2019年12月31日火曜日

イスラム教の聖戦論より思う―難民、移民受け入れは徹底的に制限されるべきだ―

「(四か月の)神聖月があけたなら、多神教徒は見つけ次第、殺してしまうがよい。ひっとらえ、追い込み、いたるところに伏兵を置いて待ち伏せよ。しかし、もし彼らが改悛し、礼拝の務めを果たし、喜捨も喜んで出すようなら、そのときは逃がしてやるがよい」(「コーラン」(上)井筒俊彦訳、岩波文庫p301より抜粋)。


世界各地で、イスラム教徒によるテロが起きています。

私はイスラム教の専門家ではありえませんが、この原因はイスラム教の教義のどこかにあるとしか思えない。

コーランに、上記があります。

これが異教徒、多神教徒に対する聖戦という考え方の根拠になっているのでしょう。

ホルムズ海峡を航行する日本船舶を攻撃したテロリストは、上記の考え方を実行しているのかもしれません。

日本人は多神教徒ですから。

勿論、全てのイスラム教徒が上記を字義通り解釈しているのではないでしょう。

コーランの読み方、解釈はいろいろあるのでしょうから。

しかしコーランには次もあります。

無信仰者たちにたたかいを


「これ、信徒の者よ。汝らの身近にいる無信仰者たちに戦いを挑みかけよ。彼らにおそろしく手ごわい相手だと思い知らせてやるがよい」(「コーラン」(上)p328」。

欧州各国にはイスラム教徒が大量流入し、社会的衝突が深刻化しています。

キリスト教徒は、多神教徒ではありませんが、イスラム教徒にとっては無信仰者です。

欧州に定着、定住しているイスラム教徒の中には、無信仰者に戦いを挑んでいく方が出てもおかしくない。

既に相当数出ているのかもしれませんが。

戦いを挑む、という語をどのように解釈するかという問題でしょう。この記述も、聖戦を呼び掛けていると私には思えます。

難民、移民の受け入れは徹底的に制限されるべきだ


背景とする宗教、文化、習慣が全く異なる人々を安易に移民、難民として受け入れても、働き口を見つけるのは簡単ではないことは明らかです。

働き口を見つけらなければ、自治体による生活保護を受けるしかない。自治体の負担になっていきます。

私見では、米国でトランプ氏が当選した理由の一つは、この点を強く訴えたからです。

中南米から不法入国する人々を次から次へと受け入れていけば、国境近くの州の財政が破綻してしまう。

有権者の世論掌握術に秀でたトランプ氏は、今後もこれを訴えるでしょう。欧州各国でも、同様の主張をする政治家は増えています。

これをポピュリスト(大衆迎合主義者)などと一言で退ける左翼知識人は、欧米社会の実状について真剣に思考できない方々です。

こういう方々には偽善者、という語がふさわしい。難民、移民を受け入れるなら相当な費用と社会的衝突を覚悟せねばならない。

左翼知識人、左翼政治家は難民、移民大量受け入れによる費用と社会的衝突について一切議論しません。

在留資格のない外国人が強制送還を拒否して、入庫管理局の施設に長期収容されている例があるようですが、在留資格を安易に与えるべきではない。

在留資格が得られない事にはそれぞれ理由があるのです。

外国人が入国管理局による強制送還に応じないのなら、しかるべき刑事罰を与えて逮捕する事を検討すべきです。

日本共産党、立憲民主党ら野党は桜の見物方式で大騒ぎしている暇があるのなら、難民、移民の受け入れ是非について少しは論じるべきです。


日本共産党、左翼知識人の富裕層課税強化論より思う―大門みきし参議院議員は、株式会社、金融資産市場の存在意義を理解できないのか―

「自宅や農地などには特例措置を講じたうえで純資産で5億円を超える部分に低率で課税します」(日本共産党の参議院選挙時の政策より抜粋)。


日本共産党、左翼知識人、マルクス主義経済学者は安倍内閣により大企業と富裕層が優遇され、不当に資産を蓄積しているとみなします。

大企業には研究開発減税などが適用されるから、中小企業より法人税の税率が低くなっていると宣伝しています。

富裕層は日銀の金融緩和による株価上昇による株式の売買、株の配当で大儲けしている、と宣伝しています。

日本共産党中央にお勤めの吉岡正史さんら日本共産党職員、議員はこんな発想でよく呟いています。

大企業への減税云々については、今回はふれません。富裕層への課税強化論について考えてみましょう。

日本共産党と左翼知識人に問いたい。

株式の保有、売買により所得を得るのは悪行なのか―リスク(危険)を引き受ける事への収入は正当


富裕層が株式の売買で儲けている、との主張ですが、株価が低い時に株式を購入した方々が上昇したときに売却し、多少の利益を得るのは悪行でしょうか。

株価がいつ下落するか、予想は困難です。

株式売却後、さらにその株価が上昇している場合もある。

株式を保有し続け配当を得るのは悪行でしょうか。

庶民とかけ離れた所得と資産を保有する富裕層が存在するのは明らかですが、その方々が得た所得と資産が暴力行為などの犯罪で獲得されたものでないなら、規制すべきではない。

富裕層が日本企業の株式を大量購入すれば、日本企業はその資金を原資に設備投資を増やしうる。

株式購入はリスク(危険)のある資産購入ですから、安全な金融資産(定期預金等)購入の場合より高い収益が得られるのは当然です。

ある株式を保有しても得られる配当が定期預金の利子率より低ければ、その株式を保有する意味はほとんどない。

赤字を継続している企業の経営者が、配当をゼロにする場合がありますが、企業存続のためにはどうしようもない。

日本経済の持続的成長のために、内外の富裕層が日本企業の株式、財とサービスを大量購入する政策を


株式保有による配当所得に課税を強化すれば、株式に対する需要が減少し、株価を下げる圧力となる。

日本経済の持続的成長のためには、富裕層がその所得を、日本国内で生産される財とサービスに消費するような政策、日本企業の株式購入に向ける政策を実施すべきです。

富裕層が高級ホテルに宿泊し、贅沢な食事をすればホテルや高級料理店の売り上げになるのです。消費税の税収にもなる。

年収数億円、数十億円の高額所得者なら、一晩で数百万円の奢侈生活が可能でしょう。

外国の富裕層が日本企業の株式を大量購入し、保有しつづけるなら、その方は日本企業の持続に貢献している。

日本企業が外国企業との競争に敗北し、十分な利益を計上できなくなったら株価が下落し、配当も減少する。

企業経営者から見れば、銀行からの借り入れより、株式発行による資金調達の方が有利な場合は多い。

株式を購入してもらえば返済の義務はないのですから。企業が存続すれば労働者は雇用を維持される。

大門みきし参議院議員に問う


日本共産党、左翼知識人、マルクス主義経済学者には株式会社、金融資産市場が資源の効率的配分に貢献することがわからない。

大門みきし参議院議員は、日本共産党で経済政策部門を担当されているようですが、株式会社、金融資産市場が資源の効率的配分に寄与するという見解に対しどう考えているのでしょうか。

日本共産党は市場経済で社会主義を目指すそうですが、それなら株式会社と金融資産市場は存続することになります。

富裕層が国内の企業の株式大量購入あるいは国内の財とサービスを大量購入する政策は、どんな政党が政権をとっても必要となるはずです。

上記は概ね、新自由主義者の視点ということになるでしょうが、富裕層への課税強化については新ケインズ派でも否定的な方はいます。

私見では米国の新ケインズ派の一人、Greg Mankiwが最近Blogに発表した論考How to Increase Taxes on the Rich (If You Must)はその一つです。




2019年12月28日土曜日

日本共産党、左翼にとって中国共産党、朝鮮労働党は平和を愛する進歩勢力である―山本太郎さんも中国共産党、朝鮮労働党を「たたかう市民」とみなすのか

左翼は「たたかう市民」「たちあがる市民」という表現を好みます。


故小田実さんもよくこの表現を用いていました。

もう37年くらい前になるかと思いますが、東京都知事選挙に毎日新聞OBの松岡英夫さんが立候補しました。

この時の選挙戦の最終日に、小田実さんが池袋駅前での街頭宣伝に弁士として登場しました。

演説の詳しい内容を覚えていないのですが、社共は既成左翼だから駄目だ、という話だったように思います。

小田実さんは、社会党、共産党などの既成左翼は憲法の原理にある反抑圧、という視点がないから駄目で、「たたかう市民」の大きなかたまりを作らねばならない、という訴えをいろいろな場でしていました。

若い頃ベトナム反戦運動に熱心に参加なさった小田実さんは、米国や大日本帝国とたたかったという毛沢東、金日成を高く評価していました。

小田実さんは毛沢東、金日成はそれぞれ中国、朝鮮半島の「たたかう市民」の指導者だと把握していたのではないでしょうか。

山本太郎さんは中国共産党、朝鮮労働党を平和勢力とみるのか


れいわ新選組の山本太郎さんの街頭での熱い演説は、往年の小田実さんを思い起こさせます。

山本太郎さんは小田実さんのように、中国共産党、朝鮮労働党を「たたかう市民」とみなすのでしょうか。

れいわ新選組の運動員の中には、そういう方がいるらしいですね。

左翼の平和理論で世界を把握するなら、米国と安倍内閣がアジアで最大の戦争勢力です。

米国と安倍内閣の軍拡を批判する中国共産党と朝鮮労働党は平和を愛する進歩勢力です。

山本太郎さんも同様の見解なのでしょうか。街頭演説会で伺ってみたいものです。

中国共産党、朝鮮労働党は「基地のない沖縄」を支持するから「平和勢力」


私見では、日本共産党と左翼知識人は中国共産党、朝鮮労働党を平和を愛する進歩勢力とみます。

日本共産党は香港での人権抑圧で中国共産党を強く批判していますが、中国共産党は戦争勢力だ、尖閣に侵攻しうるという主張はしない。

中国共産党、朝鮮労働党は安倍内閣による軍拡を徹底批判し、「基地のない沖縄」をつくることを支持しています。

従って日本共産党、左翼知識人にとって中国共産党、朝鮮労働党は平和を愛する進歩勢力です。

習近平、金正恩を中国と朝鮮半島の「たたかう市民」の指導者と左翼はみる。

尖閣から沖縄に侵攻するためには「基地のない沖縄」をつくらねばなりませんからね。

日本への核ミサイル攻撃を断行しうる金正恩にとって、最大の妨害者は米軍です。東京や大阪にミサイル攻撃をしたら、米軍人とその家族にも沢山犠牲者が出ます。

米国世論は沸騰し、金正恩は米の核ミサイルなどで報復されうる。

強力な日米軍事同盟が、日本の平和を守っている。左翼はこれを認められない。

「たたかう市民」の指導者が戦争勢力という話ですから。

左翼政治家、左翼知識人は中朝の核軍事力について、目を背けるしかない。

事実に目を背ける。これが左翼の生き方なのです。

2019年12月27日金曜日

日本共産党の刑法改正案について思う―「暴行・脅迫要件」の撤廃と同意要件の新設は冤罪を多発させる

最近の日本共産党は「強制性交罪」(旧強姦罪)の「暴行・脅迫要件の撤廃」と同意のない性交を処罰することを提起しています。(例えば、参議院選挙での重点政策)。


私は法律には疎いのですが、性交の同意の有無をどうやって確認できるのでしょうか。

日本共産党の参議院選挙での重点政策の文書を見ると「加害者」とされた側が「被害者」から同意を得たか否かの事実を立証せねばならない。

これでは、性交後に「私は同意などしていない。貴方は私を強姦した」と訴えられたら大変です。

「加害者」にされたのですから、性交での合意の存在を何とかして立証せねばならない。

「暴行・脅迫」をしていないことは何とか証明できても、「被害者」からそれでも私は嫌だった、と嫌だと繰り返し言ったなどと主張されたらそれを覆すことは難しい。

密室での出来事、二人だけの会話の中身を、「加害者」が証拠を示して覆すことなどできるはずもない。

同意の存在を「加害者」が証明できなければ「旧強姦罪」、今は「強制性交罪」にされてしまいます。

これが刑法でどの程度の重罪なのか、私にはよくわからないのですが万引きや満員電車内の痴漢よりはるかに重い事は間違いない。

冤罪が多発しうる。

「野党と市民の共闘」を広めるためには、冤罪多発でも「同意なき性交を犯罪とせよ」論に与すべきという判断では


日本共産党には法律家が多いはずなのですが、どうしてこんな刑法改正案が提起されたのか不可解です。

察するに、「野党と市民の共闘」を広めていくためには、「同意なき性交を犯罪とせよ」論を主張する市民団体との連携が不可欠という判断ではないでしょうか。

志位和夫委員長か小池晃書記局長がそう判断し、日本共産党中央のどこかの部署がその意をくんでこの案を作成したのでしょう。

どなたがこの刑法改正案を作成したのか存じませんが、法律家の意見を殆ど聞かないで出してしまったに相違ない。

日本共産党中央は、一般党員の意見を聴いて政策や見解を作成する事ができにくい。

40年くらい前に田口富久治教授が、民主主義中央集権制では必ずそうなっていく旨、問題提起をしていました。

今の日本共産党職員、議員は不破・田口論争など知らないでしょうね。

宮本顕治氏、不破哲三氏の論文すら殆ど読んでいない方が、日本共産党の議員や職員として勤務している。

そういう方々には、御自身が革命家であるという自覚がない。普通の就職口という気分で日本共産党職員、議員になったのでしょう。

あらゆる意味で、日本革命は実現不可能です。

2019年12月22日日曜日

日本共産党、左翼に安全保障政策はない

日本共産党、左翼人士は安倍内閣がアジア最大の戦争勢力とみなす


私は繰り返し主張していますが、レーニンの「帝国主義論」の見地では帝国主義、金融資本が戦争を引き起こします。

そこで日本共産党、左翼にとって世界では米国、アジアでは米国の目下の同盟者たる安倍内閣が最大の戦争勢力です。

安倍内閣の軍拡を批判する中国共産党、朝鮮労働党と韓国政府、韓国左翼はいろいろ問題はあっても大局的には平和勢力です。

最近の日本共産党は中国共産党が覇権主義であると批判しますが、戦争国家だという批判は決してしません。

中国共産党は尖閣を自国領と規定し、繰り返し船舶を尖閣周辺に侵入させていますが日本共産党、左翼人は中国人民解放軍が尖閣に侵攻したらどうするか、という議論は決してしない。

習近平が台湾併合のために台湾を攻撃したらどうするかという議論も、左翼は決してしない。

安倍内閣の軍拡を徹底批判している同志が戦争を始めるなどという事を言い出す日本人こそ戦争勢力だ、と日本共産党、左翼人士はみるのです。

従って日本共産党に安全保障政策など存在するはずもない。憲法九条こそ最大の安全保障だ、という話です。


日本共産党、左翼人が訴える憲法九条を基礎にした外交とは―自衛隊解散が前提


日本共産党の文献を見ると、同党はまず日米安保廃棄を実現する。

その後、国民の合意が得られたら自衛隊を解散する。日米安保廃棄と自衛隊解散により、憲法九条が完全実施できる。

日本が軍事力を一切なくし、憲法九条を完全実施してこそ、周辺諸国への軍縮を呼び掛ける資格ができるという発想です。

日本が一切の軍事力を持たないようになれば、アジアで最大の戦争国家がなくなりますからアジアには平和が訪れる。

中国共産党、朝鮮労働党、ロシア、韓国と日本は真の友好関係を結ぶことができる。

自衛隊解散が今すぐに実現できないなら、自衛隊の保有武器が少しでも減るよう全力を注ぐのが、日本共産党と左翼人の使命です。

こんな視点で、日本共産党と左翼人は桜の見物方式で大騒ぎをしているのです。

日米安保廃棄、自衛隊解散は日本共産党と左翼人士の宿願ですが、日本侵攻を策す中朝露の願いでもあります。


習近平、金正恩は日本共産党、左翼の視点では平和のために戦う指導者-安倍内閣の軍拡を批判しているから―


習近平、金正恩は日本共産党の視点では、平和のために戦っている優れた指導者です。

この類の発想は、若い頃ベトナム反戦運動に参加した「団塊の世代」やそれより上の方々には受け入れられやすい。

「戦争を知らない子供たち」という歌が昔流行しました。

今聞いてみると、この歌は「団塊の世代」のテーマソングのように思えます

「戦争が終わって、僕らは生まれた。戦争を知らずに、僕らは育った~」という歌詞です。

小学校の頃、私はよくこの歌を聴きました。良い歌と思いますが。

ベトナム戦争反対、の運動に若い頃身を投じた方々は、ベトナムを支援した中朝は平和勢力そのものです。

久しぶりに、小田実「歴史の転換のなかで」(昭和55年、岩波新書)を少しめくってみました。

小田実さんによれば、金日成と北朝鮮は「非同盟政治」「非同盟経済」「非同盟軍事」を追求しています。

主体思想は「非同盟文化」の思想だそうです(同書p93)。

この本が出た頃、北朝鮮の凄惨な人権抑圧はまだあまり知られていませんでした。残念ながら、小田さんはこの後もずっと、北朝鮮の実状を把握しなかった。

ベトナム戦争反対運動に若い頃身を投じた方は、ベトナムを支援した中朝が戦争国家という事実を認めることは極めて困難なのでしょう。

左翼は中国、北朝鮮による核軍拡の実態について、思考と議論ができない。

山本太郎さんとれいわ新選組の皆さんも、習近平、金正恩は米国、安倍内閣の軍拡を批判しているから平和勢力、進歩勢力とみるのでしょうか。

金正恩の核ミサイルの標的は日本なのですけれどね。

核兵器の小型化、軽量化のためにミサイル実験を繰り返す金正恩が平和勢力なら、言葉の遊びとしか思えません。







2019年12月15日日曜日

市場経済では生産手段の社会化(資本主義的搾取の廃止)はできない―不破哲三「マルクス主義と現代修正主義」(昭和40年、大月書店刊行)より思う

「(エンゲルスは)生産者間の市場競争を存続させ、生産を自然発生的な発展にまかせてるデューリング式『社会主義』は、コンミューンが資本家にとってかわっただけで、実際には資本主義社会をすべてその欠陥とともに復活させざるをえないことを詳しく論証した」(不破哲三氏の同書p48より抜粋)。


