2021年7月22日木曜日

生産手段の社会化(搾取制度の廃止)と株式会社制度は両立しないー日本共産党と同党を支援するマルクス主義学徒に問う

 日本共産党は全体主義政党かー生産手段の社会化を目指すならソ連型経済

少し前に、国民民主党の玉木雄一郎代表が日本共産党は全体主義政党だから、政権をともにできない旨語りました。

日本共産党はこの発言に強く反発しました。綱領を読んでください、民主主義を守ると書いてあります、という調子です。

これに関連して、音喜多駿議員(維新)が、you tubeで大略次のように述べています。

日本共産党は綱領で生産手段を社会化すると述べているが、その具体的中身がない。

生産手段の社会化とは会社を国有化しソ連のような計画経済にすることを意味するから、全体主義になるのではないか。

音喜多議員はtwitterでも大略このように発信しています。

小原隆治早大教授の音喜多議員批判には、生産手段の社会化の説明がない

音喜多議員の呟きに対し、小原隆治早大教授が「マルクスが株式会社を生産手段の社会化の一歩手前と言ったことなどご存じないだろうね。株主総会は統制経済だとか言い出されたらお手上げだけれど」と呟きました。

生産手段の社会化とは一体どんな企業経営方式を意味しているのか。

日本共産党が訴えている生産手段の社会化は全体主義に導く理論なのか。

音喜多議員が提起したこの件は、日本共産党と同党を支援するマルクス主義学徒には極めて重要な課題のはずです。

小原隆治教授ご自身は、この件をどうお考えなのでしょうか。

生産手段の社会化とは何か、という音喜多議員の問題提起に、小原教授は答えていません。

マルクス、エンゲルスは生産手段国有化、市場廃止論者だった

この件については、私は「共産主義国の戦争政策とマルクス主義経済学」(「幻想と批評」第一号、pp. 147-178、はる書房平成十六年刊行)、「社会主義はソ連邦で完全な最後の勝利をおさめた」(「幻想と批評」第七号、pp. 9-28、はる書房平成十九年刊行)で私見を縷々述べました。

マルクス、エンゲルスが想定した生産手段の社会化とはエンゲルスの「空想から科学へ」を引用するまでもなく、生産手段の国有化と市場の廃止です。

不破哲三氏も、マルクスには市場経済を通じて社会主義へ、という考え方はなかったと断言しています(「党綱領の理論上の突破点について」p78、日本共産党中央委員会出版局平成十七年刊行)。

生産手段を国有化し、市場を廃止するなら中央計画機構が財とサービスの配分を指令することになります。

エンゲルスは「空想から科学へ」であらかじめきめられた計画にもとづく社会的生産が可能になる、と述べています。

ソ連型の計画経済は、マルクス、エンゲルスの構想に沿って実施されたのです。

レーニンは晩年に新経済政策を実行しますが、これはあくまで一時的退却、という位置づけでした。

ソ連が一貫して全体主義だったとは言えませんが、スターリン全盛期には相当な独裁体制が成立していたことは間違いない。

株式会社が存在するなら搾取は存在する

今の日本共産党は、社会主義は市場経済だと言いたいようです。

私はtwitterで繰り返し論じていますが、市場経済で株式会社が存在するなら搾取制度は存続します。

株主は働かずに、利潤の一部を配当所得として受け取ります。

株主は企業経営の危険を資金を提供して負担しているのですから、配当所得を受け取るのは当然ですが、マルクス主義経済学なら配当所得は搾取と把握されるはずです。

まさかと思いますが小原隆治教授は、株主は搾取者ではないとお考えなのでしょうか。

エンゲルスの言う、生産の無政府的性格と取得の資本主義的形態の矛盾、を株式会社が数限りなく存在する経済で解消できますか。

株式会社制度を法で禁止したら、企業はどうやって資金を調達するのですか。借金ないしは自己資金しかない。

国有企業なら、国家予算から資金を受け取れば良い。これはソ連や中国、北朝鮮と同じです。

日本共産党と同党を支援するマルクス主義学徒の皆さんの、お答えを待っています。


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