固刑、全財産没収、共同体からの永久追放。酒の密造者は強制的な公共労働に処せ。

全財産を没収されて共同体から追放されたら、餓死してしまいます。

「人民の敵」に「強制的な公共労働」論は、政治犯に囚人労働を課すことを正当化します。

レーニンのプロレタリア独裁論は、ボリシェヴィキの指令に従わない人に過酷な刑を課すことを正当化する理論です。

全財産を没収されて追放された人々の中には「白衛軍」、ボリシェヴィキの視点では反革命勢力に入っていった方はいくらでもいそうです。

先祖代々の土地や屋敷を没収された貴族、地主が皆、ボリシェヴィキにおとなしく従ったとは考えにくい。

追放された貴族や地主の中には、外国に何とか逃げていった方は多かったでしょう。ドクトル・ジバゴの家族もそうでした。

レーニンとボリシェヴィキによる過酷な穀物挑発、地主と貴族追放、ロシア正教会弾圧、ロシア皇帝一家虐殺は内乱を激化させたと考えられます。

レーニンの研究者、白井聡氏(京都精華大学)によるクソ野郎論と「人民の敵」


レーニンから始まった「人民の敵」という類の人間把握法を、マルクス主義政治学者の白井聡先生(京都精華大学)は継承しています。

5月31日、白井聡先生は御自身のtwitterで次のように主張しました。「俺は大声で言いたい。つるの剛士のようなクソ野郎は黙れ。と」。

この呟きは、つるの剛士さんの何かの呟きに対して発せられたのでしょうけれど、よくわかりません。

クソ野郎、とはどんな人々に対しての言葉なのか、白井聡先生が説明なさっていませんので不明です。

科学的社会主義の政治学は、クソ野郎という人々をどんな社会階層の存在として把握するのでしょうか。

左翼知識人、左翼運動家は「立ち上がる市民」「声をあげよう」という表現を良く用います。

「立ち上がる市民」とは、日本政府を何らかの点で批判する人々のことです。

左翼知識人や運動家にとって小泉今日子さんや水原希子さんは「立ち上がった市民」です。

「立ち上がる市民」とは逆に、クソ野郎と把握されるべき人々が現代日本に存在し、その方々は沈黙すべきと白井聡先生はお考えなのでしょう。

「立ち上がった市民」が日本共産党や左翼を批判したら左翼の共同体から永久追放か


白井聡先生はレーニンの研究者として著名な方です。

白井聡先生はクソ野郎、という人々をレーニン、スターリンの「人民の敵」と同じような存在として把握しているのではないでしょうか。

そうであるなら、クソ野郎より「人民の敵」のほうが適切な表現と思えます。

ところで、「立ち上がった市民」が何かの件で日本共産党や左翼知識人、運動家を批判したら、左翼の皆さんはその方を「人民の敵」と認識するのでしょうか。

左翼の共同体から永久に追放されてしかるべきなのでしょうか。

レーニンを尊敬する日本共産党員や科学的社会主義の政治学を研究する方なら、レーニンの上記の見解を尊重しそうです。




2020年5月30日土曜日

日本共産党国会議員団は、日本共産党中央委員会に「国会活動協力受託費」を毎年約1~2億円支払う。

国会活動協力、とは一体どんな協力なのでしょうね。


日本共産党中央委員会の政治資金報告書を見ますと、例年これが計上されています。

平成12,13年には「立法事務委託費」として3億円計上されていました。「立法事務委託費」は「国会活動協力受託費」よりなぜ高いのかも不明です。

一般に、会社内である部署が他の部署に、何らかの支援や協力を依頼することはいくらでもあるでしょう。

その際、支援や協力を依頼した部署はその部署に資金を払うでしょうか。

ある製品の受注に努力している第~営業部が、他の第~営業部に顧客への対応で協力を依頼するとき、協力受託費を払うでしょうか。

日本共産党国会議員団は協力受託費を支払うべき、と考えているのでしょうね.。

下記は政治資金報告書や官報から抜き書きしました。協力受託費の額の違いがなぜなのかも不明です。

小池晃書記局長に、you tubeなどで御説明願いたいものです。
平成30年分 202.800.000


平成29年分 255.450.000


平成28年分
259.350.000
平成27年分 258.050.000


平成26年分 148.200.000
平成25年分 124.750.000


平成24年分 108.000.000
平成23年分 108.000.000


平成22年分 115.000.000
平成21年分 120.000.000


平成20年分 120.000.000
平成19年分 120.000.000
平成18年分 120.000.000
平成17年分 120.000.000
平成16年分 190.000.000
平成15年分 240.000.000
平成14年分 240.000.000
平成13年分 300.000.000 立法事務委託費
平成12年分 300.000.000 立法事務委託費

2020年5月21日木曜日

日本共産党中央委員会の政治資金報告書、支出1より思うー食事・喫茶代はマスコミ関係者との意見交換会なのか―

これは、総務省のHPに出ています。以下です。https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/reports/SS20191129/SF/000080.html


平成29,30年分を見たところ、ホテルニューオータニなどでの食事・喫茶代が計上されています。平成29年は以下です。


 金額(円)        日付        支出先       支出先住所

68666
29126
(株)ニューオータニ
千代田区紀尾井町
66528
2922
(株)スタイルレンジ
中央区銀座
66744
2929
八丈島ゆうき丸
中央区銀座
99992
29315
(株)ニューオータニ
千代田区紀尾井町
95800
29315
グランホテルオペレーション(株)
那覇市旭町
134455
29712
ビヤレストラン銀座ライオン
豊島区西池袋
1081598
299月15
(株)ニューオータニ
千代田区紀尾井町

平成30年は以下です。



57700
30312
リストランテ ダ ニーノ
港区南青山
128820
30423
ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町
千代田区紀尾井町
54950
30518
ホテルメトロポリタン エドモント
千代田区飯田橋
50000
30522
八丈島ゆうき丸
中央区銀座
260000
30531
(株)アイランズ ランチ工房
渋谷区千駄ヶ谷
86994
30615
(株)人形町今半
新宿区西新宿
457413
30815
(株)なだ万山茶花荘
千代田区紀尾井町


79552
30921
(株)福助
中央区築地
50000
301116
八丈島ゆうき丸
中央区銀座
100000
301126
銀座ライオン
新宿区新宿


政党、政治家が政治資金で飲食をすることは違法行為ではありません。

上記は自民党と比較したら、少ない額です。

しかし私は、日本共産党幹部は質素な暮らしをしている方が多いと思っていたので驚きました。

日本共産党に詳しい方によると、これらはマスコミ関係者との意見交換会か、幹部と本部職員間での慰労会だろうとのことでした。

マスコミ関係者との意見交換会をやりたがる政治家は多いでしょうね。

一般企業では、経営者が得意先との食事代を交際費として処理するのは普通の事です。

高額な食事が、大きな額の受注につながれば良い。

日本共産党中央も、そんな観点からマスコミ関係者との意見交換会を重視しているのかもしれません。

幹部と職員間の慰労会なら、一種の労務管理策と言えそうです。

一般企業では、経営陣や人事、総務部の担当者らが労組懐柔のために高額な食事を共にする場合があると聞きます。

現代資本主義を生き抜くのは厳しい。左翼政治家にとってもマスコミ関係者との意見交換会は大事なのでしょう。

それにしても、一晩で100万円を超える食事には驚きました。これも革命運動なのでしょうか。