この本を書いた頃、昭和5年生まれの不破哲三氏は35歳くらいです。若き不破氏の才気と、日本革命への熱意がひしひしと感じられる本です。

初めの章は「ユーゴスラビア修正主義批判」と題されています。

市場的社会主義、労働者自主管理社会主義といえばユーゴスラヴィアが先駆的存在でした。

ハンガリーも市場経済を早くから導入していました。

日本共産党を支持するマルクス主義経済学者が、社会主義経済について真剣に考えるのなら、ユーゴスラヴィアやハンガリーの経験に学べ、という話になるはずです。

私が早大の学生だった頃、故関恒義教授(一橋大学)がそんな話をよくされていました。

しかし今の左翼の皆さんはユーゴスラヴィアとハンガリーについて沈黙しています。

ユーゴスラヴィアは民族対立から崩壊。今のハンガリーは、移民排斥を主張する政党が政権についているらしい。

旧ソ連、東欧は悪戦苦闘の末、資本主義経済となりました。

中国は国家独占資本主義と見るべきではないでしょうか。帝国主義そのものです。

若き不破哲三氏の予測は的中したー市場的社会主義は資本主義になる―


従って、エンゲルスの「反デューリング論」を熱心に学んだであろう若き不破哲三氏の予測は、的中したのです。

上記の「コンミューンが資本家にとってかわっただけだ」という指摘は面白い。

これは次のように考えればわかりやすい。

市場経済で労働者の集団がある会社の株式を大量購入し、経営権を握って経営者になったとします。

近年はこれをEBO(Employee Buyout)と言います。

労働者が管理するその企業は勿論、同業他社との厳しい競争に直面しています。

競争に敗北し債務超過になったら、労働者管理企業の株価は暴落します。

経営者だった労働者は辞任し、企業は銀行など債権者の管理下に入り、整理解体されていくでしょう。

それが嫌なら、賃金を切り詰め、競争力を強化する投資を積極的に行い競争に勝ち抜くしかない。

これは今でも、普通の会社がやっていることです。経営者が日本共産党員でも同じです。

労働者が会社の経営者になっても、競争に勝つために利潤本位で会社を経営する

私は本ブログやtwitterで何度か、労働市場と金融資産市場が存在すれば生産手段の社会化(資本主義的搾取の廃止)はできないと述べてきました。

市場経済で財市場、商品市場が存在するのは当然です。

金融資産市場が存在すれば、株式の売買による企業経営権の獲得は可能です。

労働市場が存在すれば経営者は自由に労働者を雇用できます。

この経済は資本主義経済でしかない。宇野派の定義でも、労働力が商品になっている社会は資本主義経済です。

生産手段の社会化、という正統派マルクス主義経済学の中心的主張は、私見では下記です。

ソ連のように生産手段を国家に集中し、経済全体を中央計画経済で運営することによってこそ、「生産の社会的性格と取得の資本主義的形態の矛盾」(エンゲルス)を解消できる。

これは、若き不破哲三氏の同書での主張と殆ど同じです(同書p42)。

各企業を労働者が直接運営しても、各企業は同業他社と競争しているのですから、利潤本位で生産を行うしかない。

EBOですが、十五年くらい前に米国の航空会社が破綻しかけたときこれがなされたと記憶しています。

最近、名前を忘れることが多く、航空会社の名前を思い出せません。

社会主義経済の中央計画と個人の主体的経済行動の矛盾ー誘因両立性―


「生産手段の社会的所有」の困難については、宇沢弘文教授が随分前に指摘しています(「現代資本主義と社会主義―その経済学的考察ー、館龍一郎・小宮隆太郎・宇沢弘文編「中国経済 明日への課題」(東洋経済新報社昭和59年刊行、第一章所収)。

宇沢教授によれば、経済計画によって指示されるものと、各個人の主体的行動様式は必ずしも一致せず矛盾しうる。

誘因両立性(Incentive Compatability)の問題があるという主張です。

これは「契約の経済学」やゲーム理論が発展した今日では常識的な事ですが、35年前に中国経済を観察して誘因両立性の問題を看破した宇沢教授の慧眼に、今更ながら敬服します。

いまだに「生産手段の社会化」や「資本主義的搾取の廃止」に固執している正統派マルクス主義経済学者は、東欧社会主義崩壊後のこの三十数年間、一体何を研究したのでしょうか。


2019年12月14日土曜日

日本共産党はなぜ中国共産党に、高野功赤旗記者の件で謝罪と償いを要求できないのか―不破哲三「日本共産党と中国共産党の新しい関係」(新日本出版社平成10年刊行)より思う

「日本共産党と中国共産党との関係正常化についての合意四より・・双方は今回の会談により、両党間に存在した歴史問題が基本的に解決されたことを確認し、日本共産党と中国共産党との関係の正常化を実現する事に合意した」(同書p74より抜粋)。


もう四十年余りの歳月が流れました。

昭和54年3月7日。高野功赤旗記者はベトナムのランソンという町で、中国人民解放軍によるベトナム侵略の現場を取材中、人民解放軍に射殺されました。

当時の日本共産党は中国共産党を強く批判しました。

しかし最近の日本共産党は、この事件について完全に沈黙しています。

香港の事態で、日本共産党は中国当局を批判する声明を出しました。

人民解放軍による高野功赤旗記者の件で中国共産党に謝罪と償いをせよ、と主張する日本共産党議員、職員は皆無です。

山添拓議員、吉良よし子議員ら若い日本共産党員はこの事件そのものを御存知ないのでしょう。

なぜ志位和夫委員長は高野功赤旗記者の射殺について沈黙しているのか


志位和夫委員長らこの事件当時の「赤旗」紙面を覚えている日本共産党幹部が沈黙する理由を推測してみます。

私は上記の中国共産党との合意「両党間に存在した歴史問題が基本的に解決された」によると考えます。

歴史問題は基本的に解決された、と日本共産党が認めたのですから、今更謝罪と償いを中国共産党に要求などできません。

「日中両党合意に反する」と中国共産党に脅かされてしまいます。この合意が存在する限り日本共産党は、人民解放軍による赤旗記者射殺を批判できません。

日本共産党は中国覇権主義に屈服したのです。日本共産党は中国覇権主義、という語を近年は用いていません。

中国共産党との交流再開を熱心に進めたのは、不破哲三氏です。

不破哲三氏にとって、赤旗記者の生命と人権より、中国共産党との科学的社会主義の理論交流のほうが大事だった。

今の日本共産党は香港の事態で中国共産党を批判していますが、中国共産党が科学的社会主義の党であるという認識は変えません。

20年ほど前に不破氏が主導して締結した日中両党合意は今日でも生きています。

日本共産党と中国共産党は、共に世界の共産主義運動を進める同志なのです。

これは今後、香港でどんなに酷い人権抑圧がなされても不変と考えられます。

中国共産党の人権抑圧は、建国以来一貫していますから。

現代中国は帝国主義だ―中国共産党は日本国家の破壊を策している


中国で人権が保障され、民主主義的な政治体制が存在した時期はありません。中国には事実上、選挙はない。

選挙らしきものはありますが、中国共産党幹部から住民に、誰に投票しなさい、という指令が来るそうです。

日本に定住する中国人の中には、領事館の在日指導担当者にいろいろと指導を受ける方がいます。

左翼は定住外国人に参政権を、と叫びますが、これが実現したら中国共産党、朝鮮労働党や韓国政府と韓国左翼が正々堂々と日本の内政に干渉できます。

日本国家の弱体化、徹底的破壊を目指す外国が存在することを、私は繰り返し訴えたい。

レーニンの「帝国主義論」の視点で中国を分析したら、現代中国は帝国主義そのものではないでしょうか。

マルクス主義経済学者には、毛沢東と中国共産党への尊敬観を未だに持っている方が少なくない。

毛沢東は人民を教師とした、などと本気で信じている方がいます。中国共産党を少しでも批判する中国人は、毛沢東にとって人民ではないのですけれどね。





2019年12月8日日曜日

左翼知識人、運動家はマルクス主義を放棄し、ベルンシュタインが唱えた社会民主主義を再検討すべきだ―労働者階級には祖国があり、国民には国防の義務がある―

資本主義的搾取の廃止、生産手段の社会化はできない。日本革命、世界革命はない。左翼知識人、運動家はベルンシュタイン以来の社会民主主義の思想、政策論を再検討すべきである。


山本太郎さん(れいわ新選組)の演説をインターネットで見ました。

私は山本太郎さんの安全保障観、原発論には到底共感できませんが、マクロ経済学を熱心に勉強されていますね。

銀行による信用創造の仕組みを、街頭演説で説明する政治家を見たのは初めてです。

熱意のある左翼政治家を久々に見ました。小田実さんの世界観と近いものを持っている方と思います。

れいわ新選組の中心的な支援者には、小田実さんの「日本をよくする市民連合」に参加していた方がいるらしい。

山本太郎さんには小田実さんが毛沢東、金日成という大量殺人を断行した独裁者を礼賛してしまった事を知って頂きたいものです。

労働者階級には祖国がある


本ブログでも何度か触れましたが、私は若い頃左翼でした。

旧友や大学院の先輩には、左翼運動に熱心に取り組んでいる方が少なくありません。

そんな方々に私が申し上げたいことは、上記の「労働者階級には祖国がある」です。

革命など存在しえない。選択すべき体制は、資本主義経済なのです。

マルクス、エンゲルスの資本主義の未来論は全く間違っており、ベルンシュタインの予見が正しかった。

左翼知識人、運動家はこれを認めるべきです。

ベルンシュタインによるマルクス、エンゲルス批判は多岐にわたりますが、その中の最重要命題は「労働者階級には祖国がある」であると考えます。

生産手段の社会化など不可能で、資本主義経済の枠内で失業の減少、非正規職から正規職への転換増を訴えるのなら、それは国家による経済政策を考えるしかない。

財政、金融政策をどう実施するか。財政政策により、社会資本をどう建設するのか。社会資本とは何か。

国家による経済政策が必要なら、国家を核ミサイルやテロなどで滅ぼそうとする外敵から守る軍事力が必要です。

強力な自衛隊と日米軍事同盟は日本国家存続のために必要な社会資本です。

仏のミッテラン政権は、国防を重視して核軍拡を推進したのではないでしょうか。仏左翼なら、日本に核武装を勧めることでしょう。

生産手段の社会化、搾取の廃止などできないという件については改めて論じたいと思います。

簡単に言えば株式会社が存在し、労働市場と金融資産市場が存在するなら資本主義的搾取が広範に存在すると考えます。

民主主義を実現するために、国民には国防の義務がある


ベルンシュタインは、民主主義を実現するためには国民が国家に対する義務、特に国防の義務を果たさねばならないと説きました。

ベルンシュタインはロシアが危険だから、戦争を国外で行うべきであると述べています。

自国内で戦争を行うことになる「専守防衛」は自国民の大量犠牲を伴うので、危険るという発想です。

ロシアによる南進の危機に直面していた明治日本が日韓併合を行ったのは、この視点でした。

今の日本人が、当時の国際法では合法だった日韓併合を謝罪する事は、日本はロシアに併合されるべきだったと主張するようなものです。

上記の件、もう16年も前になりますが、私は野村旗守さん編「社会党に騙された!」(別冊宝島Real55号)に「社会党と共産党、どこがどう違ったか」と題して書きました。

繰り返しですが山本太郎さんには、小田実さんが毛沢東、金日成を礼賛してしまったことを知って頂きたいものです。

ベトナム反戦運動に参加された小田実さんは、米国と朝鮮戦争で対決した中国共産党、朝鮮労働党こそ、「たたかう市民」だったのでしょうね。

習近平、金正恩は市民ですか。れいわ新選組を支援する皆さんに、御検討頂きたい。



2019年11月3日日曜日

被拉致日本人救出のために、金正恩の真実を伝える思想攻撃を!

日本政府は金正恩の母、高容姫が大阪出身の元在日朝鮮人で、母方祖父の高ギョンテク氏が大日本帝国陸軍の軍服づくりに協力したことを発表すべきだ。


北朝鮮に拉致された日本人を救出するためには、普通の外交交渉で何とか返してもらおうという発想では駄目です。

テロ国家北朝鮮に、普通の外交が通じるなら北朝鮮は日本人や韓国人を拉致などしない。

日本漁船を銃撃して船員を殺害しない。大韓航空機を爆破しない。韓国大統領殺害を狙った青瓦台事件やラングーンでの爆弾テロを起こさない。金正男氏を殺害しない。

では日本はどうすべきなのか。

現在、日本政府の対北朝鮮政策の基本は「対話と圧力」になっています。

私はこれを「圧力と金正恩、朝鮮労働党への思想攻撃」に転換することを訴えたい。

金正恩の母方の親族について調べ、日本政府は「官房長官談話」などの形で事実を発表すべきだ


金正恩への絶対性、無条件性の忠誠心を弱体化させる言論・宣伝活動を徹底して行うべきです。

金正恩の母が元在日朝鮮人であることだけでなく、母方祖父の高ギョンテク氏が大阪市淀川区にあった「廣田縫工所」で陸軍の軍服を製造していたことを暴くべきです。

高ギョンテク氏については、加藤健さんが防衛研究所などに残っていた資料を徹底調査して明らかにしています。

朝鮮労働党幹部と住民の中に金正恩の真実を普及していけば、自然と忠誠心は弱くなっていきます。

金正恩の側近労働党幹部や護衛を担当する幹部が、金正恩の指示をサボタージュするような状況を作り出せれば、北朝鮮の人々が金正恩を除去しうるのです。

金正恩の除去。これこそ、全ての拉致日本人を救出する決定打となりえる。

金正恩への忠誠心を弱体化させるためには、金正恩の母親高容姫が大阪出身の元在日朝鮮人であることを対北朝鮮ラジオ放送や中国、朝鮮半島向けの海外衛星放送で暴くべきです。

なぜそれが思想攻撃なのか、と思う方もいるでしょう。北朝鮮社会では血統が徹底的に重視されています。

金日成の孫、金正日の息子である金正恩は「白頭血統」で、百戦百勝の偉人とみなされています。

金正恩の母親について語るのは北朝鮮社会では絶対のタブーです。

金正恩の母親は元在日朝鮮人らしい、という噂話をしてそれが国家安全保衛省に密告されたら、処刑か家族全員で政治犯収容所行となりえる。

首領金正恩は「白頭血統」どころか「富士山血統」ではないか、という噂が広まってしまいます。これは首領冒涜罪そのものです。

金正日には四人の「妻」がいたー金正日は高容姫を金日成に紹介できなかった


金正日にはわかっているだけで四人の「妻」がいました。最初の「妻」は成ヘリムさんか、別の女性です。確か金英淑という方です。

金英淑さんは、金正日の長女を産んでいます。この方は、どういうわけか金正日は金日成に紹介できたらしい。

金日成に紹介された女性は、金正日の正妻です。私はこの話を最初にある韓国人運動家から伺ったとき、何でそう言えるのかわかりませんでした。

少しして、北朝鮮では金日成の言葉が法そのものだからな、とわかりました。

金正恩の母親高容姫は、元在日朝鮮人ですから金正日は父親金日成に紹介することすらできなかった。

金正恩には、祖父の金日成と一緒の写真がありません。これが存在すれば、北朝鮮社会では金正恩の正統性を訴える材料になるのですが。

金正日は、金正男さんと母親成ヘリムさんも金日成に紹介できたらしい。

成ヘリムさんは朝鮮戦争のときに韓国から来た「越南者」の家系なのですが、元在日朝鮮人のような扱いは受けていなかったようです。

金日成は元在日朝鮮人が金正日の嫁になることなど許さなかったのでしょう。

元在日朝鮮人が金正日の後継者を産むなど、金日成には想像もできなかったでしょう。

日本政府は金正恩の兄、金正哲さんのギター独演会を生野区で開きたいと声明を出すべきだ


高容姫は金正哲、金正恩、金与正と三人の子供を産んでいます。

金与正は現在、労働党の宣伝扇動部の部長という高い地位にいるようですので、平壌の高位幹部ならあの方が首領様の妹さんだ、と知っているでしょう。

しかし兄金正哲の存在は、タブーのようです。金正哲さんは、元外交官のテ・ヨンホ氏によればギターの達人です。

そこで日本政府は、金正哲さんを日本に招き、お母さんの故郷、大阪市生野区でギターの独演会をやってほしい、という声明を出すべきです。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんも、金正恩の兄、金正哲さんが生野区でギターの独演会を開催されるなら是非聴きたいでしょう。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、朝鮮学校の無償化適用を訴えるのなら、日本人と共に金正恩の兄、金正哲さんによるギター演奏をじっくり聴いて人間関係を作る事からはじめるべきではないでしょうか。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんから、朝鮮労働党の在日組織指導担当者に金正哲さんのギター独演会を生野区で開催したい、と要望なさったらいかがですか。

