2013年9月2日月曜日

朝鮮民主主義人民共和国は、配給その他すべての点で万全の受入体制を用意している―宮本顕治の「前衛」論考(昭和34年5月)より思う―

宮本顕治による北朝鮮礼賛の史実を知らない若い日本共産党員




昔の失敗を、いろいろほじくり出されるのは嫌なものです。

お前は何年前、ああ言ったこう言ったというような話を何度もされると、そんな人とは一切付き合いたくなくなってしまいます。

過ぎたことは水に流す。友人関係を継続させるためには、これが大事なのでしょう。

しかし、政治家や政党が歴史の中で果たした役割を評価するためには、何十年前の言論、論考だろうと持ち出すしかありません。

左翼は自分たちに都合の良いように史実を捏造しますから。

吉良よし子参議院議員ら、現在の若い日本共産党員は宮本顕治による北朝鮮礼賛の史実など、一切知らないことでしょう。

日本共産党中央委員会による「日本共産党の八十年 1922〜2002」(2003年刊行)や、不破哲三「日本共産党の歴史と綱領を語る」(新日本出版社2000年刊行)などには、日本共産党が北朝鮮を礼賛した史実など一切記載されていませんから。

昭和30年まで、日本共産党員の中には在日朝鮮人がいたことすら、これらの本には記されていません。

戦後のある時期まで、在日朝鮮人の党員が日本共産党の中で最も戦闘的だったはずです。宮本顕治が理論的に正当化した、日本共産党の武装闘争の時代です。


以下、宮本顕治「ソ連邦共産党第二十一回臨時大会の意義と兄弟諸党との連帯の強化について」(「前衛」1959年5月号掲載論考)から、北朝鮮に関する記述を抜粋します。

この論文が発表された頃、日本共産党は在日朝鮮人を北朝鮮に帰国させることを在日本朝鮮人総連合会とともに、日本政府に強く要求していました。

この論文によれば、宮本顕治ら日本共産党代表団はソ連邦共産党第二十一回臨時大会に出席し、チェコスロバキア共和国、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国を訪問しました。

日本共産党代表団は平北朝鮮を昭和34年(1959年)2月26日から28日まで訪問し、金日成、朝鮮労働党の指導部と会談しました。

宮本顕治は当時、51歳くらいです。政治家として油がのりきった、絶頂期にあったのではないでしょうか。

論文の高揚した論調から、宮本顕治の自信満々ぶりがうかがえます。宮本顕治は天下をとったような気分になっていたのでしょう。

この頃、日本共産党だけでなく日本の左翼知識層のあいだでは、朝鮮戦争は米国による北朝鮮への侵略から始まったということが当然視されていました。



朝鮮民主主義人民共和国は、配給その他すべての点で万全の受入体制を用意している




「朝鮮労働党と朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者が朝鮮にたいする侵略戦争を開始した一九五〇年いらい、日本共産党と日本人民が、このアメリカ帝国主義の侵略に反対してたたかったことを、ふかい友情をもって記憶している。

在日朝鮮人の帰国運動についても、両党の見解は完全に一致している。祖国に帰国することを欲するものをその祖国に帰すということは、基本的人権の初歩的な問題である。

内外の広範な民主的世論のまえで、岸内閣も帰国について「了解」を発表せざるを得なかった。

しかも、朝鮮民主主義人民共和国は、配給その他すべての点で万全の受入体制を用意しているのである」



朝鮮戦争は北朝鮮による韓国への侵略から始まりました。

日本共産党と日本人民とやらの「アメリカ帝国主義の侵略に反対するたたかい」は北朝鮮による侵略の史実を隠蔽する「たたかい」だったのです。

「たたかい」の中には、日本共産党指導下の在日朝鮮人による武装闘争もありました。朝鮮戦争に米軍が参戦しにくくなるよう、後方攪乱を索したのです。

朝鮮戦争に中国人民軍が参戦していますが、これこそ大韓民国への侵略そのものです。

中国の参戦がなければ、とっくの昔に韓国により朝鮮半島は統一されていたでしょう。

「配給その他すべての点で万全の受入体制を用意している」など、誇大広告そのものでした。

宮本顕治らより1年半くらい後に訪朝した関貴星「楽園の夢破れて」(全貌社1962年刊行。亜希書房より1997年再刊行。以下、ページ数は再刊行版による)は、北朝鮮では食糧ばかりでなく衣、住、あらゆる生活必需品が底をついていることを指摘しています(p58)。



行方不明になった帰国者〜「山へ行く」(산에 간다)〜




関貴星は、帰国者の中で「党の命令で学習に行く」という理由で家に帰らなくなってしまった人がいることを指摘しています(p45-47)。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんなら、「学習に行く」ということが何を意味するか、よくご存知ですね。、「山へ行く」(산에 간다)ですね。

北朝鮮の体制に何らかの不満を漏らした人は、山奥に送られるか、どこかに監禁されてしまうのです。監禁されて、拷問される場合もあります。「スパイだ」という疑いです。

帰国事業が行われていた頃から、北朝鮮は徹底的な人権抑圧体制だったのです。

管理所という、政治犯収容所が帰国事業の頃、どの程度整備されていたかはよくわかっていません。この頃は国家安全保衛部も未確立でした。

在日本朝鮮人総連合会の皆さんの中には、「山へ行く」(산에 간다)という隠語があります。帰国者が行方不明になったことを意味します。

もう少し、宮本論文を抜粋しておきます。



李承晩一味の干渉といいがかり―日本共産党は大韓民国を国家と認めていなかった―



「しかし、岸内閣は理不尽な李承晩一味の干渉といいがかりに圧迫されて、第三者に帰国意志の再審査をゆだねるという自主性の正しくない処理方針を出し、単純明確な問題をことさらに複雑化させて、問題の解決をひきのばす結果をつくっている。

