2019年8月25日日曜日

宮本顕治氏の「敵の出方論」は著書「日本革命の展望」(日本共産党中央委員会出版部、昭和41年)に明記されている。山添拓議員ら若い日本共産党員は宮本顕治氏の論考を学ぼう―

「第一、そもそも統一戦線政府が平和的に樹立されるという前提そのものがかならずしも絶対的なものではない」(「日本革命の展望」p314より抜粋。第七回大会での綱領問題についての中央委員会の報告(二)より。昭和33年7月)。


山添拓議員、吉良よし子議員、たつみコータローさん、香西かつ介さんら若い日本共産党員は宮本顕治氏の「敵の出方論」を御存知ないか、これについて真剣に思考していない。

皆さんのツイッターを拝見しますと、日本革命について日本共産党の様々な文献を読んで思考、議論しているとはとても思えないのです。

失礼ながら、若い日本共産党員は科学的社会主義の政治学、経済学について殆ど何も知らないし、興味関心すらないように思えます。

昔の日本共産党は「モスクワ宣言」とやらを聖典のごとくみていました。

宮本顕治氏は第七回大会(昭和33年7月)、第八回大会(昭和36年7月)での中央委員会報告で、「敵の出方論」を「モスクワ宣言」に依拠して報告し、採択されました。

第七回大会での宮本顕治氏の報告によれば、革命の平和的移行は必然的なものとはなりません。

宮本顕治氏は沢山の論考を残した方ですが、ソ連共産党の革命理論を盲信していたことがよくわかります。

「野党と市民の共闘」による連立政権が平和的に樹立されるという前提も正しくない


宮本顕治氏にれば、統一戦線政府とやらでさえ、平和的に樹立されるという前提は正しくないそうです。

アメリカ帝国主義者が日米安保廃棄を適法的に拒むことも、またいすわることもできないと断定してしまう根拠もないと宮本顕治氏は第七回大会の中央委員会報告で明言しています。

従って、宮本顕治氏によれば今の日本共産党が努力している「野党と市民の共闘」の連立政権も、平和的に樹立されるという前提も正しくないのです。

「敵の出方論」を宮本顕治氏は次のように要約しています。

「マルクス・レーニン主義党としては、革命への移行が平和的な手段でおこなわれるように努力するが、

それが平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方によるということは、国際共産主義運動の創造的成果としてマルクス・レーニン主義の革命論の重要な原則の一つとなっている」(「日本革命の展望」p315より抜粋)。

若い日本共産党員は日本革命の平和的移行唯一論者なのかー社会民主主義と同じ


山添拓議員、吉良よし子議員、たつみコータローさん、香西かつ介さんら若い日本共産党員が日本革命の平和的移行唯一論者なのでしょうか。

それならば、若い日本共産党員は日本革命の平和的移行唯一論をこの時期に唱えた春日庄次郎氏ら「構造改革論」者を再評価すべきです。

「構造改革論」は当時の社会党の幹部、江田三郎氏も唱えています。

科学的社会主義の経済学の視点では、「構造改革論」は改良主義で社会民主主義だから駄目だ、という結論になります。

林直道教授の「経済学下 帝国主義の理論」(新日本新書、p224)は改良主義、社会民主主義を次のように規定しています。

改良主義→資本主義的な搾取・収奪の根本(資本主義の生産関係)を変革することをまったく考慮にいれず、資本主義の枠内での改良に労働者階級の要求や闘争を限定する立場。

社会民主主義→口では社会主義をとなえながら、資本主義的生産関係の革命的変革を否定し、労働者階級の運動を資本主義の部分的改革に限定しようとする立場。

今の日本共産党は、資本主義的生産関係の廃止の内容について思考と議論をしませんから、林直道教授が規定した社会民主主義そのものと言えます。

宮本顕治氏が第八回大会の中央委員会報告で語った「日本革命の平和的移行唯一論は社会民主主義への完全な転落だ」は適切な指摘です。

そもそも、日本革命など存在しえないのですから。所詮、資本主義の部分的な手直し以外ないのです。

なお、日韓条約が合法的に締結されたから有効だ、と今の日本共産党が考えているなら、林直道教授が規定した社会排外主義者と言えそうです。

社会排外主義→社会主義の仮面をかぶりながら帝国主義的な侵略主義を支持し実行する腐敗堕落した右翼社会民主主義者の思想と行動のこと。



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