独演会が実現したら、金与正にもお母さんの故郷、生野区を訪問して頂けたら良いのですが。

お母さんが通った小学校はどうなっているかな。

元在日朝鮮人と現地の住民の対立


金正日が元在日朝鮮人の高容姫を金日成に紹介できなかった背景として、元在日朝鮮人(帰国者)と現地の住民の対立関係があります。

元在日朝鮮人は、帰国者と呼ばれ、現地の住民と根深く対立してきました。

現地の住民から見れば、朝鮮語でなく日本語を母語とする元在日朝鮮人(帰国者)は侮蔑の対象です。

元在日朝鮮人から見れば現地の住民は人生に選択肢がある、という事がわからない。

首領様と朝鮮労働党の指示以外のやり方、生き方があることがわからない。

元在日朝鮮人は現地の住民を「原住民」「アパッチ」「ゲンちゃん」などと帰国者の仲間同士では呼んでいます。

金正日は自由な発想ができる舞踏家、高容姫を愛したのでしょう。金正日は無類の映画好きでした。

金正日は音楽や絵画にも造詣があったと考えられます。芸術家両親の血を、金正哲は継いでいるのでしょうね。

日本共産党は被災地の政治家(候補者を含む)、公党が有権者(被災者)に寄附(物資配布)をすることを公職選挙法違反ではないとみなすのか。

松崎いたるさんによれば、日本共産党は平成23年10月8日に宮城県石巻市の津波被災者の仮設住宅の敷地内で、住民に米を配布しました。


松崎いたるさんによれば、これを指導したのは徳留道信氏(現日本共産党都議)です。松崎いたるさんはyou tubeでこの時の動画を公開しています。

松崎いたるさんはこれは政治家による買収ではないか、とtwitterで繰り返し指摘しています。

気になったので、公職選挙法を少し調べてみました。

公職選挙法199条の(2)では、政治家(議員、候補者)による寄附を特別な場合を除き禁止しています。

私は法律に詳しくないので、被災地の政治家が有権者(被災者)に寄附(コメなどの物資配布)をすることが公職選挙法に違反する、買収行為だとまでは断言できません。

ながせ由希子さん(日本共産党長野県書記長、同党中央委員。長野四区候補者)は支援物資セットを配布した


ながせ由希子さん(日本共産党長野県書記長、同党中央委員)も、twitterでタオル、カップ麺などの支援物資セットを届けていると呟いています。

ながせ由希子さんは日本共産党の長野県書記長で同党中央委員です。ながせ由希子さんの主張と見解は、日本共産党中央の主張、見解ともいえるでしょう。

他にも、被災地で日本共産党議員や候補者が有権者(被災者)に支援物資セットを届けたり、物資を届けた例はあるのでしょう。

公党は常に、衆議院選挙を控えています。

当たり前ですが、国会議員には比例区もあります。公党にとって被災者は有権者でもあります。

私は法律家の山添拓議員に、こうした行為をどうお考えか、見解を表明すべきではと呟きましたが、山添拓議員は何も述べていません。

ながせ由希子さんにも呟きましたが、回答はありません。

日本共産党は被災地の政治家(候補者を含む)、公党が有権者(被災者)に寄附(物資配布)をすることは公職選挙法に違反していないと考えているのでしょう。

日本共産党には法律家が沢山いますが、その方々は被災地の政治家による有権者(被災者)への寄附(物資配布)は公職選挙法違反ではないとお考えなのでしょうか。

法律に素人の私には、公職選挙法違反そのもののように思えてしまう時があるのですが。

2019年10月27日日曜日

不破哲三氏の豪勢な暮らしより思うー小学校くらいの広さでの邸宅に住み、日本共産党職員が常時5名宿泊し運転手兼掃除、炊事担当。

不破哲三氏は富裕層ですね。


日本共産党は大企業と富裕層への課税強化を主張しています。富裕層とは、保有する純金融資産が1億円以上の方々です。

私は不破氏が保有する資産と債務額を存じませんが、保有する純金融資産が一億円未満とは考えにくい。

インターネットで散見する記事によれば、不破氏の邸宅は地元の小学校くらいの広さです。

空から撮った不破氏の邸宅写真がインターネットに出ています。どこの放送局かわかりませんが、不破哲三氏の邸宅が何かの番組で放映されたこともあるようです。

日本共産党の国会議員秘書を長く務めた篠原常一郎氏の論考(雑誌「正論」平成28年11月号掲載)によれば、この邸宅には日本共産党職員が常時5名宿泊しています。

常駐している職員が運転手兼掃除、炊事を担当しています。

今どき大企業の経営者でさえ、社員を常駐させて運転手兼掃除、炊事をやらせるようなことはしません。

そんなことをやれば、株主総会で追及されるでしょう。大企業なら、どこかの週刊誌に記事にされてしまうでしょう。

宮本顕治氏も、同じような事をしていたらしい。宮本顕治氏の場合、御自分を明治の文豪と勘違いしていたのではないでしょうか。

明治期には文豪の家に住み込んで修行する「書生」という方々がいましたから。


日本共産党職員に残業・休日出勤手当はないー労組結成は規約で事実上禁止


不破氏の邸宅に常駐している職員の給与は勿論、日本共産党が支払っています。

使用人扱いされている日本共産党職員は、志位和夫氏ら指導部に「不破氏も同じ日本共産党員だ。特別扱いはおかしい」という声をあげられない。

職員がそんなことを言ったら、査問され何らかの処分をされかねません。

日本共産党職員には、残業・休日出勤手当は支給されません。労組結成は、規約で事実上禁止されています。

これは、労働法違反ではないかという声もあるでしょう。

日本共産党は、自発的に革命家として業務を遂行しているので、労働者ではなく自営業者である、という解釈をしているらしい。

なるほど、自営業者なら労働法は適用されないでしょう。しかし自営業者なら、自営業者同士で組合のような組織を結成しても良いはずです。

自営業者なら、志位和夫氏ら指導部から指令を下されるはずがない。

日本共産党職員は労働者化、自営業者か。この件、山添拓議員や、たつみコータロー前議員に見解をお尋ねしたいものです。

なお、若い頃の不破氏は邸宅住まいなどしていなかった。

30数年前ですが、不破氏は東京都墨田区、江東区あたりを地盤としていました。

不破氏は書記局長としての業務に忙しいので、奥さんが一生懸命地元の支援者に挨拶まわりをなさっていると伺いました。

その奥様も、故萩原遼さんによれば、日本共産党東京都委員会に「ああせい、こうせい」と電話をしてくるので「こうせい(江青)夫人」と呼ばれるようになったそうです。

一労働者から富裕層になると、人は変わるのでしょうね。民主主義文学運動に参加している方々が、不破氏の変貌を題材にしたら面白い作品になりそうです。

2019年10月26日土曜日

中国共産党は北大教授の研究動向を調べていた―日本人研究者、評論家、運動家の言論活動を調査する中国共産党

新聞報道によれば、北京の研究機関、社会科学院から研究報告を求められて訪中していた北大の研究者が北京市内のホテルで拘束された。


在中日本大使館員が教授と面会しているので、健康状態に問題はないらしい。

この件についてジャーナリストの福島香織さんが呟いていたが、中国の国家安全局、中国共産党は初めからこの教授を拘束する目的で北京に招いたのではないか。

周知のように中国共産党は中国国内での言論活動を徹底的に統制している。

中国共産党の日本担当者がインターネットで調べれば、日本人研究者、評論家、運動家が中国、日中関係についてどんな発言をしているのかはすぐにわかる。

その中でこれは、と思う人物のリストを中国共産党の日本担当者が作成していてもおかしくない。

中国共産党の民衆支配の仕組みや、中国共産党幹部の資産蓄積方式などを研究し発言している方々がリストに入っている事は十分考えられる。

中国共産党の宣伝に協力する左翼知識人のリストも存在するであろう。

中国共産党は、自分たちに協力する日本人の中に、日本当局のスパイが潜んでいるとみる。

中国を訪問する左翼知識人は、中国共産党の動向を考慮しているのだろうか。

日本共産党の「赤旗」にはこんな話は全く出てこないが、日本共産党が出している中国共産党に関する文献を読みこめば、中国共産党の本質が徐々に見えてくる。

マルクス主義経済学に関する沢山の著作を出されている石川康宏教授は中国共産党は社会主義を目指しているとお考えなのだろうか。

今の中国で生産手段が社会化され、搾取が廃止されているなど、マルクス主義経済学者でも言わないだろう。

それでは、毛沢東と中国共産党が行ったという「あたらしい民主主義革命」とは一体何だったのか。

マルクス主義経済学者なら、これを問い直すべきと私には思えるが、そういう問題意識のあるマルクス主義経済学者はいなさそうである。

中国共産党の在日本組織は存在する


勿論中国共産党は、日本に長期滞在ないしは日本の永住権を獲得した中国人研究者や評論家の言論活動、研究動向はとっくの昔に把握しているだろう。

どのくらいの規模かわかりようもないが、中国共産党の在日本組織も存在しているはずである。

一昔前に中国共産党は、毛沢東崇拝を日本に広め、毛沢東主義者からなる中国共産党の在日本組織を作っていた。

この組織が今どうなっているのか私にはわからないが、同様の手法で中国共産党は日本国内に組織を作り、知識人・運動家対策を行っていると考えられる。

日本各地にある中国の領事館に、中国共産党の在日組織指導担当者が配置されている可能性を指摘しておこう。

中国朝鮮族の外交官が金正恩の動向を調査しているのでは


勿論中国共産党は韓国や北朝鮮内部にも、中国共産党に追随する人々の組織ないしは人脈を形成しているだろう。

張成澤はその一人だったのではあるまいか。張成澤処刑の頃に「労働新聞」に出た論考にはそれを思わせる記述がある。

多くの脱北者は、張成澤の一派と目された幹部は、家族も含めて収容所に送られたと話す。収容所送りあるいは処刑された人が一体何人になるのか、推測は困難である。

「反党反革命分子」の子供まで処刑されたという噂もあるが、真偽は不明。収容所送りになった子供は存在するであろう。

北朝鮮の最大の貿易国は中国である。

外貨稼ぎのためには、金正恩は労働党幹部が中国で活動する事を認めないわけにはいかない。

中国共産党は朝鮮労働党幹部と接触する中で、金正恩の動向についての情報を提供する人物を組織しているだろう。

中国朝鮮族の外交官が平壌の大使館で、情報提供者形成に励んでいる可能性を指摘しておきたい。

2019年9月29日日曜日

日本共産党・左翼知識人の近現代史観より思うー不破哲三「党綱領の力点」(日本共産党中央委員会出版局)より

日露戦争(1904~05年)は、日本にとっては、ロシアを押しのけて朝鮮の支配権を確実にするとともに、さらには満州に、ロシアに代わって勢力圏を打ち立てる、このことを争った戦争でした(同書p27より抜粋)。


不破哲三氏ら左翼知識人は、上記のように日露戦争を日本が帝国主義化するために行った戦争とみなします。

大日本帝国憲法下の明治日本は、左翼史観では絶対主義的天皇制の軍国主義国家です。

不破哲三氏ら日本共産党員には、帝政ロシアが南下政策をとっていた事、明治日本が帝政ロシアの南下政策を阻止できなければ、徹底的に蹂躙されただろうという事がどうしても理解できない。

歴史にもしも、ですが日露戦争で日本が負けていれば、帝政ロシアが朝鮮半島と満州を支配していたでしょう。

帝政ロシアは強大化し、明治日本は弱体化します。日本は帝政ロシアに徹底的に蹂躙されたでしょう。

エジプト=トルコ戦争(1831-33、1839-40)以後、欧米列強間でオスマンの領土分割をめぐる争いが本格化します。

クリミア戦争(1853~56)も、ロシアの南下政策によるものです。

戦国武将の末裔である、明治日本の指導者たちはロシアの脅威を察知したのです。日露戦争は祖国防衛戦争だったのです。

日韓併合の頃の国際社会は、たとえて言えば戦国期の日本のようなものです。強国が弱小国を支配するのが当たり前でした。

弱小国の武将は支配されたくなければ、一刻も早く自国の武将を戦国大名にし、集権化して軍事力を強化して他国に進出するしかなかった。

勿論、ロシアは大英帝国の世界支配に挑戦したという見方もできるでしょう。

帝政ロシアの南下政策を直視できない不破哲三氏ら日本共産党員と左翼歴史学者は、日露戦争は韓国への侵略戦争であり、日本は朝鮮半島を植民地化したと主張します。

日韓併合は当時の国際法では完全に合法でした。

清朝、李氏朝鮮に国家主権、国民主権という発想はあったかー中華帝国皇帝は全人類社会の帝王として天帝に認められた


不破哲三氏ら日本共産党員は、国家主権と国民主権という考え方が李氏朝鮮、清朝にもあったと本気で考えているのでしょうか。

清朝や李氏朝鮮には議会や選挙は存在しません。国民が領土内で主権を持つという考え方があるはずもない。

中華帝国の皇帝は全人類社会の帝王である、という発想です。華夷秩序が、約二千年間中華帝国と周辺諸国間に存在していました。

周辺諸国は、中華帝国の皇帝の謁見を得る際、三跪九叩答礼をせねばならなかった。

中華帝国皇帝は全人類社会の帝王と天帝に認められているのですから、全世界は中華帝国皇帝の所有物です。

華夷秩序の世界観に、主権国家など存在しえない。従って領土、領海はない。

李氏朝鮮の頃の朝鮮半島の住民に、貴方は李氏朝鮮という国の国民として、領土と領海内で主権(最高の権限)を持っていますか、と誰かが聞いたら理解不能だったでしょう。

李氏朝鮮は明や清という中華帝国皇帝に臣下の礼を取ることにより、その地域での統治を許された。

全人類の帝王を抱いている華夷秩序を想定している人々の脳裏に、自国の領土はこの範囲で、それ以外を統治する他国には、他国の国家主権があるという発想はない。

国際社会は戦国時代―帝国主義国による世界分割がなされた時代


私は日韓併合の頃(明治43年。1910年)の国際社会は弱肉強食、日本の戦国時代のようなものだったとツイッターで繰り返し主張ました。

中野顕さん(日本共産党新宿地区の職員)は私の呟きに直接反論したわけではありませんが、不破氏の著作と同様の呟きを繰り返し発信しています。

昔の国際法は、ある地域の支配権をめぐって強国が争ったとき、戦争の勝者がその地域を支配する事が当然とされていました。

日露戦争に勝利した日本が朝鮮半島を支配する事は国際的に当然視されていた。

戦国日本では勝者こそ正義です。昔の国際社会も同様です。

中野顕さんは、当時の国際社会が戦国日本と同じだったという主張は嘘だ、と呟きましたが、帝国主義による世界分割をレーニンの「帝国主義論」も明記しています。

レーニンの「帝国主義論」が大嘘だったと中野顕さんは言いたいのでしょうか。

明治日本が生き残るために富国強兵、海外進出以外の道はあったのか


明治日本が国際社会で生き残ろうとするなら殖産興業から富国強兵、対外進出以外の道があったでしょうか。

この問いについて、不破哲三氏ら日本共産党員、左翼歴史学者は一切の思考と議論をしない。

この時期のアジアには、主権国家体制はないから領土、領海が定まっていない。海外に進出して拠点をおかねば、貿易すら困難な時代です。

公海という概念がないから、民間船舶の公海無害通航の原則など存在しない。

李氏朝鮮の頃の朝鮮半島の住民に、貴方は李氏朝鮮、大韓帝国という国の国民として、領土と領海内で主権(最高の権限)を持っていますか、と誰かが聞いても理解不能だったでしょう。

