先日、日本共産党公式さんのXに、たつみコータロー衆議院議員が登場しました。
旧ソ連や中国は、発達した資本主義から革命が起きたわけではない。
たつみコータロー議員は、ロシア革命、中国革命はやるべきではなかったと主張しているのです。
内戦による革命などを行う前に、議会制民主主義の制度をつくるべきだったという見地です。
この動画を公表している日本共産党公式さんは勿論、殆どの日本共産党員の皆さんもそうお考えなのでしょうね。
今の日本共産党は、ロシア革命、中国革命は不要だったと見ているのです。
ロシア、中国共にまずは、議会制民主主義の制度を形成し、発達した資本主義国になるべきだったという話ですから。
たつみ議員と日本共産党公式さんは、レーニンとボリシェヴィキが掲げた「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」路線、すなわち内戦を起こして革命を実行するという路線は、完全な失敗に終わったとお考えなのでしょうね。
革命運動が不要なら、国際共産党も不要
たつみ議員の見地なら、レーニンとボリシェヴィキは革命運動などやらずに、帝政ロシアの漸次的改革を目指すべきだったという話になります。
毛沢東と中国共産党は、国共合作を継続し、国民党の一部として、経済成長を実現し、議会制民主主義を少しでも根付かせるべく努力すべきだったという話になります。
革命運動が不要なら、国際共産党も不要です。国際共産党日本支部も不要です。
共産主義者たるもの、大日本帝国の経済成長と、議会制民主主義の発展に貢献すべきだったという話です。
共産主義者たるものは立憲政友会か立憲民政党に入り、可能なら国会議員になって大日本帝国の経済成長と、議会制民主主義の発展に貢献すべきだったという結論になります。
しかし、発達した資本主義国とは一体何でしょうか。GDPの規模なら、今では中国の方が日本よりはるかに大きい。
中国には議会制民主主義などありません。経済成長を達成すれば、必ず議会制民主主義が実現されるということにはならないのです。
ソ連が崩壊して少し後に東京大学でシンポジウムが開催されました。東京大学の馬場宏二教授がこのシンポジウムで、大意次のように発言されています。
馬場教授の発言は、大変示唆に富むと思えますので、紹介しておきます。たつみコータロー議員と、日本共産党公式さんの御参考になれば幸いです。
発言は、東京大学社会科学研究所の紀要に掲載されています(第43巻第1号)。国会図書館にあるでしょう。
馬場宏二教授の左翼・右翼開発独裁論
第二次大戦後、右翼開発独裁(韓国、台湾、東南アジア等)と左翼開発独裁(ソ連等)が体制間競争を行った。どちらも、経済成長達成のために農業部門からの収奪を行った。
右翼開発独裁は、資本主義経済という経済成長のために全てを動員するというような制度を基礎としていたから、経済成長達成競争で勝利した。
右翼開発独裁は、経済成長達成以外は大したイデオロギーを持っていなかったので、成長が達成されると崩壊した。
左翼開発独裁は、マルクス主義という強力なイデオロギーを背景とし、その解釈権を独裁者が掌握していたので、経済成長競争で負けても、体制としては生き残った。