2023年1月7日土曜日

森田成也さんの「日本共産党創立100周年記念講演を読んで」(「日本共産党100年 理論と体験からの分析」かもがわ出版、p91-101)より思う

日本共産党員議員、職員の中で、どのくらいの方がこの本を読んでいるのでしょうね。一割ぐらいでしょうか。

私が言うのもおかしいかもしれませんが、森田成也さんによる志位さん講演の批判は日本共産党員にとって傾聴に値すると考えます。

さしたる根拠があるわけではないのですが、日本共産党員の社会科学の研究者の中には志位さんの講演を読んで、これでは駄目だな、と思う方が少なくないように感じます。

簡単に言えば、志位さんの講演には社会科学的な深みがないのです。政治家に歴史学や政治学、経済学の深い知識を要求するのは酷かもしれませんが。

社会科学を探求している方なら、志位さんは日本共産党の文献以外に社会科学の文献をあまり読んでいないな、と直感するのではないでしょうか。

私見では、森田成也さんもそう感じたように思えてなりません。

森田成也さんの志位さん批判とは

森田成也さんは8つの問題点を指摘しています(同書p91-95)。

社会科学者が日本共産党創立百年を語るなら、無視すべきでない事がいくつも欠けていると森田成也さんはお考えなのでしょう。

森田成也さんによる志位さん講演批判の最重要点は、以下の3点と考えます。

第一に、志位さんは日本共産党がコミンテルンの一支部として創設されたことに言及していない。志位さんは日本共産党創設の国際的な文脈が無視している。

第二に志位さんは、高度成長期の日本共産党を語る際、ソ連や中国の覇権主義とどう戦ったかという話ばかりで、日本独占資本や米帝国主義との闘争を殆ど語っていない。

第三に志位さんは、高度成長期になぜ日本共産党が躍進できたかについて社会的・階級的分析をしていない。

これができないから、志位さんはなぜその後党勢が停滞、後退したのかについての社会的根拠を提示できない。

第一については、私も本ブログで繰り返し主張してきました。黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 志位さんは来る100周年記念講演会で、昔の日本共産党の綱領的文書(27年テーゼ、32年テーゼ、51年綱領)と宮本さんの「日本革命の展望」について語れるかー (blueribbonasiya.blogspot.com)

黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: 志位さんは昔の日本共産党(国際共産党日本支部)とソ連の関係を内緒にしたいー昔の日本共産党員、左翼知識人はロシア革命に無関心だったのかー (blueribbonasiya.blogspot.com)

第二、第三については面白い指摘と思います。

私見では志位さんは、日本共産党がソ連、中国と創立以来一貫して戦ってきた、という歴史観を日本共産党員と支援者に普及したいのです。

志位さんは、一般党員に32年テーゼや宮本顕治さんの昔の論文、宮本顕治さんが主導した時期の大会決定を読んでほしくない。

米帝国主義、日本独占資本との闘争について、志位さんがあまり語れないのは、志位さんの米帝国主義観が宮本顕治さんのそれから乖離しつつあるからだと考えます。

これを内緒にしたいから、志位さんは米帝国主義、日本の独占資本についてあまり語れなくなっていると考えます。

日本共産党は、カウツキーの帝国主義論に少し接近

私見では近年の日本共産党の米帝国主義観は、レーニンが「帝国主義論」などで批判したカウツキーのそれに少し接近しています。黒坂真のブログ 被拉致日本人救出のために Rescue Abducted Japanese by North Korea: レーニン「帝国主義」(宇高基輔訳、岩波文庫)第九章「帝国主義の批判」より思う (blueribbonasiya.blogspot.com)

志位さんは「新・綱領教室」で日本共産党が政権に参加したら、有事の際に日米安保第五条により米軍に出動要請をすると明記しています。


米帝国主義が日本を守る役割を果たしうる、と志位さんは考えているのです。これは、レーニンの帝国主義論とは大きく異なっています。

宮本顕治さんなら、志位さんは右転落したと断じるのではないでしょうか。

志位さんのASEAN云々は、カウツキーの視点でASEANの金融資本を見ているから

志位さんが講演などで強調している、ASEANのようにあらゆる紛争を話し合いで解決する平和の枠組みをつくろう、という提案は、カウツキーの帝国主義論に基礎をおいていると考えられます。

カウツキーは、金融資本、帝国主義間で同盟関係が形成されたら、戦争は不可避ではないと論じました。

マルクス主義経済学の視点なら、ASEAN諸国も金融資本、大企業により支配されています。

金融資本間で同盟関係が形成されたから、ASEAN諸国では戦争が無くなった、とカウツキー流のマルクス経済学なら見るはずです。

志位さんのASEAN云々は、カウツキーの帝国主義論に近い。レーニンに強く依拠していた宮本顕治さんの帝国主義観から、徐々に乖離しているのです。

想像ですが志位さんは日本革命などない、と悟りつつあるように思えます。



0 件のコメント:

コメントを投稿