繰り返しますが中華帝国の皇帝は全人類社会の帝王である、という発想が華夷秩序の基本です。

日本の統治に反抗した方々には、大韓帝国の国家主権を守るという発想はない。

朝鮮半島の住民は日本が華夷秩序を破壊したから怒り、日本と戦ったのです。

不破哲三氏は「党綱領の力点」で朝鮮半島が日本にどう支配されていったかを述べていますが、ロシアの南進策を無視している。

大英帝国のアジア進出についても一切言及していない。

欧米列強は、有色人種の国家に国家主権があるとは認めなかった


この時期の欧米諸国に、有色人種にも主権国家が存在する、などという発想があるとは到底考えられません。

国家主権という考え方は、欧州諸国間に限定されていました。

ムガール帝国は大英帝国に滅ぼされました。皇帝は流刑。

不破哲三氏ら日本共産党員、左翼歴史学者はインド帝国(1877~1947)も国際法では無効、不法だったと主張するのでしょうか。

ところで、植民地と言う語をどのように定義するのでしょうか。欧米諸国が「発見」し植民していった地域の総称なら、南北アメリカは植民地です。

南北アメリカが植民地なら、植民地経済発展論は適切です。

アフリカも植民地だったのでしょうが、白人はアフリカの気候に耐えられなかった。アフリカに植民した白人は絶滅したと聞きます。

気候は、人類の歴史にかなりの影響を及ぼしていると考えられます。

経済発展の遠因は植民地支配だ、という見解については、あらゆる角度から検討されるべきですね。






2019年9月21日土曜日

吉見義明教授著「買春する帝国 日本軍『慰安婦』問題の基底」(令和元年岩波書店刊行)より思うー公娼、私娼も性奴隷論―

「軍慰安婦制度と国内の公娼制(貸座敷・娼妓制度)の異同をみておきたい。両者は公権力による女性の登録という点では共通しているが、それを軍が行うか、警察が行うかという違いがある。


前借金や年季での拘束、検梅の強制、選客の自由がなく、性売を拒否することができない、居住の自由がないなど、女性の基本的人権が侵害されている点は共通だった」(同書p213より抜粋)。


この本は、左翼人の中で慰安婦問題の権威とされている吉見義明教授の近著です。最も重要な記述は私見では上記です。

この後にも吉見教授はいくつか異なる点を挙げていますが、それらは大きな違いとは思えません。

簡単に言えば、公娼と慰安婦の違いはそれぞれの登録を警察が行うか、軍が行うかという点だと吉見教授は主張しています。

それならなぜ慰安婦が性奴隷で公娼は性奴隷ではないのか?と思う方もいるでしょう。

吉見教授は貸座敷娼妓制度では外出の自由、居住の自由、遊客を選択ないし拒否する自由がなく検梅が実施されていおり廃業の自由がなかったので、事実上の奴隷制だったと述べています(同書p244)。

すなわち、慰安婦だけでなく公娼や私娼も性奴隷だった、という見解です。

大日本帝国の性産業の歴史は、性奴隷の歴史でもあるという吉見教授のメッセージが込められているのでしょう。

吉見義明教授に問うー日本政府は公娼、私娼だった方々にも謝罪と補償をせよ、という結論になぜならないのかー


私はこの間twitterで、顧客が民間人か軍人かで、公娼と慰安婦が行った性的労働サービスに違いはないから、公娼と慰安婦を異なる存在と把握すべきでないと繰り返し主張してきました。

奇妙ですが、私のこの主張と吉見義明教授のこの本の上記の主張は、殆ど同じように思えてならない。

吉見教授がこれまでの著作で、慰安婦だけでなく公娼、私娼も性奴隷だと主張されていたかどうか、存じません。

吉見教授は日本政府が慰安婦に対し謝罪をすべきと繰り返し主張しています。

しかし公娼、私娼も性奴隷だったとお考えなら、日本政府はその方々に対しても謝罪と補償をすべきで、中高の歴史教育で日本の性産業の歴史、貸座敷娼妓制度について教えるべきという結論が出るはずです。

この本の面白い点は、慰安婦の前史という視点から公娼制度を語っている事です。これも、私はこの間twitterで繰り返し主張しました。

公娼制度の延長として、慰安婦制度が形成されたと考えられます。

吉見教授にお尋ねしたい。公娼や私娼も性奴隷だったのなら、日本政府はその方々に対し謝罪と補償をすべきという結論が出ませんか。

謝罪と補償をすべき性奴隷と、放置して良い性奴隷、という区別がつくとは私には思えない。

勿論私は、慰安婦が公娼や私娼と同様の存在であるから、謝罪や補償の必要は全くないと考えています。

慰安婦の存在が日韓会談で議題にすらならなかったのは、公娼や私娼の存在が議題にならなかったのと同様で、差別でも何でもありません。

性奴隷の人権はどうなる、という方もいるでしょうが、この時代に今の視点から人権が保障されていた職業がどれだけあったでしょうか。

兵士は勿論、炭鉱夫や港湾労働者(沖仲仕)の労働条件も過酷でした。労災という概念がない時代です。農民や漁民は、不作や不漁ならたちまち生活に窮した時代です。

昭和恐慌の頃の農村で、業者に売られた娘、作男として豊かな農家に売られた男の子は一体どれくらいいたのでしょうか。

吉見教授のこの本を高く評価している池内さおりさん(日本共産党前衆議院議員)は、慰安婦と公娼、私娼は皆性奴隷だったという見解に賛成なさっているのでしょう。

それなら池内さおりさんは、公娼や私娼だった方々にも日本政府は謝罪と補償をすべきと主張するのが筋ではないでしょうか。

朝鮮半島の性産業史とその背景ー妓生と地主・小作人制度


朝鮮半島から慰安婦が沢山出た背景の一つは朝鮮総督府による公娼制度導入です。公娼制度導入により、遊郭が形成されました。

そこで性的労働サービスを供給、販売する企業の経営方式を学んだ方がいたのでしょう。性産業の企業の経営者層がここから形成されたと考えられます。

ここからも、慰安所を経営する方が出たと考えられます。

性的労働サービスを提供する労働者の供給源は、当然ですが農村です。日韓併合期には、都会と言えるような地域はあまりない。

ソウルと釜山くらいでしょうか。

朝鮮半島の農村では、地主の力が非常に強く、小作人が貧しい生活をしていました。

貧しい家庭の娘の中には、親により業者に売られたので妓生や慰安婦にならざるを得なかった方が沢山いました。

この本の第Ⅲ章の2「朝鮮での性買売の拡大」には、日露戦争以後朝鮮半島に進出した日本軍人を相手にする業者も朝鮮半島で増えたこと、日本漁民の朝鮮進出により、女性を連れた接客業者が朝鮮半島に移動した事が指摘されています。

日本軍人や、漁民を顧客として性的労働サービスを提供した方々には、農村の貧しい家庭の娘たちも少なからずいたのでしょう。

性的労働サービスを提供する労働者は、どういう背景があってその仕事に就くことになったのか。

歴史学者なら、それも検討するべきではないでしょうか。

左翼歴史学者は、慰安婦の方々が慰安婦という道を選択せざるを得なかった社会的背景をあまり問いたがらないように思えます。

勿論、一冊の本で大日本帝国の性産業形成歴史の全てを記すことなど無理ですが。

吉見義明教授に問うー企業慰安婦制度とは何か


この本のエピローグ(p248)に、企業慰安婦制度、という語があります。この語が何を意味しているのか、よくわかりません。

p247に、エンタテイナーなどの名目で海外から女性が連れてこられ、性売強制と搾取が行われるようになった、という記述があります。

企業慰安婦制度という語が、外国から業者に騙されて連れてこられた女性が、性的労働に従事するようになった例を指しているのなら、そういえば良い。

企業慰安婦制度、などという語を作ると、現代日本の各企業に慰安婦、慰安所が存在するのかと誤解されてしまいます。

企業の管理下で性的労働に従事している女性は企業慰安婦だという意味なら、現代の性産業で何らかの性的労働サービスを提供している方々は皆、企業慰安婦です。

この本にも出てくる、飛田新地で働く方々を企業慰安婦と吉見教授は考えているのでしょうか。

この方々には廃業の自由や居住地決定の自由はありますから、性奴隷ではないが企業慰安婦だ、と吉見教授は主張したいのでしょうか。

企業慰安婦制度という語の定義について、吉見教授に御説明頂きたいですね。

2019年9月16日月曜日

朝鮮学校の幼稚園無償化に反対する―金日成の「社会主義教育テーゼ」は就学前教育にも貫徹されている―

「就学前教育の重点は学校教育の基礎をつくることにおかなければならない。

幼稚園では革命思想教育と道徳教育を基本にしながら知的発達に必要な教育を十分におこない、子供の文化的素養を高め、身体を丈夫にすることに深い関心を払わなければならない」(金日成「社会主義教育テーゼ」白峰文庫、p110より抜粋)。


左翼人と在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、朝鮮学校の幼稚園の無償化適用を強く主張しています。

私見では、朝鮮学校の最も基本的な教育方針は金日成の社会主義教育テーゼ(朝鮮労働党中央委員会第五期第十四回総会で発表。1977年9月5日)です。

朝鮮学校教員の皆さんは金日成の社会主義教育テーゼを、いろいろな機会に繰り返し勉強なさっています。

朝鮮学校教員の中で、特に優れた革命家とみなされた方は、平壌の招待所で朝鮮労働党の担当幹部から主体思想、全社会の金日成・金正日主義化の理論を学んでいます。


金正日は朝鮮学校教員に金日成の教示を現実の問題に結び付けろと指示している


金正日の論考「教育事業をさらに発展させることについて」(全国教育職員熱誠者会議参加者に送った書簡 1984年7月22日、金正日選集8、p101ー130所収)も朝鮮学校の基本的教育方針になっています。

金正日によれば、教員は敬愛する首領金日成同志の教示と党の政策を深く研究し、現実の問題に正しく結びつけねばなりません(同書p121より抜粋)。

朝鮮学校の教員の皆さんに対して出されている金日成の「教示」や金正日の「お言葉」を私は存じませんが、朝鮮学校内の朝鮮労働党の組織を通じてこれらが徹底されていると考えられます。

社会主義教育テーゼと朝鮮学校の幼児教育


社会主義教育テーゼには就学前教育、幼児教育の在り方についても示されています。

幼稚園では革命思想教育と道徳教育を行わねばなりません。

革命思想教育、道徳教育とは、金日成、金正日の子供の頃の逸話を教えて首領様のようにしなさいよ、と教え聞かせるものです。

私は、朝鮮学校の幼稚園ではおやつの時間に、「金日成元帥様、有難うございます」と園児が大きな声で言ってからおやつを食べさせると伺っています。

今も、「金正恩元帥様、有難うございます」と園児に言わせているかどうかまでは存じませんが。

「教育テーゼ」は幼児を社会の主人公に、共産主義建設の後続隊に育成するため、組織生活や規律生活で習慣づけ、集団主義思想と共産主義的道徳品性を育てることを強調しています(同書p124-125)。

朝鮮学校とは生涯を全社会の金日成・金正日主義化に捧げる革命戦士を育てるための学校なのです。

勿論、どんな学校でも教師の言うことに疑いを持つ生徒、学生はいます。

日本社会がいかに朝鮮人を差別してきたか、日本帝国主義に朝鮮人が大虐殺されたなどという教育を何らかのきっかけで疑う生徒、学生は出てきます。

例えば、日本帝国主義は線路の枕木の数だけ朝鮮人を殺した、と朝鮮学校では教えるそうですが、枕木は一体何本あるのでしょうか。

朝鮮学校の教員の皆さんは枕木の数を数えているのでしょうか。

日本帝国主義は二十万の朝鮮女性を拉致して慰安婦にしたそうですが、若い女性が次から次へと拉致されているのを当時の朝鮮半島の人々は座視していたのでしょうか。

こんな教育は、日韓併合期の朝鮮半島の人々が無気力者の集合体だったと言っているようなものです。

朝鮮学校無償化を主張する日本共産党と左翼人は南朝鮮革命(大韓民国滅亡策動)、全社会の主体思想化に協力している


朝鮮学校に無償化を適用しないのは差別だ、と日本共産党や左翼人は主張します。

宮本徹議員、大山奈々子神奈川県議(日本共産党)には、前掲著での金正日の次の指摘を是非知っていただきたい。

神奈川新聞に朝鮮学校無償化を強く主張する記者がいます。そういう方は全社会の主体思想化に賛成なさっているのでしょうか。

ジャーナリストであるなら、朝鮮学校の教員に「朝鮮学校は金日成の社会主義教育テーゼが示すように、子供達に金日成民族の一員としての誇りと自覚を持たせる教育をしおているのですか」と質問したらいかがでしょうか。

金正日は次のように述べています。

「敬愛する首領金日成同志がわが革命の開始なさってから半世紀の歴史が流れたが、主体の革命偉業は終わっていない。

我々はいまだ、分断された祖国を統一できておらず、革命の全国的勝利をおさめていない。

祖国を統一しこの地に社会主義、共産主義を建設し全社会を主体思想化する歴史的偉業を完成させるべく、これからも革命を継続せねばならない」(同書p104より抜粋)。

金正日は、朝鮮学校教員に「全社会の主体思想化」のための教育を行え、と指令しています。

察するに、朝鮮学校教員の皆さんは上記部分を暗唱するように繰り返し学ぶ際、金日成民族としての誇りを溢れるように感じていらっしゃるのではないでしょうか。

絶対性・無条件性による首領への忠誠心。これこそ、金日成民族・金正日朝鮮の一員としての誇りと自覚ですから。

朝鮮学校無償化、補助金増額を主張する日本共産党、左翼人は「全社会の主体思想化」に協力しているのです。

金正日の論考の上記部分は以下です。私なりに主体思想を学んでいます。

在日本朝鮮人総連合会の皆さん。主体思想研究会の皆さん。反論をお待ちしています。


경애하는 수령 김일성동지깨서 우리 혁명의 시원을 열어 놓으신 때로부터 반셰기의 력사가
지나갔으나 주체의 혁명위업은 끝나지 아않았으며 우리는 아직 잘라진 조국을 통일하지
못하였고

혁명의 전국적승리를 이룩하지 못하였습니다.

 잘라진 조국을 통일하고 이 땅우에 사회주이, 동산주의를 건설하며 온 사회를
주체사상화하는 력사적위업을 완수하면 앞으로도 오랜 기간 혁명을 계속하여야 합니다.








2019年9月14日土曜日

東京新聞望月衣塑子記者に問う―「第五次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第13回会合 昭和36年5月10日 北東アジア課」(外務省HP掲載資料)を読んでいるのかー

「日本側出席者 吉田信邦主査代理(大蔵省理財局次長)他。韓国側出席者 李相徳主査代理(韓国銀行国庫部長)他」。


外務省のHPに、上記の資料が掲載されています。

日本共産党、左翼人士が叫んでいる「日韓請求権協定」でも、個人としての請求権は残っているのだから日本政府、日本企業は韓国と話し合え論は日韓会談の経過を無視した暴論です。

「個人としての請求権」は韓国政府に対する請求権です。韓国政府が日本から得た資金を被徴用者に対し、殆ど支払っていないなら、韓国国内の問題です。

日韓会談で当の韓国政府が、徴用工への未払い給与などは韓国政府が日本からの資金で支払う旨、主張していたのですから。

日本共産党、左翼人士にはこの文書は都合が悪いようで、この文書について沈黙しています。

東京新聞の望月衣塑子記者が、日韓請求権協定では徴用工の人権問題が置き去りにされた旨、ツイッターで発信していました。

日韓会談では、史実はどうあれ、韓国側代表は日本が強制的に動員し肉体的、精神的苦痛を与えたと主張しています。

韓国側代表の発言を踏まえ、韓国政府が被徴用者に得た資金を配分すると約束したので日韓条約、日韓請求権協定が締結されたのです。

望月衣塑子東京新聞記者は朴正熙政権の存在を否定しているのか


望月衣塑子記者はこの文書を読んでいないのではないでしょうか。

東京新聞編集部の皆さんは、この文書を読んで日韓問題について記事を書いているのでしょうか。

読んでいないはずはないと思っています。

この文書を踏まえてそれでもなお、日本が韓国の被徴用者に直接金を払えと主張するなら、大韓民国政府の存在を否定する言論ではないでしょうか。

大韓民国政府の存在を否定する言論こそ、嫌韓論そのものです。

望月衣塑子記者は、朴正熙政権の存在そのものを否定しているのでしょうか。

そうなら、望月衣塑子記者は金日成の南朝鮮革命理論の支持者と考えられます。

そんなことはあり得ないと思いますが、望月衣塑子記者は主体思想、朝鮮労働党の革命路線を支持しているのかな、と思う方が増えてしまいかねない。

以下この文書から、被徴用者への補償に関連する部分を抜粋して紹介します。

李主査代理は国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲で取ると答えた


「李主査代理は、強制的に動員し、精神的、肉体的苦痛を与えたことに対し相当の補償を要求することは当然だと思うと答えた。

これに対し吉田主査代理より、種々問題はあると思うが、当時は一応日本人として徴用されたわけで、これらの者に対し韓国側で、

日本人に対しとられていた同じような援護措置をとってほしいということか、又は別の立場で考えてほしいということかと尋ねたところ、

李主査代理は、韓国側は新しい立場で要求しているのである。当時韓国人は日本人として徴用令が適用されたといわれるが、われわれはそう考えていない。

日本人が日本人として戦争のために徴用されることは別の話で、われわれは全く強制的に動員され、又非常に虐待をうけたのであるからその意味で考え方を変えて理解していただきたいと述べた」(p20-21より抜粋)。

「吉田主査代理より、これに関する要求は個人に対し支払ってほしいということかと尋ねたのに対し李主査代理は、国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲で取ると答えた。

