「安全である者は一人としてなく、誰もが欠乏、略奪、逮捕そして死刑に怯えながら毎日を過ごしている。毎日数百人にも上る無力な市民が捕えられ、何か月もの間不潔な牢獄に朽ち果てるままに放置され、審査も裁判もなしに処刑される。...
処刑されるのは、あなたがたに対して有罪である人たちだけでなく、ただ人質として収容され、あなたがたが無罪であることを知っている人たちなのだ。何の罪もない主教、司祭、修道士そして尼僧たちが、反革命などという大雑把で、曖昧かつ不明確な罪名で射殺されている」(「ロシア正教会の千年」p144-145掲載のチーホン総主教によるメッセージより抜粋)。
まるで北朝鮮社会のようです。不破哲三氏や聴濤弘氏(日本共産党元参議院議員)らが称賛する、レーニンの時代のロシア社会は、現在の北朝鮮と大差ない。
1917年のロシア革命の一年後にチーホン総主教はレーニンらボリシェヴィキ(後のソ連共産党)に勇気あるメッセージを送りました。
チーホン総主教はロシア革命の真っただ中に、ロシア正教会の第十一代総主教に選出された方です。この本によれば、1914年当時ロシアの総人口の約70%が正教会の信者でした。
ロシアは多民族国家です。ロシア人はほぼ100%が正教会の信者でした。
唯物論者すなわち無神論者のボリシェヴィキにとってロシア正教会は旧体制の重要な支柱の一つですから、徹底的に対決し根絶されねばならない存在だったのです。
チーホン総主教はレーニンとボリシェヴィキ、ソ連政府を正面から批判するメッセージを送ったのです。殉教を覚悟されていたのではないでしょうか。
ソ連政府はチーホン総主教を直ちに逮捕し、軟禁しました。
さらにボリシェヴィキは、教会財産の没収に乗り出しました。内戦の中、各地で教会財産の没収に反抗する信徒は抵抗しました。
この本によれば、教会財産をめぐるボリシェヴィキの迫害により8100人の聖職者とおびただしい数の信徒が殺害されました。
チーホン総主教は1923年4月の裁判で「反ソ的言動」の撤回を余儀なくされました(同書p152)。
チーホン総主教はかなりの拷問と、何らかの脅迫をされたのではないでしょうか。
遠藤周作の「沈黙」のフェレイラとチーホン総主教
遠藤周作の「沈黙」を思い出しました。私は基督教徒ではありません。ロシア正教会の教えについて何も存じません。
しかし「沈黙」のフェレイラとチーホン総主教が重なってくるように思えるのは、私だけでしょうか。チーホン総主教は、信徒たちを守るために「転向」を余儀なくされたのではないでしょうか。
チーホン総主教のボリシェヴィキに対するメッセージをもう少し抜粋しておきます。吉良よし子議員ら若い共産党員はロシア革命の現実について一切御存知ないようです。
共産主義者であることに誇りを持っているなら、「偉大なロシア革命」の現実について学ぶべきです。
「偉大なロシア革命」とは、基督教徒の虐殺と抑圧だったのです。北朝鮮と同じです。レーニンこそ、スターリン、毛沢東、金日成そして金正日の師です。
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