2016年7月10日日曜日

それでも宮本顕治氏(元日本共産党議長)は北朝鮮を礼賛し、一人でも多くの在日朝鮮人を北朝鮮に帰国させようとした

私どもは、あなたがたの党代表者会議における金日成同志の報告、および最高人民会議における十大政綱、この報告を読んで、みなさんがたの党が、金日成同志の指導のもとに正しく、確固とした道を成功的にあゆんでおられるということを心から喜んでいます(「赤旗」昭和43年8月28日記事より。「新しい日本への道2」新日本出版社刊、p128にも掲載)。


日本共産党は長年、ソ連や中国、北朝鮮、東欧を「平和のとりで」「社会主義を建設している」「医療と福祉が良い」などと宣伝してきました。

聴濤弘氏(元参議院議員)は、日本共産党でソ連礼賛を最も行ってきた一人でした。

「北朝鮮覇権主義への反撃」(新日本出版社刊)掲載の不破哲三氏のインタビューによれば、日本共産党最高幹部は昭和42年末に朝鮮労働党が発表した「十大政綱」を読み、北朝鮮が「解放戦争」の名目で韓国への南進を企ていることを察知していました。

昭和43年1月に起きた「青瓦台事件」(北朝鮮の武装工作員が、韓国の朴大統領殺害のために潜入し、ソウル市内で銃撃戦をした事件)について少し記しておきます。

昭和43年1月の「青瓦台事件」が北朝鮮武装ゲリラによるテロであることを不破哲三氏らは熟知していたが、「赤旗」記事はテロを礼賛していた


宮本顕治氏、不破哲三氏らはこれが韓国の闘争の必然の産物などではなく、北朝鮮が送り込んだ武装ゲリラによるテロであることを認識していました。

ところが、宮本顕治氏ら当時の日本共産党最高幹部はこの認識を下部党員と「赤旗」読者には知らせませんでした。

この時期の「赤旗」紙面では北朝鮮の武装工作員によるテロが韓国人民の闘争の必然の産物であるかのような「報道」がなされていました。

この件については、本ブログ(2013年10月10日)で詳しく説明しています。

昭和43年8月に宮本顕治氏、不破哲三氏、松本善明氏らが北朝鮮を訪問しているのですが、そのときにも北朝鮮は日本共産党代表団が宿泊した部屋に盗聴器を仕掛けていました。

北朝鮮がとんでもない抑圧国家であることは、この時点でも明白でした。

盗聴器を外国の政党に仕掛けるなら、元在日朝鮮人が住む家にも当然仕掛けられていることが少なくなかったはずです。

自宅で家族と内緒の話もできないような抑圧社会に、元在日朝鮮人は帰国してしまったのです。

当時の「赤旗」にはそんな話は一切掲載されませんでした。松本善明氏は、北朝鮮の農業が素晴らしいなどという愚論を「赤旗」に出していました。

当時の日本共産党大幹部は、在日朝鮮人を何としてもだましたかったのでしょう。

宮本顕治氏は「地獄への片道切符」配布をしつこく続けた


宮本顕治氏は北朝鮮から帰国後、上述のようにしつこく北朝鮮を美化し、一人でも多くの在日朝鮮人を北朝鮮に帰国させようと尽力しました。

この時期には、北朝鮮へ渡った元在日朝鮮人から窮状を訴える手紙が日本の親族のもとに届いていました。行方不明になってしまった元在日朝鮮人も出ていました。

帰国を希望する在日朝鮮人がすでに激減していたので、帰国事業は一時中断していました。宮本顕治氏はこれがよほど気にいらなかったのでしょう。

「赤旗」昭和43年9月4日記事で、宮本顕治氏は「帰国事業を再開させることは、人道上からも、日本側が一日も早く責任をもって実現しなければならない問題です」と自信をもって断言しています。

何としても、一人でも多くの在日朝鮮人を北朝鮮へ帰国させ、金日成と朝鮮労働党の「指導」下で奴隷のごとき重労働を強制される人間を少しでも増やしたい。

それこそ社会主義建設だ!そんな気持ちで、宮本顕治氏は北朝鮮宣伝を行っていたのですしょう。宮本顕治氏の北朝鮮礼賛癖はしつこかった。

「地獄への片道切符配布」がよほど楽しかったのでしょうね。

社会主義では基本的生産手段が社会化されているので生産の無政府性を克服し、生産の発展を無限に保障している


昭和46年1月1日「赤旗」記事「真の革新を問いかける年に」で宮本顕治氏は、北朝鮮がここ数年間に物価を5割下げるという公約をしたことを取り上げ、社会主義経済の立場に立てば可能と宣伝しています。

宮本顕治氏によれば、社会主義では基本的生産手段が社会化されているので生産の無政府性を克服し、生産の発展を無限に保障しているそうです。

生産の発展は必然的に物価の安定と低下、賃金の増大をもたらすと宮本顕治氏はこの記事で共産主義経済学の「理論」を披露しています。

その現実例として、宮本顕治氏が取り上げたのがテロ国家北朝鮮なのです。

現実の北朝鮮は、この時期にすでに核兵器開発を策していたはずです。日本人や韓国人拉致も断行していました。

共産主義者は、不屈の闘志で共産主義国を礼賛します。日本共産党は、ソ連を労働者の祖国などと不屈の闘志で礼賛してきた唯一の政党です。

この伝統に基づき、不破哲三氏らは今日に至っても、北朝鮮の人権抑圧の中心ともいうべき政治犯収容所の存在について沈黙しているのです。



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