2017年1月27日金曜日

日本共産党国際問題重要論文集22、中国天安門事件から湾岸戦争まで(日本共産党中央委員会出版局1991年刊行)より思う

宮本顕治「この中国問題では、一部で非常にうがった正しくない見解があります。それは中国の、問題は、たしかに大きな衝撃をあたえましたが、しかし、いまは中国が直接日本の運動に干渉していない、直接干渉がないところで、日本共産党がそんなに反論するのはどうかというものです。


しかし、これは非常に誤っています。というのは、一つは、人権問題は国際問題だということです。世界人権宣言もあるし、国際人権規約もあります。」(同書p65より。)


本ブログは何度も、日本共産党が中国共産党との「覇権主義との生死をかけた戦い」に敗北した旨指摘してきました。

その根拠の一つは、今日の日本共産党が中国共産党による過酷な人権抑圧の存在を指摘できなくなっているということでした。

この点では、一昔前、天安門事件の頃の日本共産党と今の日本共産党は大きく異なっているのです。

吉良よし子議員、池内さおり議員ら若い共産党員の皆さんは、天安門事件の頃の日本共産党の文献を読む機会がないかもしれません。少し説明しておきます。

上記のように、宮本顕治氏、不破哲三氏ら当時の日本共産党最高幹部は中国共産党による人権抑圧を徹底批判していました。

今日の不破哲三氏や志位和夫氏は、中国に思想・信条の自由、言論の自由がないこと、チベットやウイグル、モンゴル人ら少数民族に対する過酷な抑圧について完全に沈黙しています。

中国共産党を批判する弁護士や市民運動家が、国家安全省により突然逮捕、拘束される例はいくらでもあります。相当な拷問がなされている可能性が高い。

今の中国共産党が直接日本の運動に干渉していないから、志位和夫氏は中国の人権問題について沈黙するのか


今の中国共産党が直接日本の運動に干渉していないからそれでよい、大事なのは「野党外交」だ、そのためには中国と良好な関係を維持することが大事だという判断なのでしょう。

これを、宮本顕治氏は厳しく批判したのです。

この程度のことは、1989年6月の天安門事件の頃、駅前で「天安門での蛮行を糾弾する。鄧小平思想は科学的社会主義と無縁だ」という経験のある中高年党員なら常識です。

志位和夫氏はもちろん、小池晃議員も百も承知のはずです。

宮本顕治氏の「科学的社会主義」から見れば、今日の不破哲三氏や志位和夫氏は中国覇権主義に屈服し、敗北した政治家です。

「科学的社会主義」とは、「長いものに巻かれろ」というご都合主義の「理論」「思想」だとすれば、不破哲三氏、志位和夫氏の卑屈な態度も「理解」できます。

中国の要人の前で「科学的社会主義の理論的探究」とやらについて講演できると、気分が良いのでしょうか。政治家冥利につきるのかもしれません。

中国人民解放軍により「赤旗」記者が射殺されてしまった


「赤旗」記者が中国軍によるベトナム侵攻を取材中に中国人民軍により射殺されていることの重みを何度でも強調したい。中国はこれに一切謝罪などしていません。

中国共産党との関係正常化に際し、日本共産党は中国側に「赤旗」記者射殺の謝罪と補償など一切要求していません。

「赤旗」記者の生命と人権は、日本共産党員にとって限りなく軽いと言われても仕方ないでしょう。

吉良よし子議員、池内さおり議員は「赤旗」記者射殺事件も御存知ないのでしょうか。

宮本顕治氏は鄧小平路線は科学的社会主義と無縁と断言した


「日本共産党国際問題重要論文集」や、「科学的社会主義-共産主義に全く縁のない鄧小平軍事支配体制」(日本共産党中央委員会出版局)も日本共産党の国会議員が読んでいないのなら、国民や「赤旗」読者を愚弄することになりませんか。

「鄧小平理論」とやらに中国共産党は依拠している旨、日本共産党との会談で何度も胡錦涛らが表明しています(不破哲三「日本共産党と中国共産党との新しい関係」p103)。

その鄧小平理論、路線を、宮本顕治氏は「原理的に科学的社会主義と縁がない」と断言したのです(「日本共産党国際問題重要論文集22、p70)。

この程度のことは、私に指摘されずとも不破哲三氏、志位和夫氏あるいは聴濤弘氏(日本共産党元参議院議員)は百も承知です。

国際政治学者の畑田重夫氏も良く御存知のはずです。長年「赤旗」や「前衛」を一生懸命読んでいいらっしゃるのでしょうから。

殺人を正当化する鄧小平理論を今日の不破哲三氏や志位和夫氏は一切批判できなくなりました。

吉良よし子議員、池内さおり議員には日本共産党の基本的な文献をしっかり読んで頂きたいものです。




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