2021年7月27日火曜日

レーニンの「青年同盟の任務」(柴田順吉訳、いづみ書房刊)より思うー搾取制度廃止のためには共通の計画、共通の土地、共通の工場で働くー全体主義を準備

 すべての人が単一の共通の計画で、共通の土地で、共通の工場で働くようにしなければなりません(レーニン)。

生産手段の社会化、搾取制度の廃止のためにはどんな経済運営方式が必要なのか。

この件について、レーニンは「青年同盟の任務」で上記のように述べています。

これは土地と工場を国有化し、中央計画当局が作成する計画と指令に基づき財とサービスを生産、配分するという話です。

スターリンとソ連共産党は、「青年同盟の任務」などで示されたレーニンの理論に基づき、計画当局とそれを指導するソ連共産党が強大な権限を持つ体制を作っていきました。

日本共産党と、同党を支援するマルクス主義学徒は、スターリンはレーニンの教えに背いたなどと宣伝しています。

志位さんは「青年同盟の任務」を忘れたのでしょうか。

レーニンの搾取制度廃止論は、「青年同盟の任務」からも明らかなように全体主義体制を育む理論です。

株式と資本設備を一部のものが持てば搾取者が存在する

レーニンによれば、社会の一部のものが工場と株式、資本を持ち、他の一部のものがこれらの工場で働いているなら、資本家階級と労働者階級が存在します。

レーニンによれば、農民が余分な穀物、彼自身にも家畜にも必要でない穀物を自分のものにしているのに、他の人々が穀物をもっていないならその農民は搾取者です。

レーニンによれば、ロシア皇帝、地主と貴族を追放しただけでは労働者階級の闘争は終わりません。

労働者階級は農民を再教育し、他人の困窮で金もうけをしている金持ちの農民の反抗を撲滅せねばなりません。

他人の困窮で金もうけをしている金持ちの農民の反抗を撲滅する、とは強烈な表現ですが、上記本のp102にある英訳では次になっています。撲滅、はcrushです。

crush the resistance of those peasants who are rich and are profiting from the poverty and want of the rest

レーニンは余剰穀物を持つ農民を富農、搾取者と定義しました。

マルクス主義経済学の見地では、搾取者は他人の困窮で金もうけをしています。

そこで労働者階級は、余分な穀物を隠している農民は再教育せねばなりません。政治犯収容所連行、囚人労働により再教育という話です。

スターリンはレーニンの愛弟子、ソ連共産党は、レーニン主義の党だったと改めて思います。

聴濤弘氏(元日本共産党参議院議員)は「青年同盟の任務」をどう読んだのか

聴濤弘さんは「200歳のマルクスならどう新しく共産主義を論じるか」(かもがわ出版、pp. 88-89)でマルクス、エンゲルス、レーニンの農業社会主義政策(集団化と機械化)は革命前も革命後も農民から支持されなかったと述べています。

しかし、マルクスとエンゲルス、レーニンのように生産手段の社会化、搾取制度の廃止を社会主義の第一目標とするなら、農業も工業も商業も集団化、共有にするしかありません。

レーニンが明言しているように金もうけをする人は搾取者、なのですから。農業集団化を支持しない農民は、レーニンが示したように再教育の対象です。

市場的社会主義、でも各企業は他企業と競争し、金もうけ、利潤を求めて行動します。

したがって市場的社会主義は資本主義経済です。

聴濤弘さんが「青年同盟の任務」を読んでいないなどありえない。

聴濤弘さんは、レーニンがこの論考で示した搾取制度廃止論をどうお考えなのでしょうか。この文献は厄介だから、言及しないでおこう、という立場なのでしょうか。

レーニンを無視して社会主義を語れるのか

聴濤弘さんは、著書の「マルクスならいまの世界をどう論じるか」(かもがわ出版、pp. 32)で国有企業が収益を経済活動の基準とするなら、それを社会主義的企業と言えるか疑問であると述べています。

これは、レーニンの「青年同盟の任務」の見地です。しかし市場経済なら、収益を重視しない企業は競争に敗退し、倒産しえます。

利潤=売上―総費用、ですから、国営企業が利潤を重視しなければ無駄な費用、国民の負担が増えるだけです。

小原隆治早大教授は、地方自治体問題の専門家ですからレーニンの「青年同盟の任務」を御存知ないかもしれません。

生産手段の社会化は全体主義を招くと主張した音喜多議員を批判するなら、レーニンの「青年同盟の任務」をじっくり読んでいただきたいですね。

近年の日本共産党は、レーニンの文献読解をあまり奨励しないようです。

私は四十年程前、早大の学生だった頃にレーニンの「青年同盟の任務」を読みました。

当時の民青同盟では、「青年同盟の任務」は必ず読みましょうという文献になっていました。

私は当時、聴濤弘さんが講師の社会主義国の動向についての勉強会に一度参加しました。

民青同盟の主催ではなかったと思いますが、はっきりしません。社会科学研究会とかいう組織がありました。

この十年くらい後、ユーゴスラヴィア報道で著名になった方も参加なさっていたような気がしますが、間違いかもしれません。

私は聴濤弘さんに、周恩来が新中国成立期に行った外交は立派だったと思うが、どうですかという質問と、社会主義国の人権状況はなぜ酷いのか、ユーゴスラヴィアは少しましではないかと質問をしました。

前者については、聴濤弘さんはそう思います、と答えました。

後者については、社会主義国の人権状況はどこも同じような水準で、これを大問題としても仕方がないというような答えをなさったかと思います。私の記憶違いかもしれませんが。

四十年前の私は、中国共産党の反右派闘争やチベット弾圧、国民党関係者の処刑など一切知りませんでした。

今の日本共産党、志位さんは民青同盟の皆さんに、「青年同盟の任務」読解を奨励していなさそうですね。

レーニンの「青年同盟の任務」も、宮本顕治さんの「日本革命の展望」と同様、今の日本共産党には都合の悪い文献となったのでしょう。

以下は、上記の「青年同盟の任務」の一部です。






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