私が仕事をしていた核科学防衛局は、核兵器開発をはじめ、核化学戦争に備え、核攻撃、防御を担当する部署でした(本書まえがきより)。
「日朝平壌宣言」をはじめ、北朝鮮は他国との数々の合意を破り、核とミサイル実験を重ねてきました。北朝鮮は自らが核保有国であると宣言しました。
日朝首脳会談、南北首脳会談、六か国協議、米朝交渉などで各国がどれだけ外交努力を重ねても、北朝鮮による核兵器開発を断念させることはできなかったのです。
六か国協議の議長国である中国の面子は丸つぶれです。中国も、あらゆる外交経路で北朝鮮に核開発をやめるよう迫ってきたはずですが、何の効果もありませんでした。
かつて金日成は、「われわれは核兵器を製造する必要もなく、製造する意思も能力もない」と明言していました。
「金日成著作集44」〈外国文出版社, p342)の「『ワシントン・タイムズ』記者団の質問にたいする回答」を参照してください。これは金日成の大法螺でした。
この回答で金日成は「わが国では人間の人格と自主的権利が実質的に尊重され、保護されています」と大法螺宣伝をしています。
二十年前に金日成の大法螺を見抜けなかった「専門家」は少なくなかった。政治家の場合、二十年前なら北朝鮮の核開発を疑う人の方が多かったのではないでしょうか。
二十年前、殆どの政治家は北朝鮮による日本人拉致が重大な問題であると認識していなかった。
核兵器をいくつか保有できるまでは核開発を機密事項とせよ、という類の金日成の「教示」、金正日の「お言葉」があったと見るべきです。
左翼政治家や左翼知識人はテロ国家北朝鮮の凶暴性をいつになったらわかるのでしょうか。
北朝鮮は国の政策として民間航空機を爆破したのですから、それだけでも国際社会から徹底した制裁を受けて当たり前です。
北朝鮮の核兵器は韓国と日本に向けられている
北朝鮮の人民軍総参謀部核化学防衛局の一員だった李忠国氏は、本書で北朝鮮の核開発が着実に進行していることを、22年前から訴えていました。
北朝鮮の核兵器は主に韓国と日本に向けられているのです。日本に居住しているのは日本人だけではありません。在日韓国・朝鮮人もいます。
在日本朝鮮人総連合会の中央常任委員会は、金正恩にあてた祝賀文で自らが金日成民族、金正日朝鮮、そして金正恩天下第一強国の一員であることを誇っています。
朝鮮学校の教職員の皆さんは子どもたちに北朝鮮の核が自分たちに向けられていることをどのように教えているのでしょうか。
北朝鮮が日本や韓国に核攻撃を加えたら、金日成民族としてどうするというのでしょうか。「全社会の金日成・金正日主義化」のために日夜努力していても、努力の成果が吹き飛びませんか。
「ヘイトスピーチ反対」で在日本朝鮮人総連合会と共闘している左翼政治家や知識人は、北朝鮮からの核攻撃の可能性について金日成民族の皆さんと「粘り強い対話」をするべきです。
政府にテロ国家北朝鮮と「粘り強い対話をすべきだ」と要求するなら、御自分は北朝鮮による核攻撃や北朝鮮の政治犯収容所について金日成民族の皆さんと粘り強く対話するべきです。
ところで、「全社会の金日成・金正日主義化」とは、英語ではmodelling the whole society on Kimilsungism-Kimjongilismと訳されています。朝鮮中央通信には英文も出ています。
テロ国家北朝鮮は生物・化学兵器を量産している
北朝鮮が保持している大量殺人兵器は核だけではありません。李忠国氏は本書で、化学兵器、生物兵器の開発についても詳細に語っています。
北朝鮮は多種多様な化学毒物を生産しています。イペリット、神経ガス、サリン、ブイガス、青酸カリ、Cs,Cnなどです(同書p162-163より抜粋)。
私にはイペリットやブイガス、Cs,Cnという毒物がどのような「性能」を持っているのかわかりません。
二十数年前に、某「宗教団体」がサリンを地下鉄に散布する蛮行をしました。そのとき、ブイガスという名称に近いものもこの団体を批判する方々に散布したような記憶があります。
定かではありませんが。VXガスだったかもしれません。
勿論、これだけでその「宗教団体」と北朝鮮に関係があったなどと論証できるはずもありません。その「宗教団体」のある大幹部(現在服役中)が十数回北朝鮮に行っているらしいのですが。
訪朝それ自体は犯罪ではありえません。しかしこの方はどんな用件で北朝鮮に行ったのでしょうか。何もわかっていないのです。
李忠国氏によれば、北朝鮮は生物兵器も大量保有しています。ペストやチフスなど13種類の細菌兵器を沙里院など6か所の基地に備蓄しているそうです(同書p255)。
ペスト菌は1.8グラムだけでも韓国全土を無力化できると言われれいるそうです。ペスト菌の威力がそのような水準かどうかわかりません。菌の散布は可能かもしれません。
「戦争が起きたら、南朝鮮人民4千万人をすべて殺さなければならない」
本書p175に、李氏が所属していた「反核反原子分析所」の黄課長という人物が部下の前で、1993年8月にした次の発言が記されています。
「戦争が起きたら、南朝鮮人民4千万人をすべて殺さなければならない。
彼らは子どものときから反共教育を受けてきたので、統一されたとしても、絶対に共産主義は認めないだろうし、反共思想をビッシリと叩き込まれているので、彼らを共産主義で武装させるのは不可能である」。
金正恩が工作員を日本や韓国に侵入させ、生物・化学兵器散布をやらせたらどうなってしまうのでしょうか。
腹が立ちますが、工作員の侵入を完全に防ぐのは難しい。また生物・化学兵器を少量散布するだけなら、誰がやったかわかりません。
北朝鮮工作員の仕業と断言できようもない。
日本は巡航ミサイルと爆撃機を保有すべきだ
民間航空機を爆破して喜ぶ連中が、「民族統一」「共和国の権威と尊厳を守る」「わが国の自主権を守る」などと称して蛮行を再度やらないという保証はどこにもない。
北朝鮮の刑法はそれが外国でも適用されると明記しています。私のように金日成や金正日を批判する人間は、「首領冒涜罪」「朝鮮民族敵対罪」を犯していることになりえます。
殆どの日本人は金日成、金正日を崇めていません。これを口実に「共和国の権威と尊厳を守る」「わが国の自主権を守る」ために、北朝鮮工作員がとんでもないテロをやる可能性があるのです。
日本は北朝鮮を自力で直接攻撃できる兵器、例えば巡航ミサイルや爆撃機を一刻もはやく保有すべきです。
巡航ミサイルで生物・化学兵器攻撃を直接防げませんが、「最高尊厳」とやらへの反撃はできます。
日本攻撃に対して徹底的な反撃の意と能力の存在を金正恩に知らしめてこそ、核攻撃や生物・化学兵器攻撃を未然に阻止できるのです。
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