2021年10月24日日曜日

不破哲三さんも、昭和26年秋には臨時中央指導部の指導下で日本共産党が分裂を解消したことを認めているー不破哲三「日本共産党史を語る」(新日本出版社刊行, p203)より

不破さんは昭和5年(1930年)生まれです。この本によれば不破さんは日本共産党の五十年問題の頃、東京大学学生で日本共産党員でした。

五十年問題とは簡単に言えば、日本共産党が昭和25年1月にコミンフォルム(当時の世界共産党とも言うべき組織)から批判され、大混乱に陥って一時的に分裂した事態のことです。

若き不破さんは、日本共産党中央幹部の混乱と対立の実情を殆ど何も知らなかったことでしょう。

スターリンの指令により日本共産党は昭和26年秋には再び団結した

昭和25年に日本共産党は一時的に分裂します。

日本共産党の文献では、分裂状態が概ね終わったのは昭和30年7月の第六回全国協議会以降ということになっています。

しかし当時を知る元日本共産党員の本などによれば、日本共産党中央は昭和26年秋頃には臨時中央指導部(徳田、野坂分派と今の日本共産党は規定)の下で団結を回復しています。

これは昭和26年8月にコミンフォルムが臨時中央指導部の側を是としたからです。コミンフォルムを指導していたのはスターリンとソ連共産党です。

当時の日本共産党員はスターリンを心から尊敬していました。スターリンの指令は絶対的でした。

中国革命を成功させた毛沢東と中国共産党を尊敬の対象でした。勿論在日朝鮮人の日本共産党員は、金日成に心酔していました。

不破さんは上記の本(p203)でコミンフォルムのこの介入は間違った判断だったと述べていますが、これにより全国統一会議に参加していた党員、党組織は臨時中央指導部の側に合流する以外なくなったと告白しています。

不破さんが所属していた日本共産党の東京大学細胞も、この時期に臨時中央指導部の指導下に入ったそうです(同書p203)。

当時の日本共産党中央は全員、暴力革命論者になった

いろいろな対立はあっても、結局党中央幹部が全員、51年綱領、暴力革命論は正しいと認めたのですから、一般党員が武装闘争に身を投じて行ったのは当たり前です。

朝鮮の同志は米国の侵略と戦っている、自分たちは朝鮮の同志に連帯し、火炎瓶闘争で米日反動勢力と戦おう、という気持ちだったのではないでしょうか。

在日朝鮮人の日本共産党員は皆、そんな気持ちだったのでしょう。

本ブログやtwitterで私は繰り返し述べてきましたが、宮本顕治さんは昭和25年5月の「前衛」に出した論考で議会を通じての政権獲得の理論は誤りと断言しました。

宮本さんは野坂さんの平和革命論を徹底批判したのですから、暴力革命論の51年綱領を支持したのは当然です。

宮本さんは昭和30年8月に51年綱領を輝かしい新綱領、と称賛しました。不破さんはこれを百も承知のはずですが、上記の本では一切言及していません。

日本共産党は都合の悪い史実を隠ぺいします。若い日本共産党員は宮本顕治さんの昔の論文を入手しにくい。

昭和30年まで在日の共産主義者が日本共産党員だったことを知っている若い日本共産党員など、稀有でしょうね。


2021年10月23日土曜日

日本共産党に安全保障政策はないー不破さんは中朝を大局的には平和勢力とみた

 日本共産党の総選挙政策をざっと読みました。総選挙政策/なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく/2021年10月11日 日本共産党 (jcp.or.jp) 

何より、いのち。という訴えで、上記文書は軍縮への転換、中国の「脅威」を利用して軍事力増強をはかる動きに断固反対と明記しています。

本ブログでは繰り返し論じてきましたが、日本共産党は中朝露の軍事的脅威、中朝露による日本攻撃の可能性を認めません。

中国が日本を攻撃する可能性があるから、これを抑止するために自衛隊は強力な反撃力を保持せねばならないという人は右翼反動で安倍の手先などと日本共産党員は本気で考えています。

