2016年6月27日月曜日

レーニンは聖職者の殺害と教会財産没収をモロトフと政治局員に命じた(The Unkonwn Lenin From the Secret Archive, edited by Richard Pipesより)

反動的聖職者と反動的ブルジョアの代表の連中をできる限り多く処刑できればできるほど良い。我々は連中に、今後数十年間いかなる反抗も考えることができないように教訓を与えてやらねばならない(レーニンによる1922年3月19日モロトフ政治局員への極秘指令より)。


モロトフとは、後にスターリンの忠実な部下として首相や外相を務めたソ連共産党の大幹部です。

ソ連邦崩壊後、ソ連共産党により長年隠蔽されていた史料が次から次へと明るみに出ました。

日本共産党では、野坂参三が仲間の山本懸藏に疑いがかけられるような手紙をソ連共産党に提出していたことが明らかになりました。これは氷山の一角でしかありません。

レーニンが政治局等に出した秘密指令がいくつも明らかになりました。

それらに依拠して、Domitri Volkogonovが「レーニンの秘密」(NHK出版1995年、英文題名はLenin, A New Biography)という本を出しました。

米国のソ連研究者Richard Pipesは、「知られざるレーニン」(The Unknown Lenin From the Secret Archive, Yale University Press, 1998)を編者として出しました。

後者には、レーニンの数々の秘密指令の英訳が掲載されています。

R. W. Daviesの「現代ロシアの歴史論争」(岩波書店1998年刊行、原題Soviet History in the Yeltsin Era)の第一章「レーニン主義への猛攻」は、上記を含むレーニンによる残虐な指令がロシアの知識人界に与えた影響を論じています。

八尾信光氏は論考「未公開文書からみたレーニン像」(田中雄三・溝端佐登史・大西広編「再生に転じるロシア」つむぎ出版1993年、pp. 235-247)でロシアの歴史学者ラトィシェフ氏のインタビューを紹介しています。

ラトィシェフ氏は、レーニンの未公開文書の中に「富農」や司祭、「反革命容疑者」などに対する弾圧、処刑、追放、強制収容を支持した手紙や、バルトへの侵攻を命じた文書が数多く存在すると話していたそうです。

レーニンはロシア正教会を敵視し、教会の財宝収奪指令を極秘に出した


Volkogonov「レーニンの秘密」(下巻、pp. 203-219)によればレーニンはロシア正教会を敵視していました。

ソ連共産党は1921年から22年の飢饉の際に膨大な資金、金や財宝を世界革命のために外国の共産党に送っていました。

ロシア正教会のチーホン総司教は飢えた国民のために教会の財宝を供出することを国民に呼びかけましたが、レーニンはこれを政権に対する挑戦と受け止めました。

そこでレーニンは、教会の財宝を徹底的に強奪し、抵抗する聖職者たちを処刑する指令をモロトフら政治局員に出したのです。

指令の冒頭には「最高機密。いかなる理由でも複写をしないこと」と明記されています。

以下、Pipes編の本に掲載されている指令(英訳はCathaerine A. Fitzpatrick)を抜粋します。

Therefore, I come to the categorical conclusion that precisely at this moment we must give battle to the Black Hundred clergy in the most decisive and merciless manner and crush its resistance with such brutality that will not forget it for decades to come....

The greater the number of representatives of the reactionary clergy and reactionary bourgeoisie we succeed in executing for this reason, the better.

We must teach these people a lesson right now, so that will not dare even to think of any resistance for several decades.

我々は教会の財宝を最も野蛮で容赦ないやり方により没収せねばならない


秘密指令で教会財産没収を命じている部分の英訳は次です。

It is precisely now and only now, when in the starving regions people are eating human flesh, and hundreds if not thousands of corpses are littering the roads,

that we can (and therefore must) carry out the confiscation of church valuables with the most savage and merciless energy, not stopping (short of) crushing any resistance.

これを私流に訳してみました。

まさに今、今しかない。飢餓状態にある地域で、人民が人肉を食い、数千とまでいかなくても数百の死体が道に転がっているとき、我々は教会の財宝を最も野蛮で容赦なやり方により没収せねばならない。如何なる抵抗をも破壊して、これをせねばならない。

私は基督教信者ではありませんが、聖職者を殺すなどとんでもない。

教会の財宝は信者たちの寄付による浄財により形成されたはずです。中には、腐敗している聖職者もいたかもしれませんが、裁判もなしに処刑されてしかるべき人間であろうはずがない。

教会の財宝を飢えている人々のために使おうとしたチーホン総司教は素晴らしい方でした。信者から深く尊敬されていたことでしょう。ソ連共産党から見れば、極めて危険な人物です。

時代は違いますが、織田信長の比叡山焼き討ちを私は思い出しました。比叡山焼き討ちは、当時の人々の価値観から見ても野蛮行為でした。20世紀のソ連共産党による聖職者殺戮も同じです。

レーニンこそスターリン、毛沢東、金日成と金正日の善き教師です。

レーニンによる殺人指令を正当化する共産主義者は、金正日による大韓航空機爆破指令も正当化すべきです。





0 件のコメント:

コメントを投稿