(中略)


アメリカ帝国主義のあやつる李承晩の特別に理不尽な横車に圧迫されて、在日朝鮮人の帰国にかぎり、岸内閣が問題を複雑化させているのは、まったく不当である」



岸内閣とは、現在の安倍総理の祖父、岸信介内閣のことです。李承晩一味という表現も、聴濤弘のような老共産党員には懐かしい響きでしょう。

この頃の日本共産党は、大韓民国を国家として認めていなかったのです。米国の傀儡というレッテルを貼っていました。

日本共産党と在日本朝鮮人総連合会は、日本政府が大韓民国と条約を締結するための会談開催にすら、全力で反対していました。米国の傀儡など、言いがかりそのものです。

李承晩政権は、北朝鮮による凄惨な人権抑圧の実態を熟知していました。朝鮮戦争休戦のほんの数年後ですからね。

北朝鮮は朝鮮戦争時、普通の韓国人を約8万人も拉致して北に連行したのです。北朝鮮が酷いところであるということは、当時の韓国人にとって常識だったのです。

北朝鮮に帰国するなど、当時の韓国人から見れば奇想天外の愚行だったでしょう。

「李承晩一味の干渉と言いがかり」の中身がわかりませんが、李承晩政権は北朝鮮の凄惨な真実を日本政府に伝えてくれていたのかもしれません。

「李承晩一味の干渉と言いがかり」とやらを、在日朝鮮人は傾聴すべきだったのではないでしょうか。ごく少数だったかもしれませんが、傾聴した人もいたことでしょう。

宮本顕治論考は、延々と北朝鮮礼賛をしています。もう少し抜粋します。



すばらしい速度で復興から新しい社会主義建設の発展にむかってまい進




「朝鮮民主主義人民共和国は、アメリカ帝国主義の侵略戦争によって国土に大きな破壊と犠牲をうけたにかかわらず、朝鮮労働党の指導のもとに団結をつよめ、「千里の駒」運動の標語が示すように、すばらしい速度で復興から新しい社会主義建設の発展にむかってまい進しつつある。


すでに農村の協同組合化は完成している。アメリカ軍の爆撃で九割の家屋を破壊された平壌市には、日に夜をついで新しい建設がすすみ、短時日のあいだにその成果がうまれつつある」



宮本顕治は北朝鮮当局の宣伝を鵜呑みにして日本人と在日朝鮮人に普及しています。「口からでまかせ」とはこういう言論のことです。

「千里の駒」運動とやらの実態は、国民が乏しい配給の下、過酷な重労働をするというだけのことです。

米国の参戦がなければ北朝鮮が朝鮮半島を統一し、韓国人も金日成を礼賛せざるを得なくなっていたでしょう。政治犯収容所がソウル郊外に作られたかもしれません。

「唯一思想体系」とやらが、ソウルにも成立してしまい、ソウル市民も金日成一族への不満を一切言えなくなるなど悪夢のような話ですが、そうなったでしょう。

「全社会の金日成主義化」がそれです。



中国と左翼の宣伝に韓国が屈服しつつある




中国義勇軍とやらが掲げる「プロレタリア国際主義」とやらは、韓国人虐殺を正当化する主義なのです。

左翼はいつの時代でも、どこの国でも共産主義国を擁護し、共産主義国の蛮行、侵略を「平和と民主主義を守る」などと宣伝します。


現在の韓国政府は中国に朝鮮戦争の謝罪と償いを求めていません。在日韓国・朝鮮人にもそういう世論はないようですね。

明は李氏朝鮮の宗主国でした。元は高麗、唐は新羅の宗主国です。李氏朝鮮は清にも、屈従していたのかもしれません。

韓国人が中国を批判するのは難しいようですね。韓国の保守派の中にも、中国批判をする人はあまりいないです。

大韓民国を滅亡させようとしているのは、北朝鮮だけではありません。中国は大韓民国を従属国にしようと策しています。

現在の中国は、思想宣伝で屈服させ、韓国が輸出などで稼いだ金を北朝鮮に流して北朝鮮のインフラ整備資金に回させようとしています。

韓国左翼は、北朝鮮に韓国政府が金を出すことを強く主張します。資金が核軍拡に使われようとそんなことはおかまいなしです。

インフラ整備により、中国が北朝鮮の地下資源を低価格で得ようとしているのです。韓国企業は北朝鮮の北部の鉱山までは入れないでしょう。

中国は北朝鮮の核開発には反対していますが、北朝鮮が韓国や日本から資金を巻き上げることには大賛成です。

中国は地下資源が大好きですから。中国はあの手この手で、韓国だけでなく周辺諸国全てを従属国化させようとしています。

中国人が目指す「富強なる中国」とは、周辺諸国すべてを従属させるということです。覇権主義の権化のようなお国柄です。

現在の韓国が、中華人民共和国を宗主国にしようとしているとまでは思えませんが、思想宣伝で中国に屈服しつつあるようです(文中敬称略)。









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