そこで吉田主査代理は、自分達としては死亡者、傷病者に対してはできるだけのことはしたいという気持ちをもっている。

遺族の場合には相続人に対し援護する等という事になると思うが、韓国側で具体的な調査をされ、それを日本側とつきあわせをする用意があるかと尋ねたところ、

李主査代理は、勿論そういうふうに考えているが、それはこの会談と直接関係がないと思う。それは韓国側の国内措置でやるべき問題だと思うと答えたので

卜部主査は、韓国側の言われる新しい基礎に立つ補償とか、支払いの方法も個人ベースによらないということはわれわれのterms of referenceと離れてしまったように思うと述べた」(p22-23より)。

李主査代理は、支払いの問題は韓国政府の手で行いたいと繰り返し述べた


「日本側は韓国政府を無視するという意味ではなく、この問題についても韓国に居られた方、遺族の方々を直接対象にして考えたいということであると日本側の考え方についてるる説明した。

これに対し李主査代理は、日本側のいわれる趣旨はよくわかる。

本人の手に届くようにすることは手続きの問題であるが、それは韓国政府の方で国内措置として然るべく処理する。

問題はそのことと金額と実際の人数の問題をどう考えるかで会って、支払いの問題は韓国政府の手で行いたいと繰り返し述べたので・・・」(p27-28)。

被徴用者への支払いを、韓国政府が行うと韓国側が繰り返し述べたのですから、韓国政府が支払うべきです。

望月衣塑子記者は金日成の南朝鮮革命路線を知っているのか


東京新聞望月衣塑子記者には是非日韓問題を、朝鮮労働党の南朝鮮革命路線との関係で考えて頂きたいですね。

金日成の論考「すべての力を祖国の統一独立と共和国北半部における社会主義建設のために―わが革命の性格と課題にかんするテーゼー(1955年4月)」は南朝鮮革命理論の代表的な文献です。

この論考は、「金日成著作集」や「金日成二巻選集」(新日本出版社)に掲載されています。

この視点で日韓問題を解説している新聞は、産経ぐらいしかないように思っています。

当たり前ですが、昔の赤旗は朝鮮労働党による南朝鮮革命を支持する視点から日韓問題や韓国の現状を説明していました。

2019年9月8日日曜日

韓国政府には日韓条約、日韓請求権協定を破る権利があるのかー志位和夫氏と左翼知識人に問う

日韓条約と日韓請求権協定の記述がどうであれ、個人としての請求権は残っているのだから、日本政府、日本企業は韓国側との話し合うべきと志位和夫氏らは主張しています。


私見ではこれは、韓国政府には日韓条約、日韓請求権協定を破る権利があると主張しているに等しい。

志位和夫氏ら日本共産党員は外務省のホームページを見ているのでしょうか。

外務省のホームページに「旧朝鮮半島出身労働者問題をめぐるこれまでの経緯と日本政府の立場」(ファクトシート)が掲載されています。

日韓会談で韓国政府は、被徴用韓国人に関する請求を行っていた


この文書によれば、日韓会談で韓国が示した八項目の「対日請求要綱」には被徴用韓人の未収金や補償金及びそのほかの請求権が含まれていました。

また韓国は、交渉の席上、被徴用者全般について補償を要求することや、これが被徴用者の精神的、肉体的苦痛に対する補償を意味するとの説明を行いました。

以下の記述があります。

その上で、日韓請求権協定についての合意された議事録においては「完全かつ最終的に解決されたことになる・・・

財産、権利及び利益並びに・・・請求権に関する問題には・・・『韓国の対日請求要綱』(いわゆる八項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、・・・同対日請求要綱に関しては、いかなる主張もなしえないことになる。

「個人としての請求権」を、日韓会談当時に韓国政府は韓国人を代表して日本側に請求し、それを前提として日韓条約と日韓請求権協定が締結されたのです。

韓国政府はこの経緯を熟知しています。

それでも韓国は、日本企業に賠償を要求し、日本政府に個人への補償をするため話し合えと主張しています。

これは国際法蹂躙以外の何物でもない。

韓国政府、韓国左翼は、積弊清算の名のもと、朴正熙政権と朴グネ政権が行った外交、内政の殆ど全てを否定したい。

そのためには日本との条約や協定を次から次へと白紙化せねばならない。韓国政府は今後も徹底的に日本国家と日本人を攻撃するでしょう。

志位和夫氏への提案―日朝両党声明の朝鮮語版を日本共産党HPに掲載したら


志位和夫氏に一つ、提案したい。

昭和41年3月の日朝両党声明の日本語と朝鮮語版を、日本共産党中央委員会のHPに掲載なさったらいかがでしょうか。

傀儡朴正熙一味が結んだ日韓条約は不法で無効だ、という記述は、韓国政府、韓国左翼に強く支持されるでしょう。







2019年9月7日土曜日

日本共産党と左翼歴史学者に問うー日韓併合は当時の国際法でも不法で無効だったというのか

日韓併合(明治43年、1910年)は当時の国際法でも不法で無効だったのか。それとも合法だったのかー山添拓議員(法律家で、日本共産党参議院議員)と左翼歴史学者の見解は


この件、私はtwitterで何度か指摘しましたが、志位和夫氏は見解表明を避けています。法律家の山添拓参議院議員も同様です。

朝鮮労働党と韓国政府、韓国左翼は勿論、日韓併合が不法で無効だったと主張します。

彼らは、自分たちが日本との戦争で勝った戦勝国だと主張する。

いくら志位和夫氏や左翼歴史学者でも、日本が韓国や朝鮮労働党と戦争をして負けたなどとは言い出せません。

そんな史実は全くない。荒唐無稽としか言いようがない。

上海に臨時政府があり、日本に宣戦布告をしたとか言う宣伝がありますが、これを知っている日本人が当時どれだけいたでしょうか。

金日成は中国共産党員として満州で山賊行為をしました。朝鮮革命とは無縁です。戦争などしていません。

朝鮮総督府の存在と行政は不法で無効なのか


日韓併合が当時の国際法でも不法で無効だったなら、朝鮮総督府の下での35年間の行政は全て不法行為で無効だったという事になります。

この時代に朝鮮半島で生活していた本土の方々と、朝鮮半島から日本に来た方々は全員不法移民という話になる。

在日韓国・朝鮮人は全員、不法移民だという結論になるのです。

謝罪史観の権化のような左翼歴史学者でも、これにはついていけないでしょう。

土地調査事業や鉄道・電力の普及、学校制度普及も不法で無効だったと今から主張してどうなるというのでしょうね。

しかし朝鮮労働党はもとより、今の韓国政府、韓国左翼は断固こう主張する。

そこで志位和夫氏ら左翼人士としては、日韓併合が国際法で無効、不法だったか否かについては思考と議論をしないようにするのが最適です。

少し前の声明「韓国は敵なのか」に賛同された方々も、日韓併合は不法か否か論については言及しないようにするでしょう。

日本共産党と左翼人はなぜ日韓条約・日韓請求権協定破棄を主張しないのか


昔の日本共産党が主張した日韓会談粉砕、日韓条約破棄論も同様です。

これらは日本共産党第九、十回大会決定に明記されているのですが、志位和夫氏らは内緒にしている。

志位和夫氏ら日本共産党員は、日韓請求権協定でも個人としての請求権は残っている、日本政府もこれを認めていると喧伝しています。

いつのまにか日本共産党は、日韓請求権協定、日韓条約が合法だったと認めている。

昔の日本共産党なら、日韓請求権協定も日韓条約と共に断固破棄すべきと主張したでしょう。

韓国左翼は勿論、日韓条約と日韓請求権協定破棄を支持します。

朴正熙一味が結んだ条約だから、日韓条約は不法で無効という日朝両党声明を、韓国左翼と今の韓国政府は強く支持するでしょう。

昭和41年3月の日朝両党声明の朝鮮語版を、日本共産党のHPに出せば韓国左翼は日本共産党ともっと協力しよう、と考えるでしょう。

志位和夫氏、左翼歴史学者が韓国左翼、韓国政府、朝鮮労働党との共闘を重視するなら、改めて日韓条約破棄を主張されたらいかがでしょうか。

実際に日韓条約を破棄したら、韓国との政府間交流は勿論、民間交流も殆どできなくなります。

昔の左翼は、韓国で日本企業が工場や鉄道建設をすることも帝国主義的進出、などと評していました。

林直道教授の「経済学 下」(新日本新書)にそんな記述があります。

昔の日本共産党、左翼人は嫌韓論者の元祖ですね。韓国とは一切交流などしないで良い、と本気で考えていたのではないでしょうか。

左翼の主張に多くの日本人が同調し日韓条約を締結しなかったら、日韓の交流は殆ど何もできなかった。

それで良かったと日本共産党、左翼歴史学者は考えているのでしょうか。



2019年9月3日火曜日

渡辺和俊氏(日本共産党京都府委員長)の中国共産党はハチャメチャだ論より思うー香港問題で中国共産党を正面から批判した日本共産党幹部―

「『香港の高度な自治は必ず守られねばならない』と言いつつ、香港は中国政府に対抗する人物を行政府長官に選んではならない(8月27日環球時報)。もう、中国共産党はハチャメチャやな」(9月1日の渡辺和俊さんの呟きより抜粋)。


渡辺和俊さんのツイッターに記されているプロフィールによれば、渡辺さんは68歳。音楽と釣りを趣味とする方です。

察するに、京都で長年日本共産党の活動に励んでこられた方なのでしょう。

渡辺和俊さんが環球時報という中国共産党系のメディアを引用なさっているので、気になり検索してみました。

8月27日の社説に、確かに、渡辺さんの御指摘の記述がありました。

以下、不器用ですが環球時報の英語版から一部を訳してみました。

中国の中央政府に反対する候補は香港の長官に選ばれるべきでない


第二に、香港の高度な自治は都市と大陸間の政治的な憎しみにつながってはならない。

これは一国二制度の最低線であり、基本法と香港の選挙制度に反映されている。

中国の中央政府に反対する候補は香港の長官に選ばれるべきでない。

要は、香港市民は中国共産党に従えという話です。

志位和夫委員長でさえ、香港問題では中国共産党を批判していないのですが、渡辺和俊さんは志位さんを乗り越えて中国共産党を直接批判しました。

度胸のある方です。


香港の暴動指導者は必ず失敗するのかー中国共産党の脅迫を許すな


ところで、環球時報の9月2日付社説「香港の暴動指導者は必ず失敗する」によれば、Joshua Wong Chi-fung さんとAlex Chow Yong-kangさんの未来は悲劇となる!

なぜならお二人は、強大な国の運命に挑戦するために個人的な狂気を用いているからだそうです。

because they are using personal frenzy to challenge a powerful country's destiny)。

凄まじい脅迫です。言論抑圧以外の何物でもない。

日本共産党の皆さんにお尋ねしたい。

こんな脅迫を若者に公然とする中国共産党がなぜ、中国社会における科学的社会主義の党、中国社会の変革を担う党なのでしょうか。


日本共産党と中国共産党は同志である


不破哲三氏によれば、中国は社会主義をめざす発展の軌道をすすんでいます(「党綱領の理論上の突破点について」日本共産党中央委員会出版局p75より)。

この本が出版されたのは十四年も前ですが、不破氏は見解を改めていません。

中国共産党が香港人をどれだけ抑圧しようと、「中国は社会主義をめざす発展の軌道をすすんでいる」は日本共産党の見解であることを、指摘しておきます。

日本共産党の皆さんは、中国共産党と同志なのです。

日中両党、という表現は日本共産党が長く用いてきたものです。今後も不破氏は科学的社会主義の理論交流を続ける事でしょう。

2019年8月25日日曜日

宮本顕治氏の「敵の出方論」は著書「日本革命の展望」(日本共産党中央委員会出版部、昭和41年)に明記されている。山添拓議員ら若い日本共産党員は宮本顕治氏の論考を学ぼう―

「第一、そもそも統一戦線政府が平和的に樹立されるという前提そのものがかならずしも絶対的なものではない」(「日本革命の展望」p314より抜粋。第七回大会での綱領問題についての中央委員会の報告(二)より。昭和33年7月)。


山添拓議員、吉良よし子議員、たつみコータローさん、香西かつ介さんら若い日本共産党員は宮本顕治氏の「敵の出方論」を御存知ないか、これについて真剣に思考していない。

皆さんのツイッターを拝見しますと、日本革命について日本共産党の様々な文献を読んで思考、議論しているとはとても思えないのです。

失礼ながら、若い日本共産党員は科学的社会主義の政治学、経済学について殆ど何も知らないし、興味関心すらないように思えます。

昔の日本共産党は「モスクワ宣言」とやらを聖典のごとくみていました。

宮本顕治氏は第七回大会(昭和33年7月)、第八回大会(昭和36年7月)での中央委員会報告で、「敵の出方論」を「モスクワ宣言」に依拠して報告し、採択されました。

第七回大会での宮本顕治氏の報告によれば、革命の平和的移行は必然的なものとはなりません。

宮本顕治氏は沢山の論考を残した方ですが、ソ連共産党の革命理論を盲信していたことがよくわかります。

「野党と市民の共闘」による連立政権が平和的に樹立されるという前提も正しくない


宮本顕治氏にれば、統一戦線政府とやらでさえ、平和的に樹立されるという前提は正しくないそうです。

アメリカ帝国主義者が日米安保廃棄を適法的に拒むことも、またいすわることもできないと断定してしまう根拠もないと宮本顕治氏は第七回大会の中央委員会報告で明言しています。

従って、宮本顕治氏によれば今の日本共産党が努力している「野党と市民の共闘」の連立政権も、平和的に樹立されるという前提も正しくないのです。

「敵の出方論」を宮本顕治氏は次のように要約しています。

「マルクス・レーニン主義党としては、革命への移行が平和的な手段でおこなわれるように努力するが、

それが平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方によるということは、国際共産主義運動の創造的成果としてマルクス・レーニン主義の革命論の重要な原則の一つとなっている」(「日本革命の展望」p315より抜粋)。

若い日本共産党員は日本革命の平和的移行唯一論者なのかー社会民主主義と同じ


山添拓議員、吉良よし子議員、たつみコータローさん、香西かつ介さんら若い日本共産党員が日本革命の平和的移行唯一論者なのでしょうか。

それならば、若い日本共産党員は日本革命の平和的移行唯一論をこの時期に唱えた春日庄次郎氏ら「構造改革論」者を再評価すべきです。

「構造改革論」は当時の社会党の幹部、江田三郎氏も唱えています。

科学的社会主義の経済学の視点では、「構造改革論」は改良主義で社会民主主義だから駄目だ、という結論になります。

林直道教授の「経済学下 帝国主義の理論」(新日本新書、p224)は改良主義、社会民主主義を次のように規定しています。

改良主義→資本主義的な搾取・収奪の根本(資本主義の生産関係)を変革することをまったく考慮にいれず、資本主義の枠内での改良に労働者階級の要求や闘争を限定する立場。

社会民主主義→口では社会主義をとなえながら、資本主義的生産関係の革命的変革を否定し、労働者階級の運動を資本主義の部分的改革に限定しようとする立場。

今の日本共産党は、資本主義的生産関係の廃止の内容について思考と議論をしませんから、林直道教授が規定した社会民主主義そのものと言えます。

宮本顕治氏が第八回大会の中央委員会報告で語った「日本革命の平和的移行唯一論は社会民主主義への完全な転落だ」は適切な指摘です。

そもそも、日本革命など存在しえないのですから。所詮、資本主義の部分的な手直し以外ないのです。

なお、日韓条約が合法的に締結されたから有効だ、と今の日本共産党が考えているなら、林直道教授が規定した社会排外主義者と言えそうです。

社会排外主義→社会主義の仮面をかぶりながら帝国主義的な侵略主義を支持し実行する腐敗堕落した右翼社会民主主義者の思想と行動のこと。



日本共産党と左翼知識人はなぜ韓国政府による軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を大歓迎しないのか―マルクス主義経済学者なら日韓条約破棄を主張すべきだ

