2018年10月5日金曜日

松本善明「在日朝鮮人の帰国事業再開実現をめざして―事業再開後、『暫定期間」以降の朝鮮民主主義人民共和国赤十字代表の日本入国手続き問題をめぐってー」(「赤旗「昭和44年4月4日掲載論考)より思う。

「戦後、朝鮮人民は日本帝国主義のくびきからみずからを解放し、アメリカ帝国主義の南朝鮮にたいする軍事支配に抗して、朝鮮民族の唯一の祖国―朝鮮民主主義人民共和国を創建し、その独立をかちとりました。在日朝鮮人はその祖国への集団的帰国の実現を熱望したことはいうまでもありません」(上記論文より抜粋)。


松本善明氏は、日本共産党の衆議院議員を長く務めた方です。画家、岩崎ちひろの御主人としても有名です。

赤旗編集局編「北朝鮮 覇権主義への反撃」(新日本出版社平成4年刊行、p9)によれば、松本善明氏は昭和43年8~9月に日本共産党代表団の一員として、宮本顕治書記長(当時)、不破哲三氏、立木洋、内野竹千代氏とともに北朝鮮を訪問しました。

このときの北朝鮮の状況については、「北朝鮮 覇権主義への反撃」(p7~43)で不破哲三氏が詳述しています。

不破氏によれば宮本顕治氏ら当時の日本共産党最高指導部は、昭和43年1月の「青瓦台事件」は、朝鮮労働党の武装工作員によるテロであると看破していました。

宮本顕治氏は金日成との会談で、朝鮮労働党による韓国への南進の危険性を指摘しました(同書p27ー28)。

宮本顕治氏が金日成にそのように主張したことは真実でしょう。

昭和43年1月の「青瓦台事件」を「赤旗」は南朝鮮人民の闘争の高まり、旨報道


当時の「赤旗」記事はこの事件を南朝鮮人民の闘争の高まり等と報じていた事を、インターネットなどで「お笑い日本共産党」さんら多くの人が指摘しています。

これは、大きな大学の図書館などで「赤旗」の縮刷版を探し、昭和43年1月頃の記事をみれば簡単に確認できます。

不破哲三氏によれば朝鮮労働党は日本共産党の宿舎に盗聴器を設置していました。

不破氏は北朝鮮訪問中に、金日成への個人崇拝の体制化が始まったと実感したそうです(同書p37)。

不破氏は個人崇拝がここまでくると、技術面でも進歩の阻害要因になると感じたそうです。

不破氏は、朴金チョルと李孝淳という朝鮮労働党の副委員長が党指導部から姿を消しているので、朝鮮労働党の内部に異様な状況が起こっていると推察したそうです(同書p20)。

同行していた松本善明氏も、同様の感想を抱いたことでしょう。

最高幹部が会談に出てこなくなったのに、理由もわからないのは不可解ですから。

日本共産党最高指導部は北朝鮮が朴大統領殺害をはかったテロ国家であると認識していたが、それでも一人でも多くの在日朝鮮人を帰国させようとした


しかしそれでも、一人でも多くの在日朝鮮人が北朝鮮に帰国できるよう全力で努力するという日本共産党の方針は全く変化しませんでした。

松本善明氏の上記論文は、北朝鮮を訪問後に「赤旗」に掲載されていますが、論文のどこにも次のような記述はありません。

日本共産党代表団は、北朝鮮で宿舎に盗聴器を設置されてしまった。

金日成への個人崇拝の体制化が始まっている。

朝鮮労働党内部に異常な状況が起こっている。

松本善明氏によれば、帰国事業の打ち切りは佐藤栄作内閣による反動的諸政策の一環です。

佐藤内閣は「日韓条約」で韓国の朴正熙かいらい政権を朝鮮半島で唯一の合法的政府と認めて国交を樹立しましたが、朝鮮民族の唯一の祖国は朝鮮民主主義人民共和国だそうです。

日本共産党最高幹部は、本音と実際の言動を使い分ける―金日成に学んだ


松本善明氏は上記論文でこのように明言しているのですが、本音は当時の不破哲三氏と同様だったはずです。

金日成への個人崇拝の体制化が始まっている。

朝鮮労働党内部に異常な状況が起こっている。

松本善明氏は内心ではこのように考えていたのです。

不破哲三氏、松本善明氏ら当時の日本共産党中央幹部は、在日朝鮮人に接するとき、表面では本音を出さずに、同志的な態度で率直に話しているように装ったはずです。

不破哲三氏、松本善明氏は在日朝鮮人の反応を見て内情や真意を探り出そうとした事でしょう。

これは金日成と朝鮮労働党が日本共産党代表団に接した時の態度と同じですから(同書p35)。

若き松本善明氏は朝鮮労働党との会談で金日成の狡猾な政治手法の有効性を素早く見抜き、在日朝鮮人に対してそれを用いたのです。

一人でも多くの在日朝鮮人を北朝鮮に帰国させよ、という政策はあまりにも異様です。

北朝鮮の現実など、当時の日本共産党最高幹部にはどうでも良い事だったのです。

在日朝鮮人が帰国後どうなろうと、自分達には関係ないという発想です。

君たちには選択の自由があるのだ、というシカゴ学派のMilton Freedmanのような発想とも言えそうです。

当時の日本共産党にとって、金日成は朝鮮半島の統一を実現するべき偉人です。

若き不破哲三氏や松本善明氏は金日成の狡猾な政治手法にさぞ感銘した事でしょう。

今の志位和夫氏ら日本共産党最高幹部の中にも、表面では本音を出さないで率直に話しているように装っている方がいるのでしょうね。

前川某さんも、長年勤務していた職場でそんな態度を取っていたそうです。

左翼政治家、左翼知識人、左翼運動家として生きていくのは大変です。心理的ストレスの蓄積は尋常でないでしょう。

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