2020年1月3日金曜日

ロシア正教会弾圧と皇帝一家虐殺は社会主義を目指す真剣な探求なのかー日本共産党とマルクス主義経済学者に問う―

「(ソビエト政権は)すべての土地の国有化によって教会と修道院の所領を奪い、正教会への国庫補助金を停止して、教会の財政基盤を切り崩した。さらに、教会の教区学校を教育人民部の管轄下に移した」(森安達也「神々の力と非力」(平凡社平成6年刊行、p217より抜粋)。


故上島武教授(大阪経済大)は、ロシア革命と宗教を晩年の研究テーマにされていました。

私は上島武教授から、何度かロシア革命、ソ連の実状についていろいろ話を聞きました。上島教授はメドヴェージェフの著作を愛読されていました。

メドヴェージェフが提起したロシア革命史の見直しを、上島教授も晩年に宗教との関係で探求なさっていたのでしょう。

革命家から見れば宗教は、旧体制を擁護する思想を流布する役割を果たしている事が多い。そこで宗教を弾圧せよ、という話になるのです。

レーニンから見れば、ロシア正教会は、ツァーリズムを支える精神的支柱ともいうべき役割を果たしていました。

ロシア正教会は所領を持つ地主でもありました。

レーニンとボリシェヴィキがロシア革命後すぐに、上記のようにロシア正教会への攻撃に着手したのは当然です。

日本共産党と同党を支援するマルクス主義経済学者は、レーニンの時期には社会主義を目指す真剣な探求が行われたと主張していますが、ロシア正教会の弾圧、ロシア皇帝一家虐殺はこの時期に起きています。

宗教弾圧、聖職者の処刑やロシア皇帝一家虐殺は社会主義を目指す真剣な探求なのでしょうか。

マルクス主義経済学者を自認する方は、この問題を真剣に検討すべきではないでしょうか。

28人の主教が殺害され、数千人の聖職者が殺されるか投獄された


レーニンとボリシェヴィキによるロシア正教会弾圧については、上島武教授の論考「ロシア革命と宗教」や上記文献、廣岡正久「ロシア正教の千年 聖と俗のはざまで」(日本放送協会平成5年刊行)が詳しい。

廣岡正久氏によれば、政教分離の名の下に行われた宗教抑圧政策は、聖職者の処刑や教会の直接的閉鎖といった弾圧を伴いました。

その結果、宗教界の抵抗を招いて各地で流血の衝突が生じました。

1918年から1920年まで少なくとも28人の主教が殺害され、数千人の聖職者が殺されるか、投獄されました。

約12000人の信徒が宗教活動を行ったかどで処刑。数千人が逮捕の後、労働キャンプに送られるか流刑されました(廣岡「ロシア正教の千年」p136より抜粋)。

レーニンとボリシェヴィキから見ればこれらは、地主、貴族との階級闘争です。ロシア正教会は所領を持つ地主でしたから。

後に中国共産党は奴隷解放と称して、チベット仏教の大弾圧を行いました。

チベット仏教の寺院も農地を保有し小作人を雇用する地主でした。今でも中国共産党は、チベット仏教弾圧を奴隷解放と称して正当化しています。

北朝鮮ではキリスト教徒は、見つかれば収容所送りとなります。党の唯一思想体系確立、に反対する反革命分子ですから。

共産主義国の歴史は残虐そのものですね。


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