中国の「脅威」を利用して軍事力増強をはかる動きに断固反対、なのですから。この点では、殆どの立憲民主党議員も同様でしょう。

日本共産党は中国共産党を覇権主義と批判していますが、軍事的脅威であることは上記のように強く否定しています。

朝鮮労働党についても同様です。

レーニンの帝国主義論の見地では、日本がアジア最大の戦争国家

日本共産党はレーニンの帝国主義論の見地から、自分たちは戦争の起こる原因を解明したと信じています。科学的社会主義の経済学云々という話です。

レーニンによれば、帝国主義、金融資本が戦争を起こします。

現代では、多国籍企業の権益を守るために、多国籍企業の指令を受けて動く政府が侵略戦争を起こします。

この見地から、多くの多国籍企業の本拠地であり、世界の帝国主義アメリカがアジアでも侵略戦争を起こすという結論になります。

レーニンの帝国主義論の見地では、アメリカに従属している日本はアジアで最大の戦争国家です。

日本が直面する最大の脅威は、日本政府の軍拡です。日本政府が米国の世界戦略に追随する中で、海外で武力行使を実行し侵略戦争を行う。

ここに日本の平和を脅かす核心がある、と日本共産党は宣伝しています。

不破さんは中朝と連帯し、反ファシズム統一戦線結成をめざした

科学的社会主義の経済学では中朝露は帝国主義ではないので、侵略戦争を起こしません。

中国やロシアに多国籍企業がない、帝国主義ではないとは随分変な話ですが。科学的社会主義の経済学者は、中国共産党の対外政策を分析できない。

朝鮮労働党は世界各地に拠点を持ち、麻薬や武器、偽札などを輸出しています。日本共産党は朝鮮労働党の動向については見ざる、言わざる、聞かざるを貫いています。

中朝は日本の軍拡を批判しています。朝鮮労働党はアジアから米軍は出ていけ、と長年主張しています。この主張は日本共産党の憲法九条を生かした外交、論と一致しています。

従って二十年ほど前に不破さんは、中朝を大局的には平和勢力と見たのです。

不破さんは中朝と交流を深め、連帯して戦争国家日本を包囲する反ファシズム統一戦線結成を構想していたのでしょう。

不破さんは、中朝が行ってきた人権抑圧について一切の思考をしなかったのでしょう。

日本共産党は日本国家の国防力を皆無にしたいー憲法九条教徒は日本を滅ぼす

日本共産党員は、日本政府がアジア最大の戦争国家で中朝を大局的には平和勢力と信じていますから、中朝による日本攻撃など想像もできません。

金正恩と朝鮮労働党は、日本への核ミサイル攻撃を公の文献で示唆しているのですが、日本共産党と左翼人士は完全沈黙です。

日本共産党員にとって最も大事なことは、自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることです。

これの実現のためには、多数の国民が日本国家の国防力を皆無にしよう、と声をあげるようにせねばならない。

それが無理なら、可能な限り自衛隊保有の兵器を削減せねばならない。憲法九条完全実施に少しでも近づけねばならない。日本共産党員の心中はこんな調子です。

これでは、日本共産党が安全保障政策などつくるはずもない。最大の安全保障政策は憲法九条完全実施だ、と信じているのですから。

憲法九条教徒は日本を滅ぼします。憲法九条教徒は、中朝露の真の友人です。



2021年10月16日土曜日

日本共産党はなぜ自衛隊を解散させたいのかー小林栄三監修「科学的社会主義 下」(新日本出版社刊行)が語る科学的社会主義の国家論より

共産主義者は資本主義国家を階級的支配の道具と見る 

マルクスやエンゲルス、レーニンの文献を少しでも読んだことがある方なら、上記を御存知でしょう。

日本共産党は、科学的社会主義の国家論のこの見地から自衛隊解散、日米安保廃棄で日本国家の国防力を皆無にすることを宿願としています。

自衛隊解散を野党と市民の政権の一致点にはしないが、日本共産党としては可能なら可及的速やかに自衛隊解散、日米安保廃棄を実現したいのです。

日本共産党の主張に概ね共鳴するが、自衛隊解散には違和感があるな、という方もいるでしょう。立憲民主党議員や支援者の方にはそんな方がいそうです。

日本共産党の自衛隊解散論は、科学的社会主義の国家論に依拠していることを知っていただきたい。これは、次の文献にも出てきます。

日本共産党によれば、自衛隊と警察は日本の支配層の武装力である

小林栄三監修「科学的社会主義 下」(p135)によれば、米帝国主義は自衛隊など日本の支配層の武装力の中枢部分を掌握、指揮下においています。

自衛隊や警察など日本の支配層の武装力は、日本独占資本の人民収奪と支配を維持する道具です。

同時に自衛隊は、米帝国主義の戦略と対日支配の中に組み入れられ、彼らの特権と対日支配を擁護し維持する道具になっているそうです。

今の日本共産党綱領にはここまで極端な記述はありませんが、上記の自衛隊論が完全に否定されたわけではありません。

5年ほど前、藤野保史議員が防衛予算は人を殺す予算である旨、テレビ番組で発言しました。

藤野保史議員の心中には、小林栄三さんの上記のような自衛隊論があったと考えられます。

自衛隊は日本の支配層の武装力なのですから、日本共産党にとって自衛隊解散は人民を解放するためにどうしても必要な政策なのです。

科学的社会主義の国家論によれば、社会主義国の軍隊は人民の軍隊で平和に貢献

科学的社会主義の国家論では、中朝のように民主主義革命、社会主義革命を実現した国家の軍隊は、人民の軍隊です。

中朝は覇権主義の誤りを犯していますが、米国と対決していますから大局的には平和勢力です。

中朝の軍事力は、大局的には世界平和の維持に貢献しているという話になるのです。

松竹伸幸さんのブログにも、日本共産党が長年ソ連や中国の核が平和を守ると主張してきたことが記されています。

松竹さんが小林栄三さんのこの本や、上田耕一郎さんの「マルクス主義と平和運動」(大月書店)を知らないはずがない。

昭和36年7月の第八回大会で採択された綱領には、ソ連など社会主義国は平和地域であると明記されていました。松竹さんがなぜ、上記の本や昔の綱領に言及しないのかは不明です。

