2015年6月18日木曜日

若き不破哲三氏によるスターリンとソ連礼賛を吉良よし子議員は直視するべきだ(上田耕一郎・不破哲三著「マルクス主義と現代イデオロギー 上」(大月書店1963年刊掲載論考より)

不破哲三「世界革命の不均等な発展が主要な先進資本主義国をまだ資本主義体制のもとにとどめているあいだに、ソ連は社会主義社会の建設を完了し、社会主義は資本主義的包囲を打ち破って世界体制となり、帝国主義者のいかなる攻撃をも撃退しうる力をもちながら共産主義社会への移行をめざして巨大な前進を開始しているのである」(前掲書p214より抜粋)。


若き不破哲三氏の、ソ連への熱い思いがひしひしと伝わってきます。ソ連は共産主義社会への移行をめざして巨大な前進を開始しているそうです。

この本は、不破氏と故上田耕一郎氏の共著で、書き下ろし論文と「前衛」「思想」などに掲載された論文を集めたものです。

不破氏の論文「現代トロツキズム批判」は、「前衛」1959年6月号に掲載されました。不破氏は1930年生まれですから、論文執筆当時は29歳くらいでした。相当な「理論家」です。

若き不破氏は兄の上田耕一郎氏とともに科学的社会主義の真髄を習得し、ソ連を礼賛しました。今の日本共産党員から見れば、ソ連覇権主義に屈服していたことになります。

宮本顕冶氏は、マルクス主義の術語を巧みに弄しソ連を礼賛する若き秀才兄弟に注目したことでしょう。

若き不破哲三氏はスターリンの「ソ連=世界革命の展開の基地」論を信奉していた


不破氏はこの論文の中で、スターリンの「世界革命理論」を次のように高く評価しています。

引用が長くなりますが、若き不破氏のソ連とスターリンへの熱烈な思いが良く出ている部分ですので我慢してください。要は、スターリン万歳、というだけの話ですけれど。

「政治経済の不均等発展の法則がとくにするどく作用する帝国主義の時代には、社会主義は世界的な規模で同時に勝利することができず、はじめに一か国ないし数か国で勝利し、

こうして形成される二つの体制の闘争のなかで、さらに一連の新しい国々が帝国主義から離脱するという過程をとおって、世界的な規模での社会主義の勝利に到達する。

これが帝国主義の時代における世界革命が必然的にとる姿であり、十月革命以後の四〇年の革命運動の歴史は世界革命がこうした形態で展開してきた歴史であるといってよい。

そしてそのなかでは、はじめに勝利した社会主義国家の存立をまもりぬき、社会主義を建設し、そのあらゆる力量を強化することは、

『世界革命の展開の基地』(スターリン)をまもることであり、それ自身世界革命を推進するためのもっとも重大な課題である」(同書pp216-217)。

ソ連が「世界革命の展開の基地」であるというスターリンの規定を、若き不破氏は信奉していたのです。各国の共産党員は陰謀家スターリンの手先だったのです。

この論文はフルシチョフによるスターリン批判の後に出ていますから、スターリンによる大量虐殺は明らかでした。それでも若き不破氏はスターリンを礼賛しました。

「反革命分子には政治犯収容所で囚人労働をさせ、思想を改造させるべきだ」とでも若き不破氏は考えていたのでしょうか。

ソ連、中国、北朝鮮では政治犯に過酷な囚人労働をさせてきました。

科学的社会主義の真髄を極めると、共産党の最高指導者を信奉するようになります。かつて宮本顕治氏は「マルクス・レーニン・スターリン主義」という「理論」を信じていました。

最高指導者を批判する「反革命分子」「反党分子」は人類史上最悪の人物と思い込むようになります。上田耕一郎、不破哲三両氏は上記本で「構造改革派」の学者や評論家を糾弾しています。

金日成の「北朝鮮=南朝鮮革命の民主基地」規定はスターリンの真似


金日成もスターリンのこの規定に学び、北朝鮮を「南朝鮮革命のための民主基地」と規定しました。

(「すべての力を祖国の統一独立と共和国北半部における社会主義建設のために―わが革命の性格と課題にかんするテーゼ―」 1955年4月。「金日成選集」第一巻掲載。日本共産党中央委員会金日成選集翻訳委員会訳。1966年日本共産党中央委員会出版部発行)。

在日本朝鮮人総連合会の運動に熱心に参加されている方々なら、この論文をよく御存知です。金日成のこの論文がスターリンの世界革命理論の影響下にあることは御存知ない方もいるでしょう。

「共産主義社会への移行をめざして巨大な前進を開始している」はずの「世界革命展開の基地」、ソ連はこの本の出版後30年も経たないで崩壊しました。

崩壊してしまえば百害あって一利なしですから、ソ連崩壊万歳と手のひらを返す。これも日本共産党員らしい生き方です。

若き不破哲三氏はフルシチョフの宣伝「一国における社会主義の建設と、その完全かつ最終的な勝利」を支持した


今の不破氏には、核軍拡を達成し強大な軍事力を持つ中国がかつてのソ連のように頼もしく見えているのでしょう。

科学的社会主義の真髄を極めた共産主義者は、いくつになっても共産主義国を礼賛し宣伝するのです。

不破氏による拉致問題棚上げ論の背景には、北朝鮮は「南朝鮮革命のための民主基地」である、という金日成の規定への心情的支持があるとみるべきです。

「南朝鮮革命」を否定することは、若き日々の自分の在り方の全否定です。そんなことが不破氏にできるはずもない。不破氏にできることは都合の悪い史実を徹底的に隠蔽することだけです。

日本共産党が普及していた金日成の著作や宮本顕冶氏の北朝鮮礼賛を信じて北朝鮮に渡った元在日朝鮮人たちを、強制収容所や公開処刑、餓死や発狂の運命が待っていました。

吉良よし子議員、池内さおり議員は不破哲三氏の昔の論文や著作を読むべきです。ソ連崩壊万歳を叫ぶ共産党員など、若き不破氏から見れば反動勢力への転身そのものです。

若き不破哲三氏は次のように力説しました。

「ソ連共産党第21回大会でフルシチョフがのべているように、『一国における社会主義の建設と、その完全かつ最終的な勝利にかんする問題は社会発展の世界史行程によって解決された』のである。」

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