2016年11月23日水曜日

レーニン「十月革命四周年によせて」(レーニン全集第33巻、大月書店昭和34年刊行)より思う。

「ブルジョアジーの召使や、エス・エルとかメンシェヴィキというブルジョアジーの太鼓もち、全世界の小ブルジョア的なえせ『社会主義的』民主主義派という太鼓もちどもは、『帝国主義戦争を内乱に転化せよ』というスローガンをばかにしていた。だが、このスローガンはただ一つの真理であることがわかった。」(レーニン全集第33巻、p42より抜粋)


レーニンは「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」をただ一つの真理と断言しています。

「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」は、昔の日本共産党が金科玉条としていた「32年テーゼ」の核心です。

「32年テーゼ」とは、世界共産党(コミンテルン)により1932年(昭和7年)当時の日本共産党に下された綱領です。クーシネンという世界共産党幹部が中心になってこれを作成しました。

宮本顕治氏ら当時の日本共産党員はこれを盲信し、内乱を起こすことを策していました。内乱ですから、武装闘争による暴力革命そのものです。

最近の日本共産党は、「わが党は正規の方針として暴力革命をとったことはない」などと主張しています(「赤旗」平成28年3月24日記事)。これは大嘘です。

「32年テーゼ」はその頃の日本共産党の綱領そのものでした。

吉良よし子議員、池内さおり議員ら若い共産党員の皆さんは、「32年テーゼ」を御存知なのでしょうか。

私見では若い日本共産党員は、日本共産党の一昔前の文書やレーニンの論文を読んで得た知識を自分なりに整理、解釈することができない。

若い日本共産党員には、日本共産党の一昔前の文書を読んで日本共産党の歴史を自分の頭で整理し解釈していくことができない


ましてや、レーニン全集を紐解いて「32年テーゼ」の核心「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」が、レーニンの戦争に関する理論より導かれる結論であることが、若い共産党員にはわからない。

「十月革命四周年によせて」でレーニンは次のように述べています。

「帝国主義戦争の問題、現在全世界を制覇している金融資本の国際政治の問題―この国際政治が新しい帝国主義戦争を不可避的に生みだし、ひと握りの『先進』強国が立ち遅れた弱小民族に加える民族的抑圧、略奪、強奪、絞殺の前代未聞の激化を不可避的に生みだすのである。」

要は、戦争と弱小民族に対する抑圧や略奪は「金融資本」、大銀行や銀行と一体化した大会社の征服欲により生じるという話です。

レーニンのこの「理論」を、イギリスのSF作家H. G. ウェルズは次のように批判しました。

「戦争は国家主義的帝国主義から起きるのであって、資本主義的社会組織から起きるのではない」(「影の中のロシア」みすず書房昭和53年刊行、p104-105。原題はRussia in the Shadows)。

レーニンは、大銀行や大会社が、各国の戦争政策決定に具体的にどう参画していたというのでしょうか。

クリミア戦争、露土戦争、日露戦争、第一次大戦へのロシア参戦決定にどのようにロシアの大銀行や大会社が参画したとレーニンはいうのでしょうか。

SF作家ウェルズの方が現実的です。レーニンには、実際に企業で働いた経験がないことを付言しておきます。レーニンは企業の意思決定の仕組みを知らない。

レーニンの「理論」に従えば、欧米や日本の大銀行や大会社が「帝国主義戦争」を参画し行っていることになります。

従って共産党員たるもの、一刻も早く自国で内乱を起こし、自国政府を混乱させ自国が「帝国主義戦争」で敗北するように努力せねばなりません。

戦前の日本共産党大幹部市川正一は獄中から武装蜂起、武力闘争を主張していた


この類の「理論」に依拠して、「獄中闘争」をしていた日本共産党の大幹部市川正一氏は裁判の最終陳述で次のように述べました。

「帝国主義戦争の悲惨からまぬかれるためには、日本共産党の指導のもとに大衆的な武装蜂起をもって公然と資本家・地主の国家権力と武力闘争をなし、労働者・農民の日本ソヴェト権力を樹立しなければならぬ」(「日本共産党闘争小史」大月書店昭和29年刊行、p182より抜粋)