日本共産党は自衛隊が持つすべての兵器、自衛隊が行う全ての演習に断固反対

今の綱領は自衛隊は米軍の掌握と指揮下にあり、アメリカの世界戦略の一翼を担わされていると規定しています。

自衛隊が日本国家を守るという発想は日本共産党にはありません。

日本共産党はオスプレイや戦闘機だけでなく自衛隊の全ての兵器保有、自衛隊が行うあらゆこれは、反対しています。

これは、自衛隊と警察は日本独占資本の人民収奪と支配を維持する道具だという科学的社会主義の国家論に依拠しているのです。

日本共産党は野党と市民の政権で自衛隊の徹底的弱体化を主張する―中朝は大喜び

万が一、野党と市民の政権とやらができたら、日本共産党は自衛隊解散は主張しないでしょうが全ての兵器保有、自衛隊が行うあらゆる演習に反対するでしょう。

自衛隊解散論を政権内に持ち込まなくても、自衛隊の兵器や演習の是非については政権与党内でよく話し合って決めよう、と日本共産党は主張するでしょう。

日本共産党の自衛隊解散論は、気まぐれではなく科学的社会主義の国家論に依拠しているのですから、立憲民主党幹部が志位さんと多少議論したら何とかなるものではありません。

自衛隊保有武器の大幅削減、全ての演習中止が実現したら習近平にとって尖閣侵攻、台湾攻撃の絶好の機会到来です。

日本攻撃を策す習近平、金正恩は大喜びする顔が浮かんできませんか。

中国共産党は、那覇空港を何らかの方法で攻撃しうる。有事の際、自衛隊機は那覇空港から発進しますから。サイバー攻撃の可能性がありますね。

2021年10月8日金曜日

日本共産党が政権を掌握したら、金融資産市場を「御用済みとしてお引き取り願う」ー不破哲三「党綱領の力点」(平成26年刊行。pp. 153-154 )より。

マルクス主義経済学者は株主を搾取者と見る

本ブログやtwitterで私は、マルクス主義経済学では株主は搾取者であると繰り返し主張してきました。

株主は企業に資金を提供して経営の危険を負担していますが、労働は提供していませんから。配当は搾取です。

故長洲一二教授(後に神奈川県知事)は、著書「構造改革論の形成」(現代の理論社、昭和48年刊行。p44)で少額株主でも所有に基づく受益者だから搾取者であると述べています。

日本共産党やマルクス主義経済学者が搾取制度の廃止を主張するなら、株式会社制度、金融資産市場の廃止を主張すべきです。

金融資産保有者は通常、利子所得を受け取ります。マルクス主義経済学では金融資産の保有者は搾取者です。

マルクス主義経済学者には、企業への資金提供者が危険を負担することにより企業に貢献しているから、報酬が与えられるのは当然だという見方ができない。

レーニンは余剰穀物を手元に置く農民を搾取者とみた

レーニンは「青年同盟の任務」で農民が穀物を余剰に保有し、投機をするなら搾取者だと明言しています。

農民が、穀物を一切保有していない労働者に保有している穀物をいくらか与え、自分の畑で農業労働をさせたら、マルクス主義経済学では搾取です。

一定期間後にできる穀物は農民(地主)のものになります。労働者が次期もその農場で働くなら、穀物の一部が与えられるでしょう。

労働者は凶作になる前に賃金を受け取っていますから、農業経営の危険を負担していない。

地主は労働者に農業労働を熱心にやらせる誘因をどうやって与えるか、という問題は残っていますが。

奴隷は、地主が監視していなければ農業労働を熱心にやらないでしょう。農業労働の誘因の与え方という問題は、奴隷でも同じです。

株式会社についても同じことが言えます。大不況になれば、赤字を出す会社はいくらでもあります。赤字経営なら、原則無配当です。

経営の危険を負担することの代価として、利子や配当所得を地主や株主に配分することを法で禁止したら、企業に資金を出す人がいなくなり、企業経営は存続できません。

企業経営者は才能を生かす場を、労働者は職場を失います。

日本共産党、マルクス主経済学者には企業経営の危険を株主や金融資産保有者が負担しているという発想ができない。

不破さんは株式会社、金融資産市場を社会発展の障害物とみている

不破さんは「党綱領の力点」で、実体経済の上にそびえたつ金融経済の巨大な機構の大きな部分が未来社会では御用済みとしてお引き取り願うと明言しています(同書p154)。

