2023年3月24日金曜日

日本共産党は鈴木元さんを批判する論文を出せなかった―今の日本共産党には、「理論幹部」がいない

 鈴木元さんの除名について、改めて思った事、感じたことを記しておきます。

鈴木元さんのFacebookでの連載元鈴木 | Facebook によれば、3月9日に鈴木元さんに対する調査が行われ、15日に鈴木元さんの除名処分が決定されました。鈴木元氏の除名処分について | JCP京都: 日本共産党 京都府委員会 (jcp-kyoto.jp)

鈴木元さんの記者会見はこちらです。日本共産党から不当に除名された鈴木元氏の会見(前半) - YouTube 

鈴木元さんの記者会見によれば、3月9日の調査は30分程度でした(youtube開始後16分頃)。

このときに調査を担当した日本共産党京都の方が、早口で鈴木元さんを問いただす文書を朗読しました(youtube開始後12分程度)。

そこで鈴木元さんは、この場では即答できないので、改めて文書で回答したいからそれに基づき、二回目の調査の会議を開いてほしいと要求しました。

日本共産党京都の幹部の皆さんのお名前は以下に出ています。人事と機構 | JCP京都: 日本共産党 京都府委員会 (jcp-kyoto.jp)

その場では読み上げた文書を渡すかどうか即答できないとのことでした。

鈴木元さんが改めて田村和久組織部長に電話をして文書を下さいと要求したところ、13日に文書をくれたそうです。

3月15日に日本共産党京都の常任委員会(19名だが、2名欠席)が開催され鈴木元さんに「弁明の機会を与える」とのことで、鈴木元さんもそこに出席しました。

このときは45分程度だったそうです。

「弁明の機会」で主に発言したのは、寺田茂副委員長と田村和久組織部長でした。他には渡辺和俊委員長が少し発言しただけで、残りの14名の方は一言も発言しなかったそうです。

日本共産党京都は、松竹伸幸さん、鈴木元さんの除名をほぼ同時期に決めていた

日本共産党京都は松竹伸幸さんと鈴木元さんの除名を、ほぼ同時期に決めていたと考えられます。

松竹伸幸さんの除名理由の一つは、日本共産党を批判する鈴木元さんの本を自分の本と同じ時期の出版を促した事でした。日本共産党京都はこれを分派活動と解釈しました。【コメント】松竹伸幸氏の除名処分について | JCP京都: 日本共産党 京都府委員会 (jcp-kyoto.jp)

松竹伸幸さんが鈴木元さんと分派活動を行った事になっているのに、鈴木元さんは何のお咎めもなし、ではつり合いが取れませんから。

鈴木元さんの除名最終決定がなぜ松竹伸幸さんの除名決定より一か月も遅れたのか、についてですが、以下のように考えられます。

鈴木元さんは何度か、日本共産党本部に手紙や意見書を送付していたので、「正規の経路で意見をあげなかった」という志位さん流の理屈は成り立ちません。

分派活動といっても、本を出版するための相談ですから、鈴木元さんと松竹伸幸さんが自民党の派閥のような団体を結成したわけではない。

そこで除名のためには分派活動だけではなくもう少し別の理由を案出せねばならない。日本共産党京都の皆さんがこれを案出するのに時間がかかり、遅れたのではないでしょうか。

志位さんは鈴木元さんを批判する論文を出せなかったー今の日本共産党には理論幹部がいない

私見では、鈴木元さんの除名理由の案出を日本共産党京都に背負わせるのは酷です。

鈴木元さんは昨年4月に出した著作「ポスト資本主義のためにマルクスを乗り越える」(かもがわ出版)のp304で、日本共産党の党首公選制導入を主張していました。

p308では、志位さんは日本共産党の党大会で選出されていない事、遡れば宮本顕治さんの推薦で歴代の日本共産党幹部会委員長が就任していると指摘しています。

「はじめに」ではマルクスが説いた「共産主義」を政党の目標とすることは無理があると指摘しています(p10)。

マルクスの共産主義社会論はキリスト教の「千年王国」やヘーゲルの「自由の王国」と同様の観念的最終理想社会論だと指摘しています(p10)。

これらを一年近く前の著作で主張していたのに、日本共産党は鈴木元さんを批判できませんでした。

共産主義を目標とすべきでないなら、日本共産党綱領の社会主義・共産主義論の否定とも解釈できます。

最近出した著作「志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って」(かもがわ出版)で同様の事を強く主張したら規約違反で除名、とは変な話です。

鈴木元さんが二冊の著作で提起している事を徹底批判する論文が「赤旗」や「前衛」に掲載されていれば、日本共産党京都の方々はそれに依拠して、鈴木元さんを調査する場で論争をできたと考えられます。

伊里一智さんの事件の頃の日本共産党は、伊里さんを批判する論考を出せた

昭和60年の、伊里一智さんの事件の頃には、伊里さんの主張を徹底批判する論考が「赤旗」などにいくつも掲載されました。

当時、日本共産党本部の職員だった志位さんは、「変節者のあわれな末路」という論考を「赤旗」に出し、注目されました。

伊里さん批判の諸論考は、「投降主義者の観念論史観」(日本共産党中央委員会出版局)にまとめられています。

鈴木元さんに対しては、志位さんは著作を批判する論考を出せませんでした。今の日本共産党には、理論幹部と言えるような方がいないと考えられます。

37年ぐらい前の日本共産党は第十七大会で伊里一智さんに対する非妥協的な闘争を訴えていました。


鈴木元さんを批判する論文が「赤旗」などに出ないので、日本共産党京都の皆さんは「調査」の場で鈴木元さんと論争をすることができなかったのです。

論争ができないなら、一方的に文書を読み上げて鈴木元さんが自分の「過ち」を認めるか否かだけを確認すればそれでよい、と日本共産党京都の皆さんは判断したと考えられます。

そんなことはない、黒坂は日本共産党を誹謗していると志位さんがお考えなら、今からでも鈴木元さんの著作を徹底批判する論考を沢山出したらいかがですか。






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