「日韓会談を朝鮮人民と連帯して粉砕する闘争はとくに重視しなければならない」(日本共産党第九回特集、p40より抜粋。昭和39年11月)。


本ブログではこの間何度も指摘してきましたが、昔の日本共産党や社会党、左翼人士は朴正熙政権を米国の傀儡とみなし、日韓会談粉砕、日韓条約破棄を叫んできました。

日本共産党の第九、十回大会決定にこれらは明記されています。

第九、十回大会決定は間違いだったという決定は存在しませんから、日韓条約破棄論は今でも日本共産党の方針です。

昭和41年3月の日朝両党声明には、佐藤内閣と朴正熙一味が結んだ日韓条約は不法で無効だ、という記述があります。

朝鮮半島は朝鮮労働党により統一されるべきであり、大韓民国は滅亡させられて当然だと昔の日本共産党、左翼は認識していたのです。

これは、科学的社会主義の政治学、経済学から導かれる当然の結論です。

朴正熙政権は、ベトナム戦争に参戦しました。

左翼にとって日韓会談粉砕、日韓条約破棄は、ベトナム戦争反対と同様にあまりにも当然だったのです。


林直道教授の「経済学下 帝国主義の理論」(新日本新書、p123)と日韓条約


林直道教授によれば、日韓条約による朴政権への10億ドル援助は米国と朴政権による朝鮮民主主義人民共和国にたいする侵略と朝鮮南部の革命運動の弾圧を助ける資金です。

もう三十数年前になりますが、早大に入学した頃の私は、林直道教授のこの本を一生懸命読みました。

当時は、朴正熙大統領が側近に射殺されて間もない頃でした。光州事件や、全斗ファン政権による金大中氏への死刑判決が出された頃です。

近年亡くなった旧友に誘われ、面倒だなと思いながらも金大中氏死刑反対、というデモに参加した思い出があります。

マルクス主義経済学者なら、日韓会談粉砕、日韓条約破棄を唱えるのは当然です。

昔の日本共産党大会決定や、マルクス主義経済学から見れば、韓国政府による日韓の軍事情報包括保護協定破棄は素晴らしい決断です。

これは文在寅大統領による朝鮮半島の平和の流れへの大きな貢献です。

そもそも日本共産党の平和理論から見れば、アジアで最大の戦争勢力は米帝国主義とそれに従属的に同盟する安倍政権です。

金正恩と朝鮮労働党に多少の問題はあっても、安倍政権の軍拡を批判しますから朝鮮労働党は本質的に平和勢力です。

韓国政府が安倍政権に北朝鮮に関する軍事情報を提供する事は、米と安倍政権による北朝鮮侵略の側面援助でしかない、と見るべきなのです。

途上国の北朝鮮が、独占資本主義の段階に達している韓国に侵攻することなどありえない、とマルクス主義経済学者は説くべきです。

「若者よマルクスを読もう」(かもがわ出版)などの著作で有名なマルクス主義経済学者の石川康宏教授は、林直道教授や畑田重夫の日韓条約論をどうお考えなのでしょうか。

志位和夫氏が日本共産党第九・十回大会決定を尊重するなら韓国政府によるGSOMIA破棄を支持する、という談話を出すべきです。

立憲民主党は日韓条約破棄論者の日本共産党と連立政権をつくるのか


実際に志位和夫氏が日韓条約破棄、GSOMIA破棄歓迎などと言い出したら、立憲民主党の幹部の皆さんはぞっとしてしまうでしょう。

日本共産党、左翼知識人には、安全保障という視点が一切ない。

科学的社会主義の政治学、経済学は北朝鮮を平和勢力と把握し、大韓民国が朝鮮労働党により滅亡させられることを社会進歩と見ます。

日韓条約破棄、自衛隊解散、日米安保破棄の日本共産党と連立政権を作るのは、かなり左傾化した立憲民主党幹部でも無理だと判断するでしょう。

志位氏はこれを先読みし、日韓条約破棄論を昔の日本共産党が叫んだことを内緒にしているのです。

志位氏は、市民連合の要望に野党の党首が署名したから、野党には共通政策があると主張していますが国民民主党幹部によればこれは要望を受けとめただけです。

立憲民主党のHPにも、市民連合からの要望書で野党の共通政策ができた、などという記述はありません。

立憲民主党幹部としては、次の選挙で日本共産党に全ての選挙区で候補者を下ろしてもらいたい。

そこで市民連合からの要望の件は、言及しないようにしているのでしょう。

狐とタヌキの化かしあい、のような話が永田町には多いようです。

韓国左翼は朴正熙政権下での日本企業との契約は無効と主張しうるー戦犯企業論


ところで、林直道教授の「経済学下」(同書p125)によれば、トヨタ自動車の子会社、新進自動車は朴政権から独占販売権を得て、一台六十万円のコロナを百二十万円で売りました。

これにより新進自動車は税引き利益二十億円をあげ、韓国第一位の企業となったそうです。

今の韓国政府は、朴正熙政権が行ったことは全て悪だ、という発想です。

韓国左翼が、朴正熙政権下で日本企業が韓国側と結んだ契約は全て暴利をむさぼっていたから独占禁止法違反だ、などと言い出し各企業に損害賠償を主張する可能性があります。

朴正熙政権下で韓国と取引をした日本企業は皆、韓国左翼の標的となりえます。

韓国の裁判所はこの類の訴えを是とし、日本企業に賠償金を支払えという判決を出す可能性を指摘しておきたい。

こんなことを言い出されたら、日本企業は韓国企業とは全く取引ができなくなってしまいますが。

慰安婦には、横浜正金銀行を通じて郷里に送金をした方が多かった。

韓国左翼なら、朝鮮半島の植民地支配に横浜正金銀行は協力した、と言い出しかねない。

これを根拠に、韓国左翼が三菱東京UFJ銀行は戦犯企業だから慰安婦に損害賠償をしろと言い出す可能性もあります。

横浜正金銀行は東京銀行が引き継ぎましたから。

日本の左翼から見れば、金融資本そのものである三菱東京UFJ銀行を攻撃する勢力は素晴らしい仲間です。

日朝両党声明(昭和41年3月)の生きた力が発揮されているな、と思えてなりません。

青瓦台に朝鮮労働党工作員がかなり入っているのでしょうね。










2019年8月21日水曜日

吉良よし子議員ら若い日本共産党員は日韓条約粉砕闘争の歴史を直視するべきだ―安保破棄中央実行委員会(日本共産党など)と全国実行委員会(社会党、総評等)は昭和40年秋、日韓条約粉砕闘争で共闘して大運動

佐藤内閣が日韓条約を第五十回臨時国会(昭和40年10月5日―12月13日)に提出して強行採決をくりかえす緊迫した情勢のもとで、五次にわたる全国的な統一行動が行われた(「日本共産党の六十五年(二)、p77、新日本文庫より抜粋)。


若い日本共産党員は、昔の日本共産党が日韓会談、日韓条約粉砕のため、社会党・総評と協力して大きな社会運動を行った事を知りません。

若い日本共産党員は昔の日本共産党が韓国政府を朴正熙一味、などと誹謗したことを知らない。

「日本共産党の六十五年」によれば、安保破棄中央実行委員会と全国実行委員会の「一日共闘」が昭和40年秋の日韓条約粉砕闘争の中でさらに前進したそうです。

増子典男さん(埼玉県在住の日本共産党幹部)は日韓会談、日韓条約粉砕運動に若い頃参加なさったそうです。

今の日本共産党員なら、だから野党共闘が大事なのだ、と思うでしょう。

日本共産党は今から再度、日韓会談粉砕・日韓条約破棄運動を展開すべきだ


志位和夫委員長に申し上げたい。

今から再度、日韓会談粉砕・日韓条約破棄運動を日本共産党として「野党と市民の共闘」の共通政策にしようと提案なさったらいかがですか。

日韓条約破棄は、日本共産党第十回大会で採択された「わが党の当面の要求」に含まれています(第十回大会特集3p75)。

第十回大会決定は間違いだった、という大会決定、中央委員会総会決定は存在しません。

日本共産党が日韓条約破棄運動を再度行うなら、近年街頭で嫌韓言論を行っている方々と「一日共闘」が可能になりそうです。

昔の日朝両党声明が明記していたように、朴正熙一味が結んだ条約だから日韓条約は不法で無効だ、と改めて日本共産党が主張すれば、韓国左翼は大歓迎します。

今の韓国政府、韓国左翼と、嫌韓言論を街頭で行う方は日韓条約粉砕論で完全に一致しているように思えてなりません。

第十回大会決定が存在するのですから日韓条約破棄は今日でも、日本共産党の方針であることを付言しておきます。

2019年8月15日木曜日

宮本顕治氏の「敵の出方論」は今でも日本共産党の決定、方針―「革命の平和的移行唯一論は、社会民主主義的見地への完全な転落である」(第八回大会特集p138より抜粋)-

「闘争の経過はわれわれの意図だけにかかるものではなくて、敵の出方による、と正しい立場に一貫して立っている」


「わが党は国際共産主義運動の一致した命題にもとづいて、人民の側の意向だけでこの問題を決定することはできないという、階級闘争の弁証法を知っている」(八回大会決定特集p138-139より抜粋)。


最近の日本共産党員は、宮本顕治氏の「日本革命の展望」を読んでいません。

日本共産党が八回大会で日本革命の最終的な形態は敵の出方により決まる、という「敵の出方論」を採択したことを、若い共産党員は知らないようです。

日本共産党仙台東地区委員会の方も、ツイッターを拝見する限り「敵の出方論」を御存知なかったようです。

日本共産党職員の方々は連日、お忙しいでしょうけれど基本的な文献をきちんと読むべきですね。

日本革命を志す革命家が、日本革命の展望を語らなくて革命ができますか。

「敵の出方論」は、昭和36年当時の国際共産主義運動の常識でした。

宮本顕治氏は八回大会で「モスクワ宣言」が「敵の出方論」の見地に立っていることをあげて自らの正当性の根拠にしていました。

上記のこの問題とは、日本革命の形態が平和的になるか、武装闘争と暴力革命になるか、という事です。

革命の平和的移行唯一論を唱えた春日庄次郎氏は社会民主主義的見地に完全に転落した、と宮本顕治氏は強く批判しています。

宮本顕治氏の中央委員会報告は大会代議員により採択されました。

第八回大会決定を否定する決定は存在しませんから、「敵の出方論」は今でも日本共産党の方針です。

不破哲三氏がどこかの論文で、「敵の出方論」は不法な手段で政権を転覆しようという人が出てきたら警察が逮捕するという方針だ、というような主張をしていました。

これなら、今の安倍内閣も「敵の出方論」を採用していることになります。

「敵の出方論」は日本革命の最終的な形態はどうなるか、という話ですから、日本革命など一切考えていない日本共産党以外の政党が採用しているはずがない。

今の不破氏は、「敵の出方論」が全くの出鱈目だったとわかっているのでしょう。それを隠蔽するために、「敵の出方論」を日本革命論と無縁の理論と宣伝しているのです。

不破哲三氏は、日本共産党やロシア革命とその後の内戦期のソ連史を都合の良いように修正して宣伝する術に長けた方です。

今の日本共産党は社会民主主義に転落したのか―春日庄次郎氏の米国分析は今の日本共産党の路線と同じ


今の日本共産党員は日本革命には平和的移行以外の道はない、と考えている事でしょう。

第八回大会の見地では今の日本共産党員は社会民主主義に完全に転落しています。

本ブログでは何度か主張していますが、現在の日本共産党の路線は春日庄次郎氏あるいは江田三郎氏(社会党)が唱えた「構造改革論」に近い。

昔の大阪の日本共産党幹部で、山田六左衛門という方がいました。この方は「構造改革論」者だったようです。

宮本顕治氏によれば、春日庄次郎氏は民主的な政府が要求すれば、米帝国主義は安保条約の破棄を拒めないと主張しました。

春日庄次郎氏は、人民の政府ができれば適法的に基地、駐留軍、沖縄の返還を要求でき、米国はこれを拒めないと主張しました(八回大会特集p138より抜粋)。

宮本顕治氏によればこれこそ、米帝国主義の侵略性の過少評価です。

春日庄次郎氏の主張は、今の日本共産党の綱領と同じと思えてなりません。

八回大会時の日本共産党員から見れば、今の日本共産党は社会民主主義に転落しています。

志位和夫氏は米帝国主義の侵略性を過小評価していることになります。

日本共産党員が、「野党と市民の共闘」を真剣に考えるのなら、「構造改革論」を再評価するべきではないでしょうか。

それにしても社会民主主主義に転落、とはいかにも宮本顕治氏らしい表現です。

この時でも宮本顕治氏は、スターリンの「社会民主主義者は社会ファシストだ」論を信奉していたのかもしれませんね。


2019年8月14日水曜日

昔の日本共産党は日韓会談粉砕論を党大会で採択していた―日本共産党第九回大会(昭和39年11月24-30日)決定より―

「日韓会談を朝鮮人民とかたく連帯して粉砕する闘争はとくに重視しなければいけない」(第九回大会での宮本顕治書記長の中央委員会報告より。第九回大会決定特集、p40)。


昔の日本共産党は、大韓民国の存在を否定していました。

日韓会談の頃の韓国政府を朴正熙一味、などと日本共産党と左翼人は誹謗していたのです。

日本は朴正熙一味と会談など断じてしてはならない、金日成と朝鮮労働党によって朝鮮半島は統一されるべきだと昔の日本共産党は宣伝していました。

今の日本共産党は、日韓条約と日韓請求権協定が存在しても個人としての請求権が残っているから、日本政府は韓国の元徴用工と話し合って誠実に対応せよと主張しています。

従って今の日本共産党は日韓条約の存在を認めています。

第九回大会の翌年に日韓条約は締結されましたが、その翌年の日朝両党声明で日朝両党は日韓条約は不法、無効と主張しています。

日韓条約は不法で無効なら、条約や請求権協定に何がどう書いてあろうと日本と韓国双方は相手側に対し請求権を持っている事になります。

日韓条約など粉砕してしまえ!など、今の私たちからすれば極端な嫌韓論者の主張です。これは、韓国と断交せよ論と変わらない。

日本共産党は元祖嫌韓論者と言えます。

日韓条約粉砕論は昭和39年の党大会で決定されたのですから、七十代中頃の日本共産党員なら、懐かしく思い出すはずです。

元祖嫌韓論者だという認識が広まると、日本共産党の支持が減るのか増えるのか、私にはわかりません。

「わが党の当面の要求」-日韓会談を阻止し東北アジア軍事同盟を阻止する


第九回大会の「わが党の当面の要求」には次の記述があります(第九回大会決定特集、p116より抜粋)。

「アメリカ帝国主義の侵略政策への日本政府の協力に反対し、日韓会談を粉砕し、東北アジア軍事同盟の成立を阻止する」。

昔の日本共産党は、日韓条約により日本が韓国と軍事同盟を形成すると信じていたのです。

昔の日本共産党の宣伝「朴正熙一味」は今の韓国左翼が最も訴えたい事の一つです。

朴正熙一味が締結した条約など、今の韓国政府には守る義務はない、と韓国左翼は信じている。

日本は今の韓国政府と何をどう約束しても破棄されるとみるべきでしょう。韓国の朝鮮労働党化が徐々に進んでいます。

日本共産党員は日韓会談粉砕論を国民の中に普及すべきだ―大会決定だからー


上記のように日本共産党は日韓会談粉砕論を第九回大会で正式に採択しました。

第九回大会決定を否定する大会決定や中央委員会総会決定は存在しませんから、この見解は今日でも日本共産党の方針として残っています。

日本共産党の組織原則は民主主義的中央集権制度です。この原則に基づき、全党員は大会決定を国民の中に普及する義務があります。

五十数年前の大会決定でも、日本共産党員たるもの、国民の中に普及せねばなりません。

日本共産党員の皆さんには、在日本朝鮮人総連合会の皆さんと協力して、日韓会談を粉砕する運動を行って頂きたいですね。

日韓会談粉砕、なら在日本朝鮮人総連合会より、嫌韓言論活動を街頭で行っている方々と連帯・協力することになるのかもしれませんが。

日韓条約破棄も同様です。嫌韓言論活動を街頭で行っている方々と日本共産党の第九回大会決定には、重要な一致点があるのです。

ところで、日本や米国は今の韓国政府に軍事機密を少しでも渡せば、早晩朝鮮労働党に渡るとみるべきです。

朝鮮労働党から、何らかの条件で機密は中国共産党に流布していくでしょう。

日本や韓国が購入する米国製戦闘機の設計など、中国共産党は喉から手がでるくらいほしい。

東北アジア軍事同盟、は北朝鮮と韓国の反日軍事同盟として成立する可能性があることを指摘しておきたい。

そう考えると、今の韓国政府との会談など日本にとって何の利益もない。

日韓会談粉砕、とまで私は言いませんが。

韓国政府はこれからもますます、対日対決姿勢を強化していくでしょうね。

関貴星さんの「楽園の夢破れて』(亜紀書房より再刊)を、心ある日本の左翼人士には読んで頂きたいものです。




2019年8月13日火曜日

日本共産党と左翼知識人は昔、日「韓」会談粉砕、日韓条約破棄を叫んだ―畑田重夫・川越敬三著「朝鮮問題と日本」(新日本新書、昭和43年刊行)より

「『日韓条約』そのものが、アメリカ帝国主義のアジア侵略体制の一環であり、わたしたち日本人民が日米『安保』条約破棄のたたかいを一つ一つ具体的にすすめているのと同じ意味で、日朝両国人民は、『日韓条約』の具体化の一つ一つと着実にたたかわなければなりません」


「わたしたち日本人民が朝鮮人民の『日韓条約』破棄のたたかいを無条件に支持すべきことはもちろん、...」(同書p180-181より抜粋)。


昭和40年6月に日韓条約が締結されました。東京オリンピックの翌年です。

この本によれば、『日韓条約』本調印強行の6月22日夜、東京日比谷の野外音楽堂でひらかれた「日韓会談本調印抗議・ベトナム侵略反対緊急中央集会」に18000人が集まり、新しい段階での「日韓会談」粉砕の決意を表明しました。

最近の日本共産党、左翼人士は日韓条約、日韓請求権協定でも徴用工の個人としての請求権は残っているのだから日本政府は韓国側と誠実に話し合うべきだ、といった主張と宣伝をしています。

しかし日本共産党と同党を支援する左翼知識人、運動家は元来、上記のように日韓条約破棄を主張してきたのです。

日韓条約は不法・無効なものだから粉砕されなければならない(昭和41年3月の日朝両党声明より)