レーニンから多くを学んでいる不破さんには、株式会社、金融資産市場が社会発展の障害物と見えるのです。

「お引き取り願う」とは共産党の政府が株式会社、金融資産市場を法で禁止することなのでしょうね。

搾取制度の廃止のためには、株式会社、金融資産市場の廃止が不可欠です。不破さんは上記著書でそれを示唆したのです。

金融資産市場が政府により禁止されたら、保有している金融資産が無価値となり、倒産する企業が続出します。日本初の世界不況になりえる。大失業時代到来です。

日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)がゼロになるのですから。銀行や保険会社も軒並み倒産です。金融資産市場が無くなったら、金融機関は存続できません。

金融資産市場を廃止したい不破さん、志位さんは本音では、ソ連型計画経済を未来社会のモデルとして想定しているのでしょう。当面はこれを内緒にしていると考えられます。

旧ソ連では株式会社は存在しなかった。何らかの金融資産市場は、闇では存在していたでしょう。

ボリシェヴイキは収奪者を収奪するなどと称して、地主と資本家、ロシア正教会の財産を没収し、彼らを追放しました。

日本共産党は日経平均株価が暴落しても労働者には何の関係もないと本気で考えていそうです。搾取者が大損をしただけだ、という発想です。

自衛隊解散、日米安保廃棄と金融資産市場の全廃を宿願とする日本共産党こそ、お引き取り願いたいですね。

2021年10月7日木曜日

志位さんは日本共産党「真の平和綱領のために」(昭和56年7月6日「赤旗」評論版掲載)を内緒にしたい

 松竹伸幸さんがブログで、日本共産党の伝統的な戦争と平和観について説明しています。

本ブログでも日本共産党の平和理論について、繰り返し説明してきました。

松竹さんは嫌かもしれませんが、私と松竹さんは日本共産党の平和理論、平和観をどう考えるかという点ではほとんど同じです。

松竹さんは日本共産党がレーニンの帝国主義論に依拠している、とは指摘していませんが。

日本共産党の平和観は、アメリカと日本は平和の敵で戦争国家、ソ連や中国は平和勢力という見方です。松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

松竹さんによれば、日本共産党が伝統的な平和観を多少修正するきっかけになったのは、昭和48年6月27日に中国が行った核実験です。

この件で日本共産党は、公明党から強く批判されたそうです。

これを受けて、宮本顕治委員長(当時)が日本共産党の核兵器問題での政策を変更するように担当者に指示を出したそうです。

私はこの経緯は全く存じませんでした。

「真の平和綱領のために」はソ連や中国を社会帝国主義と主張

日本共産党の論考「真の平和綱領のために」に宮本顕治委員長が記者会見で核問題での見解を部分修正したことが出ています。

「真の平和綱領のために」は日本共産党のそれまでの平和理論、平和観を部分修正した重要論文です。

「真の平和綱領のために」など、今の日本共産党議員や職員がどれだけ読んでいるか疑問ですが。

この論考は、国際政治の基本構造は米国を中心とする帝国主義勢力の支配と搾取、侵略と抑圧の政治に対して、社会主義諸国と勤労人民、民族解放勢力が対抗している事だと述べています。

しかしソ連や中国が、覇権主義的政策をとっているので社会帝国主義の誤りを犯していると主張しています。

ソ連や中国が社会帝国主義的誤りを犯している、と主張した点が部分修正です。

志位さんは「真の平和綱領のために」を内緒にしたい

今の日本共産党は中国共産党を覇権主義と批判していますが、社会帝国主義と断定はしていない。

断定すると、厄介な話になりますから。

社会帝国主義なら、人民解放軍は日本攻撃を断行しうるではないか、人民解放軍と戦う自衛隊の武器を増強せねばならないな、という世論が広がってしまいます。

そこで志位さんは、「真の平和綱領のために」も内緒にしたいのです。

宮本顕治さんが党首だった時期の文献は、今の日本共産党にとって厄介なものが実に多い。

当時の大会決定は殆ど皆、都合が悪い。そこで日本共産党のHPには掲載されていません。

共産党は都合の悪い史実を隠ぺいする

洋の東西を問わず、共産主義者は都合の悪い史実を隠蔽します。

レーニンが残した富農や地主追放、財産没収指令、ロシア正教会弾圧指令について、不破さん、志位さんが語ることはないでしょう。

野坂参三さんが国際共産党の大幹部として行った革命運動は、日本共産党の世界観では素晴らしい業績のはずですが、これも不破さん、志位さんは内緒にせねばならない。

ソ連共産党の文献では、トロツキーがロシア革命で果たした役割が完全に削除されていました。

一般党員は、宮本顕治さんが書いた数々の文献を入手しにくくなっています。不破さんの「北京の五日間」もそうなるのでしょうか。


2021年10月5日火曜日

松竹伸幸さんの日本共産党に関する疑問に答えるー日本共産党はレーニン主義の党

 日本共産党はなぜソ連や中国の核軍拡を批判できなかったのか

松竹伸幸さんがブログで、日本共産党がアメリカと日本を主な批判の対象にし、ソ連や中国を同列に批判しなかったのはなぜか、という疑問を提起しています。

松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba (ameblo.jp) 

