2020年6月3日水曜日

レーニンによる「人民の敵」投獄、追放論と白井聡氏(京都精華大学)の呟き「クソ野郎」論より思う。(「食糧独裁についての布告への捕筆」、レーニン全集第42巻、大月書店刊行p86)

「余剰穀物をもちながら、これを収納所に搬入しない者、および、手持ちの穀物を密造酒用に浪費する者はすべて、これを人民の敵と宣告し、


今後は十年以上の禁固刑、全財産の没収、自己の共同体から永久追放に処し、酒の密造者には、それにくわえて、強制的な公共労働を課する」(1918年5月9日に執筆)。

レーニンがこの指令をボリシェヴィキに出したのは、赤軍と「反革命」軍との内戦の時期でした。

ロシアは極端な食糧不足になっていました。

ボリシェヴィキがモスクワやペテルブルグでの支配を継続するためには、農民から強制的に穀物を徴収するしかなかったのです。

余剰穀物をボリシェヴィキに提供しない人、手持ちの穀物で密造酒を作った人は「人民の敵」というレッテルを貼り、革命法廷行きという指令です。

「人民の敵」は10年以上の禁固刑、全財産没収、共同体からの永久追放。酒の密造者は強制的な公共労働に処せ。

全財産を没収されて共同体から追放されたら、餓死してしまいます。

「人民の敵」に「強制的な公共労働」論は、政治犯に囚人労働を課すことを正当化します。

レーニンのプロレタリア独裁論は、ボリシェヴィキの指令に従わない人に過酷な刑を課すことを正当化する理論です。

全財産を没収されて追放された人々の中には「白衛軍」、ボリシェヴィキの視点では反革命勢力に入っていった方はいくらでもいそうです。

先祖代々の土地や屋敷を没収された貴族、地主が皆、ボリシェヴィキにおとなしく従ったとは考えにくい。

追放された貴族や地主の中には、外国に何とか逃げていった方は多かったでしょう。ドクトル・ジバゴの家族もそうでした。

レーニンとボリシェヴィキによる過酷な穀物挑発、地主と貴族追放、ロシア正教会弾圧、ロシア皇帝一家虐殺は内乱を激化させたと考えられます。

レーニンの研究者、白井聡氏(京都精華大学)によるクソ野郎論と「人民の敵」


レーニンから始まった「人民の敵」という類の人間把握法を、マルクス主義政治学者の白井聡先生(京都精華大学)は継承しています。

5月31日、白井聡先生は御自身のtwitterで次のように主張しました。「俺は大声で言いたい。つるの剛士のようなクソ野郎は黙れ。と」。

この呟きは、つるの剛士さんの何かの呟きに対して発せられたのでしょうけれど、よくわかりません。

クソ野郎、とはどんな人々に対しての言葉なのか、白井聡先生が説明なさっていませんので不明です。

科学的社会主義の政治学は、クソ野郎という人々をどんな社会階層の存在として把握するのでしょうか。

左翼知識人、左翼運動家は「立ち上がる市民」「声をあげよう」という表現を良く用います。

「立ち上がる市民」とは、日本政府を何らかの点で批判する人々のことです。

左翼知識人や運動家にとって小泉今日子さんや水原希子さんは「立ち上がった市民」です。

「立ち上がる市民」とは逆に、クソ野郎と把握されるべき人々が現代日本に存在し、その方々は沈黙すべきと白井聡先生はお考えなのでしょう。

「立ち上がった市民」が日本共産党や左翼を批判したら左翼の共同体から永久追放か


白井聡先生はレーニンの研究者として著名な方です。

白井聡先生はクソ野郎、という人々をレーニン、スターリンの「人民の敵」と同じような存在として把握しているのではないでしょうか。

そうであるなら、クソ野郎より「人民の敵」のほうが適切な表現と思えます。

ところで、「立ち上がった市民」が何かの件で日本共産党や左翼知識人、運動家を批判したら、左翼の皆さんはその方を「人民の敵」と認識するのでしょうか。

左翼の共同体から永久に追放されてしかるべきなのでしょうか。

レーニンを尊敬する日本共産党員や科学的社会主義の政治学を研究する方なら、レーニンの上記の見解を尊重しそうです。




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