昭和41年3月の日朝両党声明には、佐藤内閣と南朝鮮の朴正熙一味との間に結ばれた「日韓条約」は不法・無効のものであり、粉砕されなければならないと強く主張する、と明記されています。

日韓会談、日韓条約粉砕。これこそ日本共産党と同党を支持する左翼知識人、運動家の共通の目標でした。

日韓条約締結の頃の日本共産党と左翼知識人、運動家にとって日韓条約と請求権協定にどんな記述があろうとそれは全て不法、無効だから粉砕されねばならないものだったのです。

この条約が不法、無効ですから、条約に基づく請求権協定は勿論不法、無効だ、という結論が、一昔前の日本共産党と左翼人の主張でした。

畑田重夫・川越敬三両氏によれば日韓条約の本質は、米帝国主義のさしずのもとに佐藤内閣と朴正熙一味が結んだ侵略と戦争のための条約です(同書p172)。

日韓条約粉砕運動が盛んに行われたのは昭和40年頃ですから、54年くらい前です。

現在、七十代後半以上の日本共産党員なら、日韓条約粉砕とベトナム戦争反対に青春を捧げた、と言える方がいくらでもいるのではないでしょうか。

東京近辺在住の七十代後半の日本共産党員なら、上記の日比谷野外音楽堂での大集会に参加された方がいるはずです。

もう少し下の「団塊の世代」の日本共産党員には、民青同盟員だった時に日韓条約粉砕、ベトナム戦争反対の運動に参加された方が多いのではないでしょうか。

「戦争を知らない子供たち」というフォークソングを歌った世代の方々です。宮原たけしさん(日本共産党元大阪府議)はこの世代かな。

志位和夫氏は日韓条約破棄を望んでいるのか―大韓民国の存在を否定した日本共産党は元祖嫌韓論者


日本共産党指導部により日韓条約粉砕、破棄論が部分的に修正されるのは、昭和63年のソウルオリンピックの頃です。

「朝鮮問題についての日本共産党常任幹部会の見解」がこの年の9月に出されています。

大韓民国の存在を日本共産党として認めるが、南朝鮮と呼ぶ、という内容だったと記憶しています。日韓条約粉砕、破棄論を反省した記述はありません。

志位和夫氏ら今の日本共産党最高幹部の内心は日韓条約破棄論なのかもしれません。

志位氏が強調するように個人としての請求権が残っているのなら、韓国に財産を残してきた日本人の請求権も残っている事になります。

自分の家を不法に取り上げた韓国人、韓国企業を特定化して日本の裁判所に訴え、朝鮮半島に残してきた財産を取り返せ、という日本人が多数出てきたらどうなるでしょうか。

両国の人民が請求権を要求しあい、泥仕合を始めたらそのうち、日韓条約そのものを破棄してしまえ、という話になりえる。

金正恩と朝鮮労働党はこれを大歓迎するでしょう。ひょっとしたら日本共産党最高幹部も、これを読み込んでいるのではないでしょうか。

日韓条約破棄により在日韓国人の日本定住権はなくなる。日本から出ていけ、ではありませんが普通の外国人と同じ扱いになります。

昭和41年3月の日朝両党声明が示す方針を、今の日本共産党最高幹部は実行しているのだと考えると、わかりやすい。

日本共産党最高幹部は、元祖嫌韓論者の流れにある方々です。

日本共産党と朝鮮労働党の関係を考察する際、日朝両党声明は貴重な文献です。両党の共通の見解がそれに記されているのですから。

日朝両党声明を無視して日本共産党、日韓の左翼運動史を語る左翼知識人は共産主義運動史の研究では共産党の文献研究が大事だ、という基本的な知識を欠いている方々です。



金日成の還暦祝いに、朝鮮大学校の学生200人が贈り物として北朝鮮に送られた(昭和47年4月)(ヤン・ヨンヒ「兄 かぞくの国」(小学館文庫)より思う

「総連は金炳植第一副議長の号令のもと、さかんに北への贈り物を行った。その『六十周年記念プレゼント』のメインが、『人間プレゼント』だった。


朝鮮大学校の学生200人を、『社会主義建設の先鋒隊』として主席へプレゼントするというプロジェクトだった」(同書p48-49)。


金日成の還暦祝いとは昭和47年4月ですから、47年前になります。

朝鮮大学校の学生200人が金日成への贈り物として送られたことは、在日本朝鮮人総連合会の運動に長年参加している方なら百も承知です。

ヤン・ヨンヒ監督の長兄、コノ兄さんもこのとき北朝鮮に送られました。

金日成の還暦祝い贈り物騒ぎを指導したのが、当時の在日本朝鮮人総連合会内部の実力者だった金炳植第一副議長でした。

この方の配下に、渡辺秀子さん殺害疑惑の組織がありました。

金炳植第一副議長は他に、自分の私兵ともいうべき「ふくろう部隊」と呼ばれた組織を持っていました。

「ふくろう部隊」に私的リンチのような事をされた方は、在日本朝鮮人総連合会では少なくない。

在日本朝鮮人総連合会の方針に、少しでも批判めいたことを言うと金柄植の一派の方に集中攻撃された、という話をよく聞きます。

金日成の還暦祝いとして、在日本朝鮮人総連合会は邸宅や首相執務室の調度・装飾品一式を贈呈


金炳植第一副議長が金日成の還暦祝いとして何をやったか、については「金炳植事件―その真相と背景」(統一朝鮮新聞特集班刊行。昭和48年)が詳しい。

この本のp100の記述を抜粋して紹介しておきます。

「『総連』中央は、中央としてフィルム製造やオフセット印刷等3つの工場設備に技術者をつけておくったが、その費用が約20億円。

大阪が、金日成首相の邸宅の家具調度・装飾一式でその負担金一億五千万円。

兵庫が、内閣の首相執務室の調度・装飾一式で一億三千万円。

東京が、同じく『労働党』総秘書事務室の調度・装飾一式でこれまた一億三千万円」。

贈り物総額は50億円以上、と同署は指摘しています。年配の朝鮮商工人なら、巨額の資金提供を在日本朝鮮人総連合会幹部に強いられた思い出があるはずです。

この資金提供を拒否したら、北朝鮮に帰国した親族(帰国者)の処遇がどうなるかわからないぞ、という脅かし文句が頻繁に使われたことでしょう。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが、金日成民族の一員として絶対性、無条件性の忠誠心を抱いている事がよくわかります。

朝鮮学校で金日成民族教育を受けると、首領金正恩の何かの祝いに全力で巨額の資金と物資を献上する事が当然と思うようになるのでしょう。

歴史は繰り返す、と言います。

朝鮮大学校や朝鮮学校で学ぶ学生、生徒の皆さんが何かの理由で北朝鮮に贈り物として送られてしまう可能性を、私は指摘しておきたい。

ところで、印刷会社に勤めていて行方不明になっている方がいます。

その方が朝鮮労働党の在日本非公然組織により、金正日への贈り物にされてしまった事などありえない、と誰が言えるでしょうか。

新日本婦人の会の皆さんは、朝鮮大学校の学生200人が金日成の還暦祝いの贈り物にされてしまったことについて、どうお考えなのでしょうか。

新日本婦人の会の活動に長く参加されてきた方なら、昭和30年まで在日の共産主義者が日本共産党員だったことを御存知のはずです。

朝鮮学校への補助金増額を県議会で主張した山奈々子神奈川県議(日本共産党)は、朝鮮大学校の学生200人が金日成の還暦祝いの贈り物にされた事を御存じなのでしょうか。


2019年8月11日日曜日

上田耕一郎氏の「マルクス主義と平和運動」(昭和40年大月書店刊行)は科学的社会主義の政治学(革命理論、平和理論)の基本文献

「社会主義の手にある核兵器はただ侵略戦争の防止、社会主義と民主主義防衛のための平和の武器である」(同書p56)。


「社会主義の平和の法則の内部においては、核兵器は社会主義の戦争抑止力と防衛力の強化を生み出し、世界戦争の宿命的な不可避性をとりのぞく過程を促進する」(同書p58)。


科学的社会主義の政治学では、ソ連や中国の核兵器をこのように把握します。

ソ連、中国の核兵器により戦争が抑止されるという結論ですから、核抑止論ともいえる。

勿論上田氏は、レーニンの帝国主義論に基づき、帝国主義、金融資本が侵略戦争を起こすと主張しています。

米帝国主義が起こす核戦争を、社会主義中ソの核兵器が抑止するという筋道です。

ざっと見たかぎりこの本には、憲法九条が国際政治で何かの力を発揮する、といった話はなさそうです。

この本は文化大革命より前に出版されています。

当時の日本共産党としては、現代修正主義者フルシチョフを批判する中国共産党こそ真の共産主義者の党でした。

社会主義ソ連と中国の核兵器が核戦争を抑止するのなら、日本の平和運動は中国の核実験を支持せねばならないはずです。

宮本顕治氏は日本共産党第九回大会で中国核実験支持を表明した


宮本顕治氏は日本共産党第九回大会(昭和39年11月)の中央委員会報告で、中国の核実験がアメリカの核脅迫から中国人民とアジアの平和をまもるための防衛力強化をめざしやむなくとられた措置である、と支持しています(9回大会決定p29)。

上田耕一郎氏によれば、ソ連が最初に核実験に成功したとき、すべての平和活動家が世界戦争防止の事業の成功に新しい確信を抱きました(同書p56)。

ソ連による最初の核実験は、昭和24年8月です。

これは事実だったのでしょうか。広島、長崎の四年後です。それでも被爆者の方々はソ連の核実験を喜んだのでしょうか。

この本についてどうお考えか、被爆者の方や原水爆禁止世界大会に参加する運動家にお尋ねしたいですね。

吉良よし子議員、山添拓議員は、上田耕一郎氏のこの本を御存知なのでしょうか。

上田耕一郎氏はソ連が強大な社会主義国であると評価していた


上田耕一郎氏がお亡くなりになって十一年くらいになります。

早大の学生だった頃の私は、上田氏の著書「現代日本の社会主義への道」を熱心に読みました。

三十八年くらい前の話です。松田聖子がデビューした頃です。

私が言うのも奇妙ですが、科学的社会主義の政治学(革命理論、平和理論)、経済学(剰余価値論、帝国主義論)をわかりやすく解説した良い本と思います。

勿論、科学的社会主義の理論そのものが宗教の一種だ、という見地がより適切でしょうけれど。

上田氏は、マルクス、エンゲルス、レーニンだけでなく関連文献もかなり読んでいました。

「現代日本の社会主義への道」には、グラムシの革命理論(発達した資本主義国の革命は陣地戦)や、米国経済学者Paul Sweezyの世界経済論なども紹介されていました。

科学的社会主義の理論家としてはかなりの方だったと思います。科学的社会主義の政治学で、ソ連をみると次の結論も導かれるのですが。

「たとえブルジョア的要素が残り、あるいは部分的に復活しつつあるとしても、ソ連は依然として強大な社会主義国であり、レーニン、スターリンの正しい指導のもとに、社会主義のためにたたかいぬいてきたソ連の労働者階級と勤労人民の国家であるからである」(同書p87)。

今の日本共産党員からすれば、上田氏のこの結論は愚の骨頂かもしれません。

しかしこの本は、当時の日本共産党の理論、あるいは日本のマルクス主義政治学の歴史の中では重要文献です。

上田耕一郎氏は在日本朝鮮人総連合会による金日成への巨額献金を指摘していた


読書家だった上田氏は、北朝鮮の実状について貴重な文献から重要な事実を紹介しています。

「北朝鮮 覇権主義への反撃」(赤旗編集局編、p64)で上田氏は、昭和47年4月の、在日本朝鮮人総連合会による金日成の還暦祝い騒ぎについて記しています。

「金炳植事件―その真相と背景」(統一朝鮮新聞特集班、昭和48年刊行)の「金日成首相還暦贈り物贈呈で日本在留「総連」系同胞から捻出された金品は総額50億円以上とみられる」という記述を、上田氏は紹介しています。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんが金日成の還暦祝いの時、資金と物資だけでなく人間まで金日成に献上したことが、今日では知られています。

当時の朝鮮大学校の学生約200人が還暦祝いの贈り物として、金日成に献上されました。今から47年前の事ですから、朝大生たちは60代後半です。

朝鮮学校では、金日成の還暦祝いとして献上された先輩たちの事をどう教えているのでしょうか。

朝鮮学校への補助金増額を主張する大山奈々子県議(日本共産党)は恐らく、この件を御存知ないでしょう。

この時期、日本共産党と朝鮮労働党は良好な関係を維持していましたから上田氏は金炳植副議長と何度も会っていました。

上田氏は金炳植氏の言動に怪しいものを感じたのでしょう。さすがに日本人拉致、殺害までは思いつかなかったでしょうけれど。

金炳植氏の配下の秘密組織が、渡辺秀子さん殺害疑惑の組織です。金炳植氏の配下には、「ふくろう部隊」と呼ばれた組織もありました。

この部隊により、強烈な批判を受けた在日朝鮮人は少なくない。

宮原たけしさん(日本共産党元大阪府議)は上田氏のこの本を御存知だそうです。松竹伸幸さん(超左翼おじさん。日本共産党元中央幹部)もきっとご存知でしょう。

石川康宏教授が上田氏のこの本を知らないとは考えられません。

上田氏の「マルクス主義と平和運動」について、皆さんがどうお考えか、お尋ねしたいものですね。

若い日本共産党員が日本革命を志すなら、日本共産党の昔からの文献を自分なりに読んで、今日の路線との違いはなぜか、を自分なりに考えるべきではないでしょうか。




2019年8月8日木曜日

内橋克人「ドキュメント恐慌」(現代教養文庫、平成4年刊行)より思う―昭和恐慌(昭和4~6年頃)と性産業、「身代金」・「玉代」

当時、吉原にはおよそ3500人の抱え娼婦がいたという。身代金は若い娘で300円から7000円まであった、と稲垣さん(内橋氏が取材当時70歳だった元巡査)は記憶している(前掲著p25より)。


身代金とは、若い娘が吉原で働き始める際、親が雇用者から受け取る前金の事でしょう。この制度は今は違法ですが、性産業では残っているかもしれません。

だいぶ前のテレビ番組「ナニワ金融道」(主演はスマップの中居君。青木雄二原作)では、篠原涼子が夫の借金を返すために性産業で働き、前金を得る若妻の役を演じていました。

日本共産党、立憲民主党、左翼運動家の皆さんは慰安婦だった方々に、日本政府が謝罪と償いをせねばならないと主張します。

どういうわけか左翼人は、日本政府による謝罪と償いの対象者を朝鮮半島出身者と外国の方に限定しています。

私はこれに断固反対です。慰安婦には、本土出身者が多かったと考えられます。

性産業、性的労働に従事する人々は古今東西存在します。

性的労働の現場は過酷ですが、顧客を日本軍人としていた方だけを特別視する理由はない。今も昔も、性的労働の実態は大差ない。

顧客を日本軍人としていた方々は繁忙時の客数が実に多かったという可能性はありますが、港町に大きな船が入港してきたら性産業は繁盛しえます。

その際の性的労働サービス従事者一人当たりの客数と労働強度は、昔と比較してどうなのでしょうか。

左翼人士は性産業の実態を調べて自説を展開すべきです。

慰安婦は昭和恐慌の頃、増えていった


私見では慰安婦の数は、満州事変以後増えていきました。

満州事変より前でも、日本軍人を相手に性的労働に従事する方はいたでしょうが、慰安所と呼ばれた場所で性的労働に従事していたわけではないでしょう。

勿論これは場所の違いでしかありません。

顧客が民間人か軍人かで性的労働従事者が提供する労働に差があるとは思えない。満州事変の頃の日本は、昭和恐慌の最中です。

昭和恐慌の影響で、民間人を相手にする性的労働に従事したが、経営者の命令で軍人相手の労働をするため、外国に行った方はいくらでもいたのではないでしょうか。

吉原の本部屋の料金は五円、私娼窟に売られてくる農村出身の女の子は一人十七円で十年、二十年の女郎生活


内橋克人氏の徹底したインタビューは、時代の雰囲気を実感させます。もう少し引用しておきましょう。

「その借金を返すため、女たちは身を売るのだが、玉代は一人一部屋の本部屋と仕切りだけの割部屋があって、本部屋五円、割部屋で一円から一円五十銭が相場だった。

タテマエでは玉代の六割を置屋がとり、四割が女たちの取り分ということになっていたけれど、実態はとてもとても...。どんどん借金がふくらむ仕組みになっていたのだ」。

本部屋五円、身代金が三百円といっても今でいえばいくらいになるのか、わかりません。この本のp48に、米一俵(60キロ)が七円から八円で当時は買えたと出ています。

米10キロが5000円から6000円とすると、60キロなら3万円から36000円。粗っぽい計算ですが、昭和恐慌の頃の価格は今の1/5000くらいと考えてみましょう。

そのように想定すると、吉原の本部屋の料金は2万5千円。身代金は150万円から3500万円になります。

昭和恐慌の頃、食肉用の馬は一頭二十円が相場でした。同じころ私娼窟に売られてくる農村出身の娘たちは、尋常小学校をでたばかりの女の子で一人十七円でした(同書p124)。