志位さんや小池晃書記局長が松竹伸幸さんの疑問に答えるとは思えないので、憚りながら私がお答えしてみます。

日本共産党の平和理論は、レーニンの帝国主義論を基礎にしています。

レーニンは金融資本が戦争を起こすと説きました。

金融資本を現代風に解釈すれば、多国籍企業がこれに相当します。

多国籍企業の世界各地での利潤を確保するために、米国とその目下の同盟者、日本が世界中で戦争を起こすのです。

従って米国は世界最大の戦争国家、日本はアジア最大の戦争国家です。

現代日本は、米国が世界各地で行う侵略戦争に自衛隊が協力することにより、戦争に巻き込まれうる。

ここに、平和の問題の核心がある。志位さんはこんな話を繰り返しています。

中朝は覇権主義だが、大局的には平和勢力ー日米安保を批判するから

中国共産党、朝鮮労働党は覇権主義という点では大いに問題がありますが、日米軍事同盟を批判しているので大局的には平和勢力です。

朝鮮労働党は一貫して、朝鮮半島から米軍は出て行けと主張していますから、日本人や韓国人の拉致、政治犯の処刑などの問題点はあっても大局的には平和勢力です。

この見地から不破さんは、中国共産党、在日本朝鮮人総連合会と交流を再開し、日本政府を包囲する反ファシズム国際統一戦線結成を展望していたと考えられます。

中国共産党、朝鮮労働党こそ全体主義そのものではないか、という方もいるでしょうが、日本共産党の平和理論では中朝は平和勢力なのですよ。

日本共産党の平和理論から考えれば、松竹伸幸さんは戦争を起こす起動力となっている米帝国主義及び日本の独占資本と、米日の戦争策動に反対する中朝を同一視しています。

松竹伸幸さんは階級的視点を失っている、という話になりそうですね。

レーニン主義者はステレオタイプ思考に陥る

本ブログでは繰り返し、日本共産党の平和理論を説明してきました。

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 松竹伸幸さんは日本共産党のアメリカ帝国主義論に反対なのかー日本共産党のステレオタイプ思考の根源は、レーニンの帝国主義論ー (blueribbonasiya.blogspot.com)

