2018年2月26日月曜日

大門みきし日本共産党参議院議員の北朝鮮論「経済から考える『北朝鮮問題』」より思う

「北朝鮮の最大の要求は対話です」(第一回放送開始後5分20秒頃の大門議員の発言より)


先日、日本共産党の大門みきし議員は、you tubeで朝鮮労働党の最大の要求は対話である旨断言しました。「大門ゼミ」という放送の中です。

この発言を聞いて私は唖然としてしまいました。奇想天外です。

この発言の実証的根拠、あるいは朝鮮労働党の文献上の根拠を、大門議員は2回の放送で全く示していません。

これでは、北朝鮮への帰国事業が行われていた頃、宮本顕治氏らが行った北朝鮮礼賛と同レベルです。

千里馬の勢いで社会主義を建設する共和国、という水準の宣伝です。

数百人の日本人、韓国人を拉致・抑留し、叔父を公開処刑、腹違いの兄金正男氏を化学兵器で殺害する金正恩と朝鮮労働党の最大の目的が対話ですか。

朝鮮労働党がどれだけ悪行を重ねても、対話を望む平和な集団であるというような主張は礼賛でしかない。

帰国事業以来、60年近い歳月が過ぎました。北朝鮮については、当時とは比較にならないほど、凄惨な人権抑圧の実態がわかっています。

朝鮮労働党の最大の目的は、南朝鮮革命です。全社会の金日成・金正日主義化とも言います。

別言すれば、大韓民国を滅亡させ、朝鮮半島全体を金日成・金正日・金正恩の隷属下におくことです。

それでも日本共産党員は、北朝鮮を礼賛する。共産主義国礼賛は共産主義者の本性なのでしょうね。

大門みきし議員は日本共産党の朝鮮問題についての文献について一切言及しなかった


大門みきし参議院議員は、you tubeなどで「大門ゼミ」と称して日本共産党の経済論、経済政策等について見解を発表しています。

大門議員は、日本共産党国会議員の中ではマルクス経済学の文献を読んでいる方なのでしょう。

しかし私には、大門議員は日本共産党の朝鮮問題に関する文献を全く読んでいないとしか思えませんでした。

2回の放送で大門議員は、日本共産党の朝鮮問題に関する文献について一切言及しなかったのです。

本ブログでは何度も紹介していますが、一昔前の日本共産党は朝鮮労働党と共同声明を作成し、彼らの南朝鮮革命路線への支持を表明しています。

宮本顕治氏は朝鮮労働党第四回大会(昭和36年9月)に来賓として参加し、北朝鮮を礼賛しました。

このころ、寺尾五郎氏の「38度線の北」(新日本出版社刊)は在日朝鮮人の間でベストセラーになりました。

北朝鮮への帰国事業が殆ど行われなくなってからも、日本共産党の北朝鮮礼賛は続きました。

例えば、川越敬三氏の「社会主義朝鮮」(昭和45年新日本出版社)はその一例です。

日本共産党は80年代中ごろに、朝鮮労働党との関係を断絶します。

昭和63年頃だったと思いますが、「世界政治資料」とかいう雑誌で日本共産党は「党の唯一思想体系確立の十大原則」や、金正日の社会的政治生命体論を翻訳し批判しました。

日本共産党は朝鮮労働党との交流関係を断った後、「北朝鮮 覇権主義への反撃」(赤旗編集局編、新日本出版社)という本を出しています。

この本では、朝鮮人民軍による日本漁船銃撃事件を詳細に説明しています。

大門みきし議員は、これらの文献について一切言及しませんでした。

日本共産党国会議員が、日本共産党の文献について説明できないとは、珍現象ではないでしょうか。

主体思想を無視して北朝鮮を語る大門みきし議員


大門議員は、北朝鮮は社会主義でも共産主義でもない、個人独裁国家だと主張していました。

個人独裁国家という体制把握はマルクス主義の手法ではなく、ブルジョア政治学のそれではありませんか。

私見では、マルクス主義は経済が土台であり、政治は上部構造であると主張する。北朝鮮を経済から考える際、社会主義ではないというなら北朝鮮は資本主義なのでしょうか。

大門議員は北朝鮮経済を総合してどう把握するかについて一切説明しませんでした。

政治についても、大門議員は2回の放送で主体思想について全く説明していない。

朝鮮労働党の理論や政策について説明するとき、主体思想を無視するのは異様です。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんがこの放送を見たら、仰天するのではないでしょうか。

大門みきし議員は、朝鮮労働党との交流再開を志位和夫氏に提言すべきだ


北朝鮮と対話することが何より大事だ、皆で対話をしようと大門議員は力説していました。

それならば日本共産党は朝鮮労働党との交流を、いかなる前提条件もおかずに再開すべきです。

「皆で対話をしよう」「対話は譲歩ではない」と大門議員は放送で主張していました。「皆」の中に、御自分や日本共産党は含まれていないのでしょうか。

大門議員は、まずは在日本朝鮮人総連合会の皆さんと対話すべきです。

奇々怪々な北朝鮮論だったとしか言いようがない。





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