「大国主義の誤りとその結果がどんなに深刻で重大なものであっても、そのことを理由に、その国家や社会が社会主義でなくなったとするのは、『無謬論』を裏返しにした、もう一つの極端な誤りです」
(不破哲三「社会主義入門『空想から科学へ』百年」(昭和58年新日本出版社刊行、p333より抜粋)。
第十六回大会は昭和57年7月に開催されました。この頃を覚えている日本共産党員は、50代半ば以上でしょう。
早稲田大学の学生だった私は概ねこの頃、不破哲三氏のこの本や、聴濤弘氏の「21世紀と社会主義」(昭和59年新日本出版社刊行)を熱心に読みました。
聴濤弘氏の「21世紀と社会主義」第六章でも、第十六回大会決定の上記の記述が紹介されています。
社会主義完全変質論、は誤りだそうです。
半年くらい前に行われた日本共産党の第二十八回大会決定によれば、中国は覇権主義だから、社会主義を目指していないそうです。
志位和夫委員長はこの間、香港での人権抑圧により中国共産党は共産党の名に値しないと批判しています。
私見ではこれらは、日本共産党第十六回大会決定が厳しく批判した「社会主義完全変質論」です。
志位氏と第二十八回大会決定は、大国主義、覇権主義が深刻だから中国は社会主義ではなくなった、と結論づけているのですから。
不破哲三氏が堅持した第十六回大会決定の見地-大国主義、覇権主義でも社会主義-
不破哲三氏は22年ほど前に、中国共産党と関係を再開し、科学的社会主義の理論交流を活発に行ってきました。
中国共産党は天安門事件での大弾圧を一貫して正当化しています。
人民解放軍による赤旗記者射殺について、不破氏は中国共産党に謝罪と償いを求めませんでした。
中国共産党の覇権主義、大国主義と人権抑圧は建国以来継続しています。朝鮮戦争とほぼ同時期に、人民解放軍はチベットに侵攻し僧侶を虐殺しています。
これが封建制に苦しむ奴隷解放、民主的改革であると中国共産党は宣伝しています。
私見では中国共産党の蛮行史を百も承知の不破氏が、中国共産党との関係を再開したのは、第十六回大会決定の見地からです。
大国主義、覇権主義でも社会主義だという話です。
不破氏の「社会主義入門」(p334)によれば、社会主義には復元力が作用するそうです。
中国社会主義が復元力を発揮し、覇権主義、大国主義を是正しつつあるという判断で、不破氏は科学的社会主義の理論交流を主導したのです。
志位氏が中国共産党との合意を破棄しないのは、社会主義には復元力が作用する、という第十六回大会の見地でしょう。
それなら今のロシアや北朝鮮にも、社会主義の復元力とやらが作用しそうに思えてしまいますが。
第十六回大会決定と日本共産党職員、同党を支援する知識人、運動家の処世術
聴濤弘氏、松竹伸幸氏は日本共産党第十六回大会決定をどうお考えなのでしょうね。聴濤弘氏は昔の著作にあるように社会主義完全変質論は極端な誤りだ、とお考えなのでしょうか。
志位委員長をはじめとする今の日本共産党は、第十六回大会が強く批判した社会主義完全変質論を採用しています。
第十六回大会決定を覚えている日本共産党職員、議員など殆どいないのでしょうね。
覚えていても、日本共産党職員、議員は不破氏、志位氏への批判につながるような話は一切しない。
これが日本共産党職員、同党を支援する知識人、運動家として生きていくために必要な処世術なのでしょう。以下は不破氏の「社会主義入門」p331です。
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