Krisitin Scott Thomasの憂いに満ちた表情が素晴らしい。癒しがたい心の傷を背負って生きることになったインテリ女性と、彼女の更生を支える妹をElsa Zylbersteinがよく演じている。
インターネットで調べてみるとこの映画は、フランスではかなり売れたらしい。監督のPhilippe Claudelは、小説家としても有名なようです。様々なシーンで流れる音楽も良い。
生きていけば誰しも、壁にぶち当たっていつのまにか心に重荷を抱えるようになります。そのとき、大事なのは本人だけでなく周囲の仲間、家族との絆なのでしょう。
主人公は、Kristin Scott Thomas演じる中年女性Julietteです。Elsa Zylbersteinは滝川クリステルに少し似ているように感じました。髪型が似ていただけかもしれませんが。
殺人罪で15年間刑務所暮しをした姉を妹が自分の家に迎える
Julietteは殺人罪で15年間刑務所暮らしをしていました。刑務所から出てきた彼女は、空港で煙草をふかしながら誰かを待っています。
妹のレア(Elsa Zylberstein)が車から降りて走って姉を迎えに行くシーンから始まります。
妹は勿論、姉が殺人を犯してしまった事を知っているのですが、なぜそんなことをしたのかを姉に問わなかったらしい。
両親に姉はいなくなったものと思えとすりこまれていたそうです。しかしこのあたり、少し無理があるように感じました。
両親が娘は一体なぜそんなことを?と事情を調べるのが普通ではないでしょうか。警察に問い合わせるなり、調べ方はいくらでもあったはずです。
以下、印象に残ったことを書き留めておきます。
姉妹の父は既に世を去っています。癌が全身に転移し、最期は42キロしかなかったそうです。
英国人の母親はアルツハイマー症のようになり、娘を認識できなくなっているので施設に住んでいます。
十数年ぶりにJulietteは妹と十数年ぶりに母親を訪ねますが、母親は即座にJulietteを認識します。Julietteの子供の頃を思い出すのです。いくら老いても、母親の愛情は変わらない。
妹は出産を拒否し、ベトナムの幼い女の子二人を養女にしていた
妹の家に住んでいるJulietteは妹の同僚や友人と、ホームパーティなどで交流するようになり、徐々に心を開いていきます。妹にはベトナムから来た二人の幼い養女がいます。
妹は出産を拒否していたのです。不妊症ではありません。夫がそれをよく承知したものです。
このあたりにも、監督のメッセージがあるのでしょう。幼い二人の娘ですら、どうしようもない運命による重荷を抱えて必死に生きているのです。
フランスの富裕な家庭には、途上国から養子を迎えるところがあるようです。日本では滅多にない。
Julietteは二週間おきに地元の警察署に出頭せねばなりません。彼女との面接を担当した警察官はどういうわけか一人暮らしらしい。
この警察官はある悲惨な選択をすることになりますが、なぜだかよくわかりませんでした。
妹夫婦の親友らしい中東出身の若夫婦に子供が生まれますが、上に亡くなった子供がいたようです。
主な登場人物は皆、それぞれの心の重荷を抱えて生きている
主な登場人物は皆、運命の徒らから生じたのではないかとも言うべき重荷を抱えて生きている。それを乗り越えるために、仲間と楽しく食事と会話をして生きていくのが人生そのものなのでしょう。
フランス社会には、家に友人を招きホームパーティを開催して、知的な会話を楽しんで交流する習慣があります。
ホームパーティである友人がJulietteに、なぜ突然現れたのかとしつこく問いただすシーンがあります。妹はいい加減にして、と言いますが酔った友人は諦めません。
仕方なくJulietteは、殺人で刑務所に15年間いたと話しますが、すぐに皆大笑いします。冗談としか思えなかったのです。
このシーンにも、監督の思いが込められているのでしょう。更生のために精一杯生きているのなら、辛い過去を笑って吹きとばせ、で良いのです。
フランス映画を観ると、家がとても広いように思えてなりません。勿論、ある程度の富裕層を描いた映画が多いのでしょうけれど。
貧しかったら、広い家に住めないからホームパーティも開けなくなってしまいます。その場合には外でバーべキューパーティをやるのかもしれませんね。
フランスに移民がかなり多くなっていることを示唆するシーンもあります。Julietteの母親はイギリス人です。妹の夫の父親は、ポーランド出身です。
移民をフランス社会でどう迎え入れ、順応させるかは大きな問題のようです。
0 件のコメント:
コメントを投稿