日本共産党がステレオタイプ思考に陥り、アメリカと日本を主な批判の対象にしてソ連や中国を同列に批判しなかった理論的基礎は、レーニンの帝国主義論です。

松竹伸幸さんは、岡本博之さんの「科学的社会主義 上」や、林直道教授の「経済学」(新日本新書)を御存知でしょう。

正統派マルクス主義経済学なら、上記のような結論が出ると考えます。

正統派マルクス主義経済学者は、中朝の軍事力の分析など一切やりません。ステレオタイプ思考そのものですから。上記の本にソ連の軍拡分析などありません。

松竹伸幸さんの何かの御参考になれば幸いです。


2021年10月4日月曜日

民主連合政府ができていたら日韓関係が破綻したー上田耕一郎・工藤晃編著「民主連合政府で日本はこうなる」(新日本新書。昭和49年刊行)は日韓条約破棄を主張

 五十年ほど前の日本共産党は「70年代の遅くない時期に民主連合政府をつくろう」と訴えていました。

この本から、その頃の日本共産党の理論と政策がよくわかります。p226に次の記述があります。

アジアでただ一つのこった国交未回復の社会主義国である朝鮮民主主義人民共和国と国交を樹立し、平等・互恵の経済・文化交流、日朝両国民の友好関係の発展をはかる。

朴政権を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」とした「日韓条約」を廃棄する。

南朝鮮からの全米軍撤退を要求し、朝鮮人民自身による自主的・平和的統一を支持する。

朝鮮に関する不当な国連決議の廃棄を要求し、朝鮮問題討議のための国連総会への朝鮮民主主義人民共和国代表の無条件招請を支持する。

在日朝鮮人の生活、教育、権利を保障し、自由な帰国を援助する。

この頃の日本共産党は、北朝鮮を社会主義国と認識し、朝鮮労働党と友好関係を維持していました。

日本共産党は朝鮮労働党が朝鮮半島を統一することを支持し、日韓条約廃棄を叫んでいたのです。

昭和41年に日朝両党は共同声明を出しています。

萩原遼さんは朝鮮労働党による凄惨な人権抑圧を日本共産党中央に報告

赤旗の平壌特派員だった故萩原遼さんが平壌から事実上追放されたのは、昭和48年4月17日です。萩原さんは昭和47年5月23日に平壌に到着しています。

赤旗の平壌特派員としては、三人目でした。

萩原さんは平壌滞在中に、朝鮮労働党による凄惨な人権抑圧の実態を垣間見することができました。萩原さんはそれを帰国後、日本共産党中央に詳細に報告したと伺います。

著書「ソウルと平壌」(文春文庫)に出ているような報告を、日本共産党中央の担当者になさったのでしょう。

「ソウルと平壌」の「北から」の章で萩原さんは、監視人に「崔承喜はいまどうしてますか」と聞いた時のことを書いています(文庫版p189)。

崔承喜は、半島の舞姫として著名な方でした。戦後、夫と共に北朝鮮に渡り活躍していたのですが、萩原さんが平壌に滞在したころには動向が伝えられなくなっていました。

監視人は萩原さんの質問に、「それを何のために聞くのか」と反問してきたそうです。誰に彼女の消息を確かめろと指示されたのか、と問い詰めてきたそうです。

後に萩原さんは、崔承喜が昭和42年頃、金日成に弾圧され行方不明になったことを突き止めました。これはおそらく、日本に戻ってからでしょう。

萩原さんが平壌で住んでいた宿舎で、昭和42年9月にベネズエラ共産党員で詩人のアリ・ラメダが公安に連行されたそうです。

萩原さんはこれを、当時の赤旗平壌特派員から聞いたのでしょう。萩原さんは後に、アリ・ラメダが7年間、収容所に連行、抑留されたことを知ります。

フランス共産党員の仲間との会話で、北朝鮮の政治に疑問を投げかけたことが当局の知るところになったのです。仲間との会話が盗聴されていた。

萩原さんがアリ・ラメダの件を詳しく知ることになったのは平壌を離れて、アムネスティの報告書を知ってからでしょう。

収容所の件まで、日本への帰国直後に報告はしていないでしょう。

しかし日本人妻が全く里帰りなどできていないこと、相当数の帰国者(元在日朝鮮人)が行方不明になっていることを日本共産党中央はこの頃には熟知しています。

少なくない在日朝鮮人が、北朝鮮に帰国した親族が消息不明になっていることを仲間の日本共産党員に知らせていたのですから。それは当時の日本共産党中央にも届いていました。

昭和30年まで、在日の共産主義者は日本共産党員でした。日本共産党と在日本朝鮮人総連合会は、親しい関係を維持していました。

朝鮮労働党による凄惨な実態を承知していても日本共産党は、在日朝鮮人の自由な帰国を援助すると明言していたのです。

「自由な帰国」という表現ですが、昭和47年4月に在日本朝鮮人総連合会は約200人の朝大生を金日成の贈り物として献上しています。

在日本朝鮮人総連合会と友好関係を長年維持してきた日本共産党がこれを知らないはずがない。

人間の贈り物、にはいくらなんでも協力できないが自由意思で北朝鮮に行くなら援助しますよと言う話なのでしょうね。

日本共産党中央には、北朝鮮の凄惨な実態を在日朝鮮人に知らせようという発想はできなかった。

朝鮮労働党と日本共産党が友好関係を維持していたからです。

民主連合政府ができていたら日韓関係は破滅、日米安保廃棄なら人民解放軍が日本に侵攻

民主連合政府ができたら、日韓条約は破棄され、日韓関係は破滅していたでしょう。

奇妙な話ですが、五十年ほど前の日本共産党の日韓関係、日朝関係に関する主張は、今の嫌韓論者の方々の主張と酷似しています。

日韓条約廃棄なら日韓断交です。

在日朝鮮人の自由な帰国、に嫌韓論者の方々は全面協力するでしょう。

日本共産党は元祖嫌韓論者です。日韓が断交していたら、韓国の流行歌手が日本に来るのは困難だったでしょうね。

在韓米軍撤退が実現していたら、朝鮮労働党が朝鮮半島を統一し、大韓民国は消滅していた可能性があります。

日本共産党の平和理論なら、社会主義朝鮮による朝鮮半島統一は社会進歩、歴史の法則的発展です。

万が一、昭和42年頃に民主連合政府が実現し、日米安保廃棄、日韓条約廃棄が実現していたら在韓米軍も撤退していたかもしれません。

その時には、朝鮮人民軍は韓国に、中国の人民解放軍が日本に侵攻していた可能性が高い。

毛沢東と四人組なら、人民解放軍に日本侵攻指令を出したでしょうね。

昔も今も、日本共産党と左翼は中国共産党、朝鮮労働党を大局的には平和勢力と把握する。平和勢力の日本侵攻、など想像もできないのでしょう。

崔承喜はなぜか「復権」ー金正日が許可したのか

ところで、崔承喜はなぜか、十一年くらい前に北朝鮮で「復権」しています。平壌にお墓があるようです。

朝鮮中央放送でそれが放映され、私はインターネットで見ました。金正日が崔承喜の再評価を許可したのでしょう。

なぜ復権されたのかはわからない。崔承喜がなぜ行方不明になってしまったのかも、はっきりしません。

友人に不平不満を漏らせば盗聴され、収容所送りになるのが北朝鮮ですから。

不破さんの提言は朝鮮労働党に無視された

不破哲三さんは北朝鮮、朝鮮労働党の実態を承知しつつ、首領に絶対性、無条件性の忠誠を誓う在日本朝鮮人総連合会と交流を再開しました。

不破さんが16年前に在日本朝鮮人総連合会に出した六項目の提言とやらは、朝鮮労働党に無視されました。これは、萩原遼さんが予見した通りです。

そもそも、不破さんの提言が朝鮮労働党に伝えられたかどうかも不明です。

日朝関係の打開めざして提言│朝鮮半島・不審船問題│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp)

