朴によれば、総書記は酒が飲めない人間は信用ならない、酒は体質ではなく気合いで飲むものだという考えらしい。宴会は体育会系のサークルのような雰囲気で進んでいった(同書p257より)。
裏の世界に通じている方は、テロを国策としている北朝鮮についてよく「理解」できるようです。私見では、暴力団関係者と朝鮮労働党の思考・行動方式はよく似ています。
故金正日の私生活については、「金正日の料理人」だった藤本健二による一連の著作や、金正日の甥李韓永の手記により細部までわかってきています。
30代から40代のころ金正日は毎晩のように側近を集めて酒宴をしていました。
北朝鮮の外交官だった高英ファンによる「平壌25時」は早くから金正日と側近との酒宴で重要な政策決定がなされていることを指摘していました。
金正日は酒は度量で飲むものだと述べ、側近にウイスキーの一気飲みをさせていました。
金正日の妹金慶喜の亭主だった張成澤や、対南工作機関の責任者だった金容淳はよく酒を飲めるので金正日から信頼されていました。
金正日や張成澤は若い頃、酒池肉林のごとき生活をしていたのでしょう。
朴は対南工作機関に所属する暴力団関係者
北朝鮮に関連する文献を多少読んだ人なら、この程度のことは知っています。しかし現場の状況を想像だけで仔細に叙述するのは難しい。筆力が必要です。
草下シンヤ「闇稼業人」(双葉文庫)では、主人公の沖縄出身の仲間和也は石光という仲間と、悪の稼業に手を染めています。
二人は北朝鮮関係者の朴という人物を相手に覚せい剤の取引をします。
小説ですから全て架空の話なのでしょう。しかし朴という人物の言行は、北朝鮮による対南工作機関の一員とはこんな人物だと私が想像している姿にぴったりなのです。
在日朝鮮人で暴力団と密接な関わりをもつ人物の中には、朝鮮労働党の対南工作機関に所属し金日成、金正日に忠誠を誓っている人物がいるはずです。
彼らは日本人拉致や覚せい剤の密輸等の凶悪行為と、金日成や金正日の奢侈生活を支える物資と資金調達、運搬を長年行ってきました。
暴力団関係者には遊興産業や性産業の企業経営者もいます。建設業や運輸業にも暴力団関連企業があります。その中には、北朝鮮関連団体に所属している人もいます。
朝鮮商工人の中には、暴力団と密接な関わりを持つ人もいます。
警察や国税庁が、在日朝鮮人が経営している暴力団関連企業による脱税行為を取り締まるのは困難です。朝鮮商工人関係団体だけではなく、場合によっては暴力団とも対峙せねばならない。
国税庁の一担当者が、担当地域の企業だからと言ってたった一人で暴力団関連企業の脱税摘発に取り組めるでしょうか。
暴力団関連企業の取り締まりのためには、国税庁が業務上得た情報を警察に全面的に提供することができるようにせねばなりません。
北朝鮮の核兵器、生物化学兵器開発に暴力団関係者が協力してきたかもしれない
仲間和也と石光は朴に使嗾されて核開発のための遠心分離機をある大学から盗み出し、北朝鮮に船で運びます。
その功績が北朝鮮の対南工作機関に認められて二人は金正日酒宴の末席を連ねることになります。その酒宴の記述は、高位幹部だった脱北者たちが伝えるそれとそっくりです。
暴力団関係者が、実際に北朝鮮による核兵器開発のための物資運搬をやってきた可能性はあります。生物・化学兵器開発にも協力してきたかもしれません。
物資運搬のためにも、資金が必要です。朝鮮商工人が出した「忠誠金」が、朝鮮労働党の非公然組織ないしは暴力団関係者が行うテロ物資運搬資金に使われたかもしれません。
草下シンヤ氏の筆力に敬服します。
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