2015年6月5日金曜日

宮本顕冶「共産主義社会の全面的建設を成功のうちに遂行しつつ、世界平和のもっとも強力なとりでとなっている偉大なソ連邦」(1961年7月25,26日、日本共産党第八回大会中央委員会の綱領についての報告より抜粋)

偉大なソ連邦を始め、その革命の勝利によって、アジアにおける帝国主義の地位に手痛い打撃をあたえた中華人民共和国の躍進および強大な社会主義陣営を形成しているすべての社会主義諸国―われわれは、この社会主義世界体制が、人類社会発展の決定的要因に転化しつつある時代に生きているという確信と展望につらぬかれている(「前衛」日本共産党第八回大会特集,p132-133より抜粋)-



宮本顕冶氏(当時は日本共産党中央委員会書記長)が日本共産党の大会でこの報告をした昭和36年7月頃、日本共産党員は大真面目にソ連や中国、北朝鮮をこのように礼賛し大宣伝していたのです。

聴濤弘氏(元参議院議員)なら、この時期の自分の宣伝内容をよく覚えているはずです。

およそ三十年後、宮本顕冶氏らはソ連邦崩壊万歳を叫ぶのですが、当時の日本共産党員からすればソ連邦崩壊万歳など狂気の沙汰、反動勢力の妄言そのものです。

世渡りのためには、思想などどうでも良いということなのでしょう。宮本顕冶氏は確固たる思想家だったなどと考えている人がいるかもしれませんが、勘違いも甚だしい。

典型的な機会主義者、御都合主義者ではないですか。野坂参三氏も同様です。

志位和夫氏に問う―ソ連や中国、北朝鮮は「平和のとりで」「人類社会発展の決定的要因」なのか


宮本顕冶氏による「ソ連、中国、北朝鮮=平和とりで、人類社会発展の決定的要因」論の愚かさは、物事を多少真面目に考える方ならすぐにわかります。

しかし、志位和夫氏ら現代の日本共産党員は、宮本顕冶氏による愚かな宣伝の誤りを認められない。

誤りを認めれば、下部党員に「それなら、ソ連や中国、北朝鮮こそ反動勢力、戦争勢力ではないか」「ソ連や中国、北朝鮮の見方では自民党が正しかった」という認識が広まってしまうからです。

日本共産党員により構成されている小社会には、北朝鮮社会ほど極端な閉鎖性はありません。

吉良よし子議員、池内さおり議員ら若い日本共産党員は在日本朝鮮人総連合会よりは多少、開かれた世界に生きている。

「赤旗」を周囲の友人に勧めれば、中国や北朝鮮の危険性について話をする人がいるはずです。


中国の朝鮮戦争への参戦は、大韓民国への侵略だった



ソ連や中国、北朝鮮は徹底的な戦争国家ですから、共謀して朝鮮戦争を始めたのです。朝鮮戦争への中国の参戦は、大韓民国への侵略です。朝鮮戦争を始めたのは北朝鮮だったのですから。

近年、不破哲三氏が朝鮮戦争について「前衛」で論考を掲載していますが、中国の参戦が大韓民国への侵略だったという記述はない。

中国が侵略戦争を断行したことを認めれば、今後も尖閣諸島領有のために人民軍が侵攻することがありうるという話になってしまいます。

それを未然に阻止するため、集団的自衛権を行使できるようにして日米軍事同盟を抜本的に強化すべきだという安倍政権の政策が適切と認めざるを得ない。

「平和運動」とやらの虚構性が下部党員にも明らかになってしまいます。


「社会主義の専門家」聴濤弘氏に質問しよう!中国の農民は搾取されていないのか



不破哲三氏、志位和夫氏らは自らの保身のためにも、かつての宮本顕冶氏らによるソ連礼賛を隠蔽し、中国と北朝鮮による核軍拡や凄惨な人権抑圧の実態に目をそむけざるを得ないのです。
不破哲三氏は中国を「市場経済を通じて社会主義へ」というレーニンが提起した道を歩む国と礼賛しています(「北京の五日間」p176、新日本出版社2002年)。

中国は農民を二束三文の賃金で酷使し、実現した利潤を投資したので高成長を成し遂げました。許認可権をもつ中国共産党幹部は、権限を利用し、賄賂を得て大金持ちになりました。

不破哲三氏には、現在の中国が50数年前のソ連のように見えているのでしょう。羽振りが良い中国にすり寄っておけ、ということでしょう。

「寄らば大樹の陰」という発想は、かつての宮本顕冶氏と同じです。

吉良よし子議員ら若い共産党員は「社会主義の専門家」で大先輩の聴濤弘氏に、
「中国の農民には年金も社会保障もないそうですが搾取されていないのですか」と聞いてみたらいかがでしょうか。

中国人民軍の凶弾に倒れた「赤旗」記者高野功氏は、命がけで中国のベトナム侵略を告発した―「寄らば大樹の陰」の「革命家」不破哲三氏と好対照



「赤旗」記者には、中国人民軍の凶弾で貴重な命を奪われてしまった方もいます(「三月七日、ランソンにて 『赤旗』ハノイ特派員高野功記者の記録」、1979年新日本出版社刊)。

今日の日本共産党は、高野特派員射殺について中国共産党に謝罪も補償も求めていません。

「市場経済を通じて社会主義へ」進むためには、中国人民軍によるベトナム侵略の真実を報じた「赤旗」記者が犠牲になるのはやむを得ない、と吉良よし子議員は本気で考えているのでしょうか?

故高野功特派員の遺志を継いで、中国の侵略性を告発する「赤旗」記者はいないようです。記事にしようとすれば、不破哲三氏を批判せねばならない。

「寄らば大樹の陰」の「革命家」とは、真に奇妙ですが、真の共産主義者とはそういう生き方を選択した方々なのでしょう。

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