大金を寄付できない人の話など、朝鮮労働党がきくはずがないのです。朝鮮労働党は数億円出しても、平壌に行って記念写真撮影を許可する程度の扱いしかしません。

朝鮮商工人はそのように扱われてきました。

在日本朝鮮人総連合会関係者や脱北者から沢山のインタビュー調査を行ってきた萩原さんは、不破さんの提言など相手にされないと簡単に予見できたのです。

不破さんの提言がどう扱われようと、大山奈々子神奈川県議は、朝鮮学校への無償化適用を断固主張しています。

大山奈々子神奈川県議は、朝鮮労働党による蛮行の歴史に一切関心がないようです。朝鮮労働党を平和勢力と信じて疑わないのでしょうね。

2021年10月2日土曜日

民青同盟員、若い日本共産党員は小林栄三監修「科学的社会主義 下」(新日本出版社より昭和52年刊行)を読もう!

田村智子議員も早大在学時、この本を一生懸命読んだのでは 

四十年ほど前の民青同盟ではこの本を一生懸命読みましょうと推奨していました。この本の上巻は、マルクス主義経済学や哲学の説明です。

岡本博之さんが監修しています。

民青同盟でいつ頃この本が推奨されなくなったのかはわかりません。私は四十年ほど前にこの本を一生懸命読みました。

田村智子議員が早大で民青同盟の活動に参加なさったのは37年くらい前かと思います。その頃ならまだ、この本が民青同盟で推奨されていたかと思います。

大山奈々子神奈川県議は、早大の学生だった頃、民青同盟には参加なさっていないようですね。この本を御存知ないかもしれません。

日本共産党新宿地区委員会にお勤めの中野顕さんはこの本をよくご存じです。お若い頃、一生懸命読んだのでしょう。

松竹伸幸さんは一橋大の学生だった頃、この本を一生懸命勉強なさったのではないでしょうか。

平和革命必然論者は右翼日和見主義

小林栄三さんによれば、日本革命の平和的移行の可能性を必然性にすりかえ、わが国で革命の平和的発展の道がすでに保証されているように考える「平和革命必然論」は右翼日和見主義です(同書p253)。

平和革命必然論は、米日支配層の反動的な攻撃のまえで、革命運動を政治的、思想的に武装解除するきわめて危険な路線だそうです。

田村智子議員は今では平和革命必然論を採用しているのでしょうが、それなら小林栄三さんに右翼日和見主義と言われてしまいそうです。

また小林栄三さんによれば、統一戦線政府によりアメリカ帝国主義は撤退して独立が達成されうると主張する、春日庄次郎さんらの構造改革論は典型的な日和見主義理論です。

「民主的改革」という改良の積み重ねで社会主義になる、という見解も日和見主義

春日庄次郎さんらは「構造改革」または「民主的改革」という改良の積み重ねによって独占資本主義の構造を改革し、社会主義革命に行くことができると主張しています(同書p159)。

春日庄次郎さんらは敵権力の善意または譲歩に希望をつないでいるから、日和見主義だそうです。

私には、小林栄三さんが上記のように要約している構造改革論は、今の日本共産党の綱領路線と殆ど同じと思えます。

志位さんが日本共産党の現綱領と、春日庄次郎さん、江田三郎さんの「構造改革論」の違いを説明してくださると一番良いのですが。

長洲一二教授(後に神奈川県知事)も、構造改革論者だったはずです。大山奈々子神奈川県議はこのあたりを御存知なのでしょうか。

日和見主義、とは革命的マルクス主義、レーニン主義の反対語なのでしょうか。

ソ連、東欧、中国、北朝鮮では男女同権が実

小林栄三さんによれば、社会主義国では物価の安定、失業の解消、社会保障の充実、男女同権など多くの国で資本主義に対する優位性を示しています(同書p308)。

ソ連、東欧、中国、北朝鮮では男女同権が実現していたそうです。小林栄三さんは何を根拠としてそう思ったのでしょうか。

池内さおりさんがこの本を読んだらどう思うでしょうか。

昔の日本共産党は、社会主義国では女性も政治犯収容所に連行されうるから、男女同権だという発想だったのでしょうか。

それほど素晴らしい事業を成し遂げたはずのソ連や東欧の社会主義国が崩壊したとき、小林栄三さんは宮本顕治さんと一緒に万歳を叫んだのでしょうか。

民青同盟員、若い日本共産党員がこの本を読んで下さったら良いですね。

大山奈々子神奈川県議は長洲神奈川県知事を尊敬なさっているようです。今からでもこの本を読み、春日庄次郎さんの構造改革論を学んだらいかがでしょうか。

2021年10月1日金曜日

昭和25~30年頃の日本共産党員は、臨時中央指導部(今の日本共産党は徳田・野坂分派と規定)こそ党中央とみていたー「日本共産党の八十年」(p107。日本共産党中央委員会発行)より

