2013年7月13日土曜日

ぼくらの行為は、心のふかい奥底に痕跡をのこさずには消えない―遠藤周作「わたしが・棄てた・女」より抜粋―

登場人物の台詞を噛み締めよう



遠藤周作がどこかで言っていたように思いますが、読者は登場人物による重要な台詞を噛み締めるように読み込むことが求められるべきでしょう。

「わたしが・棄てた・女」(講談社文庫)の中から、私が好きな部分をもう少しメモしておきます。またの機会にこれらについて語りたいと思います。

英語訳と韓国語訳もメモしておきます。

英語訳はMark Williams, The Girl I Left Behind (A New Directions Book)です。

韓国語訳は이평춘, 내가 버린 여자 (어문학사)です。


急にぼくはその時、感じたのだ


「(沢山の人生だな。色々な人生だな。)少しつめたくなりだした手すりに靠れて、ぼくはぼんやり呟いた。(この街で、みんなが生きたり、悦んだり、苦しんだりするのだな。)」(同書p95)


「しかし、ぼくは知らなかったのだ。

ぼくたちの人生では、他人にたいするどんな行為でも、太陽の下で氷が溶けるように、消えるのではないことを。

ぼくたちがその相手から遠ざかり、全く思いださないようになっても、ぼくらの行為は、心のふかい奥底に痕跡をのこさずには消えないことを知らなかったのだ」(同書p103)


So many lives. A whole spectrum of lives. Leaning against the railing that had grown quite cold, I muttered absently to myself. Everyone in this town is experiencing the ups and downs of life together (p75).


And yet I remained totally oblivious to reality.

To the fact that all our dealings with others, however trivial, are not just destinied to vanish like ice in the sun.

I was unaware that, even though we may distance ourselves and banish thoughts of a fellow human being to the recess of our minds, our actions cannot simply disappear without leaving traces engraved in the depth of our hearts (p81).


참 사람도 많구나. 삶은 다양하구나.

약간 차가워지기 시작한 손잡이에 기대어 나는 멍히니 중얼거렸다.

이 거리에서 모두가 기뻐하거나 괴로워하거나 하며 살아가는구나.(p114)



그러나 나는 몰랐다.

우리 인생에 있어 타인에게 끼친 행위는, 어느 것이건 태양 아래 얼음이 녹듯이 그렇게 사라지지 않는다는 사실을.

우리가 그 상대에게서 멀어져 전혀 생각지지 않게 되더라도, 우리의 해위는 마음속 깊이 흔적을 남긴다는 점을 몰랐던 것이다.(p124)












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