武装闘争、暴力革命が当時の日本共産党の正規の方針ではないなら、市川正一氏の公判での主張は市川氏の個人的見解だったことになります。

市川正一氏は個人の見解をあたかも日本共産党の見解のように広めてしまったのですから、除名処分をされるべきということになるでしょう。

これでは、獄中で亡くなった市川正一氏があまりにも惨めです。市川氏は決死の思いで獄中から労働者、農民に武装蜂起を呼び掛けたのですから。

当時の日本共産党員は大真面目に武装蜂起、武力闘争により日本でソヴェト権力とやらをつくろうとしていたのです。

故人が反論することはないから歴史を歪曲してしまえ、と志位和夫氏が判断し「赤旗」編集部は「日本共産党闘争小史」を無視することにしたのかもしれません。

「とことん共産党」出演者は「帝国主義戦争を内乱に転化せよ」「大衆的な武装蜂起をもって公然と資本家・地主の国家権力と武力闘争」を御存知なのか


最近、「とことん共産党」という番組が放映されています。小池晃書記局長や吉良よし子議員、朝岡晶子氏らがこの番組に出演されています。

「とことん共産党」出演者の皆さんは、「32年テーゼ」や市川正一「日本共産党闘争小史」に明記されている暴力革命方針を御存知なのでしょうか。

この程度の文献も読んでいない共産党員が自らを「とことん共産党」などと自称宣伝するなら、誇大広告ではないですか。

追記 「とことん共産党」と日本共産党学術・文化委員会の皆さんへの提案


「とことん共産党」で司会をお務めの朝岡晶子さんは、日本共産党中央委員会の学術・文化委員会所属のようです。インターネットでそういう記事を見ました。ワイン好きだそうです。

日本共産党員内部で、学術・文化に関する業務を担当されているのでしょう。学術・文化業務に日常的に携わっている方ならば、宮本顕治氏の次の論文を御存知のはずです。

「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」(「前衛」49号、1950年5月掲載。「日本共産党50年問題資料集1」新日本出版社昭和32年刊行、p27-35にも掲載)

「ソ連邦共産党第二十一回臨時大会の意義と兄弟諸党との連帯の強化について」(「前衛」1959年5月号掲載)

「共産党・労働者党情報局の『論評』の積極的意義」は、「日本革命の平和的発展の可能性」を提起することは根本的な誤りであること、議会を通じての政権獲得の理論も同じ誤りであることは論をまたないとと断定しています。

「ソ連邦共産党第二十一回臨時大会の意義と...」は、「社会主義はソ連邦で完全な最後の勝利をおさめた。今日、ソ連邦では国内的に資本主義を復活させる力がないだけでなく、世界的にソ連邦および社会主義陣営をうちやぶれるような力は存在し得ない」と断定しています。

朝岡晶子さんら日本共産党の学術・文化業務担当の方々は、宮本顕治氏のこれらの見解をどうお考えなのでしょうか。

日本革命の平和的発展の可能性や議会を通じての政権獲得が根本的な誤りなら、武装闘争と暴力革命しかありえない。

社会主義のソ連邦における完全な最後の勝利とは、いったい何を意味していたのでしょうか。

推測ですが、宮本顕治氏のこれらの見解は、朝岡晶子さんや吉良よし子議員の見解と大きく異なっているように思えてならないのです。

朝岡晶子さんや吉良よし子議員が武装闘争、暴力革命を真剣に検討し準備しているとは考えられない。

これらについて、「とことん共産党」で出演者が徹底討論なさったらいかがでしょうか。御検討下さい。











0 件のコメント:

コメントを投稿