昔の野坂参三さんは平和革命論者で、宮本顕治さんは暴力革命論者だった 

今の日本共産党は、野坂参三さんは極悪人、宮本顕治さんは英雄という史観を普及しています。

野坂さんが帰国直後「愛される共産党」を訴える平和革命論者だったことなど、若い共産党員は知らないでしょうね。

宮本顕治さんが暴力革命論者だったことも、全く知らないでしょう。

昔から共産党は、最高指導者の無謬性宣伝を重視します。

わが党は一貫して正しい政策と見解を訴えてきた。それができたのは、科学的社会主義の理論と思想を体得した最高指導者がいたからだ、という理屈です。

日本共産党の場合、昔からの幹部は殆ど皆、除名されてしまいました。

今の日本共産党の立場なら、徳田球一さんも野坂さんと同様に除名されるべき人物です。

今の日本共産党は、昭和25年に起きた日本共産党の「五十年問題」とその後の武装闘争を、徳田球一さんと野坂参三さんらがソ連、中国の指示に従って分派を結成し行ったものと宣伝します。

徳田さん、野坂さんらに排除された宮本顕治さんは一貫して正しい主張をしてきたという史観を、志位さんは何としても普及するしかない。

宮本さんが暴力革命論者だったことを、志位さんは内緒にしたいでしょうね。

「日本共産党の八十年」と宮本さんの昔の論文を読みましょう

近年の日本共産党の文献と宮本顕治さんが昭和25年頃から出した論考を真面目に読めば、「武装闘争は徳田・野坂分派によるものだからわが党とは無縁だ」宣伝が成り立たないことがわかってきます。

本ブログではこれを繰り返し指摘してきました。

まず第一に、昭和25年から30年頃の日本共産党中央幹部で、ソ連、中国から提起された暴力革命論に反対した方はいません。

宮本顕治さんは昭和25年5月の「前衛」掲載論考「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」で野坂さんの平和革命理論を徹底批判しています。

宮本さんによれば、日本革命の「平和的発展の可能性」を提起する事や、議会を通じての政権獲得の理論は根本的な誤りです。

宮本さんのこの論考は、「日本共産党五〇年問題資料集1」(新日本出版社刊行)に掲載されています。この資料集も、入手しにくいでしょうけれど。


国際派だった志賀義雄さんは、昭和25年9月に臨時中央指導部の下に結集したそうです(「日本共産党の八十年」p109)。

第二に、宮本さんらは昭和26年10月頃には臨時中央指導部の下に団結していたという史実を指摘したい。

「50年問題」で日本共産党は大別して「所感派」「臨時中央指導部」(徳田・野坂分派と今の日本共産党は規定)と宮本顕治さんらの「国際派」に分かれて分裂します。

昭和26年8月にスターリンとソ連共産党が臨時中央指導部を正統派と認めたので、宮本さんらの組織「全国統一会議」は解散しました。

これは、「日本共産党の八十年」(p112)にも明記されています。

この時期の日本共産党員は、スターリンとソ連共産党、毛沢東と中国共産党を盲信していました。

シベリア抑留から帰ってきた元日本兵士の話を聞こう、という日本共産党員など殆どいなかったと考えられます。宮本百合子は例外でした。

宮本顕治さんらは臨時中央指導部を昭和26年秋には党中央と認め、51年綱領も正規の綱領と認めていたのです。

第三に、この時期の日本共産党の一般党員は殆ど皆、臨時中央指導部を党中央とみていました。

これも、「日本共産党の八十年」(p107)に明記されています。同書によれば、全国の党組織と党員の多くが臨時中央指導部に引き込まれました。

第四に、宮本さんが暴力革命論を明記した51年綱領を「かがやかしい新綱領」「新綱領が示した道が正しかった」と高く評価していた史実です(昭和30年8月の「アカハタ」掲載論考)。



内乱を訴えた32年テーゼを信奉していた宮本顕治さんが、暴力革命を主張する51年綱領を高く評価するのは当然です。

日本共産党職員や一般党員のtwitterを見ると、殆どの方は臨時中央指導部を分派と考え、日本共産党は武装闘争、暴力革命論と無関係と信じています。

山添拓議員、宮本徹議員、田村智子議員は恐らくそう信じているでしょう。殆どの日本共産党国会議員は、昔の宮本顕治さんの論考を読まない。

臨時中央指導部こそ党中央と信じ、武装闘争に身を投じた昭和27~28年頃の一般党員は分派活動に参加した乱暴者という話を信奉しています。

金日成神話を信奉する朝鮮労働党員、在日本朝鮮人総連合会の皆さんと日本共産党員は、似た思考方式を持っています。

宮本顕治さんは、武装闘争の熱がまだ冷めやらぬ昭和30年8月に、新綱領が示した道が正しかったと断言していました。

この件、志位さんは何としても内緒にしたいでしょうね。そのうち、不破さんの中国共産党礼賛も個人の所業という話になりそうです。