十七円で売られた女の子は、その後十年、二十年働かねばならないそうです。

五年の年季奉公の男の子の場合、親は三百円受け取った


性産業ではありませんが、昭和二年に新潟県から墨田区の食肉卸業兼小売業に小僧として、十五歳のときに五年の契約で売られた方がいました(同書p84)。

年季奉公という制度が、当時はあったのです。

渡瀬保さん(内橋氏が取材時に63歳)です。取材は恐らく、昭和52年より前ですから、明治末から大正初期生まれの方です。

親が受け取った額は三百円だったそうです。お父さんがもらった三百円(黒坂試算なら今の百五十万円)を、渡瀬さんは今でもはっきり覚えていたと内橋氏は記しています。

昔の農家の次男、三男は農地を相続できません。長男以外の男の子を年季奉公に出すのは変なことではない。

長男ではない農家の男子が、故郷を離れ炭鉱や港湾での過酷な労働に従事して生計の糧を得る場合は多かったと考えられます。

仕事は過酷ですが、稼げば家族を持てますから。故郷で農作業をしているだけでは、先がない。

朝鮮半島の場合、小作人は地主に収穫物の五割程度を納めねばなりませんでした。

私見では、小作人の家庭に生まれた女の子が、女衒のような人の紹介で私娼から慰安婦になる例が多かったのではと思えてなりません。






2019年8月4日日曜日

故上田耕一郎氏の論考「『大衆社会』理論とマルクス主義」(不破哲三氏との共著「マルクス主義と現代イデオロギー」所収。昭和38年大月書店刊行)より思う―上田・不破両氏は51年綱領が正規の綱領と認めていたー

「だがあのような重要な誤謬、朝鮮戦争下に共産党の新綱領が掲げた独立と平和と民主主義の旗の画期的な意義にもかかわらず、. . . 」(同書p51より抜粋)。


昭和38年に出版されたこの本で上田耕一郎氏は、「51年綱領」が独立と平和と民主主義を掲げたという点で画期的な意義があったと認めています。

今の日本共産党は、51年綱領は日本共産党の正規の綱領ではないと主張していますが、当時の日本共産党員は殆ど皆、51年綱領が正規の綱領だったとみなしていました。

この論文は「講座『現代マルクス主義』Ⅰ『マルクス主義と現代』所収、昭和33年5月刊)と出ています。

この本は不破氏との共著です。当時の不破氏も、51年綱領が正規の綱領とみなしていたのです。

上田耕一郎氏らが51年綱領の「独立と平和と民主主義を掲げたという画期的な意義」を認めていた史実を、たつみコータローさんら若い共産党員は知らない事でしょう。

昭和25、26年当時の日本共産党員の圧倒的多数が、暴力革命、武装闘争を日本共産党の正規の方針として認めたからこそ、「極左冒険主義」の方針を全面実践したのです。

極左冒険主義とは何か―過激派の理論と運動―


上田氏によれば、昭和25年から昭和28年にいたる極左冒険主義の理論的原因は次の二つです。

第一に日本を植民地・従属型の国であると誤認し、アメリカ帝国主義に従属はしていても高度に発達した独占資本主義国であるという事実を過小評価しました。

第二に植民地・従属国の解放の道として国際的に示されていた劉少奇の武力解放コースを無批判的に適用しました。

極左冒険主義とは、日本の支配権力と支配的秩序を合法的な大衆闘争によらず、将来直接的行動によって粉砕するために、即時最初の行動を開始しようという理論と闘争です。

今の視点で見れば、昔の日本共産党はソ連、中国を盲信する過激派集団だったのです。劉少奇の「理論」をそのまま信じて「実践」してしまったのですから。

今の日本共産党は、極左冒険主義を実行したのは分派で自分たちとは関係ない、と総括しています。

従ってこの本で上田氏が問いかけている、35名の代議士数がなぜ一挙にゼロにまで凋落してしまったのかという疑問を検討する必要すら、今の日本共産党員には感じられない。

分派が国会での議席を減らしただけだ、という結論になってしまうのです。

諸先輩が苦闘しつつ歩んできた道を素直に振り返り、失敗の原因を分析する事が、今の日本共産党員にはできない。

昔の上田耕一郎氏は「なぜ議席をゼロにしてしまったのだろうか」という苦悩の中、政治学者や当時の革命家の文献を読み込んで教訓をくみ取ろうとしていました。

失敗の原因を数々の文献を読んで検討する、という知的誠実さが、若き上田・不破氏にはあったのでしょう。

分派が議席を減らしただけさ、という「総括」をしていた日本共産党員は当時いなかったように私には思えてなりません。

若き不破哲三氏はソ連が「世界革命の展開の基地」(スターリン)であると主張した


この本には、不破哲三氏の論文「現代トロツキズム批判」も掲載されています。

不破氏によれば、帝国主義の時代には社会主義は世界史的な規模で同時に勝利することはできません(同書p217)。

はじめに一か国ないし数か国で勝利し、二つの体制の闘争の中で、さらに一連の新しい国々が帝国主義から離脱するという過程をとおって、世界的な規模で社会主義の勝利に到達します。

そのなかでは、初めに勝利した社会主義国家の存立をまもりぬき、社会主義を建設し、そのあらゆる力量を強化することは、「世界革命の展開の基地」(スターリン)を守る事です。

ソ連を守る事は、世界革命を推進するためのもっとも重要な課題です。

今の若い日本共産党員は、日本共産党が一貫してソ連覇権主義とたたかってきたと盲信しています。

昔不破氏がスターリンの理論を盲信し、ソ連は世界革命展開の基地だなどと宣伝していたと言われても大嘘だと思うのではないでしょうか。

若き不破哲三氏は大真面目に、社会主義ソ連を守ることは世界革命推進のための最も重要な課題と明言しています。

この論文は、昭和34年6月の「前衛」に掲載されています。

はじめに勝利した社会主義ソ連が社会主義から離脱するという過程をとおって、世界史的な規模で帝国主義の勝利に到達した、という史実を不破氏はどうしても認められないのではないでしょうか。

若い頃執筆した論文と、その後の歴史は真逆になったことを今の不破氏は認められないのではないでしょうか。

今の不破哲三氏は中国共産党が中国社会における科学的社会主義の党、中国社会の変革の担い手であると認め、中国共産党との科学的社会主義の理論交流を重視しています。

不破氏にとっては、今の中国が「世界革命の展開の基地」に見えているのでは、と私には思えてなりません。

宮原たけしさん(日本共産党元大阪府議)なら、京都大学の学生だった頃に上田・不破著「マルクス主義と現代イデオロギー」を線を引いて読んだのではないでしょうか。

今の日本共産党員は、知的誠実さを著しく欠いていると思えてなりません。









2019年8月2日金曜日

続・日本共産党の経済観、経済政策論について思う―大企業の内部留保四百数十兆円は巨額なのか―

「大企業は400兆円を超える巨額の内部留保を持っている。そこで応分の負担を大企業と富裕層に求め、中小企業への賃上げ支援と最低賃金の引き上げで家計を潤す。国内総生産の約6割を占める消費を増やさねばならない。」


日本共産党の経済観、経済政策論は大略こんなところでしょう。

本ブログでは4月に「日本共産党の経済観、経済政策について思う」と題して少し論じています。

今回はこれの続編として、大企業の内部留保が巨額だ、論について考えてみます。

企業の内部留保が、その企業が保有する現金・預金総額とは必ずしも一致しないのはあまりにも明らかです。

大企業の内部留保四百数十兆円は何と比較して巨大だ、と日本共産党は言うのでしょうか。

中小企業の内部留保総計よりは大きいでしょうが、会社の規模が違うのですから当たり前です。

大企業の「最適内部留保」はいくらですか。日本共産党員はこの発想をどうしても理解できないらしい。

家庭の最適内部留保はいくらか―日本共産党の小池晃書記局長に問う


少し前に小池晃書記局長がトヨタの内部留保は巨額で、毎日1千万円使うのなら5千年かかっても使いきれないくらいだ、とかいう説明をツイッターでしていました。

小池晃書記局長にお尋ねしたい。トヨタの最適内部留保はいくらですか。これがわからないというなら、御自身は最適な内部留保をどれくらいとお考えですか。

わかりやすくするために単純な説明をしましょう。

企業だけでなく家庭でも貸借対照表を作成することはできます。荒っぽく言えば総資産から総負債を引いた残りが純資産、内部留保です。

保有する預金・現金と株価総額だけでなく自宅の不動産価額や奥さんが大事にしている宝石、装飾品の価額、車を持っているならその価額も資産に計上されます。

それらから不動産購入のために借りた額や、カード支払い予定額を差し引いたら純資産額を算出できます。

当たり前ですが純資産額は通常、家族保有の現金・預金総額と一致しない。たまたま一致したら例外中の例外ではないでしょうか。

こうして算出された純資産、内部留保が平均水準より多い家庭はそれなりに裕福と思えるでしょう。

しかしそもそも、家庭の平均内部留保額はいったいいくらでしょうか。

家庭保有の純資産の平均水準はこれぐらいだろう、という漠然とした思い込みがあるから、何となく裕福だ、貧しいと思えるだけです。

純資産が3千万円もあれば裕福な家庭と私には思えますが、大都会に親から相続した持ち家のある勤労者の家族なら、年収500万円でも純資産は1億円の方もいるでしょう。

それでも家族に育ち盛りの子供が三人いて、今後大学進学を予定しているなら家計は大変です。

お父さんが重病になったらどうするか、という問題もあります。

普通の暮らしをしたい、と願っても思わぬ事故や病気に見舞われることは珍しくない。

家庭ですら、「最適内部留保」の算出は困難です。各家庭の年収や人生計画により、これは異なりますから。

大都会在住家庭の「内部留保」総額が地方在住家庭のそれより多いと応分の負担を求めるべきなのか


ある地域の家庭全体の「内部留保」を総計できれば、今この地域の家庭の内部留保総額はいくらだとわかりますが、それが巨額か少額か、何とも言えない。

恐らくは、大都会在住の家庭の内部留保総計は地方在住の家庭のそれより多いでしょう。

だから大都会の家庭に応分の負担を、などという経済政策論は暴論そのものです。

日本共産党の「大企業に応分の負担を」論は、この水準の「経済政策論」でしかない。

ましてや従業員が数千、数万で売上高が数百億、数千億以上にもなる大企業の「最適内部留保」など算出できるはずもない。

各企業がどんな市場に直面し、今後どういう方向で企業を経営していこうという計画を持っているかによって、現在保持すべき内部留保、あるいは資産と負債の在り方は異なる。

これを判断するのが経営者の重要な職務であり、企業の存続のために適切な判断をする社会的責任を経営者は果たさねばならない。

日本共産党員は大企業の経営について、真剣に考えない―立憲民主党を支援する労組はなぜ日本共産党を嫌うのか―


殆どの日本共産党員はそれぞれの大企業の経営について何も知らないし、真剣に考えたこともない。

そこで巨額の内部留保が...などと喧伝しているのです。

大都会在住の家庭の内部留保総額が地方在住の家庭のそれより多いから応分の負担を、という暴論を吐く方はさすがにいないでしょう。

そもそも、各家庭の内部留保を総計してどれだけの意味があるでしょうか。

大企業という企業がひとつの経済主体として存在しているわけではない。各家庭が別会計になっているのは当たり前です。大企業も同じです。

大企業に応分の負担、とやらを求めれば大企業を構成する人々、経営者、株主、労働者に何らかの形で負担増になります。

家庭に何かの税をかけて負担を求めれば、稼ぎ手のお父さんだけでなく奥さんと子供にも何らかの形で負担になる。

同じことが、大企業の内部留保総計400兆円論についても言えるのです。

立憲民主党を支援する労働組合の皆さんは、大企業の労組が多いらしい。

大企業の労組幹部は、大企業への「応分の負担」とやらが自分たちにも負担になりえると認識しているから、日本共産党の無責任さにあきれて嫌うのではないでしょうか。

日本共産党の皆さんが立憲民主党との共闘を真剣に考えるのなら、「大企業への応分の負担」論をやめねばならないでしょう。

しかしこれは、大企業が日本経済を支配している、日本は国家独占資本主義だという科学的社会主義の経済学と日本共産党綱領路線を否定することになる。

結局、理屈はどうあれ次回総選挙では全ての選挙区で日本共産党は立憲民主党の候補者を支援する可能性がありますね。

小池晃書記局長への質問


小池晃書記局長にお尋ねしたい。

御自身の最適内部留保だけでなく、日本共産党の最適内部留保はいくらと考えていますか。

随分失礼な質問だと思うでしょうけれど、日本共産党の大企業は巨大な内部留保宣伝は、こういった問いかけを大企業経営者にしているのですよ。

日本共産党が企業経営者に嫌がられる理由はこのあたりにあるのです。

企業経営を真剣に考えない日本共産党員に経営を任せたら、会社は破滅しうる。









2019年8月1日木曜日

日本共産党は朝鮮労働党の南進論を批判してきたのか―宮原たけし氏(日本共産党元大阪府議)の呟きより思う

「ウソつかないで。日本共産党は、北朝鮮の南進論を1967年から批判してきた日本でただ一つの党」(7月20日の宮原たけしさんのツイッターより)。


宮原たけしさんのこの呟きは、私が日本共産党本部に対して発した呟きのうち、「日本共産党は朝鮮労働党の南朝鮮革命を支持してきました」という部分に対して発せられたものと考えられます。

本ブログでは何度か取り上げていますが、日本共産党は朝鮮労働党との共同声明で、朝鮮労働党の南朝鮮革命路線への支持を表明していました。

昭和41年3月21日の共同声明は小島優編「日中両党会談始末記」(新日本文庫、p306-319)に掲載されています。

この件は宮原たけしさんにツイッターで返しましたから、宮原さんは既にこの本を参照なさったかと存じます。

日本共産党は朝鮮労働党の「たたかい」に全面的な支持を表明した


このときの共同声明には、朝鮮労働党の南朝鮮革命路線に関して次の記述があります。

「日本共産党は、アメリカ帝国主義と、それに追随する佐藤内閣の朝鮮民主主義人民共和国敵視政策を断固として非難し、国の自主統一をめざす朝鮮労働党と朝鮮人民のたたかいに全面的な支持を表明する。

日本共産党はアメリカ帝国主義との対決の東方の最前線に立って、国の社会主義建設と防衛を意気高くおしすすめている朝鮮労働党と朝鮮人民のたたかいが、平和と社会主義の事業にとって大きな貢献となっていることをみとめる。」

日本共産党の日韓条約粉砕論は嫌韓言論の元祖


日韓条約については、共同声明は次のように述べています。

「両党の代表団は、さきごろ佐藤内閣と南朝鮮の朴正熙一味との間に結ばれた『日韓条約』は不法、無効のものであり、粉砕されなければならないとつよく主張する。

『日韓条約』は、日朝両国人民の利益に反し、アジアと世界の平和をおびやかすものである。」

昔の日本共産党は、大韓民国の存在を否定し、朴正熙一味などと失礼極まりない宣伝をしていました。

嫌韓言論、韓国へのヘイトスピーチの元祖は日本共産党だ、とも言えそうです。

宮原たけしさんは、昭和22年生まれで京大文学部卒とHPに出ています。大阪府議を七期務められた方です。

いつ日本共産党に入られたのかはわかりませんが、京大の学生だったときなら、日韓条約締結時(昭和40年)とほぼ同時期です。

宮原たけしさんが若い頃の御自分の姿を思い出して下さったら、そういえば昔の日本共産党は日韓会談、日韓条約粉砕論者で金日成と朝鮮労働党を礼賛していたな、と思い出せるはずですが。

日韓条約の少し前に、日本共産党と在日本朝鮮人総連合会の宣伝を信じてたくさんの在日朝鮮人が北朝鮮に帰国したことを、宮原たけしさんが知らないとは思えません。

たつみコータローさんや、わたなべ結さんならこのあたりの事を一切ご存じない事でしょう。

ところで昔の日本共産党の主張に従い、日韓条約を粉砕、破棄したら在日韓国人の法的地位はどうなるのでしょうね。

私は法律をあまり知らないので、確かなことは言えませんが在日韓国人が定住権を失ってもおかしくないと思えます。

日韓条約破棄なら韓国と事実上、断交することになりますから。

日本共産党員に必要なことは、自らの歴史を、日本共産党の一昔前の文献により素直に振り返ることではないでしょうか。

歴史に背く潮流に未来はない、と宮本顕治氏は著書で宣伝していました。

宮本顕治氏は北朝鮮が武力南進策をとっていないと宣伝した


その宮本顕治氏は昭和45年1月1日の「赤旗」インタビュー記事「歴史的課題の実現に大きく進む年に」で次のように述べています。

「朝鮮民主主義人民共和国が、南北朝鮮の民主的平和的統一を一貫して追求しており、いわゆる武力南進策をとっていないことは明白です。」(「日本共産党の立場1」新日本文庫、p148)。

宮原たけしさんならこのインタビュー記事を思い出せるはずですが、いかがでしょうか。

朝鮮労働党の南進論批判と正反対の見解を宮本氏は「赤旗」で表明したのです。「北朝鮮 覇権主義への反撃」に出てくる話と、ほぼ正反対ですね。

宮原さんとどこかでお会いできたら、見解をお伺いしたいと思っています。